E02210 Japan GAAP
前期
2,064.4億 円
前期比
117.9%
株価
1,985 (05/01)
発行済株式数
35,242,846
EPS(実績)
165.23 円
PER(実績)
12.01 倍
前期
516.6万 円
前期比
102.5%
平均年齢(勤続年数)
38.6歳(14.6年)
従業員数
1,200人(連結:10,556人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社32社(うち非連結子会社4社)及び関連会社8社(うち持分法非適用の関連会社4社)で構成され、その主な事業内容は自動車座席及び座席部品の製造並びに販売であります。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関係は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
日 本
当社は、自動車座席及び座席部品を製造し、主に国内の得意先に納入しております。国内関係会社は、主に自動車座席並びに座席部品を製造し当社に納入しております。
また、当社は、商業施設の賃貸も行っております。
北 米
当社の北米における営業・開発拠点であるTACHI-S Engineering U.S.A., Inc.が管理統括し、同社子会社及び関連会社は、自動車座席並びに座席部品を製造し、主に米国内の得意先に納入しております。
中 南 米
当社の中南米における開発拠点であるTACHI-S Engineering Latin America, S.A. de C.V.が管理統括し、同社以外の子会社は、自動車座席並びに座席部品を製造し、主に中南米の得意先に納入しております。
欧 州
当社の欧州における営業拠点であるフランスのTACHI-S Engineering Europe S.A.R.L.が管理統括すると共に、自動車座席部品を製造し、欧州内の得意先に納入しております。
中 国
当社の中国における営業・開発拠点である泰極愛思(中国)投資有限公司が管理統括し、泰極愛思(鄭州)汽車座椅研発有限公司は開発を行っております。また、その他の子会社及び関連会社は、自動車座席並びに座席部品を製造し、主に中国内の得意先に納入しております。
東南アジア
東南アジアにおきましては、TACHI-S (Thailand) Co., Ltd.が管理統括し、その他の子会社及び関連会社は、主に自動車座席並びに座席部品を製造し、主に東南アジア内の得意先に納入しております。
事業の系統図は、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症との共存に舵を切り経済活動の活性化を進めているものの、半導体不足の影響や新型コロナウイルス感染症に端を発した原材料費、物流費の高騰により依然として先行き不透明な状況が続いております。海外におきましては、中国上海ロックダウンの解除等により経済活動が回復傾向にありますが、世界的な半導体不足、ウクライナ侵攻により世界の分断が及ぼす世界経済への影響等、こちらも先を見通すことが困難になっております。
当社グループが関連する自動車業界におきましては、長引く半導体不足、その他の供給網の問題により、当社のお客様となる自動車メーカー各社は当初計画していた生産台数を確保できない状況が続いております。お客様は、これまでの供給制約により多大な受注残を抱えているものの、半導体を中心とした供給制約は2023年も継続すると予測されており、お客様の生産台数変更に対しどう機敏に対応していくかが業績管理上ますます重要となっております。
当連結会計年度の主な活動といたしましては、日本・中南米・北米を中心に構造改革をはじめとする収益構造の改善、モノづくり競争力の強化によるコスト低減活動に取り組み、事業のスリム化・効率化、徹底的なコスト低減をグローバルで進め、収益性向上に努めており、自社でコントロール可能な部分については確実に実行してまいりました。自社でコントロールができない半導体不足等による得意先の急激な生産変動、原材料費、物流費の高騰による費用増加に対しては、増加費用を最小限に抑える生産調整を実施したうえで、お客様と適切にコミュニケーションをとりマネジメントを行いました。事業ポートフォリオである3つの“シンカ”において、「深化」ではシートビジネスだけではなく、トリムカバー、機構部品、フレーム等のシート部品ビジネスの拡大を図っており、機構部品ビジネスではインドに新しい合弁会社を設立いたしました。「進化」では、空間プロデュ―サーとして将来モビリティにおける新しい空間体験価値の企画・提案と共に具現化に必要な基盤技術として、システム制御技術の開発に取り組んでおり、他社と協働して統合ECUの試作機を完成させました。「新化」では、オープンイノベーションによりアイデアを発散させ、概念検証を行っております。また、カーボンニュートラルへの取組みとしてはTCFDへの賛同を表明しており、気候変動関連リスク及び機会に関しての情報開示準備を行いました。
このような経営環境のもと、当連結会計年度における業績は、売上高は2,434億3千6百万円と前年同期比17.9%増となり、これに伴い営業利益は13億6千7百万円(前年同期は営業損失42億3百万円)、経常利益は19億7千3百万円(前年同期は経常損失35億3千6百万円)、固定資産の譲渡による特別利益(固定資産売却益)の計上に伴い親会社株主に帰属する当期純利益は58億2千3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失20億5千9百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
日 本
売上高は1,027億2千万円(前年同期比27.2%増)、営業利益は8億9千2百万円(前年同期は営業損失16億8千4百万円)となりました。
北 米
売上高は504億3千3百万円(前年同期比31.0%増)、営業損失は20億5千2百万円(前年同期は営業損失24億5千4百万円)となりました。
中 南 米
売上高は636億2千4百万円(前年同期比23.7%増)、営業利益は16億8百万円(前年同期は営業損失16億2千7百万円)となりました。
欧 州
売上高は3億5千2百万円(前年同期比68.3%減)、営業利益は3億5千万円(前年同期比162.6%増)となりました。
中 国
売上高は248億5千万円(前年同期比23.8%減)、営業利益は10億7千2百万円(前年同期比45.5%減)となりました。
東南アジア
売上高は14億5千4百万円(前年同期比28.2%減)、営業損失は3億9千7百万円(前年同期は営業損失3億4千2百万円)となりました。
セグメントごとの生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
当社グループは主に自動車座席及び座席部品を製造・販売しており、主要な顧客である自動車メーカー各社に対する納品までの期間が極めて短期間であるため、受注高及び受注残高の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度の東風本田汽車有限公司につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度末の資産合計は、1,700億4百万円と前連結会計年度末に比べ110億6百万円増加しております。これは主に、現金及び預金が20億6千6百万円、売掛金が52億9千9百万円それぞれ増加したことよるものであります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
日 本
総資産は1,234億4千6百万円と前連結会計年度末に比べ95億5千7百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金並びに売掛金がそれぞれ増加したこと等によるものであります。
北 米
総資産は465億8千4百万円と前連結会計年度末に比べ13億8千1百万円の増加となりました。これは主に、売掛金が増加したこと等によるものであります。
中 南 米
総資産は402億4千7百万円と前連結会計年度末に比べ67億5千万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金並びに売掛金がそれぞれ増加したこと等によるものであります。
欧 州
総資産は29億5千6百万円と前連結会計年度末に比べ3億7千2百万円の増加となりました。これは主に、売掛金が減少したものの、現金及び預金が増加したこと等によるものであります。
中 国
総資産は266億7千4百万円と前連結会計年度末に比べ50億9千8百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金並びに売掛金がそれぞれ減少したこと等によるものであります。
東南アジア
総資産は49億7千3百万円と前連結会計年度末に比べ1億4千2百万円の減少となりました。これは主に、売掛金が減少したこと等によるものであります。
負債合計は、835億2千3百万円と前連結会計年度末に比べ37億6百万円増加しております。これは主に、短期借入金が10億4百万円、長期借入金が10億円減少したものの、支払手形及び買掛金が55億4千6百万円増加したことによるものであります。
純資産合計は、864億8千1百万円と前連結会計年度末に比べ72億9千9百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が34億4千8百万円、為替換算調整勘定が47億8千4百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、328億6千3百万円と前連結会計年度末に比べ35億3百万円(11.9%)増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、37億4千万円であり、前連結会計年度と比べ40億9千5百万円(前連結会計年度は3億5千4百万円の使用)増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度と比べ85億9千5百万円改善したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は、66億6千6百万円であり、前連結会計年度と比べ46億5千9百万円(232.2%)増加しました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が25億2千7百万円増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、100億5百万円であり、前連結会計年度と比べ91億9千3百万円(前連結会計年度は8億1千2百万円の使用)増加しました。これは主に、短期借入金の純増減額が前連結会計年度の33億9千2百万円の調達から、当連結会計年度では32億1千9百万円の返済に転じたこと及び長期借入金の返済による支出が10億円増加したことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループは営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び自己資金に加えて、金融機関との間で締結したコミットメントラインを含む短期借入枠により資金の流動性を十分に確保しております。
また、設備投資資金についてはグループの投資計画に基づき外部借入も機動的に活用することにより、全体で資本コストの適正化と財務の健全性の確保に努めております。
株主還元については経営における重要課題の一つと考えております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
事業戦略における、3つの“シンカ”の「深いシンカ」では、コモディティ毎の技術戦略に基づき「予測技術向上」、「IoT」、「自動化」、「内製化」等によるリーンなモノづくりを進めております。また、部品ビジネスでは、トリムカバーにおいては中国、メキシコで、機構部品においては北米、インドで新規開拓OEMのビジネスが拡大しております。グローバルで部品ビジネスを拡大させ、フレーム、シートビジネスの拡大に繋げていきます。「進むシンカ」では、空間プロデューサーとして異業種とも連携し、クルマでの体験価値、モビリティの新たな価値の検討を行うと共に具現化に必要な基盤技術として、他社と協働して統合ECUの試作機を完成させ、シートを中心とした車室内空間の新たな価値創出に向けた準備をしています。「新しいシンカ」では、当社のパーパスを目指す活動を、グループの強みである基盤技術・コア技術を土台にオープンイノベーションで推進しているところであり、ウェルビーイングをテーマに身体的・精神的・社会的に幸福な生き方を応援する企業を目指して取り組んでいます。
2022年度は、収益の構造改革やモノづくり強化等の活動の効果により営業利益0.5%、ROEは7.6%となりましたが、TVE策定時からの大きな事業環境の変化を受け、TVEの進捗を精査すると共に一部見直しの検討を進めております。株主還元に関しましては、TVEで主たる配当の財務指標としてDOEを採用しております。2024年度にDOE4%を目指すこととし積極的な株主還元を計画しており、2022年度は予想どおり3.5%に引き上げております。
一方、品質面ではこれまでの地道な取組みが評価され、各地域において昨年度同様お得意先から多くの品質賞を受賞しております。