E02152 IFRS
前期
2.74兆 円
前期比
137.5%
株価
3,300 (04/19)
発行済株式数
753,901,573
EPS(実績)
265.86 円
PER(実績)
12.41 倍
前期
645.2万 円
前期比
102.1%
平均年齢(勤続年数)
39.3歳(16.1年)
従業員数
17,228人(連結:37,521人)
当社及び当社の関係会社(子会社87社、関連会社7社及びその他の関係会社1社(2023年3月31日現在)により構成)においては、自動車部門、航空宇宙部門及びその他部門の3部門に関係する事業を主として行っており、その製品は多岐にわたっています。各事業における当社及び関係会社の位置付け等は次のとおりです。
なお、次の3部門は「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。
[自動車]
当部門においては、軽自動車、小型自動車、普通自動車ならびにその部品の製造、販売及び修理を行っています。
なお、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)及びダイハツ工業株式会社と開発・生産における協力関係のもと、電気自動車・軽・小型自動車のOEM供給を受けており、当社の国内生産拠点である群馬製作所において、トヨタと共同開発したスポーツカーの生産を行っています。
[航空宇宙]
当部門においては、航空機、宇宙関連機器ならびにその部品の製造、販売及び修理を行っています。
[その他]
当部門においては、不動産の賃貸等を行っています。
各事業における主な関係会社については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」をご参照ください。
以上の企業集団等について図示すると、次のとおりです。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
なお、中期経営計画の進捗については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)対処すべき課題 ② 中期経営ビジョン「STEP」の推進」をご参照ください。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が徐々に縮小し全体としては回復基調となりました。一方、ロシア・ウクライナ情勢をめぐる混乱の長期化、エネルギーコスト上昇等に伴うインフレの進行や各国の金利政策に伴う急激な為替の変動、米国および欧州での金融不安等、依然として不安定な状況が続いています。
このような経営環境のなか、当社グループでは中期経営ビジョン「STEP」の重点取り組みである「組織風土改革」「品質改革」「SUBARUらしさの進化」の3つの項目について、改革を着実に推し進めてまいりました。また、収益確保に向けても、1台でも多くのクルマを生産しお客様にお届けするべく全社一丸での活動を進めるとともに、価格政策および売上構成の改善、コストの圧縮等バリューチェーン全体で様々な取り組みを推進してまいりました。
(売上収益)
自動車売上台数の増加、価格政策および売上構成の改善ならびに為替変動による増収効果により3兆7,745億円と前連結会計年度に比べ1兆299億円(37.5%)の増収となりました。
原材料価格の高騰および諸経費等の増加があったものの、売上収益の増加により2,675億円と前連結会計年度に比べ1,770億円(195.7%)の増益となりました。
2,784億円と前連結会計年度に比べ1,714億円(160.2%)の増益となりました。
2,004億円と前連結会計年度に比べ1,304億円(186.3%)の増益となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
当社の重点市場である米国の自動車全体需要は前年並みの約1,420万台となりました。また、国内の自動車全体需要は約435万台と前連結会計年度を約4%上回る結果となりました。
このような事業環境のなか、半導体の供給不足等による生産制約が年間を通じてあったものの、柔軟に生産計画を調整する等影響の最小化に努めたことにより、当連結会計年度における生産台数は前連結会計年度に比べ14.7万台(20.3%)の増加となりました。
重点市場である米国を中心にSUBARU車の需要は強く、売上台数は堅調に推移し、海外は75.3万台と前連結会計年度に比べ10.8万台(16.8%)の増加、国内は10.0万台と前連結会計年度に比べ1.0万台(11.4%)の増加となりました。その結果、海外と国内の売上台数の合計は85.2万台と前連結会計年度に比べ11.8万台(16.1%)の増加となりました。
売上収益は、前述のとおり為替の変動や自動車売上台数の増加、価格政策および売上構成の改善等により、3兆6,906億円と前連結会計年度に比べ1兆131億円(37.8%)の増収となりました。またセグメント利益は、原材料価格の高騰および諸経費等の増加があったものの、売上収益の増加により、2,633億円と前連結会計年度に比べ1,707億円(184.5%)の増益となりました。
なお、当連結会計年度の連結売上台数は次のとおりです。
「ボーイング777」等の引き渡しならびに哨戒機「P-1」および輸送機「C-2」向けの生産が増加したこと等により、売上収益は790億円と前連結会計年度に比べ167億円(26.9%)の増収となりました。また、セグメント損失は21億円と前連結会計年度に比べ49億円(70.3%)改善しました。
売上収益は49億円と前連結会計年度に比べ1億円(2.8%)の増収となりました。また、セグメント利益は63億円と前連結会計年度に比べ15億円(30.9%)の増益となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。なお、自動車の生産台数は、半導体の供給不足等による生産制約が年間を通じてあったものの、柔軟に生産計画を調整する等影響の最小化に努めたことにより、前連結会計年度を上回りました。
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
② 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、自動車事業については見込生産を行っています。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2) 財政状態
① 資産の状況
当連結会計年度末の資産は、3兆9,442億円と前連結会計年度末に比べ4,004億円の増加となりました。主な要因は、定期預金の増加等により「その他の金融資産(流動)」が1,454億円増加したこと、米国の販売子会社における新車在庫の増加等により「棚卸資産」が1,099億円増加したこと、為替の影響等により「現金及び現金同等物」が965億円増加したこと等です。
② 負債の状況
負債は、1兆8,342億円と前連結会計年度末に比べ1,915億円の増加となりました。主な要因は、買掛金の増加等により「営業債務及びその他の債務」が1,037億円増加したこと、為替の影響等により「その他の非流動負債」が458億円増加したこと、為替の影響および前受金の増加等により「その他の流動負債」が371億円増加したこと等です。
③ 資本の状況
資本は、2兆1,099億円と前連結会計年度末に比べ2,089億円の増加となりました。主な要因は、当期利益の計上および配当金の支払いにより「利益剰余金」が1,574億円増加したこと、為替換算調整勘定の増加等により「その他の資本の構成要素」が526億円増加したこと等です。
(単位:百万円)
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、9,795億円となりました。
営業活動による資金の増加は5,038億円(前連結会計年度は1,957億円の増加)となりました。主な要因は、税引前利益2,784億円、減価償却費及び償却費2,398億円、営業債務及びその他の債務の増加978億円、棚卸資産の増加920億円等です。
投資活動による資金の減少は3,368億円(前連結会計年度は1,797億円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出(売却による収入との純額)1,290億円、定期預金の増加1,103億円、無形資産の取得及び内部開発に関わる支出599億円等です。
財務活動による資金の減少は1,223億円(前連結会計年度は985億円の減少)となりました。主な要因は、親会社の所有者への配当金の支払額506億円、リース負債の返済による支出503億円等です。
(単位:百万円)
(4) 資本政策の方針
当社グループは、“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指し、選択と集中を進め、経営資源を最大限活用することで高収益なビジネスモデルを展開し、強固な財務体質と高い資本効率を維持し、中長期的な企業価値の向上を図っています。中期経営ビジョン「STEP」において、「資本収益性」「財務健全性」「株主還元」の3つの要素を資本政策の重要な指標とし、中長期的に自己資本利益率(ROE)と自己資本比率のバランスを高次元で保ちつつ、適切な株主還元を行うことを基本方針としています。具体的には、自己資本比率は50%を維持し、高い財務健全性の確保にも努めつつ、業界高位の営業利益率(8%)、ROE10%以上を目指していきます。「2030年に死亡交通事故ゼロ」、「個性と技術革新による脱炭素社会実現への貢献」に向けて、「SUBARUらしさ」を進化させる取り組みをより加速させるために必要な設備投資・研究開発支出に加え、人材への投資にも注力しています。また、今後の電動車開発の拡大・加速を見据え、国内生産体制の戦略的再編に向けて2023年度より5年間で2,500億円の投資を行っていきます。(2022年5月発表)株主還元の考え方については、配当を主に継続的かつ安定的な還元を基本としつつ、業績連動の考え方に基づき、毎期の業績、投資計画、経営環境を勘案して決定(連結配当性向:30%~50%)します。自己株式取得は、状況に応じて機動的に実施します。なお、2023年5月11日に資本効率の向上を目的に400 億円(取得上限総額)の自己株式の取得を行うとともに、取得した自己株式の全株消却を行うことを発表しました。
当社グループは、経営環境を考慮しつつ、適切な手元資金水準を維持しながら、資金調達計画を経営会議において審議し、戦略的投資と研究開発費等の成長に向けた経営資源の適切な配分を安定的に行っています。当社グループの資金調達および資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要銀行からの借入とコミットメントライン契約の締結、ならびに社債の発行を行っており、現在必要とされる流動性の水準を満たしていると考えています。当連結会計年度末における有利子負債の残高(リース債務を含まず)は3,126億円と、前連結会計年度に比べて214億円の減となりました。デット・エクイティ・レシオは0.15と、安全性を維持しています。今後の設備投資や研究開発の投資計画によっては資金の追加調達、現預金残高の取り崩しをする可能性があります。
コミットメントライン約2,000億円に加え、社債ならびにコマーシャル・ペーパー発行枠を設定する等、合計約4,000億円の資金調達枠を確保し、資金需要に機動的に対応できる体制を整えています。
また、当社は 国内の格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在においての格付は「 シングルAマイナス(安定的)」となっています。強固な財務体質を維持し、上記資金調達枠を保持していることから、当社グループの事業運営に必要な運転資金および投資資金に関しては問題なく確保できるものと認識しています。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、様々な見積りによる判断が行なわれていますが、見積りに内在する不確実性により、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しており、特に重要な見積りを伴う会計方針は以下のとおりです。
① 損失評価引当金
当社グループは、各報告日において、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価 しており、当該信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しています。また、当該金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。ただし、営業債権、リース債権および契約資産については、常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。
将来、取引先等の財務状況が悪化する等により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。
② 製品保証引当金
当社グループは、製品販売時に付与した保証約款に基づく製品保証とともに、主務官庁への届出等に基づいて個別に無償の補修を行っています。
保証約款に基づく製品保証の対象は、各国における保証約款に基づき、期間および走行距離や不具合の原因等により決定しています。
保証約款に基づく製品保証の保証修理費用は、製品を販売した時点で引当金を認識しており、保証期間内に不具合が発生して部品を修理または交換する際に発生する費用の総額について、過去の補修実績、過去の売上台数を基礎として将来の発生見込みに基づく最善の見積りにより引当計上しています。
主務官庁への届出等に基づく個別の保証修理費用は、経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に引当金を認識しており、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として算定した1台当たり将来保証修理費用等および対象台数に基づく最善の見積りにより引当計上しています。
当社グループは、発生が見込まれる保証修理費用について、現在入手可能な情報に基づき必要十分な金額を引当計上していると考えていますが、製品保証引当金の計算では将来複数年にわたり生じる保証修理費用を予測しているため、実際の保証修理費用が見積りと乖離することにより、製品保証引当金を追加計上する必要が生じる可能性があることから、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。
③ 従業員給付
当社グループは、従業員給付のうち退職給付について、将来の退職給付の支払いに備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産の見込額に基づき、退職給付を計上していますが、この計算は主として数理計算上で算定される前提条件に基づいて行われています。この前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、死亡率等が含まれており、それぞれの条件は現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されています。当社は、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用および債務に影響を与える可能性があるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。
割引率が変動した場合の確定給付制度債務に与える影響額については、連結財務諸表注記の「19 従業員給付(4)数理計算の仮定」を参照ください。
④ 金融資産
当社グループは、価格変動性の高い公開会社の株式、株価の決定が困難である非公開会社の株式、国債、社債および投資信託等を保有しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、投資価値の変動により損失が発生することがあるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。
⑤ 繰延税金資産
繰延税金資産は将来減算一時差異等を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識し、繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識しています。当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動等によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した課税所得の時期および金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の有価証券報告書において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。