E01874 Japan GAAP
前期
307.9億 円
前期比
121.2%
株価
2,885 (04/18)
発行済株式数
6,244,962
EPS(実績)
96.24 円
PER(実績)
29.98 倍
前期
838.7万 円
前期比
95.5%
平均年齢(勤続年数)
53.0歳(4.0年)
従業員数
35人(連結:1,098人)
当企業グループは、当社、連結子会社6社および関連会社1社で構成され、情報通信システムに関する機器および部品の開発、製造および販売ならびにこれらに付帯するサービスの提供からなる事業を行っております。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
事業の系統図は、次のとおりであります。
(注) 上記の他、持分法適用関連会社としてE Security Services Co.,Ltd.があります。
当連結会計年度における当企業グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、原材料や原油価格の上昇、外国為替相場における円安の継続、ウクライナ情勢の長期化など先行き不透明な状況で推移しました。
また、当企業グループにおいては、資材および部品の調達難に伴う生産活動の遅れに加え、調達価格の高騰による事業活動への影響がありました。
このような経済環境の中で、当企業グループは、2021年6月に2021年度から2023年度の3か年を計画期間とした中期経営計画(サクサは変わる。)を公表し、2026年3月期には、売上高400億円、営業利益25億円、ROE6.5%以上を長期目標に、3つの戦略「事業を変える。」「財務を変える。」「ガバナンスを変える。」を掲げ、取組んでおります。
「事業を変える。」について、当企業グループは、DX化を求めている中堅・中小企業の課題をIT製品・サービスで解決する「Office AGENT」シリーズとして、「SECURITY/次世代情報セキュリティ対策」「WORKSTYLE/次世代ワークスタイル変革」および「COMMUNICATION/次世代コミュニケーション活用」の3つのデジタル革新を核としたブランド方針を制定しました(2022年8月)。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症のまん延による社会環境の急激な変化によりテレワークやサテライトオフィスの活用が増えたことによるマルウェア感染リスクの高まりに対し、「次世代情報セキュリティ対策」として、セキュリティスイッチ「LG1000」による安心・安全な社内ネットワーク環境の提供を開始(2022年8月)、電子メールの添付ファイルをクラウド経由で安心・安全に送受信できる情報セキュリティゲートウェイ「GE2000」の提供を開始(2022年11月)しました。
また、情報システム部門のない中堅・中小企業が安心・安全な社内ネットワーク環境を構築できるよう、情報セキュリティゲートウェイ「GE2000」には標的型攻撃メールに対する訓練サービスを付帯し提供を開始しております。
「次世代コミュニケーション活用」については、ビジネスコミュニケーションシステム「PLATIAⅢ」と連携して利用可能なスマートフォン内線アプリケーション「MLiner」の機能を拡充し、外出先やテレワーク環境においても自分のデスクのボタン電話装置と同じ感覚で操作可能な環境の提供を開始しました(2022年7月)。
また、連結子会社である株式会社システム・ケイは、米国最大規模の総合的なセキュリティイベントISC West 2023-International Security Conference & ExpositionにHailo(本社:イスラエル)の開発したAI専用プロセッサHailo-8™を利用し、映像解析技術を活用し暗い画像をAIで補正し、物体検知をワンチップで実現するedge AI solutionを出展しました(2023年3月)。また、Hailoと株式会社システム・ケイは、共同開発契約を締結予定です。(成長事業:ビジュアルソリューション)
「財務を変える。」について、保有資産の有効活用を図るため、政策保有株式の縮減(6銘柄売却)に継続して取組むとともに、保有不動産の流動化・収益化として、連結子会社であるサクサ株式会社の保有する遊休資産 栃木地区2拠点(栃木事業場、矢板工場)の売却(2022年8月)、相模原に保有する土地賃貸に関する契約を締結(2023年3月)しました。
「ガバナンスを変える。」について、つなげる技術(強み)を核としたプロダクト・ソリューションの提供を通じて、サステナブルな社会(明日の社会)を実現し、SDGs達成に貢献するとともに、持続成長する企業への変革に向けて取組んでおります。具体的には、2022年4月に「サステナビリティ方針」を策定いたしました。当企業グループは、本方針に基づき、活力とゆとりある社会の発展に貢献してまいります。また、環境の開示を高度化し、環境以外の社会・ガバナンスも包含した「サクサグループサステナビリティレポート」の創刊号を2022年12月に発刊いたしました。今後、サステナビリティに貢献してさらなる企業価値向上を推進してまいります。
また、多様な人材活用による新たな価値を創造し、相互に認めあう組織風土を醸成していくために設置した「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」の活動の一環として、女性活躍推進を目的に、女性特有のライフイベントに対応するための考え方や女性特有の健康問題に関する知識の習得のため女性の健康セミナーを開催いたしました。
さらに、健康経営の取組みとして、2022年10月に「サクサグループ健康経営宣言」を公表し、2023年3月にはサクサ株式会社が健康経営優良法人2023に認定されました。
当連結会計年度の売上高は、37,320百万円(前年同期比6,526百万円増加)となりました。成長事業の売上高は、10,527百万円(前年同期比974百万円増加)となり、コロナ禍に伴う働き方改革を追い風にITビジネスにおいてUTM(統合脅威管理アプライアンス)の売上が増加となりました。一方、基盤事業の売上高は、26,793百万円(前年同期比5,552百万円増加)となり、主に、ボタン電話装置の部材および部品を一定数確保できたこと、ならびにアミューズメント市場において、スマート遊技機の市場導入に伴う、新カードユニットへの入替需要の高まりから、カードリーダライタおよび加工受託部品の受注が増加したことによるものです。
利益面では、引き続き資材および部品の調達価格の高騰が続きましたが、売上高の大幅増加により、経常利益が2,386百万円(前年同期比2,017百万円増加)、特別利益に投資有価証券売却益257百万円、特別損失に減損損失1,664百万円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、601百万円(前年同期比535百万円減少)となりました。
分野別の営業の概況は、次のとおりです。
(ネットワークソリューション分野)
ネットワークソリューション分野の売上高は、25,429百万円(前年同期比16.2%増加)となりました。これは、主にボタン電話装置およびネットワーク機器の売上増加によるものです。
(セキュリティソリューション分野)
セキュリティソリューション分野の売上高は、11,890百万円(前年同期比33.5%増加)となりました。これは、アミューズメント市場において、スマート遊技機の市場導入に伴う、新カードユニットへの入替需要の高まりから、カードリーダライタおよび加工受託部品の受注が増加したことによるものです。
当期の財政状況の概況は、次のとおりです。
当連結会計年度末の純資産は、配当金の支払いをしたものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上およびその他有価証券評価差額金の増加により、前連結会計年度末に比べ1,397百万円増加し24,894百万円、総資産は4,932百万円増加し41,777百万円となったことにより、自己資本比率は59.6%となりました。
増減の主なものは、以下のとおりです。
流動資産では、売上高の増加に伴い受取手形、売掛金及び契約資産が1,823百万円、資材および部品の調達難による生産活動の遅れや調達価格の高騰に伴い棚卸資産が1,658百万円それぞれ増加したこと等により流動資産全体で前連結会計年度末と比べ4,566百万円増加いたしました。
固定資産では、有形固定資産が遊休資産である栃木地区2拠点の土地・建物等の売却および神奈川県相模原市に保有する不動産について、賃貸用不動産として活用することにより継続的かつ安定的な収益化を図ることを目的に、用途見直しを行ったことによって建物等の解体費用および土壌汚染対策費用について減損損失の計上を行ったこと等により531百万円減少しましたが、投資その他の資産が投資有価証券の時価評価等によって1,212百万円増加したことにより固定資産全体で前連結会計年度末と比べ366百万円増加しました。
負債では、仕入債務が調達価格の高騰などにより1,344百万円、資産除去債務が神奈川県相模原市に保有する不動産の建物等の解体費用および土壌汚染対策費用を計上したことにより930百万円、それぞれ増加し、負債全体で16,883百万円と前連結会計年度末と比べ3,534百万円増加しました。
当期末における現金及び現金同等物は、前期末残高に比べ1,141百万円増加し、8,134百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,731百万円の収入(前年同期は1,075百万円の支出)となりました。これは売上債権の増加および棚卸資産の増加はありましたが、税金等調整前当期純利益の計上、減損損失の計上、仕入債務の増加等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、666百万円の支出(前年同期は214百万円の収入)となりました。これは投資有価証券の売却による収入はありましたが、設備投資による支出および遊休資産である栃木地区2拠点の土地・建物等の売却に伴い資産除去債務の履行による支出が発生したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、74百万円の収入(前年同期は42百万円の収入)となりました。これは配当金の支払いによる支出はありましたが、借入による資金調達を行ったことによるものです。
当企業グループは、事業区分が単一セグメントでありますが、本項目における分野別情報は、前連結会計年度と同一の区分によっております。
当連結会計年度における生産実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記のほか下記の仕入製品があります。
(注)金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
(注)NTTグループは、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社およびエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社等であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において判断したものであります。
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値および偶発債務の開示ならびに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定の設定を行わなければなりません。
当企業グループの経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
特に、以下の重要な会計方針が、当企業グループの連結財務諸表の作成において使用された重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすものと考えております。
なお、半導体を中心とした部材調達難と販売機会損失等、当企業グループの事業活動に与える影響を合理的に反映することが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a. 機器組込みソフトウェア(販売目的ソフトウェアのうち、連結子会社であるサクサ株式会社にかかるもの) は定額法により減価償却費を計上しており、販売可能な見込有効期間に基づく償却額を計上しております。また各年度の未償却残高が、翌連結会計年度以降の見込販売収益の金額を超過している場合には、当該超過額について、一時の費用又は損失として処理しております。見込販売収益の算出に用いた主要な仮定は、見込販売数量であり、見込販売数量は市場環境の変化に影響を受けるため、見積りの不確実性が高く、情報通信ネットワーク製品の陳腐化に伴い、見込販売収益が大幅に減少した場合には、一時に費用又は損失が発生する可能性があります。
b. 売掛金、貸付金等の債権については、決算日以降に発生すると予測される貸倒損失に備えるため、適正な見積りに基づき貸倒引当金を計上しておりますが、顧客等の財政状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c. 製品保証費用については、出荷済製品のアフターサービス費用等の発生に備え、過去の実績に基づくアフターサービス費用の見積りに基づき製品保証引当金を計上しております。三現主義の徹底と広範囲にわたる品質管理システムの運用により品質向上に努めておりますが、実際の品質不良率または修理コストが見積りと異なった場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。
d. 受注残高のうち、損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込額を受注損失引当金として計上しております。将来、発生原価が見積額を上回ると予想される場合、追加引当が必要になる可能性があります。
e. 投資については、回復可能性があると認められない株式等の評価減を実施しておりますが、投資先の財政状態が悪化した場合、評価損の追加計上の可能性があります。
f. 繰延税金資産については、将来の課税所得および継続的な税務計画を検討し、回収可能性が高いと考えられる金額に減額するため評価性引当金を計上しております。この評価性引当金は当連結会計年度末で判断したものであり、将来の課税所得および税務計画の変更等により追加計上または取崩しが発生する可能性があります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当企業グループの主力市場である情報通信ネットワーク関連市場においては、多様化、高度化したネットワークを活用した様々な事業が生まれるなど大きな変化が続いております。
このような市場環境の変化と資材調達環境の変化により、当企業グループの業績も影響を受けます。
そのため当企業グループは、このような変化に柔軟に対応し、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう心がけております。
また、経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「3〔事業等のリスク〕」に記載しております。
当企業グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、多様化するお客様のニーズにお応えするため、お客様視点に立った安心、安全、快適、便利な環境を実現するソリューションをタイムリーに提供し続け、事業成長に向けた収益体質改善のための諸施策に取組んでまいります。
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.資金需要と財務政策
当企業グループは、運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金を充当し、必要に応じ金融機関からの借入により調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については主に期限が1年以内の短期借入金により調達しており、設備投資資金等については長期借入金等により調達しております。
また、資産効率の向上、営業活動によるキャッシュ・フローの確保およびシンジケーション方式によるコミットメントライン7,000百万円を含む未使用借入枠13,435百万円により、当面の運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。