売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01874 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態および経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間のわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染症法上における取り扱いが5類感染症になるなど、経済活動の正常化がみられるものの、依然として原材料や原油価格の上昇、外国為替相場における円安の継続、地政学リスクの高まりなど先行き不透明な状況で推移しました。

また、当企業グループにおいては、資材および部品の調達価格の高騰による事業活動への影響がありました。

このような経済環境の中で、当企業グループは、2021年6月に2021年度から2023年度の3か年を計画期間とした中期経営計画(サクサは変わる。)を公表し、2026年3月期には、売上高400億円、営業利益25億円、ROE6.5%以上を長期目標に、3つの戦略「事業を変える。」「財務を変える。」「ガバナンスを変える。」を掲げ、取組んでおります。なお、現中期経営計画(サクサは変わる。)の最終年度となるため、当第3四半期より次期「中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)」の策定を開始いたしました。  

「事業を変える。」について、連結子会社であるサクサ株式会社は、DXを求めている中堅・中小企業の課題をITで解決する当企業グループの製品・サービスOffice AGENTシリーズを展開しております。新たにワークスタイル変革を支援するアプライアンス製品として、電子帳簿保存法改正に伴い義務化される電子取引データの保存・管理の手間を軽減し、効率的な管理を実現するとともに、データの改ざんや不正な削除を抑止し、安全に管理できる電子データ管理ゲートウェイ(DG1000)の提供を開始いたしました。(2023年11月)

また、相模原オフィスにおいて当社連結子会社であるサクサプロアシスト株式会社が運営していた販売物流機能について、相模原オフィスの移転にあわせ、グループ外の物流サービス提供会社へ業務移管(2023年8月)し、サクサプロアシスト株式会社は、経営資源の効率化を目的にサクサ株式会社を存続会社とし合併いたしました。(2023年11月)

「財務を変える。」について、保有資産の有効活用を図るため、政策保有株式の縮減に継続して取り組み、非上場株式2銘柄を売却しました。

また、サクサ株式会社が相模原に保有する不動産の収益化に向け、既存建物等の解体工事等を開始しております。(2023年11月)

「ガバナンスを変える。」について、当企業グループは、つなげる技術(強み)を核としたプロダクト・ソリューションの提供を通じて、サステナブルな社会(明日の社会)を実現し、SDGs達成に貢献するとともに、持続成長する企業への変革に向け取組んでおります。当企業グループのサステナビリティ推進活動の取組みを取りまとめた「サステナビリティレポート2023」を発行いたしました。(2023年11月)

また、具体的な取組みの一つとして、多様な人材活用による新たな価値を創造し、相互に認めあう組織風土を醸成していくことを目的に設置した「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」において、中堅およびリーダークラスの女性従業員に対するキャリアデザイン研修を実施しました。(2023年12月)

 

当第3四半期連結累計期間の売上高は、31,591百万円と前年同四半期と比べ5,560百万円(21.4%)の増収となりました。これは、ボタン電話装置において、自社ブランドおよび特定顧客向けともに資材および部品を一定数確保でき継続してお客様の需要にお応えできたこと、さらに自社ブランドボタン電話装置については、2023年10月に発売した小規模事業者向けのボタン電話装置の販売が好調なこと、販売パートナーの店内シェアアップに努めたことで販売数量が増加しました。また、アミューズメント市場において、新カードユニットへの入替需要の高まりから、カードリーダライタ等の受注が増加したこと、さらにEMSにおいて受注が好調であったことから、基盤事業の売上高が23,708百万円と前年同四半期より5,097百万円(27.4%)の増収となりました。

さらに、ネットワークアプライアンスにおいて、コロナ禍に伴う働き方改革によりテレワーク環境を安全に構築できるUTM(統合脅威管理アプライアンス)の売上が増えたこと、また、ビジュアルソリューションにおいて、連結子会社である株式会社システム・ケイが取組むIP監視カメラシステムの受注が増加したことにより、成長事業の売上高が7,884百万円と前年同四半期より465百万円(6.3%)の増収となりました。

利益面では、メーカ代理店からの部品調達価格の上昇、外国為替相場における円安による為替影響の継続、新横浜オフィス開設に伴う開発環境等の整備、人財投資はありましたが、売上高の増加による増益となったこと、二次流通業者からの部品調達が減少したことにより経常利益が2,765百万円と前年同四半期に比べ1,798百万円の増益となりました。また、当第3四半期連結累計期間において政策保有株式の縮減により投資有価証券売却益124百万円を計上したことから親会社株主に帰属する四半期純利益は1,963百万円となり、前年同四半期は遊休資産であった栃木地区2拠点(栃木事業場、矢板工場)の売却による減損損失624百万円を計上したことから、前年同四半期と比べ1,692百万円の増益となりました。 

 

分野別の営業の概況は、次のとおりです。

 

  ① ネットワークソリューション分野

ネットワークソリューション分野の売上高は、19,946百万円と前年同四半期と比べ1,844百万円(10.2%)の増収となりました。これは、主にボタン電話装置において、自社ブランドおよび特定顧客向けともに資材および部品を一定数確保できお客様の需要にお応えできたこと、さらに自社ブランドボタン電話装置については、2023年10月に発売した小規模事業者向けのボタン電話装置の販売が好調なこと、販売パートナーの店内シェアアップに努めたことで販売数量が増加したこと、ネットワークアプライアンスにおいて、主にコロナ禍に伴う働き方改革を追い風にUTM(統合脅威管理アプライアンス)の売上が増加したこと、ビジュアルソリューションにおいてIP監視カメラシステムの受注が増加したことによるものです。 

  ② セキュリティソリューション分野

セキュリティソリューション分野の売上高は、11,644百万円と前年同四半期と比べ3,715百万円(46.9%)の増収となりました。これは、アミューズメント市場において、新カードユニットへの入替需要の高まりから、カードリーダライタ等の受注が増加したこと、さらにEMSにおいて受注が好調であったことによるものです。

 

 当第3四半期連結会計期間末の財政状況の概況は、次のとおりです。

 当第3四半期連結会計期間末の純資産は、配当金の支払いはありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,486百万円増加し26,381百万円、総資産は538百万円増加し42,316百万円となったことにより、自己資本比率は62.3%となりました。

 増減の主なものは、以下のとおりです。

流動資産では、受取手形及び売掛金が回収により1,581百万円減少し、現金及び預金が税金等調整前四半期純利益による収入とあわせ1,050百万円増加となったこと、棚卸資産が資材および部品の調達価格の高騰、受託開発およびSIビジネスにおいて翌四半期以降に売上予定の案件にかかる仕掛品の増加に伴い1,117百万円増加となったことから、流動資産全体で前連結会計年度末に比べ958百万円増加いたしました。

固定資産では、有形固定資産がサクサ株式会社の新横浜オフィス開設に伴う設備投資等により290百万円増加したものの、無形固定資産は償却が進んだことにより32百万円、投資有価証券が時価評価および売却により605百万円それぞれ減少したことなどにより、固定資産全体で419百万円の減少となりました。

負債では、仕入債務が538百万円、賞与引当金467百万円が支払いによりそれぞれ減少し、負債全体で947百万円減少となりました。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業上および財務上の対処すべき課題はありません。

当企業グループは、前事業年度の有価証券報告書に記載の対処すべき課題に継続して取り組んでまいります。

 

(株式会社の支配に関する基本方針)

 当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した株式会社の支配に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

 

(3) 研究開発活動

当企業グループにおける研究開発活動は、ネットワークソリューション分野およびセキュリティソリューション分野について、事業運営に直結した新技術、新商品の開発のほか、未来のビジネスシーンの実現とお客様に更なる価値を提供する製品・サービスの創出に向けた新たなコア技術を確立するために研究開発(R&D)を進めています。

 当第3四半期連結累計期間は、安心、安全、快適、便利を実現するソリューションを提供するために必要となる音声、映像、データおよびアプリケーションに関わる研究開発を通し、DXを求めている中堅・中小企業の課題をIT製品・サービスで解決する「Office AGENT」シリーズとして、「SECURITY/次世代情報セキュリティ対策」「WORKSTYLE/次世代ワークスタイル変革」および「COMMUNICATION/次世代コミュニケーション活用」の3つのデジタル革新を実現すること、環境に配慮した製品の実現に重点をおき活動しました。

なお、当第3四半期連結累計期間の研究開発費総額は、2,411百万円であります。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因

当企業グループの主力市場である情報通信ネットワーク関連市場においては、多様化、高度化したネットワークを活用した様々な事業が生まれるなど大きな変化が続いております。また、前述の「(1)財政状態および経営成績の状況」に記載のとおり、資材および部品の調達難に伴う生産活動の遅れや、調達価格の高騰が継続しております。

このような市場環境の変化と資材調達環境の変化により、当企業グループの業績も影響を受けます。

 

(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析

当企業グループは、運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金を充当し、必要に応じ金融機関からの借入により調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については主に期限が1年以内の短期借入金により調達しており、設備投資資金等については長期借入金等により調達しております。

また、資産効率の向上、営業活動によるキャッシュ・フローの確保およびシンジケーション方式によるコミットメントライン5,000百万円の活用により、当面の運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

当企業グループが関連する情報通信ネットワーク関連市場は、急速な技術革新と競争の激化などによりめまぐるしく変化する環境下にありますが、当企業グループは、このような変化に柔軟に対応し、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう心がけております。

具体的には、前事業年度の有価証券報告書の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおりであり、それらの課題に継続して取組んでまいります。

また、当社は中期経営計画に基づき事業成長を加速させるための諸施策に経営資源を集中し、企業価値を向上することが優先すべき課題であると認識し、2023年10月20日にプライム市場からスタンダード市場へ上場市場を変更しております。