売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04966 Japan GAAP

売上高

2,051.3億 円

前期

2,096.8億 円

前期比

97.8%

時価総額

2,425.3億 円

株価

3,020 (07/16)

発行済株式数

80,308,700

EPS(実績)

170.84 円

PER(実績)

17.68 倍

平均給与

830.3万 円

前期

766.2万 円

前期比

108.4%

平均年齢(勤続年数)

40.0歳(9.0年)

従業員数

2,285人(連結:2,579人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社及び子会社5社から構成されており、最先端技術及び商品を利用したICTシステムの構築から高付加価値サービスの提供までを事業領域としています。

 営業活動は、最適なソリューションを提供するため、対象市場を4つのセグメントに区分して行っております。営業支援体制としては、カスタマーサービス本部はシステムの運用・保守・最適化、ビジネス開発本部は製品ベンダーとの協業や技術研究などを連携して行っています。

 また、連結子会社は、ネットワンパートナーズ株式会社、ネットワンネクスト株式会社の2社です。非連結子会社(持分法非適用会社)としては、ネットワンビジネスオペレーションズ合同会社、Net One Systems USA, Inc.及びNet One Systems Singapore Pte. Ltd.の3社があります。

 当社グループ各社の役割及び事業系統図は下記のとおりです。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

※1 ネットワンパートナーズ株式会社は、パートナー企業との協業に特化した事業を行っています。

※2 ネットワンネクスト株式会社は、リユースICT機器の販売・設置・導入及び保守サービスを提供しています。

※3 Net One Systems USA, Inc.は、米国の市場動向調査や最先端技術及び新商品の発掘を行っています。

※4 ネットワンビジネスオペレーションズ合同会社は、事務サービスを提供しています。

 5 Net One Systems Singapore Pte. Ltd.は休眠中のため、事業系統図から除外しております。

 

 

 セグメントについては、下記の4つの報告セグメント及びその他の区分で記載しています。

セグメントの名称

概要

ENT事業

一般民間企業を主なマーケットとする事業

SP事業

通信事業会社を主なマーケットとする事業

PUB事業

中央省庁・自治体、文教及び社会インフラを提供している企業を主なマーケットとする事業

パートナー事業

ネットワンパートナーズ株式会社によるパートナー企業との協業に特化した事業

 

 また、商品群では、ICTシステムを構成するネットワークやプラットフォームなどの仕入製品を販売する機器商品群、主にそれら機器を組み合わせたシステムに係るサポートを提供するサービス商品群の2つに分類して記載しています。

 

商品群

概要

主要商品

機器商品群

ネットワークインフラ商品

プラットフォーム商品

セキュリティ商品

コラボレーション商品

ルータ、スイッチ、光伝送、無線

仮想化ソフトウエア、サーバ、ストレージ

ファイアウォール、認証・検疫

ビデオ会議、コミュニケーションソフトウエア

サービス商品群

コンサルティング

システム設計・構築

システム保守・運用

技術者教育

コンサルティングサービス

設計、性能検証、設定サービス

障害復旧、運用代行、監視サービス

技術者教育サービス

24/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度においては、デジタル化に伴うネットワーク増強やセキュリティ強化の需要を捉えた提案を進めたものの、前年度受注していた大型機器案件が剥落したこと、また、通信事業者事業、パブリック事業及びパートナー事業が低調に推移したことによって、受注高は2,014億48百万円(前年度比8.4%減)となり、売上高は2,051億27百万円(前年度比2.2%減)となりました。この結果、受注残高は1,453億88百万円(前年度比2.5%減)となりました。

 

 市場別の内訳としては、エンタープライズ(ENT)事業では、製造業は自動車メーカーや電機メーカーを中心にセキュリティ案件やスマートマニュファクチャリング案件を獲得し、非製造業はセキュリティ強化ビジネス(ゼロトラスト/SASE [Secure Access Service Edge])の大型案件を複数獲得しました。また、金融業は弱含んでいるものの、クラウド活用及びセキュリティ強化の継続案件を獲得しました。

 

 通信事業者(SP)事業では、テレワーク等による通信量増加に対応した回線増強投資が一巡する中で、法人向け共創ビジネスが拡大したものの期初想定水準には至りませんでした。

 

 パブリック(PUB)事業では、自治体において働き方改革・クラウド活用・セキュリティ対策等のデジタル化を見据えた大型案件を複数獲得した一方で、大型案件の失注が生じました。社会インフラでは電力会社グループの運用高度化案件やクラウド基盤案件等を獲得し、ヘルスケアではクラウド基盤の大型案件を獲得しました。一方で、複数の受注見込み案件の受注が来期へと遅延しました。

 

 パートナー事業(ネットワンパートナーズ株式会社)では、セキュリティ強化ビジネスが好調に推移した一方で、機器納期改善に伴い低価格帯製品を中心に競争が発生するとともに、複数の受注見込み案件の受注が来期以降に遅延しました。また、前年度におけるMSP向けWi-Fiサービスビジネスの反動減が生じました。

 

単位:百万円

2024年3月期

前年度比

受注高

売上高

受注残高

受注高

売上高

受注残高

エンタープライズ事業

55,354

55,206

37,144

0.3%

11.6%

0.4%

通信事業者事業

44,585

45,197

29,432

△13.5%

△7.8%

△2.0%

パブリック事業

60,293

61,396

62,097

△1.8%

△0.5%

△1.7%

パートナー事業

41,239

43,327

16,713

△14.8%

△6.5%

△11.1%

合計

201,448

205,127

145,388

△8.4%

△2.2%

△2.5%

 

 

当連結会計年度における商品群別の受注高・売上高・受注残高

 商品群別の内訳としては、機器商品群では、受注高及び売上高は、前年度における大型機器案件の反動減が生じたこと、及び、通信事業者事業・パブリック事業・パートナー事業の受注が低調に推移したことから、前年度比で減少しました。

 

 サービス商品群では、受注高及び売上高は、全体受注が低調な中、保守サービスを中心に前年度比で増加しました。

 

単位:百万円

2024年3月期

前年度比

受注高

売上高

受注残高

受注高

売上高

受注残高

機器商品群

97,771

104,485

44,745

△17.6%

△9.1%

△13.0%

サービス商品群

103,677

100,642

100,642

2.4%

6.2%

3.1%

合計

201,448

205,127

145,388

△8.4%

△2.2%

△2.5%

 

 

損益の状況

 売上高は前年度比で減少したものの、売上総利益率が前年度比で改善したことで、売上総利益は525億55百万円(前年度比4.3%増)となりました。販売費及び一般管理費が330億22百万円となった結果、営業利益は195億33百万円(前年度比5.3%減)、経常利益は191億51百万円(前年度比7.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は137億20百万円(前年度比5.1%減)となりました。

 

・財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は1,649億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ137億42百万円の減少(7.7%減)となりました。

 資産の内訳は、流動資産は1,474億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ136億18百万円の減少(8.5%減)となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が52億3百万円、商品が41億88百万円、現金及び預金が34億73百万円減少したことによるものです。また、固定資産は174億20百万円となり、前連結会計年度末に比べて1億24百万円の減少(0.7%減)となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は880億94百万円となり、前連結会計年度末に比べて147億92百万円の減少(14.4%減)となりました。これは主に、短期借入金が80億円、未払法人税等が19億28百万円、未払消費税等の減少等により流動負債のその他が11億65百万円、未払金が10億57百万円、長期未払金が10億22百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は768億14百万円となり、前連結会計年度末に比べて10億49百万円の増加(1.4%増)となりました。これは主に、繰延ヘッジ損益が6億76百万円増加し、自己株式が3億86百万円減少したことによるものです。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上等により、営業活動によるキャッシュ・フローは238億72百万円の収入となりました。

 また、投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出等により45億42百万円の支出となり、財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純減による支出等により228億3百万円の支出となりました。その結果、現金及び現金同等物は34億73百万円減少し、期末残高は320億35百万円(前期末比9.8%減)となりました。

 なお、前連結会計年度との比較は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による収入は238億72百万円となり、前連結会計年度に比べ103億11百万円の収入減となりました。これは主に、未払消費税等の減少による支出が66億71百万円増加、法人税等の支払額が38億46百万円増加、その他の流動負債の減少による支出が25億97百万円増加し、一方で、売上債権及び契約資産等の減少による収入が38億36百万円増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による支出は45億42百万円となり、前連結会計年度に比べ28億87百万円の支出増となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が23億8百万円増加、無形固定資産の取得による支出が5億25百万円増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が3億58百万円減少、資産除去債務の履行による支出が2億28百万円増加し、一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が5億83百万円減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による支出は228億3百万円となり、前連結会計年度に比べ54億71百万円の支出増となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が76億64百万円増加し、一方で、短期借入金の純減による支出が20億円減少したことによるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ENT事業

55,354

100.3

37,144

100.4

SP事業

44,585

86.5

29,432

98.0

PUB事業

60,293

98.2

62,097

98.3

パートナー事業

41,239

85.2

16,713

88.9

報告セグメント計

201,448

91.6

145,388

97.5

合計

201,448

91.6

145,388

97.5

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

ENT事業

55,206

111.6

SP事業

45,197

92.2

PUB事業

61,396

99.5

パートナー事業

43,327

93.5

報告セグメント計

205,127

97.8

合計

205,127

97.8

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当期の経営成績の概況

セグメント別業績

セグメント別の情報につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

中期経営計画と当連結会計年度の取り組み

当社グループは、「人とネットワークの持つ可能性を解き放ち、伝統と革新で、豊かな未来を創る」をPurposeとし、企業価値の更なる向上、持続的な成長を目指し、2023年3月期から2025年3月期を対象期間とする中期経営計画を策定しております。

 

1)経営基本方針

 中期経営計画の達成を目指し、再定義した新理念体系(Purpose、Mission、Vision、Values)に基づき「成長戦略の遂行」、それを支える「経営基盤の強化」、社会的責任として「サステナビリティ」に注力しております。各施策の具体的な取り組みは次のとおりです。

 

[成長戦略の遂行]

 事業、サービス、財務の3つの戦略について以下のとおり取り組みました。

 

・事業戦略

 社会課題の解決に貢献するため、既存事業に隣接する3つの注力領域「スマートマニュファクチャリング」、「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」、「デジタルガバメント」で事業成長を加速します。中期経営計画期間の最終年度である2025年3月期において、3つの注力領域で売上高合計300億円の伸長(2022年3月期比)を図ります。

 「スマートマニュファクチャリング」では、自動車・電機・機械などの製造業を対象として、データ利活用による事業価値向上、事業領域セキュリティ強化、脱炭素経営に向けた見える化に取り組んでいます。

 「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」では、当連結会計年度において注力分野及び当社の提供価値を明確化し、電力・ガス、鉄道、医療、建設、金融、情報通信の6つのセグメントを対象に、社会基盤のデジタル化による社会課題解決への貢献に取り組んでいます。

 「デジタルガバメント」では、自治体を対象として、セキュリティ強靭化や情報セキュリティクラウド、地域社会のICTインフラ高度化、デジタル化による地域課題解決や地域活性化に取り組んでいます。

 

 当連結会計年度では、市場全体ではICT利活用が進む中でセキュリティ強化、クラウド活用のニーズが高まりました。また、半導体等の政策や国内公共領域におけるDX方針等への浸透が進み、年間を通じてICTへの期待値、国内需要は旺盛でした。

項目

名称

2023年3月期実績

当連結会計年度の実績

当連結会計年度の状況

注力領域

スマートマニュファクチャリング

受注高

43億円

受注高

60億円

EVや半導体関連の投資が継続。製造部門のビジネス拡大に加え、研究開発部門や戦略パートナーとのビジネスを創出しました。

売上高

20億円

売上高

74億円

Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化

受注高

35億円

受注高

117億円

各分野で本格化が進む社会全体のDX案件を推進。運用高度化、SASE、クラウド基盤、生成AI基盤などの案件を創出しました。

売上高

17億円

売上高

71億円

デジタルガバメント

受注高

105億円

受注高

113億円

働き方改革(テレワーク)・クラウド活用・セキュリティ対策が統合された大型基盤案件を受注しました。

売上高

35億円

売上高

71億円

 

・サービス戦略

<注力サービス>

 既存コア事業の強化を起点としたサービス事業の探索により、新たな価値を創造する「DX戦略コンサルティングサービス」、「マネージドサービス」、「自社クラウドサービス」の3つのサービスを創出するとともに、機能提供型サービスとプラットフォームを確立し、ストック型ビジネスの強化に取り組んでいます。

項目

名称

当連結会計年度の状況

注力サービス

DX戦略コンサルティングサービス

・ICTマネジメント変革支援サービス

マルチクラウド化に伴い複雑化するお客様のインフラや運用業務、ICT人財の適材配置などに関するグランドデザインの策定や、DX(Digital Transformation)の実行を支援するサービスを提供しました。

・デジタルプラットフォームコンサルサービス

データ利活用の推進を実現するICTプラットフォームのあるべき姿(To Be)を描き、戦略の構想から計画の実行支援まで伴走するサービスを提供しました。

・クラウド商材のフルラインナップ化とマネージドサービスの付与によりお客様のニーズ、ステージに応じた最適なシステムデザインの提示を開始しました。

マネージドサービス

・netone Managed SASE powered by Prisma® Access

多様な働き方に対応して複雑化したネットワークとセキュリティの機能を高度に統合するSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションのアセスメントからPoC・設計構築・運用までを包括的に支援するフルマネージドサービスを提供しました。

・MDR(Managed Detection and Response)サービス

セキュリティ監視・分析を行うNDR(Network Detection and Response)サービスメニューで取り扱う製品を拡充し、より柔軟にお客様のシステム環境に合わせた提案、サービス提供を可能にしました。

自社クラウドサービス

・ガバメントクラウド接続サービス

デジタル庁のテンプレートや設計ガイドラインに準拠したクラウド接続サービスの提供を開始しました。

* DX戦略コンサルティングサービス:ICT利活用の在り方、事業貢献に向けたIT戦略策定を支援するサービス

マネージドサービス :顧客システムの継続的な稼働を行うための機能と運用を一括提供するサービス

自社クラウドサービス:ICTシステムの様々な機能を事前に準備された環境により、ネットワークを通じて安全に利用できるサービス

 

<サービス全般>

 当連結会計年度では、全体受注が低調な中、保守サービスが増加したことで前年同水準の受注を維持しました。サービス比率については、2024年3月期に想定していた50.0%には至りませんでした。引き続き、ストック型ビジネスの確立によって共創関係を築くことで、継続的な競争力の強化に取り組んでいきます。

項目

名称

当連結会計年度の状況

当連結会計年度の実績

サービス比率

サービス商品群

受注高

1,036億円

51.5%

売上高

1,006億円

49.1%

受注残高

1,006億円

69.2%

* サービス商品群では、ネットワーク、セキュリティ、クラウドをはじめるとする各種システム基盤の導入に向けたコンサルティングから計画、設計、構築、保守、運用、そして最適化まで、システムのライフサイクル全般にわたる付加価値の高いサービスを提供しています。

 

・財務戦略

 中期経営計画に基づく成長戦略の遂行に向けた「戦略的な投資による収益力強化」、「最適な資本構成の追求」、「積極的な株主還元」の取り組みを継続して推進しました。また、資本効率を重視した経営をさらに推進していくため、策定した「キャピタルアロケーションポリシー」に基づき「戦略的な投資」、「財務基盤の強化」、「株主還元」への最適配分を実行し、企業価値の更なる向上に努めました。

項目

名称

当連結会計年度の状況

戦略全般

キャピタルアロケーションポリシー

・策定した「キャピタルアロケーションポリシー」に基づき、「戦略的な投資」、「財務基盤の強化」、「株主還元」への最適配分の取り組みを実行しました。これにより成長投資と財務規律の両立により好循環サイクルを生み出すとともに、最適な資本構成の実現による資本効率の向上と企業価値の更なる向上を図ってまいります。

・確立した投融資案件の計画段階における資本コストを基準に投資判断を評価するプロセスのもと、資本効率の高い投資を推進し、新たに運用段階でも定期的にモニタリングできるプロセスを確立しました。

・経営資源の集中に向けて事業会社の整理を進めました。

戦略的な投資による収益力強化

改善投資

経営組織体制と業務プロセスの「徹底した見える化」に向けた社内DX基盤への投資を行いました。経営状況や経営課題に関するデータの迅速な把握・活用を可能にすることで業務効率の向上を図りました。

成長投資

事業用サービス基盤の強化及び当社グループの強みである技術力を担う人財を多数輩出するための人的資本への投資を行いました。また、採用活動の活性化や教育・研修システムの高度化など幅広い分野に経営資源を投入することにより、人財の獲得と育成に注力しました。

最適な資本構成の追求

ファイナンス

手元資金と事業活動で創出されるキャッシュに加え、キャピタルサービスの拡大や銀行借入によるデットファイナンスを活用しながら、資本コストを意識した最適な資本構成の追求に努めました。また、運転資金の機動的かつ安定的な調達を行うため、2024年3月にコミットメントライン契約を締結しました。

なお、2024年3月期末の有利子負債は約285億円になりました。

積極的な株主還元

連結配当性向

当事業年度の中間配当金は1株あたり37.00円にて実施しました。期末配当金は1株あたり40.00円、年間配当金は1株あたり77.00円として、2024年6月開催予定の定時株主総会への付議を予定しております。

これにより、連結配当性向は40%の目安に対して、45.3%となる予定です。

* 改善投資:徹底した見える化、社内DX基盤、セキュリティ強化

成長投資:人財の育成・獲得、新サービス向け調査研究、事業用サービス基盤、サステナビリティ、M&A

 

[経営基盤の強化]

 企業文化改革、徹底した見える化、人財戦略について以下のとおり取り組みました。

 

・企業文化改革

 過去の不祥事を二度と繰り返さないため「企業文化改革」を重要施策と位置づけ、専門組織「ガバナンス・企業文化諮問委員会」を取締役会の諮問委員会として設置しております。企業文化改革と再発防止策の履行・浸透のさらなる推進を図るべく、ガバナンスの強化、企業文化改革、再発防止策の継続的な履行、内部統制システムの強化の取り組みを進めました。

項目

当連結会計年度の状況

ガバナンスの強化

従来から強化してきた再発防止策を中心とした守りのガバナンスに加えて、成長戦略に関する議論の充実など、当社グループの継続的な成長を実現するための施策に取り組みました。また、当社取締役会のあるべき姿を改めて確認するとともに、これを実現するために取締役会が取り扱うテーマの特定や、当該テーマを議論するために取締役会が備えるべきスキルの改訂も行いました。さらに、これまで進めてきたコーポレート・ガバナンスの強化に向けた各種施策を今まで以上に「実質」を伴った取り組みに深化させ、企業価値のさらなる向上につなげることを目的として、第三者機関のインタビュー形式による取締役会の実効性評価を初めて実施しました。抽出された課題の解決に向けた取り組みをスタートさせています。

企業文化改革

企業理念体系の浸透を目的として、経営層と社員が対話するRCTや上司との個別面談による行動宣言の振り返り、ビジョンデイの開催等、理念浸透活動を実施しました。また、企業文化モニタリング調査を実施し、組織文化に関する課題を洗い出すとともに、改善に向けた各施策の実行と検証に取り組んでおります。

再発防止策の継続的な履行

ガバナンス・企業文化諮問委員会を設置し、全社的な内部統制強化及び企業文化改革に関する取組みの実行及び遂行、経営陣による積極的なモニタリング関与と継続的な改善に取り組みました。また、ガバナンス・企業文化諮問委員会が確認した再発防止策の実施・運用状況を月次・半期毎に公開しました。

内部統制システムの強化

2022年4月より見直した組織の役割(注)に基づき、第1.5ラインを設置した当社独自の3ラインモデルによる体制にて牽制機能の強化に取り組むとともに、ライン相互の業務支援や業務効率向上に向けた施策に取り組んでおります。

(注)業務執行の迅速化の観点から、第1ラインの営業活動支援業務と営業業務処理の管理推進機能を集約するため、組織の役割を見直しました。具体的には、第1ラインにおける各事業本部と第1.5ラインの業務統制本部に事業推進部(室)を新設し、業務状況の可視化を進めるとともに、業務統制本部業務企画部がビジネスの品質保証、営業業務の統轄機能及び技術業務の統轄機能を担うことで業務統制機能を拡充させました。

* RCT(Respect、Communication、Teamwork):経営陣と少人数の従業員が語り合うイベント

 

・徹底した見える化

 経営状況・経営課題に関するデータやファクトをタイムリーに把握し、経営戦略の推進力を高めるために、継続的に「経営の見える化」、「業務プロセスの見える化」、「組織・人の見える化」の視点でのデータの可視化・分析のための情報基盤を構築しました。

項目

当連結会計年度の状況

経営の見える化

「収益性」「安全性」「効率性」「財務・株価情報」「労務厚生」「在庫状況」をまとめたマネジメントダッシュボードや、各事業における売上高・利益推移など経営にかかわる重要な指標の管理から確認した課題に対し、改善ドライバーとなる施策提案と効果の定点観測を通じて一定の成果を実現しています。

引続き、各主管部門と連携のうえ経営会議や業務管理の源となる情報の統一を進め、経営・事業管理の精緻化に資する情報提供を目指し活動を進めてまいります。

業務プロセスの見える化

徹底した見える化の活動を通じて得た知見や、業務プロセス・システムの課題に対し、手元集計による暫定対策とともに、業務効率化を目的とした全社横断プロジェクトにおいて根本対策に向けた要件定義を実施しています。要件の具体化と改善ポイントを明らかにするとともに、既存業務プロセスの可視化を進め、業務・システムの変革による期待効果のモニタリング環境構築を進めてまいります。

組織・人の見える化

採算情報の見える化にあたり、組織軸での収益捕捉を精緻化する過程において、主管部門と連携のうえ営業・技術の生産性定義と分析を進めております。事業戦略の策定と高度化に向けて、各組織が対応する市場や商品販売の実績を可視化し、市場×商品の戦略推進支援に向けたモニタリング環境の構築、結果指標と各組織の活動(先行指標)をつなげる統合的なモニタリング体制の確立を目指し活動を進めてまいります。

 

・人財戦略

 テクノロジーの本質や利活用から価値を生み出せるよう、自ら考え行動する優秀な人財の育成・輩出を行っていくことが人的資本経営と考えています。経営陣の強力なコミットメントのもと、人財の育成と多様な人財の活躍を推進する仕組みを構築しました。

項目

当連結会計年度の状況

プロフェッショナル人財の育成

一人ひとりがプロフェッショナル人財となり、専門性を追求し互いの発信力を高められるよう、個人の専門性向上を支援しています。具体的には、サービス提供型のビジネスモデルへのシフトを加速させるため、ネットワークに限らず「クラウド」「セキュリティ」等IT技術領域の知識習得を支援する体制を整え、セキュリティ人財・クラウド人財の育成を強化しました。また、コーポレート部門の機能強化を目的としたDXスキルの獲得を支援し、DX人財の育成を強化しております。

人財が活躍するための環境の提供

人財マネジメントポリシーで掲げている「Team」「TAKUMI(匠)」「Fairness」を軸に、新たな人事制度を2024年3月期から導入しました。事業と働き方の変化に適した「等級制度」、市場競争力を確保した「報酬制度」、社員の長期的な成長・人財育成に寄与する「評価制度」により、社員一人ひとりがより高いパフォーマンスを発揮し、社会への価値提供に貢献してまいります。

また、以前から活動している産学連携を通じて、次世代のIT人財育成活動を拡大してまいります。

 

[サステナビリティ]

 当社グループは、2021年に策定したサステナビリティ方針のもと、持続的成長における重要課題として、特定した4つのマテリアリティについて、KPIを定め、各取り組みを進めました。

マテリアリティ① 安心・安全な高度情報社会の実現

課題・領域別ソリューション・サービスの提供

・社会課題解決型ソリューション売上高    FY24目標300億円

FY23目標161億円/結果216億円

・サービスビジネスの拡大と推進       FY24目標50%(サービス比率) *従来目標の55%から修正

FY23目標50%/結果49.1%

マテリアリティ② プロフェッショナル人財の活躍

次世代を担う人財の育成 ※2024年3月31日時点

・セキュリティ人財

・CISSP取得者    FY30目標80名     FY23目標28名/結果30名

・安全確保支援士  FY30目標100名    FY23目標56名/結果60名

・クラウド人財

・フロント部門   FY30年目標50%増   FY23目標498名/結果516名

・DX人財

・コーポレート部門 FY30年までに150名増 FY23目標39名/結果42名

・業務改善提案100件(FY22~30の累計)  FY23目標13件/結果28件

・次世代ICT人財の育成・産学連携などを通じたプログラム:

カリキュラム提供数:10、講義提供数:52、受講者:3,092名(延べ)

・香川大学:機密情報・サイバー攻撃・ネットワークセキュリティの座学と演習

・京都女子大学:1~3年生を対象にIT業界・AIの座学とデータ分析演習、IT業界の働き方をテーマにネットワン若手社員と交流(座談会)

・法政大学:企業におけるAI×共創をベースにした科学技術活用方法の講義

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・女性役職者比率  FY30目標15%     FY23目標7.5%/結果8.1%  ※2024年4月1日時点

・新卒採用女性比率 FY30目標50%     FY23目標36.5%/結果42.7% ※2024年4月1日時点

・男性の育休及び出産時の特別休暇取得率向上

FY30目標90%     FY23目標65.0%/結果74.0% ※2024年3月31日時点

マテリアリティ③ 脱炭素社会への貢献

ビジネスを通じた温室効果ガス排出量削減

・グリーンソリューションの拡大

お客様・社会における温室効果ガス排出量削減に貢献するソリューションとサービスの開発・拡大

FY23目標:創出3件/結果:創出3件

・自社の事業プロセスにおける排出量削減

低消費電力製品及びサービス販売の拡大 Scope3 売上高原単位(FY24目標)9.8%削減

FY23目標5.7%削減/結果13.6%削減(暫定) ※2024年5月8日時点の暫定値

マテリアリティ④ 持続可能な成長を実現するガバナンス体制の維持強化

企業文化の醸成と内部統制強化

・企業文化の醸成に向けた取り組みとして社員意識調査を毎年実施

FY23結果:全社員対象10月末に実施

・再発防止策の進捗報告

再発防止策の運用状況について半年に1回当社ウェブサイトに公開

FY22結果:上期、下期運用状況の詳細を当社ウェブサイトに公開

・健康経営®の実現

健康経営優良法人への認定:FY24年目標:健康経営優良法人認定

FY23結果:健康経営優良法人認定取得

 

②資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の源泉及び資金の流動性について、自己資金のほか、金融機関からの借入により調達しております。有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。