売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E30479 Japan GAAP

売上高

319.6億 円

前期

308.6億 円

前期比

103.5%

時価総額

194.3億 円

株価

1,682 (04/23)

発行済株式数

11,554,200

EPS(実績)

188.66 円

PER(実績)

8.92 倍

平均給与

795.0万 円

前期

754.7万 円

前期比

105.3%

平均年齢(勤続年数)

43.9歳(12.2年)

従業員数

182人(連結:1,063人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社は、各種アナログIC製品の開発・製造・販売を行っております。当社グループは、当社、連結子会社9社(販売子会社6社、製造子会社2社、製造販売子会社1社)によって構成されております。

当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄することを企業の理念とする」という企業理念に基づき、事業活動を展開しています。

私たちの生活に欠かせない携帯電話、AV機器、パソコン、家電などから産業用機器、医療機器、自動車などの各種機械装置まで、高度情報化社会の進展に伴って電子機器化が急速に進んでいます。当社の製品「電源用IC」は、あらゆる電子機器に搭載され、電子部品に電圧・電流を供給する「心臓」のような電子部品です。

当社グループは、「Powerfully Small!」を製品づくりの目指すべき姿と定め、開発から営業まで電源用ICに特化したアナログ技術のプロ集団として、低消費電力・小型化のための技術と提案能力を磨いてきました。創業以来、高度なIC設計技術と小型パッケージ技術を強みとし、電子機器の超小型・軽量化に貢献してきました。

また、当社グループは製造を外部の企業へ委託し、製品の企画、開発、販売及びアフターサービスを自社で行うファブレス経営を原則としておりますが、子会社フェニテックセミコンダクター株式会社においてウエハ上に素子・回路を形成する前工程の一部を、子会社 TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDにおいて電源ICをパッケージ※1に組込む後工程の一部を行っております。当社グループの企業規模や強みを考慮して、グループ内の製造部門とグループ外の協力企業にリソースを効率的に配分・活用し、自社生産企業とファブレス企業の双方のメリットを併せ持つことによって、利益率を高めるように努めています。

 

(1)当社グループの製品内容

①電源用ICについて

電源用ICとは、各種電子部品に供給される電圧の制御に用いられるICのことであり、携帯電話、パソコン、DVD、携帯デジタルオーディオ、テレビ、カーステレオ、カーナビゲーションシステム、一般家電等のあらゆる電子製品や計測機器、スマートメーター等の産業機器に用いられます。

電池やバッテリーから送られる電圧は、蓄えられた電気エネルギーの減少や、気温や電波ノイズなどの環境の変化によっても微妙に変動します。これらに対して、何も制御をしなければ、電子機器が誤作動を起こす可能性が高くなるため、あらゆる電子部品に必要不可欠なICです。

②デジタルICとアナログICの違い

デジタルICは電気信号を1または0を単位として論理演算を実行するICであるのに対して、アナログICは電気信号の電圧値または電流値を用いて制御するICです。アナログ技術は技術者の能力への依存性が高く、容易にコピーすることが難しいため、付加価値の高い分野とされています。

③当社グループの主力製品について

当社グループの主力製品は、DC/DCコンバータ※2、レギュレータ(VR)※3、ディテクタ(VD)※4、ディスクリート※5であり、また、パッケージ技術においては、既存の生産ラインを活用して、超小型・薄型のチップサイズパッケージが製造可能なパッケージ「USP※6」を開発する等、新技術の開発に取り組んでおります。

 

※1

パッケージ

ICにおいては、素子・回路が焼き付けられたICチップが中に入り、必要な電極が樹脂パッケージより出た形状となります。パッケージすることにより電子基板上に容易に半田等でICを実装することが可能となり、かつ、耐湿性等の信頼性を確保し、ICから発生する熱を放熱する機能も有します。近年小型化、薄型化が進んでいます。

 

※2

DC/DCコンバータ

DC/DCコンバータは、コイルやトランスを用いて効率的に電圧または電流を希望値に変換して出力する電源。出力電圧を上げる昇圧型、下げる降圧型、双方に対応した昇降圧型、多チャンネル型があります。

 

※3

レギュレータ

(VR:Voltage Regulator)

ボルテージ・レギュレータの略。出力電圧を常に監視して、出力が一定電圧になるように制御する電源。レギュレータには正電圧レギュレータと負電圧レギュレータがあり、また電圧検出器機能等付加機能を備えたものもあります。

 

 

 

※4

ディテクタ

(VD:Voltage Ditector)

ボルテージ・ディテクタの略。高精度な電圧検出器。リセットICともいいます。

※5

ディスクリート

ダイオードやトランジスタである単機能の半導体素子製品。

 

※6

USP(Ultra Small Package)

ウルトラ・スモール・パッケージの略。当社が開発した安価で、超小型、薄型のパッケージ、またはそれを製造可能なパッケージ技術。

 

 

(2)当社グループの事業内容

当社グループは、半導体デバイス事業(電気・通信機器等のICの開発・製造・販売)という、単一の事業を行っているため、セグメントは、日本・アジア・欧州・北米のエリア区分で記載するものとします。

 

①日本

当社グループは、日本国内において半導体デバイスの開発・製造・販売・製造外注先の管理を行っております。

日本国内での販売活動については、当社とフェニテックセミコンダクター株式会社(連結子会社、以下「フェニテックセミコンダクター」)がその役割を担い、製造外注先の管理については、当社がその役割を担っております。

日本国内での開発活動については、当社とフェニテックセミコンダクターで行っており、新製品、新技術の開発と、既存製品の改良、改善及び応用を行っております。

新製品の開発の過程では、出願特許を綿密に調査し、抵触範囲を確認するとともに、顧客の動向、市場の動向、技術動向その他必要な事項を調査・分析の上、当社経営方針に沿った有益な着想のもと、個々の開発テーマ別に担当者を決め、基礎研究から回路設計、生産委託を行うための様々な条件設定、試作、評価までを行っております。

また、フェニテックセミコンダクターは、ウエハ上に素子・回路を形成する前工程を行っております。

 

②アジア

アジアにおける各子会社の事業の内容は次のとおりであります。

特瑞仕芯子(上海)有限公司(TOREX SEMICONDUCTOR DEVICE(Shanghai)CO., LTD.)(連結子会社)が、担当地域である、中国(香港特別行政区、マカオ特別行政区、広東省、福建省、広西省、貴州省、雲南省、湖南省、江西省、海南省を除く全域)において当社グループの製品の販売を行うとともに、担当地域に対応した翻訳・調査等の業務を行っております。また、深センにフィールド・アプリケーション・エンジニア(主に半導体業界において、メーカーのエンジニアと技術的な打合せができる高い技術力を備えた技術営業職のこと)を配置した事務所を設立し、TOREX (HONG KONG) LIMITEDが担当している広州・深センなどの顧客に対する付加価値サービスの提供のための活動を行っております。

TOREX (HONG KONG) LIMITED(連結子会社)が、担当地域である中国(香港特別行政区、マカオ特別行政区、広東省、福建省、広西省、貴州省、雲南省、湖南省、江西省、海南省)において当社グループの製品の販売活動を行っております。

台湾特瑞仕半導體股份有限公司(TOREX SEMICONDUCTOR TAIWAN LTD.)(連結子会社)が、担当地域である台湾において当社グループの製品の販売活動を行っております。

TOREX SEMICONDUCTOR (S) PTE LTD(連結子会社)が担当地域であるシンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ミャンマー、ラオス、インド、スリランカ、オセアニア全域等において当社グループの製品の販売活動を行っております。

TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD(連結子会社)が、超小型パッケージを利用した後工程の一部及び後工程技術の開発・改善の機能を担っております。

 

③欧州

TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED(連結子会社)が、担当地域である欧州全域(中東欧を含む)、イスラエル、トルコ、中近東諸国、アフリカ全域において、当社グループの製品の販売活動を行っております。

 

④北米

TOREX USA Corp.(連結子会社)が、担当地域である北・中南米大陸全域において、当社グループの製品の販売活動を行うとともに、担当地域における顧客ニーズをベースとした製品開発を行っております。

 

当社の主要な事業系統図は、以下のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

 

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限とその緩和、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利の上昇などの影響から減速感が強まりました。日本経済においては、激しい為替相場の変動や資源価格の高騰、電気料金の値上げなどにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、昨年度より5G、IoT、DXの進展とデータセンター需要の拡大を背景に堅調に推移しておりましたが、年央からはPC需要の急激な減少、世界経済の停滞懸念や中国でのロックダウン実施による生産の減速とこれらに伴う在庫調整が発生するなど、市場全体の減速傾向が鮮明になりました。

このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講じつつ、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。

 

・当社東京技術センター、関西技術センター及び米国R&Dセンターにおいて、マーケットインの発想に立脚した、差別化のできる高付加価値な汎用製品、及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向け、特長ある製品を迅速に市場へ投入していくため開発活動を進めました。

・品質向上とコスト削減を両立させるべく、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化を進めるとともに、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、同業他社に比して競争力のある製造コストと安定供給、納期対応の実現を進めました。

・顧客訪問に加え、オンラインも活用しながら、各地域に密着した営業活動を継続し、顧客の要望や製品企画への迅速かつ柔軟な対応と営業基盤の維持に努めました。

・製品需要に対しては、世界的に半導体需要が高まる中、生産力を確保するべく、更なる設備投資を推進し、一方で、原材料価格の高騰に対しては、製品販売価格の値上げを進めております。

・当社グループのビジネスの成長を加速させるため、超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う株式会社ノベルクリスタルテクノロジーに対して出資を行っており、新製品開発に関して様々なフェーズにおける活動を進め、連携を深めました。

・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。

・フェニテックセミコンダクター株式会社においては、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上に加え、半導体需要の高まりに対応するため、岡山第1工場・鹿児島工場において、更なる投資を進めております。

 

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における資産は370億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億78百万円の増加となりました。増加の主な要因は、当社連結子会社において、建屋の改修を行ったこと等により建物及び構築物が6億98百万円、製品の増産体制を構築すべく新規設備を導入したことにより機械装置及び運搬具が3億19百万円及び建設仮勘定が15億11百万円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は124億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億13百万円の増加となりました。増加の主な要因は、未払法人税等が10億58百万円減少したものの、増産体制構築にかかる資金調達を主な目的として追加借入を行った結果、長期借入金が18億51百万円増加したこと等によるものです。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は245億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億64百万円の増加となりました。増加の主な要因は、配当金の支払い5億75百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益21億79百万円の計上及び為替換算調整勘定の変動などによるものであります。

この結果、自己資本比率は66.4%となり、1株当たり純資産額は2,236円24銭となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は319億56百万円(前年同期比3.5%増)となりました。世界的な半導体の需要増加と為替市場の円安傾向の影響を受けたことが増加の主な要因であります。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が216億29百万円(前年同期比3.3%増)、アジアが72億97百万円(前年同期比7.5%減)、欧州が19億48百万円(前年同期比61.6%増)、北米が10億81百万円(前年同期比31.9%増)となりました。

 

(営業利益)

営業利益は39億76百万円(前年同期比2.0%増)となりました。増加の主な要因は、売上高の増加によるものであります。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が30億68百万円(前年同期比8.7%減)、アジアが4億51百万円(前年同期比14.6%減)、欧州が2億89百万円(前年同期比93.5%)、北米が2億24百万円(前年同期64.2%比)となりました。

 

(経常利益)

経常利益は39億81百万円(前年同期比3.5%減)となりました。減少の主な要因は、為替の影響により、前連結会計年度では、為替差益が1億85百万円あったものの、当連結会計年度では一転して為替差損25百万円の計上となったことなどによるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は21億79百万円(前年同期比31.0%減)となりました。減少の主な要因は、当連結会計年度において、当社連結子会社が保有する鹿児島工場の減損を行ったことにより特別損失に減損損失7億93百万円の計上があったことなどによるものであります。

 

なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。

 

(製品別の売上高)                                     (単位:百万円)

 区 分

当連結会計年度

前年同期比増減額

前年同期比増減率

VD

2,472

150

6.5%

VR

5,815

33

0.6%

DCDC

5,596

1,277

29.6%

ディスクリート

16,751

520

3.2%

その他

1,321

△888

△40.2%

 合 計

31,956

1,092

3.5%

(注)1.製品の内容は次のとおりであります。

VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)

VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)

DCDC…………DC/DCコンバータ

ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等

その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等

 

(セグメント業績)

(日本)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加しましたが、AV機器向けの売上が減少したことにより、売上高は216億29百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益は30億68百万円(前年同期比8.7%減)となりました。

 

(アジア)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加しましたが、AV機器向けの売上が減少したことにより、72億97百万円(前年同期比7.5%減)、セグメント利益は4億51百万円(前年同期比14.6%減)となりました。

 

(欧州)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加したことにより、19億48百万円(前年同期比61.6%増)、セグメント利益は2億89百万円(前年同期比93.5%増)となりました。

 

(北米)

当連結会計年度における売上高は、主に産業機器向けの売上が増加したことにより、10億81百万円(前年同期比31.9%増)、セグメント利益は2億24百万円(前年同期比64.2%増)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し営業活動によるキャッシュ・フローが12億94百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが45億67百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが15億10百万円増加した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は85億15百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が29億88百万円あったこと、売上債権の減少で6億86百万円あったこと、法人税等の支払額が21億50百万円あったことなどにより12億94百万円の収入(前年同期比4億58百万円の収入減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が44億84百万円あったこと等により45億67百万円の支出(前年同期比29億58百万円の支出増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、追加借入により長期借入れによる収入が37億79百万円あったこと、借入金の一部返済により短期借入金の純増減額及び長期借入金の返済による支出が合計17億28百万円あったこと、また配当金の支払額が5億75百万円あったこと等により、15億10百万円の収入(前連結会計年度は支出側であったため、35億66百万円の収入増)となりました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

 日  本  (千円)

22,021,284

100.7

 合  計  (千円)

22,021,284

100.7

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

19,367,990

77.5

7,808,160

77.5

アジア

4,770,409

46.0

2,434,406

49.1

欧州

2,277,632

116.8

1,601,029

125.9

北米

739,290

64.2

206,270

37.6

合    計

27,155,323

70.6

12,049,866

71.5

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

 日  本  (千円)

21,629,323

103.3

 ア ジ ア (千円)

7,297,299

92.5

 欧  州  (千円)

1,948,701

161.6

 北  米  (千円)

1,081,562

131.9

 合  計  (千円)

31,956,887

103.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

IXYS Corporation

2,607,550

8.4

3,503,951

11.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

2)経営成績

当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)概観

当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。当連結会計年度の世界半導体市場は、昨年度より5G、IoT、DXの進展とデータセンター需要の拡大を背景に堅調に推移しておりましたが、年央からはPC需要の急激な減少、世界経済の停滞懸念や中国でのロックダウン実施による生産の減速とこれらに伴う在庫調整が発生するなど、市場全体の減速傾向が鮮明になりました。

当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られましたが、2022年においては、上記の通り半導体の需要増加を背景に、アナログICは15.8%、ディスクリートは8.8%程度の増加となった模様です。このような環境下、当社グループの売上高も前年同期比3.5%増となりました。

当社グループは用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。世界的に取り組みが進む脱炭素に向けた電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、第5世代移動通信システム(5G)サービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAEを使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。一方で、重点分野以外の民生品向けは低調な分野もあるため、これを十分にカバーするだけの売上規模を確保していくことを目指します。

 

当連結会計年度における当社グループはこうした状況を背景に、アジアが低調、欧州と北米は好調な結果となりました。アプリケーション別では、重点分野である産業機器分野向けが好調に推移しました。

こうした市場環境を背景に競争力及び収益力の向上に向け、海外ファウンドリと長期の生産委託契約を結び、子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社においては、安定的かつ高効率での生産に向けた設備投資やSiCデバイスなどの新製品開発への投資を進めるなど、積極的な投資を行っております。一方で、こうした投資は、短期的に経費を増加させ、収益押し下げの要因ともなります。

 

当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。

 

2)日本事業

日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の68%を占めています。

当連結会計年度における日本経済は、激しい為替相場の変動や資源価格の高騰、電気料金の値上げなどにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、産業機器分野向けの売上が好調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータの採用が増加しております。また、家電分野で培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーと認識しております。

ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社においては、産業機器及び車載機器分野向けが好調で、売上高は連結子会社化以後最高を更新しました。また、同社の鹿児島工場において当社向けの生産能力増強のための投資を計画、岡山第1工場においては、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、第2工場との統合工事を進め、より効率的な生産体制の確立に向けた設備投資を実施し、生産品目の拡充にも努めております。特にパワーディスクリート製品への要求は強く、より一層の技術力アップにも努めております。

このように、両社は開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。

 

3)アジア事業

当連結会計年度におけるアジア経済は、中国においてゼロコロナ政策とその解除に伴う混乱により、消費が低迷しました。この影響により、当社グループのアジア事業では、産業機器分野向けの売上は増加しましたが、AV機器向けの売上が低調でした。

アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。そうした状況に対応するため、当社は技術力と信頼性に磨きをかけるとともに、高付加価値な製品へのシフトを進め、利益率のアップを図ってまいります。

また、各種報道でもありますように、世界各国の政府が、国策として半導体産業強化に力を入れており、中国も、これまで以上に国を挙げて半導体生産の国内化を加速させており、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。

 

4)欧州事業

当連結会計年度における欧州経済は、新型コロナウイルスの流行による行動制限の緩和に伴い経済活動が再開され消費が持ち直しましたが、インフレの加速に伴い金利が上昇し、先行きは不透明な状況です。当社グループの欧州事業においては、売上・営業利益がともに増加し、特に産業機器分野向けの売上が好調となりました。

欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えており、注力市場である産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。

 

5)北米事業

当連結会計年度における北米経済は、新型コロナウイルスの流行による行動制限の緩和から経済活動が回復し、個人消費や設備投資などの内需が堅調に推移しましたが、インフレの加速に伴い金利が上昇し、先行きは不透明な状況です。当社グループの北米事業においては、売上・営業利益がともに増加し、特に産業機器分野向けの売上が好調となりました。

北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。

 

C.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度におけるROEは9.2%でした。引き続き、売上及び各段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を目標としながらも、更に高めていくための体制を構築してまいります。

 

d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

a.資金需要

当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。

 

b.財政政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。

 

c.資本政策

当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。

この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための設備投資・研究開発に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。

利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。

このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、半導体市場の急激な需要の変化により、与える影響の不確実性が大きく、将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

a.当社の商品及び製品の評価

当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断された棚卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社では、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき、翌期以降一定期間に販売できないと見込まれる商品及び製品を営業循環過程から外れた過剰在庫として識別しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

b.固定資産の減損

固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っております。当連結会計年度において、鹿児島工場は半導体市場の急激な需要の変化等により、営業利益が継続してマイナスとなったことから、減損の兆候があると認められたため、減損損失の認識の要否を判定しております。検討の結果、当該事業について見積もられた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を下回ると判断されたため、資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しました。

当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額の算出に用いた回収可能価額は、正味売却価額により測定しております。建物および土地については、不動産鑑定評価等合理的に算出された評価額に基づき評価し、それ以外の資産については、対象資産の処分可能性を考慮し、実質的な価格がないと判断されたものについては、正味売却価額を零として評価しております。

将来の不確実な経済条件の変動により、正味売却価額の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。