E01481 Japan GAAP
前期
1,728.1億 円
前期比
131.7%
株価
6,407 (10/03)
発行済株式数
33,755,154
EPS(実績)
568.65 円
PER(実績)
11.27 倍
前期
608.2万 円
前期比
114.5%
平均年齢(勤続年数)
39.0歳(17.7年)
従業員数
2,281人(連結:3,969人)
当グループは、当社、子会社28社で構成され、NC旋盤、マシニングセンタ、複合加工機、NC研削盤等の一般機械の製造・販売を主な事業内容としております。
当グループの事業に関わる位置付けと、事業内容は次のとおりであります。
なお、次の4つの地域別区分は「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
①日本
②米州
③欧州
④アジア・パシフィック
当グループの事業系統図は、次のとおりであります。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当期における当グループを取り巻く経営環境は、製造業の構造的な変化を背景とした生産性向上・自動化のための需要が底堅く推移しました。他方で、事業運営面では、半導体等の部品・ユニット類や鋳物・鋼材の調達難とコスト高の影響を大きく受ける展開が続きました。
工作機械の一般需要は、世界的にインフレ圧力が高まる中、2022年半ば以降、国内、海外共、緩やかに減少傾向で推移しましたが、労働人口の減少、脱炭素社会への移行等の社会変化を背景とした需要は広がりを見せ、またコロナ禍や地政学リスクを契機としたサプライチェーンの再編、半導体を始めとするハイテク製品を中心とした製造の国内回帰、そしてマス・プロダクションからマス・カスタマイゼーションへ移行等、製造業の構造的な変化を背景とした需要は底堅く推移しました。
米国市場では、自動車、航空宇宙、建設機械、農業機械等、幅広い産業分野で設備投資の動きが続き、年度後半からはEV関連の設備投資も緩やかに拡大しました。また半導体製造装置関連では、製造の国内回帰の動きが見られました。
欧州市場では、ドイツ、イタリア等の主要国を中心に、自動車・EV、農業機械を始めとする幅広い産業分野の一次、二次サプライヤから多くの需要を得ました。他方、中小事業者を中心に景気の先行きを懸念し、夏場以降は停滞感が見られました。
中国市場では、EVメーカ及び部品サプライヤからの旺盛な設備投資が続き、それに伴い大手・中堅企業を中心に、金型や射出成型機、プレス機、油圧部品等、関連産業からの需要の拡大が続きました。ハイテク産業関連の需要は堅調に推移し、年度後半からは風力発電関連からの需要が拡大しました。また停滞していた建設機械関連においても設備投資に動きが戻り始めました。中国以外のアジア市場では、コロナ禍の落ち着きに伴い、工作機械の需要は回復基調となりました。
日本市場では、半導体製造装置関連からの需要は落ち着きを見せ、年度後半からは次の投資時期を様子見する姿勢が広がり始めました。他方、建設機械、減速機関連、産業機械は底堅く推移し、自動車関連も緩やかながらも回復基調となりました。
このように産業や顧客により需要に強弱はある中、活況産業、有望顧客の需要を取り込み、更に2022年9月に米国シカゴにて開催された米国国際製造技術展(IMTS 2022)、同年11月に東京にて開催された日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2022)を始め、リアル展示会に積極的に出展し、自動化ソリューション等、ものづくりの社会課題の解決に寄与する製品、ソリューションを出品し、需要の喚起を図りました。
また、脱炭素社会に向けて、高生産性・高精度加工とエネルギー消費量の削減の両立を自律的に行う当社の知的工作機械を「Green-Smart Machine」と定義して全面展開することをアピールし、あわせて2022年10月より国内3工場(本社、可児、江南)をカーボンニュートラル工場といたしました。
半導体を中心とする電子部品の調達の制約に対しては、NC装置を内製化する強みを活かして柔軟な生産対応を行い、品質と顧客納期の確保を最優先に出荷、売上を進めてまいりました。また円安による部材のコスト高や電力料金等の高騰は、生産性向上によるコスト吸収に努めたうえで、販売価格への転嫁を図りました。
更に、門形マシニングセンタをはじめとした精密大型工作機械に対する足元の旺盛な需要に応じる生産能力強化と共に、中期的に目指す成長戦略の一環として群馬工場を開設し、2023年1月より稼働を開始いたしました。
これらの結果、当期の連結受注額は247,469百万円(前期比15.0%増)、連結売上高は227,636百万円(前期比31.7%増)となり、共に過去最高となりました。また営業利益は24,804百万円(前期比71.5%増)と前期比で大きく増加し、経常利益は26,446百万円(前期比69.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19,195百万円(前期比65.8%増)となりました。
次に、セグメント別の業績は、次のとおりであります。
① 日本
半導体製造装置関連からの需要は落ち着きを見せ、年度後半からは次の投資時期を様子見する姿勢が広がり始めました。他方、建設機械、減速機関連、産業機械は底堅く推移し、自動車関連も緩やかながらも回復基調となりました。他方、半導体等の部品・ユニット類や鋳物・鋼材の調達難とコスト高の影響を大きく受ける展開が続き、このような状況の下、NC装置を内製化する強みを活かして柔軟な生産対応を行うと共に、生産性向上によるコストアップの吸収に努めたうえで、販売価格への転嫁を図りました。
その結果、売上高は186,465百万円(前連結会計年度比32.6%増)となりました。収益面では、活況産業、有望顧客の需要を取り込み、更に業務効率向上による収益確保と体質強化を図り、営業利益は17,053百万円(前連結会計年度比83.5%増)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して21,800百万円増加し、219,957百万円となりました。
② 米州
米国は、自動車、航空宇宙、建設機械、農業機械等、幅広い産業分野で設備投資の動きが続き、年度後半からはEV関連の設備投資も緩やかに拡大しました。また半導体製造装置関連では、製造の国内回帰の動きが見られました。また、当社製品の品質、性能等の差別化により販売価格の引き上げに努めました。
その結果、売上高は68,095百万円(前連結会計年度比45.2%増)、営業利益は6,426百万円(前連結会計年度比85.1%増)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して7,879百万円増加し、56,563百万円となりました。
③ 欧州
欧州は、ドイツ、イタリア等の主要国を中心に、自動車・EV、農業機械を始めとする幅広い産業分野の一次、二次サプライヤから多くの需要を得ました。他方、中小事業者を中心に景気の先行きを懸念し、夏場以降は停滞感が見られました。また、欧州市場におきましても、米州市場と同様に販売価格の引き上げに努めました。
その結果、売上高は38,300百万円(前連結会計年度比28.3%増)、営業利益は2,747百万円(前連結会計年度比107.4%増)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して5,486百万円増加し、29,275百万円となりました。
④ アジア・パシフィック
中国は、EVメーカ及び部品サプライヤからの旺盛な設備投資が続き、それに伴い大手・中堅企業を中心に、金型や射出成型機、プレス機、油圧部品等、関連産業からの需要の拡大が続きました。ハイテク産業関連の需要は堅調に推移し、年度後半からは風力発電関連からの需要が拡大しました。また停滞していた建設機械関連においても設備投資に動きが戻り始めました。特に、当社が特に強みを発揮する門形マシニングセンタの受注が堅調に推移し、売上・利益の拡大を牽引しました。中国以外のアジアでは、コロナ禍の落ち着きに伴い、工作機械の需要は回復基調となりました。
その結果、売上高は33,673百万円(前連結会計年度比34.7%増)、営業利益は1,902百万円(前連結会計年度比76.9%増)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して4,458百万円増加し、38,111百万円となりました。
(2) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における当グループの連結生産実績は、250,391百万円(前年同期比34.0%増)であります。なお、日本での生産高が90%以上であるため、セグメントごとの記載を省略しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主要な販売先については、総販売実績の100分の10以上を占める販売先がないため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当グループは、過去の実績、または各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。
以下、当グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明いたします。
① 貸倒引当金
当グループは、貸倒れによる損失に備えるため、連結会社間の債権債務を相殺消去した期末の金銭債権に対し、一般債権につきましては貸倒実績率により、また貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して貸倒見積り額を計上しております。取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
② 棚卸資産
当グループは、棚卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積り額と原価との差額に相当する陳腐化の見積り額について、評価損を計上しております。将来需要または市場状況が当グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
③ 繰延税金資産
繰延税金資産のうち、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りに依拠します。将来の課税所得が、経済環境の変化や収益性の低下により予想された額よりも低い場合には、繰延税金資産の金額は調整される可能性があります。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当グループは、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。
⑤ 投資有価証券の減損
当グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。市場価格のない株式等以外のものにつきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。市場価格のない株式等につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
⑥ 固定資産の減損
減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フローについて見積りを行っております。当グループは将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると考えておりますが、予測不能な事業上の仮定の変化による将来キャッシュ・フローの見積りの変化が、固定資産の評価に影響する可能性があります。
当グループは、持続的な「利益ある成長」をすべく、収益性、効率性を高めていく考えで事業戦略を進めております。併せて、中長期的な視点で「利益ある成長」を続けるために、財務の健全性を維持し、企業価値の向上に繋げてまいりたいと考えております。このため、売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。
なお、当連結会計年度における経営成績等の状況は以下のとおりであります。
① 売上高
当グループは、オークマブランドの強化・浸透、生産性向上に結び付くソリューションの提案等、顧客拡大に向けた諸施策を進め、受注・売上高の拡大を図ってまいりました。
その結果、売上高は227,636百万円(前連結会計年度比31.7%増)となりました。
② 営業利益
生産効率向上、コストダウン施策に注力し、収益力の強化を進め、営業利益は24,804百万円(前連結会計年度比71.5%増)となり、売上高営業利益率は、前連結会計年度に比較して2.5%増加の10.9%となりました。売上総利益率は、前連結会計年度に比較して1.9%増加の32.1%となり、販売費及び一般管理費の対売上高比率は、前連結会計年度と比較して0.7%減少の21.2%となりました。
③ 経常利益
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は1,642百万円の利益となりました。そのうち、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は1,093百万円の利益となりました。また、その他の営業外収益として、為替差益746百万円等を計上し、経常利益は26,446百万円(前連結会計年度比69.8%増)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は26,446百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は19,195百万円(前連結会計年度比65.8%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前年同期と比較して3,741百万円増加し、64,696百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、16,061百万円の収入となりました(前年同期は16,160百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益26,446百万円、減価償却費7,963百万円、及び仕入債務の増加2,440百万円などであります。一方、主な資金の減少項目としては、棚卸資産の増加13,191百万円、及び法人税等の支払額7,457百万円などであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,528百万円の支出となりました(前年同期は8,709百万円の支出)。主な資金の増加項目としては、定期預金等の減少3,301百万円などであります。一方、主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得による支出5,512百万円、無形固定資産の取得による支出3,751百万円、及び投資有価証券の取得による支出292百万円などであります。有形固定資産の取得による支出の主な要因としましては、世界的に高まる工作機械の需要に応えるべく、群馬の新工場取得等へ1,457百万円の投資を行ったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、7,616百万円の支出となりました(前年同期は3,043百万円の支出)。主な資金の減少項目としては、配当金の支払額4,531百万円、自己株式の取得による支出2,344百万円、及びリース債務の返済による支出687百万円などであります。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
当グループの運転資金需要のうち主なものは、部材の購入費のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
資金調達は、将来の資金需要、資本コスト、資本構成等を総合的に勘案し、手元流動性資金の活用、金融市場からの調達も視野に入れ、最適な資金調達方法を選択しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は6,277百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、64,696百万円となっております。
2023年度における重要な資本的支出としては、本社工場、可児工場等の補修、及び群馬工場等の加工用設備機械の投資を支出する予定であります。その資金の調達源は、全額自己資金を予定しております。