E02144 IFRS
前期
37.2兆 円
前期比
121.4%
株価
2,645.5 (12/09)
発行済株式数
15,794,987,460
EPS(実績)
321.08 円
PER(実績)
8.24 倍
前期
895.4万 円
前期比
100.5%
平均年齢(勤続年数)
40.6歳(16.0年)
従業員数
70,224人(連結:380,793人)
連結財務諸表提出会社(以下、当社という。)は、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についてもIFRSの定義に基づいています。「第2 事業の状況」および「第3 設備の状況」においても同様です。
当社および当社の関係会社(子会社577社、関連会社および共同支配企業165社(2024年3月31日現在)により構成)においては、自動車事業を中心に、金融事業およびその他の事業を行っています。
なお、次の3つに区分された事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記5」に掲げるセグメント情報の区分と同様です。
自動車 当事業においては、セダン、ミニバン、コンパクト、SUV、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っています。自動車は、当社、日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱が主に製造していますが、一部については、トヨタ車体㈱等に生産委託しており、海外においては、トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱等が製造しています。自動車部品は、当社および㈱デンソー等が製造しています。これらの製品は、国内では、トヨタモビリティ東京㈱等の全国の販売店を通じて顧客に販売するとともに、一部大口顧客に対しては当社が直接販売を行っています。一方、海外においては、米国トヨタ自動車販売㈱等の販売会社を通じて販売しています。
自動車事業における主な製品は次のとおりです。
金融 当事業においては、主として当社および当社の関係会社が製造する自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両のリース事業を行っています。国内では、トヨタファイナンス㈱等が、海外では、トヨタ モーター クレジット㈱等が、これらの販売金融サービスを提供しています。
その他 その他の事業では、情報通信事業等を行っています。
主な事業の状況の概要図および主要な会社名は次のとおりです。
上記以外の主要な会社としては、北米の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ノース アメリカ㈱、欧州の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ヨーロッパ㈱、金融会社を統括するトヨタファイナンシャルサービス㈱、ソフトウェアを中心とした様々なモビリティの開発を担うウーブン・バイ・トヨタ㈱があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、インフレ・金利高や、中国における不動産市場停滞の影響が見られたものの、雇用の堅調が続く米国を中心に底堅く推移しました。
このような経営環境の中、トヨタは、長年にわたり「商品と地域を軸にした経営」に取り組んできました。お客様の笑顔のため、商品の魅力の原点であるクルマそのものの素性を磨きながら、より多くの価値を付け加えていく「もっといいクルマづくり」に取り組み、事業を行う地域の皆様から応援される「町いちばんの会社」を目指した結果、フルラインアップの商品とグローバルな事業基盤を活かした持続的成長のための土台ができました。そして、多くのお客様が当社のクルマを選んでくださった結果、2023年9月にグローバル生産累計3億台を達成しました。
当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、944万3千台と、前連結会計年度に比べて62万1千台(7.0%)の増加となりました。日本での販売台数については、199万3千台と、前連結会計年度に比べて7万6千台(3.7%)減少しました。一方、海外においては、745万台と、前連結会計年度に比べて69万7千台(10.3%)の増加となりました。
当連結会計年度の業績については、次のとおりです。
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
営業収益は41兆2,662億円と、前連結会計年度に比べて7兆4,462億円(22.0%)の増収となり、営業利益は4兆6,214億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,408億円(111.9%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力などによるものです。
営業収益は3兆4,841億円と、前連結会計年度に比べて6,745億円(24.0%)の増収となり、営業利益は5,700億円と、前連結会計年度に比べて1,325億円(30.3%)の増益となりました。営業利益の増益は、米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。
営業収益は1兆3,681億円と、前連結会計年度に比べて1,432億円(11.7%)の増収となり、営業利益は1,752億円と、前連結会計年度に比べて717億円(69.4%)の増益となりました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
営業収益は21兆207億円と、前連結会計年度に比べて3兆4,375億円(19.6%)の増収となり、営業利益は3兆4,842億円と、前連結会計年度に比べて1兆5,828億円(83.2%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および為替変動の影響などによるものです。
営業収益は17兆9,430億円と、前連結会計年度に比べて4兆991億円(29.6%)の増収となり、営業利益は5,063億円と、前連結会計年度に比べて5,810億円の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および原価改善の努力などによるものです。
営業収益は5兆6,817億円と、前連結会計年度に比べて1兆4,080億円(32.9%)の増収となり、営業利益は3,880億円と、前連結会計年度に比べて3,306億円(575.4%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および前連結会計年度にロシアでの生産事業終了による損失を計上した影響995億円、うち欧州における影響898億円などによるものです。
営業収益は8兆7,307億円と、前連結会計年度に比べて6,858億円(8.5%)の増収となり、営業利益は8,655億円と、前連結会計年度に比べて1,511億円(21.2%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および原価改善の努力などによるものです。
営業収益は4兆3,897億円と、前連結会計年度に比べて9,175億円(26.4%)の増収となりましたが、営業利益は1,983億円と、前連結会計年度に比べて330億円(14.3%)の減益となりました。営業利益の減益は、アルゼンチンにおける高インフレ影響などによるものです。
当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりです。
資産合計は90兆1,142億円と、前連結会計年度末に比べて15兆8,111億円 (21.3%)の増加となりました。負債合計は54兆8,749億円と、前連結会計年度末に比べて9兆8,359億円 (21.8%)の増加となりました。資本合計は35兆2,393億円と、前連結会計年度末に比べて5兆9,751億円 (20.4%)の増加となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は9兆4,120億円と、前連結会計年度末に比べて1兆8,950億円(25.2%)の増加となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4兆2,063億円の資金の増加となり、前連結会計年度が2兆9,550億円の増加であったことに比べて、1兆2,512億円の増加となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、4兆9,987億円の資金の減少となり、前連結会計年度が1兆5,988億円の減少であったことに比べて、3兆3,998億円の減少となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2兆4,975億円の資金の増加となり、前連結会計年度が561億円の減少であったことに比べて、2兆5,537億円の増加となりました。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。
当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものです。
トヨタの事業セグメントは、自動車事業、金融事業およびその他の事業で構成されています。自動車事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度においてトヨタの営業収益合計(セグメント間の営業収益控除前)の89%を占めています。当連結会計年度における車両販売台数ベースによるトヨタの主要な市場は、日本(21.1%)、北米(29.8%)、欧州(12.6%)およびアジア(19.1%)となっています。
世界の自動車市場は、非常に競争が激しく、また予測が困難な状況にあります。さらに、自動車業界の需要は、社会、政治および経済の状況、新車および新技術の導入ならびにお客様が自動車を購入または利用される際に負担いただく費用といった様々な要素の影響を受けます。これらの要素により、各市場および各タイプの自動車に対するお客様の需要は、大きく変化します。
当連結会計年度の世界経済は、インフレ・金利高や、中国の不動産市場の停滞における景気減速に伴う需要減が見られたものの、雇用の堅調が続く米国を中心に底堅く推移しました。
次の表は、過去2連結会計年度における各仕向地域別の連結販売台数を示しています。
(注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東ほかからなります。
トヨタの日本における当連結会計年度の連結販売台数は、市場が前連結会計年度を上回るものの、減少しました。トヨタの海外における連結販売台数は、堅調な需要により、北米、欧州を中心に販売台数が大きく増加しました。
各市場における全車両販売台数に占めるトヨタのシェアは、製品の品質、安全性、信頼性、価格、デザイン、性能、経済性および実用性についての他社との比較により左右されます。また、時機を得た新車の導入やモデルチェンジの実施も、お客様のニーズを満たす重要な要因です。変化し続けるお客様の嗜好を満たす能力も、売上および利益に大きな影響をもたらします。
自動車事業の収益性は様々な要因により左右されます。これらには次のような要因が含まれます。
車両販売台数
販売された車両モデルとオプションの組み合わせ
部品・サービス売上
価格割引およびその他のインセンティブのレベルならびにマーケティング費用
顧客からの製品保証に関する請求およびその他の顧客満足のための修理等にかかる費用
研究開発費等の固定費
原材料価格
コストの管理能力
生産資源の効率的な利用
特定の仕入先への部品供給の依存による生産への影響
気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクを含む、気候変動リスク
自然災害および感染症の発生・蔓延や社会インフラの障害による市場・販売・生産への影響
日本円およびトヨタが事業を行っている地域におけるその他通貨の為替相場の変動
法律、規制、政策の変更およびその他の政府による措置も自動車事業の収益性に著しい影響を及ぼすことがあります。これらの法律、規制および政策には、車両の製造コストを大幅に増加させる環境問題、車両の安全性、燃費および排ガスに影響を及ぼすものが含まれます。
多くの国の政府が、現地調達率を規定し、関税およびその他の貿易障壁を課し、あるいは自動車メーカーの事業を制限したり本国への利益の移転を困難にするような価格管理あるいは為替管理を行っています。このような法律、規制、政策その他の行政措置における変更は、製品の生産、ライセンス、流通もしくは販売、原価、あるいは適用される税率に影響を及ぼすことがあります。トヨタは、トヨタ車の安全性について潜在的問題がある場合に適宜リコール等の市場処置(セーフティ・キャンペーンを含む)を発表しています。前述のリコール等の市場処置をめぐり、トヨタに対する申し立ておよび訴訟が提起されています。これらの申し立ておよび訴訟に関しては、連結財務諸表注記24ならびに30を参照ください。
世界の自動車産業は、グローバルな競争の時期にあり、この傾向は予見可能な将来まで続く可能性があります。また、トヨタが事業を展開する競争的な環境は、さらに激化する様相を呈しています。トヨタは一独立企業として自動車産業で効率的に競争するための資源、戦略および技術を予見可能な将来において有していると考えています。
自動車金融の市場は、大変競争が激しくなっています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があり、また、顧客がトヨタ車を購入する際にトヨタ以外の金融サービスを利用するようになる場合、マーケット・シェアが低下することも考えられます。
トヨタの金融サービス事業は、主として、顧客および販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムの提供を行っています。トヨタは、顧客に対して資金を提供する能力は、顧客に対しての重要な付加価値サービスであると考え、金融子会社のネットワークを各国へ展開しています。
小売融資およびリースにおけるトヨタの主な競争相手には、商業銀行、消費者信用組合、その他のファイナンス会社が含まれます。一方、卸売融資における主な競争相手には、商業銀行および自動車メーカー系のファイナンス会社が含まれます。
トヨタの金融事業に係る債権は、主に小売債権などの増加により、当連結会計年度において増加しました。また、賃貸用車両及び器具は、主に為替変動の影響により、当連結会計年度において増加しました。
金融事業に係る債権および賃貸用車両及び器具の詳細については、連結財務諸表注記8および12を参照ください。
トヨタの金融債権は、回収可能性リスクを負っています。これは顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値(売却費用控除後)が債権の帳簿価額を下回った場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記4および19を参照ください。
トヨタは、車両リースを継続的に提供してきました。当該リース事業によりトヨタは残存価額のリスクを負っています。これは車両リース契約の借手が、リース終了時に車両を購入するオプションを行使しない場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記3(8)を参照ください。
トヨタは、主に固定金利借入債務を機能通貨建ての変動金利借入債務へ転換するために、金利スワップおよび金利通貨スワップ契約を結んでいます。特定のデリバティブ金融商品は、経済的企業行動の見地からは金利リスクをヘッジするために契約されていますが、トヨタの連結財政状態計算書における特定の資産および負債をヘッジするものとしては指定されていないため、それらの指定されなかったデリバティブから生じる未実現評価損益は、その期間の損益として計上されます。詳細については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。
資金調達コストの変動は、金融事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。資金調達コストは、数多くの要因の影響を受けますが、その中にはトヨタがコントロールできないものもあります。これには、全般的な景気、金利およびトヨタの財務力などが含まれます。当連結会計年度の資金調達コストは主に市場金利の上昇により増加しました。
トヨタは、2001年4月に日本でクレジットカード事業を立上げました。カード会員数は、2024年3月31日現在16.2百万人と、2023年3月31日から0.04百万人の増加となりました。カード債権は、2024年3月31日現在5,587億円と、2023年3月31日から40億円の増加となりました。
トヨタのその他の事業には、情報通信事業等が含まれます。
トヨタは、その他の事業は連結業績に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。
トヨタは、為替変動による影響を受けやすいといえます。トヨタは日本円の他に主に米ドルおよびユーロの価格変動の影響を受けており、また、米ドルやユーロに加え、豪ドル、加ドルおよび英国ポンドなどについても影響を受けることがあります。日本円で表示されたトヨタの連結財務諸表は、換算リスクおよび取引リスクによる為替変動の影響を受けています。
換算リスクとは、特定期間もしくは特定日の財務諸表が、事業を展開する国々の通貨の日本円に対する為替の変動による影響を受けるリスクです。たとえ日本円に対する通貨の変動が大きく、前連結会計年度との比較において、また地域ごとの比較においてかなりの影響を及ぼすとしても、換算リスクは報告上の考慮事項に過ぎず、その基礎となる業績を左右するものではありません。トヨタは換算リスクに対してヘッジを行っていません。
取引リスクとは、収益と費用および資産と負債の通貨が異なることによるリスクです。取引リスクは主にトヨタの日本製車両の海外売上に関係しています。
トヨタは、生産施設が世界中に所在しているため、取引リスクは大幅に軽減されていると考えています。グローバル化戦略の一環として、車両販売を行う主要市場において生産施設を建設することにより、生産を現地化してきました。前連結会計年度および当連結会計年度において、トヨタの海外における車両販売台数のそれぞれ77.3%および75.9%が海外で生産されています。北米では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ76.8%および75.9%が現地で生産されています。欧州では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ73.9%および73.1%が現地で生産されています。アジアでは前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ98.3%および97.4%が現地で生産されています。生産の現地化により、トヨタは生産過程に使用される供給品および原材料の多くを現地調達することができ、現地での収益と費用の通貨のマッチングをはかることが可能です。
トヨタは、取引リスクの一部に対処するために為替の取引およびヘッジを行っています。これにより為替変動による影響は軽減されますが、すべて排除されるまでには至っておらず、年によってその影響が大きい場合もあり得ます。為替変動リスクをヘッジするためにトヨタで利用されるデリバティブ金融商品に関する追加的な情報については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。
一般的に、円安は営業収益、営業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼします。日本円の米ドルに対する期中平均および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円安に推移しました。また、日本円のユーロに対する期中平均および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円安に推移しました。詳細については、連結財務諸表注記19を参照ください。
トヨタの最も重要な事業セグメントは、自動車事業セグメントです。トヨタは、世界の自動車市場においてグローバル・コンペティターとして自動車事業を展開しています。マネジメントは世界全体の自動車事業を一つの事業セグメントとして資源の配分やその実績の評価を行っており、自動車事業セグメント内で資源を配分するために、販売台数、生産台数、マーケット・シェア、車両モデルの計画および工場のコストといった財務およびそれ以外に関するデータの評価を行っています。トヨタは国内・海外または部品等のような自動車事業の一分野を個別のセグメントとして管理していません。
次の表は、過去2連結会計年度のトヨタの地域別外部顧客向け営業収益を示しており、当社または連結子会社の所在国の位置を基礎として集計しています。
(注)「その他」 は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。
(注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。
当連結会計年度の営業収益は45兆953億円と、前連結会計年度に比べて7兆9,410億円(21.4%)の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響5兆1,300億円や、為替変動の影響1兆3,200億円によるものです。
トヨタの事業別外部顧客向け営業収益の商品別内訳は次のとおりです。
営業収益は自動車事業およびその他の事業の合計である商品・製品売上収益ならびに金融事業に係る金融収益で構成されており、当連結会計年度の商品・製品売上収益は41兆6,481億円と、前連結会計年度に比べて21.2%の増収となり、金融事業に係る金融収益は3兆4,471億円と、前連結会計年度に比べて23.7%の増収となりました。商品・製品売上収益の増収は、主にトヨタの販売台数が621千台増加したことや、為替変動の影響によるものです。前連結会計年度末および当連結会計年度末の各地域における融資件数(残高)の状況は次のとおりです。
・金融事業における融資件数残高
(注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。
当連結会計年度の営業収益(セグメント間の営業収益控除前)は前連結会計年度に比べて、日本では19.6%、北米では29.6%、欧州では32.9%、アジアでは8.5%、その他の地域では26.4%の増収となりました。為替変動の影響1兆3,200億円を除いた場合、当連結会計年度の営業収益は前連結会計年度に比べて、日本では18.0%、北米では21.2%、欧州では19.5%、アジアでは3.1%、その他の地域では55.3%の増収であったと考えられます。
各地域における営業収益(セグメント間の営業収益控除前)の状況は次のとおりです。
・日本
日本においては、ダイハツ工業㈱や㈱豊田自動織機の出荷停止の影響があったものの、主に輸出台数を含むトヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて311千台増加したことや、輸出取引に係る為替変動の影響や価格改定などにより、増収となりました。前連結会計年度および当連結会計年度における輸出台数はそれぞれ1,634千台および2,021千台となりました。
・北米
北米においては、市場が堅調に推移したことに伴い、「RAV4」や「カローラ」等の販売が好調であったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて409千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。
・欧州
欧州においては、市場が堅調に推移したことに伴い、「カローラ」等の販売が好調であったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて162千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。
・アジア
アジアにおいては、主にインドでの販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて53千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。
・その他の地域
その他の地域においては、主にオセアニアでの販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて73千台増加したことや、アルゼンチンにおけるインフレーションの影響により増収となりました。
当連結会計年度における営業費用は39兆7,423億円と、前連結会計年度に比べて5兆3,131億円(15.4%)の増加となりました。
・原価改善の努力
当連結会計年度は、1,200億円の営業費用の減少となりました。この減少は、仕入先と一体となった原価改善活動に引き続き精力的に取り組んだ結果、VE(Value Engineering)活動を中心とした設計面での原価改善など2,650億円および工場・物流部門などにおける原価改善1,200億円によるものですが、資材高騰の影響2,650億円により一部相殺されています。
原価改善の努力は、継続的に実施されているVE・VA(Value Analysis)活動、部品の種類の絞込みにつながる部品共通化、ならびに車両生産コストの低減を目的としたその他の製造活動に関連しています。なお、資材高騰の影響には、鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品などの資材・部品価格の変動による影響が含まれています。
・売上原価
当連結会計年度における売上原価は33兆6,006億円と、前連結会計年度に比べて4兆4,720億円(15.4%)の増加となりました。この増加は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響3兆8,800億円ならびに為替変動の影響4,200億円によるものです。
・金融事業に係る金融費用
当連結会計年度における金融事業に係る金融費用は2兆1,263億円と、前連結会計年度に比べて4,136億円(24.2%)の増加となりました。この増加は、主に市場金利の上昇等による資金調達コストの増加および貸倒関連費用の増加によるものです。
・販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4兆153億円と、前連結会計年度に比べて4,273億円(11.9%)の増加となりました。この増加は、主に労務費2,250億円および販売諸費用1,800億円の増加によるものです。
当連結会計年度における営業利益は5兆3,529億円と、前連結会計年度に比べて2兆6,279億円(96.4%)の増益となりました。この増益は、営業面の努力2兆円、為替変動の影響6,850億円および原価改善の努力1,200億円などによるものですが、諸経費の増減・低減努力3,800億円により一部相殺されています。
上記の営業面の努力は、車両販売台数および販売構成の変化9,800億円ならびに価格改定を中心としたその他営業面の影響9,200億円などを含んでいます。その他は、金利スワップおよび金利通貨スワップの評価益1,405億円などを含んでいます。
また、為替変動の影響の増益要因は、主に輸出入等の外貨取引による影響5,900億円によるものです。
当連結会計年度における営業利益(セグメント間の利益控除前)は前連結会計年度に比べて、日本では1兆5,828億円(83.2%)、北米では5,810億円、欧州では3,306億円(575.4%)、アジアでは1,511億円(21.2%)の増益、その他の地域では330億円(14.3%)の減益となりました。
各地域における営業利益の状況は次のとおりです。
・日本
・北米
・欧州
・アジア
当連結会計年度における持分法による投資損益は7,631億円と、前連結会計年度に比べて1,200億円(18.7%)の増益となりました。この増益は、主に持分法適用会社の親会社の所有者に帰属する当期利益の増益によるものです。
当連結会計年度におけるその他の金融収益は7,472億円と、前連結会計年度に比べて3,678億円(97.0%)の増加となりました。この増加は、主に受取利息および有価証券売却益の増加によるものです。
当連結会計年度におけるその他の金融費用は1,037億円と、前連結会計年度に比べて214億円(17.1%)の減少となりました。この減少は、主に有価証券評価損の減少によるものです。
当連結会計年度における為替差損益<純額>は1,875億円と、前連結会計年度に比べて630億円の増益となりました。為替差損益は、外国通貨建て取引によって生じた外貨建ての資産および負債を、取引時の為替相場で換算した価額と、先物為替契約を利用して行う決済を含め、同会計年度における決済金額または決算時の為替相場で換算した価額との差額を示すものです。為替差損益<純額>の増益630億円は、主に当連結会計年度の外貨預金および貸付金において、預入時または貸付時の為替相場に比べて満期時の為替相場が円安に推移したことにより、為替差益を計上したことによるものです。
当連結会計年度におけるその他<純額>は179億円と、前連結会計年度に比べて960億円の増益となりました。
当連結会計年度における法人所得税費用は1兆8,936億円と、前連結会計年度に比べて7,178億円(61.1%)の増加となりました。これは、主に税引前利益の増加などの影響によるもので、当連結会計年度における平均実際負担税率は27.2%となりました。
当連結会計年度における非支配持分に帰属する当期利益は1,264億円と、前連結会計年度に比べて848億円(203.7%)の増益となりました。この増益は、主に連結子会社の当期利益の増益によるものです。
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は4兆9,449億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,936億円(101.7%)の増益となりました。
当連結会計年度におけるその他の包括利益(税効果考慮後)は2兆1,171億円と、前連結会計年度に比べて1兆2,893億円利益が増加しました。これは、主に株価が変動したことにより、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値変動が前連結会計年度の165億円の損失に対し、当連結会計年度は5,697億円の利益となったこと、および主に米ドルやユーロに対する為替レートが円安に進んだことにより、在外営業活動体の為替換算差額が前連結会計年度の6,760億円の利益に対し、当連結会計年度は1兆1,788億円の利益となったことによるものです。
以下は、トヨタの事業別セグメントの状況に関する説明です。記載された数値は、セグメント間の営業収益控除前です。
・自動車事業セグメント
自動車事業の営業収益は、トヨタの営業収益のうち最も高い割合を占めます。当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業収益は41兆2,662億円と、前連結会計年度に比べて7兆4,462億円(22.0%)の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響5兆1,300億円や、為替変動の影響8,800億円によるものです。
当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業利益は4兆6,214億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,408億円(111.9%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に営業面の努力2兆300億円および為替変動の影響6,600億円などによるものです。
・金融事業セグメント
当連結会計年度における金融事業セグメントの営業収益は3兆4,841億円と、前連結会計年度に比べて6,745億円(24.0%)の増収となりました。この増収は、主に融資残高の増加および為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における金融事業セグメントの営業利益は5,700億円と、前連結会計年度に比べて1,325億円(30.3%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。
・その他の事業セグメント
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業収益は1兆3,681億円と、前連結会計年度に比べて1,432億円(11.7%)の増収となりました。
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業利益は1,752億円と、前連結会計年度に比べて717億円(69.4%)の増益となりました。
トヨタは従来、設備投資および研究開発活動のための資金を、主に営業活動から得た現金により調達してきました。
2025年3月31日に終了する連結会計年度については、トヨタは設備投資および研究開発活動のための十分な資金を、主に手元の現金及び現金同等物、営業活動から得た現金、および社債・借入金等の資金調達で充当する予定です。トヨタはこれらの資金を、従来の設備の維持更新・新製品導入へ効率的に投資しつつ、モビリティ・カンパニーへの変革に向け、競争力強化・将来の成長に資する分野に重点を置いて投資する予定です。2023年4月1日から2024年3月31日までに行われた重要な設備投資および処分に関する情報ならびに現在進行中の重要な設備投資および処分に関する情報は、「第3 設備の状況」を参照ください。
顧客や販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムで必要となる資金について、トヨタは販売金融子会社の営業活動から得た現金と社債・借入金等の資金調達によりまかなっています。トヨタは金融子会社のネットワークを通じて、世界中の現地市場で資金を調達する能力を向上させるよう努めています。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の2兆9,550億円の資金の増加に対し、4兆2,063億円の資金の増加となり、1兆2,512億円増加しました。この増加は、当連結会計年度(2024年3月31日に終了した12ヶ月間)における当期利益が増加した結果、資金が2兆5,784億円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の1兆5,988億円の資金の減少に対し、4兆9,987億円の資金の減少となり、3兆3,998億円減少しました。この減少は、主に定期預金の増加により、資金が1兆7,036億円減少したことによる影響です。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の561億円の資金の減少に対し、2兆4,975億円の資金の増加となり、2兆5,537億円増加しました。この増加は、主に長期有利子負債による資金調達が2兆7,804億円増加したことによるものです。
当連結会計年度における資本的支出(賃貸資産を含む)は、前連結会計年度の3兆4,962億円から4兆8,480億円となり、1兆3,518億円増加しました。この増加は、主に金融事業におけるリース資産購入による資本的支出が9,547億円増加したことによるものです。
2025年3月31日に終了する連結会計年度において、賃貸および賃借資産を除く設備投資額は約2兆1,500億円となる予定です。
現金及び現金同等物は、2024年3月31日現在で9兆4,120億円でした。現金及び現金同等物の大部分は円建てまたは米ドル建てです。
トヨタは、現金及び現金同等物、定期預金、公社債および信託ファンドへの投資を総資金量と定義しており、当連結会計年度において総資金量は、4兆3,939億円(29.9%)増加し、19兆1,090億円となりました。
当連結会計年度における営業債権及びその他の債権は、2,032億円(5.7%)増加し、3兆7,894億円となりました。これは主に、為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における棚卸資産は、3,497億円(8.2%)増加し、4兆6,053億円となりました。これは主に、為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における金融事業に係る債権合計は、6兆9,235億円(28.0%)増加し、31兆6,943億円となりました。これは主に、顧客や販売店に対する融資残高の増加によるものです。2024年3月31日現在における金融債権の地域別内訳は、北米57.1%、アジア11.3%、欧州14.5%、日本6.2%、その他の地域10.9%でした。
当連結会計年度におけるその他の金融資産合計は、3兆8,206億円(31.1%)増加しました。これは主に、公社債の増加によるものです。
当連結会計年度における有形固定資産は、1兆6,238億円(12.9%)増加しました。これは主に、設備投資によるものです。
当連結会計年度における営業債務及びその他の債務は、2,650億円(5.3%)増加しました。これは主に、為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における未払法人所得税は、8,199億円(202.7%)増加しました。これは主に、税引前利益の増加に伴う法人所得税費用の増加などによるものです。
当連結会計年度における有利子負債合計は、7兆1,815億円(24.4%)増加しました。トヨタの短期借入債務は、加重平均利率2.27%の借入金と、加重平均利率4.53%のコマーシャル・ペーパーにより構成されています。当連結会計年度における短期借入債務は、前連結会計年度に比べて8,977億円(19.6%)増加し、5兆4,879億円となりました。トヨタの長期借入債務は、加重平均利率が1.92%から7.86%、返済期限が2024年から2048年の無担保の借入金、担保付きの借入金、ミディアム・ターム・ノート、無担保普通社債、担保付普通社債などにより構成されています。当連結会計年度の1年以内に返済予定の長期借入債務は2兆1,962億円(28.7%)増加し、9兆8,448億円となり、返済期限が1年超の長期借入債務は4兆809億円(24.5%)増加し、20兆7,663億円となりました。借入債務合計の増加は、主に金融子会社における融資残高の伸びに伴う資金需要の高まりによるものです。2024年3月31日現在で、長期借入債務の約53%は米ドル建て、約10%は円建て、約13%はユーロ建て、約5%は豪ドル建て、約4%は加ドル建て、約15%はその他の通貨によるものです。トヨタは、金利スワップを利用することにより固定金利のエクスポージャーをヘッジしています。トヨタの借入必要額に重要な季節的変動はありません。
2023年3月31日現在におけるトヨタの親会社の所有者に帰属する持分合計に対する有利子負債比率は、103.7%でしたが、2024年3月31日現在では106.8%となりました。
トヨタの短期および長期借入債務は、2024年5月31日現在、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ(Moody's)および格付投資情報センター(R&I)により、次のとおり格付けされています。なお、信用格付けは株式の購入、売却もしくは保有を推奨するものではなく、何時においても撤回もしくは修正され得ます。各格付けはその他の格付けとは個別に評価されるべきです。
当連結会計年度における確定給付負債(資産)の純額は、国内および海外で、それぞれ380億円および3,660億円と、前連結会計年度に比べて、国内は859億円(69.3%)減少し、海外は522億円(16.6%)の増加となりました。確定給付負債(資産)の純額は、トヨタによる将来の現金拠出または対象従業員に対するそれぞれの退職日における支払いにより解消されます。国内においては、主に割引率の上昇に伴う確定給付制度債務の減少により、確定給付負債(資産)の純額は減少しました。詳細については、連結財務諸表注記23を参照ください。
トヨタの財務方針は、すべてのエクスポージャーの管理体制を維持し、相手先に対する厳格な信用基準を厳守し、市場のエクスポージャーを積極的にモニターすることです。トヨタは、トヨタファイナンシャルサービス㈱に金融ビジネスを集中させ、同社を通じて金融ビジネスのグローバルな効率化を目指しています。
財務戦略の主な要素は、短期的な収益の変動に左右されず効率的に研究開発活動、設備投資および金融事業に投資できるような、安定した財務基盤を維持することです。トヨタは、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えており、また、高い信用格付けを維持することにより、引き続き多額の資金を比較的安いコストで外部から調達することができると考えています。高い格付けを維持するためには、数多くの条件が求められ、その中にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。これらの条件には、日本およびトヨタが事業を行うその他の主要な市場の全体的な景気ならびにトヨタの事業戦略を成功させることができるかなどが含まれています。
トヨタは金融事業のための資金調達の一つの方法として特別目的事業体を通じた証券化プログラムを利用しています。これらの証券化取引は、トヨタが第一受益者であるものとして連結しており、当連結会計年度におけるオフバランス化される取引に重要なものはありません。
トヨタの非デリバティブ金融負債およびデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額に関しては、連結財務諸表注記19を参照ください。また、トヨタはその通常業務の一環として、一定の原材料、部品およびサービスの購入に関して、仕入先と長期契約を結ぶ場合があります。これらの契約は、一定数量または最低数量の購入を規定している場合があります。トヨタはかかる原材料またはサービスの安定供給を確保するためにこれらの契約を締結しています。
次の表は、2024年3月31日現在のトヨタの契約上の債務および商業上の契約債務を要約したものです。
* 長期借入債務の金額は、将来の支払元本を表しています。
また、トヨタは2025年3月31日に終了する連結会計年度において、退職後給付制度に対し、国内および海外で、それぞれ45,860百万円および16,493百万円を拠出する予定です。
トヨタは金融事業の一環としてクレジットカードを発行しています。トヨタは、クレジットカード事業の慣習に従い、カード会員に対する貸付の制度を有しています。貸出はお客様ごとに信用状態の調査を実施した結果設定した限度額の範囲内で、お客様の要求により実行されます。カード会員に対する貸付金には保証は付されませんが、貸倒損失の発生を最小にするため、また適切な貸出限度額を設定するために、トヨタは、提携関係にある金融機関からの財務情報の分析を含むリスク管理方針により与信管理を実施するとともに、定期的に貸出限度額の見直しを行っています。2024年3月31日現在のカード会員に対する貸出未実行残高は1,646億円です。
トヨタは金融事業の一環として販売店に対する融資の制度を有しています。貸付は買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保のために行われます。これらの貸付金については、通常担保権が設定されており、販売店の不動産、車両在庫、その他販売店の資産等、場合に応じて適切と考えられる物件に対して設定しています。さらに慎重な対応が必要な場合には販売店が指名した個人による保証または販売店グループが指名した法人による保証を付しています。貸付金は通常担保または保証が付されていますが、担保または保証の価値がトヨタのエクスポージャーを十分に補うことができていない可能性があります。トヨタは融資制度契約を締結することによって生じるリスクに従って融資制度を評価しています。トヨタの金融事業は、販売店グループと呼ばれる複数のフランチャイズ系列に対しても融資を行っており、しばしば貸出組合に参加することでも融資を行っています。こうした融資は、融資先の卸売車両の購入、買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保等を目的とするものです。2024年3月31日現在の販売店に対する貸出未実行残高は3兆7,940億円です。
詳細については、連結財務諸表注記30を参照ください。
詳細については、連結財務諸表注記32を参照ください。
⑧会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社は、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上等を目的として、2021年3月期第1四半期よりIFRSを任意適用しています。
IFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債およびトヨタの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積りおよび仮定に関する情報は、次のとおりです。
・品質保証に係る負債
・金融事業に係る金融損失引当金
・非金融資産の減損
・退職給付に係る負債
・公正価値測定
・繰延税金資産の回収可能性
詳細については、連結財務諸表注記4を参照ください。