売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01903 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間において、欧米での金融引き締めや地政学リスクの高まりもあり、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、各都道府県において医療提供体制の見直しが進められるとともに、本年4月に施行予定の「医師の働き方改革」に向けたタスクシフトや業務の効率化が推進されています。医療機器業界においても、各企業は医療の質向上と効率化に寄与するソリューション提案がより一層求められる状況となりました。海外では、欧米において看護師不足や物価上昇の影響が残る中、先進国、新興国ともに医療従事者の負荷軽減に資する医療機器の需要は概ね堅調に推移しました。

 このような状況下、当社グループは、2023年度を最終年度とする3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase I」を推進し、事業と企業活動を通じたサステナビリティを推進するため、「コンプライアンスの徹底とグループガバナンスの一層の強化」「既存事業の収益性の改善と戦略的な先行投資」「グローバルSCMの構築とコーポレートの主要機能の強化」に取り組みました。

 国内市場においては、急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化するとともに、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案の推進、消耗品・サービス事業の強化に注力した結果、全ての市場、全ての商品群で売上を伸ばすことが出来ました。市場別には、新築移転に伴う大口商談の受注もあり、大学、私立病院市場が好調に推移しました。官公立病院、診療所市場も堅調でした。商品別には、生体計測機器、治療機器が好調だったほか、生体情報モニタ、その他商品群も堅調に推移しました。この結果、国内売上高は985億9千8百万円(前年同期比5.4%増)となりました。

 海外市場においては、米国子会社再編に伴うデフィブテック LLCの決算期変更の影響(※)や円安効果もあり、二桁成長となりました。米州では、米国、中南米ともに二桁成長となりました。米国では、生体情報モニタは前年同期実績を下回りましたが、治療機器、生体計測機器が大幅増収となりました。中南米は、コロンビア、メキシコを中心に好調に推移しました。欧州は、現地通貨ベースでは前年同期実績を下回りましたが、円ベースでは増収となりました。イギリス、オランダは好調でしたが、ドイツが好調だった前年同期実績を下回りました。アジア州他では、マレーシアが好調に推移し、モロッコでの大口商談の受注も寄与しました。中国は、当第3四半期からの反腐敗運動の影響もあり、売上高の伸びが鈍化しました。商品別には、全ての商品群が増収となりました。治療機器においてデフィブテック LLCのAED、マスク型人工呼吸器が大幅増収、生体計測機器も二桁成長となりました。生体情報モニタ、その他商品群は、現地通貨ベースでは前年同期実績を下回りましたが、円ベースでは増収となりました。この結果、海外売上高は575億7千1百万円(同12.9%増)となりました。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,561億6千9百万円(同8.0%増)となりました。利益面では、人員の増強や研究開発投資に加え、当第3四半期から開始した全社収益改革に係る費用により、販管費が増加したことから、営業利益は105億1千5百万円(同7.6%減)となりました。売上原価率につきましては、部材価格の上昇影響を価格適正化の取り組みで相殺できたものの、自社品内の売上構成が変化したことから、上昇しました。経常利益は132億5千8百万円(同4.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は79億2千6百万円(同10.5%減)となりました。

(※)米国子会社再編に伴い、デフィブテック LLCの決算日を12月31日から3月31日に変更しています。当第3四半期連結累計期間は、2023年1月1日から2023年12月31日までの12ヵ月決算を連結しています。

 

売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。

 

金額(百万円)

対前年同期増減率(%)

 生体計測機器

33,021

+  8.7

 生体情報モニタ

57,908

+  3.5

 治療機器

38,258

+ 20.0

 その他

26,980

+  2.5

 合 計

156,169

+  8.0

  機器

78,302

+  6.4

  消耗品・サービス

77,866

+  9.8

 

 

  (参考)地域別売上高

  国内売上高

98,598

+  5.4

  海外売上高

57,571

+ 12.9

   米州

30,557

+ 20.6

   欧州

9,835

+  4.6

   アジア州他

17,177

+  5.7

 

 

区 分

 内 容

生体計測機器

脳波計、筋電図・誘発電位検査装置、心電計、心臓カテーテル検査装置、診断情報システム、関連の消耗品(記録紙、電極、電極カテーテルなど)、保守サービスなど

生体情報モニタ

心電図、呼吸、SpO(動脈血酸素飽和度)、NIBP(非観血血圧)等の生体情報を連続的にモニタリングする生体情報モニタ、臨床情報システム、関連の消耗品(電極、センサなど)、保守サービスなど

治療機器

除細動器、AED(自動体外式除細動器)、人工呼吸器、心臓ペースメーカ、麻酔器、人工内耳、関連の消耗品(電極パッド、バッテリ、アブレーションカテーテルなど)、保守サービスなど

その他

血球計数器、臨床化学分析装置、超音波診断装置、消耗品(試薬、衛生用品など)、設置工事・保守サービスなど

 

 

 これまで、当社グループは、医用電子機器関連事業の単一セグメントとして、開発・製造・販売の機能別分社制度を採用し事業運営を行ってきました。また、海外事業の一層の拡大に向け、現地開発・生産・販売機能の強化およびシナジー創出に取り組んできました。米国では、ガバナンスの強化および運営効率の向上を図るため、2023年4月に米国子会社を再編し、持株会社体制に移行しました。2024年1月1日に本米国事業再編が完了し、各地域を区分して開発・製造・販売を包括的にマネジメントする体制に移行したことから、当第3四半期連結会計期間より、報告セグメントを「日本」、「北米」、「その他の地域」の3区分に変更することといたしました。

 報告セグメント別の経営成績は次のとおりです。

(日本)売上高は997億8千2百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は125億1千7百万円(同9.9%減)となりました。

(北米)売上高は305億9千8百万円(同24.2%増)、セグメント損失は16億8千9百万円(前年同期は10億6千3百万円の損失)となりました。

(その他の地域)売上高は257億8千8百万円(同0.5%増)、セグメント利益は10億5千5百万円(同12.9%減)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ9億4千万円減少し、2,157億8千8百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ33億3千3百万円減少し、1,691億6千7百万円となりました。これは、安定した供給を確保するため原材料や製品の在庫を積み増している一方で、前期末債権の回収が進んだことにより受取手形及び売掛金が減少したことなどによるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ23億9千2百万円増加し、466億2千1百万円となりました。これは、繰延税金資産が増加したことや、日本光電インディア㈱における試薬工場の新設により建物が増加したことなどによるものです。

当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ48億1千5百万円減少し、443億9百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金や賞与引当金が減少したことなどによるものです。

当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ38億7千4百万円増加し、1,714億7千9百万円となりました。これは、利益剰余金が増加したことや、為替レート変動の影響により為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億4千8百万円増加して441億3千6百万円となりました。
 当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、77億6千8百万円(前第3四半期連結累計期間は89億3千7百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益132億5千5百万円、売上債権の減少93億8千9百万円、仕入債務の減少57億2百万円、棚卸資産の増加24億9千8百万円、法人税等の支払65億3百万円などです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前第3四半期連結累計期間に比べ3億6千万円増の32億1千7百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得26億5千8百万円などです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、前第3四半期連結累計期間に比べ7億3千万円減の59億6千5百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払59億6千4百万円などです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は50億1千1百万円です。