E35587 Japan GAAP
前期
230.0億 円
前期比
115.5%
株価
4,300 (05/02)
発行済株式数
2,289,000
EPS(実績)
275.39 円
PER(実績)
15.61 倍
前期
523.0万 円
前期比
99.1%
平均年齢(勤続年数)
40.1歳(14.0年)
従業員数
663人(連結:862人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社((株)アクアエンジニアリング、大連三栄水栓有限公司、(株)水生活製作所、美山鋳造(株))計5社で構成されており、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・販売を主な内容としております。
当社グループの主な製品の特長と主な販売チャネル・販路は次のとおりであります。
(1)主な製品の特長
給水栓とは単水栓、湯水混合水栓、止水栓、ボールタップ及び洗浄弁・洗浄水栓を総称するものであります。同業他社は規模の違いはありますが約数十社あり、その中でも当社グループは水栓金具を専門で取り扱うメーカーであります。
当社製品の主な特長といたしましては、プロダクトデザイナーや、建築や空間を手掛けるデザイナーといった方にも積極的に協力いただき、従来とは異なる水栓を提案していることがあります。インテリアを構成する素材の一つとして、その空間のコンセプトに調和するようなデザインの選択肢を提供する製品を揃えております。
また住まいやホテルの一般室では使っていただいておりますが、スウィートルームやペントハウスなどの高級なゾーンにおいても採用していただける製品作りに力を注いでおります。
住居以外の事務所ビルやアミューズメント施設、病院・介護施設、駅舎等、人が集まる公共の場、いわゆる非住宅の分野でも使われる製品にも力を入れております。今後当社が製品開発面でめざすのはエレクトロニクスとの融合であります。その中でも他社にはない製品を生み出す事が、新たなライフスタイルの提案につながると確信しております。一般向け水栓や給排水用品等の水まわり商材のほか、付加価値の高いデザインや水の流れにこだわった高級水栓や、スマホのようなタッチパネル式水栓、音声認識による吐水・止水操作システムを製品化しております。
(2)主な販売チャネル・販路
当社グループは水栓金具事業の単一セグメントでありますが、販売チャネル・販路を4つのルートに区分しております。
(管工機材ルート)
水まわり資材を取り扱う管材店への販売を主に行うルートです。また、商流の上層にあたるデベロッパーや設計事務所への販売促進も行っております。
事業展開の方針としては、下記となります。
(1) ホテル、飲食店、病院、介護老人保健施設等の非住宅関連へのスペックイン
(2) 住宅内の水まわり設備のトータル提案
(3) パワービルダー(戸建て業者)、ハウスメーカー(大規模住宅建設業者)、工務店等住宅関連へのアプローチ
(リテールルート)
量販店への販売を主に行うルートです。ネット市場の拡大に合わせ、ネット販売も強化しております。
事業展開の方針としては、下記となります。
(1) ホームセンター向け水まわり商材の企画、開発と販売体制の強化
(2) 家電量販店、GMS(総合スーパー)、ドラッグストアへ水まわり商材や雑貨、リフォーム商材などの提案
(3) テレビ通販、インターネット販売業者への販路拡大
(メーカールート)
システムキッチンやユニットバスなどの住宅設備機器メーカーへの製品供給を主に行うルートです。
事業展開の方針としては、下記となります。
(1) 優位性のある中高級グレードの商品投入とVEの取り組み
(2) バス・洗面・キッチンなど、住宅設備機器メーカーとの協業による水まわり空間の提案
(海外ルート)
海外市場への輸出を行うルートです。国内同様、現地の管工機材、リテール、メーカールートの企業へ販売しております。
事業展開の方針としては、下記となります。
(1) 中国、台湾、インドネシア等のアジア諸国向けに中高級グレードの商品投入
(2) 海外各国の現地代理店との提携強化、新規開拓による販売
上記4つの販売チャネル・販路に対し、全国に支社・支店・営業所・出張所を設置し、営業拠点展開を行っております。
現在の営業拠点展開状況は、まず四大都市圏である東京、名古屋、大阪、福岡に支社・支店を設置しております。これを中心に管工機材ルートの主要顧客である管材店に対して、全国隈なく網羅的にサービスを提供できるよう、23カ所の営業所・出張所を設置しております。
リテールルートとメーカールートの主要顧客につきましては、事業規模が大きい企業の為、大都市圏に本部を置いているケースが多い事から、主に各支社・支店にて担当しております。
また、海外輸出の担当は大阪にて行っております。
営業拠点の展開は、商圏の密集具合、取引先との往来の利便性、基幹道路の近くなど物流の効率性等を考慮して、最も収益性が高まる事を基本方針としております。
生産拠点の展開としては、岐阜県各務原市に主力工場である岐阜工場、大伊木工場、大阪府大阪市城東区に組立工程専門の鴫野工場、中国大連市に大連三栄水栓有限公司、岐阜県山県市に㈱水生活製作所を持ち、生産を行っております。
現在の生産工場展開状況は、岐阜工場を主力工場として位置付け、工場内には鋳造→加工→研磨→鍍金→組立→出荷と全工程を持ち、組立の鴫野工場、鋳造が中心の大連三栄水栓有限公司、生産・技術面での事業要素が共通する㈱水生活製作所と連携して必要な生産数を確保しております。
岐阜工場は水栓バルブ発祥の地と言われる美山地区の近くにあり、協力会社との連携を意識しております。鴫野工場が最初の組立工場として1972年に開設、その後業務の拡大に伴い岐阜工場に拡張して全工程を所有することとなり、水回り製品を自社で一貫生産できる体制になりました。その後、生産コスト効率化の為、中国に大連三栄水栓有限公司を設立しております。また、国内での生産体制強化及び今後のリスクヘッジの選択肢を増やす目的で、協力会社であった㈱水生活製作所を連結子会社としました。
最近ではISOを含めて国内各工場の共通化を進めてきました。2014年には、岐阜工場内に新工場棟を建設して組立工程の強化を行っております。また、国内市場・海外市場における更なる水栓金具(高付加価値水栓)の需要拡大にあわせ、高付加価値製品の安定的な供給体制を確立することを目的として、岐阜工場の生産エリアの増改築を現在進めております。
なお、生産拠点の展開は、協力会社との連携の取りやすさ、生産コストへの影響度合い、物流環境の効率性等を考慮して、最も生産性が高まる事を基本方針としております。
(3)当社及び関係会社の位置付け
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付けは、次のとおりであります。
(主な関係会社) (株)アクアエンジニアリング
給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の取付等施工工事、当社製品のアフターサービス業務をしております。
(主な関係会社) 大連三栄水栓有限公司
当社製品に組み込まれる部品の製造をしております。
(主な関係会社) ㈱水生活製作所
給水栓類、配管継手類、浄水器類の設計、開発、製造、販売をしております。
事業の系統図は、次のとおりであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、行動制限の緩和により、民需を中心に緩やかに持ち直しました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化等による原材料やエネルギー価格の高騰、物価の上昇、急激な為替相場の変動等により、先行きが不透明な状況が続きました。
一方、当社の需要と関係の深い新設住宅着工戸数は、4月~3月までの累計で86万0千戸(前年比0.6%減)となりました。(参照:国土交通省e-Stat政府統計の総合窓口「建築着工統計調査報告」)
このような経済状況の中、当社グループは、「Think Life. Make Act.行動しよう。未来のために。」を2022年コンセプトとし、水の循環にかかわる存在として、環境負荷低減、安全・安心で心地よい新しい水まわり空間の提供など、いつまでも人々の生活の憩いと潤いが続くよう、企業活動に取り組んでまいりました。
営業面では、より快適で心地よい水まわり空間の提案として、デザイン水栓シリーズ、ウルトラファインバブル製品や高機能シャワー製品など高付加価値製品の販売強化に努めました。また、「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2022」、「HCJ2023 国際ホテル・レストラン・ショー」、「建築・建材展2023」等の大型展示会への出展、6月よりテレビCMをはじめとした当社企業広告「水から、ドラマチックに。」を展開し、ブランド訴求力と認知度の向上に注力いたしました。
製品面では、当社の成長戦略であるブランド戦略(デザイン水栓シリーズ)並びに水域戦略(空間提案)を構成する製品として、[削ぎ落された「面」によって空間を整えるコレクション]をコンセプトとした「soroe」、手荷物を持っていても使いやすいボウル一体型カウンターセット「KOKOE」を発売しました。「soroe」は、デザインオフィス nendo(代表取締役/チーフデザイナー 佐藤オオキ氏)がデザインを手がけており、水栓・洗面器・鏡、タオル掛、アメニティートレーをはじめとしたアクセサリー等のアイテムをラインナップしているコレクションです。「KOKOE」は、ボウルとカウンターは抗菌仕様の人工大理石を採用しており、シームレスですっきりした印象に仕上げています。さらには、浴び心地と節水効果を特徴とするレイニーシリーズに、ウルトラファインバブル発生装置を搭載したシャワーヘッド「FBレイニーメタリック」を発売しました。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度における連結業績につきましては、売上高は、265億64百万円(前年比15.5%増)となりました。利益面では、原材料・仕入価格が想定以上に高騰したことによってコストが増加し、販売価格への転嫁や生産の効率化等で利益率改善を図りましたが、全てを吸収するまでには至りませんでした。また、当社の認知度向上に向けた一時的な広告宣伝費の増加もあったことから、営業利益は9億6百万円(前年比38.6%減)、経常利益は9億6百万円(前年比39.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億30百万円(前年比36.9%減)となりました。
当社グループは、株主価値の最大化のために、グループ各社の収益性を高め、着実な成長を図ることが重要と考えることから、売上高、経常利益率及びROEを指標としております。当社グループの当連結会計年度における経常利益率は3.4%(前期比3.1ポイント減)、ROEは5.4%(前期比3.7ポイント減)となっております。厳しい環境ではありますが、引き続き株主価値の最大化を目指してまいります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ9億87百万円増加し、234億55百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ8億32百万円増加し、157億57百万円となりました。これは主に、売上債権が9億12百万円増加した一方、棚卸資産が1億87百万円減少したことによります。固定資産は前連結会計年度末に比べ1億55百万円増加し、76億97百万円となりました。これは主に、建設仮勘定が2億12百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べ4億44百万円増加し、109億59百万円となりました。これは主に、仕入債務が5億68百万円増加した一方、未払税金が1億45百万円減少したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ5億43百万円増加し、124億95百万円となりました。この結果、自己資本比率は50.6%となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ60百万円増加し、22億47百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、9億90百万円の収入(前年同期比93百万円の収入増)となりました。これは主に売上債権の増加額9億8百万円、棚卸資産の減少額1億98百万円、仕入債務の増加額5億66百万円によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8億34百万円の支出(前年同期比4億38百万円の支出増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出7億32百万円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、89百万円の支出(前年同期比2億22百万円の支出減)となりました。これは主に、借入金の純増による収入1億30百万円、配当金の支払額2億17百万円によるものです。
当社グループは、単一セグメントです。当連結会計年度の生産実績、販売実績は次のとおりであります。
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは、大部分の品目につき見込み生産を行っておりますので、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の財政状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載されているとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因としては、経済動向、為替及び金利の動向、原材料及び物流費の高騰、製品の欠陥及び事故災害、等があります。
経済動向については、新規住宅着工件数の減少が予測され、厳しい業界内競争が続いていると認識しております。一方でリフォーム市場や非住宅市場(主にホテル・オフィスビル・商業施設)は成長が予測されており、当社は同市場をターゲットに、高付加価値製品の開発・拡販や水まわりにおける住空間全体をトータルに提案できるメーカーへ展開し、着実な成長を目指しております。
為替及び金利の動向については、米中関係および東アジア地域の経済動向の不確実性により、先行き不透明な状況が続いていると認識しております。当社では、為替リスクを回避するため中国における子会社との取引は円建取引を原則としております。金利動向は、主に固定金利により調達しており、金利変動による影響は比較的少ないものと考えております。
原材料及び物流費の高騰については、価格上昇に対する販売価格への転嫁に取り組むことや、原価低減および物流体制の見直しを推進し、更なるコスト削減を図っていきます。
製品の欠陥及び事故災害については、継続的な生産工程における改善活動、品質管理・保証体制の一層の充実、安全・安定運転に万全を期すことにより、経営に重要な影響を与えるような事態の抑制に努めてまいります。
なお、経営成績については、以下の通りです。
(売上高)
当社グループの当連結会計年度における売上高は、住宅市場向けの受注増加、デザイン水栓シリーズ・高機能製品など高付加価値製品の拡販、新規連結会社による売上増加、販売価格改定の浸透等により、前連結会計年度に比べ35億65百万円増加し、265億64百万円(前期比15.5%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当社グループの当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ30億63百万円増加し、190億24百万円(前期比19.2%増)となりました。これは主に、主要原材料である銅合金等の長期にわたる価格上昇に伴い、材料費・仕入価格が高騰・高止まりしたことによるものと、新規連結会社の増加によるものです。この結果、当社グループの当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ5億1百万円増加し、75億39百万円(前期比7.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当社グループの当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、新規連結会社の増加に加えて当社の認知度向上に向けた一時的な広告宣伝費の増加もあったことから、前連結会計年度に比べ10億72百万円増加し、66億33百万円(前期比19.3%増)となりました。この結果、当社グループの当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ、5億70百万円減少し、9億6百万円(前期比38.6%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当社グループの当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ28百万円減少し、44百万円となりました。これは主に、前期に計上していた持分法による投資損益が、当期から連結したことで計上されなくなったことによるものです。また、営業外費用は前連結会計年度に比べ12百万円減少し、44百万円となりました。この結果、当社グループの当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ5億86百万円減少し、9億6百万円(前期比39.3%減)となりました。
(特別損益、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当社グループの当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ3百万円増加し、5百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べ1億12百万円増加し、1億29百万円となりました。これは主に、工場の建て替えに伴って旧設備の簿価及び撤去費用について減損損失を認識したことによるものです。また、法人税等は、前連結会計年度に比べ3億6百万円減少し、1億72百万円となりました。この結果、当社グループの当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3億69百万円減少し、6億30百万円(前期比36.9%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載されているとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
(資本需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要について、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料費及び人件費等)、受注維持拡大のための販売費、製品開発力の維持強化及び新規事業立ち上げに資するための研究開発費等によるものです。投資活動については生産性の向上等を目的とした設備投資によるものです。
今後において、必要な設備投資や研究開発投資を継続していく予定であります。今後の資金需要も見据えて、最新の市場環境や受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行っていく予定であります。
(財務政策)
当社グループの運転資金、設備資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について金融機関からの借入により資金調達を行っております。
運転資金に関しては、手許資金(利益等の内部留保金)を勘案の上、不足が生じる場合には短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手許資金、長期借入金による調達を基本としております。
ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。
事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、発行費用等の調達コスト、既存借入金の償還時期等を勘案し調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。