売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01589 Japan GAAP

売上高

2,611.2億 円

前期

2,275.3億 円

前期比

114.8%

時価総額

3,473.7億 円

株価

7,038 (11/01)

発行済株式数

49,355,938

EPS(実績)

409.94 円

PER(実績)

17.17 倍

平均給与

751.1万 円

前期

813.4万 円

前期比

92.3%

平均年齢(勤続年数)

44.5歳(17.2年)

従業員数

1,680人(連結:6,234人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、子会社37社、関連会社8社からなり、真空技術が利用されているさまざまな産業分野に多岐に渡る製品を生産財として提供している真空総合メーカーであります。

  事業内容は、真空技術を基盤として、真空装置・機器やサービスを提供する真空機器事業と真空技術の周辺技術を基盤として、主に材料や表面分析装置等を提供する真空応用事業に区分できます。

 

 各々の事業区分ごとの主要製品は下表のとおりであります。

事業区分

主要製品

真空機器事業

FPD製造装置

スパッタリング装置、プラズマCVD装置、有機EL製造装置、巻取式真空蒸着装置、真空蒸着装置、巻取式スパッタリング装置他

半導体及び電子部品製造装置

スパッタリング装置、真空蒸着装置、エッチング装置、イオン注入装置、アッシング装置、各種CVD装置、ウェーハ前処理(自然酸化膜除去等)装置、超高真空装置他

コンポーネント

真空ポンプ(ドライポンプ、メカニカルブースタポンプ、油回転ポンプ、クライオポンプ、ターボ分子ポンプ、イオンポンプ、油拡散ポンプ)、真空計、リークテスト装置、リークディテクタ、ガス分析計、成膜用電源、成膜コントローラ、真空バルブ、真空搬送ロボット、各種真空部品他

一般産業用装置

真空溶解炉、真空熱処理炉、真空焼結炉、真空ろう付炉、凍結真空乾燥装置他

真空応用事業

材料

スパッタリングターゲット材料、蒸着材料、チタン・タンタル加工品、高融点活性金属(Ta、Nb、W、Mo)、表面処理、超微粒子(ナノメタルインク)他

その他

オージェ電子分光分析装置、X線光電子分光分析装置、二次イオン質量分析装置、半導体・FPD用マスクブランクス、受託成膜加工他

 なお、上記の真空機器事業と真空応用事業の区分と「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分は同一であります。


 また、当社企業集団の主要製品の概要は、次のとおりであります。

主要製品

概要

スパッタリング装置

真空中で金属やシリサイドなどの金属の材料に、高エネルギーのアルゴン原子をぶつけ、それに叩かれ飛び出してくる金属原子を付着させて成膜する装置。

CVD装置

つくる薄膜の種類に応じて原料をガス状態で供給し、下地膜の表面における化学触媒反応によって膜を堆積させる装置。

エッチング装置

真空中に被エッチング材料を入れ、その材料に合わせてエッチングガスを導入しプラズマ化し、エッチング種が被エッチング材料に吸着されると表面化学反応を起こし、エッチング生成物を排気除去する装置。

真空蒸着装置

真空中で特定の物質を熱し、そこから蒸発する原子や分子をより温度の低い面に凝縮させて、表面に膜を形成する装置。

真空熱処理炉

真空中で各種金属の焼入、ろう付、焼戻、容体化、時効、磁性処理等を行う装置。

  以上のような装置により、携帯電話、スマートフォン、PC、タブレットPC、携帯音楽プレイヤー、デジタル家電、薄型テレビ、自動車等の最終製品を構成するエレクトロニクス部品等が生み出されております。

また、主な各々の事業区分ごとの事業の流れは以下のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

24/09/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、穏やかな回復基調で推移しましたが、欧米における高い金利水準の継続や中国における景気減速懸念に伴う海外景気の下振れリスクが意識される等、先行きに対する不透明感が高まりました。

 

当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界では、スマートフォンやパソコン等の需要減速に伴う短期的な半導体メーカーの設備投資の鈍化がみられますが、中長期的には、生成AIへの期待等による半導体需要拡大が引き続き見込まれるとともに、地政学的リスク等に対応した世界各地での半導体工場新増設計画が進められています。また、エレクトロニクス業界では、グリーンエネルギー政策等に基づくEV導入促進政策の継続的な進展等に伴うパワーデバイス投資、スマート社会化構想等に基づくデジタル化の促進やメタバースの実現等に向けた各種電子デバイスの技術革新や増産のための投資、中国におけるエレクトロニクスの国産化政策に基づく投資等の継続的な拡大が続いています。そして、フラットパネルディスプレイ(FPD)業界においては、引き続き、タブレットやパソコン用のITパネルが液晶から有機ELへ転換する過渡期にあり、大型基板の有機EL投資が引き続き期待されます。また、産業用電池業界においても、EVバッテリーの小型大容量化や安全性向上の実現に向けた量産投資の本格化の兆候が引き続き認められています。

 

その結果、当連結会計年度につきましては、受注高は2,581億81百万円(前年同期比109億60百万円(4.4%)増)、売上高は2,611億15百万円(同335億87百万円(14.8%)増)となりました。また、損益面では、営業利益は297億71百万円(同98億25百万円(49.3%)増)、経常利益は297億85百万円(同69億5百万円(30.2%)増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は202億33百万円(同60億64百万円(42.8%)増)となりました。

 

企業集団の事業セグメント別状況は次のとおりであります。

 

「真空機器事業」

真空機器事業を品目別に見ますと下記のとおりです。

 

(FPD製造装置)

ITパネル用液晶ディスプレイ製造装置に関する投資は一段落しましたが、EVバッテリーの小型大容量化や安全性が向上したことによる量産投資が本格化しはじめたため、受注高は前年同期並み、売上高は前年同期を上回りました。

 

(半導体及び電子部品製造装置)

半導体製造装置については、先端ロジック及びメモリの投資が当連結会計年度の下期より回復したこと、電子部品製造装置については、パワーデバイスの投資が活発化したこと等により、受注高・売上高ともに前年同期を上回りました。

 

(コンポーネント)

EV用バッテリーや家電製品向けリークテスト装置等が好調に推移し、受注高・売上高ともに前年同期を上回りました。

 

(一般産業用装置)

高機能磁石製造装置や医療用凍結乾燥装置等が好調に推移し、受注高・売上高ともに前年同期を上回りました。

 

その結果、真空機器事業の受注高は2,071億56百万円、受注残高は1,259億68百万円、売上高は2,123億14百万円となり、261億46百万円の営業利益となりました。

 

 

「真空応用事業」

真空応用事業を品目別に見ますと下記のとおりです。

 

(材料)

FPD関連製品の工場稼働率の回復等により受注高・売上高ともに前年同期を上回りました。

 

(その他)

表面分析機器関連の受注高は前年同期を下回りましたが、高精細・高機能ディスプレイ向けマスクブランクス関連等が好調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。

 

その結果、真空応用事業の受注高は510億26百万円、受注残高は190億32百万円、売上高は488億1百万円となり、35億63百万円の営業利益となりました。

 

また、当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりとなりました。

資産合計は、前連結会計年度末に比べ351億79百万円増加し、3,886億53百万円となりました。これは、現金及び預金が20億65百万円減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が197億23百万円、棚卸資産が75億37百万円、有形固定資産が101億57百万円それぞれ増加したことなどによります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ123億6百万円増加し、1,609億26百万円となりました。これは、契約負債が39億39百万円、長期借入金が37億14百万円、賞与引当金が18億81百万円それぞれ増加したことなどによります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ228億73百万円増加し、2,277億27百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上を主な要因として利益剰余金が148億54百万円、為替換算調整勘定が59億76百万円それぞれ増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は56.7%となりました。今後もキャッシュ・フローマネジメントの強化等により、財務基盤の更なる強化を目指してまいります。

 

②キャッシュ・フロ-の状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が増加する一方で、税金等調整前当期純利益、減価償却費等を計上したこと等により、171億62百万円の収入となりました。中期経営計画において2026年6月期までの目標として掲げている営業キャッシュ・フロー630億円(3年間累計)の実現に向けて、引き続きキャッシュ・フローマネジメントの一層の強化に努めてまいります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、195億24百万円の支出となりました。

その結果、フリー・キャッシュ・フローは23億62百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、業績連動配当性向に基づいた配当金の支払などに充当し、27億84百万円の支出となりました。当社は株主の皆様への利益配分を最重要政策の一つと位置づけ、更なる成長により長期的な配当増額を目指しております。この一環として、2024年6月期より業績連動配当性向を引き上げ、35%以上を目途として実施する方針としております。

以上に加え、円安による為替影響23億69百万円を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ27億76百万円減少し、845億41百万円となりました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高

(百万円)

前年同期比

(%)

真空機器事業

215,723

114.2

真空応用事業

48,842

114.1

合計

264,565

114.1

 (注)金額は、販売価格をもって表示しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

真空機器事業

207,156

102.8

125,968

100.8

真空応用事業

51,026

111.6

19,032

118.8

合計

258,181

104.4

145,000

102.8

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前年同期比

(%)

真空機器事業

212,314

114.9

真空応用事業

48,801

114.1

合計

261,115

114.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な品目別販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

セグメントの名称

品目

当連結会計年度

販売高

(百万円)

割合

(%)

真空機器事業

FPD製造装置

55,085

25.9

半導体及び電子部品製造装置

95,913

45.2

コンポーネント

39,077

18.4

一般産業用装置

22,239

10.5

212,314

100.0

真空応用事業

材料

24,224

49.6

その他

24,577

50.4

48,801

100.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高は2,611億15百万円(前年同期比14.8%増)となりました。半導体及び電子部品製造装置において、先端ロジック・メモリ向けの投資が回復傾向にあることや、日本・中国のパワーデバイス投資活発化、FPD製造装置に含まれる産業用電池業界において、EVバッテリーの小型大容量化・安全性向上に向けた量産投資が本格化しはじめたことが主な要因となります。

営業利益率は11.4%(前年同期比2.6ポイント増)となり前年同期から改善しました。これは売上高の増加に加え、利益率の高い半導体及び電子部品製造装置の売上高が伸びたことが主な要因となります。

なお、研究開発費の総額は133億13百万円となり、前年同期から4億52百万円減少しました。研究開発費の売上高に対する比率は前年同期から1.0ポイント減少し5.1%となりました。研究開発力強化は、中期経営計画における主な取組みのひとつであり、将来の成長に向けた投資を引き続き強化しております。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当社グループは2024年6月期を初年度とする3年間の中期経営計画を策定して開示しましたが、この中期経営計画において、「真空技術による社会的価値創造」及び「利益・資本効率重視の経営」の2つの基本方針を掲げております。この方針のもと、売上高、売上総利益率、営業利益率、営業キャッシュ・フロー、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画上の財務モデルにおける指標としております。

中期経営計画3年目の数値目標については、売上高3,000億円、売上総利益率35%、営業利益率16%、3年間累計の営業キャッシュ・フロー630億円、ROE14%としております。この財務モデルの達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した具体的取組みにより、中長期の視点で成長を目指してまいります。

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 

・真空機器事業

当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上高は、前年同期比14.9%増の2,123億14百万円となりました。先端ロジック・メモリ向けの投資が回復傾向にあることや、日本・中国のパワーデバイス投資活発化、FPD製造装置に含まれる産業用電池業界において、EVバッテリーの小型大容量化・安全性向上に向けた量産投資が本格化しはじめたことが主な要因となります。

セグメント利益率については、当連結会計年度は12.3%と、前年同期の9.0%から改善しました。これは売上高の増加に加え、利益率の高い半導体及び電子部品製造装置の売上高が伸びたことが主な要因となります。

 

・真空応用事業

当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上高は、前年同期比14.1%増の488億1百万円となりました。FPD関連の顧客工場の稼働率回復等や、高精細・高機能ディスプレイ向けマスクブランクス関連等の売上高が好調に推移したことにより、当セグメントの売上高が増加しました。

セグメント利益率については、当連結会計年度は7.3%と、前年同期の7.8%から悪化しました。これは、相対的に利益率の低い製品の売上高増加が主な要因であります。

 

財政状態の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要は、新たな成長戦略の足がかりとなる研究開発投資や設備投資、事業により生じる運転資金に基づくもので、とりわけ成長事業として強化を図っていく半導体や電子分野の開発投資を拡大する予定です。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金などにより対応し、資金調達にあたっては、リファイナンスリスクの低減や返済負担の軽減を図るために、年度別の返済額の平準化に努めております。

また、欧米における高い金利水準の継続や中国における景気減速懸念に伴う海外景気の下振れリスクが意識される中、十分な手元流動性資金を確保するとともに、コミットメントラインを設定し追加資金を確保できる体制を整えており、当面安定的な経営が可能な状態にあります。事業環境の急激な変化にも対応できるよう、引き続き、適時に必要資金を確保できる体制を維持してまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。