売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01729 Japan GAAP

売上高

90.4億 円

前期

96.6億 円

前期比

93.6%

時価総額

246.6億 円

株価

985 (07/12)

発行済株式数

25,035,034

EPS(実績)

52.74 円

PER(実績)

18.68 倍

平均給与

631.9万 円

前期

620.2万 円

前期比

101.9%

平均年齢(勤続年数)

38.0歳(13.0年)

従業員数

224人(連結:350人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社5社の6社で構成されており、マシニングセンタ(工作機械)に取り付けて金属等の加工を行う切削工具「エンドミル」の製造・販売を中心に事業を行っております。特色としましては、エンドミルの中でも超硬素材でかつ小径(刃径6mm以下)サイズの製品に注力しており、取扱高(金額ベース)の約7割を占めております。

当社グループでは、製品の製造様式、製品の市場及び顧客を系統的に区分した製品部門別に戦略を構築し、事業活動を展開しております。したがって、当社グループは製品部門別のセグメントから構成されており、「エンドミル関連」と「その他」の2つを事業セグメントとしております。「エンドミル関連」は当社グループが営む主力の事業であり、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具の製造販売にかかる事業であります。また、「その他」は工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造販売にかかる事業等であります。なお、「エンドミル関連」は、製品のサイズ等により、エンドミル(6mm以下)、エンドミル(6mm超)、エンドミル(その他)に区分しております。

なお、「その他」の事業セグメントの売上高、利益又は損失の額及び資産の金額がいずれもすべての事業セグメントの合計額の10%未満であるため、報告セグメントを1つとしております。

 

(1)当社

当社は、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具を生産し、代理店及び連結子会社である株式会社ジーテック、日進工具香港有限公司、NS TOOL USA,INC.に販売しております。

 

(2)子会社

株式会社ジーテックは、製品の販売及び一部再加工を行っております。

日進工具香港有限公司は、中国地区での製品の販売を行っております。

NS TOOL USA,INC.は、米国での製品の販売を行っております。

株式会社牧野工業は、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造・販売を行っております。

株式会社日進エンジニアリングは、当社の加工委託先であります。

 

事業の系統図は次のとおりであります。(2024年3月31日現在)

※画像省略しています。

 

24/06/24

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、経済活動の正常化が進み、回復基調が続きましたが、エネルギー価格の高止まりや、地政学的な問題の継続、中国経済の減速等による影響を受け、回復の動きは緩やかなものとなりました。

当社グループ製品の主要需要先の状況といたしましては、自動車関連は半導体や部品不足の解消により、下期にかけて生産台数の持ち直しがみられましたが、認証不正問題の影響もあり、金型向けを中心に工具需要の回復には遅れが見られました。また、半導体や電子・デバイス関連も、在庫調整により全体的に低調に推移しました。海外向けでは、特に中華圏向けが低迷しました。

このような環境の中、当社グループでは、営業面では、国内での「INTERMOLD2023」や「MECT2023」、ドイツでの「EMO Hannover2023」などの展示会に出展し、新製品の発表やユーザーニーズに合わせた工具提案を行うことにより、新たな需要開拓を図りました。また、10月と2月に開発センターにてユーザー様向けに「精密微細5軸セミナー」を開催し、5軸加工に関する技術情報の発信と交換を行いました。

製品面では、1月に高能率レンズ形3枚刃エンドミル「MLFH330」とアルミ用高能率ラジアスエンドミル3枚刃3倍刃長「AL3D-345R」を発売しました。また、PCDボールエンドミル「PCDRB」や高硬度鋼加工用スクエアエンドミル「MHDSH445」「MHDSH645」の規格追加を行いました。

生産面では、原材料費や電力費等の上昇分を補うため、生産効率化とコスト削減に継続して取り組む一方で、多品種適量生産により幅広い製品の在庫拡充を図りました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は9,040百万円(前期比6.4%減)、営業利益は1,867百万円(同11.4%減)、経常利益は1,908百万円(同10.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,320百万円(同10.5%減)となりました。

なお、売上高経常利益率は前期比1.0ポイント減の21.1%となりましたが、KPIとしている20%の目標は達成いたしました。2022年11月に行った主力製品の値上げ効果が寄与する一方、賃上げによる人件費や営業活動の再開等により販売費が増加したため、売上高経常利益率が若干低下いたしました。もう一つの目標であるROE10%につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比10.5%減となったこと等から7.7%に止まり、目標を下回る結果となりました。

製品区分別の売上高では、「エンドミル(6mm以下)」が7,153百万円(前期比4.4%減)、「エンドミル(6mm超)」が785百万円(同11.9%減)、「エンドミル(その他)」が438百万円(同18.2%減)、「その他」が662百万円(同11.1%減)となりました。

 

(注)報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分別の「その他」に含めております。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における財政状態は、資産合計が19,241百万円(前期末比383百万円増)、負債合計が1,512百万円(同144百万円減)、純資産合計が17,729百万円(同528百万円増)となりました。各資産・負債の増減要因は以下のとおりであります。

<流動資産>

当連結会計年度末における流動資産の残高は12,719百万円で、前期比421百万円、3.4%の増加となりました。これは主に、設備投資額の減少に伴う現金及び預金の増加等によるものであります。

<固定資産>

当連結会計年度末における固定資産の残高は6,521百万円で、前期比37百万円、0.6%の減少となりました。これは主に、減価償却費が設備投資額を上回ったことによるものであります。

<資産合計>

上記により、資産合計は前期に比べ383百万円、2.0%増加し19,241百万円となりました。

<負債合計>

当連結会計年度末における負債の残高は、1,512百万円と前期に比べ144百万円、8.7%の減少となりました。これは主に、買掛金及び未払法人税等の減少等によるものであります。

<純資産合計>

当連結会計年度末における純資産の残高は17,729百万円と前期に比べ528百万円、3.1%の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当社は足元の業績に左右されず、今後の成長に必要な投資を継続的に行うこととしており、毎期5%程度の売上高の増加に対応できる設備投資を基本としております。具体的には、工具研削盤等の機械設備を中心に実施いたしておりますが、その計画において設置スペースのキャパシティーが不足すると判断された場合に、工場建設等大がかりな投資を行っております。資金の調達につきましては、無借金を前提としておりますことから、基本的には自己資金の範囲内とし、通常は営業活動により得られた資金を上回ることはありません。この数年、市場の成長鈍化に伴い生産活動に係る設備投資額が伸び悩んだことから一時的に手元資金が増加しましたが、今後の事業成長機会に向け準備を進めており、上記基本方針に変更はございません。

また運転資本につきましては、販売、仕入れともに原則翌月決済とさせていただいており、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.8ヶ月となっております。

手許資金につきましては、不測の事態に陥った場合でも当面の期間に亘り雇用や設備を維持し、企業活動を継続できる資金を余裕をもって蓄えておく必要があると考えており、その額は現時点で80億円程度と想定しております。

株主還元につきましては、安定的な経営基盤の確保並びに事業展開のための内部留保を勘案しながら、業績に応じた利益還元策を実施していくことを基本方針としておりますが、資本市場からの要請も考慮し、資本効率を意識した運営を行ってまいります。配当につきましては、安定性・継続性にも配慮しつつ、業績動向、資本効率、配当性向等を総合的に勘案したうえで、手元流動性を中期的な事業遂行に必要な水準に維持する事を前提に成長に応じた分配を意識し決定してまいります。

なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。連結ベースでの現金及び現金同等物(以下(資金)という)は、前連結会計年度末に比較し、396百万円増加し、8,793百万円(前期比4.7%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,834百万円(前期比13.6%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,906百万円による資金の増加と、減価償却費による資金の増加や仕入債務の減少並びに法人税等の支払いによる資金の流出などを反映したものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は575百万円(同49.4%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出を反映したものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は883百万円(同57.6%増)となりました。これは主に配当金の支払や自己株式の取得によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分の「その他」に含めております。

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別の名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

エンドミル(6mm以下)

7,395,427

△11.3

エンドミル(6mm超)

803,978

△17.4

エンドミル(その他)

244,824

△24.3

その他

477,235

△13.3

合計

8,921,466

△12.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

エンドミル(6mm以下)

6,948,683

△6.4

252,469

△44.8

エンドミル(6mm超)

750,681

△11.2

25,810

△57.6

エンドミル(その他)

411,117

△20.8

114,672

△19.4

その他

640,101

△18.9

56,847

△28.1

合計

8,750,582

△8.6

449,799

△39.2

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

エンドミル(6mm以下)

7,153,601

△4.4

エンドミル(6mm超)

785,736

△11.9

エンドミル(その他)

438,737

△18.2

その他

662,273

△11.1

合計

9,040,349

△6.4

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社サカイ

1,417,247

14.7

1,387,592

15.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

●経営成績等

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が前期比6.4%減少の9,040百万円、営業利益は同11.4%減少の1,867百万円となりました。

経済活動の正常化が進み、回復基調が続きましたが、エネルギー価格の高止まりや、地政学的な問題の継続、中国経済の減速等による影響を受け、回復の動きは緩やかなものとなりました。

当社グループ製品の主要需要先の状況といたしましては、自動車関連は半導体や部品不足の解消により、下期にかけて生産台数の持ち直しがみられましたが、認証不正問題の影響もあり、金型向けを中心に工具需要の回復には遅れが見られました。また、半導体や電子・デバイス関連も、在庫調整により全体的に低調に推移しました。海外向けでは、特に中華圏向けが低迷しました。

 

●重要な影響を与える要因

当社グループの製品はそれ自体が人々の暮らしを支えるものではなく、人々の暮らしを支える様々な工業製品を作る際に必要となるものです。従いまして、その需要動向は精密・微細加工を必要とする製品群にリンクしています。例えば、スマートフォンのようにこれまでになかった新たな製品が登場し、それを世界中の非常に多くの人が持つようになると、大きな需要が生まれます。また景気が上向き、人々の所得が増えると自動車が売れるようになったり、より高い機能を持った高級品が売れるようになったりすることによって需要が膨らみます。このように当社の製品需要は世界の景気動向や新たな製品の登場等によって大きく影響を受けています。

当連結会計年度における状況は、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)に記載のとおりでありますが、経済の先行きについては不透明感が増しており、当社グループを取り巻く経営環境は依然厳しいものになると予想されます。

当社グループの主要需要先においては、自動車関連は供給制約の解消により生産台数の回復が本格化すると見込まれます。補助金の削減等により世界的な電気自動車(EV)シフトの急速な高まりは一段落する一方で、ハイブリッド自動車(HV)や燃料電池自動車(FCV)の需要増加が予想されます。新モデルの開発等による金型や部品向けの精密・微細加工へのニーズは今後も底堅く推移していくものと期待されます。半導体・電子部品関連は、スマートフォンやPCの需要減退により低迷していましたが、在庫調整が一巡し、徐々に回復していくと見込まれます。当社グループでは、それらの需要をいかにして取りこぼすことなく対応できるかが重要であると考えており、引き続き高精度、高能率、多機能、長寿命を実現する高機能・高付加価値製品の普及を図るとともに、CBNやPCDを用いた製品など、ユーザー様の多様なニーズに応え得る製品をご提供できるよう努めてまいります。

 

●資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、運転資金及び設備資金につきましては、原則内部留保で賄うこととしております。運転資金につきましては、売上に係る決済を原則締め日の翌月応当日とさせていただいており、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.8ヶ月となっています。また、在庫拡充を目的に棚卸資産が61百万円増加し、棚卸資産回転期間は6.9ヶ月となりました。当社グループにおいては、標準品の販売比率が高く欠品するとユーザー様にご迷惑をおかけしてしまうほか、失注に結び付く可能性もあるため、一定水準の製品在庫を揃えておく必要があります。設備資金につきましては、機械設備の継続的な投資を行いつつ、必要に応じて工場建設等の大きな投資を行っており、通常は営業活動により得られる資金を上回ることはありません。なお、当連結会計年度における設備投資は、生産設備を中心に563百万円と、前期に比べ123百万円減少いたしました。

 

●経営上の目標の達成状況

当社グループは、売上よりも利益を優先する経営を実行し、連結売上高経常利益率20%の確保を中長期的な目標としております。当期の連結売上高経常利益率は21.1%、前期比1.0ポイント減ながら、目標は達成いたしました。2022年11月に行った主力製品の値上げ効果が寄与する一方、賃上げによる人件費や営業活動の再開等により販売費が増加したため、売上高経常利益率が若干低下いたしました。

次期につきましては、経済活動の正常化がさらに進むと予想されますが、円安傾向の継続やエネルギー価格の高止まり、中東やウクライナをめぐる不安定な世界情勢、中国経済の減速等、景気への影響が懸念されます。原材料や人件費、電力費など様々なコストの上昇が引き続き見込まれることから、連結売上高経常利益率は当期を2.7ポイント下回る18.4%を予想しております。

また、株主資本を効率的に活用する観点から連結自己資本利益率(ROE)10%の確保も経営指標として重視しておりますが、当期は7.7%に止まっております。厳しい経営環境が続く中、高付加価値の創造と提供による利益成長機会を確保し、中期的に両指標の達成を目指します。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収益・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社グループは、円安傾向の継続やエネルギー価格の高止まり、中東やウクライナをめぐる不安定な世界情勢、中国経済の減速等、景気への影響が懸念される中、今後の見通しを含め、重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項であるかを検討いたしましたが、合理的な見積り及びその影響額等を勘案した結果、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項は無いと判断いたしました。