売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E35258 Japan GAAP

売上高

14.5億 円

前期

13.8億 円

前期比

105.1%

時価総額

24.6億 円

株価

780 (04/25)

発行済株式数

3,148,900

EPS(実績)

34.59 円

PER(実績)

22.55 倍

平均給与

739.5万 円

前期

737.4万 円

前期比

100.3%

平均年齢(勤続年数)

38.6歳(3.4年)

従業員数

61人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、非連結子会社1社及び関連会社1社から構成されており、創業から現在に至るまで、一貫して中堅中小企業を対象としたM&A仲介業務に取り組んでおります。当社グループは、M&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。また、株式会社名南経営ホールディングスは当社の親会社であります。

 

(1) M&A仲介業務について

 譲渡を希望する企業と買収を希望する企業の引き合わせから、提携条件の調整、契約書類の作成、取引の実行に至るまでの一連のM&Aプロセスにおいて、クライアントを支援しております。中立的な立場で提携条件を調整し、譲渡先と買収先の双方から報酬を受領する業務と、譲渡先(又は買収先)の立場に立って支援し、譲渡先(又は買収先)のみから報酬を受領する業務があります。その他、「企業評価」「契約書類の作成支援」「コンサルティング業務」等、一連のM&Aプロセスの中の一部の業務のみを実施することもあります。

 上記のとおり、立場や業務範囲は案件ごとに異なりますが、いずれもM&Aに関する業務であることから、すべて「M&A仲介業務」としております。

 

(2) 当社の特徴について

 当社は、中堅中小企業を対象としてM&A仲介業務に取り組んでおります。親族が経営を承継する企業が年々減る中で、事業承継手段としてM&A(譲渡)を希望する中堅中小企業や、市場の変化に合わせ事業撤退の手段の一つとしてM&Aの活用が増えております。また、今後国内人口が減少し、多くの業界で国内マーケットの縮小が予想される中、業界内でのシェア拡大や事業の多角化、他地域進出の手段としてM&A(買収)を希望する中堅中小企業が増えております。譲渡と買収、双方のニーズが増加する中で、中堅中小企業のM&Aは増加傾向にあります。

 中堅中小企業のM&Aニーズの増加に伴い、金融機関やM&A専門業者がM&A業務への取組みを強化しておりますが、当社の特徴は以下の3点です。

 

① 東海地方における強固な営業基盤

 当社が属する名南コンサルティングネットワークは、東海地方において50年以上にわたり、中堅中小企業の経営を支援しており、東海地方における高い知名度と信用力を有しております。また、東海地方のすべての地方銀行と多くの信用金庫と業務提携しており、案件情報を開発するためのネットワークが構築されております。その他、国が運営するM&Aの公的な相談窓口である愛知県・岐阜県・三重県の「事業引継ぎ支援センター」にM&A専門業者として登録しており、「事業引継ぎ支援センター」からの紹介により譲渡案件を多数受託しております。

 「東海地方に根ざしたM&A会社」として信頼度、認知度向上を図るため2019年12月2日に名古屋証券取引所セントレックス市場へ上場、2020年12月17日に名古屋証券取引所市場第二部へ市場変更しました。2022年4月4日以降は、市場区分の見直しにより名古屋証券取引所メイン市場に移行しております。

 また、関西地方におけるM&Aニーズの増加に対応するため、2019年4月に開設し、2022年7月に大阪市北区に移転した大阪オフィスにおいても、提携先の増加等により堅調に成長しております。

 さらに、2021年10月に開設した静岡オフィスにおいては、提携先の増加やアドバイザーの増員によって順調に成長している状況を受け、2023年8月に拡張移転し、さらなる認知度の向上と営業基盤を確立すべく、営業活動を行ってまいります。

 

② 名南コンサルティングネットワーク関係法人との営業連携

 名南コンサルティングネットワークは、東海地方の中堅中小企業を中心に6,000社超のクライアントを有しております。

 クライアントの事業承継問題や事業拡大戦略について、関係法人と協同でソリューション提案を実施することにより、M&Aニーズの発掘に繋げております。

 また、名南コンサルティングネットワークは全国の約2,700の会計事務所に対し、情報共有及び各種経営ツールを提供するインターネットサービスを展開しております。当社は、当該サービスのユーザーである会計事務所と連携してM&A案件の発掘に取り組んでおります。

 

③ 人材育成方針

 M&A仲介業務は、実行までのプロセスの中で、税務、法務、労務等の様々な専門知識や、クライアントが属する業界動向を分析し、相乗効果の高いM&A案件を創出するための構想力も求められます。当社は、名南コンサルティングネットワークに属する様々な専門家と定期的に勉強会や情報交換会を開催することにより、専門知識や業界知識の習得に努めております。継続的に研鑽の場を提供し、従業員のコンサルティング能力を磨くことによって、企業の潜在的なM&Aニーズを顕在化させ、税務、法務、労務等のあらゆる側面から最適なM&Aスキームを提案しております。

 

[名南コンサルティングネットワークにおける当社の位置付け]

 

※画像省略しています。

(注)PMI(アフターM&A)とは、「Post Merger Integration」の略であり、M&A(企業の合併・買収)成立後の統合プロセスのことです。新しい組織体制の下で当初企図した経営統合によるシナジーを具現化するために、企業価値の向上と長期的成長を支えるマネジメントの仕組みを構築、推進するプロセスの全体を指します。M&Aが企業活動にもたらす成果の度合いは、このPMIの巧拙によって決まると言われます。

 

  (3) 業務フロー

 当社では、譲渡を希望する企業と買収を希望する企業の引き合わせから、提携条件の調整、契約書類の作成、取引実行に至るまでの一連のM&Aプロセスにおいて、クライアントを支援しております。中立的な立場で提携条件を調整し、譲渡先と買収先の双方から報酬を受領する業務と、譲渡先(又は買収先)の立場に立って支援し、譲渡先(又は買収先)のみから報酬を受領する業務があります。その他、「企業評価」「契約書類の作成支援」「コンサルティング業務」等、一連のM&Aプロセスの中の一部の業務のみを実施することもあります。

 上記のとおり、案件によって立場や業務範囲が異なりますが、当社において支援実績が最も多い「中立的な立場で、個別相談からM&A取引実行まで支援する」案件の業務フローは下記のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①M&Aニーズの発掘

 

 

 

 

 

 

・業務提携先の新規開拓、既存提携先のフォロー営業

・セミナー開催、ダイレクトメール送付、広告宣伝活動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲渡先

②個別譲渡相談

 

 

⑤個別買収相談

買収先

・事業内容、経営資料の確認

・簡易企業評価、実現可能性の検証

 

 

・買収ニーズのヒアリング

・匿名譲渡案件情報の提供

③アドバイザリー契約

 

 

⑥譲渡案件情報提供

・アドバイザリー契約の締結、着手金受領

・企業概要書、匿名譲渡案件資料の作成

 

 

・秘密保持契約の締結

・企業概要書の開示、質疑応答、追加資料開示

④買収候補先の探索

 

 

⑦アドバイザリー契約

・買収候補先の選定

・提案方法の確認(提案先、希望譲渡条件)

 

 

・アドバイザリー契約の締結、情報提供料受領

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑧トップ面談・条件調整

 

 

 

 

 

 

・トップ面談、会社見学のアレンジ

・譲渡条件の調整

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑨基本合意契約・買収監査

 

 

 

 

 

 

・基本合意書のドラフト作成

・買収監査の実行支援

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑩譲渡契約・取引実行

 

 

 

 

 

 

・譲渡契約書のドラフト作成、M&A取引の実行支援

・成功報酬の受領、紹介料の支払

 

 

 

 

① M&Aニーズの発掘(譲渡先・買収先)

  当社では、以下の2つの方法によりM&Aニーズを発掘しております。

 a)間接的アプローチ

  当社のニーズの発掘の大半はこの間接的アプローチによっており、中堅中小企業を支援している金融機関や会計事務所と業務提携し、M&Aニーズを有する企業を紹介いただきます。提携先の職員を対象とする研修や提携先の取引先を対象とする共催セミナーを実施する等、提携先と協同でM&Aニーズを発掘しております。提携先からの紹介案件はM&A取引実行まで、提携先と連携して仲介業務を実施し、当社が受領した報酬の一部を紹介料として提携先にお支払いしております。

 b)直接的アプローチ

  セミナー開催、ホームページや書籍の出版等による情報発信や新聞等への執筆によるM&Aに関する啓蒙活動や広告宣伝活動により、当社の知名度を向上し、企業からの直接相談に繋げております。

 

② 個別譲渡相談(譲渡先)

 譲渡先との個別相談では、当社のM&Aアドバイザーが事業内容や譲渡理由、希望譲渡条件等のヒアリングを行うとともに当社の業務内容について説明します。合わせて、M&Aのメリットとデメリットや具体的な事例、M&A以外の手段との比較等について説明し、相談者にM&Aと当社について正しく理解いただくように努めております。個別相談後、ヒアリング内容と経営資料に基づき、M&Aの実現可能性を検証し、譲渡金額の目安となる企業価値を簡易評価します。

 

③ アドバイザリー契約(譲渡先)

 簡易企業評価結果と実現可能性について、譲渡先に報告します。実現可能性が十分認められ、譲渡先が当社による支援を希望する場合は、アドバイザリー契約を締結、企業概要書及び匿名譲渡案件資料を作成し、着手金を受領します。

 

④ 買収候補先の探索(譲渡先)

 当社のM&Aアドバイザーは、譲渡先の事業内容や規模、商圏等を踏まえて、買収候補先をリストアップします。また、必要に応じて、提携先に譲渡案件を紹介し、買収候補先の紹介を依頼します。当社がリストアップした買収候補先と、提携先から紹介を受けた買収候補先を一覧にまとめて譲渡先に提示し、提案の可否や順番について打ち合わせを実施します。合わせて、買収候補先に提示する希望譲渡条件について確認を行います。

 

⑤ 個別買収相談(買収先)

 買収先との個別相談では、当社のM&Aアドバイザーが買収対象とする事業、規模、地域等に関する希望をヒアリングします。合わせて、当社の業務内容や、買収先の事業、買収ニーズに関連する事例、業界動向等について説明します。その後、買収先のニーズに合致しそうな譲渡案件があれば、匿名譲渡案件情報を開示し、関心の有無を確認します。

 

⑥ 譲渡案件情報提供(買収先)

 買収先と当社間で秘密保持契約を締結した上で、企業概要書等の譲渡案件情報を買収先に開示します。その後、開示資料に基づく質疑応答や追加資料の提供を通して、まずは書面ベースで買収先に譲渡案件に対する理解を深めてもらいます。

 

⑦ アドバイザリー契約(買収先)

 企業概要書等の譲渡案件情報の検証後、買収先が成約に向けた条件調整やトップ面談を希望する場合は、買収先と当社間でアドバイザリー契約を締結し、情報提供料を受領します。

 

⑧ トップ面談・条件調整(譲渡先・買収先)

 譲渡側と買収側の相互理解を促進するため、トップ面談や会社見学・工場見学をアレンジします。当社のM&Aアドバイザーは、トップ面談や会社見学・工場見学が双方にとって有意義な機会となるように、また従業員等への情報漏洩リスク等に配慮したうえで、日程や場所、当日のスケジュール、面談テーマ等を調整します。

 そして、同時並行で、譲渡先と買収先の希望条件を踏まえて、スキームの提案や譲渡条件の調整を進めます。

 

⑨ 基本合意契約・買収監査(譲渡先・買収先)

 譲渡条件の調整が概ね完了した段階で、当社のM&Aアドバイザーは基本合意書のドラフトを作成し、基本合意契約の締結を支援します。

 その後、買収先が実施する買収監査の実行を支援します。トップ面談同様、従業員等への情報漏洩リスク等にも配慮しながら、買収監査が円滑に完了するように日程や場所、当日のスケジュールを事前に調整し、譲渡先と協力して必要な書類を整えておきます。

 

⑩ 譲渡契約・取引実行(譲渡先・買収先)

 当社のM&Aアドバイザーは、買収監査の結果に基づき、最終的な条件調整を行い、譲渡契約書のドラフトを作成し、譲渡契約の締結を支援します。そして、資金決済や重要物品の授受等、M&A取引の円滑な実行をサポートします。また、M&A実行後の引継方法や関係者へのディスクローズ方法、必要な名義書換え手続き等、円滑な事業承継を実現するためのアドバイスを行います。M&A取引実行後、当社は譲渡先と買収先から成功報酬を受領します。

 提携金融機関などからの紹介案件の場合、取引実行後に紹介料を支払います。

[事業系統図]

  以上の事項を事業系統図に示すと次のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※画像省略しています。

 

(用語の解説)

本書記載内容に対する理解を容易にするため、また、正しく理解していただくために、本書で使用する用語の解説を以下に記載しております。

用語

解説

M&Aアドバイザー

顧客の相談に乗って適切なM&Aの相手を探したり、提携条件等に関する必要なアドバイスや契約書類の起案を行うことを通して、顧客のM&Aを支援するアドバイザー。

事業引継ぎ支援センター

後継者不在で事業の引継ぎを検討する中小企業・小規模事業者と経営資源を引き継ぐ意欲のある中小企業・小規模事業者に対して、47都道府県に設置されたM&Aの公的相談窓口。

企業評価

評価対象企業の決算書類等に基づき、M&A取引における企業の価値を客観的に算定する業務。

アドバイザリー契約

M&A仲介会社と譲渡先企業(買収先企業)との間でM&Aに関するアドバイスや手続きの支援を実施することを目的として締結する契約。一般的には専任契約であり、アドバイザリー契約書において、業務範囲、秘密保持、報酬、免責等に関する事項が記載される。

着手金

企業評価業務や企業概要書等買収先企業に対する提案資料の作成業務等の対価として譲渡先企業から受領する報酬。

金額はM&A仲介会社により異なるが、一般的には案件の成約に至らなくても返金されない。

情報提供料

譲渡案件の提供業務の対価として、買収先企業から受領する報酬。

金額はM&A仲介会社により異なるが、一般的には案件の成約に至らなくても返金されない。

秘密保持契約

契約の当事者間で締結する秘密情報を守秘することを約する契約。
M&Aにおいては、譲渡先企業の経営情報や買収先企業の経営戦略等の秘密情報を第三者に漏洩することを防ぐために秘密保持契約を締結する。

トップ面談

譲渡先企業と買収先企業双方の経営者(トップ)が面談を実施すること。経営者の価値観や経営理念等、書類では確認できない部分に関して、相互理解を深める目的で実施される。

基本合意書

買収監査前のタイミングで提携条件の大枠を譲渡先企業と買収先企業が相互に確認するために締結する契約書。一般的には取引金額、役員の処遇等の基本的な条件、M&A実行までのスケジュール、独占交渉権、守秘義務などの条項が盛り込まれる。

買収監査

買収先企業が公認会計士や弁護士に依頼し、譲渡先企業の財務情報の正確性や法的なリスクを確認することを目的とした調査。

成功報酬

M&Aが実現した際に、アドバイザリー契約に基づきM&A仲介会社へ支払う報酬。

23/12/25

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行され、経済社会活動が正常化する中で緩やかな回復傾向が続いております。労働需要の高まりからの名目賃金の増加や原価高騰による物価上昇など経済活動にかかる投資増が見込まれる状況ではあるものの、企業の投資意欲は前向きであり、今後の経済成長は堅調に継続するものと見込まれます。しかしながら、長期化するウクライナ情勢、社会経済の回復基調の一服感など、先行き不透明な状況も続いております。

 中小M&A市場におきましては、後継者不在率が57.2%(帝国データバンク 全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)より)と半数を超過しており、事業承継問題が顕在化した状態が継続しております。政府は「事業再生・M&Aを含む事業承継の促進」などを「重点3本柱の取り組み方針」の中で大方針として明示しており、国の事業承継・引継ぎ支援センターが支援する中小M&Aの件数は右肩上がりに増加しております。さらに2023年9月には、中小企業庁が3年ぶりに「中小M&A推進計画」に基づく「中小M&Aガイドライン(第2版)」にて改定の発表をするなど、中小M&A市場に対する政府の注目度は高い状態が続いております。

 また、中小M&Aガイドラインにおきましては、中小企業の経営者が安心してM&Aに取り組める基盤の構築が求められております。そこで、中小企業庁が創設したM&A支援機関に係る登録制度に加えて、自主規制団体である「一般社団法人M&A仲介協会」が当社を含む民間のM&A仲介事業者によって設立されました。同協会は中小企業庁との密な連携を通じ、官民一体での中小M&A支援事業者のモラル向上に努めております。

 このような情勢のなか、当社においては、金融機関や会計事務所等を始めとする提携先との一層の関係強化への注力を続けております。提携先の規模、習熟度、地域特性に合わせた柔軟な対応を行うことにより、高難易度から小型案件までニーズに応じた対応を可能としました。また、当社の強みの一つである「お客様の創業期から出口戦略までの支援コンサルティングの実施」においてはスタートアップ企業への投資・支援を実現、さらに2022年10月には東海地方では初のJ-Adviser資格を取得、TOKYO PRO Marketへの上場を支援するIPO支援部を立ち上げております。

 これらのサービスを地域密着して実現するため、2023年8月には静岡オフィスを移転し、人員の拡充に努めたほか、大阪オフィスを拠点として東海地方のみならず関西地方の地域経済活性化のために尽力しております。

 なお、当社の成長には人的資本の強化が不可欠であるため、積極的な採用活動を継続して行った結果、当事業年度においてはアドバイザー人員数が8名増員となりました。

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

 a.財政状態

 当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ168,595千円減少し、1,383,357千円となりました。これは主として現金及び預金が178,842千円減少したことによるものであります。

 当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末に比べ240,060千円増加し、428,023千円となりました。これは主として金銭の信託が100,000千円、投資有価証券が69,327千円及びその他の関係会社有価証券が41,829千円増加したことによるものであります。

 

 当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ23,724千円減少し、270,768千円となりました。これは主として買掛金が51,107千円増加し、未払法人税等が41,593千円及び未払消費税等が18,204千円減少したことによるものであります。

 

 当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ95,189千円増加し、1,540,612千円となりました。これは主として利益剰余金が93,192千円増加したことによるものであります。

 

 b.経営成績

 当事業年度においては計92件の案件が成約し(対前期19件増)、売上高は1,453,440千円(前期比5.1%増)、営業利益は186,221千円(同47.1%減)、経常利益は176,556千円(同49.5%減)、当期純利益は108,935千円(同52.8%減)となりました。

 

 

(売上高)

 当事業年度の売上高は1,453,440千円と、前事業年度に比べ70,586千円の増加(前期比5.1%増)となりました。これは主として成約件数の増加によるものであります。

 

(売上総利益)

 当事業年度の売上原価は835,546千円と、前事業年度に比べ203,340千円の増加(前期比32.2%増)となりました。これは主として案件紹介料が145,316千円増加(同57.0%増)、人件費が46,631千円増加(同13.5%増)したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は617,893千円と、前事業年度と比べ132,754千円の減少(同17.7%減)となりました。

 

(営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は431,672千円と、前事業年度に比べ33,136千円の増加(前期比8.3%増)となりました。これは主として人件費が31,298千円増加(同24.7%増)、地代家賃が13,097千円増加(同26.6%増)したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の営業利益は186,221千円と、前事業年度と比べ165,890千円の減少(同47.1%減)となりました。

 

(経常利益)

 当事業年度の営業外収益は1,658千円と、前事業年度に比べ1,209千円の増加(前期は448千円)となりました。これは、主として受取手数料が863千円増加したことによるものであります。営業外費用は11,323千円と、前事業年度に比べ8,275千円の増加(前期は3,048千円)となりました。これは主として投資事業組合運用損が8,271千円増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の経常利益は176,556千円と、前事業年度と比べ172,956千円の減少(前期比49.5%減)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度の法人税等合計は67,167千円となり、前事業年度に比べ44,696千円の減少(前期比40.0%減)となりました。

 この結果、当事業年度の当期純利益は108,935千円と、前事業年度と比べ122,046千円の減少(同52.8%減)となりました。

 

 なお、当社はM&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ178,842千円減少し、1,353,510千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は74,233千円(前事業年度は428,106千円の収入)となりました。これは主として税引前当期純利益176,102千円、法人税等の支払額132,803千円及び仕入債務の増加51,107千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は237,348千円(前事業年度は124,109千円の支出)となりました。これは主として金銭の信託の取得による支出100,000千円、投資有価証券の取得による支出75,000千円及びその他の関係会社有価証券の取得による支出44,600千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は15,727千円(前事業年度は15,699千円の支出)となりました。これは配当金の支払額15,727千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

      当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

M&A仲介事業

1,453,440

105.1

合計

1,453,440

105.1

  (注)1.当社はM&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

     2.前事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお顧客との契約において秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせていただきます。当事業年度においては、当該割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

相手先

前事業年度

(自 2021年10月1日

  至 2022年9月30日)

当事業年度

(自 2022年10月1日

  至 2023年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

譲渡企業

国内事業会社A社

300,000

21.7

譲受企業

国内事業会社B社

159,291

11.5

     3.最近2事業年度におけるM&A成約件数の実績は次のとおりであります。

分類の名称

前事業年度

(自 2021年10月1日

  至 2022年9月30日)

当事業年度

(自 2022年10月1日

  至 2023年9月30日)

M&A成約件数

73件

92件

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。

 当社は、財務諸表の基礎となる見積りを過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行ったうえで計上しておりますが、これらの見積りは不確実性を伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないものとして見積りを行っております。

 

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

 当社の経営成績等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 b.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金需要のうち主なものは、効果的に事業拡大していくための採用費、人件費等であります。また、資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フローによって確保しております。

 d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

 当社が今後事業を拡大し、継続的な成長を遂げるために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するために、営業基盤を拡充するために必要な人材の採用と育成、内部管理体制の強化を進めることにより、企業価値の持続的な向上に取り組んでまいります。

 また、当社ではアドバイザー数と成約件数が業績判断上の重要な指標と捉えており、引き続きアドバイザーの計画的な増員と成約件数増加に取り組んでまいります。目標とする客観的な指標等についての分析については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする客観的な指標等」に記載のとおりであります。