E02142 Japan GAAP
前期
8.42兆 円
前期比
125.8%
株価
630.1 (10/03)
発行済株式数
4,220,715,112
EPS(実績)
52.57 円
PER(実績)
11.99 倍
前期
811.0万 円
前期比
104.9%
平均年齢(勤続年数)
41.7歳(16.4年)
従業員数
23,525人(連結:131,719人)
当社グループは当社と当社の子会社、関連会社及び当社のその他の関係会社で構成され、自動車及び部品の製造と販売を主な事業内容とし、さらに上記事業における販売活動を支援するために販売金融事業を行っている。
当社グループは世界的な本社機能として「グローバル日産本社」を設置し、各事業への資源配分を決定するとともに、グループ全体の事業を管理している。また、当社グループは4つの地域のマネジメント・コミッティによる地域管理と研究・開発、購買、生産といった機能軸による地域を越えた活動を有機的に統合した組織(グローバル日産グループ)により運営されている。
当社グループの構成図は以下のとおりである。
* 連結子会社
** 持分法適用会社
・上記の他に*日産トレーデイング㈱、*日産ネットワークホールディングス㈱他の関係会社がある。
・また上記のうち、国内証券市場に上場している連結子会社は以下のとおりである。
日産車体㈱…東京
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりである。
当連結会計年度のグローバル全体需要は前年度比2.7%増の8,051万台となった。一方、当社グループのグローバル小売台数は前年度比14.7%減の330万5千台となった。売上高は10兆5,967億円と前連結会計年度に比べ2兆1,721億円(25.8%)の増収となり、営業利益は3,771億円と前連結会計年度に比べ1,298億円(52.5%)の増益となった。
営業外損益は1,383億円の利益となり、前連結会計年度に比べ795億円の増益となった。その結果、経常利益は5,154億円となり、前連結会計年度に比べ2,093億円(68.4%)の増益となった。特別損益は1,130億円の損失となり、前連結会計年度に比べ1,911億円悪化した。税金等調整前当期純利益は4,024億円と前連結会計年度に比べ182億円(4.7%)の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は2,219億円となり、前連結会計年度に比べ64億円(3.0%)の増益となった。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により1兆2,211億円増加、投資活動により4,470億円減少、財務活動により6,706億円減少した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により1,123億円増加し、連結範囲の変更に伴い59億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し2,217億円(12.4%)増加の2兆144億円となった。
(注) 台数集約期間は2022年4月から2023年3月までである。
当社グループの受注生産は僅少なので受注状況の記載を省略する。
(注) 1 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2022年1月から2022年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2022年4月から2023年3月までである。
2 中国には合弁会社である東風汽車有限公司の販売台数が含まれる。
(注) 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2022年1月から2022年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2022年4月から2023年3月までである。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであり、原則として連結財務諸表に基づいて分析したものである。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において当社グループが判断したものである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
連結財務諸表を作成するにあたって、重要な見積りは以下のとおりである。なお、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の適用に伴い、翌連結会計年度に重要な影響を及ぼす可能性のある一部の項目については、第5[経理の状況]の1[連結財務諸表等]の(重要な会計上の見積り)に記載している。
a.製品保証引当金
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、類似の費用特性を有する製品グループごとに保証経過期間における発生費用総額に対して、過去実績に基づく保証期間内の費用発生パターンを見積もり、引当金を算定している。当社グループは、製品の安全を最優先課題として、研究開発・製造から販売サービスまで最善の努力を傾けているが、実際の製品の不具合等により発生した保証費用の発生パターンの実績が見積りと乖離した場合、引当金の追加計上が必要となる可能性がある。
b.退職給付費用
当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率、退職率及び死亡率などの年金数理計算上の基礎率及び年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されている。ただし、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外関係会社においては、年金資産の期待運用収益率ではなく、利息純額として年金数理計算上の割引率と同じ指標が用いられている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。
当社グループの当連結会計年度における経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討結果は、次のとおりである。
(業績)
a.売上高
連結売上高は前連結会計年度に対し2兆1,721億円(25.8%)増加し、10兆5,967億円となった。主な増収要因は、為替変動や台当たり正味売上高の増加によるものである。
b.営業利益
連結営業利益は3,771億円となり、売上高営業利益率は3.6%となった。前連結会計年度の2,473億円の利益に対し1,298億円(52.5%)の増益となった。これは主に、原材料価格の高騰やインフレーション等の減益影響はあったものの、継続的に取り組んでいる販売の質の向上による収益力の強化に加え、コスト・費用の改善効果及び為替変動の影響によるものである。
c.営業外損益
連結営業外損益は1,383億円の利益となり、前連結会計年度の588億円の利益に対し、795億円の増益となった。これは主に、持分法による投資利益の増加によるものである。
d.特別損益
連結特別損益は1,130億円の損失となり、前連結会計年度の781億円の利益に対し、1,911億円悪化した。これは主に、前連結会計年度においてはダイムラーAG株式売却による投資有価証券売却益の計上があったことに加え、当連結会計年度はロシア市場からの撤退に関連する損失等を計上したことによるものである。
e.法人税等
法人税等は1,612億円となり、158億円(10.9%)の増加となった。
f.親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は2,219億円となり、前連結会計年度に比べ64億円(3.0%)の増益となった。
(事業セグメント)
a.自動車事業
当社グループの全世界における自動車小売台数は、330万5千台と前連結会計年度に比べ57万1千台(14.7%)の減少となった。これは主にサプライチェーンの分断及び半導体供給不足に加え、前年度はディーラー在庫の削減効果により小売台数の増加があったためである。日本国内では前年度比6.1%増の45万4千台、中国では前年度比24.3%減の104万5千台となった。メキシコとカナダを含む北米では前年度比13.5%減の102万3千台、欧州では前年度比9.2%減の30万8千台、その他地域は前年度比12.8%減の47万4千台となった。
自動車事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、9兆6,869億円と前連結会計年度に比べ2兆2,112億円(29.6%)の増収となった。
営業利益は、430億円と前連結会計年度に比べ1,980億円の改善となった。これは主に、原材料価格の高騰やインフレーション等の減益影響はあったものの、継続的に取り組んでいる販売の質の向上による収益力の強化に加え、コスト・費用の改善効果及び為替変動の影響によるものである。
なお、当連結会計年度におけるセグメント間の取引消去額を含む自動車事業の営業利益は652億円となった。
b.販売金融事業
販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、1兆238億円と前連結会計年度に比べ79億円(0.8%)の減収となった。営業利益は3,119億円と前連結会計年度に比べ629億円(16.8%)の減益となった。これは主に、米国の販売金融会社におけるクレジットロスに係る引当金の戻入れの減少及び各国の販売金融会社におけるポートフォリオの縮小等によるものである。
(地域セグメント)
a.日本
日本国内市場の全体需要は、前年度比4.0%増の439万台となった。当社グループの小売台数は、前年比6.1%増の45万4千台となり、市場占有率は前年度比0.2ポイント増の10.4%へと拡大した。
この結果、日本地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は3兆9,383億円と、前連結会計年度に比べ8,162億円(26.1%)の増収となった。営業損失は1,503億円となり、前連結会計年度に比べ795億円の改善となった。これは主に、原材料価格の高騰等のコスト・費用の増加はあったものの、連結売上台数の増加及び為替変動によるものである。
b.北米
メキシコとカナダを含む北米市場の全体需要は、前年度比2.6%減の1,662万台となった。当社グループの小売台数は前年度比13.5%減の102万3千台となった。
一方で、北米地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は5兆9,491億円と、前連結会計年度に比べ1兆6,039億円(36.9%)の増収となった。営業利益は3,560億円となり、前連結会計年度に比べ253億円(7.7%)の増益となった。これは主に、原材料価格の高騰やインフレーションの影響等によるコスト・費用の増加及び販売金融事業が減益となったものの、連結売上台数の増加に加え、徹底した販売奨励金の管理及び販売価格の改定による台当たり正味売上高の増加並びに為替変動の影響があったことによるものである。
米国市場の全体需要は、前年度比3.5%減の1,396万台となった。当社グループの小売台数は前年度比14.5%減の76万4千台となり、市場占有率は前年同累計期間に比べ0.7ポイント減の5.5%となった。これは主に、前年度はディーラー在庫の削減効果により小売台数の増加があったことに加え、半導体供給不足により「セントラ」及び「キックス」の生産に制約が生じたためである。
c.欧州
欧州市場の全体需要は、前年度比6.1%減の1,455万台となった。当社グループの小売台数は前年度比9.2%減の30万8千台となり、市場占有率は前年度比0.1ポイント減の2.1%となった。
一方で、欧州地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は、1兆3,967億円と前連結会計年度に比べ2,895億円(26.1%)の増収となった。営業損失は46億円となり、前連結会計年度に比べ238億円の改善となった。これは主に、ロシア市場からの撤退に伴う減益影響はあったものの、新型「キャシュカイ」をはじめとする連結売上台数の増加に加え、販売価格の改定による台当たり正味売上高の増加及び徹底した販売奨励金の管理によるものである。
d.アジア
中国を除くアジア市場の小売台数は、前年度比13.1%減の12万6千台となった。アジア地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は、1兆4,389億円と前連結会計年度に比べ1,591億円(12.4%)の増収となった。営業利益は859億円となり、前連結会計年度に比べ85億円(9.0%)の減益となった。これは主に、半導体供給不足による生産制約はあったものの、為替変動及び徹底した販売奨励金の管理により増収となった。一方、インフレーションの影響等によるコスト・費用の増加により減益となった。
中国市場の全体需要は、前年度比5.7%増の2,601万台となった。当社グループの小売台数は前年度比24.3%減の104万5千台となり、市場占有率は前年度比1.6ポイント減の4.0%となった。これは主に、新型コロナウィルス感染拡大に伴う一連の影響並びに半導体供給不足による生産台数の減少、及び中国市場での競争の激化によるものである。なお、合弁会社である東風汽車有限公司の業績は、持分法による投資損益として営業外損益に計上している。
e.その他
大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等における当社グループの小売台数は、前年度比12.7%減の34万8千台となった。中南米市場の小売台数は前年比19.9%減の13万5千台、中東市場の小売台数は前年比2.8%増の12万台、南アフリカ等のアフリカ市場の小売台数は、前年比7.9%減の6万3千台となった。大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は、1兆1,659億円と前連結会計年度に比べ2,993億円(34.5%)の増収となった。営業利益は845億円となり、前連結会計年度に比べ288億円(51.7%)の増益となった。これは主に、連結売上台数の増加及び車種ミックスの改善によるものである。
営業活動
営業活動による収入は1兆2,211億円となり、前連結会計年度の8,472億円の収入に比べて3,739億円増加した。これは主として、収益並びに運転資本の改善によるものである。
投資活動
投資活動による支出は4,470億円となり、前連結会計年度の1,468億円の支出に比べて3,002億円支出が増加した。これは主として、前連結会計年度はダイムラーAG株式の売却による収入が1,498億円あった一方、当連結会計年度は株式譲渡によるロシア日産自動車製造会社の現金及び現金同等物の連結除外影響が308億円あり、また、販売金融事業において、リース車両の売却による収入の減少及び資産担保証券取引に係る拘束性預金の増加があったことによる。
財務活動
財務活動による支出は6,706億円となり、前連結会計年度の1兆926億円の支出に比べて4,220億円の支出が減少した。これは主として、有利子負債の返済の減少によるものである。
なお、当連結会計年度における自動車事業のフリーキャッシュフローは前連結会計年度に比べ4,815億円改善し、1,867億円のプラスとなった。また、当連結会計年度末における自動車事業のネットキャッシュは1兆2,132億円となり、前連結会計年度末から4,852億円増加した。
セグメント別の内訳は以下のとおりである。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(百万円)
対前年度増減
(百万円)
当社グループは、グローバルに展開するグループ会社の資金状況を当社にて一括管理し、グループの資金効率を高めている。
当社グループの資金需要としては、自動車事業における研究開発費及び設備投資と、販売金融事業における金融資産の取得原資などがある。これらの必要資金を安定的に確保するため、運転資金効率の改善を含めた自動車事業の営業キャッシュ・フローの向上やグループ内の余剰資金の活用により、内部資金を最大限に利用している。また、外部調達としては、銀行借入やコマーシャルペーパー及び社債の発行のほか、販売金融事業では保有金融債権の流動化も行い、各地域での金融市場の特性や状況に応じて調達手法を最適に組み合わせることで、低コストでの資金調達を実現している。なお、研究開発費及び設備投資については、電動化、モビリティ革新、グローバルなエコシステムの構築といった重点分野に集中して投入していく計画である。また、販売金融事業における自動車ローンや自動車リースを中心とした金融資産の取得については、常に資産の質を重視して管理している。株主への配当については、収益及びキャッシュ・フロー等の状況を総合的に勘案し決定している。
流動性について、当社グループは、地政学的リスクや金融市場の想定外の変化にも対応できるよう、常に十分な流動性の確保を図っている。当社グループは従来から世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、自動車事業と販売金融事業を合わせたグループ全体での未使用のコミットメントラインとして2023年3月末時点で1兆7,579億円を保有している。また、2023年3月末時点での自動車事業における手元資金は1兆9,002億円である。これらにより当社グループの流動性は十分に高い水準にあると考えている。
当社グループによる無担保資金調達に係わるコスト及びその発行の可否は、一般に当社グループに関する信用格付によっている。ムーディーズ(Moody's)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)及び格付投資情報センター(R&I)による2023年5月末時点での当社の長期信用格付は以下のとおりである。なお、これらの格付は当社グループの債券の売買・保有を推奨するものではない。また、当社グループの金融債務やコミットメントラインについて、格付の見直しにより強制的に返済の必要が生じたり新たな借入が制限される条件が付されているものはない。
なお、当社グループは、事業の中核と位置付けているサステナビリティの推進に必要となる資金を調達するため、2022年7月にサステナブル・ファイナンス・フレームワークを策定した。本フレームワークを通じて調達した資金は、バッテリーを含む電動車の開発や生産、EVエコシステム・スマートシティの実現に向けた技術開発やインフラ整備、より安全で持続可能なモビリティの開発など、幅広い取り組みに使用される。