株式会社かんぽ生命保険

ブランドなど:かんぽ生命
保険業保険プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E31755 Japan GAAP

売上高

2.20兆 円

前期

2.42兆 円

前期比

91.0%

時価総額

1.13兆 円

株価

2,938 (04/23)

発行済株式数

383,192,300

EPS(実績)

254.74 円

PER(実績)

11.53 倍

平均給与

642.3万 円

前期

789.3万 円

前期比

81.4%

平均年齢(勤続年数)

40.2歳(13.7年)

従業員数

7,645人(連結:8,252人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、保険業法に基づく免許・認可を得て生命保険業を営む当社を中心とした企業グループであり、当社及び連結子会社1社を中心に構成されております。

また、当社グループは、当社の親会社である日本郵政株式会社を中心とした日本郵政グループにおける、生命保険事業セグメントを担っております。

なお、日本郵政グループは、生命保険業のほか、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業等を行っております。

 

当社の営む事業の主な内容は次のとおりであります。

(1) 生命保険業

当社は、生命保険業免許に基づき、次の①~③の保険引受業務及び④~⑫の資産運用業務を行っております。ただし、当社には、他の生命保険会社にはない、業務を行うにあたっての郵政民営化法による制約があります。詳細は下記「(参考) 郵政民営化法による特例措置(4)~(6)」に記載のとおりであります。

 

業務の種類

内訳

保険引受業務

① 個人保険及び財形保険

② 個人年金保険及び財形年金保険

③ 再保険(注)

資産運用業務

④ 有価証券の取得

⑤ 不動産の取得

⑥ 金銭債権の取得

⑦ 金銭の貸付(コールローンを含みます。)

⑧ 有価証券の貸付

⑨ 預金又は貯金

⑩ 金銭、金銭債権、有価証券又は不動産等の信託

⑪ 有価証券関連デリバティブ取引、金融等デリバティブ取引又は先物外国為替取引

⑫ その他郵政民営化法第138条に定められた方法等

 

(注) 当社と郵政管理・支援機構との間で再保険契約を締結し、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約に基づく郵政管理・支援機構の保険責任のすべてを当社が受再しております。

 

(2) 他の保険会社(外国保険業者を含みます。)その他金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行

当社の支店では、当社の保険商品の販売に加え、次の保険会社の商品の受託販売等を行っております。

・アフラック生命保険株式会社

・エヌエヌ生命保険株式会社

・住友生命保険相互会社

・第一生命保険株式会社

・東京海上日動あんしん生命保険株式会社

・日本生命保険相互会社

・ネオファースト生命保険株式会社

・三井住友海上あいおい生命保険株式会社

・明治安田生命保険相互会社

・メットライフ生命保険株式会社

 

(3) 郵政管理・支援機構から委託された簡易生命保険管理業務

当社は、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約の管理業務を、郵政管理・支援機構から受託しております。

 

当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社は、情報システムの設計、開発、保守及び運用業務の受託を行っております。なお、当社グループのセグメントについては、単一セグメントであるため記載を省略しております。

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

2023年3月31日現在

 

※画像省略しています。

 

(注) 1.簡易生命保険契約の保険責任のすべてを再保険。

2.簡易生命保険契約の管理業務(保険料の収納、保険金の支払、契約の維持・管理、資産運用業務等)を委託。

3.当社の生命保険契約の募集及び維持・管理業務を委託。

4.郵政管理・支援機構から委託を受けた簡易生命保険契約の管理業務の一部を再委託。

5.簡易郵便局に対する当社の生命保険契約に係る教育・指導・管理を委託。

6.当社の生命保険契約の募集業務を委託。

7.当社から委託を受けた当社の生命保険契約の維持・管理業務を再委託。

8.当社から再委託を受けた簡易生命保険契約の管理業務の一部を再々委託。

9.持分法を適用していない非連結子会社3社及び関連会社8社については、記載を省略しております。

 

(参考) 郵政民営化法による特例措置

当社の事業運営は、生命保険会社として保険業法を遵守することに加え、郵政民営化法及び関係政省令を遵守して遂行する必要があります。郵政民営化法及び関係政省令の主な目的は、郵政事業の改革を通じて、国内における公正かつ自由な競争を促進し、皆さまの利便向上及び経済の活性化を目指すことに加えて、日本郵政グループ各社の業務と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じることにあります。このため、(1)に定める期間においては、新規業務を開始する場合に他の生命保険会社には課されていない追加的な手続きが求められ、また、当社が提供する商品の設計についても、他の生命保険会社には課されていない法令上の制約(以下、これらの制約等を「本特例措置」といいます。)が適用されることとなります。詳細は次のとおりであります。

 

(1) 本特例措置が継続する期間

本特例措置が継続する期間は、次に掲げる日のいずれか早い日までであります(郵政民営化法第134条)。

・日本郵政株式会社が保有している当社株式を全部処分した日

・郵政民営化法第135条第1項の決定(※)があった日

※ 内閣総理大臣及び総務大臣は、日本郵政株式会社から総務大臣に当社株式の2分の1以上を処分した旨の届出があり、その旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、当社と他の生命保険会社との適正な競争関係等を阻害するおそれがないと認められるときには、本特例措置を適用しないことを決定しなければなりません。内閣総理大臣及び総務大臣は、かかる決定を行うにあたっては、郵政民営化委員会の意見を聴取することとされております。

 

「2 沿革 (参考) 当社の設立経緯等」に記載のとおり、日本郵政株式会社が有する当社議決権の所有割合は49.9%程度まで低下し、日本郵政株式会社から総務大臣に対し、2021年6月9日付けで、当社株式の2分の1以上を処分した旨の届出が行われております。

 

<郵政民営化委員会とは>

郵政民営化委員会は、内閣に設置されております。主な所掌事務は次のとおりであります(郵政民営化法第18条、第19条)。

・3年ごとに、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社の経営状況並びに国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べること

・郵政民営化法の各条において、内閣総理大臣及び総務大臣が郵政民営化委員会への通知を行うとされている事項について、必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係各大臣に意見を述べること

・上記のほか、郵政民営化に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べること等

 

 

(2) 新規業務等に係る郵政民営化法の手続き

当社は、これまで新規業務、新商品の開発・販売、新たな方法による資産運用を行う場合には、郵政民営化法上、内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要とされておりましたが(郵政民営化法第138条)、上記(1)に記載のとおり、2021年6月9日付けで、日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出たことから、この日以後は、新規業務等に係る認可手続きは不要となり、届出制(※)へと移行しております。

※ 日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、本特例措置が終了する日まで、従前の認可手続きに代わり、新たな業務を行おうとするときは、その内容を定めて内閣総理大臣及び総務大臣に届け出るとともに、業務を行うにあたっては、他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないとされております(郵政民営化法第138条の2)。なお、郵政民営化委員会から2021年10月14日に公表された「株式会社かんぽ生命保険の新規業務に関する届出制の運用に係る郵政民営化委員会の方針(令和3年10月)」において、届出後に必要に応じて郵政民営化委員会による調査審議が実施される場合があり、その場合の調査審議に要する期間はこれまでの認可制に比べて短縮される旨の方針が示されております。

 

新規業務、新商品、資産運用方法に係る規制の詳細は、それぞれ下記(3)~(5)に記載のとおりであります。

 

(3) 業務範囲

① 保険業法による定め

生命保険会社が営むことのできる業務の範囲については、保険業法第97条の規定により行う業務(以下「固有業務」といいます。)として定められており、「保険の引受け」と「資産の運用」がその範囲に含まれます。また、生命保険会社は、固有業務のほか、当該業務に付随する業務(以下「付随業務」といいます。)を行うことができるとされていますが、付随業務のうち、他の保険会社等の業務の代理又は事務の代行を行う場合は、内閣総理大臣の認可が必要となります(保険業法第98条)。

 

② 郵政民営化法による定め

当社が付随業務を行う場合には、郵政民営化法上の届出が必要となります(郵政民営化法第138条の2)。

手続きの詳細については、上記(2)に記載のとおりであります。

 

(4) 新商品の開発・販売

① 保険業法による定め

新たな商品の開発・販売にあたり、生命保険業免許の申請時に添付書類として提出した事業方法書、普通保険約款、保険料及び責任準備金の算出方法書の内容に変更が必要となる場合には、内閣総理大臣の認可が必要となります(保険業法第4条、第123条)。

 

② 郵政民営化法による定め

当社が事業を承継した公社が旧簡易生命保険法の定めにより2006年6月30日現在において引受けを行っていた以下の保険種類以外の保険について、当社が引受けを行う場合には、郵政民営化法上の届出が必要となります。

また、以下の保険種類であっても、公社が引受けを行っていた商品と、契約者配当の有無等、一定の差異のある保険について、当社が引受けを行う場合には、郵政民営化法上の届出が必要となります(郵政民営化法第138条の2)。

手続きの詳細については、上記(2)に記載のとおりであります。

 

 

<公社が引受けを行っていた保険種類>

・終身保険、定期保険、養老保険、家族保険、財形貯蓄保険

・終身年金保険、定期年金保険、夫婦年金保険

・次の二つの保険を一体として提供する保険

終身保険及び終身年金保険で被保険者を同じくするもの

終身保険及び定期年金保険で被保険者を同じくするもの

養老保険及び定期年金保険で被保険者を同じくするもの

家族保険及び夫婦年金保険で主たる被保険者及び配偶者たる被保険者を同じくするもの

・特約

 

(5) 新たな資産運用の方法

① 保険業法による定め

生命保険会社の資産運用は、以下の方法によらなければならないとされております(保険業法第97条、保険業法施行規則第47条)。

・有価証券、不動産、金銭債権、短期社債等、金地金の取得

・金銭、有価証券の貸付け

・民法第667条第1項に規定する組合契約又は商法第535条に規定する匿名組合契約に係る出資

・預金又は貯金

・金銭、金銭債権、有価証券又は不動産等の信託

・金融商品取引法第2条第20項、第28条第8項第6号、保険業法第98条第1項第8号に規定するデリバティブ取引

・先物外国為替取引

・上記に掲げる方法に準ずる方法

 

② 郵政民営化法による定め

当社が以下に掲げる方法以外の方法により資産を運用しようとするときには、郵政民営化法上の届出が必要となります(郵政民営化法第138条の2)。

手続きの詳細については、上記(2)に記載のとおりであります。

 

<手続きが不要な資産運用>

・保険契約者に対する資金の貸付け

・地方公共団体に対する資金の貸付け

・コール資金の貸付け

・日本郵政株式会社又は日本郵便株式会社に対する資金の貸付け

・郵政管理・支援機構に対する資金の貸付け

・郵便貯金銀行及び郵便保険会社に係る移行期間中の業務の制限等に関する命令第16条に定める次の方法
国債証券、地方債証券、政府保証債、社債券、外国債、不動産の取得(投資の目的をもって取得するものを除く)、金融機関への預金、先物外国為替取引等

 

(6) 引受け可能な保険金額等の制約

郵政民営化法及び同施行令上、被保険者一人につき当社が引受け可能な保険金額等の限度(加入限度額)が定められております。また、この加入限度額については、簡易生命保険契約の被保険者一人あたりの保険金額等との合算であります(郵政民営化法第137条及び郵政民営化法施行令第6条から第8条)。

 

① 保険(基本契約)の加入限度額

財形貯蓄保険及び年金保険を除く保険契約(終身保険、定期保険、養老保険、家族保険)については、保険金額に関して、以下の限度額が定められております。

・被保険者が満15歳以下の場合・・・被保険者一人あたり:700万円

・被保険者が満16歳以上の場合・・・被保険者一人あたり:1,000万円

 

(注) 1.被保険者が満20歳以上満55歳以下の場合で、加入後4年以上経過した契約がある場合には、当該契約の保険金額のうち、1,000万円までは上記限度額には含みません。

2.特定養老保険(保険契約加入後早期に病気で死亡した場合等の保険金額を低く設定した養老保険)については、年齢にかかわらず、被保険者一人あたり500万円が上限となっております。

3.被保険者が満55歳以上の場合は、普通定期保険、普通定期保険(R04)及び特別養老保険(死亡保険金額を満期保険金額の2倍、5倍又は10倍とする養老保険)については、被保険者一人あたり800万円が上限となっております。

 

<当社が引受け可能な保険金額の限度額の概要>

 

※画像省略しています。

 

 

② 財形貯蓄保険

財形貯蓄保険(勤労者財産形成促進法第6条第1項第2号及び第4項第2号に規定する契約に係る保険業法第3条第4項第1号に掲げる保険)については、払込保険料の総額に関して、以下の限度額が定められております。

被保険者一人あたり:550万円

 

③ 年金(基本契約)の加入限度額

年金保険については、年金の年額に関して、以下の限度額が定められております。

被保険者一人あたり:初年度の基本年金額 90万円

 

(注) 1.過去に販売していた年金保険の中には、年金の支払い開始の2年目以降から年金額が逓増する種類がありますが、この逓増額は上記限度額に含まれません。

2.過去に販売していた年金保険の中には、契約者配当金を年金の支払い時に積み増ししてお支払いする種類がありますが、この積み増す額は上記限度額に含まれません。

3.過去に販売していた年金保険の中には、夫婦が被保険者となる種類の年金保険がありますが、この場合、配偶者である被保険者に係る額は、上記限度額に含まれません。

 

④ 特約の加入限度額

特約については、それぞれの事由において、保険金額に関して、以下の限度額が定められております。

a.疾病にかかったこと、傷害を受けたこと又は疾病にかかったことを原因とする人の状態、傷害を受けたことを直接の原因とする死亡及びこれらに類するものに対する保障・・・被保険者一人あたり:合計1,000万円

b.上記に掲げるものに関し、治療を受けたことに対する保障・・・被保険者一人あたり:1,000万円

 

(注) 上記の法令で定める加入限度額以外にも、基本契約の保険種類等により付加できる特約の保険金額に一定の制限があります。

 

(7) 子会社の保有に関する特例

① 保険業法による定め

生命保険会社が子会社として保有できる会社は、保険業法により、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者、銀行等、特定の業を営む会社に限定されております。

また、保有が認められている会社を子会社とする場合は、内閣総理大臣の認可又は内閣総理大臣への届出が必要となります(保険業法第106条、第127条)。

 

② 郵政民営化法による定め

郵政民営化法において、当社は、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者、保険業を行う外国の会社を子会社としてはならないと定められております(郵政民営化法第139条)。

また、保有が認められている会社を子会社とする場合、郵政民営化法上の認可又は届出が必要となります(郵政民営化法第139条、第149条)。

なお、当社が、子会社化することが禁じられている業種の会社に対して、子会社化に至らない議決権割合で出資する場合であっても、監督官庁からの監督上の措置(郵政民営化法第147条)により、当該出資が制限される可能性があります。

 

 

(8) 事業再編等に関する特例

① 保険業法による定め

生命保険会社が以下の行為を行う場合、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないとされております(保険業法第139条、第142条、第167条、第173条の6)。

・保険契約の移転

・事業の譲渡又は譲受け

・合併

・会社分割

 

② 郵政民営化法による定め

郵政民営化法上、当社が以下の行為を行う場合、郵政民営化法上の認可を受けなければ、その効力を生じないとされております(郵政民営化法第141条)。

・保険業法第135条に規定する保険契約の移転

・当社を当事者とする事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け

・当社を当事者とする合併

・当社を当事者とする会社分割

 

ただし、以下の場合には、認可を受けられないこととされております。

・保険契約の移転について、移転先会社が日本郵政株式会社又は当社の子会社であるとき

・事業の譲渡又は譲受けについて、保険の引受けに係る事業の全部の譲渡であるとき及び保険の引受けに係る事業の譲受けであるとき

・合併について、合併により当社が消滅するとき及び合併の相手方が保険会社であるとき

・会社分割について、吸収分割承継会社又は新設分割設立会社に保険契約を承継させるものであり、かつ、吸収分割承継会社等が日本郵政株式会社又は当社の子会社となるとき

 

 

23/06/22

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

また、基礎利益(生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標)については2023年3月期において、経済的な実態の反映及び各社間の取扱いに一貫性を持たせる観点から、計算方法について一部改正(為替に係るヘッジコストを基礎利益の算定に含め、投資信託の解約益を基礎利益の算定から除外)がなされております。当社も、当該改正を適用しており、遡及処理の内容を反映させた数値で前期との比較・分析を行っております。文中の基礎利益上の運用収支等の利回り(利子利回り)、順ざや、基礎利益の前期比の算出においては、上記の改正を反映した数値を用いております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。

経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。

 

① 金融商品の時価の算定方法

有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、公表された相場価格に基づいて算定しておりますが、公表された相場価格がない場合には合理的な見積りに基づいて算定された価額によっております。

将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積額は変動する可能性があります。

なお、金融商品の時価の算定方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)に記載のとおりであります。

 

② 有価証券の減損処理

金銭の信託で運用する有価証券を含め売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価又は実質価額が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。株式市場の悪化等、将来の金融市場の状況によっては、多額の減損損失を計上する可能性があります。

なお、有価証券の減損処理に係る基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(有価証券関係)及び(金銭の信託関係)に記載のとおりであります。

 

③ 繰延税金資産の回収可能性の評価

繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積っております。

当連結会計年度における新契約実績は緩やかな回復に留まっておりますが、当該課税所得の見積りにおいては、当連結会計年度に作成した経営計画を基礎としており、今後、当該計画における取組方針の下、一定の新契約水準に到達する前提で作成しております。なお、繰延税金資産の回収可能性については、当該経営計画を基礎とした前提の下、複数のストレスシナリオを考慮して判断しております。

以上のとおり、繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社を取り巻く経営環境に大きな変化があった場合等、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。

 

 

④ 貸倒引当金の計上基準

債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、回収不能見積額を計上しております。

将来、債務者の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

なお、貸倒引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

 

⑤ 支払備金の計上方法

連結会計年度末時点において支払義務が発生したが保険金等の支出をしていないもの、または、まだ支払事由の報告を受けていないが支払事由が既に発生したと認められるもののうち保険金等の支出をしていないものについて支払備金を積み立てております。

将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、支払備金の計上額が当初の見積額から変動する可能性があります。

 

⑥ 責任準備金の積立方法

保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。

責任準備金の計算に使用される予定死亡率、予定利率及び予定事業費率などの基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。

なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

 

⑦ 退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、割引率など将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。

このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。

なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)に記載のとおりであります。

 

 

(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

営業面においては、当連結会計年度における新契約年換算保険料は、個人保険が197億円増加658億円(前期比42.7%増)、第三分野が42億円増加し64億円(同196.3%増)となり、緩やかな回復に留まっております。保有契約年換算保険料については、個人保険が3,212億円減少し3兆2,176億円(前期比9.1%減)(受再している簡易生命保険契約(保険)を含む)、第三分野が340億円減少し5,930億円(同5.4%減)(受再している簡易生命保険契約を含む)といずれも減少となりました。

資産運用面においては、円金利資産と円金利負債のマッチングを図るALMの観点から、公社債を中心に運用しております。株式、外国証券等の収益追求資産については、主に、ヘッジコストの上昇を踏まえ、ヘッジ付外債の残高を縮小させた影響により残高は減少し、収益追求資産の占率は15.7%となりました。平均予定利率は前期比で0.02ポイント下落し1.67%、基礎利益上の運用収支等の利回り(利子利回り)は為替に係るヘッジコストの増加等により前期比0.08ポイント下落の1.85%となり、順ざやは前期と比べ393億円減少し940億円となりました。キャピタル損益は、有価証券売却損の増加等により、638億円のキャピタル損となりました。

また、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払は、主に入院による入院保険金支払等により、前期と比べ増加しております。

 

これらの状況の下、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルス感染症に係る入院保険金支払額について危険準備金の超過繰入額を縮小することに加え、有価証券売却損等については従来どおり価格変動準備金を取り崩したものの、保有契約の減少及び新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費の増加等により、976億円と前期と比べ604億円の減益(前期比38.2%減)となりました。

 

① 財政状態の状況及び分析・検討

当連結会計年度末の総資産額は、保有契約の減少に伴い保険契約準備金が減少したことに対応し、有価証券及び貸付金が減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ4兆4,874億円減少し、62兆6,873億円(前期比6.7%減)となりました。

 

a.資産の部

資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ4兆4,874億円減少し、62兆6,873億円(前期比6.7%減)となりました。主な資産構成は、有価証券49兆8,414億円(同6.7%減)、金銭の信託4兆7,723億円(同5.5%増)及び貸付金3兆6,058億円(同15.2%減)となっております。

 

b.負債の部

負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ4兆4,417億円減少し、60兆3,120億円(前期比6.9%減)となりました。その大部分を占める保険契約準備金は、保有契約の減少により55兆1,037億円(同5.3%減)となりました。

 

c.純資産の部

純資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ456億円減少し、2兆3,753億円(前期比1.9%減)となりました。純資産の部のうち、その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末に比べ758億円減少し、7,979億円(同8.7%減)となりました。

 

なお、当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率(大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つ)は、1,009.1%と高い健全性を維持しております。

 

 

② 経営成績の状況及び分析・検討

a.経常収益

経常収益は、前連結会計年度と比べ746億円減少し、6兆3,795億円(前期比1.2%減)となりました。経常収益の内訳は、保険料等収入2兆2,009億円(同9.0%減)、資産運用収益1兆1,590億円(同0.9%増)、その他経常収益3兆195億円(同4.6%増)となっております。

 

(a) 保険料等収入

保険料等収入は、保有契約の減少等により、前連結会計年度に比べ2,180億円減少し、2兆2,009億円(前期比9.0%減)となりました。

(b) 資産運用収益

資産運用収益は、総資産残高の減少に伴い利息及び配当金等収入が減少した一方で、金銭の信託運用益及び有価証券売却益の増加等により、前連結会計年度に比べ98億円増加し、1兆1,590億円(前期比0.9%増)となりました。

(c) その他経常収益

その他経常収益は、責任準備金戻入額の増加等により、前連結会計年度に比べ1,335億円増加し、3兆195億円(前期比4.6%増)となりました。

 

b.経常費用

経常費用は、前連結会計年度と比べ1,638億円増加し、6兆2,619億円(前期比2.7%増)となりました。経常費用の内訳は、保険金等支払金が5兆4,879億円(同1.1%減)、資産運用費用が2,464億円(同253.2%増)、事業費が4,457億円(同15.5%増)、その他経常費用が740億円(同20.5%減)等となっております。

 

(a) 保険金等支払金

保険金等支払金は、新型コロナウイルス感染症に対する保険金支払が増加した一方で、保有契約の減少等により、前連結会計年度に比べ613億円減少し、5兆4,879億円(前期比1.1%減)となりました。

(b) 資産運用費用

資産運用費用は、有価証券売却損及び金融派生商品費用の増加等により、前連結会計年度に比べ1,766億円増加し、2,464億円(前期比253.2%増)となりました。

(c) 事業費

事業費は、新しいかんぽ営業体制の構築に伴い、業務委託手数料が減少した一方で人件費が増加したこと等から、前連結会計年度に比べ598億円増加し、4,457億円(前期比15.5%増)となりました。

(d) その他経常費用

その他経常費用は、減価償却費の減少等により、前連結会計年度に比べ190億円減少し、740億円(前期比20.5%減)となりました。

 

c.経常利益

経常利益は、保有契約の減少等に加え、新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費等の増加及び有価証券売却損の増加等により、前連結会計年度に比べ2,385億円減少し、1,175億円(前期比67.0%減)となりました。

提出会社の経常利益等の明細については、「(参考4) 健全性の状況 (1) 基礎利益」の(経常利益等の明細(基礎利益))に記載のとおりであります。

 

d.特別損益

特別損益は、前連結会計年度に繰り入れとなっていた価格変動準備金について、当連結会計年度において戻し入れたこと等により、前連結会計年度に比べ1,447億円増加し、823億円の利益となりました。

 

e.契約者配当準備金繰入額

契約者配当準備金繰入額は、前連結会計年度に比べ110億円減少し、620億円(前期比15.1%減)となりました。

 

 

f.親会社株主に帰属する当期純利益

経常利益に特別損益を加減し、契約者配当準備金繰入額及び法人税等合計を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少が大きく、価格変動準備金を戻し入れたものの、前連結会計年度に比べ604億円減少し、976億円(前期比38.2%減)となりました。

 

なお、当社の当事業年度における基礎利益は、1,923億円(前期比55.2%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況及び分析・検討
a.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、保有契約の減少等により保険金等支払金が減少した一方、保険料等収入が減少し、また、新型コロナウイルス感染症により入院保険金のお支払い額が増加したこと等から前連結会計年度に比べ2,224億円支出増の2兆9,780億円の支出となりました。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が減少したこと等から、前連結会計年度に比べ1,050億円収入増の3兆2,167億円の収入となりました。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が減少したこと等から、前連結会計年度に比べ3,473億円支出減729億円の支出となりました。

 

d.現金及び現金同等物の残高

上記a.~c.の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首から1,657億円増加し、1兆4,365億円となりました。

 

e.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載の設備投資を含む当面の設備投資及び株主還元などは自己資金又は社債の発行による調達資金で賄う予定であります。

 

 

(3) 目標とする経営指標の達成状況等

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載の主要目標のうち、「保有契約件数(個人保険)」については、新契約が緩やかな回復に留まったことにより、2022年6月末、9月末、12月末及び2023年3月末において、それぞれ2,230万件、2,186万件、2,143万件及び2,098万件と推移しております。このような保有契約の減少等の影響により、「連結当期純利益」は976億円と前年度と比べて減少しております。「EV成長率」については、2022年6月末、9月末、12月末及び2023年3月末において、それぞれ1.5%、2.5%、3.1%及び3.1%と推移しております。上記のとおり、保有契約は減少傾向にありますが、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおり、コンサルタント一人ひとりの成長を促していく「営業力の底力をつける取り組み」とお客さま体験価値の向上に加え、業務の効率化による生産性の向上や一層のコスト削減を図る「ビジネスモデルの改革」に両輪として取り組むことで「保有契約件数(個人保険)」を始めとするこれら経営指標の目標達成を目指してまいります。なお、「1株当たり配当額」については、期初計画どおり、2022年12月に中間配当46円を実施し、期末配当についても46円といたします。

そのほか、「お客さま満足度」及び「ネットプロモータースコア(NPS®)」については、引き続き、DXを推進し、お客さま体験価値(CX)を最優先とするビジネスモデルへの転換に取り組むことにより、向上を目指してまいります。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

生命保険事業における業務の特殊性により、該当する情報がないため記載しておりません。

 

(参考1) 当社の保険引受の状況

(個人保険及び個人年金保険は、当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)

 

(1) 保有契約高明細表

(単位:千件、百万円)

区分

前事業年度末

(2022年3月31日)

当事業年度末

(2023年3月31日)

件数

金額

件数

金額

個人保険

14,740

42,283,881

13,722

38,950,900

個人年金保険

850

1,242,707

686

972,944

 

(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。

 

(2) 新契約高明細表

(単位:千件、百万円)

区分

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

件数

金額

新契約

転換による
純増加

件数

金額

新契約

転換による
純増加

個人保険

173

577,452

577,413

39

314

836,677

836,665

12

個人年金保険

0

202

202

0

557

557

 

(注) 1.件数は、新契約件数に転換後契約件数を加えた数値であります。なお、転換後契約とは、既契約の転換によって成立した契約であります。

2.個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。

 

(3) 保有契約年換算保険料明細表

(単位:百万円)

区分

前事業年度末

(2022年3月31日)

当事業年度末

(2023年3月31日)

個人保険

2,584,325

2,353,983

個人年金保険

301,878

244,689

合計

2,886,204

2,598,672

 

うち医療保障・
生前給付保障等

339,817

322,178

 

(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。

2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。

 

 

(4) 新契約年換算保険料明細表

(単位:百万円)

区分

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

個人保険

46,175

65,888

個人年金保険

16

47

合計

46,192

65,936

 

うち医療保障・
生前給付保障等

2,173

6,439

 

(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。

2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。

3.新契約年換算保険料は、新契約に係る年換算保険料に、既契約の転換による転換前後の年換算保険料の純増加分を加えた数値であります。

 

(参考2) 当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(1) 保有契約高

(単位:千件、百万円)

区分

前事業年度末

(2022年3月31日)

当事業年度末

(2023年3月31日)

件数

保険金額・年金額

件数

保険金額・年金額

保険

8,062

21,261,390

7,265

19,212,527

年金保険

1,328

440,490

1,240

407,337

 

(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。

 

(2) 保有契約年換算保険料

(単位:百万円)

区分

前事業年度末

(2022年3月31日)

当事業年度末

(2023年3月31日)

保険

954,668

863,712

年金保険

437,567

408,686

合計

1,392,236

1,272,398

 

うち医療保障・
生前給付保障等

287,264

270,889

 

(注) 当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記「(参考1) 当社の保険引受の状況 (3) 保有契約年換算保険料明細表」に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、当社が算出した金額であります。

 

 

(参考3) 当社の資産運用の状況
(1) 一般勘定資産の構成

 

区分

前事業年度末

(2022年3月31日)

当事業年度末

(2023年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

現預金・コールローン

1,305,070

1.9

1,468,483

2.3

買現先勘定

2,120,137

3.2

1,384,764

2.2

債券貸借取引支払保証金

買入金銭債権

39,543

0.1

47,345

0.1

商品有価証券

金銭の信託

4,521,912

6.7

4,772,321

7.6

有価証券

53,418,564

79.5

49,842,478

79.5

 

公社債

46,747,946

69.6

44,743,706

71.4

株式

425,553

0.6

410,088

0.7

外国証券

4,332,519

6.4

2,949,260

4.7

 

公社債

4,181,527

6.2

2,787,121

4.4

 

株式等

150,992

0.2

162,139

0.3

その他の証券

1,912,544

2.8

1,739,423

2.8

貸付金

4,251,956

6.3

3,605,832

5.8

 

保険約款貸付

140,980

0.2

140,355

0.2

一般貸付

965,872

1.4

916,374

1.5

機構貸付

3,145,103

4.7

2,549,102

4.1

不動産

80,572

0.1

78,727

0.1

 

うち投資用不動産

繰延税金資産

1,005,357

1.5

1,028,662

1.6

その他

432,112

0.6

456,994

0.7

貸倒引当金

△379

△0.0

△379

△0.0

合計

67,174,848

100.0

62,685,230

100.0

 

うち外貨建資産

5,466,745

8.1

4,343,334

6.9

 

(注) 1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。

2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。

 

 

(2) 一般勘定資産の資産別運用利回り

(単位:%)

区分

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

現預金・コールローン

0.00

0.00

買現先勘定

債券貸借取引支払保証金

買入金銭債権

0.24

0.71

商品有価証券

金銭の信託

3.49

4.44

有価証券

1.63

1.33

 

うち公社債

1.49

1.49

うち株式

4.63

6.68

うち外国証券

2.95

△0.68

貸付金

1.83

1.81

 

うち一般貸付

1.15

1.06

不動産

一般勘定計

1.61

1.43

 

うち海外投融資

2.95

0.29

 

(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。

2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。

3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。

 

 

(参考4) 健全性の状況
(1) 基礎利益

基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。

当社の当事業年度における基礎利益は、1,923億円となりました。

 

(経常利益等の明細(基礎利益))

(単位:百万円)

項目

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

基礎利益

(A)

429,798

192,346

キャピタル収益

 

169,699

287,199

金銭の信託運用益

 

114,553

150,378

売買目的有価証券運用益

 

有価証券売却益

 

26,942

50,567

金融派生商品収益

 

為替差益

 

20,879

6,814

その他キャピタル収益

 

7,324

79,438

キャピタル費用

 

164,085

351,009

金銭の信託運用損

 

売買目的有価証券運用損

 

有価証券売却損

 

51,108

177,296

有価証券評価損

 

306

金融派生商品費用

 

7,398

60,588

為替差損

 

その他キャピタル費用

 

105,578

112,817

キャピタル損益

(B)

5,614

△63,810

キャピタル損益含み基礎利益

(A)+(B)

435,413

128,535

臨時収益

 

再保険収入

 

危険準備金戻入額

 

個別貸倒引当金戻入額

 

その他臨時収益

 

臨時費用

 

79,651

10,883

再保険料

 

危険準備金繰入額

 

79,651

10,883

個別貸倒引当金繰入額

 

特定海外債権引当勘定繰入額

 

貸付金償却

 

その他臨時費用

 

臨時損益

(C)

△79,651

△10,883

経常利益

(A)+(B)+(C)

355,762

117,652

 

(注) 当事業年度より、経済的な実態の反映及び各社間の取扱いに一貫性を持たせる観点から、基礎利益の計算方法について一部改正(為替に係るヘッジコストを基礎利益の算定に含め、投資信託の解約益を基礎利益の算定から除外)がなされており、これを適用しております。また、前事業年度の数値は、当事業年度における計算方法を適用した数値であります。 

 

(参考) その他項目の内訳

(単位:百万円)

項目

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

基礎利益への影響額

98,254

33,378

投資信託の解約益

△10

△20,826

金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額

105,578

112,817

為替に係るヘッジコスト

△7,314

△58,612

その他キャピタル収益

7,324

79,438

投資信託の解約益

10

20,826

金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額

為替に係るヘッジコスト

7,314

58,612

その他キャピタル費用

105,578

112,817

金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額

105,578

112,817

為替に係るヘッジコスト

その他臨時費用

追加責任準備金繰入額

 

 

 

(2) 連結ソルベンシー・マージン比率

生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。

ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。

この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。

当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率は1,009.1%と高い健全性を維持しております。

 

(単位:百万円)

項目

前連結会計年度末
(2022年3月31日)

当連結会計年度末
(2023年3月31日)

ソルベンシー・マージン総額

(A)

5,858,523

5,636,995

 

資本金等

1,526,526

1,552,875

 

価格変動準備金

972,606

889,960

 

危険準備金

1,690,994

1,701,877

 

異常危険準備金

 

一般貸倒引当金

32

31

 

(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益(税効果控除前))×90%(マイナスの場合100%)

1,086,306

989,508

 

土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%)

1,809

2,534

未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額

3,873

3,273

 

全期チルメル式責任準備金相当額超過額

299,478

249,674

 

負債性資本調達手段等

300,000

300,000

 

全期チルメル式責任準備金相当額超過額及び負債性資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額

 

控除項目

△23,104

△52,740

 

その他

リスクの合計額

※画像省略しています。

(B)

1,120,660

1,117,128

 

保険リスク相当額

1

125,154

119,580

 

一般保険リスク相当額

5

 

巨大災害リスク相当額

6

 

第三分野保険の保険リスク相当額

8

44,708

40,824

 

少額短期保険業者の保険リスク相当額

9

 

予定利率リスク相当額

2

125,089

118,481

 

最低保証リスク相当額

7

 

資産運用リスク相当額

3

957,278

961,987

 

経営管理リスク相当額

4

25,044

24,817

ソルベンシー・マージン比率

(A)/{(1/2)×(B)}×100

1,045.5%

1,009.1%

 

(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。

 

 

(3) 負債中の内部留保(危険準備金及び価格変動準備金)の積立状況

生命保険会社では、大災害の発生、金融資産の価格変動等、生命保険事業の経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたる健全で安定的な経営を確保するために、危険準備金と価格変動準備金を積み立てることとしております。

当連結会計年度末における残高は危険準備金1兆7,018億円価格変動準備金8,899億円となり、合計で2兆5,918億円となりました。

(単位:億円)

 

前連結会計年度末
(2022年3月31日)

当連結会計年度末
(2023年3月31日)

危険準備金

16,909

17,018

価格変動準備金

9,726

8,899

合計

26,636

25,918

 

 

(4) 連結実質純資産額

実質純資産額とは、資産全体を時価評価して求めた資産の合計から、危険準備金や価格変動準備金等の資本性の高い負債を除いた負債の合計を引いたものであり、決算期末の保険会社の健全性の状況を示す行政監督上の指標の一つであります。この数値がマイナスになると業務停止命令等の対象となることがあります(ただし、満期保有目的の債券及び責任準備金対応債券の含み損を除いた額がプラスとなり、かつ、流動性資産が確保されている場合には、原則として業務停止命令等の措置は取られないこととなっております。)。当連結会計年度末における連結実質純資産額は8兆2,535億円となりました。

(単位:億円)

前連結会計年度末
(2022年3月31日)

当連結会計年度末
(2023年3月31日)

102,388

82,535

 

 

(5) 追加責任準備金

追加責任準備金とは、加入時の計算基礎で計算した積立額では、逆ざや等により保険金等の支払いに不足する額として追加して積み立てている責任準備金であります。当連結会計年度末における追加責任準備金は5兆3,730億円を積み立てております。なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

(単位:億円)

前連結会計年度末
(2022年3月31日)

当連結会計年度末
(2023年3月31日)

56,186

53,730

 

 

 

(参考5) 当社のEV
(1) EVの概要
① EVについて

エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。

修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。

保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。

生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。

 

② EEVについて

EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。

2016年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに2016年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。

 

③ EEVの計算手法

今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。

 

(2) 簡易生命保険契約について

当社は、郵政民営化法に基づき、2007年10月1日に発足しました。また、2007年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、郵政管理・支援機構に承継されるとともに、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてについて、当社が受再しております。

当社は、郵政管理・支援機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び郵政管理・支援機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、郵政管理・支援機構へ再保険配当として支払うことを定めております。EEVの計算においては、この郵政管理・支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。

このように郵政管理・支援機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。

 

 

(3) EEVの計算結果

当社のEEVは以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

前事業年度末
(2022年3月末)

当事業年度末
(2023年3月末)

増減

EEV

36,189

34,638

△1,550

 

修正純資産

20,927

20,108

△818

 

保有契約価値

15,261

14,529

△731

 

 

 

前事業年度
(2022年3月期)

当事業年度
(2023年3月期)

増減

新契約価値

△115

△74

41

 

 

① 修正純資産

修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。株主配当や、2022年8月に開始した自己株式の取得及びキャピタル損を主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から減少しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

前事業年度末
(2022年3月末)

当事業年度末
(2023年3月末)

増減

修正純資産

20,927

20,108

△818

 

純資産の部計(注1)

15,448

15,715

267

 

価格変動準備金(注2)

2,774

1,786

△987

 

危険準備金(注2)

4,877

4,416

△460

 

その他(注3)

△41

△101

△59

 

上記項目に係る税効果

△2,131

△1,708

422

 

(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有する当社株式の帳簿価額を加えております。

2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。

3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。

 

 

当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

会社合計

保険契約に
係る部分

修正純資産
①-②

修正純資産

63,217

43,108

20,108

 

純資産の部計(注1)

15,715

15,715

 

価格変動準備金(注2)

8,899

7,112

1,786

 

危険準備金(注2)

17,018

12,602

4,416

 

その他(注3)

39,856

39,957

△101

 

上記項目に係る税効果

△18,273

△16,564

△1,708

 

(注) 1.連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有する当社株式の帳簿価額を加えております。

2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分を計上しております。詳細は「(2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。

3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。

 

② 保有契約価値

保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。「(4) 前事業年度末EEVからの変動要因」に記載のとおり、前提条件(経済前提)と実績の差異を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から減少しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。

将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。詳細は「(2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。

(単位:億円)

 

前事業年度末
(2022年3月末)

当事業年度末
(2023年3月末)

増減

保有契約価値

15,261

14,529

△731

 

確実性等価将来利益現価

19,109

17,636

△1,472

 

オプションと保証の時間価値

△2,174

△1,594

579

 

必要資本を維持するための費用

△0

△0

△0

 

ヘッジ不能リスクに係る費用

△1,674

△1,513

160

 

 

 

③ 新契約価値

新契約価値は、当期間に獲得した新契約(条件付解約による加入契約及び転換契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。

当事業年度の新契約価値は前事業年度から増加しているものの、当事業年度において新契約量の規模が小さい一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、当事業年度の新契約価値はマイナスとなります。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

前事業年度
(2022年3月期)

当事業年度
(2023年3月期)

増減

新契約価値

△115

△74

41

 

確実性等価将来利益現価

△73

△36

37

 

オプションと保証の時間価値

△33

△16

17

 

必要資本を維持するための費用

△0

△0

△0

 

ヘッジ不能リスクに係る費用

△7

△21

△13

 

 

なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

前事業年度
(2022年3月期)

当事業年度
(2023年3月期)

増減

新契約価値

△115

△74

41

保険料収入現価(注)

3,624

5,716

2,091

新契約マージン

△3.19%

△1.30%

1.89

ポイント

 

(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。

 

(4) 前事業年度末EEVからの変動要因

(単位:億円)

 

修正純資産

保有契約価値

EEV

前事業年度末EEV

20,927

15,261

36,189

 ① 前事業年度末EEVの調整

△708

△708

前事業年度末EEV(調整後)

20,218

15,261

35,480

 ② 当事業年度新契約価値

△74

△74

③ 期待収益(リスク・フリー・レート分)

△12

342

330

 ④ 期待収益(超過収益分)

72

1,596

1,668

 ⑤ 保有契約価値からの移管

827

△827

 

うち前事業年度末保有契約

1,270

△1,270

 

うち当事業年度新契約

△442

442

 ⑥ 前提条件(非経済前提)と実績の差異

△456

△91

△548

 ⑦ 前提条件(非経済前提)の変更

△280

△280

 ⑧ 前提条件(経済前提)と実績の差異

△541

△1,396

△1,937

当事業年度末EEV

20,108

14,529

34,638

 

 

① 前事業年度末EEVの調整

当社は当事業年度において自己株式350億円の取得及び358億円の株主配当金を支払っており、修正純資産がその分減少しております。

 

② 当事業年度新契約価値

新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。当事業年度において新契約量の規模が小さい一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、新契約価値はマイナスになっております。

 

③ 期待収益(リスク・フリー・レート分)

保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(△0.075%)分に相当する収益が発生しております。

 

④ 期待収益(超過収益分)

EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。当事業年度の超過収益を計算するために使用した期待収益率は、「付録B EEV計算における主な前提条件 (1) 経済前提」に記載のとおりであります。

 

⑤ 保有契約価値からの移管

当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。

これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。

 

⑥ 前提条件(非経済前提)と実績の差異

前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。

主に新型コロナウイルス感染症(COVID-19(注))に係る保険金支払の増加により、EEVは548億円減少しました。

 

⑦ 前提条件(非経済前提)の変更

前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。

主に事業費前提の変更により、EEVは280億円減少しました。

 

⑧ 前提条件(経済前提)と実績の差異

市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積りの変更を含んでおります。

主にキャピタル損により、修正純資産は541億円減少しました。

主に海外金利上昇に伴う外国債券の含み益の減少により、保有契約価値は1,396億円減少しました。

 

   (注) 2020年2月11日に世界保健機構(WHO)によってCOVID-19と命名された新型コロナウイルス感染症のこと。

 

(5) 感応度(センシティビティ)

前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に一つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。

(単位:億円)

前提条件

EEV

増減額

当事業年度末EEV

34,638

感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇

34,121

△516

感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下

35,048

410

感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)

34,859

221

感応度4:株式・不動産価値10%下落

33,247

△1,391

感応度5:事業費率(維持費)10%減少

36,552

1,913

感応度6:解約失効率10%減少

34,920

282

感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下

35,541

903

感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下

34,115

△522

感応度9:必要資本を法定最低水準に変更

34,638

0

感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇

34,301

△336

感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇

34,017

△621

 

 

感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの増減額となります。

(単位:億円)

前提条件

増減額

(参考)会社合計の

増減額(注)

感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇

△273

△19,327

感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下

228

14,451

感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)

295

21,031

感応度4:株式・不動産価値10%下落

△58

△3,033

 

(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。

 

当事業年度において新契約量の規模が小さく、新契約価値の感応度に重要性がないため、算定しておりません。

 

 

① 感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇
a.リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp上昇した場合の影響を表しております。金利の変動により時価が変動する債券・貸付金等を再評価するとともに、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算しております。
b.リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。

 

② 感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下
a.リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。

なお、50bp低下によりリスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。

b.リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。

 

③ 感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)
a.リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。
なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに50bp低下させております。
b.リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。

 

④ 感応度4:株式・不動産価値10%下落

株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。

 

⑤ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少

事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。

 

⑥ 感応度6:解約失効率10%減少

解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。

 

⑦ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下

死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。

 

⑧ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下

年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。

 

⑨ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更

必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。

 

⑩ 感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇

オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。

 

⑪ 感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇

オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。

 

 

(6) 注意事項

EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。

これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。

 

(7) その他の特記事項

当社では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。

 

 

付録A EEVの計算手法

 

当社が当事業年度末のEEVを計算するために使用した方法及び前提は市場整合的手法であり、EEV原則とその指針(ガイダンス)に準拠しております。

 

(1) 対象事業

計算の対象範囲は、当社及びその子会社の取り扱う生命保険事業であります。

なお、当社は生命保険事業のみを取り扱っております。

また、当社は日本郵政グループの一員ですが、本計算は当社単独の計算となっております。

 

(2) 修正純資産の計算方法

修正純資産は、貸借対照表の純資産の部の金額に対して、以下の調整を加えて計算しております。

なお、修正純資産から必要資本を控除したものがフリー・サープラスと呼ばれております。

① 修正純資産は、原則として時価評価するため、貸借対照表において時価評価されていない満期保有目的の債券等の有価証券、不動産及び劣後債等についても時価評価を行い、これらの含み損益を税引後に換算した上で修正純資産に加えております。

なお、保険契約に係る資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。

 

② 負債のうち、純資産に加算することが妥当と考えられるものについては、税引後に換算した上で修正純資産に加えております。具体的には、危険準備金、価格変動準備金及び一般貸倒引当金であります(ただし、危険準備金及び価格変動準備金については簡易生命保険契約に係るものを除いております。詳細は「(参考5) 当社のEV (2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。)。

 

③ 退職給付の未積立債務については、未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異の合計額を税引後に換算した上で修正純資産に反映しております。

 

④ 自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有する当社株式の帳簿価額を修正純資産に加えております。これは、当該信託が保有する当社株式が、将来当社の退職者へ給付され、自己株式として扱われなくなる予定であるものの、その帳簿価額が自己株式として純資産の部合計から控除されていることから、これを調整するものであります。

 

(3) 保有契約価値の計算方法

保有契約価値は、確実性等価将来利益現価から、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用を控除することにより算出しております。

 

(4) 確実性等価将来利益現価

確実性等価将来利益現価は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づき、将来キャッシュ・フローを決定論的手法により計算したもので、将来利益をリスク・フリー・レートで割り引いた現在価値であります。

将来利益の計算において、保険契約に係る資産の運用収益を簿価評価しておりますが、リスク・フリー・レートによる割引現在価値は資産時価と一致しております(この取扱いは「EEV原則の指針(ガイダンス)G10.11」のとおりであります。)。なお、EEV及び新契約価値における確実性等価将来利益現価の計算では、将来の資産運用リスクのプレミアム(例えば、株式や債券等に期待されるリスク・フリー・レートを超過する利回り)は反映されておりません。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。詳細は「(参考5) 当社のEV (2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。

 

この価値には、契約者配当等のオプションと保証の本源的価値も反映しておりますが、オプションと保証の時間価値は反映されず、別途、計算しております。

 

(5) オプションと保証の時間価値

オプションと保証の時間価値は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づいた値(確実性等価将来利益現価)と、市場で取引されているオプション価格と整合的な前提により確率論的に計算された将来の税引後利益現価の平均との差として計算しております。

オプションと保証の時間価値は、以下のような要素を勘案しております。

① 有配当保険に係る配当オプション

有配当保険においては、発生した損益に対して、株主への分配可能な利益には、非対称性が存在しております。例えば、利益が発生した場合には、契約者配当を支払うことから、利益のすべてが株主には帰属しておりません。一方、損失が発生した場合には、契約者に追加の負担が生じないため、損失のすべてが株主負担となります。契約者配当は、収益状況に応じた一定割合を還元するように設定しているため、シナリオによって異なった金額となります。

 

② 動的解約

経済の状況等に応じて、契約者はさまざまな行動を取るオプションを有しております。ここでは、金利水準により契約者の解約行動が変化することを反映しております。

 

(6) 必要資本を維持するための費用

保険会社は健全性維持のために負債の額を超えて必要資本を保有する必要があります。この必要資本に係る運用収益に対する税金と資産運用管理のための費用を認識しております。

EEV原則において、この必要資本は、法定最低水準以上であることが求められ、さらに、内部の目的を達成するために必要となる金額とすることが認められております。日本における法定最低水準の資本要件はソルベンシー・マージン比率200%であることを踏まえ、当社では、必要資本を維持するための費用の計算にあたり、ソルベンシー・マージン比率600%に相当する金額を必要資本としております。

なお、日本におけるソルベンシー・マージン基準では、一定の範囲内で、全期チルメル式責任準備金相当額超過額をマージンに反映することが規定されており、本計算においてもこれを反映しております。また、保有契約価値の計算において、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金に加え、保険契約に係るその他有価証券評価差額金、一般貸倒引当金を含めて評価しており、これらの準備金等をマージンに含めております。

当社の前事業年度及び当事業年度における必要資本はゼロとなりました。ただし、これらの準備金等は将来において戻入されることを想定しているため、将来における必要資本は必ずしもゼロではありません。

 

 

(7) ヘッジ不能リスクに係る費用

EEV原則では、「EVは対象事業のリスク全体を考慮した上で、対象事業に割り当てられた資産から発生する分配可能利益の中の株主分の現在価値」と定義されており、すべてのリスクを勘案してEEVを計算することが求められております。

一部のリスクについては、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提だけではEEVに与えるさまざまな影響を十分に反映できない場合があり、EEVの計算において、ヘッジ不能リスクに係る費用として認識するという補正が必要となります。このような例として、オペレーショナル・リスク及び巨大災害リスクの他、以下のリスクが挙げられます。

① 当社は簡易生命保険契約において終身年金等の生存保障系商品の占率が高く、将来に死亡率の改善が進んだ場合、将来の年金支払額等が増加し、価値が悪化します。死亡率前提設定において将来の死亡率の改善を反映しておりますが、最良推計以上に死亡率が改善することにより、価値の不確実性が存在しております。

② 将来、剰余が発生した場合には税金を支払いますが、損失が発生した場合には税金はゼロとなります。この場合でも、税務上の欠損金の多くは翌年度以降に繰り越すことにより回収可能と考えられますが、繰越期間内に回収できないリスクが存在しております。

③ 計算に用いるリスク・フリー・レートのうち、超長期の金利には十分な取引のある市場が存在しないことにより、価値の不確実性が存在しております。

当社では、簡易モデルによってヘッジ不能リスクに係る費用を推定しております。

 

(8) 新契約価値の計算方法

当事業年度の新契約価値は、当期間に獲得した新契約の獲得時点における価値であります。

計算対象は、新契約及び特約の中途付加であり、既契約の更新は含めておりません。なお、条件付解約による加入契約及び転換契約の新契約価値としては、旧契約の価値からの正味増加分を反映しております。また、経済前提は2022年9月末時点のもの、その他の前提は保有契約価値と同一の期末時点のものを用いております。

新契約価値の評価について、当社では、実際の契約者配当の水準を、保有契約全体の損益に基づいて決定していることを踏まえ、新契約を獲得した場合の保有契約全体の損益に基づいて計算したEVと、新契約を獲得しなかった場合の保有契約全体の損益に基づいて計算したEVの差とするマージナル方式としております。マージナル方式では、新契約獲得に伴う分散効果によるリスクの軽減の影響等も新契約価値として評価されております。

 

 

付録B EEV計算における主な前提条件

 

(1) 経済前提
① リスク・フリー・レート

a.参照金利

確実性等価将来利益現価の計算においては、当社の保有資産等を考慮し、リスク・フリー・レートとして、評価日時点の国債を使用しております。

b.超長期の金利の補外方法

参照金利のない超長期の金利は、終局金利を用いて補外しております。

具体的には終局金利として3.8%を仮定し、日本国債の流動性等を踏まえ補外開始年度を30年目と設定しております。31年目以降のフォワード・レートは補外開始年度以降30年間で終局金利の水準に収束するようにSmith-Wilson法により補外しております。

 

計算に使用したリスク・フリー・レート(スポット・レート換算)の年限別数値は以下のとおりであります。

 

保有契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート

期間

2022年3月31日

2023年3月31日

1年

△0.075%

△0.115%

2年

△0.030%

△0.061%

3年

△0.031%

△0.052%

4年

△0.002%

0.024%

5年

0.036%

0.101%

10年

0.219%

0.396%

15年

0.473%

0.800%

20年

0.715%

1.108%

25年

0.853%

1.234%

30年

0.941%

1.370%

40年

1.394%

1.789%

50年

1.839%

2.162%

60年

2.159%

2.429%

 

(データ:財務省 補正後)

 

 

新契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート

期間

前事業年度の新契約価値

(2021年12月31日)

当事業年度の新契約価値

(2022年9月30日)

1年

△0.089%

△0.115%

2年

△0.095%

△0.050%

3年

△0.095%

△0.037%

4年

△0.088%

0.009%

5年

△0.075%

0.085%

10年

0.089%

0.286%

15年

0.312%

0.745%

20年

0.493%

1.055%

25年

0.607%

1.290%

30年

0.724%

1.503%

40年

1.230%

1.936%

50年

1.707%

2.285%

60年

2.049%

2.532%

 

(データ:財務省 補正後)

 

② 経済シナリオ(リスク中立シナリオ)
a.金利モデル

金利モデルとして、日本円、米ドル、ユーロ、豪ドルを通貨とする確率論的αβρ-LIBOR マーケットモデルを構築しました。各金利変動の相関を考慮するとともに、日本円を基準通貨とするリスク中立アプローチに基づきモデルを調整しております。金利モデルは、評価日時点の市場にキャリブレートされており、パラメータはイールド・カーブと期間の異なる複数の金利スワップションのインプライド・ボラティリティから推計しております。オプションと保証の時間価値を算出するための確率論的手法では5,000シナリオを使用しております。これらのシナリオは保険数理に関する専門知識を有する第三者機関により生成されたものを使用しております。

シナリオのキャリブレーションに使用した金利スワップションのインプライド・ボラティリティ(抜粋)は以下のとおりであります。

 

 

金利スワップション

保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ

 

 

2022年3月31日

2023年3月31日

オプション期間

スワップ
期間

日本円

米ドル

ユーロ

豪ドル

日本円

米ドル

ユーロ

豪ドル

5年

5年

30.0bp

95.8bp

89.3bp

83.6bp

45.3bp

98.3bp

95.7bp

91.2bp

5年

7年

31.1bp

92.6bp

84.3bp

80.2bp

43.7bp

94.4bp

93.8bp

87.7bp

5年

10年

34.1bp

87.6bp

76.8bp

77.9bp

43.1bp

89.9bp

90.9bp

82.1bp

7年

5年

31.0bp

88.9bp

81.5bp

76.8bp

42.0bp

89.9bp

88.5bp

81.0bp

7年

7年

32.1bp

85.4bp

78.2bp

75.4bp

41.0bp

86.9bp

86.4bp

79.0bp

7年

10年

34.4bp

81.6bp

73.3bp

73.7bp

40.8bp

82.9bp

83.2bp

75.2bp

10年

5年

33.4bp

79.0bp

72.9bp

69.0bp

39.9bp

79.2bp

81.4bp

70.0bp

10年

7年

34.4bp

76.5bp

70.8bp

68.4bp

39.2bp

76.8bp

79.0bp

68.8bp

10年

10年

35.8bp

73.7bp

67.5bp

66.8bp

39.2bp

73.8bp

75.4bp

67.0bp

 

(データ:Bloomberg)

 

新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ

 

 

前事業年度の新契約価値

(2021年12月31日)

当事業年度の新契約価値

(2022年9月30日)

オプション期間

スワップ
期間

日本円

米ドル

ユーロ

豪ドル

日本円

米ドル

ユーロ

豪ドル

5年

5年

19.4bp

73.2bp

64.3bp

72.6bp

43.5bp

111.2bp

124.2bp

93.1bp

5年

7年

20.3bp

71.3bp

63.4bp

69.9bp

43.8bp

105.9bp

120.2bp

89.4bp

5年

10年

21.8bp

69.1bp

62.0bp

65.9bp

44.3bp

99.8bp

114.0bp

87.7bp

7年

5年

21.1bp

70.0bp

63.9bp

68.1bp

41.3bp

100.1bp

112.8bp

83.6bp

7年

7年

21.8bp

68.3bp

62.8bp

65.3bp

41.6bp

96.1bp

109.1bp

80.3bp

7年

10年

23.4bp

66.2bp

61.0bp

61.9bp

42.1bp

91.3bp

103.3bp

79.1bp

10年

5年

23.4bp

65.4bp

61.2bp

60.4bp

39.1bp

87.0bp

100.9bp

72.4bp

10年

7年

24.1bp

64.0bp

60.5bp

58.9bp

39.6bp

83.7bp

97.3bp

70.6bp

10年

10年

25.9bp

62.0bp

59.4bp

56.0bp

40.4bp

80.3bp

92.0bp

68.2bp

 

(データ:Bloomberg)

 

 

b.株式・通貨のインプライド・ボラティリティ

主要な株式のインデックス及び通貨のボラティリティについては、市場で取引されているオプションのインプライド・ボラティリティのデータに基づいてキャリブレーションを行っております。シナリオのキャリブレーションに使用したインプライド・ボラティリティ(抜粋)は以下のとおりであります。なお、当社が実際に使用する国内株式インデックスは、主にTOPIXをベンチマークとした運用がなされていることを踏まえ、TOPIXの日経225に対するヒストリカル・ボラティリティ比(2022年9月30日:93.0%、2023年3月31日:91.5%)を下記の日経225のインプライド・ボラティリティに乗じて算出しております。

 

株式オプション

保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ

通貨

原資産

オプション期間

2022年3月31日

2023年3月31日

日本円

日経225

3年

19.9%

18.3%

4年

19.7%

18.4%

5年

19.6%

18.5%

米ドル

S&P 500

3年

21.4%

20.6%

4年

21.3%

21.0%

5年

21.3%

21.4%

ユーロ

Euro Stoxx 50

3年

19.6%

18.5%

4年

19.3%

18.6%

5年

19.3%

19.0%

 

(データ:Markit 補正後)

 

新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ

通貨

原資産

オプション期間

前事業年度の新契約価値

(2021年12月31日)

当事業年度の新契約価値

(2022年9月30日)

日本円

日経225

3年

19.1%

20.4%

4年

19.1%

20.1%

5年

19.1%

20.0%

米ドル

S&P 500

3年

20.5%

24.4%

4年

20.6%

24.0%

5年

20.7%

23.8%

ユーロ

Euro Stoxx 50

3年

18.0%

21.9%

4年

17.8%

21.3%

5年

17.8%

21.2%

 

(データ:Markit 補正後)

 

 

通貨オプション

保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ

通貨

オプション期間

2022年3月31日

2023年3月31日

米ドル

10年

9.0%

9.0%

ユーロ

10年

9.7%

10.3%

豪ドル

10年

13.7%

12.8%

 

(データ:Bloomberg)

 

新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ

通貨

オプション期間

前事業年度の新契約価値

(2021年12月31日)

当事業年度の新契約価値

(2022年9月30日)

米ドル

10年

8.2%

10.1%

ユーロ

10年

8.2%

12.5%

豪ドル

10年

12.8%

14.5%

 

(データ:Bloomberg)

 

c.相関係数

前述のインプライド・ボラティリティに加え、相関係数を元に当社の資産構成を反映させたインプライド・ボラティリティを計算しております。

相関係数については、十分な流動性を有するエキゾチック・オプションに基づく市場整合的なデータが存在しておりません。このため、評価日時点の直近10年間の市場データから計算した値を使用しております。

 

 

主要な変数間の相関係数は以下のとおりであります。

 

保有契約価値の計算で使用

 

金利
10年/
日本円

金利
10年/
米ドル

金利
10年/
ユーロ

金利
10年/

豪ドル

米ドル
/日本円

ユーロ
/日本円

豪ドル
/日本円

国内株式
インデッ
クス
/日本円

外国株式
インデッ
クス
/日本円

金利10年
/日本円

1.00

0.50

0.61

0.49

0.30

0.34

0.20

0.26

0.13

金利10年
/米ドル

0.50

1.00

0.79

0.76

0.54

0.46

0.35

0.26

0.25

金利10年
/ユーロ

0.61

0.79

1.00

0.81

0.33

0.45

0.26

0.11

0.01

金利10年
/豪ドル

0.49

0.76

0.81

1.00

0.36

0.39

0.43

0.14

0.12

米ドル
/日本円

0.30

0.54

0.33

0.36

1.00

0.65

0.47

0.43

0.47

ユーロ
/日本円

0.34

0.46

0.45

0.39

0.65

1.00

0.66

0.51

0.59

豪ドル
/日本円

0.20

0.35

0.26

0.43

0.47

0.66

1.00

0.63

0.75

国内株式
インデッ
クス
/日本円

0.26

0.26

0.11

0.14

0.43

0.51

0.63

1.00

0.80

外国株式
インデッ
クス
/日本円

0.13

0.25

0.01

0.12

0.47

0.59

0.75

0.80

1.00

 

(データ:日本円金利は財務省、その他はBloomberg)

 

新契約価値の計算で使用

 

金利
10年/
日本円

金利
10年/
米ドル

金利
10年/
ユーロ

金利
10年/

豪ドル

米ドル
/日本円

ユーロ
/日本円

豪ドル
/日本円

国内株式
インデッ
クス
/日本円

外国株式
インデッ
クス
/日本円

金利10年
/日本円

1.00

0.51

0.58

0.46

0.37

0.37

0.20

0.27

0.18

金利10年
/米ドル

0.51

1.00

0.78

0.75

0.53

0.47

0.38

0.31

0.31

金利10年
/ユーロ

0.58

0.78

1.00

0.77

0.37

0.51

0.31

0.17

0.11

金利10年
/豪ドル

0.46

0.75

0.77

1.00

0.41

0.45

0.49

0.21

0.22

米ドル
/日本円

0.37

0.53

0.37

0.41

1.00

0.68

0.50

0.49

0.49

ユーロ
/日本円

0.37

0.47

0.51

0.45

0.68

1.00

0.67

0.53

0.60

豪ドル
/日本円

0.20

0.38

0.31

0.49

0.50

0.67

1.00

0.65

0.76

国内株式
インデッ
クス
/日本円

0.27

0.31

0.17

0.21

0.49

0.53

0.65

1.00

0.81

外国株式
インデッ
クス
/日本円

0.18

0.31

0.11

0.22

0.49

0.60

0.76

0.81

1.00

 

(データ:日本円金利は財務省、その他はBloomberg)

 

 

③ 将来の資産構成

当社の評価日時点の資産構成の実態を考慮するとともに、将来の新規購入資産は、負債特性を踏まえた年限での運用を想定しております。

また、当社の外貨建資産の通貨別構成を踏まえ、すべての外貨建資産は米ドル建、ユーロ建及び豪ドル建から構成されるとみなしております。

 

④ 期待収益計算上の期待収益率

「前事業年度末EEVからの変動要因」の期待収益(超過収益分)の計算に用いた主な資産の期待収益率(リスク・フリー・レート分と超過収益分の合計)は以下のとおりであります。

 

国債

△0.075%:1年国債金利

短資

△0.075%:1年国債金利

地方債

△0.025%:1年国債金利+信用スプレッド(0.050%)

政府保証債

△0.045%:1年国債金利+信用スプレッド(0.030%)

普通社債等

 0.125%:1年国債金利+信用スプレッド(0.200%)

外国国債(ヘッジ)

 1.425%:1年国債金利+リスク・プレミアム(1.500%)

外国国債(オープン)

 2.925%:1年国債金利+リスク・プレミアム(3.000%)

国内株式

 4.925%:1年国債金利+リスク・プレミアム(5.000%)

 

 

期待収益(超過収益分)の計算に用いる期待収益率は、前事業年度末における資産占率に上記の期待収益率を乗じることにより算出しております。会社全体における資産占率考慮後の期待収益率は、0.576%であります。

 

(2) その他の前提

保険料、事業費、保険金・給付金、解約返戻金、税金等のキャッシュ・フローは、契約消滅までの期間にわたり、保険種類別に、直近までの経験値及び期待される将来の実績を勘案して(最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提)予測しております。

 

① 事業費
a.事業費の前提は、事業費実績を基に算出し、子会社に係るルック・スルー調整を行っております。また、将来、経常的に発生しないと考えられる一時費用(将来の業務効率化に資する施策の経費)を控除する一方、追加的に発生すると考えられる費用を加算する調整を行っております。

b.消費税については、10%としております。

c.将来のインフレ率は、リスク・フリー・レートの補外開始年度(経過30年)までは、消費者物価指数を参考に0.48%としております。なお、インフレ率の適用にあたっては、当社の事業費構造を考慮して調整を行っております。リスク・フリー・レートの補外開始年度を超える期間についてはフォワード・レートの上昇に応じてインフレ率が上昇し、終局水準を2%としております。

 

② 契約者配当

現行の配当実務に基づき、配当率の前提を設定しております。

なお、郵政管理・支援機構への再保険配当については、郵政管理・支援機構との再保険契約に基づく額を支払うこととしております。

 

③ 実効税率

直近の実効税率に基づき、28.00%としております。

 

(参考6) 主要な財務数値等の新旧区分別実績

当社は、郵政管理・支援機構との間で再保険契約を締結し、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約に基づく郵政管理・支援機構の保険責任のすべてを受再しております。また、当該再保険契約に基づき、簡易生命保険契約及びそこから生じた利益を他の保険契約と区分して管理しており、過年度の実績の推移は下表のとおりであります。

下表における旧区分の数値は、上記に基づき算出した簡易生命保険契約に係るものであり、新区分の数値は、全体から旧区分の数値を差し引いたものであります。よって、下表は当社の内部管理上の数値であり、企業会計原則に則って作成される数値ではありません。

回次

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

総資産

(億円)

739,045

716,673

701,738

671,748

626,852

旧区分

 

413,540

392,254

378,152

359,291

336,921

新区分

 

325,505

324,419

323,585

312,457

289,930

保有契約件数

(千件)

29,143

27,070

24,837

22,802

20,987

旧区分(保険)

 

11,048

9,907

8,944

8,061

7,265

新区分(個人保険)

 

18,095

17,163

15,893

14,740

13,722

保険料等収入

(億円)

39,599

32,455

26,979

24,189

22,009

旧区分

 

5,903

4,591

3,641

2,868

2,226

新区分

 

33,695

27,863

23,337

21,321

19,783

経常利益

(億円)

2,651

2,868

3,450

3,557

1,176

旧区分

 

1,139

924

824

1,089

704

新区分

 

1,511

1,943

2,625

2,467

471

当期純利益

(億円)

1,209

1,511

1,655

1,578

977

旧区分

 

167

178

65

91

69

新区分

 

1,041

1,333

1,590

1,487

908

危険準備金繰入額

(億円)

△1,515

△1,653

△1,860

796

108

旧区分

 

△1,735

△1,708

△1,910

735

569

新区分

 

219

54

49

60

△460

価格変動準備金繰入額

(億円)

△192

△391

464

677

△826

旧区分

 

△36

△298

231

400

161

新区分

 

△155

△93

233

277

△987

追加責任準備金繰入額

(億円)

△502

△497

276

△2,393

△2,456

旧区分

 

△466

△463

305

△2,369

△2,438

新区分

 

△35

△33

△29

△23

△18