売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E37488 

売上高

2,457.2億 円

前期

2,454.3億 円

前期比

100.1%

時価総額

9,352.1億 円

株価

4,015 (04/26)

発行済株式数

232,928,202

EPS(実績)

173.04 円

PER(実績)

23.20 倍

平均給与

976.1万 円

平均年齢(勤続年数)

44.2歳(17.4年)

従業員数

1,082人(連結:2,429人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社6社で構成され、半導体製造装置の製造・販売・保守サービスを主な内容として事業活動をしております。当社グループは、半導体製造装置事業の単一セグメントであるため、ビジネスごとに分類して記載させて頂きます。

 

(1)装置ビジネス

当社グループでは、半導体の製造に使用する装置の製造及び販売を行っております。半導体の製造プロセスの概略図を(図-1)に示します。半導体は、シリコンウェーハ上に、回路を形成していく工程を何度も繰り返して製造していきます。回路形成工程は、回路形成に必要な薄膜等を形成する成膜工程、成膜後に熱をかけて結晶サイズを揃える(アニール)等の熱処理工程、成膜上に回路を形成するパターニングを行うリソグラフィー工程、パターンに沿って膜を取り除くエッチング工程、各工程間でウェーハを洗浄する洗浄工程、各工程間での検査工程で構成されます。シリコンウェーハ上にこれらの工程を数百回繰り返して回路を形成する製造工程を総称して前工程と呼んでおります。そして、前工程の工程ごとに高度な専用技術を要したさまざまな装置が使用されることで半導体が製造されます。当社グループでは、前工程における「成膜」工程の装置を主力製品として、また「熱処理」工程に用いられる装置の製造及び販売をしております。

 

図-1 半導体製造前工程と当社グループ適応製品

 

※画像省略しています。

 

「成膜」工程とは、シリコンウェーハの回路形成における回路素材となるポリシリコン膜や絶縁膜等の薄膜を形成する工程を指します。当社グループでは、その成膜工程の中でLP-CVD製品のほかに、ALD(注1)に対応した製品を提供しております。

一方、「熱処理」工程とは、熱酸化(注2)膜を形成するプロセスや、成膜後に加熱して膜中の結晶サイズを揃える(アニール)プロセス、成膜後に注入した不純物を加熱して均一に拡散するプロセス、また、プラズマを用いて成膜後に膜質を改善する(トリートメント)プロセスなどを指します。当社グループでは、本工程に最適なプロセス技術にて装置提供を行っております。

これらの工程は、シリコンウェーハの回路形成において重要な役割を担うことから、各装置に、高度な技術と品質の信頼性の高い製品提供が必要となります。

(注1)当社グループでは、複数のガスをサイクリックに供給する工程を伴い、原子層レベルで成膜する手法を「ALD」と呼んでいます。

(注2)シリコン基板表面から内部にかけて高純度の酸化をする方法。熱酸化には、ドライ酸化、ウエット酸化などいくつかの方法があります。

 

当社グループが装置メーカーとして取り組んでいる最も重要な課題についてご説明します。それは、デバイス構造の複雑化を原因とする成膜プロセスの生産性の低下、という問題です。三次元(立体)構造になるとデバイスの構造がより深く、複雑になります。それにより成膜が必要な表面積が拡大し、結果ガスの移動距離が長くなり、成膜に要する時間が増加するため、生産性の課題が顕在化します。また、デバイス構造の複雑化から、難易度の高い高品質成膜が要求されており、ALDのニーズが高まっております。当社グループは、このニーズに高難易度成膜と高生産性の両方を実現できるバッチALD技術で、顧客の厳しい要求仕様に応えております。このバッチALD技術は、当社のコア技術による競合優位性の高い技術となっております。そのようなことからも、本分野に高度な技術力を有する当社グループは高いシェアを確保しております。

 

顧客からALDのニーズが高まっていると前述しておりますが、ALDはサイクリックなプロセスであり、そのプロセスの中でガスの流入や流出、また膜質を維持するために副産物の除去を行うため時間を要するプロセスになってしまうことが大きな課題になっています。ALD技術とバッチの組み合わせによる補完関係を実現した当社グループのバッチALD技術は、高難易度成膜と高生産性の両立を可能とするものであり、生産性に関するALDの問題の論理的な解決策となります。

 

次に当社製品について以下にご紹介いたします。当社製品はバッチ成膜装置とトリートメント(膜質改善)装置をラインアップしており、バッチALDは売上高世界シェア1位(出典:TechInsights Manufacturing Analysis Inc.(VLSI)“TI_ALD Tools_YEARLY” 2023(April))、トリートメントは売上高世界シェア2位(注1)(出典: “Market Share Semiconductor Wafer Fab Equipment, Worldwide, 2022, published April 17, 2023”)となっております。

(注)1.Gartnerによる半導体製造装置(前工程)セグメントにおける「RTP and Oxidation/Diffusion」を「トリートメント装置」と定義。

※本書に記載するガートナー・コンテンツ(以下「ガートナー・コンテンツ」という。)はシンジケート・サブスクリプション・サービスの一部としてガートナーが発行したリサーチ・オピニオン又は見解を表すものであり、事実を述べるものではありません。ガートナー・コンテンツの内容は、いずれも公開された当時の内容であり、本書が公開された日の内容ではありません。また、ガートナー・コンテンツに記載されている見解は予告なく変更されることがあります。

 

それぞれの製品についてご説明します。

① バッチ成膜装置

バッチ成膜装置とは、数十枚以上のシリコンウェーハを一括処理することを可能とした成膜装置であり、高生産性が特徴となります。バッチ成膜装置には、高生産性を追究しウェーハ数百枚の一括処理に対応した「ラージバッチ」プラットフォーム(図-2 主要製品概要参照)と、近年においては、複雑化する半導体構造への、難易度が高い高品質成膜の要求仕様に対応した、ウェーハ数十枚の一括処理に対応した「ミニバッチ」プラットフォームがあります。

このバッチ成膜装置のプラットフォームに使途に応じた反応炉をセットし、最適なプロセスを実現しています。「成膜」工程では、「LP-CVD」、「ALD」など、「熱処理」工程では「熱酸化」「アニール」「拡散」などに適応しております。

なお、バッチ成膜装置の主力製品であるAdvancedAce®シリーズ及びTSURUGI® 剱®シリーズの概要は下記のとおりです。

・AdvancedAce®シリーズ:当社のコア技術である温度制御技術、自動搬送技術、真空・ガス置換技術、冷却技術、成膜技術を結集することで、高品質な成膜性能と高生産性を実現し、バッチCVD技術とバッチALDに対応したサーマルプロセス装置。

 

・TSURUGI® 剱®シリーズ:次世代デバイス、特に三次元(立体)デバイスに向けた成膜品質向上の市場ニーズにこたえるため、新反応炉を採用した成膜処理技術向上により、高品質・高生産性を備えたプロセス提供を可能にした新たなサーマルプロセス装置(最新のバッチALD技術に対応)。

 

② トリートメント(膜質改善)装置

トリートメント装置は、成膜後にプラズマや加熱により膜中の不純物の除去や粒子を安定させることで膜質を改善させることを目的とした装置です。半導体デバイスの微細化、複雑化に伴い低温環境での成膜需要が高まる中で、低温環境でも膜質を維持するソリューションとして需要が近年拡大しております。

当社グループで製造・販売しているトリートメント装置には、独自のプラズマ源を用いた「酸窒化・トリートメント装置」のMARORA®、ノンプラズマでヒーターを熱源とした「アニール装置」のTANDUO®などがあります。特に「MARORA®」は複雑な半導体形状に対しても高い生産性と品質でのトリートメントが可能であり、顧客からの需要を集めております。

当社はトリートメント装置において既に世界2位の市場シェアを有しておりますが、バッチ成膜装置に次ぐ柱として今後も成長させていく計画です。

 

③ その他(測定器・洗浄装置用のユニット)

国内関連子会社(株式会社国際電気セミコンダクターサービス)にて、成膜した後に膜の抵抗値を測定する測定検査装置や、他装置メーカー等向けに洗浄装置用の超音波発振器(水の中で振動させて洗浄に使用)ユニットを製品として製造・販売をしています。

 

図-2 主要製品概要

 

※画像省略しています。

 

(2)サービスビジネス

当社グループでは、当社グループが製造・販売する半導体製造装置においてアフターサービスの提供を行っております。半導体生産工場においては、半導体製造装置が年中無休で稼働しており、半導体製造装置に対し安定的な稼働とともに、耐久性が高い製品の提供が要求されております。当社グループにおいては、これら品質を担保した製品の提供を行っておりますが、これに加え、迅速、かつ、的確にアフターサービスを提供する体制が求められております。

当社グループでは、このような顧客の要望に応えるべく、より顧客の製造拠点に近い場所にて、サービス拠点を設置したうえで、優秀なエンジニアを配置するとともに、交換パーツを配備することで、装置トラブルに迅速、かつ、的確に対応可能な体制を整えております。

 

 

取り扱いサービス(役務提供)

消耗部品等の部品販売

保守サービス、有償修理

(現地修理/ユニット引取り修理/オーバーホール等)

装置の移設・改造

(プロセス変更/アップグレード等)

ウェーハサイズ200mm以下

レガシー(新規・中古)装置販売

(バッチ成膜装置)

 

① 部品販売、保守サービス、有償修理

当社が製造・販売する主要製品に対し、保守メンテナンスするための製品の提供を行っております。加えて、半導体製造装置のための定期的な保守サービスを行っております。また、製品保証契約による修理サービスに加えて、故障時に有償で修理サービスを提供しております。

 

② 装置の移設・改造

当社が提供する主要製品に対し、設置後に必要に応じて、装置の移設やプロセスの書き換え、アップグレード等のサービス等を提供しております。

 

③ ウェーハサイズ200㎜以下の装置と中古装置の販売

当社はレガシー世代でのバッチ成膜装置を新規・中古いずれも顧客の要望に応じて適切に提供しております。2017年には、200mmバッチ成膜装置に、ウェーハサイズ300mmの先端装置技術を移植した新製品として競争力の高いバッチ成膜装置(VERTEX Revolution®)を市場投入して販売しております。また、SiCを含むパワーデバイス用途向けの販売が増加しており、当社は高温アニール技術を生かして差別化をはかっております。

 

半導体設備投資サイクルの変動を受けにくく、かつ消耗品の販売等リカーリングな収益が発生するサービスビジネスは、安定的かつ高マージンな収益が期待されます。当社グループは装置のライフサイクル全体にわたってアフターサービス(部品販売、保守メンテナンス、有償修理、装置の移設・改造等)を提供し続ける体制を整えており、インストール台数の増加と各サービスの強化を通じてサービスビジネスも拡大しております。

 

なお、当社グループの2023年3月期におけるビジネスごとの売上収益の構成は装置ビジネスが69%(内バッチ成膜装置が59%、トリートメント装置が10%)、サービスビジネスが31%となっております。当社グループの2022年3月期の売上収益の構成は装置ビジネスが74%(内バッチ成膜装置が64%、トリートメント装置が10%)、サービスビジネスが26%となっております。

 

当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

 

23/09/21

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

第8期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

a.財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、3,702億63百万円となり、前期末と比べ137億31百万円増加しました。主な内容として、デバイスメーカーの設備投資計画見直し等による出荷延伸による棚卸資産の増加155億48百万円によるものであります。

 負債合計は、2,093億82百万円となり、前期末に比べ276億31百万円減少しました。主な内容として、借入金の返済による減少245億円によるものであります。

 資本は、1,608億81百万円となり、前期末に比べ413億62百万円増加しました。主な内容として、親会社の所有者に帰属する当期利益403億5百万円を計上したことによる増加によるものでありであり、親会社所有者帰属持分比率は10.0ポイント増加しました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、ロシア・ウクライナ問題の長期化や資源価格の上昇に加え、サプライチェーンの混乱や部材の不足、各国のインフレ抑制に向けた政策金利の引き上げなど、先行き不透明な状況が続きました。また、昨年10月以降、米国政府による半導体関連製品の対中輸出規制の強化などから、米中の対立が一段と高まり、地政学リスクを注視する状況も継続しております。

 当社グループを取り巻く半導体デバイス市場は、マクロ経済の不透明な状況もあり、コロナ禍でも需要が拡大した半導体市況に翳りが出ました。スマートフォンとパソコンの需要低下から、メモリーを中心に半導体需要の低下が見られ、デバイスメーカーの設備投資計画に見直しの動きが見られました。ただ、中長期的には、5G、AI、IoT、DX等の拡がりによるデータセンター需要の拡大や、環境負荷低減への投資(GX)による自動車のEV化などによって、成長が見込まれております。

 このような状況のもと、当連結会計年度における当社グループの売上収益は、装置の売上が減少したものの、サービスの売上が過去最高を更新し、全体では前期実績を上回る2,457億21百万円(前期比0.1%増)となりました。営業利益は、中長期的な成長に向けた研究開発費、人件費等の販売費及び一般管理費の増加などにより560億64百万円(同20.6%減)となり、税引前利益は558億95百万円(同19.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は403億5百万円(同21.5%減)となりました。

 なお、当社グループは、半導体製造装置事業による単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

第9期第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)

a.財政状態

 当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、3,569億5百万円となり、前期末に比べ133億58百万円減少しました。顧客投資抑制・延伸による売上収益減少に伴い、営業債権及びその他の債権は185億10百万円減少しました。また、将来に向けた部材確保により棚卸資産が130億76百万円増加しました。また、下記「② キャッシュ・フローの状況」に記載の通り、現金及び現金同等物が115億60百万円減少しました。

 負債合計は、1,915億76百万円となり、前期末に比べ178億6百万円減少しました。主な内容として、営業債務及びその他の債務の減少128億8百万円、法人所得税の支払による未払法人所得税の減少49億83百万円によるものであります。

 資本は、1,653億29百万円となり、前期末に比べ44億48百万円増加しました。主な内容として、親会社の所有者に帰属する四半期利益等の計上による利益剰余金の増加26億98百万円及び在外営業活動体の換算差額の増加等によるその他の資本の構成要素の増加17億50百万円によるものであります。

 

b.経営成績

 当第1四半期連結累計期間は、ロシア・ウクライナ問題の長期化や欧米各国の政策金利の引き上げ、原材料価格の高騰などの影響により、世界経済の停滞が続きました。

 当社グループを取り巻く半導体デバイス市場は、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要低下を受けて、メモリーを中心に半導体デバイスの需要が停滞しました。また、米国政府による先端半導体関連製品の対中国輸出規制強化の影響もあり、半導体デバイスメーカーでは投資計画の先送りや抑制の動きが続きました。

 一方、自動車EV化等の加速により成熟品に対する半導体デバイスメーカーの投資は活発化しており、メモリーを中心とした半導体デバイスの在庫調整も進んでおります。また、AI、IoT、DXの拡がりによるデータセンターの拡充や環境負荷低減への投資(GX)等により、半導体関連市場は中長期的に大きな成長が見込まれるため、半導体デバイスメーカー各社は先端品開発に対する投資を継続しており、当社グループも中長期的な半導体製造装置の需要拡大に対応するため、積極投資を継続しました。

 こうした状況において、当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上収益は、足元での半導体デバイスメーカーによる投資動向を受けて、327億10百万円(前年同四半期比41.6%減)となりました。製品構成の変化により売上総利益率は改善しましたが、売上収益の減少に伴い、営業利益は39億90百万円(同69.3%減)、税引前四半期利益は37億27百万円(同71.1%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は26億55百万円(同72.4%減)と、前年同四半期と比べ減収減益となりました。

 なお、当社グループは、半導体製造装置事業による単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

第8期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前期末に比べ23億46百万円減少し、1,060億53百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ436億22百万円減少の299億93百万円の収入となりました(前年同期736億15百万円の収入)。当連結会計年度における主なキャッシュ・フローの収入要因は、前期に比べ110億34百万円減少した当期利益403億5百万円、前期に比べ3億円増加した減価償却費及び償却費103億4百万円によるものであります。一方で主な支出要因としては将来に向けた部材確保による原材料及び貯蔵品等の棚卸資産の増加151億61百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の33億48百万円の支出に対し、主として有形固定資産の取得による支出により78億25百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の35億8百万円の支出に対し、主として長期借入金の返済による支出により251億13百万円の支出となりました。

 

第9期第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)

 現金及び現金同等物の当第1四半期連結会計期間末残高は、前期末に比べ115億60百万円減少し、944億93百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同四半期に比べ54億15百万円減少の73億65百万円の支出となりました(前年同四半期19億50百万円の支出)。四半期利益は前年同四半期に比べ69億50百万円減少しました。当第1四半期連結累計期間における主なキャッシュ・フローの収入要因は、顧客投資抑制・延伸による売上収益減少に伴う営業債権及びその他の債権の減少190億48百万円によるものであります。一方で主な支出要因としては営業債務及びその他の債務の減少167億48百万円、部材確保による原材料及び貯蔵品等の棚卸資産の増加121億77百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主として新生産棟の建設に係る支払い等の有形固定資産の取得による支出により、52億78百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主としてリース負債の返済による支出により、1億67百万円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは半導体製造装置事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度及び第9期第1四半期連結累計期間の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第9期第1四半期連結累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年6月30日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

半導体製造装置事業

211,896

97.1

40,676

 (注)1.金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当社グループは半導体製造装置事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度及び第9期第1四半期連結累計期間の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第9期第1四半期連結累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年6月30日)

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

受注高

(百万円)

受注残高

(百万円)

半導体製造装置事業

270,883

82.0

182,397

116.0

39,602

189,289

 

c.販売実績

当連結会計年度及び第9期第1四半期連結累計期間の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは半導体製造装置事業のみの単一セグメントであるため、製品・サービス別の販売実績を示しております。

区分

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第9期第1四半期連結累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年6月30日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

販売高(百万円)

製品

169,537

93.3

18,548

サービス

76,184

119.7

14,162

合計

245,721

100.1

32,710

 (注)1.最近2連結会計年度及び第9期第1四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第9期第1四半期連結累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年6月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Samsung Electronics Co., Ltd.

50,111

20.4

53,950

22.0

8,604

26.3

Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.

35,865

14.6

30,478

12.4

4,025

12.3

Micron Technology,Inc.

29,397

12.0

24,973

10.2

(注2)

(注2)

2.該当四半期連結累計期間において連結売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積もり

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で、見積もり及び判断を行っておりますが、見積もり特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積もりと異なる場合があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積もり及び判断」をご参照ください。

 

② 経営成績等の状況に関する分析・検討内容

第8期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

(売上収益)

半導体デバイス市場は、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要低下を受けて、メモリーを中心に半導体デバイスの需要が停滞しており、また、米国政府による先端半導体関連製品の対中国輸出規制強化の影響もあり、韓国、台湾、米国等の大手半導体メーカーで設備投資が先送りされました。当社の装置売上収益はその影響により、1,695億37百万円(前期比93.3%)となりしたが、一方、部品やレガシー装置等のサービス売上収益は761億84百万円(前期比119.7%)と大きく伸張し、売上収益全体では、2,457億21百万円(前期比100.1%)となりました。

 

(営業利益)

売上収益の減少、特に高採算の売上収益の減少などにより売上総利益が減少しました。また、中長期的な成長に向けた研究開発費、人件費等の販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は560億64百万円(対売上収益比率22.8%)となりました。

 

(税引前利益)

長期借入金の利息支払い等金融費用の発生(10億78百万円)等により、当連結会計年度の税引前利益は558億95百万円(対売上収益比率22.7%)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

法人所得税費用が155億90百万円計上となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は403億5百万円(対売上収益比率16.4%)となりました。

 

財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

第9期第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)

(売上収益)

世界経済の停滞を受けて半導体デバイス需要も停滞しました。また、米国による対中国輸出規制の影響もあり、半導体デバイスメーカーは投資を延伸・抑制しました。その影響により、装置の売上収益は185億48百万円(前年同期比50.4%)、部品やレガシー装置等のサービス売上収益は141億62百万円(前年同期比73.7%)となり、売上収益全体では、327億10百万円(前年同期比58.4%)となりました。

 

(営業利益)

売上収益の減少に伴い、営業利益は39億90百万円(対売上収益比率12.2%)となりました。

 

(税引前四半期利益)

支払利息他により、税引前四半期利益は37億27百万円(対売上収益比率11.4%)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する四半期利益)

法人所得税費用が10億72百万円計上となり、親会社の所有者に帰属する四半期利益は26億55百万円(対売上収益比率8.1%)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループでは、運転資金については、内部留保により調達することを基本としております。設備資金については、案件の都度、手持ち資金でまかなえるか、又は長期借入金にて調達するかを検討しており、必要に応じて外部からの資金調達を行っております。2024年3月期及び2025年3月期に新生産棟建設に向けて資金需要の予定がありますが、手持ち資金でまかなう計画となっております。

なお、子会社の資金調達については、グループ資金の効率性確保の観点から原則として当社が実施し、当社から当社グループ子会社に貸付を実施します。当社グループでは、グループ資金を当社が集中して管理し、グループ全体としての資金の効率的な調達・運用を実現しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

当連結会計年度の売上収益は2,457億21百万円、営業利益は560億64百万円であり、営業利益率は22.8%となりました。調整後営業利益は642億51百万円、調整後EBITDAは681億85百万円、調整後当期利益は459億85百万円となりました。半導体デバイス市場は、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要低下を受けて、メモリーを中心に半導体デバイスの需要が停滞しましたが、中長期的には、データセンターや5Gの拡大、IoT、AIなどの展開加速などにより半導体の需要が増加し、半導体構造の複雑化や三次元化に伴ってより高度な成膜技術が必要とされるものと見込んでおり、当社グループでは今後の需要に対応するための研究・開発投資や設備投資を継続してまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(参考情報)

 当社グループは、経営成績の推移を適切に把握するために、調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期(四半期)利益を算出しております。これらは国際会計基準(IFRS)により規定された指標ではなく、当社の業績を評価する上で、通常の営業活動の結果として投資家が有用と考える財務指標であり、上場準備のために発生する上場関連費用、上場後には発生しないと見込まれるマネジメントフィー等の非経常的なものについて除外しております。

 

(1)調整後営業利益、調整後EBITDA

(単位:百万円)

 

参考

第5期

第6期

第7期

第8期

第9期

自2019年4月1日

至2020年3月31日

前々々連結会計年度

(自2019年10月1日至2020年3月31日)

前々連結会計年度

(自2020年4月1日

至2021年3月31日)

前連結会計年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

当連結会計年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

第1四半期

連結累計期間

(自2023年4月1日

至2023年6月30日)

営業利益

8,306

13,293

60,037

70,652

56,064

3,990

-その他の収益

(注4)

△205

△106

△16,571

△231

△270

△30

+その他の費用

(注5)

19,287

83

87

1,235

1,562

45

(調整額)

 

 

 

 

 

 

+企業結合により識別した無形資産等の償却

6,391

3,195

6,391

6,368

6,369

1,592

+スタンドアローン関連費用

(注6)

651

166

423

1,024

353

1

+マネジメントフィー(注7)

278

136

275

308

+売却関連費用(注8)

1,771

9

+株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く)

56

173

16

調整額 計

7,320

3,497

8,860

7,765

6,895

1,609

調整後営業利益

(注1)

34,708

16,767

52,413

79,421

64,251

5,614

+減価償却費及び償却費

3,201

1,585

3,218

3,636

3,934

1,045

調整後EBITDA

(注2)

37,909

18,352

55,631

83,057

68,185

6,659

 

(2)調整後当期利益

(単位:百万円)

 

参考

第5期

第6期

第7期

第8期

第9期

自2019年4月1日

至2020年3月31日

前々々連結会計年度

(自2019年10月1日

至2020年3月31日)

前々連結会計年度

(自2020年4月1日

至2021年3月31日)

前連結会計年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

当連結会計年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

第1四半期

連結累計期間

(自2023年4月1日

至2023年6月30日)

当期(四半期)利益

3,604

7,870

33,043

51,339

40,305

2,655

-その他の収益

(注4)

△205

△106

△16,571

△231

△270

△30

+その他の費用

(注5)

19,287

83

87

1,235

1,562

45

(調整額)

 

 

 

 

 

 

+企業結合により識別した無形資産等の償却

6,391

3,195

6,391

6,368

6,369

1,592

+スタンドアローン関連費用

(注6)

651

166

423

1,024

353

1

+マネジメントフィー(注7)

278

136

275

308

+売却関連費用(注8)

1,771

9

+株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く)

56

173

16

-持分法で会計処理されている投資の売却益

△2,240

△2,240

+ファイナンシング

関連費用

4,270

+その他の金融費用

996

505

1,054

+調整項目に対する税金調整額

△8,358

△427

1,160

△2,685

△2,507

△497

-税率変更に伴う一時的な税金費用の調整額

△1,857

調整後当期(四半期)利益(注3)

20,404

9,182

31,903

55,566

45,985

3,782

 (注)1.調整後営業利益は以下の算式により算出しております。

調整後営業利益 = 営業利益(IFRS)- その他の収益 + その他の費用 + 企業結合により識別した無形資産等の償却 + スタンドアローン関連費用 + マネジメントフィー + 売却関連費用 + 株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く)

2.調整後EBITDAは以下の算式により算出しております。

調整後EBITDA = 営業利益(IFRS)- その他の収益 + その他の費用 + 企業結合により識別した無形資産等の償却 + スタンドアローン関連費用 + マネジメントフィー + 売却関連費用 + 株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く) + 企業結合により識別した無形資産等の償却を除く減価償却費及び償却費

3.調整後当期(四半期)利益は以下の算式により算出しております。

調整後当期(四半期)利益 = 当期(四半期)利益 - その他の収益 + その他の費用 + 企業結合により識別した無形資産等の償却 + スタンドアローン関連費用 + マネジメントフィー + 売却関連費用 + 株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く) - 持分法で会計処理されている投資の売却益 + ファイナンシング関連費用 + その他の金融費用 + 調整項目に対する税金調整額 - 税率変更に伴う一時的な税金費用の調整額

4.第6期のその他の収益には、契約解除料16,362百万円が含まれており、これは2021年3月にApplied Materials, Inc.との事業統合の契約解除が確定したことによるものとなります。

5.参考値のその他の費用には、特許侵害訴訟における和解金19,159百万円が含まれております。

6.スタンドアローン関連費用は、国際会計基準の導入、適時開示体制構築及び内部統制体制構築等の上場関連の一時的な費用であります。

7.マネジメントフィーはKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.とのMonitoring Agreementに基づく報酬であります。

8.売却関連費用は、Applied Materials, Inc.との事業統合に向けた準備費用及び事業再編等に関わる一時的な費用であります。

9.当社は第5期(自2019年10月1日至2020年3月31日)において、事業年度を9月末決算から3月末決算に変更し、6ヶ月間の決算となっております。当社の業績を評価するにあたり、他事業年度の決算と比較するため2019年4月1日から2020年3月31日までの12ヶ月間の数値を参考値として記載しており、当該期間における売上収益は132,610百万円、売上原価は△77,445百万円、売上総利益は55,165百万円、販売費及び一般管理費は△27,777百万円、その他の収益は205百万円、その他の費用は△19,287百万円であります。

10.調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期(四半期)利益につきましては、国際会計基準により規定された指標ではなく、当社の業績を評価する上で、通常の営業活動の結果として投資家が有用と考える財務指標であり、上場準備のために発生するスタンドアローン関連費用、上場後には発生しないと見込まれるマネジメントフィー等の非経常的なものについて除外しております。