E32189 Japan GAAP
前期
324.4億 円
前期比
116.3%
株価
2,443 (04/24)
発行済株式数
22,490,910
EPS(実績)
189.32 円
PER(実績)
12.90 倍
前期
656.3万 円
前期比
109.0%
平均年齢(勤続年数)
42.5歳(18.3年)
従業員数
781人(連結:1,112人)
当社グループは、当社(株式会社イワキ)、子会社16社及び関連会社5社で構成され、化学薬品等の薬液移送に使用されるケミカルポンプ及びポンプ専用コントローラ等の周辺機器の開発、製造、仕入及び販売(輸出入を含む)を主な事業として営んでおり、また、それに附帯する製品の修理及びアフターサービス並びに設置工事を行っております。
なお、当社グループは、ケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
ケミカルポンプは、半導体や液晶をはじめ、化学、電子部品、水処理、食品、製紙、医療及び太陽電池、燃料電池、二次電池等の新エネルギー分野を含む幅広い産業分野で、高純度の薬液の移送等、多岐の用途に亘って使用されております。
これらの幅広い産業分野で使用されるケミカルポンプにとっては、「取り扱いに危険を伴う化学薬液を安全に移送する」ことが最大の使命であります。そのため外部に化学薬液が漏れ、人体や環境に甚大な影響を及ぼすことがないよう、ポンプ部には腐食しない樹脂材料を使用し、薬液が漏れ出ない構造を多くの製品に採用しております。また、近年の半導体業界における生産性の飛躍的向上に伴う、「使用する化学薬液の高温化対応」及び「ポンプ接液部から不純物が出ないというハイレベルのクリーン度要求」に応えることも新たな大きな使命であります。その他、純粋な液体及び気体にとどまらず、粘性液やスラリー(固形分)混入液といった特殊液の移送にも使用されることから、実際に当社グループの製品を使用する顧客からは耐久性、利便性、サニタリー性等、それぞれの基準において厳しい水準が求められます。
当社グループは、これら全てに対して高いレベルで応えるため、様々な側面から最大限の取り組みを行っているとともに、以下のような特徴を有しております。
(1)技術面
当社グループでは、我々メーカーにとって最も重要なテーマのひとつとして開発業務を位置付けしており、国内全従業員数の2割程度にあたる人員を技術部門に配置し、製品の安全性、高品質、耐久性を常に追求し続け、独自の安全機構の開発や、最先端のエレクトロニクス技術を導入した高品位な製品を多数開発しております。また、ケミカルポンプという製品のみを顧客に提供しているのではなく、ケミカルポンプを中心にした関連製品を組み合わせて「流体を制御する」という機能を提供しているという認識の下、各種制御用コントローラ等の研究開発にも積極的に取り組んでおります。
(2)生産面
当社グループの製品ラインアップは60製品以上のシリーズがあり、型式は数万点に上ります。多品種少量生産を強みとする一方で、年間約80万台の生産能力があります。なお、それらの製品は、国内においては大型製品が中心の埼玉工場(埼玉県狭山市)と、小型製品の量産工場である三春工場(福島県田村郡三春町)の2拠点で生産しております(2拠点ともにISO9001及びISO14001を認証取得)。
また、海外からの短納期要求等にタイムリー対応するため、一部の海外関係会社では、当社の各国内工場から部品を輸入し、現地にてノックダウン生産(※1)を行っております。
この他、連結子会社であるIwaki America Incorporatedにおいて、水処理市場に特化した水質コントローラを生産しております。
(3)品質面
当社グループでは「生産における全ての工程が品質管理のプロセスである」という考えの下、主要な生産拠点である国内2拠点(埼玉・三春工場)では、ISO9001に基づく品質保証体制を構築し、調達から生産、出荷までの工程を管理しております。特に検査工程においては、部品入荷の段階から厳格な検査を実施しており、複雑な形状の部品を立体的に測定する三次元測定器、含有化学物質規制に対応するためのX線分析装置等、最新の検査装置をいち早く導入し、高品質な製品を出荷するために、様々な生産システム、業務フローの改善を行い、不良ゼロを目指しております。
また、併せてISO14001も認証取得しており、環境への影響に配慮した活動を推進しております。
(4)販売面
当社グループの「取り扱いに危険を伴う化学薬液を安全に移送する」という最大の使命を果たすためには、長年に亘って蓄積された販売ノウハウが不可欠であります。また、多種多様な顧客の要求を確実に捉え、その要求に応えるためには、上記販売ノウハウに基づく顧客との緊密なコミュニケーションが必要になるため、国内全従業員数の3割程度にあたる人員を販売に関わる部門に配置し、国内は支店及び営業所併せて13拠点と全国各地に及ぶ販売代理店網でカバーし、顧客に密着したきめ細かな情報とサービスの提供を行っております。一方、海外においては15ヶ国に21社の関係会社を設立し、ワールドワイドな販売・サービス網を構築し、顧客を強力にサポートしております。
(5)メンテナンスサービス面
当社グループでは、メンテナンスサービスを単なる修理サービスという捉え方ではなく「メンテナンスサービスを一つの商品」として位置付けております。製品納入後の履歴管理に基づくオーバーホール(※2)提案の他、製品の取り扱いや運転に関するアドバイスから、それらに対する改善提案等、顧客目線に立った幅広いサービスを提供することにより、顧客の生産性向上に貢献しております。
当社グループにおける各製品の概要・特徴・主な販売市場は以下のとおりであります。
〔マグネットポンプ〕
概 要 |
マグネットドライブ(※3)方式によるシールレスポンプ(※4)で、渦巻式・ギヤ(歯車)式等があります。 |
特 徴 |
液漏れのない完全無漏洩構造のポンプです。 フッ素樹脂等耐食性に優れた材料を採用しており、強酸・強アルカリ液でも腐食しないポンプです。 |
主な販売市場 |
半導体・液晶市場、医療機器市場、表面処理装置市場、化学市場、水処理市場、新エネルギー市場、その他(食品、製紙等)。 |
〔定量ポンプ〕
概 要 |
ダイヤフラム(膜)やピストン(※5)等の往復動により液体の吸込み、吐出し作用を行うポンプです。 |
特 徴 |
各種の薬液を高精度で一定量注入できるポンプです。 |
主な販売市場 |
半導体・液晶市場、医療機器市場、表面処理装置市場、化学市場、水処理市場、新エネルギー市場、その他(食品、製紙等)。 |
〔空気駆動ポンプ〕
概 要 |
空気を駆動源にして作動するポンプで、ベローズ(蛇腹)式・チューブフラム(※6)式があります。 |
特 徴 |
半導体製造プロセス等クリーンな環境で使用される全ての接液部に耐薬品性・耐熱性に優れたフッ素樹脂を採用、強腐食性薬液のケミカルアタック(※7)に耐え、パーティクル(※8)発生の少ない送液を行うポンプです。 |
主な販売市場 |
半導体・液晶市場。 |
〔回転容積ポンプ〕
概 要 |
一定空間容積にある液を、回転運動にて容積変化させ液体にエネルギーを与えるポンプで、ギヤ(歯車)式・ロータリー式・スクリュー式・ホース式・チューブ式等があります。 |
特 徴 |
主に粘性液やスラリー(固形分)混入液移送用のポンプです。 |
主な販売市場 |
医療機器市場、化学市場、水処理市場、新エネルギー市場、その他(食品、製紙等)。 |
〔エアーポンプ〕
概 要 |
空気及び各種ガス等の気体を吸引、移送するポンプで、ダイヤフラム(膜)式・ベローズ(蛇腹)式・ピストン式があります。 |
特 徴 |
カーボン・油等の混入がなく、外部との気密が保たれているのでクリーンな送気・吸気ができる装置組込に最適なポンプです。また、ベローズ(蛇腹)式は腐食性ガス及び高温ガスの取扱いが可能です。 |
主な販売市場 |
医療機器市場、水処理市場、その他(食品、製紙等)。 |
〔システム製品〕
概 要 |
ポンプ制御用の機器単品他、ポンプを核とした流体制御システムやユニット製品等で、各種ポンプ制御用コントローラ及びセンサ、各種水質計測機器(残留塩素濃度計・濁度計他)、ブレンディングシステム(※9)、次亜無脈動注入ポンプ&システム(※10)、自動塩素滅菌装置、各種薬液注入ユニット等があります。 |
特 徴 |
長年に亘る多様な流体制御のノウハウを蓄積したポンプメーカーの操作性・制御性等使い勝手の良いシステム・ユニット製品です。 |
主な販売市場 |
半導体・液晶市場、医療機器市場、表面処理装置市場、化学市場、水処理市場、新エネルギー市場、その他(食品、製紙等)。 |
当社グループでは、適切な経営分析に基づく経営判断に役立てるため、販売先の業種及び製品用途に基づいて、販売市場を主に「半導体・液晶市場」、「医療機器市場」、「表面処理装置市場」、「水処理市場」、「化学市場」、「新エネルギー市場」及び「その他」に区分しており、各市場における主な使用例は下表のとおりであります。
半導体・液晶市場 |
シリコンウェハー洗浄装置組込、感光性樹脂塗布装置組込、液晶パネル製造プロセス等 |
医療機器市場 |
人工透析装置組込、内視鏡洗浄装置組込、臨床化学分析装置組込等 |
表面処理装置市場 |
各種メッキ装置組込、電子部品製造プロセス、プリント基板(PCB)製造装置組込等 |
水処理市場 |
上下水道、ボイラー、クーリングタワー、プール、温泉等 |
化学市場 |
ソーダ工業、化学繊維、樹脂、高分子化学、製薬、化粧品等 |
新エネルギー市場 |
燃料電池、二次電池製造プロセス、電力貯蔵用蓄電池組込等 |
その他(食品) |
各種食品機械装置組込、ビール、飲料、乳製品、調味料、製菓等 |
その他(製紙) |
化学パルプ製造、古紙再生等 |
用語集
用語 |
説明 |
※1 ノックダウン生産 |
当社で生産された製品の主要部品を輸入して、現地で組立する方式。 |
※2 オーバーホール |
製品を部品単位まで分解して清掃や調整等を行い、再組立にて新品時の性能に戻す作業。 |
※3 マグネットドライブ |
永久磁石の吸引力と反発力を利用して、モーターの回転力をポンプ部に伝達する機構。 |
※4 シールレスポンプ |
危険な化学薬品等を外部に漏らさない構造的特徴を持ったポンプ。 |
※5 ピストン |
筒状のシリンダー内を往復して、流体を圧送する円柱形状の部品。 |
※6 チューブフラム |
伸縮動作により、液体を圧送する薄い肉厚の樹脂製チューブ部品。 |
※7 ケミカルアタック |
腐食性の強い薬液が樹脂内部に浸透し、ポンプの構成部品に亀裂や割れを発生させる現象。 |
※8 パーティクル |
半導体の製造工程において、製品の特性・品質・歩留まりなどに悪い影響を与える微粒子や塵埃。 |
※9 ブレンディングシステム |
複数の液体を配管内で連続的に混合する装置システム。マヨネーズやチョコレートなどの製造工程に用いられる。 |
※10 次亜無脈動注入ポンプ& システム |
浄水場などで滅菌のための次亜塩素酸ナトリウムを、安定して注入するためのシステム。 |
[事業系統図]
事業系統図は、次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、ウィズコロナ下で経済活動の正常化が進む中、設備投資も持ち直しており、当社グループにおける受注も好調に推移いたしました。一方で、原材料価格などの高騰や供給面での制約、海外景気下振れによる国内景気への影響懸念など、企業収益に与える影響については依然として先行き不透明な状況が継続しております。
こうした状況の下、企業価値向上に向けた取り組みとして、「CS向上で勝つ」を基本方針にした活動を国内では従前より展開、徹底した現場密着営業を実践してまいりました。また、海外においては世界15ヵ国21社の関係会社と連携し販売拡大を図るとともに、「イワキグループ10年ビジョン」の定量目標「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」達成に向け、「オールイワキで世界No.1を提供する」の方針のもと、各種施策の実行に取り組んでまいりました。
その結果、市場別では半導体・液晶市場、医療機器市場、水処理市場が全体を牽引しました。半導体市場全体の動向としては一服感あるものの、全体動向に比例した落ち込みは見られないことや、これまでの旺盛な需要による受注残もあることから、半導体・液晶市場の売上は好調に推移しました。医療機器市場は中国向けの復調及び新たに連結対象となった中国子会社の損益を当第4四半期連結会計期間より取り込んだ影響もあり、また、水処理市場は引き続き米国向けを中心に大きく伸長し、両市場ともに好調に推移しました。
地域別では、国内は、半導体・液晶市場をはじめ全市場が伸長し、売上高は19,419百万円(前年比7.9%増)となりました。海外では、米国は水処理市場が全体を大きく牽引、その他市場も伸長した結果、売上高は6,100百万円(前年比41.8%増)となりました。欧州は化学市場をはじめ、ノルディックグループ全体が好調に推移し、売上高は4,671百万円(前年比17.6%増)となりました。アジア地域は、韓国向け半導体・液晶市場、表面処理装置市場の売上などが好調に推移し、売上高は3,213百万円(前年比12.1%増)となりました。中国は医療機器市場の牽引や、新たに連結対象となった子会社の損益取り込み開始により、売上高は2,578百万円(前年比26.1%増)となりました。
製品別では、主力製品であるマグネットポンプ、定量ポンプ、半導体・液晶市場向け空気駆動ポンプが全体を牽引しております。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の連結売上高は37,730百万円(前年比16.3%増)となりました。
増収効果の一方で、物流関連の製造経費増加をはじめ、賞与などの人件費の増加、海外展示会出展に伴う広告宣伝費の発生、行動制限の緩和による旅費交通費の増加、中国子会社のれん償却費などが増加した結果、営業利益は2,443百万円(前年比14.2%増)となりました。営業外収益において、持分法による投資利益の伸長や受取還付金の発生により、経常利益は3,933百万円(前年比31.5%増)となりました。また、特別利益において、段階取得に係る差益1,227百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は4,398百万円(前年比83.5%増)となりました。
また、当社グループはケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
財政状態の分析について以下のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は32,187百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,816百万円増加いたしました。これは主に売掛金が639百万円、電子記録債権が600百万円、商品及び製品が2,376百万円、原材料及び貯蔵品が943百万円増加したことによるものであります。固定資産は13,122百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,530百万円増加いたしました。これは主にのれんが2,105百万円、繰延税金資産が331百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は45,310百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,346百万円増加いたしました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は13,717百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,682百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が1,194百万円、電子記録債務が422百万円、契約負債が607百万円増加したことによるものであります。固定負債は2,608百万円となり、前連結会計年度末に比べ930百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が605百万円、ASC第842号「リース」を適用したことなどにより、その他の固定負債が265百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は16,325百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,613百万円増加いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は28,984百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,733百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が3,330百万円、為替換算調整勘定が480百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は63.6%(前連結会計年度末は66.3%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は8,692百万円となり、前連結会計年度末に比べ118百万円増加(前連結会計年度は1,637百万円の増加)いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果、資金は1,914百万円増加(前連結会計年度は2,710百万円の増加)いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益(5,166百万円)などによる資金増加要因が、法人税等の支払額(1,355百万円)などによる資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果、資金は1,518百万円減少(前連結会計年度は429百万円の減少)いたしました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得(1,294百万円)などによる資金減少要因が、投資有価証券の売却(138百万円)などによる資金増加要因を上回ったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果、資金は419百万円減少(前連結会計年度は579百万円の減少)いたしました。これは主に、配当金の支払額(1,062百万円)などによる資金減少要因が、長期借入れによる収入(800百万円)などによる資金増加要因を上回ったためであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、ケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績、受注実績、販売実績の記載はしておりません。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
マグネットポンプ |
9,930,214 |
108.5 |
定量ポンプ |
4,924,484 |
128.2 |
空気駆動ポンプ |
5,161,373 |
128.7 |
回転容積ポンプ |
2,162,024 |
103.7 |
エアーポンプ |
1,823,659 |
76.6 |
システム製品 |
1,166,780 |
99.2 |
その他 |
4,913,242 |
139.3 |
合計 |
30,081,778 |
114.9 |
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
マグネットポンプ |
14,846,008 |
120.9 |
5,849,670 |
195.5 |
定量ポンプ |
6,684,637 |
110.6 |
1,499,564 |
121.8 |
空気駆動ポンプ |
5,022,338 |
91.4 |
2,024,352 |
94.7 |
回転容積ポンプ |
2,317,086 |
107.7 |
653,484 |
187.4 |
エアーポンプ |
2,011,497 |
122.9 |
492,557 |
140.1 |
システム製品 |
2,161,183 |
120.5 |
586,386 |
155.8 |
仕入商品 |
2,972,016 |
104.6 |
539,559 |
142.5 |
その他 |
5,952,863 |
139.7 |
1,227,762 |
149.8 |
合計 |
41,967,631 |
115.0 |
12,873,337 |
149.1 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
マグネットポンプ |
11,988,379 |
110.7 |
定量ポンプ |
6,416,349 |
117.0 |
空気駆動ポンプ |
5,135,913 |
121.0 |
回転容積ポンプ |
2,012,269 |
95.0 |
エアーポンプ |
1,870,536 |
119.4 |
システム製品 |
1,951,083 |
120.1 |
仕入商品 |
2,811,215 |
102.2 |
その他 |
5,544,660 |
145.0 |
合計 |
37,730,407 |
116.3 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して5,290百万円増加し、37,730百万円となりました。
国内は、半導体・液晶市場をはじめ全市場が伸長し、売上高は19,419百万円(前年比7.9%増)となりました。海外では、米国は水処理市場が全体を大きく牽引、その他市場も伸長した結果、売上高は6,100百万円(前年比41.8%増)となりました。欧州は化学市場をはじめ、ノルディックグループ全体が好調に推移し、売上高は4,671百万円(前年比17.6%増)となりました。アジア地域は、韓国向け半導体・液晶市場、表面処理装置市場の売上などが好調に推移し、売上高は3,213百万円(前年比12.1%増)となりました。中国は医療機器市場の牽引や、新たに連結対象となった子会社の損益取り込み開始により、売上高は2,578百万円(前年比26.1%増)となりました。
(売上原価)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して3,396百万円増加し、24,806百万円となりました。比較的原価率の高い製品の売上構成比が高くなったことや、物流関連費用をはじめ、賞与などの製造経費の増加により、売上原価率は若干の改善にとどまる結果となりました。
(売上総利益)
上記の結果、売上総利益は12,923百万円(前年比1,894百万円増加)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して1,590百万円増加し、10,480百万円となりました。海外展示会出展に伴う広告宣伝費の発生、行動制限の緩和による旅費交通費の増加、売上高同様、新たに連結対象となった子会社の損益取り込みや、当該子会社ののれん償却費などによって費用が増加したためであります。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は2,443百万円(前年比303百万円増加)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外損益は1,490百万円の利益となりました。主に、営業外収益の持分法による投資利益によるものであります。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は1,232百万円の利益となりました。主に、特別利益の段階取得に係る差益によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比較して2,001百万円増加し、4,398百万円となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.経営戦略の現状と見通し
当社グループでは、長期ビジョン(10年後のあるべき姿)「イワキグループ10年ビジョン」を策定し、定性目標「オールイワキで世界№1を提供する」を掲げ、定量目標として2025年3月期連結売上高400億(国内売上200億円、海外売上200億円)を計画しています。その計画達成に向けた過程として、第1期を2017年3月期~2019年3月期(種蒔期)、第2期を2020年3月期~2022年3月期(育成期)、第3期を2023年3月期~2025年3月期(収穫期)として定めております。当連結会計年度は収穫期初年度として、「新たに連結子会社となった中国グループとのグループシナジーの最大化」、「強化市場の再定義」、「ソリューションビジネスの再定義」、「サステナビリティの観点を踏まえた次期長期ビジョンの策定」を新たな重点テーマとして取り組んでまいりました。引き続き、「イワキグループ10年ビジョン」定量目標達成に向けた取り組みを加速させてまいります。
さて、当社グループが製造するケミカルポンプは、革新的技術に依拠する画期的な製品を開発することが難しい「成熟した製品」ではありますが、このような状況下においても当社グループでは、ケミカルポンプの世界的メーカーとして、常に他社に先駆ける新製品開発に注力しております。国内外の顧客から当社グループの製品が選ばれるのは、多岐に亘る様々な要望に対して、過去の経験等に基づき迅速かつ的確に対応できることが最大の理由であると考えております。
具体的には、システム提案及びユニット製品化、並びに各種ポンプの特注対応といったハードウェア面から、納期・コスト・サービス体制等のソフトウェア面まで、きめ細かに応えることであります。また、それぞれの顧客対応スキルをさらにレベルアップさせることが重要な課題であると認識し、「ソリューションカンパニー」として世界全市場の顧客から信頼を勝ち取ることを全社的テーマとして、重点的に取り組んでまいります。
なお、当社グループが注力すべき強化市場(※)と定めている「医療機器市場」・「水処理市場」・「新エネルギー市場」の各市場に対して顧客対応力・技術力・販売力等の当社グループの力を結集し、日本国内のみならず欧州、米国、アセアン等の各重点強化地域においても、顧客からの多様なニーズに応えていくことが、今後、当社グループの持続的成長につながると考えております。
※翌連結会計年度より「半導体・液晶市場」を追加いたします。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く経営環境は、競合他社が国内外を問わず生産コストが安価な地域に進出したことで、販売活動が激化しております。当社グループも早期から海外関係会社におけるノックダウン生産等、海外展開に取り組みコスト低減を進めておりますが、近年においては販売価格の競争が一層激しくなっております。また、価格競争のみならず、製品開発においても環境問題への意識の高まりにより、省電力・高効率製品の要望が強く、これら製品の優劣で今後の受注が左右されます。
一方で、急激な為替の変動による影響で素材価格の価格変動が続き、当社主要部品の原材料となる樹脂材料、鉄鋼及び非鉄金属等の調達コストの変動に合わせ適正な販売価格とすることができなければ、今後の経営成績に影響を与える可能性があります。
また、安全保障輸出管理上の不備により、一定期間輸出禁止等の行政処分を受けた場合、当社グループの海外事業における業績に重要な影響を与える可能性があります。
f.経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
g.経営上の目標の達成状況
当社グループの長期ビジョンである「イワキグループ10年ビジョン」の定量目標である「2025年3月期連結売上高400億円、営業利益率10%」に向けた第3期2023年3月期~2025年3月期(収穫期)の初年度となる当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
経営上の重要な指標である「売上高」は37,730百万円、前年比5,290百万円増加(前年比16.3%増)「営業利益率」は6.5%(前年比0.1ポイント悪化)となりました。これらの指標は引続き、増加または改善されるように取り組んでまいります。また、株主還元の目標として配当性向30%超を重要な指標としており、当連結会計年度における配当性向は30.4%であります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全化及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、取引銀行とシンジケートコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは1,914百万円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは1,518百万円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは396百万円を確保しました。
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
営業キャッシュ・フロー |
2,710百万円 |
1,914百万円 |
投資キャッシュ・フロー |
△429百万円 |
△1,518百万円 |
フリー・キャッシュ・フロー |
2,281百万円 |
396百万円 |
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1,062百万円、有利子負債の増減による収入732百万円などにより419百万円のキャッシュ・アウトとなり、期末における現金及び現金同等物は8,692百万円となりました。
資金の使途については、当連結会計年度は設備投資に948百万円、M&Aを含む投融資に318百万円、研究開発には875百万円の合計2,142百万円を支出しております。
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
設備投資 |
611百万円 |
948百万円 |
投融資(M&A含む) |
0百万円 |
318百万円 |
研究開発費 |
875百万円 |
875百万円 |
計 |
1,487百万円 |
2,142百万円 |
(資本政策)
各種投資に掛かる費用や新型コロナウイルス影響による事業環境等の悪化に備え、前連結会計年度に引き続き手元資金を厚めに確保したこともあり有利子負債残高は増加しましたが、D/Eレシオは前連結会計年度末並みの0.11倍となり、自己資本比率は63.6%と業容拡大に伴う総資産残高の増加により前連結会計年度末より低下いたしました。
2024年3月期は、ウクライナ情勢の長期化による地政学リスクなどから先行きが不透明な状況が継続するものと想定しております。こうした状況を踏まえ、引き続きキャッシュ・フローを重視しながら財務規律を堅持してまいります。また、事業拡大の投資判断においては、資本コストを意識し、原則としてこれを上回るリターンの実現を目指し、経営資源配分などにおいてROIC(投下資本利益率)をより意識するなど、資本効率の向上を図りながら持続的成長と企業価値向上を目指します。
当社では、株主還元の基本的な考え方として、安定的かつ持続的な配当を目指しております。これをより明確に表すために、配当性向をKPIとして30 %超をターゲットとして掲げ、株主還元の方針としています。
今後も上記方針のもと、成長投資や内部留保とのバランスをとりながら、株主還元のさらなる拡充を目指してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。