売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04966 Japan GAAP

売上高

2,096.8億 円

前期

1,885.2億 円

前期比

111.2%

時価総額

2,215.7億 円

株価

2,661 (03/28)

発行済株式数

83,267,300

EPS(実績)

173.63 円

PER(実績)

15.33 倍

平均給与

766.2万 円

前期

869.1万 円

前期比

88.2%

平均年齢(勤続年数)

39.0歳(9.0年)

従業員数

2,261人(連結:2,548人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社及び子会社6社から構成されており、最先端技術及び商品を利用したICTシステムの構築から高付加価値サービスの提供までを事業領域としています。

 営業活動は、最適なソリューションを提供するため、対象市場を4つのセグメントに区分して行っております。営業支援体制としては、カスタマーサービス本部はシステムの運用・保守・最適化、ビジネス開発本部は製品ベンダーとの協業や技術研究などを連携して行っています。

 また、連結子会社は、ネットワンパートナーズ株式会社、ネットワンネクスト株式会社の2社です。非連結子会社(持分法非適用会社)としては、ネットワンコネクト合同会社、ネットワンビジネスオペレーションズ合同会社、Net One Systems USA, Inc.及びNet One Systems Singapore Pte. Ltd.の4社があります。

 当社グループ各社の役割及び事業系統図は下記のとおりです。

 なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要」をご参照ください。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

※1 ネットワンパートナーズ株式会社は、パートナー企業との協業に特化した事業を行っています。

※2 ネットワンネクスト株式会社は、リユースICT機器の販売・設置・導入及び保守サービスを提供しています。

※3 ネットワンビジネスオペレーションズ合同会社は、事務サービスを提供しています。

※4 Net One Systems USA, Inc.は、米国の市場動向調査や最先端技術及び新商品の発掘を行っています。

※5 Net One Systems Singapore Pte. Ltd.は、ASEAN地域を中心に日系企業向けのサービスを提供しています。

 6 ネットワンコネクト合同会社は、2023年1月27日に解散し2023年4月27日に清算結了したため、事業系統図から除外しております。

 

 セグメントについては、下記の4つの報告セグメント及びその他の区分で記載しています。

セグメントの名称

概要

ENT事業

一般民間企業を主なマーケットとする事業

SP事業

通信事業会社を主なマーケットとする事業

PUB事業

中央省庁・自治体、文教及び社会インフラを提供している企業を主なマーケットとする事業

パートナー事業

ネットワンパートナーズ株式会社によるパートナー企業との協業に特化した事業

その他

グローバル事業等

 

 また、商品群では、ICTシステムを構成するネットワークやプラットフォームなどの仕入製品を販売する機器商品群、主にそれら機器を組み合わせたシステムに係るサポートを提供するサービス商品群の2つに分類して記載しています。

 

商品群

概要

主要商品

機器商品群

ネットワークインフラ商品

プラットフォーム商品

セキュリティ商品

コラボレーション商品

ルータ、スイッチ、光伝送、無線

仮想化ソフトウエア、サーバ、ストレージ

ファイアウォール、認証・検疫

ビデオ会議、コミュニケーションソフトウエア

サービス商品群

コンサルティング

システム設計・構築

システム保守・運用

技術者教育

コンサルティングサービス

設計、性能検証、設定サービス

障害復旧、運用代行、監視サービス

技術者教育サービス

23/06/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度より、報告セグメントの区分を一部変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

当連結会計年度における市場別の受注高・売上高・受注残高

当連結会計年度においては、ネットワーク増強、及びセキュリティ強化需要を捉え、エンタープライズ事業が好調に推移しましたが、パブリック事業における反動減を主要因として、受注高は2,198億7百万円(前年度比5.2%減)となりました。

 

昨年度から継続している機器仕入納期の長期化は、遅延していた機器が第2四半期から徐々に入荷したことから、売上高は2,096億80百万円(前年度比11.2%増)となりました。これらの結果、受注残高は1,490億66百万円(前年度比7.1%増)となりました。

 

市場別の内訳としては、エンタープライズ(ENT)事業では、受注高は、製造業はEV関連の投資を中心に自動車メーカーの投資が堅調に推移し、非製造業は次期インフラ基盤及びセキュリティ強化ビジネス(ゼロトラスト/SASE[Secure Access Service Edge])が増加しました。また、金融業は次世代基盤構築が継続しました。売上高は、投資が回復してきた自動車メーカーの売上が牽引し、前年度比で増加しました。

 

通信事業者(SP)事業では、受注高は、テレワーク等による通信量増加に対応した回線増強投資が一巡する一方、大規模プロジェクトやデジタル化支援の知見を活かした共創ビジネスが堅調に推移しました。売上高は、昨年度からの回線増強投資の売上計上が進捗し、前年度比で増加しました。

 

パブリック(PUB)事業では、受注高は、自治体向け情報セキュリティクラウド及びセキュリティ強靭化は昨年度実績の反動減、及び社会インフラの大型案件の反動減があったものの、文教の研究所や大学向けネットワーク基盤更新需要が増加しました。売上高は、自治体向け情報セキュリティクラウド及びセキュリティ強靭化を中心に自治体の売上計上が進捗し、前年度比で増加しました。

 

パートナー事業(ネットワンパートナーズ株式会社)では、受注高は、主要パートナー向けのネットワーク増強及びセキュリティ強化ビジネスが継続して好調に推移したものの、MSP向けWi-Fiサービスビジネスの反動減があり、前年度比で微減となりました。売上高は、好調な主要パートナー向けのビジネスが牽引し、前年度比で増加しました。

 

単位:百万円

2023年3月期

前年度比

受注高

売上高

受注残高

受注高

売上高

受注残高

エンタープライズ事業

55,172

49,457

36,996

17.6%

19.8%

18.2%

通信事業者事業

51,519

49,005

30,044

△4.4%

1.7%

9.1%

パブリック事業

61,425

61,684

63,200

△23.8%

8.3%

△0.4%

パートナー事業

48,400

46,357

18,800

△0.5%

15.3%

12.2%

その他(グローバル事業等)

3,289

3,174

24

86.9%

70.6%

△77.8%

合計

219,807

209,680

149,066

△5.2%

11.2%

7.1%

 

 

当連結会計年度における商品群別の受注高・売上高・受注残高

商品群別の内訳としては、機器商品群では、受注高は、パブリック事業における自治体向け情報セキュリティクラウド及びセキュリティ強靭化の減速、及びパートナー事業におけるMSPビジネスの一巡を主要因として前年度比で減少しました。売上高は、機器長納期への対策が奏功し、豊富な受注残高を消化したことを受け前年度比で増加しました。

 

サービス商品群では、受注高は、パブリック事業におけるサービス提供型の自治体向け情報セキュリティクラウドの減速を主要因として、前年度比で減少しました。売上高は、自治体向け情報セキュリティクラウドの牽引、各サービスの拡大及び機器に付随するサービスの増加に伴って前年度比で増加しました。

 

単位:百万円

2023年3月期

前年度比

受注高

売上高

受注残高

受注高

売上高

受注残高

機器商品群

118,586

114,903

51,460

△7.3%

9.8%

7.4%

サービス商品群

101,220

94,776

97,606

△2.6%

13.0%

7.0%

合計

219,807

209,680

149,066

△5.2%

11.2%

7.1%

 

損益の状況

売上高は増加しましたが、売上総利益は503億67百万円(前年度比2.7%減)となりました。販売費及び一般管理費が297億31百万円となった結果、営業利益は206億35百万円(前年度比22.9%増)、経常利益は206億60百万円(前年度比22.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は144億58百万円(前年度比28.8%増)となりました。

 

・財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は1,786億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ169億38百万円の増加(10.5%増)となりました。

 資産の内訳は、流動資産は1,611億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ117億72百万円の増加(7.9%増)となりました。これは主に、現金及び預金が152億28百万円、リース債権及びリース投資資産が53億42百万円増加し、一方で、商品が37億98百万円、未収消費税等の減少等により流動資産のその他が33億35百万円、未成工事支出金が21億45百万円減少したことによるものです。また、固定資産は175億45百万円となり、前連結会計年度末に比べて51億66百万円の増加(41.7%増)となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は1,028億87百万円となり、前連結会計年度末に比べて97億21百万円の増加(10.4%増)となりました。これは主に、リース債務が55億17百万円、未払消費税等の増加等により流動負債のその他が40億67百万円、未払金が29億35百万円、未払法人税等が27億38百万円、長期未払金が20億54百万円、前受金が19億47百万円増加し、一方で、短期借入金が100億2百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は757億64百万円となり、前連結会計年度末に比べて72億17百万円の増加(10.5%増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益144億58百万円の計上と配当金の支払い59億97百万円等により、利益剰余金が84億24百万円増加し、一方で、繰延ヘッジ損益が13億86百万円減少したことによるものです。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上等により、営業活動によるキャッシュ・フローは341億83百万円の収入となりました。

 また、投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出等により16億54百万円の支出となり、財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の返済による支出等により173億32百万円の支出となりました。その結果、現金及び現金同等物は152億28百万円増加し、期末残高は355億9百万円(前期末比75.1%増)となりました。

 なお、前連結会計年度との比較は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による収入は341億83百万円となり、前連結会計年度に比べ450億57百万円の収入増となりました。これは主に、棚卸資産の減少による収入が320億96百万円増加、未払消費税等の増加による支出が93億37百万円減少、法人税等の支払額が44億42百万円減少、税金等調整前当期純利益の計上による収入が40億47百万円増加、賞与引当金の増加による支出が28億6百万円減少し、一方で、売上債権及び契約資産等の減少による収入が112億92百万円減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による支出は16億54百万円となり、前連結会計年度に比べ1億39百万円の支出増となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が5億83百万円増加、無形固定資産の取得による支出が2億17百万円増加、投資有価証券の売却による収入が1億3百万円減少し、一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が3億58百万円増加、有形固定資産の取得による支出が2億37百万円減少、資産除去債務の履行による支出が1億72百万円減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による支出は173億32百万円となり、前連結会計年度に比べ175億66百万円の支出増となりました。これは主に、短期借入金の純減による支出が280億円増加し、一方で、自己株式の取得による支出が99億99百万円減少したことによるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ENT事業

55,172

117.6%

36,996

118.2%

SP事業

51,519

95.6%

30,044

109.1%

PUB事業

61,425

76.2%

63,200

99.6%

パートナー事業

48,400

99.5%

18,800

112.2%

報告セグメント計

216,518

94.1%

149,042

107.2%

その他

3,289

186.9%

24

22.2%

合計

219,807

94.8%

149,066

107.1%

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を一部変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ENT事業

49,457

119.8%

SP事業

49,005

101.7%

PUB事業

61,684

108.3%

パートナー事業

46,357

115.3%

報告セグメント計

206,505

110.6%

その他

3,174

170.6%

合計

209,680

111.2%

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を一部変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当期の経営成績の概況

セグメント別業績

セグメント別の情報につきましては、(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。

 

中期経営計画と当連結会計年度の取り組み

当社グループは、2023年3月期から2025年3月期を対象期間とする中期経営計画を策定しております。中期経営計画の達成を目指し、再定義した新理念体系(Purpose、Mission、Vision、Values)に基づき「成長戦略の遂行」、それを支える「経営基盤の強化」、社会的責任として「サステナビリティ」に注力しております。各施策の具体的な取り組みは次のとおりです。

 

[成長戦略の遂行]

 事業、サービス、財務の3つ戦略について以下のとおり取り組みました。

 

・事業戦略

 社会課題の解決に貢献するため、既存事業に隣接する3つの注力領域「スマートマニュファクチャリング」、「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」、「デジタルガバメント」で事業成長を加速します。中期経営計画期間の最終年度である2025年3月期において、3つの注力領域で売上高合計300億円の伸長(2022年3月期比)を図ります。

 「スマートマニュファクチャリング」では、自動車・電機・機械などの製造業を対象として、データ利活用による事業価値向上、事業領域セキュリティ強化、脱炭素経営に向けた見える化に取り組んでいます。

 「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」では、当連結会計年度において注力分野及び当社の提供価値を明確化し、電力・ガス、鉄道、医療、建設、金融、情報通信の6つのセグメントを対象に、社会基盤のデジタル化による社会課題解決への貢献に取り組んでいます。

 「デジタルガバメント」では、自治体を対象として、セキュリティ強靭化や情報セキュリティクラウド、地域社会のICTインフラ高度化、デジタル化による地域課題解決や地域活性化に取り組んでいます。

 

 当連結会計年度では、市場全体で脱炭素と新たなエネルギー、半導体等の政策や国内公共領域におけるDX方針等への浸透が進み、年間を通じてICTへの期待値、国内需要は旺盛でした。

項目

名称

2023年3月期進捗額

当連結会計年度の状況

注力領域

スマートマニュファクチャリング

受注高

43億円

事業IT投資の需要を捉え、ネットワーク可視化、セキュリティ強化、無線活用などの案件を受注しました。

売上高

20億円

 

Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化

受注高

35億円

スマートビルディングやグループ全体のICTガバナンス強化などの案件を創出しました。

 

売上高

17億円

 

デジタルガバメント

受注高

105億円

自治体向け情報セキュリティクラウドのサービス提供型の大型案件を受注しました。自治体向けDXサービスとして新サービスを提供開始しました。

 

売上高

35億円

 

・サービス戦略

<注力サービス>

 ニーズの変化に対応した収益力の高いサービスの開発を目指し、これまでの実績を活かして“システムの共通化・自動化”を行い、事業戦略と先端技術知見の連動により“顧客のICT利活用向上”を実現する「DX戦略コンサルティングサービス」、「マネージドサービス」、「自社クラウドサービス」の3つの重点領域において新たなサービスの提供を開始しました。

項目

名称

当連結会計年度の状況

注力サービス

DX戦略コンサルティングサービス

・ICTマネジメント変革支援サービス

マルチクラウド化に伴い複雑化するお客様のインフラや運用業務、ICT人材の適材配置などに関するグランドデザインの策定や、DX(Digital Transformation)の実行を支援するサービスの提供を開始しました。

・デジタルプラットフォームコンサルサービス

データ利活用の推進を実現するICTプラットフォームのあるべき姿(To Be)を描き、戦略の構想から計画の実行支援まで伴走するサービスの提供を開始しました。

 

マネージドサービス

・netone Managed SASE powered by Prisma® Access

多様な働き方に対応して複雑化したネットワークとセキュリティの機能を高度に統合するSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションのアセスメントからPoC・設計構築・運用までを包括的に支援するフルマネージドサービスの提供を開始しました。

 

自社クラウドサービス

・録画管理サービス

オンライン会議システムの録画ファイルの一元管理、ガバナンスの向上、データの利活用を実現するサブスクリプション(継続収入型)サービスの提供を開始しました。

・住民ポータルサービス「JuuuPO!」

行政機関向けに地域の住民と行政や教育機関、システムを結びつけ、コミュニケーションの活性化を図るクラウド型住民ポータルサービスの提供を開始しました。

* DX戦略コンサルティングサービス:ICT利活用の在り方、事業貢献に向けたIT戦略策定を支援するサービス

マネージドサービス :顧客システムの継続的な稼働を行うための機能と運用を一括提供するサービス

自社クラウドサービス:ICTシステムの様々な機能を事前に準備された環境により、ネットワークを通じて安全に利用できるサービス

 

<サービス全般>

 当連結会計年度では、機能提供を目的とした機器とサービスを組み合わせたストック型のサービス提供型モデルが増加しましたが、自治体向け情報セキュリティクラウドの減速を主要因としてサービス商品群の受注高は減少しました。サービス比率については、売上高は増加したものの、機器商品群も同時に成長したことで2023年3月期に想定していた47.6%には至りませんでした。一方、当社サービスをご利用のお客様向けにサービスの受付から管理、ナレッジ等まで共有するポータルサイトの提供や、運用サービスの標準化・自動化・可視化に向けた取り組みを推し進めるなど、引き続きサービス提供の拡大に向けた活動を継続しました。

項目

進捗額

当連結会計年度の状況

2023年3月期

サービス比率

サービス商品群

受注高

1,012億円

46.0%

 

売上高

947億円

45.2%

 

受注残高

976億円

65.5%

* 中期経営計画において2025年3月期の売上高サービス比率55.0%を目標に掲げております。

* サービス商品群では、ネットワーク、セキュリティ、クラウドをはじめるとする各種システム基盤の導入に向けたコンサルティングから計画、設計、構築、保守、運用、そして最適化まで、システムのライフサイクル全般にわたる付加価値の高いサービスを提供しています。

 

・財務戦略

 中期経営計画に基づく成長戦略の遂行に向けた「戦略的な投資による収益力強化」、「最適な資本構成の追求」、「積極的な株主還元」の取り組みを推進しました。また、資本効率を重視した経営をさらに推進していくため、新たに「キャピタルアロケーションポリシー」を策定しました。これにより「戦略的な投資」、「財務基盤の強化」、「株主還元」への最適配分を実現し、企業価値の更なる向上につなげてまいります。

項目

名称

当連結会計年度の状況

戦略全般

キャピタルアロケーションポリシー

・中期経営計画期間における「キャピタルアロケーションポリシー」を策定し、原資の規模を計画したうえで、「戦略的な投資」、「財務基盤の強化」、「株主還元」への最適配分を検討しました。成長投資と財務規律の両立により好循環サイクルを生み出し、最適な資本構成の実現によって資本効率の向上と企業価値の更なる向上につなげていきます。

・投融資案件の計画段階において資本コストを基準に投資判断を評価するプロセスを確立しました。

・経営資源の集中に向けて事業会社の整理を進めました。

戦略的な投資による収益力強化

改善投資

経営組織体制と業務プロセスの「徹底した見える化」に向けて社内DX基盤への投資を行いました。経営状況や経営課題に関するデータを迅速に把握・活用することを可能にしたことで業務効率の向上を図りました。

 

成長投資

事業用サービス基盤の強化および当社グループの強みである技術力を担う人財を多数輩出するための人的資本への投資を行いました。また、採用活動の活性化や教育・研修システムの高度化など幅広い分野に経営資源を投入することにより、人財の獲得と育成に注力しました。

最適な資本構成の追求

ファイナンス

手元資金と事業活動で創出されるキャッシュに加え、キャピタルサービスの拡大や銀行借入によるデットファイナンスを活用しながら、資本コストを意識した最適な資本構成を追求しました。2023年3月期末の有利子負債は約365億円になり、そのうち短期借入金は約80億円になりました。

積極的な株主還元

連結配当性向

当事業年度の中間配当金は1株あたり37.00円にて実施しました。期末配当金は1株あたり37.00円、年間配当金は1株あたり74.00円となりました。

これにより、連結配当性向は40%の目安に対して、42.1%となりました。

* 改善投資:徹底した見える化、社内DX基盤、セキュリティ強化

成長投資:人財の育成・獲得、新サービス向け調査研究、事業用サービス基盤、サステナビリティ、M&A

 

[経営基盤の強化]

 企業文化改革、徹底した見える化、人財戦略について以下のとおり取り組みました。

 

・企業文化改革

 過去の不祥事を二度と繰り返さないため「企業文化改革」を重要施策と位置づけ、専門組織「ガバナンス・企業文化諮問委員会」を取締役会の諮問委員会として設置しました。企業文化改革と再発防止策の履行浸透のさらなる推進を図るべく、ガバナンスの強化、企業文化改革、再発防止策の継続的な履行、内部統制システムの強化の取り組みを進めました。

項目

当連結会計年度の状況

ガバナンスの強化

業務執行に対する監督機能のさらなる強化、事業環境の急速な変化に迅速かつ柔軟に対応できる業務執行体制の確立を目指し、監査等委員会設置会社に移行しました。取締役会は、9名中6名を社外取締役とし、議長には社外取締役が就任しました。また、議論の更なる深耕等を目的として従来の諮問委員会を指名諮問委員会と報酬諮問委員会とに機能を分離し改組しました。内部監査室・監査等委員及び会計監査人は、それぞれ監査計画、監査実施状況等の報告を行い、相互の連携強化を図っています。

企業文化改革

2022年4月、新たに策定した企業理念体系の浸透を目的として、経営層と社員が対話するRCTやワークショップ、ビジョンウィークの開催等、理念浸透活動を実施しました。また、組織文化に関する課題を洗い出すとともに、改善に向けた各施策を実行するため、企業文化モニタリング調査を実施しました。

再発防止策の継続的な履行

ガバナンス・企業文化諮問委員会を設置し、全社的な内部統制強化及び企業文化改革に関する取組みの実行及び遂行、経営陣による積極的なモニタリング関与と継続的な改善に取り組みました。また、ガバナンス・企業文化諮問委員会が確認した再発防止策の実施・運用状況を月次・半期毎に公開しました。

内部統制システムの強化

業務執行の迅速化の観点から、第1ラインの営業活動支援業務と営業業務処理の管理推進機能を集約するため、組織の役割を見直しました。具体的には、第1ラインにおける各事業本部と第1.5ラインの業務統制本部に事業推進部(室)を新設し、業務状況の可視化を進めるとともに、業務統制本部業務企画部がビジネスの品質保証、営業業務の統轄機能及び技術業務の統轄機能を担うことで業務統制機能を拡充させました。これらを含めて、内部統制における業務の実効性と効率性の向上に向けた経営基盤の強化を進めています。

※ RCT(Respect、Communication、Teamwork):経営陣と少人数の従業員が語り合うイベント

 

・徹底した見える化

 経営状況・経営課題に関するデータやファクトをタイムリーに把握し、経営戦略の推進力を高めるために、「経営の見える化」、「業務プロセスの見える化」、「組織・人の見える化」の視点でのデータの可視化・分析のための情報基盤を構築しました。

項目

当連結会計年度の状況

経営の見える化

経営に係る重要な6つの指標である「収益性」「安全性」「効率性」「財務・株価情報」「労務厚生」「在庫状況」を取りまとめて月次で集計するマネジメントダッシュボードを導入しました。それにより当社の経営に係る重要な指標の推移などを定点で確認し、適切な判断や仮説の立案に資する情報の取りまとめを実現しています。

業務プロセスの見える化

組織運営で必要とされる組織軸での採算管理と合わせ、顧客や製品・サービス軸など複数管理軸における採算情報の徹底した見える化を行いました。具体的には、採算情報の見える化ダッシュボードの公開や顧客軸・組織軸の社員生産性分析など、社内での共通理解及び経営の意思決定に資する情報基盤を構築しました。

組織・人の見える化

組織と人の可視化を行い、より生産性の高い働き方を推進すること目的に、以下の取り組みを開始しました。プロジェクト(履行)単位での採算情報の見える化をはじめ、エンジニアの稼働実績ダッシュボード公開や等級別稼働実績分析などを通じて、主管部門における戦略実行の支援を推進しました。また、ハイブリッド環境での働き方に対応するために、労務関連ダッシュボードを構築しました。

 

・人財戦略

 テクノロジーの本質や利活用から価値を生み出せるよう、自ら考え行動する優秀な人財の育成・輩出を行っていくことが人的資本経営と考えています。人財の育成と多様な人財の活躍を推進するため、経営陣の強力なコミットメントのもと、さまざまな全社横断組織と仕組みを運営・運用しています。

項目

当連結会計年度の状況

プロフェッショナル人財の育成

一人ひとりがプロフェッショナル人財となり、専門性を追求し互いの発信力を高められるよう、個人の専門性向上を支援しています。具体的には、サービス提供型のビジネスモデルへのシフトを加速させるため、ネットワークに限らない「クラウド」「セキュリティ」等IT技術領域の知識習得を支援する体制を整え、セキュリティ人財・クラウド人財の育成を強化しました。また、コーポレート部門の機能強化を目的としたDXスキルの獲得を支援し、DX人財の育成を進めています。

人財が活躍するための環境の提供

顧客接点の拡大とサービスシフトの加速を図るため、各事業本部に配置されていた技術部門を集約し、技術機能を統合しました。また、2022年3月期に策定した人財マネジメントポリシーで掲げている「Team」「TAKUMI(匠)」「Fairness」を軸に、[等級・報酬・評価・採用・配置]の5つの項目を重点項目とし、新たな人事制度を2024年3月期から導入しています。

従来より活動している産学連携を通じて、次世代のIT人財育成を拡大してまいります。

 

[サステナビリティ]

 当社グループは、2021年に策定したサステナビリティ方針のもと、持続的成長における重要課題として、特定した4つのマテリアリティについて、KPIを定め、各取り組みを進めました。

マテリアリティ① 安心・安全な高度情報社会の実現

課題・領域別ソリューション・サービスの提供

・社会課題解決型ソリューション売上高   FY24目標300億円/FY22結果72億円

・サービスビジネスの拡大と推進      FY24目標55%(サービス比率)/FY22結果45.2%

マテリアリティ② プロフェッショナル人財の活躍

次世代を担う人財の育成

・セキュリティ人財

・CISSP取得者    FY30目標80名     FY22目標24名/結果23名

・安全確保支援士  FY30目標100名     FY22目標46名/結果51名

・クラウド人財

・フロント部門   FY30年目標50%増   FY22目標239名/結果448名

・DX人財

・コーポレート部門 FY30年までに150名増 FY22目標25名/結果23名

・業務改善提案100件(FY22~30の累計)  FY22結果7件

・次世代ICT人財の育成:産学連携などを通じた次世代IT人財育成プログラムを推進中

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・女性役職者比率  FY30目標15%     FY22結果7.8%

・新卒採用女性比率 FY30目標50%     FY22結果28.6%

・男性の育休及び出産時の特別休暇取得率向上

FY30目標90%     FY22結果68.0%

マテリアリティ③ 脱炭素社会への貢献

ビジネスを通じた温室効果ガス排出量削減

・グリーンソリューションの拡大

お客様・社会における温室効果ガス排出量削減に貢献するソリューションとサービスの開発・拡大

FY22結果:創出3件(1.遠隔支援 2.データ消去証明 3.データセンター電力可視化)

・自社の事業プロセスにおける排出量削減

低消費電力製品及びサービス販売の拡大 Scope3 売上高原単位(FY24目標)9.8%削減

FY22目標3.5%削減/FY22結果25.6%削減(暫定)

マテリアリティ④ 持続可能な成長を実現するガバナンス体制の維持強化

企業文化の醸成と内部統制強化

・企業文化の醸成に向けた取り組みとして社員意識調査を毎年実施

FY22結果:全社員対象9月末に実施

・再発防止策の進捗報告

再発防止策の運用状況について半年に1回当社ウェブサイト上で報告

FY22結果:上期、下期運用状況の詳細を当社ウェブサイトに公開

・健康経営®の実現

健康経営優良法人への認定:FY24年目標:健康経営優良法人認定

FY22結果:推進中

 

②資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の源泉及び資金の流動性について、自己資金のほか、金融機関からの借入により調達しております。有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。