E01744 Japan GAAP
前期
2,550.5億 円
前期比
106.9%
株価
3,435 (04/25)
発行済株式数
45,527,540
EPS(実績)
156.56 円
PER(実績)
21.94 倍
前期
736.9万 円
前期比
100.8%
平均年齢(勤続年数)
43.3歳(19.0年)
従業員数
3,763人(連結:9,816人)
当社グループは、当社及び国内子会社23社、国内関連会社2社、海外子会社21社、海外関連会社1社の合計48社で構成され、①電力インフラ事業セグメント、②社会システム事業セグメント、③産業電子モビリティ事業セグメント、④フィールドエンジニアリング事業セグメント、⑤不動産事業セグメント、⑥その他の6事業分野にわたって、製品の企画・開発から製造、販売、サービス等の事業活動を幅広く展開しております。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
①電力インフラ事業セグメント 16社
電力会社等に、電気を作り、送るための重電機器やシステムを提供する事業を行っております。主な製品・サービスは、発電機、変電製品(変圧器、スイッチギヤ、避雷器等)、発電・変電・配電システム、監視制御設備、水力発電設備、エネルギーシステムであります。
・主な関係会社
㈱エムウインズ、イームル工業㈱、MEIDEN SINGAPORE PTE.LTD.、明電舎(鄭州)電気工程有限公司、TRIDELTA MEIDENSHA GmbH、MEIDEN T&D (INDIA) LIMITED
②社会システム事業セグメント 14社
電気の需要家となる官公庁、鉄道事業者、民間企業等に、重電機器やシステムを提供する事業を行っております。主な製品・サービスは、発電・変電・配電システム、監視制御設備、無停電電源装置、電鉄システム、水インフラシステム、上下水道維持管理、セラミック平膜であります。
・主な関係会社
明電プラントシステムズ㈱、明電システム製造㈱、明電システムソリューション㈱、MEIDEN ASIA PTE. LTD.、
THAI MEIDENSHA CO.,LTD.
③産業電子モビリティ事業セグメント 5社
半導体分野、一般産業分野及び電気自動車向けコンポーネント製品や自動車産業向け研究開発用システムを提供する事業を行っております。主な製品・サービスは、モータ、インバータ、EV駆動システム、真空コンデンサ、産業用PC、パルス電源、自動車産業向け試験装置、エレベータ用巻上機、無人搬送車であります。
・主な関係会社
㈱甲府明電舎、明電機電工業㈱、明電舎(杭州)電気系統有限公司、MEIDEN AMERICA,INC.、明電舎(杭州)駆動技術有限公司
④フィールドエンジニアリング事業セグメント 4社
メンテナンス事業を行っております。主なサービスは、保全コンサルティング、予防保全、改良保全、維持管理及び運用管理、事後保全、総合診断、延命措置、更新計画であります。
・主な関係会社
㈱明電エンジニアリング、明電ファシリティサービス㈱
⑤不動産事業セグメント
ThinkPark Tower(東京都品川区大崎)を中心とした保有不動産の賃貸事業を行っております。
⑥その他 8社
電気化学計測機器や電気絶縁材料の製造・販売、従業員の福利厚生サービス、その他事業セグメントを問わない販売等が含まれております。
・主な関係会社
明電商事㈱、明電興産㈱
(事業系統図) 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍からの正常化進展を背景として企業による投資の再開が進んだことに加え、社会インフラに関連する設備の更新デマンドが高い水準で維持されるなど、需要面では強さが見られた一方、各種素材・部材価格の高騰や入手性の悪化、エネルギーコストの上昇といった要素により、収益性が圧迫される厳しい状況が続きました。
また、世界経済においては、新型コロナウイルスの収束傾向が早期に確認されていった一方で、前期より顕在化している地政学リスクに起因した影響の継続に加え、欧米各国におけるインフレ進展に呼応した金融の引き締め、それに伴う企業業績の先行き落ち込み観測、半導体市況の需給の緩みなどを背景に、将来にわたる不透明感が更に増す状況となりました。
このような中、当社グループは、「中期経営計画2024」で掲げた方針に基づき、環境に資する事業・製品への注力、海外事業における収益基盤の強化及びサステナビリティ経営の進展に向けた各種施策の展開といった動きを推し進めてまいりました。
当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
当期の営業利益は8,539百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し928百万円減少しております。
当期の営業外損益につきましては、営業外収益が1,768百万円、営業外費用が1,484百万円となりました。
営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金738百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息823百万円であります。この結果、経常利益は8,823百万円となり前期と比較して1,382百万円減少し、売上高経常利益率は3.2%となっております。
当期の特別損益につきましては、特別利益が2,081百万円、特別損失が507百万円となりました。
特別利益の主な内訳は、投資有価証券売却益1,140百万円であり、特別損失の主な内訳は、減損損失381百万円であります。
この結果、税金等調整前当期純利益は10,397百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で3,136百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益132百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は7,128百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は157円13銭、自己資本利益率は6.8%となっております。
① 電力インフラ事業セグメント
売上高は前期比15.6%増の60,470百万円、営業損失は前期比1,384百万円改善の515百万円となりました。海外を主体とする変電事業につきましては、シンガポールやドイツにおける需要の回復や米国製造法人の稼働本格化、環境対応製品の需要増により、増収増益となりました。また、国内主体の電力エネルギー事業につきましては、各種部材の長納期化に伴う影響が強く発現したことなどから、減収減益となりました。
② 社会システム事業セグメント
売上高は前期比4.6%減の90,392百万円、営業利益は前期比3,707百万円悪化の2,396百万円となりました。電鉄事業におきましては、国内を中心に設備需要の回復が見られたことから、増収増益となりました。一方、社会システム事業及び水インフラ事業におきましては、好調であった前期からの反動減に加え、各種部材の長納期化に伴う出荷の遅れや素材・部材価格の高騰によるコスト増加が影響し、減収減益となりました。
③ 産業電子モビリティ事業セグメント
売上高は前期比22.4%増の78,133百万円、営業利益は前期比1,931百万円改善の1,683百万円となりました。
環境保護気運の高まりなどを背景に電動フォークリフト用電装品の需要が拡大した電動力ソリューション事業や納入車種が増加したEV事業は増収増益となりました。また、受注環境の厳しさが継続するモビリティT&S事業は、減収となったものの、事業骨格の見直し効果により増益となりました。一方、電子機器事業は、年度後半の需要の変調に伴う生産調整や部材価格高騰の影響により、増収ながら減益となりました。
④ フィールドエンジニアリング事業セグメント
売上高は前期比0.4%増の39,709百万円となった一方、営業利益は676百万円悪化の5,260百万円となりました。
保守サービスに関する堅調な需要を背景にわずかに増収したものの、プロダクトミックスの変化や各種部材価格の高騰による影響などから、減益となりました。
⑤ 不動産事業セグメント
売上高は前期比0.7%増の3,230百万円、営業利益は167百万円改善の1,321百万円となりました。
⑥ その他
報告セグメントに含まれない事業におきまして、売上高は前期比1.6%減の16,617百万円となった一方、一部の子会社で収益性が向上したことなどから、営業利益は127百万円改善の231百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比16,491百万円(5.7%)増加し、307,390百万円となりました。
流動資産は、棚卸資産の増加及び受取手形、売掛金及び契約資産の増加により、前期末比16,456百万円(9.6%)増加の187,751百万円となりました。
固定資産は、設備投資による建設仮勘定の増加により、前期末比35百万円(0.0%)増加の119,639百万円となりました。
負債合計は、コマーシャル・ペーパーの増加及び短期借入金の増加により、前期末比11,032百万円(5.9%)増加して196,509百万円となりました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び為替換算調整勘定の増加により、前期末比5,459百万円(5.2%)増加して110,881百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前期末と同じく35.1%となりました。
当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前期末に比べ862百万円増加し、14,116百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は13,742百万円(前年同期は11,389百万円の獲得)となりました。
主な収入は、税金等調整前当期純利益10,397百万円、減価償却費10,382百万円であり、主な支出は、棚卸資産の増加額6,698百万円、法人税等の支払額2,512百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は10,506百万円(前年同期は7,503百万円の使用)となりました。
主な支出は、有形及び無形固定資産の取得による支出12,395百万円によるものであり、主な収入は、投資有価証券の売却による収入1,462百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,685百万円(前年同期は4,266百万円の使用)となりました。
主な支出は、社債の償還による支出5,000百万円、短期借入金の返済による支出4,066百万円、配当金の支払額2,405百万円であり、主な収入は、コマーシャル・ペーパーの発行による収入6,000百万円、長期借入れによる収入4,731百万円あります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。
その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比2,042百万円増の50,509百万円となりました。
また、コミットメントラインは前期と同額の40,000百万円を維持しました。
当社グループでは、「中期経営計画2024」で掲げた、「質の高い成長」「サステナビリティ経営の推進」「両利きの経営の推進」という3つの基本方針に基づき、再生エネルギーやEV等の環境に資する事業拡大、海外事業の収益力強化及び気候変動への対応に向けた各種施策を推し進めております。2022年度におきましては、海外事業の収益を前年比で大幅に改善させたとともに、「GX特高変電製品」や「スマート保安」の市場投入等の成長事業の拡大に向けた取組みを着実に実施してきました。引き続き、2023年度も海外事業や成長事業の収益向上を図りつつ、昨年度に苦戦を強いられてまいりました社会インフラ関連事業の収益改善に集中して取り組み、2024年度目標の達成に向けて取組みを加速してまいります。
2022年度の投資につきましては、設備投資12,347百万円、研究開発10,257百万円を実施しました。当期の設備投資においては、成長投資関連の中国EV生産用第2ライン構築等により、前期比16億円増となりました。2023年度は、環境対応製品の生産強化に向けた成長投資等を実施するとともに、更なる企業価値向上に向けたDX推進のための投資を実施してまいります。研究開発におきましては、カーボンニュートラルなどのサステナブルな社会づくりに資するテーマに、全体の約59%にあたる6,018百万円を投じました。今後も両利きの経営を支える研究開発という方針のもと、脱SF6や車の電動化などに向けた開発を進めてまいります。
財務指標につきましては、記録的な受注高を背景に当初計画比・前期比ともに増収となったものの、資材高騰・部材長納期化の影響が利益を圧迫し、いずれも減益となりました。一方で資本効率化を進めたことにより、ROEは前年度と同程度になりました。
コロナ禍を経て、世の中の正常化が進んでいく中、社会インフラを支える企業として古い価値観に縛られることなく「新しい当たり前」を創り上げていくことが求められております。「中期経営計画2024」の完遂に向けて、社会的責任やお客様への供給責任などの果たすべき義務、そして環境負荷低減等の社会貢献を果たしていくとともに、資本効率を重視した経営を展開することで、中計最終年度の目標達成に向けて事業を推し進めてまいります。
2022当初計画と実績及び「中期経営計画2024」最終年度目標
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
①固定資産の減損及び投融資の評価
当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。
回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。
なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんの価値算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。
2023年3月31日時点における評価において、連結財務諸表では一部の子会社で事業用資産の減損損失を381百万円計上しており、個別財務諸表では当社のインド子会社MEIDEN T&D (INDIA) LIMITEDの株式の評価損を3,077百万円計上しております。
これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、更に減損損失の計上が必要となる可能性があります。
また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
②繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分につきましては評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
③受注損失引当金
当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
④製品保証引当金
当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
⑤退職給付に係る負債
従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。
割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。
当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%変動した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。
⑥工事契約に係る収益認識
工事契約に係る収益のうち、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法によっております。
工事契約に係る収益認識は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。
工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、工事契約に係る収益及び費用の修正が必要となる可能性があります。
また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。