売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01903 Japan GAAP

売上高

2,219.9億 円

前期

2,066.0億 円

前期比

107.4%

時価総額

4,008.3億 円

株価

2,271.5 (07/12)

発行済株式数

176,461,960

EPS(実績)

96.49 円

PER(実績)

23.54 倍

平均給与

903.4万 円

前期

899.7万 円

前期比

100.4%

平均年齢(勤続年数)

42.1歳(15.3年)

従業員数

3,720人(連結:5,891人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、子会社31社の合計32社(2024年3月31日現在)で構成されており、医用電子機器の研究開発・製造・販売および修理・保守等の事業活動を展開しています。当連結会計年度において、2023年4月に米国子会社を再編し、日本光電オレンジメッド㈱を中間持株会社とし、日本光電アメリカ、ニューロトロニクス、日本光電デジタルヘルスソリューションズ、アンプスリーディ、日本光電イノベーションセンタを株式会社からLLCに組織変更するとともに、リサシテーションソリューション㈱を解散しました。持株会社体制への移行が完了したことから、2024年1月に日本光電オレンジメッド㈱を日本光電ノースアメリカ㈱に商号変更するとともに会社分割し、新設会社である日本光電オレンジメッド LLCに人工呼吸器事業を承継しました。また、2023年4月にNKSバンコク㈱は日本光電タイランド㈱に社名変更しました。

 当社グループの事業における位置付けは、次のとおりです。
 日本では、当社および日本光電富岡㈱が医用電子機器の研究開発・製造を行っています。また、㈱日本バイオテスト研究所が免疫化学製品の開発・製造・販売、㈱ベネフィックスが医療情報システム製品の製造・販売を行っています。㈱イー・スタッフは、当社グループの総務関連・派遣業務を行っています。また、当社の12支社支店は販売を行っています。
 北米では、日本光電ノースアメリカ㈱が米国における子会社の経営管理を担っています。デフィブテック LLCは救命救急医療機器、日本光電オレンジメッド LLCは人工呼吸器の開発・製造・販売を行っています。日本光電デジタルヘルスソリューションズ LLC、アンプスリーディ LLC、ニューロトロニクス LLCおよび日本光電イノベーションセンタ LLCは医用電子機器・ソフトウェアの研究開発を行っています。日本光電アメリカ LLCは販売・販売促進を行っています。
 その他の地域では、上海光電医用電子儀器㈲が医用電子機器の開発・製造・販売を行っています。日本光電マレーシア㈱は医用電子機器の製造・販売・販売促進を行っています。日本光電インディア㈱、日本光電ミドルイースト㈱は医用電子機器の販売および試薬の製造・販売、日本光電フィレンツェ㈲は試薬の製造・販売を行っています。ソフトウェアチーム㈲は医用電子機器用ソフトウェアの開発・販売を行っています。中南米では日本光電ブラジル㈲など3社、欧州では日本光電ヨーロッパ㈲など6社、アジア州他では日本光電シンガポール㈱など4社が、販売・販売促進を行っています。
 これまで、当社グループは、医用電子機器関連事業の単一セグメントとして、開発・製造・販売の機能別分社制度を採用し事業運営を行ってきました。また、海外事業の一層の拡大に向け、現地開発・生産・販売機能の強化およびシナジー創出に取り組んできました。米国では、ガバナンスの強化および運営効率の向上を図るため、2023年4月に米国子会社を再編し、持株会社体制に移行しました。2024年1月に本米国事業再編が完了し、各地域を区分して開発・製造・販売を包括的にマネジメントする体制に移行したことから、第3四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を「日本」、「北米」、「その他の地域」の3区分に変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「(1)報告セグメントの概要」に記載しています。

 

 以上に述べた事業の系統図は次のとおりです。

 2024年3月31日現在

 

※画像省略しています。
24/06/27

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、欧米での金融引き締めや地政学リスクの高まりもあり、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、各都道府県において医療提供体制の見直しが進められるとともに、本年4月に施行された「医師の働き方改革」に向けたタスクシフトや業務の効率化が推進されました。医療機器業界においても、各企業は医療の質向上と効率化に寄与するソリューション提案がより一層求められる状況となりました。海外では、欧米における看護師不足や物価上昇、中国における景気減速や反腐敗運動の影響がある中、先進国、新興国ともに医療従事者の負荷軽減に資する医療機器の需要は概ね堅調に推移しました。

 このような状況下、当社グループは、2023年度を最終年度とする3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」を推進し、事業と企業活動を通じたサステナビリティを推進するため、「コンプライアンスの徹底とグループガバナンスの一層の強化」「既存事業の収益性の改善と戦略的な先行投資」「グローバル・サプライチェーン・マネジメント(SCM)の構築とコーポレート主要機能の強化」に取り組みました。商品面では、当社初となる全静脈麻酔支援シリンジポンプ制御ソフトウェアを国内市場に投入するとともに、北米で開発した在宅睡眠記録装置や次世代自動心臓マッサージ装置、上海で開発した普及タイプのベッドサイドモニタを発売しました。さらに、昨年4月に米国子会社を再編し、本年1月に持株会社体制への移行を完了するなど、海外事業の基盤強化を図りました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は前期比7.4%増の2,219億8千6百万円となりました。利益面では、在庫の評価減の増加による売上原価率の上昇、人員の増強および研究開発投資に伴う販管費の増加により、営業利益は前期比7.2%減の195億9千1百万円となりました。経常利益は、為替差益の計上により前期比6.1%増の255億8千9百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、退職給付制度改定益を特別利益に計上した一方で、一部子会社での税引前当期純損失の影響により税負担率が上昇し、前期比0.5%減の170億2千6百万円となりました。

 

<市場別の状況>
 国内市場においては、急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化するとともに、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案を推進、消耗品・サービス事業の強化に注力した結果、全ての市場、全ての商品群で売上を伸ばすことが出来ました。市場別には、ITシステム商談が売上をけん引し、官公立病院、私立病院市場が好調に推移しました。診療所市場も好調だったほか、大学市場も堅調に推移しました。商品別には、生体計測機器、治療機器が好調だったほか、生体情報モニタ、その他商品群も堅調に推移しました。この結果、国内売上高は前期比4.9%増の1,423億7千万円となりました。
 海外市場においては、米国子会社再編に伴うデフィブテック LLCの決算期変更の影響(※)や円安効果もあり、二桁成長となりました。米州では、北米、中南米ともに二桁成長となりました。北米では、生体情報モニタは前期実績を下回りましたが、治療機器が大幅増収となりました。中南米では、コスタリカで大口商談を受注したほか、メキシコ、コロンビアが好調に推移しました。欧州は、現地通貨ベースでは前期実績を下回りましたが、円ベースでは増収となりました。オランダ、イタリアは好調でしたが、ロシア、ドイツが減収となりました。アジア州他では、モロッコでの大口商談の受注もあり中近東・アフリカが大幅増収となったほか、台湾、ベトナムも好調に推移しました。中国は、第3四半期からの反腐敗運動の影響もあり減収となりました。この結果、海外売上高は前期比12.3%増の796億1千5百万円となりました。

※米国子会社再編に伴い、デフィブテック LLCの決算日を12月31日から3月31日に変更しています。当連結会計年度は、2023年1月1日から2024年3月31日までの15ヵ月決算を連結しています。

 

<商品群別の状況>

[生体計測機器]国内では、診断情報システム、脳神経系群が二桁成長となりました。心臓カテーテル検査装置群も好調に推移し、心電計群も堅調でした。海外では、心電計群はアジア州他、欧州で減収となった一方、脳神経系群が欧州、アジア州他で好調に推移しました。この結果、売上高は前期比7.5%増の465億1千7百万円となりました。

[生体情報モニタ]国内では、臨床情報システムが大幅増収となり、センサ類など消耗品も堅調に推移しました。送信機、ベッドサイドモニタは前期実績を下回りました。海外では、中南米で大口商談の受注もあり大幅増収となりました。欧州、アジア州他では、円ベースで増収となったものの、現地通貨ベースでは減収となり、北米も前期実績を下回りました。この結果、売上高は前期比4.1%増の841億3千万円となりました。

[治療機器]国内では、ペースメーカ・ICD、その他に含まれるアブレーションカテーテル、除細動器が好調に推移し、AEDも堅調でした。海外では、デフィブテック LLCのAED、マスク型人工呼吸器が大幅増収となりました。この結果、売上高は前期比16.2%増の516億6千5百万円となりました。

[その他]国内では、医療機器の設置工事・保守サービス、検体検査装置・試薬が好調に推移した一方、現地仕入品は減収となりました。海外では、アジア州他で検体検査装置・試薬が好調に推移しました。この結果、売上高は前期比4.3%増の396億7千3百万円となりました。

 

売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。

 

 

金額(百万円)

対前期増減率(%)

生体計測機器

46,517

+  7.5

生体情報モニタ

84,130

+  4.1

治療機器

51,665

+ 16.2

その他

39,673

+  4.3

合 計

221,986

+  7.4

 機器

115,638

+  6.2

 消耗品・サービス

106,347

+  8.9

 

 

  (参考)地域別売上高

 国内売上高

142,370

+  4.9

 海外売上高

79,615

+ 12.3

  北米

37,058

+ 14.7

  中南米

6,039

+ 33.8

  欧州

13,104

+  6.1

  アジア州他

23,413

+  7.9

 

※米国事業再編が完了したことから、米州を北米と中南米に分けて開示しています。

 

区 分

内 容

生体計測機器

脳波計、筋電図・誘発電位検査装置、心電計、心臓カテーテル検査装置、診断情報システム、関連の消耗品(記録紙、電極、電極カテーテルなど)、保守サービスなど

生体情報モニタ

心電図、呼吸、SpO(動脈血酸素飽和度)、NIBP(非観血血圧)等の生体情報を連続的にモニタリングする生体情報モニタ、臨床情報システム、関連の消耗品(電極、センサなど)、保守サービスなど

治療機器

除細動器、AED(自動体外式除細動器)、人工呼吸器、心臓ペースメーカ、麻酔器、人工内耳、関連の消耗品(電極パッド、バッテリ、アブレーションカテーテルなど)、保守サービスなど

その他

血球計数器、臨床化学分析装置、超音波診断装置、消耗品(試薬、衛生用品など)、設置工事・保守サービスなど

 

 

 これまで、当社グループは、医用電子機器関連事業の単一セグメントとして、開発・製造・販売の機能別分社制度を採用し事業運営を行ってきました。また、海外事業の一層の拡大に向け、現地開発・生産・販売機能の強化およびシナジー創出に取り組んできました。米国では、ガバナンスの強化および運営効率の向上を図るため、2023年4月に米国子会社を再編し、持株会社体制に移行しました。2024年1月に本米国事業再編が完了し、各地域を区分して開発・製造・販売を包括的にマネジメントする体制に移行したことから、第3四半期連結会計期間より、報告セグメントを「日本」、「北米」、「その他の地域」の3区分に変更することといたしました。報告セグメント別の経営成績は次のとおりです。

(日本)売上高は1,439億3千9百万円(前期比5.2%増)、セグメント利益は206億5百万円(同8.4%減)となりました。

(北米)売上高は419億9千6百万円(同19.2%増)、セグメント損失は22億3百万円(前期は11億8千2百万円の損失)となりました。

(その他の地域)売上高は360億5千万円(同4.3%増)、セグメント利益は23億9百万円(同57.0%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ165億4百万円増加し、2,332億3千3百万円となりました。
 流動資産は前連結会計年度末に比べ118億3千3百万円増加し、1,843億3千3百万円となりました。これは売上の増加により現金及び預金や売掛金、有価証券(譲渡性預金)が増加したことなどによるものです。
 固定資産は前連結会計年度末に比べ46億7千1百万円増加し、488億9千9百万円となりました。これは繰延税金資産が減少した一方で、退職給付制度の変更の影響により退職給付に係る資産が増加したことなどによるものです。
 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ30億2千6百万円増加し、521億5千1百万円となりました。これは未払法人税等が増加したことなどによるものです。
 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ134億7千8百万円増加し、1,810億8千2百万円となりました。これは、利益剰余金が増加したことなどによるものです。
 これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ166.10円増加して2,158.40円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の77.3%から0.3ポイント増加し77.6%となりました。
 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ58億8千9百万円増加して498億7千7百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は、156億7百万円(前期は25億1千3百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益293億6千9百万円、棚卸資産の減少38億5千9百万円、売上債権の増加40億8千8百万円、仕入債務の減少49億3千3百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、前期比24億3千9百万円減の52億8百万円となりました。主な内訳は、生産設備などの有形固定資産の取得36億2千6百万円、PLM/MESシステムなどの無形固定資産の取得11億6千万円などです。

※PLM(Product Life-cycle Management):製品ライフサイクル管理、MES(Manufacturing Execution System):製造実行システム。

 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
  財務活動の結果使用した資金は、前期比5億1千7百万円減の69億6千8百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払59億6千8百万円、自己株式の取得11億2千4百万円などです。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

 当連結会計年度における生産、受注および販売の状況をセグメントごとに示すと次のとおりです。

 

  イ. 生産実績

区分

金額(百万円)

前期比(%)

日本

74,656

100.6

北米

12,382

167.0

その他の地域

3,236

86.6

合計

90,275

105.8

 

  (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。

         2 上記金額には、商品購入高が合計で30,598百万円含まれています。

         3 上記金額は、製造原価によっています。

 

 ロ.受注実績

当社グループの商品は、需要予測による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 ハ.販売実績

区分

 金額(百万円)

前期比(%)

日本

143,939

105.2

北米

41,996

119.2

その他の地域

36,050

104.3

合計

221,986

107.4

 

  (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。

         2 上記金額は、販売価格によっています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。当連結会計年度において、報告セグメントの区分を「日本」、「北米」、「その他の地域」の3区分に変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「(1)報告セグメントの概要」に記載しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債であり、見積りおよび判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っています。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

イ.当連結会計年度の経営成績および「BEACON 2030 Phase I」の進捗状況

 当連結会計年度においては、日本では、各都道府県において医療提供体制の見直しが進められるとともに、医師の働き方改革に向けたタスクシフトや業務の効率化が推進されました。医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案を推進、消耗品・サービス事業の強化に注力した結果、全ての市場、全ての商品群で売上を伸ばし、期初計画を上回ることが出来ました。北米では、米国子会社再編に伴うデフィブテック LLCの決算期変更の影響や円安効果もあり、二桁成長となりました。治療機器が好調に推移し期初計画を上回って推移した一方、生体情報モニタは医療機関の経営悪化や大口商談の期ずれもあり前期実績および期初計画を下回りました。その他の地域においては、中南米や中近東・アフリカで大口商談の受注もあり好調に推移し、期初計画を上回ることが出来ました。一方で、中国は第3四半期からの反腐敗運動の影響もあり、前期実績および期初計画を下回りました。以上の結果、2024年3月期の業績は、国内売上高は好調に推移した一方、注力する米国や中国の市場環境の変化もあり、海外売上高は為替影響を除く実質ベースでは計画未達となりました。

 商品群別では、生体計測機器は、国内で診断情報システムや脳神経系群、海外で脳神経系群が好調に推移したことから、前期比7.5%の増収となりました。国内では診断情報システムや消耗品が好調に推移し、海外では脳神経系群が底固い需要に支えられたことから、計画を上回ることが出来ました。生体情報モニタは、国内で臨床情報システムが大幅増収、センサ類など消耗品も堅調に推移したほか、海外で大口商談や円安効果もあり、前期比4.1%の増収となりました。一方で、北米における医療機関の経営悪化や大口商談の期ずれもあり、計画を下回って推移しました。治療機器は、国内でペースメーカ・ICD、アブレーションカテーテル、除細動器が好調に推移し、海外でAED、人工呼吸器が大幅増収となったことから、前期比16.2%の増収となり、期初計画を大きく上回ることが出来ました。その他商品群は、国内で医療機器の設置工事・保守サービス、検体検査装置・試薬が好調に推移し、海外で検体検査装置・試薬が前期実績を上回ったことから、前期比4.3%の増収となり、計画を上回りました。

 営業利益については、実質売上の未達に加え、在庫評価減の増加に伴う売上原価率の上昇、人員増や賃上げ、インフレによる販管費の増加により、前期実績および計画を下回りました。

 2024年度は、4月から新中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」をスタートしました。全社収益改革を実行することで成長領域への投資を本格化するとともに、新たな事業モデルの構築および既存事業との連携を強化します。利益面では、在庫の評価減の減少により売上総利益率の改善を想定しています。販管費は、賃上げ等による人件費の増加を見込んでいますが、全社収益改革プロジェクトにおいて人員生産性の向上に注力します。

 

ロ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 事業への資源配分については、新製品の投入による売上、利益の成長に資する投資を最優先としながら、研究開発や設備投資、M&A・提携、人財育成など将来の企業成長のために必要な資源配分を安定的かつ継続的に実施します。設備投資は103億円程度、研究開発費は75億円程度を計画しています。

 株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しています

 資金調達については、当社グループの主な運転資金および設備資金として自己資金を充当しており、M&Aや新規事業など資金調達が必要になった場合には、資金需給のバランスを見ながら、借入を資金調達の有効な手段として検討し、負債コストも考慮した加重平均資本コストの最適化を図ります。

 また、当社グループでは、財務健全性を維持した持続的成長と企業価値の向上を目指して、資金の効率化と流動性の確保に努めています。資金の効率化については、キャッシュ・コンバージョン・サイクルを指標とし、売上債権回収の早期化や棚卸資産の適正化により、運転資金の効率化を図っています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。安定的な経営に必要な手元現預金の水準は、概ね月商の3ヵ月程度と考えています。当連結会計年度末における流動比率は、369.4%となっており、十分な流動性を確保しています。なお、資金の流動性を確保するため、複数の取引金融機関と当座貸越契約を締結しています。

 

ハ.経営指標の分析

 当社は、企業価値・株主価値増大に向けて連結ROE(連結自己資本当期純利益率)を重要な経営指標としており、2024年4月からスタートした3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」において、資本コストを上回る12%を目標としています。資本コストは毎年見直しており、現在5%前後と見ています。

 中期経営計画の推進による利益率の改善を最優先としつつ、日本光電版ROICの導入、在庫圧縮や債権回収の早期化などキャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮による運転資本の改善、投資判断基準の設定、株主還元の充実等により、経営指標の達成を目指します。

 当連結会計年度の連結ROEは、営業利益が計画を下回ったこともあり、目標としていた10%を下回る9.8%となりました。

 2020年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要増加や半導体の需給ひっ迫に対応するため、部品や製品の在庫を積み増したことから、キャッシュ・コンバージョン・サイクルが長期化し、2023年度は232日となりました。2024年度は、本年4月に新設した生産本部を中心に在庫管理を強化するとともに、債権回収を早期化し、2021年度水準である190日への回復を目指します。

 また、成長投資による企業価値向上に向けて、2022年度に投資判断基準に正味現在価値(NPV)と内部収益率(IRR)を採用し、新規投資案件の評価を開始しています。Phase IIでは、資本コストを上回る12%をIRRの目標とします。一定額を超える投資案件の場合、投資後の進捗状況、効果を毎年取締役会で検証しています。