売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E26082 Japan GAAP

売上高

480.4億 円

前期

0.0 円

前期比

0%

時価総額

285.5億 円

株価

517 (07/12)

発行済株式数

55,225,600

EPS(実績)

17.00 円

PER(実績)

30.41 倍

平均給与

746.5万 円

平均年齢(勤続年数)

43.0歳(6.0年)

従業員数

8人(連結:1,508人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社及び当社の関係会社は、当社と連結子会社6社(W-SCOPE KOREA CO.,LTD.、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO.,LTD.、W-SCOPE HONGKONG CO.,LIMITED、W-SCOPE New Energy(Shenzhen) CO.,Limited、WSPC第1次有限会社、W-SCOPE HUNGARY PLANT Ltd.)の合計7社(以下、「当社グループ」)で構成されております。当社グループはリチウムイオン二次電池用セパレータの製造・販売を主たる事業とし、アジア、欧州及び米国に拠点を置くリチウムイオン二次電池メーカーを主要な顧客としております。

リチウムイオン二次電池の主要材料は、正極材、負極材、電解液、セパレータであり、4つの主要材料以外に、銅箔、バインダー、添加剤など関連部材は、20~30点ありますが、リチウムイオン二次電池の性能と価格は主要材料によってほとんど決定されております。

当社グループの主要製品のセパレータには、一般的にポリオレフィン製の微多孔膜が用いられており、正極材と負極材を隔離しつつ、正極・負極間のリチウムイオンの伝導性を確保する役割があります。また電池が異常発熱し高温状態になった場合、ポリオレフィンが溶融して孔を塞ぐ安全機構(シャットダウン特性)により、リチウムイオンの移動を阻止して安全に電池の機能を停止させる重要な役割があり、電池の安全性を担っています。

またセパレータは、リチウムイオン二次電池の繰り返し充放電機能を支える中核部品であり、製造においては高分子設計、高分子材料加工(フィルム化、多孔質化)など複数の技術が必要とされております。具体的には、数ミクロンレベルでの厚さの作り分け及び厚さ管理が要求され、さらに直径100ナノメートル前後の微孔を均一に分布させる高い技術と製造ノウハウが必要とされております。

 

当社製品出荷仕様

※画像省略しています。

 

当社製品5万倍拡大写真

※画像省略しています。

 

 

リチウムイオン二次電池用セパレータの最終製品への流れは、以下のとおりであります。

※画像省略しています。

 

 

(当社グループの生産・販売・研究開発体制)

 当社グループの製品の製造は、連結子会社W-SCOPE KOREA CO., LTD.と連結子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD. で行っております。当社グループでは当社にてアジア、米国市場及びグループ全体での営業活動を統括し、連結子会社のW-SCOPE KOREA CO., LTD.からは主に民生向け製品をアジア市場へ、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.からは車載向け製品をアジア、欧州市場へ、W-SCOPE KOREA CO., LTD.の連結子会社W-SCOPE HONGKONG CO., LIMITED及びW-SCOPE New Energy (Shenzhen) CO., Limitedにて中国、香港市場へ営業活動を展開しております。また、当社グループの研究開発活動は、W-SCOPE KOREA CO., LTD.及びW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.の開発部門にて行っており、超薄膜化及び高耐熱セパレータの開発や新規メンブレンフィルムの開発に取組んでおります。

 当社グループはリチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

(以下図示)

 

※画像省略しています。

 

24/04/26

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、緩やかな回復基調が続く一方で、物価上昇による影響に加え、欧米を中心とした金融引き締めや中国経済の減速による影響等、不透明な状況が続きました。

なお、当連結会計年度は決算期変更の経過期間にあたるため、2023年1月1日から2024年1月31日までの13か月間となっております。前期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減額及び増減率を記載しております。

当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、車載用電池市場の成長は続いているものの、欧州や中国での補助金政策の見直しなどにより、EV販売台数の成長が鈍化し車載用電池需要が減少しました。また、民生用途の電池需要についても世界的な在庫調整の影響により、電池メーカー各社の生産量が減少しました。このような状況において、当社の車載用セパレータはハイエンド向けが主力であるため、当初見通しは下回ったものの販売数量は増加し、車載用電池向けの売上高は、前年同期比130.9%の29,766百万円となりました。一方で、民生用途については、コードレス家電およびE-Bike用の電池需要は安定しているものの電動工具の需要が落ち込んでいるため、民生用電池向けの売上高は、前年同期比70.7%の15,818百万円となりました。また、新規事業であるイオン交換膜の生産が始まり、これに伴う売上高は2,458百万円となりました。これらの要因により当期連結売上高は48,043百万円となり、前年同期比2,942百万円(同6.5%増)の増収となりました。

営業利益に関しては、売上高が前年同期比2,942百万円の増収となった一方で、販売数量の増加に伴い原材料費846百万円、減価償却費527百万円、人件費1,056百万円など、売上原価等の費用が前年同期比6,527百万円増加しました。なお、当連結会計年度に負担が大きかった水道光熱費は、前年同期比521百万円の増加となりました。また、研究開発費に関しては、車載用途新モデルの開発費及び生産性改善のための工程テストの費用が中心となっております。また、世界的なコスト上昇が継続している中、生産性の改善は継続して行っております。

これらの結果、当連結会計年度の営業利益は前年同期比で3,963百万円減少し、3,865百万円(前年同期は7,829百万円)となり、営業利益率は8.0%(前年同期は17.4%)となりました。

製造の状況に関しては、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)で行っていた既存成膜ラインの生産性向上のための改修工事は完了し、複数の顧客に対して量産サンプルを提出し、評価を継続している状況です。W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)においては、当第4四半期連結会計期間において新規成膜ライン2本の据え付けに取り組んでおりますが、新規成膜ラインの量産稼働はなく、設備は総じて安定的な稼働状況となりました。

営業外収益は米ドル建て債権債務で為替評価差益217百万円を計上しており、営業外費用として支払利息497百万円などがありました。結果として、税金等調整前当期純利益は4,600百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益8,294百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は939百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益4,413百万円)となりました。

当連結会計年度の平均為替レートにつきましては1米ドルが140.64円、1,000韓国ウォンが107.6円となりました。なお、在外連結子会社の収益及び費用は、連結子会社期中平均レート(1米ドル140.18 円、1,000韓国ウォン107.4円)により円貨に換算しております。

当社グループはリチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

当連結会計年度末における資産につきましては171,000百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,473百万円増加しました。また、負債につきましては47,202百万円となり前連結会計年度末に比べ20,939百万円増加し、純資産につきましては123,797百万円となり前連結会計年度末に比べ10,533百万円増加しました。それぞれの主な要因は以下のとおりであります。

なお、在外連結子会社の資産及び負債は、連結子会社決算日(12月31日)の直物為替レート(1米ドル141.28 円、1,000韓国ウォン109.6円)により円貨に換算しております。

 

 

 

(資産)

流動資産につきましては36,264百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,584百万円の減少となりました。これは主として、棚卸資産が1,575百万円増加した一方で、現預金が20,826百万円、売上債権が1,575百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては134,735百万円となり、前連結会計年度末に比べ52,057百万円の増加となりました。これは主として、機械装置及び運搬具が2,111百万円減少した一方で、建設仮勘定が49,625百万円、建物及び構築物が3,320百万円増加したことによるものであります。

(負債)

流動負債につきましては33,232百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,385百万円の増加となりました。これは主として、短期借入金が8,413百万円、1年内返済予定の長期借入金が4,825百万円、未払金が3,202百万円増加したことによるものです。固定負債につきましては13,969百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,554百万円の増加となりました。これは主として、長期借入金の増加4,002百万円によるものであります。

(純資産)

純資産の主な増加要因としましては、為替換算調整勘定が2,917百万円増加、非支配株主持分が7,321百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ20,826百万円減少し、12,014百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは13,215百万円の収入(前期は6,597百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上4,600百万円、減価償却費の計上7,622百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは51,005百万円の支出(前期28,328百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出50,551百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは15,015百万円の収入(前期41,686百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出3,003百万円、短期借入金の返済による支出2,591百万円があった一方で、長期借入れによる収入11,169百万円、短期借入れによる収入10,525百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2024年1月31日)

生産高(百万円)

前年同期比(%)

リチウムイオン二次電池用セパレータ

40,146

107.6

合計

40,146

107.6

 

(注) 1  当社及び連結子会社は、リチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、生産実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

2  金額は、製造原価によっております。

 

b. 受注実績

当社グループの製品は、販売先からの受注による受注生産ですが、生産から納入までの期間が極めて短いため、現実的には販売先からの月次あるいは四半期の購入計画情報を基に、過去の実績、生産能力を勘案した見込生産的な生産形態を採っており、受注高及び受注残高を算出することが困難でありますので、その記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2024年1月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

リチウムイオン二次電池用セパレータ

48,043

106.5

合計

48,043

106.5

 

(注) 1  当社及び連結子会社は、リチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、販売実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度
(自  2022年1月1日
  至  2022年12月31日)

当連結会計年度
(自  2023年1月1日
  至  2024年1月31日)

販売高(百万円)

  割合(%)

販売高(百万円)

  割合(%)

 Samsung SDIグループ

42,467

94.2

43,470

90.5

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

当社グループの当連結会計年度のROICは、営業利益が前年同期比3,963百万円減少し、3,865百万円となったことから、3.69%となりました。これは当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、EV販売台数の成長が鈍化し車載用電池需要が減少たことや、民生用途の電池需要が世界的な在庫調整の影響により、電池メーカー各社の生産量が減少したことで、売上高の増加が当初の計画を下回ったことと、その中で将来に向けた生産設備の改良や設備投資を進めたことにより営業利益率が低下したことが主な要因です。

当社は、投資家の皆様の期待収益率を上回るROIC(5%以上を想定)を目標として取り組んでおります。2025年1月期連結会計年度も、この需要傾向は暫く続くと見られていますが、これは一時的でなものであり、中長期の電池需要はEV需要の増加に伴って増加傾向が続くと見込まれています。当社ではこの中長期の需要増加に対応すべく、コスト削減のための生産設備の改良や、供給能力増強のための設備投資を続けていますので、世界的な電池需要の回復に伴って、ROICは改善していくものと見込んでいます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

  (売上高)

車載用電池市場の成長は続いているものの、欧州や中国での補助金政策の見直しなどにより、EV販売台数の成長が鈍化し車載用電池需要が減少しました。また、民生用途の電池需要についても世界的な在庫調整の影響により、電池メーカー各社の生産量が減少しました。このような状況において、当社の車載用セパレータはハイエンド向けが主力であるため、当初見通しは下回ったものの販売数量は増加し、車載用電池向けの売上高は、前年同期比130.9%の29,766百万円となりました。一方で、民生用途については、コードレス家電およびE-Bike用の電池需要は安定しているものの電動工具の需要が落ち込んでいるため、民生用電池向けの売上高は、前年同期比70.7%の15,818百万円となりました。また、新規事業であるイオン交換膜の生産が始まり、これに伴う売上高は2,458百万円となりました。これらの要因により当期連結売上高は48,043百万円となり、前年同期比2,942百万円(同6.5%増)の増収となりました。

 

 (売上総利益)

当社グループの当連結会計年度の売上総利益は、6,328百万円(前年同期は売上総利益9,913百万円)となりました。

主な要因は、労務費や減価償却費等の固定費増加によるものであります。

 

 (販売費及び一般管理費並びに営業損益)

当社グループの当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,462百万円となりました。販売費及び一般管理費のうち主要なものは役員報酬186百万円、給与手当678百万円、支払手数料442百万円、支払報酬263百万円、運送費136百万円であります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は3,865百万円(前年同期は営業利益7,829百万円)となりました。

 

 (営業外損益及び経常損益)

当社グループの当連結会計年度の営業外収益は、主に受取利息557百万円、為替差益217百万円、助成金収入90百万円により1,254百万円となり、営業外費用は、主に支払利息497百万円により519百万円となりました。
 この結果、当連結会計年度の経常利益は4,600百万円(前年同期は経常利益8,294百万円)となりました。

 

 (特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)

当社グループの当連結会計年度の特別利益、特別損失の発生はありませんでした。この結果、税金等調整前当期純利益は4,600百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益8,294百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は939百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益4,413百万円)となりました。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社の資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、材料等の仕入や研究開発費用等であります。設備投資資金につきましては、株式市場及び金融機関からの長期借入金を基本としており、運転資金につきましては、金融機関からの短期借入金を基本としております。なお、当連結会計年度における借入金残高は34,862百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は12,014百万円となっております。

 

c. 経営戦略の現状と見通し

2025年1月期通期は、主要顧客と締結している2027年までの長期供給契約をベースとして、売上は安定的に増加する見込みであることから、連結売上高は前年比4.1%増加の50,000百万円となる見通しです。また、売上原価については、既存設備の改修工事やその承認に係る費用負担が軽減されることで低減する見込みであるものの、WCPでの新規2ラインの立ち上げ費用が増加することが想定されます。また、販売費および一般管理費においては、中東地域の海上輸送の混乱からハンガリー向けの海上運賃の上昇と、一部の製品輸送を航空貨物に切り替えるなどの対応を取らざるを得ず、運送費が大幅に上昇する見込みです。これらの状況を勘案し営業利益は、前年同程度の営業利益率8.0%を見込み、4,000百万円としています。

昨年から電気自動車(EV)購入に対する各国政府の補助金の削減によるEV車の需要減少や、民生用電池の在庫調整により、世界的に電池需要が低迷している状況にあります。一時は全世界でのEV需要が電池生産能力を上回る状況が見込まれていましたが、短期的にはそのような状況は一旦沈静化し、中長期的には安定的にEV需要が回復すると予想されます。当社計画では、2024年下半期から米国向けの主要顧客への製品出荷が始まる予定でもあり、2030年までのグローバルでの営業見込みを精査した結果、販売数量は今後も大きく増加するものと見込んでいます。この需要増加に対応するため、既存の生産設備に当社独自の新しい量産技術を付加する改造及び開発を進めております。また、ハンガリーでの設備投資においても、当初計画の通りに進めております。さらに、生産地域が多角化し、世界的に人件費が高騰傾向にある中で、製品品質の安定性確保と人件費削減を目指し、製造工程各所の自動化設備導入への取り組みを開始しております。

なお、今後の米国向け出荷量増加に備えて北米への工場進出を検討中ですが、その詳細は確定しておりません。その要因として、米国政府より発表されましたインフレ抑制法(IRA)によって、米国でのEV関連産業について一定の指針が示されましたが、その内容に変更が生じる可能性があります。そのため、その情勢を注視している状況であり、年内には確定する予定です。

イオン交換膜事業については、POSCOアルゼンチン法人へのイオン交換膜スタックモジュールの出荷は材料の納品遅延により遅れていましたが、この2月から出荷が開始されています。契約金額2,600万米ドルのうち、2024年1月期に2,458百万円を計上していますので、2025年1月期にその残金を売上計上する見込みです。POSCO HOLDINGSとは、POSCOアルゼンチン法人へ出荷した製品の評価が行われた後、他のPOSCO関連会社との新規供給契約の締結が進められていくこととなります。

業績見通しの前提となる2025年1月期の平均為替レートにつきましては、対1米ドル135円、対1米ドル1,250ウォン、対1,000ウォン108.0円を想定しております。

また、当社は、当連結会計年度から決算期を12月31日から1月31日に変更いたしました。当期実績につきましては、決算期変更の経過期間にあたるため、2023年1月1日から2024年1月31日までの13か月となっております。次期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減率を記載しております。