E01571 Japan GAAP
前期
1,120.7億 円
前期比
118.2%
株価
7,280 (04/25)
発行済株式数
46,359,700
EPS(実績)
253.02 円
PER(実績)
28.77 倍
前期
808.3万 円
前期比
101.6%
平均年齢(勤続年数)
43.9歳(16.6年)
従業員数
1,085人(連結:2,506人)
当社グループは、当社、子会社13社、関連会社1社及び親会社(東ソー(株))で構成され、総合水処理エンジニアリング会社として水処理エンジニアリング事業と機能商品事業を行っております。
当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
・親会社
当社は東ソー(株)から水処理薬品の原材料の一部などの仕入れを行うとともに、同社に対し各種水処理装置及び関連薬品を販売するなどの取引を行っております。
この他に、化学プラント工事等を行っている東北電機鉄工(株)があります。
事業の系統図は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻や米中摩擦など地政学的なリスクの影響が長期化する中、エネルギーや食糧価格などに端を発するインフレーションの進行や、それに伴う各国の金融政策見直しなどの影響で回復のペースが鈍化し、景気の停滞感が色濃くなりつつあります。
当社グループの主力市場である電子産業分野においては、メモリなどを中心に半導体市況が悪化したことに加え、米国による対中半導体規制の影響などにより一部の顧客で減産や設備投資を縮小・延期する動きが見られた一方、台湾における最先端半導体向けの大型投資や、日本や中国・マレーシアなどではシリコンウェハーや車載用・パワー半導体などに対する設備投資が活発に推移いたしました。また一般産業分野においてはコロナ禍の影響による大型投資の減少からの回復が見られ、電力・上下水など社会インフラ分野では国内のソリューション事業を中心に堅調に推移いたしました。
このような状況の下、当社グループは国内外における大型プロジェクトの受注・納入活動を進めるとともに、各国におけるサプライチェーンや納入体制の整備、エンジニアリング業務の効率化やソリューションサービスの拡大に向けたデジタル化の推進、次世代の超純水システムや分離精製技術の創出に向けた研究開発の拡充、リスク管理などのガバナンス体制やサステナビリティ方針の策定・マテリアリティの特定など経営基盤の強化に向けた取組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度は受注高173,491百万円(前連結会計年度比27.9%増)、売上高132,426百万円(同18.2%増)、営業利益15,212百万円(同40.2%増)、経常利益16,020百万円(同38.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11,730百万円(同27.4%増)となり、ROE(自己資本当期純利益率)は14.5%(前連結会計年度は12.9%)となりました。受注高、売上高及び各利益とも前年度の実績及び期初の計画を上回り、いずれも過去最高となる水準を達成いたしました。また、翌年度以降の売上のベースとなる繰越受注残は117,659百万円(同36.2%増)となり、半導体関連の大型プロジェクトなどの受注残を中心に高い水準の残高を確保しております。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
■受注高
受注高は前連結会計年度比31.3%増となる152,422百万円となりました。主力市場である電子産業分野において、国内での半導体プロジェクトや台湾での先端半導体向け投資、国内でのシリコンウェハー向け案件など大型の工事案件を受注したことに加え、中国やマレーシアなどでの車載用やパワー半導体などに対する投資が活発に推移したことなどから受注高は大きく増加いたしました。また一般産業分野においても、製薬や食品、電子産業の周辺分野などで大型の設備投資が回復し受注が拡大しております。電力・上下水など社会インフラ分野においては、国内のソリューション案件などを中心にほぼ前年度並の受注高を確保しております。
■売上高
売上高は前連結会計年度比20.4%増となる111,601百万円となりました。電子産業分野において一部の案件でスケジュールの見直しや原材料の調達・工事の遅れが影響したものの、全体的には受注案件の工事が概ね順調に進捗し、メンテナンスや改造工事、設備保有・加工受託などのソリューション事業も好調であったことなどから売上が増加いたしました。また一般産業分野においても大型案件の受注回復やソリューション事業の伸長などにより売上が拡大しており、電力・上下水など社会インフラ分野においては国内のソリューション案件などを中心にほぼ前年度並の売上高を確保いたしました。
■営業利益
営業利益は、前連結会計年度比42.7%増となる12,966百万円となりました。電子産業分野を中心とした売上拡大の効果によって売上総利益が増加したことに加え、大型プロジェクトの利益改善などによって利益率も前年度に比べ改善したことなどから、人件費や外注費などを中心とした販管費の増加を上回り、営業利益は前年度比で増加しております。
■受注高・売上高
受注高は前連結会計年度比7.6%増となる21,068百万円、売上高は同7.6%増となる20,824百万円となりました。電子産業分野に向けた各種の水処理薬剤の販売が拡大したことに加え、標準型機器・フィルタ分野ではピューリックμ(ミュー)など小型純水装置の販売が好調に推移いたしました。また食品分野でも食品添加剤などの売上が増加しております。
■営業利益
営業利益は前連結会計年度比27.4%増となる2,246百万円となりました。各分野における売上拡大の効果に加え、原材料価格の上昇などコスト増に対して値上げなどの価格転嫁が進んだことも影響し、前年度比で営業利益が増加いたしました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
3 当連結会計年度のTaiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(資産)
当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ34,348百万円増加し、164,854百万円となりました。
流動資産は、主に売上高の増加に伴う売掛金及び契約資産の増加や水処理加工受託用設備の建設に伴う仕掛品の増加などによって前連結会計年度末に比べ33,903百万円増加し、136,765百万円となりました。
固定資産は、当連結会計年度から稼働した開発センター新実験棟に関連する設備等の減価償却が進んだ影響で有形及び無形固定資産が減少した一方で、繰延税金資産や持分法適用会社の増益等による投資有価証券の増加などによって投資その他の資産が増加したことで、前連結会計年度末から444百万円増加し、28,088百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ23,981百万円増加し、78,483百万円となりました。
流動負債は、主に大型の工事案件や水処理加工受託用設備の建設の影響で短期借入金や仕入債務が増加したことで、前連結会計年度末に比べ25,666百万円増加し、68,738百万円となりました。
固定負債は、主に長期借入金の返済によって前連結会計年度末から1,685百万円減少し、9,744百万円となりました。なお、当連結会計年度末における借入金合計は前連結会計年度末に比べ17,391百万円増加し、33,019百万円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ10,366百万円増加し、86,371百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金9,383百万円の増加によるものであります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
水処理エンジニアリング事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ34,049百万円増加し、141,199百万円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産、水処理加工受託用設備の建設に伴う仕掛品の増加によるものであります。
機能商品事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ624百万円増加し、18,387百万円となりました。これは主に売掛金などの増加によるものであります。
当社グループにおける資金の配分方針については、次のとおりであります。
成長投資については、新たな中期経営計画において策定した重点分野に対して経営資源を重点的に配分していく方針であります。いずれの重点分野も戦略の実現には研究開発の強化が必須であるため、連結売上高の2.5%を目途に技術研究費を増加させ、重点分野に集中的に資金を配分する方針であります。設備投資についても同様に重点分野へ集中的に資金の配分を行ってまいります。
株主還元についても、重要な経営課題の一つとして考えており、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針とした上で、収益の状況を勘案した利益配分に努めることとしております。
また、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期の運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,639百万円減少し、当連結会計年度末には15,558百万円となりました。活動ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当社グループは、水処理エンジニアリング事業が売上高の84.3%を占めており、同事業のキャッシュ・フローの状況によってグループ全体のキャッシュ・フローが大きく変動します。中でもプラント事業においては長期にわたる大型プラント建設工事を行っており、それらの工事代金の回収時期、原材料・外注費等の支払時期などによって営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増減することがあります。また、設備を自らが設置・所有し、顧客にサービスを提供する水処理加工受託業務においては、設備の製作から資金の回収までが長期にわたるため設備の製作時においては支出が先行する傾向にあります。
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益を16,035百万円計上したものの、売上債権及び契約資産の増加額19,954百万円及び棚卸資産の増加額17,295百万円などにより、営業活動によって支出された資金は18,536百万円となりました(前連結会計年度は10,787百万円の収入)。これは、大型プラント案件の代金回収の時期が翌期に集中していることに加えて、水処理加工受託用設備の建設が進捗していることで支出が先行したためであります。そのため、棚卸資産の増加額17,295百万円には、当該水処理加工受託用設備の建設に係る仕掛品の増加額が約14,500百万円含まれております。
当連結会計年度における投資活動によって支出された資金は、前連結会計年度に比べ210百万円減少し、1,309百万円となりました。設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。
当連結会計年度における財務活動によって支出された資金は、14,706百万円となりました(前連結会計年度は2,586百万円の収入)。営業活動における支出増加により短期借入金が増加しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりであります。
(特に重要な会計上の見積り)
水処理エンジニアリングリング事業における大型案件は当社グループの売上高に占める割合が大きく、その収益認識の基礎となる工事原価総額の見積りが業績に与える影響は非常に大きいと認識しており、特に大型の案件では作業内容の特定やその原価の見積りに高い不確実性が伴います。また、工事着手後に生じる資材価格の変動や作業内容の変更などを適時・適切に工事原価へ反映する必要があることに加えて、工事原価総額の見積りは工事損失引当金の金額にも影響することなどから当社は、工事契約に係る会計処理を特に重要な会計上の見積りに該当すると考えております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(その他の重要な会計上の見積り)
棚卸資産の評価は、原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっております。営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難であるため、過去の実績から見積った年数及び割合を基に規則的に簿価を切り下げております。実際の正味売却価額が切下げ後の簿価と比べて大きく異なる場合は、棚卸資産の期末残高が過小もしくは過大になるほか、売上原価に影響を及ぼします。
完了した請負工事に係る瑕疵担保等に備えるため、将来の保証見込額を製品保証引当金として計上しております。見積りには、個別に見積可能なものについては、その見積額を計上しておりますが、多くの請負工事は個別の見積りが困難であるため、主に過去2年間の実績を基礎に見積りを行っております。しかし、想定を上回る重大な瑕疵や事故等の品質問題が発生した場合は、将来の業績が変動します。
当社グループは、固定資産の減損の兆候判定、認識及び測定にあたり、将来の事業計画を基礎とした各資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。その将来キャッシュ・フローの見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合や予期しない変化などが生じた場合は、回収可能性の評価の見直しを行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
当社グループの退職給付債務及び費用は、死亡率、退職率、昇給率や給与の変更及び割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されています。
割引率は、日本の国債の利回りを基に、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。また、長期期待運用収益率については、過去の運用実績と将来収益に対する予測を評価することにより設定しております。
これらの前提条件の見積りは合理的であると判断しておりますが、割引率の低下が数理計算上の退職給付債務の増加をもたらす可能性があるなど、主要な前提条件が実際の結果と異なった場合、退職給付債務及び費用が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。