売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01879 Japan GAAP

売上高

2,784.1億 円

前期

2,565.5億 円

前期比

108.5%

時価総額

6,073.5億 円

株価

4,292 (04/25)

発行済株式数

141,508,184

EPS(実績)

159.72 円

PER(実績)

26.87 倍

平均給与

780.5万 円

前期

773.0万 円

前期比

101.0%

平均年齢(勤続年数)

46.0歳(20.2年)

従業員数

5,238人(連結:10,063人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 azbilグループは、当社と子会社55社及び関連会社2社により構成され、人々の安心、快適、達成感と地球環境への貢献を目指す「人を中心としたオートメーション」を追求し、建物市場でビルディングオートメーション(BA)事業を、工業市場でアドバンスオートメーション(AA)事業を、ライフラインや生活に密着した市場において、ライフオートメーション(LA)事業を展開しております。その事業内容は、以下のとおりであります。BA事業では、ビルディングオートメーションシステム、セキュリティシステムから、アプリケーションソフト、コントローラ、バルブ、センサまでのフルラインナップを自社にて開発、製造し、また計装設計から販売、エンジニアリング、サービス、省エネソリューション、設備の運営管理までを一貫した体制で提供し、独自の環境制御技術で、快適で効率の良い執務・生産空間の創造と、環境負荷低減に貢献する事業を展開しております。AA事業では、石油、化学、鉄鋼、紙パルプ等の素材産業や、自動車、電気・電子、半導体、食品等の加工・組立産業の課題解決に向け、装置や設備の最適運用をライフサイクルで支援する製品やソリューション、計装・エンジニアリング、保守サービスを提供し、先進的な計測制御技術を発展させ、安全で人の能力を発揮できる生産現場の実現を目指すとともに、お客様との協働により新たな価値を創造する事業を展開しております。また、LA事業では、建物市場や工業市場で永年培った計測・制御・計量の技術を、ガス・水道等のライフライン、生活の場、ライフサイエンス研究、製薬・医療分野等に提供し、人々の活き活きとした暮らしに貢献する事業を展開しております。

 事業内容及びazbilグループの当該事業に係る位置付け並びにセグメントとの関連は、次のとおりであります。

セグメントの名称

主  要  製  品

主  要  会  社

ビルディングオートメーション事業

室内用温湿度センサ、天井用温度センサ、室内用温湿度調節器、赤外線アレイセンサ、WP(ワークプレース)センサ、デジタル設定器、マルチエリア対応ユーザターミナル、統合型ユーザターミナル、ビルディングオートメーションシステム、入退室管理システム、非接触ICカードリーダ、空調設備用コントローラ、熱源設備用コントローラ、吹出口ダンパ、流量計測制御機能付電動二方弁 等

当社

アドバンスオートメーション事業

自動調節弁、スマート・バルブ・ポジショナ、プロセス・コントローラ、グラフィカル調節計、デジタルマスフローコントローラ、計装ネットワークモジュール、差圧・圧力発信器、電磁流量計、渦流量計、協調オートメーションシステム、アジャスタブル近接センサ、光電スイッチ、アドバンストUVセンサ、リミットスイッチ、熱式微小液体流量計、重要プロセス変数変動監視システム、オンライン異常予兆検知システム 等

当社

アズビルトレーディング㈱

アズビルノースアメリカ㈱

アズビルプロダクションタイランド㈱

アズビル機器(大連)有限公司

ライフオートメーション事業

バリアシステム、凍結乾燥装置、クラウドサービス、マイコンメータ、超音波ガスメータ、膜式スマートメータ、高機能(普及型)膜式マイコンメータ、高圧ガバナ、電池電磁™水道メータ、電子式水道メータ、全館空調システム、全館空気清浄換気システム 等

当社

アズビル金門㈱

アズビルテルスター㈲

その他

保険代理業 等

 

(注)上記の4区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

23/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,969億3千万円(前連結会計年度は2,869億5千万円)と、前連結会計年度比3.5%の増加となりました。

 売上高につきましては、2,784億6百万円(前連結会計年度は2,565億5千1百万円)と、前連結会計年度比8.5%の増加となりました。

 損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比10.7%増加の312億5千1百万円(前連結会計年度は282億3千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比8.9%増加の321億4千万円(前連結会計年度は295億1千9百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比8.8%増加の226億2百万円(前連結会計年度は207億8千4百万円)となりました。

(単位:百万円)

 

2022年3月期
前連結会計年度

2023年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

286,950

296,930

9,979

3.5%

売上高

256,551

278,406

21,854

8.5%

営業利益

(利益率)

28,231

(11.0%)

31,251

(11.2%)

3,020

(0.2pp)

10.7%

 

経常利益

29,519

32,140

2,621

8.9%

親会社株主に帰属する
当期純利益

(利益率)

20,784

(8.1%)

22,602

(8.1%)

1,818

(0.0pp)

8.8%

 

 

 当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。

資産の状況

 当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて168億2千1百万円増加し、資産合計で2,968億7千3百万円となりました。これは主に、売上債権等が109億6千4百万円、棚卸資産が84億8千2百万円それぞれ増加したことによるものであります。

負債の状況

 当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて140億8千2百万円増加し、負債合計で909億9千3百万円となりました。これは主に、信託型従業員持株インセンティブ・プランの導入に伴い当社株式を取得するための必要資金を信託スキームにより借り入れたことなどにより長期借入金が33億2百万円増加したことに加え、製品保証引当金が24億3千5百万円、未払法人税等が19億3千4百万円、仕入債務が17億1千4百万円それぞれ増加したことによるものであります。

純資産の状況

 当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて27億3千8百万円増加し、純資産合計で2,058億8千万円となりました。これは主に株主資本が、取締役会決議に基づく自己株式の取得により99億9千9百万円、配当金の支払いにより86億1千4百万円、信託型従業員持株インセンティブ・プランにおける当社株式の取得及び売却により33億6千4百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により226億2百万円増加したことによるものであります。

 

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の71.5%から68.3%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は131億1千8百万円となり、前連結会計年度に比べて29億9千7百万円の増加となりました。これは主に、売上高及び受注高の増加を背景に当連結会計年度において売上債権の計上及び棚卸資産が増加したものの、税金等調整前当期純利益が増加したことに加えて、前連結会計年度においては当社の標準支払条件の変更により仕入債務の支払額が一時的に増加していたことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は19億7千7百万円となり、前連結会計年度に比べて20億1千3百万円の支出の減少となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が増加したことによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は196億9千4百万円となり、前連結会計年度に比べて8億9千万円の支出の減少となりました。これは主に、一部の海外子会社において短期借入れによる収入が増加したことによるものであります。

 

 以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より66億5千8百万円減少し、712億3千2百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

46,442

107.9

アドバンスオートメーション事業

37,373

118.8

ライフオートメーション事業

34,250

113.7

報告セグメント計

118,065

112.8

その他

合計

118,065

112.8

 (注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

ビルディングオートメーション事業

135,311

102.1

82,877

110.3

アドバンスオートメーション事業

113,968

104.0

53,427

126.1

ライフオートメーション事業

49,646

106.0

20,125

116.6

報告セグメント計

298,927

103.5

156,430

116.1

その他

56

104.0

0

133.0

消去

(2,053)

(401)

連結

296,930

103.5

156,029

116.2

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ビルディングオートメーション事業

128,561

107.3

アドバンスオートメーション事業

103,988

110.3

ライフオートメーション事業

47,915

108.3

報告セグメント計

280,464

108.6

その他

56

103.9

消去

(2,115)

連結

278,406

108.5

 (注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの会計上の見積りに与える影響は軽微と判断しております。

 

(請負工事に関する収益認識)

 請負工事契約については、履行義務の充足に係る工事の進捗度を合理的に見積もり、履行義務を充足する一定の期間にわたり収益を認識しております。工事の進捗度の見積りは主に、当連結会計年度末までに実施した工事に関して発生したコストが見積総原価に占める割合に基づく方法(インプット法)によっております。

 なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗度について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(受注損失引当金)

 受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。

 なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当金残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 azbilグループを取り巻く事業環境は、国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、換気改善、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も着実に増加いたしました。生産設備向けの各種計測制御機器・システムにつきましては、第3四半期以降、半導体製造装置など一部の市場において市況が悪化いたしましたが、新型コロナウイルス感染拡大時における設備投資低迷からの緩やかな回復や工場・プラントのDX化に向けた需要の拡大を受けて、通期での設備投資需要は高い水準を維持しました。

 その結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。

 受注高は、ビルディングオートメーション(BA)事業が首都圏における都市再開発案件や海外での需要回復を主因に増加しました。アドバンスオートメーション(AA)事業は一部の製造装置市場が減速しましたが、製造業全体では需要が継続し、受注が増加しました。加えてガス・水道メータ分野での受注拡大を主因にライフオートメーション(LA)事業も増加したことから、全体として前連結会計年度比3.5%増加の2,969億3千万円(前連結会計年度は2,869億5千万円)となりました。また売上高につきましても、前年度における受注増加を背景にBA事業・LA事業が増加し、部品調達難への対応、生産能力の強化により、AA事業の売上高が第2四半期以降、回復、増加に転じたことから、3事業全てで増加し、前連結会計年度比8.5%増加の2,784億6百万円(前連結会計年度は2,565億5千1百万円)となりました。

 損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画施策に沿った研究開発費の計上に加えて、部品調達難に伴う費用や経費の増加等がありましたが、増収及び収益性改善により前連結会計年度比10.7%増加の312億5千1百万円(前連結会計年度は282億3千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比8.9%増加の321億4千万円(前連結会計年度は295億1千9百万円)となり、特別損失にて製品保証引当金繰入額※1を計上する一方で投資有価証券の売却益を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比8.8%増加の226億2百万円(前連結会計年度は207億8千4百万円)となりました。

 

※1 製品保証引当金繰入額:

当社グループが製造したLPガスメータ(LA事業)の一部に発生した不具合に対応するため、製品保証引当金繰入額(24億9千5百万円)を特別損失として計上しております。

 

 セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりであります。

 

ビルディングオートメーション(BA)事業

 BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、首都圏における都市再開発案件や工場向け空調の需要が継続しています。省エネ・CO排出量削減に対する需要も継続しており、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応したビル環境に対する新たなソリューションへの関心も高まっています。また、海外市場においては、新型コロナウイルス感染症による建築計画順延・工事遅延等の影響からの着実な回復が見られました。

 こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。

 この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 受注高は、前連結会計年度における複数年サービス契約の更新の反動がありましたが、堅調な市場環境を背景に、新築大型建物向けに機器・システムを販売・施工する分野と海外事業が伸長しました。また、換気改善、省エネ・CO排出量削減等のソリューション需要の高まりから既設建物の改修に関する分野も増加し、全体としては前連結会計年度比2.1%増加の1,353億1千1百万円(前連結会計年度は1,325億1千1百万円)となりました。売上高は、前連結会計年度末における受注残を背景とする新築大型建物向け分野の増加及び海外事業の伸長を主因に、あわせて既設、サービス分野も増加したことから、前連結会計年度比7.3%増加の1,285億6千1百万円(前連結会計年度は1,197億6千4百万円)となりました。セグメント利益は、研究開発費やその他経費の増加がありましたが、増収及び採算性改善施策の効果により前連結会計年度比16.0%増加の160億7千4百万円(前連結会計年度は138億6千2百万円)となりました。

 中長期的には大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されています。BA事業では、納入実績等を基にこれらの需要を確実に獲得してまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO排出量削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する換気・入退室管理等の安全・安心ニーズ、さらには利便性や快適性を備え、新しい働き方にも適応するオフィス需要等に対し、リモートメンテナンス、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、DXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期
前連結会計年度

2023年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

132,511

135,311

2,800

2.1%

売上高

119,764

128,561

8,796

7.3%

セグメント利益

(利益率)

13,862

(11.6%)

16,074

(12.5%)

2,211

(0.9pp)

16.0%

 

 

アドバンスオートメーション(AA)事業

 AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、第3四半期以降、第2四半期までにあった先行発注の反動や半導体製造装置市場の市況悪化がありましたが、コロナ禍からの緩やかな回復もあり、製造業全般では設備投資が高い水準を維持しました。

 こうした事業環境のもと受注は引き続き高い水準を維持しました。売上高及びセグメント利益については、前年度から続く部品調達難の影響を第1四半期で大きく受けましたが、第2四半期以降、部品調達難に改善が見られるとともに、製品の設計変更をはじめとした各種の対策により、生産の回復が着実に進み、第3四半期・第4四半期は前年同期を大きく上回る改善を実現しました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 受注高は、製造業全般における設備投資需要の回復による増加や継続した海外での事業拡大により、前連結会計年度比4.0%増加の1,139億6千8百万円(前連結会計年度は1,095億6千2百万円)となりました。売上高は、部品調達難の影響を受けましたが、生産・調達面での対策により徐々に回復し、通期では前連結会計年度比10.3%増加の1,039億8千8百万円(前連結会計年度は942億7千6百万円)となりました。セグメント利益は、当連結会計年度全般を通じて部品価格高騰の影響を受けましたが、収益性改善の取組みに加えて、第2四半期からの生産回復による増収により前連結会計年度比10.1%増加の145億7千9百万円(前連結会計年度は132億3千6百万円)となりました。

 AA事業では、短期的には半導体製造装置市場を中心に市況悪化の傾向が見られますが、豊富な受注残を背景に生産の回復に伴う売上高及びセグメント利益の改善が今後見込まれます。また、中長期的には、海外での顧客カバレッジの拡大を通じて継続した事業成長が見込まれ、また人手不足、脱炭素化への対応、新技術の導入による生産性向上等を目的とした生産ラインの自動化に係る投資の拡大、すなわち工場向けオートメーション市場の拡大が期待できます。引き続き3つの事業単位※2(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、脱炭素社会に向けた対応等の新しいオートメーションが求められるなか、先進的なオートメーションの展開を通じて、更なる事業成長を目指してまいります。

 

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期
前連結会計年度

2023年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

109,562

113,968

4,406

4.0%

売上高

94,276

103,988

9,711

10.3%

セグメント利益

(利益率)

13,236

(14.0%)

14,579

(14.0%)

1,342

(△0.0pp)

10.1%

 

 

※2 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」

CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)

IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)

SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリング・サービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)

 

ライフオートメーション(LA)事業

 LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。

 売上の大半を占めるガス(都市ガス/LPガス)・水道等のライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメータ市場が循環的な不需要期にあります。一方、ライフサイエンスエンジニアリング分野では、製薬プラント設備への投資が継続しています。こうした事業環境を背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 受注高は、ライフライン分野での増加を主因に前連結会計年度比6.0%増加の496億4千6百万円(前連結会計年度は468億4千5百万円)となりました。売上高は、受注増加によりライフライン分野が増加し、ライフサイエンスエンジニアリング分野も前連結会計年度における受注増加を背景に増加したことから、前連結会計年度比8.3%増加の479億1千5百万円(前連結会計年度は442億3千8百万円)となりました。セグメント利益は、増収ながら、欧州におけるインフレの影響を主因として人件費・経費が増加し、素材価格高騰、エネルギーコスト・輸送費も増加したことにより前連結会計年度比48.9%減少の5億8千8百万円(前連結会計年度は11億5千1百万円)となりました。

 LA事業では、ライフサイエンスエンジニアリング分野において欧州における急速なインフレ進行による費用増加の影響が懸念されますが、適切なコスト管理、価格転嫁等に取り組んでまいります。また、LPガスメータの一部に発生した不具合については、対策実施に関わる費用として製品保証引当金繰入額を特別損失として計上しております。LA事業におきましては、品質管理も含め、抜本的なコスト管理を通じて収益の安定化に取り組んでまいります。なお、これらと並行しつつ、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メータからのデータを活用したサービスプロバイダとしての新たな事業の創出にも取り組んでまいります。

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期
前連結会計年度

2023年3月期
当連結会計年度

増減

増減率

受注高

46,845

49,646

2,801

6.0%

売上高

44,238

47,915

3,677

8.3%

セグメント利益

(利益率)

1,151

(2.6%)

588

(1.2%)

△562

(△1.4pp)

△48.9%

 

 

2023年度の見通し

 azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定、目標達成に向けた取組みを進めております。持続可能な社会の実現に向けて、現在、様々な社会課題やお客様の課題が生まれており、こうした課題への解決策を提供できるオートメーションの役割が拡大、需要の増加が期待されます。中期経営計画では、こうした事業機会を捉え、当社グループならではの技術・製品・サービスを活かした新たな課題の解決策を提供することにより自らの持続的な成長を目指しております。

 当社グループを取り巻く次期の事業環境は、部品不足・価格高騰影響の一部継続やインフレの拡大、地政学リスクの高まりなど、不透明な状況が継続すると思われます。大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は引き続き堅調さが見込まれますが、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましては、半導体製造装置市場等における市況悪化が継続するものと思われます。

 2023年度の業績につきましては、こうした事業環境の不透明さを前提としつつも、期首における豊富な受注残を、前年度における調達・生産プロセスの改善により着実に売上高へ転化することにより引き続き増収を計画いたします。利益面につきましても、これまで取り組んできた事業収益力強化施策に加え、DX推進を通じた業務効率化や適切な価格転嫁の進捗により、研究開発・設備・人的資本等への成長投資による経費負担増を上回る増益を目指します。

 BA事業では、大型建物向けの空調制御機器・システムの需要が引き続き高い水準で推移しております。こうした事業環境のもと、新築建物における期首受注残の積み上がりと、収益性の良い既設建物の改修需要並びにサービスの拡大を背景に、下期では前年同期の売上高水準をやや下回るものの、年度を通して全体で増収を見込みます。一方、セグメント利益につきましては、外注費用等の増加により若干の減少となる見込みです。

 AA事業は、製造業の設備投資需要に不透明感がありますが、豊富な受注残を背景に、前年度における調達・生産プロセスの改善のもと、着実に売上を計上することで増収を見込みます。セグメント利益についても、増収並びに価格転嫁を含めた収益力強化の取組みにより増益を計画いたします。

 LA事業は、期首受注残の状況やガス・水道メータにおける需要動向から、売上高はほぼ前年度並みとなる見込みですが、市場環境変化に対する抜本的なコスト管理を推進し、プロジェクト管理の強化や価格転嫁によりセグメント利益は改善を見込みます。

 なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

2023年3月期

実績

2024年3月期

見通し

増減

増減率

ビルディング
オートメーション事業

売上高

1,285

1,300

14

1.1%

セグメント利益

(利益率)

160

(12.5%)

156

(12.0%)

△4

(△0.5pp)

△2.9%

 

アドバンス

オートメーション事業

売上高

1,039

1,060

20

1.9%

セグメント利益

(利益率)

145

(14.0%)

155

(14.6%)

9

(0.6pp)

6.3%

 

ライフ
オートメーション事業

売上高

479

480

0

0.2%

セグメント利益

(利益率)

5

(1.2%)

9

(1.9%)

3

(0.6pp)

52.8%

 

その他

売上高

0

1

0

75.7%

セグメント利益

(利益率)

△0

(△2.6%)

0

(0.0%)

0

(2.6pp)

 

連結

売上高

2,784

2,820

35

1.3%

営業利益

(利益率)

312

(11.2%)

320

(11.3%)

7

(0.1pp)

2.4%

 

経常利益

321

321

△0

△0.1%

親会社株主に帰属

する当期純利益

(利益率)

226

(8.1%)

238

(8.4%)

11

(0.3pp)

5.3%

 

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。

 当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は88億1千2百万円で、前連結会計年度末に比べて7億6千6百万円増加しております。

 他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は108億4千4百万円、研究開発費の総額は123億7千1百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。

 株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする長期目標として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画においては、最終年度に売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。

※ 2021年5月14日、当社グループは長期目標、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。