E02345 Japan GAAP
前期
97.0億 円
前期比
96.6%
株価
1,699 (04/19)
発行済株式数
8,760,000
EPS(実績)
131.36 円
PER(実績)
12.93 倍
前期
635.7万 円
前期比
102.9%
平均年齢(勤続年数)
40.1歳(10.8年)
従業員数
225人
当社は、臨床検査用分析装置及び医療機器の研究開発、製造、販売、輸出及び、これら装置で使用する消耗品の製造、販売を主たる業務とし、さらにこれら装置の保守サービス等の事業活動を展開しております。
販売系統としましては、当社が直接国内・海外ユーザーへ製品を販売する場合と、販売業者を経由し国内・海外ユーザーへ製品を販売する場合があります。なお、子会社・関連会社はありません。
当社は医療機器及び、これら装置で使用する消耗品の製造、販売を主たる事業とする単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すため品目別に事業の内容を記載いたします。当社の製品は3つに分類でき、その内容は下記のとおりであります。
(1)採血管準備装置・システム
採血管準備装置および関連システムとは、採血・採尿検査に関する受付業務から、採血整理券と患者ラベルを貼付した尿カップの発行を行い、かつ採血管準備作業を自動でおこなう一連のシステムであります。採血管準備装置には、採血管準備装置とその周辺機器である採血・採尿自動受付機、採血台表示システム、自動検体仕分け装置、全自動尿分析・分取装置、一般検査前処理装置、RFID検体情報統括管理システム(Radio Frequency Identification)があります。
採血管準備装置および関連システムは、採血患者の待ち時間短縮、採血業務に従事する臨床検査技師、看護師の採血業務支援ならびに、検体の取り違え防止を目的としたシステムであり、採血・採尿自動受付機、採血台表示システム、患者誘導外待ちディスプレイといった各種周辺機器を付加することで、それぞれの医療施設にあった採血管準備のトータルシステムを提供することが可能であります。なお、RFID検体情報統括管理システムは、ICタグの個別情報を無線通信によって読み書きするRFID技術を応用し、採血管や尿検体の患者認証から検体搬送までを効率的に管理するシステムです。
(2)検体検査装置
検体検査装置とは、医療施設において血液等の検体を測定し、値を数値化することにより、患者の傷病を評価するための検査装置であります。当社で販売している検体検査装置は、血液中の酸素分圧や炭酸ガス分圧及び、pH等を測定する血液ガス分析装置・ハンディ型血液ガス分析装置、電解質を分析する専用の電解質分析装置、赤血球の凝縮による血球の沈降度を測定する赤血球沈降速度測定機、DNAの酸化的損傷ストレスマーカーである尿中8-hydroxy-deoxyguanosine(8-OHdG)を測定する尿中酸化ストレスマーカー測定システム、ヘルスケア製品等であります。
(3)消耗品等
消耗品としては、採血管準備装置や検体検査装置で使用するラベル、日常校正イオン電極用常用標準血清、センサーカード、ガストロール、キャリブレーション用パック、ハルンカップ等でありますが、その他に採血管準備装置及び検体検査装置の保守も含めております。
当社事業の系統図は次のとおりであります。
※画像省略しています。
採血管準備装置、検体検査装置等の研究開発・設計は社内でおこない、製造工程を社外協力会社へ委託しております。組立委託先から製品を受入検査基準に従い受入した後、社内での最終調整を経て、出荷検査基準を満たした製品を本社より出荷しております。このような体制を構築することにより、研究開発や販売等に経営資源を集中することが可能となっております。
消耗品等については受注見込量を本社にて調合・調整・包装あるいは製造をおこなっております。これら消耗品の品質検査は製造工程と出荷前の2段階でおこない、製品の品質確保を図っております。万一出荷後の不具合が見つかった場合には、同一製造ロットを全て回収し交換をおこなう体制を整えております。
ヘルスケア製品につきましては、研究開発および生産を社内でおこなっております。個人の方々の健康のセルフモニタリングに役立つ製品を、社内研究開発部門で開発し、本社にて製造工程で品質検査をおこないながら、受注見込量の生産をおこなっております。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)による社会経済活動の制限が徐々に緩和される中、緩やかな景気の持ち直しが継続しました。
一方で、原材料やエネルギー価格の高騰、急速な金融引き締めによる世界経済の減速懸念などにより、先行きに予断を許さない状況が続いております。
医療業界においては、新型コロナによる医療提供体制への影響は軽減しつつあるものの、2022年4月に行われた診療報酬の改定では、本体部分のプラスが0.43%にとどまり、薬価の改定を含めた診療報酬全体としては、前回に続いてマイナス改定となるなど、業界を取り巻く環境は依然として厳しく、一層の効率化、合理化に向けた取り組みが急務となっております。
このような経営環境の中で当社は、医療施設の運営の効率化に寄与する採血管準備装置および関連システムについて、医療現場の要望に応じて、提供可能なソリューションの幅を広げながら販売活動に注力するとともに、検体検査装置の新規導入提案、消耗品等の安定供給についても、引き続き努めてまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は9,367,586千円(前期比3.4%減少)となりました。主力製品である採血管準備装置の大型案件が前期に比べて少なかったことに加えて、消耗品である採血管の供給事業を終了したこと等により、前期の売上を下回る結果となりました。なお、総売上高に対する海外売上高の占める割合は、前期比1ポイント増加し11.7%となりました。
利益面に関しては、売上高の減少に伴い売上総利益が4,630,294千円(前期比3.9%減少)となりました。販売費及び一般管理費は、諸経費の削減を継続したことにより2,980,841千円(前期比0.9%増加)となりました。この結果、営業利益は1,649,453千円(前期比11.4%減少)、経常利益は1,668,300千円(前期比9.9%減少)、当期純利益は1,150,733千円(前期比10.2%減少)となりました。
<採血管準備装置・システム>
当事業年度における採血管準備装置・システムの売上高は3,573,728千円(前期比5.8%減少)となりました。
国内市場における売上高は、前期に比べて大型案件が減少したことや、次年度以降に販売が延期となる案件が生じたこと等により3,292,328千円(前期比6.5%減少)となりました。一方、海外市場における売上高は、大規模施設向けの機種の販売が伸長したこと等により281,399千円(前期比3.5%増加)となりました。
<検体検査装置>
当事業年度における検体検査装置の売上高は591,011千円(前期比5.3%増加)となりました。
国内市場における売上高は、ハンディ型の血液ガス分析装置のモデルチェンジや、材料不足で電解質分析装置の仕入れが不安定化したこと等があった結果、346,781千円(前期比1.3%減少)となりました。一方、海外市場における売上高は、新型コロナ対応によりハンディ型の血液ガス分析装置の販売が増加したことなどから244,229千円(前期比16.1%増加)となりました。
<消耗品等>
当事業年度における消耗品等の売上高は5,202,846千円(前期比2.7%減少)となりました。
2022年4月をもって、消耗品である採血管の供給事業を終了したこと等により、国内市場における売上高は4,629,279千円(前期比3.4%減少)となりました。一方、海外市場での売上高は、稼働装置数の増加に伴い573,567千円(前期比3.7%増加)となりました。
②キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、11,750,289千円(前期比226,782千円増加)となりました。なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動により得られた資金は887,240千円(前期比1,175,737千円減少)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,665,773千円、仕入債務の増加額が217,013千円であった一方、棚卸資産の増加額が636,220千円、法人税等の支払額が644,289千円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動により支出した資金は155,370千円(前期は2,489,140千円の収入)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が133,181千円、差入保証金の差入による支出が26,379千円であった一方、差入保証金の回収による収入9,748千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動により支出した資金は505,088千円(前期比93,550千円減少)となりました。これは、配当金の支払額505,088千円があったことによるものであります。
③生産実績
当事業年度の生産実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前期比増減率(%) |
採血管準備装置・システム(千円) |
4,692,831 |
67.3 |
検体検査装置(千円) |
686,108 |
△2.4 |
消耗品等(千円) |
5,180,235 |
△3.8 |
合計(千円) |
10,559,176 |
18.7 |
(注)1. 金額は販売価格によっております。
2. 当事業年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主に、採血管準備装置・システムにおける半導体不足等の欠品リスクに備え棚卸資産を増やしたことによるものであります。
④受注実績
見込生産をおこなっておりますので、該当事項はありません。
⑤販売実績
当事業年度の販売実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前期比増減率(%) |
採血管準備装置・システム(千円) |
3,573,728 |
△5.8 |
検体検査装置(千円) |
591,011 |
5.3 |
消耗品等(千円) |
5,202,846 |
△2.7 |
合計(千円) |
9,367,586 |
△3.4 |
⑥財政状態
(資産の部)
当事業年度末の総資産の残高は19,443,171千円となり、前事業年度末比934,926千円増加しました。これは主に、商品及び製品が543,205千円増加、現金及び預金が226,782千円増加、未収消費税等が83,757千円増加した一方、電子記録債権が99,917千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末の負債の残高は3,056,316千円となり、前事業年度末比198,156千円増加しました。これは主に、前受金が217,797千円増加、買掛金が217,013千円増加した一方、未払法人税等が121,840千円減少、未払消費税等が148,050千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産の残高は16,386,854千円となり、前事業年度末比736,769千円増加しました。これは、配当金の支払いが505,214千円であった一方、自己株式の処分106,797千円があったほか、当期純利益が1,150,733千円であったこと等によるものであります。なお、自己資本比率は84.3%となり、前事業年度末比0.3ポイント減少しました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①経営成績等
当事業年度の経営成績は、売上高9,367,586千円(前期比3.4%減少)、営業利益1,649,453千円(前期比11.4%減少)、経常利益1,668,300千円(前期比9.9%減少)、当期純利益1,150,733千円(前期比10.2%減少)となりました。採血管準備装置の大型案件が前期に比べて少なかったことや、採血管の供給事業を終了したこと等により、売上、利益ともに前期を下回りました。
売上高に関しては、採血管準備装置・システム関連では、国内市場における大型更新需要が前期より少なく、前期比5.8%の減少となりました。検体検査装置関連では、海外市場におけるコロナ対応のための血液ガス分析装置の需要増により、前期比5.3%の増加となりました。消耗品等では、採血管の供給事業の終了により、前期比2.7%の減少となりました。
売上総利益及び営業利益につきましては、売上高の減少に伴い、売上総利益は4,630,294千円(前期比3.9%減少)となり、販売費及び一般管理費は2,980,841千円(前期比0.9%増加)となった結果、営業利益は1,649,453千円(前期比11.4%減少)となりました。
②財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度における我が国経済は、新型コロナの影響が軽減しつつあるものの、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続きました。医療機器業界においては、徐々に従来の診療体制を取り戻しつつあるものの、再度の感染拡大等に対する警戒を怠ることが出来ない状況が続いております。
このような経営環境の中で当社は引き続き、お客様および従業員の健康と安全の確保を最優先に、新型コロナの感染拡大防止に取り組みつつ、医療機器メーカーとしての可能な限りのサービス提供、消耗品の安定供給の維持に努めてまいりました。
また当社は、2023年度(2024年3月期)からの新3ヶ年中期経営計画を新たに策定いたしました。本中期経営計画は、①財務戦略・投資計画・資本政策 ②人材戦略 ③営業戦略 ④生産技術戦略 ⑤研究開発戦略 の各戦略を着実に実行することにより、当社の事業構造の転換を図ると共に、持続的成長を目指し「2030長期ビジョン」へとつなげていくことを目指しています。
経営指標 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
2026年3月期 |
3ヶ年合計 |
売上高(千円) |
9,800,000 |
10,000,000 |
11,000,000 |
30,800,000 |
営業利益(千円) |
1,300,000 |
1,400,000 |
1,800,000 |
4,500,000 |
売上高営業利益率(%) |
13.3 |
14.0 |
16.4 |
14.6 |
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローにつきましては、(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローに記載のとおりであります。なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
自己資本比率(%) |
85.22 |
84.56 |
84.28 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
82.54 |
71.02 |
82.59 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
- |
- |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
- |
(注)1. 各指標の算式は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2. 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4. 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。
当社の主な資金需要は、研究開発型企業として発展し続けるための研究開発資金や、生産活動に必要な運転資金、生産設備や研究設備を増設するための設備投資資金等であり、これらは主に自己資金によって賄っております。
④重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。