E01950 IFRS
前期
5,601.9億 円
前期比
86.8%
株価
5,389 (04/26)
発行済株式数
766,141,256
EPS(実績)
81.30 円
PER(実績)
66.28 倍
前期
1,019.3万 円
前期比
99.1%
平均年齢(勤続年数)
46.1歳(20.7年)
従業員数
1,988人(連結:6,544人)
株式会社アドバンテスト(以下「当社」)の企業グループ(以下「当社グループ」)は、半導体・部品テストシステム製品群とテスト・ハンドラやデバイス・インタフェース等のメカトロニクス関連製品群の製造・販売を主な事業内容とし、その他にこれらに関連する研究開発および保守・サービス等の事業活動を展開しております。
(半導体・部品テストシステム事業部門)
半導体・部品テストシステム事業部門は、半導体・電子部品産業においてテストシステム製品を顧客に提供することを事業としております。この事業部門は、非メモリ半導体デバイスのテストシステムであるSoC半導体用テストシステム、メモリ半導体デバイスのテストシステムであるメモリ半導体用テストシステムなどの製品群を事業内容としております。
この事業部門の生産活動は、当社および複数の外部委託企業が担当しております。
販売活動は、主に当社が国内および一部海外ユーザー(韓国、中国等)を担当し、その他の海外ユーザーについてはAdvantest America, Inc.、Advantest Europe GmbH、Advantest Taiwan Inc. および Advantest (Singapore) Pte. Ltd.等が担当しております。
開発活動は、当社、Advantest Europe GmbHおよびAdvantest America, Inc.等が担当しております。
(メカトロニクス関連事業部門)
メカトロニクス関連事業部門は、半導体デバイスをハンドリングするメカトロニクス応用製品のテスト・ハンドラ、被測定物とのインタフェースであるデバイス・インタフェースおよびナノテクノロジー関連の製品群を事業内容としております。
この事業部門の生産活動は当社グループおよび複数の外部委託企業で行われ、販売活動は半導体・部品テストシステム事業部門と同様の担当で行っております。
開発活動は、主に当社で行っております。
(サービス他部門)
サービス他部門の内容は、上記の事業に関連した総合的な顧客ソリューションの提供、半導体やモジュールのシステムレベルテストのソリューション、サポート・サービス、消耗品販売、中古販売および装置リース事業等で構成されております。
以上に述べた当社企業グループ内の事業活動を系統図で示せば次頁のとおりであります。
事業系統図
※画像省略しています。
上記以外に連結子会社が25社あります。
連結子会社(国内8社、海外31社、合計39社)
(1)経営成績の状況の分析
① 業績
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前年度比 (百万円) |
前年度比 (%) |
売上高 |
416,901 |
560,191 |
143,290 |
34.4 |
売上原価 販売費および一般管理費 その他の損益 |
△180,994 △121,132 △41 |
△241,130 △152,042 668 |
△60,136 △30,910 709 |
33.2 25.5 - |
営業利益 |
114,734 |
167,687 |
52,953 |
46.2 |
営業利益率 |
27.5% |
29.9% |
2.4% |
- |
金融損益 |
1,609 |
3,583 |
1,974 |
2.2倍 |
税引前利益 |
116,343 |
171,270 |
54,927 |
47.2 |
法人所得税費用 |
△29,042 |
△40,870 |
△11,828 |
40.7 |
当期利益 |
87,301 |
130,400 |
43,099 |
49.4 |
当期利益の帰属: 親会社の所有者 |
87,301 |
130,400 |
43,099 |
49.4 |
当連結会計年度における世界経済は、地政学的リスクの高まりに起因する資源の高騰や新型コロナウイルス感染症の影響によるサプライチェーンの混乱などから世界的にインフレが進行しました。それを受けて欧米諸国を中心に政策金利が引き上げられ、さらに2023年に入ると米国発の金融不安が台頭し、景気後退懸念が一層深まりました。
このような世界経済情勢のもと、半導体市場においても、スマートフォンやパソコン、テレビなど主要民生機器向け半導体の需要が減少し、特に2022年半ば以降、関連する半導体メーカーでは在庫調整や設備投資計画の見直しが顕著となりました。一方で自動車や産業機器向けなどの一部の半導体では依然として充足していない状況もあり、半導体市場はアプリケーションごとにはまだら模様ながら、全体としては減速感を強めつつ推移しました。
当社の半導体試験装置ビジネスにおいても、民生機器向け半導体の需要落ち込みによる影響を受けましたが、半導体の高性能化を背景としたテスト需要の増加が民生機器向けでの半導体生産数量の落ち込みによる需要の減少を補いました。他方、部材不足や物流網の混乱が広範なサプライチェーンに影響を及ぼし、当社の部材調達は第3四半期までは前年度に引き続き厳しい状況が継続しました。
このような環境のもと、半導体の品種ごとにテスト需要の強弱がある中で顧客の納期要求に最大限応えるべく、当社は戦略的な部材調達と生産品目の調整に注力し売上目標の達成に邁進しました。
これらの結果、調達部材の価格上昇はあったものの、増収に加え円安も当社業績に追い風となったことから、当連結会計年度における売上高、営業利益、税引前利益、当期利益のいずれも過去最高額を更新しました。
当連結会計年度の平均為替レートは、米ドルが134円(前年度112円)、ユーロが140円(前年度130円)となりました。
(売上高)
半導体市場の減速感が強まり半導体の生産数量が減少する中でも、当社のビジネスとしては半導体の高性能化を背景としたテスト需要の増加が、生産数量の落ち込みによる需要の減少を補いました。SоCテスタでは、高水準なスマートフォン関連のアプリケーション・プロセッサ(APU)向けに加えハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)やAI関連の半導体向けテストが売上を牽引しました。加えて需要が強い自動車・産業機器向けなどにおいても売上が伸長しました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前年度に比べ143,290百万円(34.4%)増加の560,191百万円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、前年度に比べ売上高の増加により、60,136百万円(33.2%)増加の241,130百万円となりました。売上原価率は、製品の売上ミックスにおいて好採算品の比率が高まり、前年度に比べ0.4ポイント減少の43.0%となりました。
(販売費および一般管理費)
当連結会計年度の販売費および一般管理費は、売上高の増加に伴うサポート人員増加等に加え、円安による費用の増加により、前年度に比べ30,910百万円(25.5%)増加の152,042百万円となりました。
(その他の損益)
当連結会計年度のその他の損益は、前年度に比べ709百万円増加の668百万円の利益となりました。
(営業利益)
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前年度に比べ52,953百万円(46.2%)増加の167,687百万円となり、売上高に対する営業利益の比率は、前年度比2.4ポイント増加の29.9%となりました。
(金融損益)
当連結会計年度の金融収益と金融費用を合わせた金融損益は、前年度に比べ1,974百万円増加(2.2倍)の3,583百万円の利益となりました。これは主に、円安ドル高により為替差益が発生したことによります。
(税引前利益)
以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、前年度に比べ54,927百万円(47.2%)増加の171,270百万円となりました。
(法人所得税費用)
当社グループの法人所得税費用の実際負担税率は、当連結会計年度は23.9%、前年度は25.0%でありました。当社グループの当連結会計年度および前年度の法人所得税に関しては、連結財務諸表の注記16に記載しております。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度に比べ43,099百万円(49.4%)増加の130,400百万円となり、売上高に対する親会社の所有者に帰属する当期利益の比率は、前年度比2.4ポイント増加の23.3%となりました。
② 生産、受注および販売の実績
a.生産、受注実績
当社グループは、原則として受注に基づいた生産を行っており、生産実績については販売実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年度比(%) |
半導体・部品テストシステム事業部門 |
404,252 |
39.9 |
メカトロニクス関連事業部門 |
59,874 |
41.5 |
サービス他部門 |
96,104 |
12.0 |
内部取引消去 |
△39 |
- |
合計 |
560,191 |
34.4 |
(注)1.セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。
2.販売先が総販売額の10%以上におよぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。
③ セグメントの業績
(半導体・部品テストシステム事業部門)
当部門は、当連結会計年度において売上高の72.2%を占めております。
当部門では、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)デバイスやアプリケーション・プロセッサでの一段の技術進化や性能向上から、SoC半導体用試験装置において、先端プロセス品向けの販売が前年度の実績を大きく上回りました。また需要が強い自動車・産業機器などの成熟プロセス品向けにおいても、売上が伸長しました。メモリ半導体用試験装置については、メモリ半導体市況が大幅に悪化したものの、高性能メモリ半導体向けを中心とした顧客の投資が年度を通して継続され、当社製品の好調な販売が続きました。暦年2022年の半導体試験装置市場は前年比縮小したと見ていますが、当社はマーケットシェアを拡大し、売上が伸長しました。
以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて115,393百万円(39.9%)増加の404,252百万円、セグメント利益は前年度に比べて57,531百万円(54.5%)増加の163,186百万円となりました。
(メカトロニクス関連事業部門)
当部門は、当連結会計年度において売上高の10.7%を占めております。
当部門では、半導体試験装置に対する顧客の旺盛な需要を背景にデバイス・インタフェース製品、テスト・ハンドラの売上が伸びました。また半導体メーカーにおけるEUV露光技術の普及や成熟プロセス向けフォトマスクの需要増加を受けて、ナノテクノロジー製品の販売も増加しました。利益面においては、増収効果に加え、製品ミックスが改善し、当セグメントの収益性向上に寄与しました。
以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて17,569百万円(41.5%)増加の59,874百万円、セグメント利益は前年度に比べて8,863百万円増加(2.5倍)の14,964百万円となりました。
(サービス他部門)
当部門は当連結会計年度において売上高の17.2%を占めております。
当部門では、当社製品の設置台数の増加に伴い保守サービスの売上が伸長しました。しかしながら、特定顧客向けの売上比率が高いシステムレベルテスト事業において、民生機器向けの需要減少の影響により、下期の売上が急速に縮小しました。また当事業において、中長期的な事業成長を見越した生産体制および開発体制強化によりコストが増加していることに加え、一部製品において棚卸資産の評価損を計上したことから、当セグメントの利益額は前年度を大きく下回りました。
以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて10,301百万円(12.0%)増加の96,104百万円、セグメント利益は前年度に比べて10,184百万円(57.2%)減少の7,629百万円となりました。
④ 地域別売上高
当連結会計年度の海外売上比率は96.3%(前連結会計年度96.1%)となりました。
(日本)
当連結会計年度の日本における売上高は、前年度に比べ4,141百万円(25.3%)増加の20,522百万円となりました。
(日本以外のアジア)
当連結会計年度の日本以外のアジアにおける売上高は、前年度に比べ110,769百万円(30.0%)増加の479,459百万円となりました。これは主に、台湾と中国において、SоC半導体用試験装置が好調だったことによります。
(米州)
当連結会計年度の米州における売上高は、システムレベルテスト製品、SоC半導体用試験装置およびナノテクノロジー製品が好調だったため、前年度に比べ22,632百万円増加(2.1倍)の42,882百万円となりました。
(欧州)
当連結会計年度の欧州における売上高は、SоC半導体用試験装置が好調だったため、前年度に比べ5,748百万円(49.6%)増加の17,328百万円となりました。
(2)財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析
① 流動性および資金源
当社グループの資金・財務政策は、当社の経理部門が所管しております。当社は資金需要に関して、営業活動により稼得した現預金ならびに手許の現金および現金同等物から充当するほか、必要に応じて債券の発行および株式等の発行ならびに金融機関からの借入れにより資金を調達することが可能であります。
また、中期的に半導体業界および半導体・部品テストシステム業界の状況が低迷する場合、当社は将来の設備投資またはその他の運転資金需要のために債券の発行または希薄化効果を伴う株式等の発行等を行う可能性があります。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金および現金同等物は前年度末より31,045百万円減少の85,537百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、70,224百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ8,665百万円の収入の減少となりました。これは税引前利益171,270百万円、棚卸資産の増加(△71,638百万円)、法人所得税の支払額(△40,166百万円)、営業債務およびその他の債務の増加(16,484百万円)、営業債権およびその他の債権の増加(△15,582百万円)の他、減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、26,706百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ20,201百万円の支出の減少となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(△22,535百万円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、77,434百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ8,698百万円の支出の増加となりました。これは主に、自己株式の取得による支出(△50,042百万円)と配当金の支払額(△25,418百万円)によるものであります。
③ 資産、負債および資本
当連結会計年度末の資産は、前年度末に比べ105,528百万円増加の600,224百万円となりました。この主な要因は、現金および現金同等物が31,045百万円減少したものの、棚卸資産が74,069百万円、営業債権およびその他の債権が19,997百万円、有形固定資産が12,654百万円、のれんおよび無形資産が10,460百万円それぞれ増加したことなどによります。
負債は、前年度末に比べ31,455百万円増加の231,530百万円となりました。この主な要因は、営業債務およびその他の債務が18,910百万円、リース負債が4,622百万円、未払法人所得税が3,821百万円、借入金が2,759百万円それぞれ増加したことなどによります。
資本または親会社の所有者に帰属する持分は、前年度末に比べ74,073百万円増加の368,694百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前年度末比1.8ポイント増加の61.4%となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載しております。
(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
この連結財務諸表を作成するために、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の判断、見積りおよび仮定を用いております。見積りおよび仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいております。また、新型コロナウイルス感染症については、見積りおよび仮定に重要な影響はないと判断しております。しかしながら実際の結果は、その性質上、見積りおよび仮定と異なることがあります。
重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」(以下、「連結財務諸表の注記」という。)の注3、注4および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)に記載しております。