E02237 Japan GAAP
前期
2,419.0億 円
前期比
124.6%
株価
1,682 (03/28)
発行済株式数
65,517,161
EPS(実績)
37.18 円
PER(実績)
45.24 倍
前期
612.4万 円
前期比
102.3%
平均年齢(勤続年数)
40.7歳(16.2年)
従業員数
1,119人(連結:12,957人)
当社及び当社の子会社(武蔵精密工業株式会社及び子会社35社により構成)は、自動車用パワートレイン部品・サスペンション部品・ステアリング部品・トランスミッション部品等の製造販売を主な事業内容とし、その製品は、自動車、工作機械、産業機械等多くの産業に使用されております。また、当社と継続的で緊密な事業上の関係にあるその他の関係会社である本田技研工業株式会社(輸送用機器等の製造販売)は主要な取引先であります。
当社及び当社の子会社の事業内容及び当該事業に係る位置づけ及びセグメントとの関連は次のとおりであります。
製品事業 |
主要製品 |
||||||||||
PT(パワートレイン) |
プラネタリィギヤアッセンブリィ、デファレンシャルギヤアッセンブリィ、ベベルギヤ、リングギヤ、カムシャフト、バランスシャフト、減速機ギヤ(リダクションギヤ)・トランスミッションギヤ |
||||||||||
L&S (リンケージ& サスペンション) |
サスペンションアームアッセンブリィ、サスペンションボールジョイント、ステアリングボールジョイント、各種連結用ジョイント |
||||||||||
2輪 |
2輪車用トランスミッションギヤアッセンブリィ、2輪車用カムシャフト、2輪車用キックスターター部品、その他2輪車用駆動系部品、汎用エンジン部品 |
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(1)PT パワートレイン |
当事業においては、上記主要製品の製造販売をしております。セグメント区分は製造拠点ごとの区分によっており、当該区分ごとの主要な関係会社の名称は、以下のとおりであります。
|
(2)L&S リンケージ& サスペンション |
当事業においては、上記主要製品の製造販売をしております。セグメント区分は製造拠点ごとの区分によっており、当該区分ごとの主要な関係会社の名称は、以下のとおりであります。
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(3)2輪 |
当事業においては、上記主要製品の製造販売をしております。セグメント区分は製造拠点ごとの区分によっており、当該区分ごとの主要な関係会社の名称は、以下のとおりであります。
|
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は世界的な半導体の供給不足や新型コロナウイルス影響等による物流網の混乱の影響を受け、自動車業界においては厳しい状況が継続しました。当社グループにおいても客先の減産など大幅な生産変動に対する柔軟な対応を余儀なくされました。
こうした中、コア事業領域では外部環境が大きく変化するなかでも利益が創出できるよう、体質管理や改善活動など、ものづくりのしくみの統一による収益体質の強化に加えて、DXによる開発活動やオペレーションの効率改善を推進してまいりました。また、EV化をはじめとする自動車業界の急速な変化をチャンスととらえ、グローバルでの生産・販売体制の強化を行っています。このうち中国地域では、受注が好調となっているEV用部品の生産拡大に対応するため、同地域で4カ所目の生産拠点となる武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司の第2工場を2023年3月に竣工しました。さらに、2輪車・3輪車向けEV駆動ユニットの受注活動を世界各地で積極的に展開しており、アフリカ、インド、東南アジア地域を中心にユニット供給のみにとどまらずハードを軸としたソフトウェアサービス展開も視野に入れたEモビリティ事業展開を加速しています。
新規事業領域では、インダストリー、エネルギーソリューション、ウエルビーイングの各事業領域において、北米やイスラエルなど世界中のスタートアップ企業等とのオープンイノベーションによるシナジーの創出と事業展開を進め、社会へのインパクト創出を目指しています。このうちAI事業では、 AI外観検査の対象をEV向けに使用される大型部品や複雑な形状の部品へ拡大するための独自アルゴリズム研究の進化とともに、AI外観自動検査機の社外販売を推進しています。また、今年度にはカナダにMusashi AIノースアメリカ・インコーポレーテッドを設立し、北米での開発や事業展開に着手しました。戦略的パートナーシップを結んでいるイスラエルのSIXAI社とともに、今後も日本・北米・イスラエルの世界三極体制でAIの開発と事業展開を推進します。
サステナビリティ領域では、創業100年に当たる2038年までの事業活動(GHGプロトコルのScope1,2を対象)でのカーボンニュートラル達成に向けて、新たに中間目標「マイルストーン2030」を設定しました。2030年に事業活動におけるCO2排出量の50%削減を目指します。
当社グループでは、ムサシ100年ビジョン「Go Far Beyond!枠を壊し冒険へ出かけよう!」の下、今後も環境変化を先取りした人・しくみ・事業の変革とカーボンニュートラルの実現に向けた施策を加速してまいります。
このような状況において、当連結会計年度の業績は、連結売上高は301,500百万円(前連結会計年度比24.6%増)と増収となりました。
利益面では、体質改善の取り組みはあったものの、急激な生産変動や物価上昇により連結営業利益は7,677百万円(同8.7%減)と減益、連結経常利益は7,030百万円(同25.5%減)と減益、親会社株主に帰属する当期純利益は2,436百万円(同55.1%減)と減益となりました。
セグメント別の状況は次の通りです。
(日本)
半導体不足の影響による主要得意先の生産変動はありましたが、材料費高騰分の売価反映などもあり、売上高は36,172百万円(前年同期比5.5%増)、費用削減の継続はしたものの、急激な生産変動への対応やインフレの影響もあり、セグメント利益は835百万円(同69.3%減)となりました。
(米州)
半導体不足の影響により主要得意先の生産台数は伸び悩んだものの、材料費高騰分の売価反映や円安の影響などもあり、売上高は73,779百万円(同43.7%増)、インフレによる高騰分の回収や費用削減の継続などにより、セグメント利益は2,359百万円(同430.8%増)となりました。
(アジア)
2輪車販売の増加に加え、材料費高騰分の売価反映や円安の影響などもあり、売上高は71,847百万円(同27.6%増)、売上増による効果や費用削減の継続などにより、セグメント利益は6,616百万円(同40.0%増)となりました。
(中国)
上海ロックダウンおよびゼロコロナ政策廃止後の急速な感染拡大による生産変動の影響が大きく、売上高は32,244百万円(同2.8%減)、費用削減の継続はしたものの、急激な生産変動へ対応の影響もあり、セグメント利益は865百万円(同74.0%減)となりました。
(欧州)
材料費高騰分の売価反映や円安影響もあり、売上高は87,456百万円(同31.0%増)、電力料などの大幅な物価上昇の影響や半導体不足による生産変動へ対応の影響もあり、セグメント損失は3,401百万円(前連結会計年度は2,764百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、26,753百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,572百万円の減少となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、19,409百万円となり、前連結会計年度の5,805百万円と比べ、13,603百万円の増加となりました。これは主に、仕入債務の増加額3,105百万円(前期は1,138百万円の減少)などの資金の増加要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、17,931百万円となり、前連結会計年度の20,131百万円の減少と比べ、2,200百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が2,517百万円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、4,508百万円となり、前連結会計年度の14,758百万円の増加と比べ、19,266百万円の減少となりました。これは主に短期借入による収入が10,492百万円増加した一方で、長期借入による収入が25,903百万円減少したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(ⅰ)生産実績
当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
35,874 |
101.6 |
米州 |
74,009 |
140.3 |
アジア |
72,925 |
127.5 |
中国 |
31,940 |
90.0 |
欧州 |
88,765 |
130.1 |
合計 |
303,516 |
121.9 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ⅱ)受注実績
当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
36,212 |
105.4 |
764 |
105.5 |
米州 |
74,905 |
144.7 |
2,568 |
178.2 |
アジア |
72,977 |
124.3 |
5,540 |
125.6 |
中国 |
32,268 |
97.5 |
569 |
104.4 |
欧州 |
87,882 |
131.0 |
1,800 |
131.0 |
合計 |
304,245 |
124.2 |
11,244 |
132.3 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ⅲ)販売実績
当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
36,172 |
105.5 |
米州 |
73,779 |
143.7 |
アジア |
71,847 |
127.6 |
中国 |
32,244 |
97.2 |
欧州 |
87,456 |
131.0 |
合計 |
301,500 |
124.6 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。
指標 |
2022年度 (計画) |
2022年度 (実績) |
2022年度 (計画比) |
連結売上高 |
290,000百万円 |
301,500百万円 |
11,500百万円増 (4.0%増) |
連結営業利益 |
6,000百万円 |
7,677百万円 |
1,677百万円増 (28.0%増) |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
2,100百万円 |
2,436百万円 |
336百万円増 (16.0%増) |
1株当たり当期純利益 |
32.18円 |
37.32円 |
5.14円増 |
当連結会計年度における連結売上高は計画比11,500百万円増(4.0%増)となりました。連結営業利益は計画比1,677百万円増(28.0%増)となりました。これらは、米州とアジアにおいて想定よりも販売が好調であったためです。また親会社株主に帰属する当期純利益は計画比336百万円増(16.0%増)、1株当たり当期純利益は計画比5.14円増となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(ⅰ)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(ⅱ)借入金等の状況
2023年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。
区分 |
年度別要支払額(百万円) |
|||
1年以内 |
1年超5年以内 |
5年超 |
合計 |
|
短期借入金 |
57,306 |
- |
- |
57,306 |
長期借入金 |
12,073 |
29,628 |
153 |
41,855 |
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(ⅲ)財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金で調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。
重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。
次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。
連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。
○退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは退職給付債務に関する割引率等の仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は、発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。
○固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しています。当社グループが減損を判定する際のグルーピングは欧州地域を除き原則として会社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、減損テストを実施し、その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しています。
当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
特に新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は現在も続いており、各国の経済活動や世界の景気変動への影響も不確定であります。当社グループにおいても主要な得意先である自動車メーカー各社の動向について予測が困難な状況です。引き続き、取引先及び外部の情報を踏まえながら、翌連結会計年度の一定期間にわたり当感染症の影響が継続するという仮定に基づいて、固定資産に関する減損損失の認識要否の判断等の会計上の見積りを実施しております。
○投資有価証券の減損判定
当社グループは、時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。
また、市場価格のない株式等については、取得時に想定した期間内に実質価額が著しく低下している状態から回復しないと判断した場合には減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。
○繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。