E35542 Japan GAAP
前期
11.0億 円
前期比
105.3%
株価
491 (04/19)
発行済株式数
41,751,303
EPS(実績)
-13.18 円
PER(実績)
--- 倍
前期
760.6万 円
前期比
102.7%
平均年齢(勤続年数)
49.2歳(6.6年)
従業員数
45人
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、非連結子会社QD Laser Deutschland GmbH(ドイツ)、QD Laser America,Inc.(米国)で構成されております。
当社はレーザ(※)技術を用いた製品の開発・製造・販売を行っており、レーザデバイス事業とレーザアイウェア事業を展開しております。非連結子会社QD Laser Deutschland GmbHはレーザアイウェア事業における欧州での事業開発、販売を目的としております。非連結子会社QD Laser America,Inc.はレーザアイウェア事業における米国での網膜投影製品の販売を目的としております。
当社のコア技術として、下記6点があります。
● 半導体結晶成長・・・MBE法(Molecular Beam Epitaxy法、分子ビームエピタキシー法)を用いて半導体結晶を半導体基板上に一原子層ずつ成長させる技術です。当社レーザ製品はこの半導体結晶から製造されます。
● レーザ設計・・・用途毎に所望の機能を満たす最適な半導体レーザを設計する技術です。例えば精密加工用半導体レーザでは10psの超高速パルスを実現しています。
● 小型モジュール・・・半導体レーザは半導体レーザチップをパッケージの中に実装しますが、そのパッケージのことをモジュールと言います。当社は波長532nmや561nmレーザを実装した世界最小のモジュールを製品化しました。
● VISIRIUM Technology・・・超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接映像を投影する技術です。
● 回折格子・・・半導体レーザ内部に波長を選択するための周期100ナノメートル程度の凹凸を作り込んでおり、これを回折格子と呼んでおります。これによって、レーザ波長の精密制御が可能になり、黄緑(561nm)、橙色(590nm)等の半導体レーザを商用化しました。
● 量子ドットレーザ・・・量子ドットレーザとは、直径約10nm(ウイルスの1/10程度のサイズ)の半導体量子ドットを活性層に用いて、光を増幅、発振する半導体レーザです。この量子ドットレーザは、1)摂氏マイナス40度から120度近辺まで電流無調整で動作する、2)200度以上の超高温でも動作する、3)高信頼で長寿命である、4)シリコンフォトニクスチップに低雑音でレーザ光を導入できる、という優れた特徴を持っています。
※ レーザ(Laser)とは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光増幅放射)の頭文字を取ったもので、共振器を用いて電磁波を増幅して得られる人工的な光であり、指向性や収束性に優れ、また波長を一定に保つことができる等の物理的な特長があります。
(レーザデバイス事業)
当社のレーザデバイス事業は、結晶成長を自社で実施し、半導体レーザチップ加工及びモジュール実装を、社外協力会社に製造委託する水平分業体制によるファブレス製造を実現し、ハイエンド技術を基にした事業となっております。
当社は半導体レーザの特性を決める活性層成長を担っており、特に量子ドットの結晶成長については他社にはないノウハウを有しております。また、研究機関からの基礎技術の研究開発や、メーカの新規アプリケーションの光源開発を行う開発受託業務も行っています。
当社の技術が使われている製品は以下のとおりとなっております。
上記製品を搭載している主な製品機器の一例として、次のようなものがあります。
1.光通信・シリコンフォトニクス(※1)
※量子ドットレーザ事業にQDレーザが取り組む背景・理由
1980年代から大陸間、都市間・内、ビル・家庭内の光通信システムの社会実装が始まり、1995年以降この光通信を基盤とするインターネットの利用が広まりました。2000年代に起こったクラウドコンピューティングや、携帯電話・スマートフォンに代表される移動体通信の普及があいまって、現在、人間と情報世界が融合する時代が到来しています。ビッグデータの活用とAI自然言語処理、画像認識が急速に発達し、メタバースの社会実装が間近に迫る今、情報爆発への対応は全世界の大きな課題です。QDレーザは、シリコンフォトニクス光配線に不可欠な量子ドットレーザの開発と量産によって、コンピュータの情報処理能力の飛躍的向上によりこの課題の解決に貢献し、ひいては人間と情報世界の融合する時代の一翼を担うことを目指します。
2.バイオ系検査装置
3.精密加工
4.各種センサ
(レーザアイウェア事業)
レーザアイウェア事業は、レーザ網膜投影技術を使ったメガネ型ディスプレイ(網膜走査型レーザアイウェア)の製品開発・ファブレス製造を行っています。2022年度はレーザ網膜走査技術を使った非メガネ型の新製品3機種の販売を開始しました。
ファブレス製造とは、製品の企画、設計を自社内で行い、部品及び最終製品の製造及び組立てを協力会社に依頼しているものです。当社からは、部品及び最終製品の製造・調整に必要な製品仕様、部品リスト、部品仕様書、回路図、実装図、プリント配線板製造データ、組み立て指示書、検査指示書、ソフトウエアを協力会社に供給し、製品製造・検査を委託しております。
また販売に関しましては、一般顧客向けには販売パートナー(代理店、メガネ店、通販業者)を通じ販売し、法人顧客向けには直販及び代理店経由での販売を行っております。
網膜走査型レーザアイウェアは、超小型レーザプロジェクタから、VISIRIUM Technologyにより網膜に直接画像を投影し、装着者の視力やピント位置に影響を受けることなく(フリーフォーカス)、カメラの撮像画像や外部入力されたデジタル情報を見せることができる製品となっております。2022年度に発売した非メガネ型の網膜投影機器については、フリーフォーカスに加えて網膜への投影範囲を大きく拡大し、その周辺部にまで明るくはっきりとした映像を届けられる新しい製品です。
こうした特長を活かし、全盲ではないものの、視覚に障がいのあるロービジョン(矯正視力が0.3未満(WHO定義)及び0.5未満(米国定義))と一部の社会的失明者(矯正視力が0.05未満(WHO定義))に対する視覚支援機器として、生活の質の向上に資する性質を有しております。なお、ロービジョン人口(日本国内)については、約145万人と推計されております。(2009年日本眼科医会資料「本邦の視覚障害者の数 現況と将来予測」より抜粋)
網膜走査型レーザアイウェアの仕組みは以下のとおりとなります。
網膜走査型レーザアイウェアは、民生用機器と医療用機器を展開しております。
民生用機器は、「RETISSA Display」を2018年7月に販売を開始しました。(現在は販売終了)。後継機として「RETISSA DisplayⅡ」を2019年12月に販売を開始しております。2021年8月からはRETISSA DisplayⅡ向けの専用のアクセサリカメラ「RD2CAM」の販売を開始し、複数の自治体から、「日常生活用具の給付金(※)対象」として認められました。今後も助成金対象となる自治体が広がっていく見込みです。
(※)厚生労働省の日常生活用具給付等事業によるもので、市町村が行う地域生活支援事業の内、必須事業の一つとして定められています。障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付または貸与すること等により福祉増進に資することを目的としており、障害の度合いによって、日常生活用具の費用の全額または一部を給付されるものです。(根拠:障害者総合支援法 第77条第1項第6号 創設年度 平成18年)
医療用機器は「RETISSA メディカル」を2021年3月に日本国内で販売を開始しております。眼鏡フレームの中央にカメラを内蔵した網膜走査型レーザアイウェアで、カメラで撮影した画像をリアルタイムに装着者の網膜に投影します。
日本においては2018年10月に治験を終了し、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を取得いたしました。
ヨーロッパでは2018年8月に治験を開始、2019年10月に終了し、2021年6月にフォローアップを含めて完了いたしました。
2022年度にはレーザ網膜走査の技術を利用した非メガネ型民生用機器「ON HAND」「NEOVIEWER」「MEOCHECK」の3機種が加わりました。
「MEOCHECK」については製品の販売に加え、「眼の健康チェックサービス」を受託実施するサービスビジネスも提供を開始しました。2022年度に複数の自動車運送事業者とともに実証、トライアル導入を行っており、2023年度からは本格的にサービス導入、拡大してまいります。
当社の事業構造につきましては、下記のとおりとなっております。
独自技術を駆使した半導体ウェハを作成し、協力会社に当該ウェハを組み込んだ半導体レーザチップの作製及びモジュールの実装を委託し、当社で品質基準への適合性を検査した後、お客様に製品をお届けしております。
網膜走査型レーザアイウェアをはじめとする網膜投影製品を製造しております。一般顧客の場合、販売パートナーを通し、法人顧客からは当社が直接及び代理店経由にて受注しております。製造は協力会社に対して、当社が供給した仕様書に基づき、パーツや最終製品の製造及び組立を委託し、当社にて検査を行った後に販売パートナーまたは直接お客様へ製品をお届けしております。
当社の「レーザデバイス事業」及び「レーザアイウェア事業」の事業系統図は以下のとおりとなります。
本項「3.事業の内容」にて使用しております用語の定義について以下に記します。
当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。
当事業年度における世界経済は、中国のゼロコロナ政策によるロックダウンや、長引くロシア・ウクライナ情勢による物価上昇圧力の強まり、さらにインフレーション抑制に向けた欧米の金利引き上げなどにより、不安定で先行き不透明な状況が続きました。一方、わが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が見直され、経済活動の正常化が進展しつつも、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や原材料・エネルギー価格の高騰、円安による物価上昇などにより厳しい状況が続きました。
このような状況の中、当社では「人の可能性を照らせ。」のコーポレートスローガンのもと、3つのレーザ網膜投影機器の開発と販売開始、検眼サービス事業の開始、多波長集積光源等の開発及び既存製品の販売拡大を進めてまいりました。また、将来期待される量子ドットレーザの市場拡大を見据えた資金調達の遂行をより確実にするため、第14回及び第15回新株予約権を取得、消却し、新たに第16回新株予約権を発行いたしました。
事業別の市場動向としましては、レーザデバイス事業においては、半導体不足や原材料費高騰の影響は軽微だったものの、一部製品においては中国のゼロコロナ政策によるロックダウンの影響を受け、売上高は前年から減少しました。製品別では精密加工用DFBレーザ、バイオ検査装置用小型可視レーザが前年から増収となりましたが、通信用量子ドットレーザ、センサ用高出力レーザは前事業年度から減収となりました。レーザアイウェア事業においては、3つの網膜投影機器の販売と検眼サービスの開始に加え、開発受託の受注により前事業年度から増収となりました。
この結果、当事業年度の売上高は1,159,479千円(前事業年度比5.3%増)、営業損失は556,770千円(前事業年度931,547千円)、経常損失は546,884千円(前事業年度893,536千円)、当期純損失は550,379千円(前事業年度880,967千円)となりました。
また、第14回及び第16回新株予約権の行使による当事業年度の資金調達額は、1,298,818千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a.レーザデバイス事業
当事業年度におきましてはバイオ検査装置用小型可視レーザの売上が前事業年度比45.7%の増加、精密加工用DFBレーザの売上も微増した一方、量産の時期ずれ等により量子ドットレーザが、中国のロックダウン等により高出力レーザが売上減少となった結果、開発フェーズの進展に伴う開発受託のレーザアイウェア事業への移管と合わせ、レーザデバイス事業全体の売上は前事業年度から減少しました。
この結果、当事業年度の売上高は891,352千円(前事業年度比11.4%減)、セグメント利益は開発費を中心とした販売費及び一般管理費の減少により64,684千円(前事業年度比47.5%増)となりました。
b.レーザアイウェア事業
当事業年度におきましては網膜投影型ビューファインダーのRETISSA NEOVIEWER、目の健康チェックツールのRETISSA MEOCHECK、網膜投影型拡大読書器のRETISSA ON HANDの3つの新製品の販売の開始やタクシー会社における検眼サービスの開始、開発受託の受注などにより売上が前事業年度から増加しました。
この結果、当事業年度の売上高は268,127千円(前事業年度比182.7%増)、セグメント損失は売上高の増加により338,408千円(前事業年度693,462千円)となりました。
(資産)
当事業年度末における総資産は前事業年度末から900,331千円増加し、4,918,398千円となりました。流動資産は4,617,513千円となり、前事業年度末から888,094千円増加しております。これは主に現金及び預金が759,982千円、売上高の増加により売掛金が97,563千円、レーザデバイス製品の生産に向けた部材購入により原材料及び貯蔵品が81,408千円増加した一方、レーザデバイス製品の出荷により商品及び製品が55,810千円減少したこと等によるものであります。固定資産は300,885千円となり、前事業年度末から12,236千円増加しております。これは主に設備購入等により有形固定資産が12,832千円増加したこと等によるものであります。
当事業年度末における負債は前事業年度末から44,018千円増加し、478,591千円となりました。流動負債は436,373千円となり、前事業年度末から53,032千円増加しております。これは主に網膜投影新製品生産により買掛金が61,358千円、設備購入等により未払金が73,430千円増加した一方、長期借入金の返済により1年内返済予定の長期借入金が83,400千円減少したこと等によるものであります。固定負債は42,217千円となり、前事業年度末から9,014千円減少しております。これは主に長期借入金の1年内返済予定の長期借入金への振替により8,004千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は前事業年度末から856,313千円増加し、4,439,807千円となりました。これは新株予約権の行使により資本金が706,050千円、資本準備金が706,050千円増加した一方、当期純損失の計上により利益剰余金が550,379千円、第14回及び第15回新株予約権消却により新株予約権が5,338千円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,581,034千円(前事業年度末比759,982千円の増加)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
当事業年度における営業活動の結果減少した資金は515,315千円(前事業年度は700,636千円の減少)となりました。主な資金増加要因は減価償却費68,164千円、仕入債務の増加61,358千円、株式交付費16,833千円、その他流動負債の増加14,542千円であり、主な資金減少要因は税引前当期純損失546,884千円、売上債権の増加97,563千円、棚卸資産の増加32,173千円によるものであります。
当事業年度における投資活動の結果減少した資金は22,994千円(前事業年度は90,210千円の減少)となりました。主な資金増加要因は短期貸付金の回収による収入49,940千円であり、主な資金減少要因は短期貸付けによる支出54,910千円、有形固定資産の取得による支出15,040千円によるものであります。
当事業年度における財務活動の結果増加した資金は1,298,732千円(前事業年度は377,495千円の増加)となりました。主な資金増加要因は株式の発行による収入1,380,876千円、新株予約権の発行による収入13,199千円であり、主な資金減少要因は長期借入金の返済による支出91,404千円、リース債務の返済による支出3,867千円であります。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(a) 生産実績
(注) 1.金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の棚卸資産の評価損が含まれております。
(b) 仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(c) 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(d) 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当事業年度における売上高は1,159,479千円(前事業年度比58,133千円の増加)となりました。これは主に、バイオ検査装置用小型可視レーザ、レーザアイウェア事業においての3つの網膜投影機器の販売と検眼サービスの開始により前年から増収となりましたが、通信用量子ドットレーザ、センサ用高出力レーザは前事業年度から減収したことによるものであります。
当事業年度における売上原価は809,236千円(前事業年度比351,412千円の減少)となりました。これは主に売上高の増加と前年のレーザアイウェア事業の多額の在庫評価損が減少したことによるものであります。この結果、売上総利益は350,243千円(前事業年度は売上総損失59,302千円)、売上総利益率は30.2%(前事業年度は△5.4%)となりました。利益率の増加は主にレーザアイウェア事業の多額の在庫評価損の減少、値上げによる採算性向上によるものであります。
当事業年度における販売費及び一般管理費は907,014千円(前事業年度比34,768千円の増加)となりました。これは主に、増資による外形標準課税の増加、派遣人員の増加、網膜投影製品の新商品の試作のために開発費が増加したこと等によるものであります。この結果、営業損失は556,770千円(前事業年度は営業損失931,547千円)となりました。
当事業年度において助成金収入や補助金収入、為替差益等により営業外収益が30,412千円(前事業年度比41,224千円の減少)、株式交付費用等により、営業外費用が20,525千円(前事業年度比13,100千円の減少)発生しております。この結果、経常損失は546,884千円(前事業年度は経常損失893,536千円)となりました。
当事業年度において、特別利益の発生はなく(前事業年度比21,397千円の減少)、また、特別損失も発生しておりません(前事業年度比4,967千円の減少)。この結果、当期純損失は550,379千円(前事業年度は当期純損失880,967千円)となりました。
当社の運転資金需要のうち主なものは、材料仕入、外注費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは網膜投影製品製造用金型等の工具器具備品等であります。
運転資金、投資資金ともに自己資金から確保することを基本方針としておりますが、当事業年度においては将来のレーザデバイス事業の生産能力増強等を資金使途とした、行使価額修正条項付新株予約権を発行いたしました。当事業年度末の現金及び現金同等物は3,581,034千円であり、現状の事業運営に必要な運転資金、投資資金は十分であると考えておりますが、1,000,000千円の金融機関のコミットメントライン枠を有しているほか、必要に応じて銀行借入を中心とした調達手段を検討してまいります。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高総利益率であり、当事業年度の売上高総利益率は30.2%(前事業年度は△5.4%)となりました。これは主に前事業年度においてはレーザアイウェア事業の多額の在庫評価損計上が減少したことと、値上げによる採算性向上のためであります。現時点では今後の売上総利益率について数値目標を定めておりませんが、今後、業界動向及び当社の業績の推移、特にレーザアイウェア事業の立ち上がり等を勘案し、早期に数値目標を決定する予定です。
レーザデバイス事業の指標としましては認定顧客数の20%増加としており、当事業年度末の認定顧客数は68社(前事業年度末は57社)で前事業年度末から19.3%増加となりました。これは主にセンサ用高出力レーザ、精密加工用DFBレーザおよびバイオ検査装置用小型可視レーザにおいて新規認定顧客が増加したためであります。今後もシリコンフォトニクス用レーザを含め、認定顧客を増やしていく方針であります。
レーザアイウェア事業の指標としましては累計販売10万台・年間生産5万台と定めており、当事業年度末までの累計販売台数は約1,350台、当事業年度の生産台数は約500台となりました。今後は販売代理店とECサイトを通した販路の拡充、開発提携先と連携したユーザビリティ向上と低コスト化を進めるとともに代理店を通した海外展開を推進し、販売拡大を進める方針であります。
当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。