売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02272 IFRS

売上高

9,362.1億 円

前期

8,819.2億 円

前期比

106.2%

時価総額

3.12兆 円

株価

2,650 (07/12)

発行済株式数

1,177,700,200

EPS(実績)

206.27 円

PER(実績)

12.85 倍

平均給与

1,041.1万 円

前期

965.2万 円

前期比

107.9%

平均年齢(勤続年数)

43.2歳(13.6年)

従業員数

2,834人(連結:28,838人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、オリンパス株式会社(当社)、子会社89社および関連会社3社で構成されており、内視鏡、治療機器およびその他製品の製造販売を主な事業とし、さらに各事業に関連する持株会社および金融投資等の事業活動を展開しています。
 次の「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に掲げるセグメントの区分と同一です。

 

区分

主要製品及び事業の内容

主要な会社名

内視鏡

消化器内視鏡、外科内視鏡、
医療サービス

当社

(連結子会社)

オリンパスメディカルシステムズ㈱、

オリンパスマーケティング㈱、
会津オリンパス㈱、白河オリンパス㈱、長野オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、
Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、

Olympus Deutschland GmbH

KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd.
Olympus Winter & Ibe GmbH、

Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、
Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.

(関連会社)

ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ㈱

治療機器

消化器科処置具、泌尿器科製品、
呼吸器科製品、

エネルギー・デバイス、

耳鼻咽喉科製品、婦人科製品

当社

(連結子会社)

オリンパスメディカルシステムズ㈱、

オリンパスマーケティング㈱、
青森オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、

Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、

Olympus Deutschland GmbH

Gyrus ACMI, Inc.、Olympus Winter & Ibe GmbH、
Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、
Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.

Olympus Vietnam Co.,Ltd.

その他

生体材料、整形外科用器具  他

当社

(連結子会社)

オリンパステルモバイオマテリアル㈱

FH ORTHO SAS

共通

持株会社、金融投資

当社

(連結子会社)

Olympus Corporation of the Americas、

Olympus Europa Holding SE、Olympus Europa SE & Co. KG、

Olympus (China) Co.,Ltd.、

Olympus Corporation of Asia Pacific Limited.、
Olympus Global Treasury Services Limited

 

 

 

以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、当社グループの2024年3月31日現在の状況は次のとおりです。

※画像省略しています。

 

24/06/20

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

① 業績

 前第2四半期連結会計期間において、当社は、Bain Capital Private Equity, LP(そのグループを含み、以下「ベインキャピタル」)が投資助言を行う投資ファンドが間接的に株式を保有する特別目的会社である株式会社BCJ-66との間で科学事業の譲渡に関する株式譲渡契約を締結しました。これに伴い、前第2四半期連結会計期間より、科学事業に関わる損益を非継続事業に分類しています。なお、売上高、営業利益、調整後営業利益、税引前利益、継続事業からの当期利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した数値を表示しています。

 また、当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」「科学事業」及び「その他事業」の4区分を報告セグメントとしておりましたが、前第2四半期連結会計期間より「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3区分に変更しています。

 なお、上記の株式譲渡契約に基づき、当社から吸収分割により当社の科学事業を承継した当社の連結子会社である株式会社エビデント(以下、エビデント)の全株式については、2023年4月3日に譲渡を完了しました。

 

業績全般に関する動向

 当連結会計年度における世界経済は、持ち直しの動きが継続しましたが、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念は、景気下振れのリスクとなっており、中東地域をめぐる情勢による影響も注視する必要があります。また、ウクライナにおける戦争や世界的なインフレもあり、原材料価格の上昇や、サプライチェーンの制約による影響が発生しました。わが国経済においても、景気は緩やかに持ち直している一方で、為替の変動や世界経済と同様に原材料価格の上昇、サプライチェーンの制約による影響、令和6年能登半島地震による影響が発生しました。

 こうした環境下にあるものの、当社グループは、2023年5月に公表した経営戦略に沿って、「患者さんの安全と持続可能性」「成長のためのイノベーション」「生産性の向上」という3つの優先事項のもと、グローバル・メドテックカンパニーへの変革に向けて引き続き取り組んでいます。

 

業績の状況

 以下(1)から(10)は継続事業の業績を、(11)は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ示しています。

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

増減額

増減率(%)

(1)売上高

881,923

936,210

54,287

6.2%

(2)売上原価

285,074

311,087

26,013

9.1%

(3)販売費及び一般管理費

420,547

473,231

52,684

12.5%

(4)持分法による投資損益/
その他の収益/その他の費用

10,307

△108,294

△118,601

(5)営業利益

186,609

43,598

△143,011

△76.6%

(6)調整後営業利益

176,793

151,534

△25,259

△14.3%

(7)金融損益

△4,315

△7,744

△3,429

(8)税引前利益

182,294

35,854

△146,440

△80.3%

(9)法人所得税費用

44,304

8,881

△35,423

△80.0%

(10)継続事業からの当期利益

137,990

26,973

△111,017

△80.5%

(11)親会社の所有者に帰属する当期利益

143,432

242,566

99,134

69.1%

為替レート(円/米ドル)

135.47

144.62

9.15

為替レート(円/ユーロ)

140.97

156.80

15.83

為替レート(円/人民元)

19.75

20.14

0.39

 

(1)売上高

 前期比542億87百万円増収の9,362億10百万円となりました。内視鏡事業、治療機器事業、その他事業の全ての事業で増収となりました。詳細は次ページのセグメント別の動向に関する分析に記載しています。

(2)売上原価

 前期比260億13百万円増加の3,110億87百万円となりました。売上原価率は、内視鏡事業で高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムの自主回収に伴う費用約42億円を引当計上したことにより、33.2%と前期比0.9ポイント悪化しました。

(3)販売費及び一般管理費

 前期比526億84百万円増加の4,732億31百万円となりました。主な要因は、総合的な品質変革プログラム Elevateや、生産性向上などを目的とした事業運営基盤の整備・強化などの持続的成長に向けた費用です。

(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用

 持分法による投資損益、その他の収益およびその他の費用の合算で1,082億94百万円の費用となり、前期比で損益は、1,186億1百万円悪化しました。その他の収益に関して、前期は固定資産売却益として約164億円、Medi-Tate Ltd.の買収対価の一部である条件付対価の公正価値が変動したことによる買収対価の修正により約14億円を計上した一方で、当期は「その他事業」に含まれていたコラーゲン事業等の譲渡益約11億円を計上した結果、前期比で190億40百万円減少しました。その他の費用に関しては、前期に「Transform Olympus」を推進するための関連費用約24億円を計上した一方で当期においては、Veran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円、総合的な品質変革プログラム Elevateに係る一時的な費用約230億円、「その他事業」に含まれている整形外科事業に関する損失約86億円、内視鏡事業における開発資産及び仕掛中の研究開発の減損損失それぞれ約60億円と約46億円、治療機器事業における開発資産の減損損失約23億円、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約59億円を計上しており、前期比で987億12百万円増加しました。

(5)営業利益

 上記の要因により、前期比1,430億11百万円減益の435億98百万円となりました。

(6)調整後営業利益

 営業利益からその他の収益およびその他の費用を除外した調整後営業利益は、上記の要因により、前期比252億59

百万円減益の1,515億34百万円となりました。

(7)金融損益

 金融収益と金融費用を合わせた金融損益は77億44百万円の損失となり、前期比で損益は34億29百万円悪化しました。損益の悪化は、主として各通貨に対して円安が進行したことにより為替差損が拡大したことによるものです。

(8)税引前利益

 上記の要因により、前期比で1,464億40百万円減少となる358億54百万円となりました。

(9)法人所得税費用

 税引前利益が減少したことにより、前期比で354億23百万円減少し、88億81百万円となりました。

(10)継続事業からの当期利益

 上記の要因により、前期比で1,110億17百万円減少となる269億73百万円となりました。

(11)親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業及び非継続事業の合算)

 当連結会計年度に非継続事業において科学事業の譲渡益約3,490億円を計上したことにより、前期比で991億34百万円増益となる2,425億66百万円となりました。

 

(研究開発支出および設備投資)

 当期においては、非継続事業を除いた継続事業で863億68百万円の研究開発費を投じるとともに、807億27百万円の設備投資を実施しました。

 

(為替影響)

 為替相場は前期に対して、対米ドル、ユーロ及び人民元は円安で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=144.62円(前期は135.47円)、1ユーロ=156.80円(前期は140.97円)、1人民元=20.14円(前期は19.75円)となり、売上高では前期比で514億4百万円の増収要因、営業利益では前期比で122億79百万円の増益要因、調整後営業利益では前期比で171億2百万円の増益要因となりました。なお、為替の影響を除くと、連結売上高は前期比0.3%の増収、連結営業利益は前期比83.2%の減益となります。

 

セグメント別の動向に関する分析

 

 

売上高

営業利益又は営業損失(△)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

内視鏡

551,823

586,617

6.3

152,769

104,684

△31.5

治療機器

318,207

337,331

6.0

63,692

△8,466

その他

11,893

12,262

3.1

△914

△7,809

小計

881,923

936,210

6.2

215,547

88,409

△59.0

消去又は全社

△28,938

△44,811

連結計

881,923

936,210

6.2

186,609

43,598

△76.6

(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。

 

[内視鏡事業]
 内視鏡事業の連結売上高は、5,866億17百万円(前期比6.3%増)、営業利益は1,046億84百万円(前期比31.5%減)となりました。

 消化器内視鏡領域では、反腐敗運動による入札活動の遅れなどの影響を受けた中国で売上が減少した一方、消化器内視鏡システム「EVIS X1」を発売した北米が好調に推移し、為替の円安効果もあって前期比プラス成長となりました。

 外科内視鏡領域では、事業環境が厳しい中、一部製品の出荷停止による影響を受けた北米と中国で減収となった一方、外科内視鏡システム「VISERA ELITEⅢ」を発売した欧州やアジア・オセアニアの売上が増加し、為替の円安効果もあって前期比プラス成長となりました。

 医療サービス領域では、保守サービスを含む既存のサービス契約の安定的な売上に加えて、新規契約の増加もあり、全ての地域で前期比プラス成長となりました。

 内視鏡事業の営業損益は、増収による売上利益の増加があったものの、高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムの自主回収に伴う費用約42億円を引当計上、要員の増加およびインフレに伴う報酬の増加等の販売部門における費用の増加や、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の発生に加え、総合的な品質変革プログラムElevateに係る一時的な費用約147億円や、開発資産及び仕掛中の研究開発の減損損失それぞれ約60億円と約46億円をその他の費用として計上したこともあり、減益となりました。

 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比0.5%の増収、営業利益は前期比40.5%の減益となっています。

 

[治療機器事業]

 治療機器事業の連結売上高は、3,373億31百万円(前期比6.0%増)、営業損失は84億66百万円(前期は636億92百 万円の営業利益)となりました。

 消化器科処置具領域では、北米や欧州を中心にプラス成長となり、前期比増収となりました。また、膵管や胆管などの内視鏡診断・治療に使用するERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影術)用の製品群、病変の切除に使用されるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、EMR(内視鏡的粘膜切除術)用の製品群の売上が増加しました。

 泌尿器科領域では、欧州やアジア・オセアニアを中心にプラス成長となり、為替の円安効果もあって前期比増収となりました。また、BPH(前立腺肥大症)用の切除用電極等も売上の増加に貢献しました。

 呼吸器科領域では、一部製品の供給不足や反腐敗運動による入札活動の遅れなどの影響があった中国で減収となった一方、北米や欧州を中心にプラス成長となり、為替の円安効果もあって前期比増収となりました。EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)で主に使われる処置具の売上が増加しました。

 その他の治療領域では、Gyrus Medical社の売却に伴い売上が減少したもの、為替の円安効果もあり前期比増収となりました。

 治療機器事業の営業損益は、増収による売上利益の増加があったものの、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の発生や、サプライチェーンマネジメントの強化に係る費用の増加に加え、Veran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円や、総合的な品質変革プログラムElevateに係る一時的な費用約84億円、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円、開発資産の減損損失約23億円をその他の費用として計上したこともあり、減益となりました。

 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期並み、営業損益は前期比718億89百万円の減益となっています。

 

[その他事業]
 その他事業では、人工骨補填材等の生体材料、整形外科用器具などの開発・製造・販売等を行っているほか、新規事業に関する研究開発や探索活動に取り組んでいます。

 その他事業の連結売上高は、122億62百万円(前期比3.1%増)、営業損失は78億9百万円(前期は9億14百万円の営業損失)となりました。

 売上高は、中国などでプラス成長となり、増収となりました。その他事業の営業損益は、整形外科事業に関する損失約86億円をその他の費用として計上したこともあり、悪化しました。

 

 

② 財政状態の状況

 

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増  減

(百万円)

増減率

(%)

資産合計

1,508,701

1,534,216

25,515

1.7

資本合計

641,234

757,186

115,952

18.1

親会社所有者帰属

持分比率

42.4%

49.4%

7.0%

 

 

[資産]

 当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末から255億15百万円増加し、1兆5,342億16百万円となりました。流動資産では自己株式の取得により1,800億2百万円を支出したものの科学事業の譲渡対価3,790億91百万円の受領を主因に現金及び現金同等物が1,716億4百万円増加棚卸資産が270億36百万円増加営業債権及びその他の債権が229億27百万円増加さらに科学事業の譲渡益等に対する未収法人所得税が207億26百万円増加した一方で科学事業の譲渡完了に伴い売却目的で保有する資産が1,695億66百万円減少しています非流動資産では有形固定資産が212億37百万円増加営業債権及びその他の債権が187億84百万円増加デリバティブ資産を中心としたその他の金融資産が126億70百万円増加した一方で科学事業の譲渡益等に対する繰延税金資産が842億19百万円減少しまたVeran Medical Technologies, Inc.の減損を主因に無形資産が247億96百万円減少しています

[負債]
 負債合計は、前連結会計年度末から904億37百万円減少し、7,770億30百万円となりました。科学事業の譲渡益等 に対する未払法人所得税が609億9百万円減少科学事業の譲渡完了に伴い売却目的で保有する資産に直接関連する負債が432億53百万円減少また社債及び借入金が404億41百万円減少しています

 

[資本]

 資本合計は、前連結会計年度末から1,159億52百万円増加し、7,571億86百万円となりました。自己株式の取得1,800億2百万円剰余金の配当202億40百万円を行った一方で科学事業の譲渡益等親会社の所有者に帰属する当期利益を2,425億66百万円計上したことまた在外営業活動体の換算差額を中心にその他の資本の構成要素が718億47百万円増加したことが主な要因です

 また当社は2023年5月12日開催の取締役会決議に基づき1,000億円の自己株式の取得及び2024年2月29日付での自己株式1,048億円の消却を行っていますそして2023年11月9日開催の取締役会決議に基づく自己株式800億円の取得を行ったこと等により自己株式739億31百万円増加(資本におけるマイナス表示額の拡大)しています。


 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の42.4%から49.4%となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

98,490

42,365

△56,125

投資活動によるキャッシュ・フロー

△58,414

359,992

418,406

財務活動によるキャッシュ・フロー

△143,178

△276,010

△132,832

現金及び現金同等物期末残高

205,512

340,933

135,421

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは423億65百万円の増加(前連結会計年度は984億90百万円の増加)となりました。法人所得税の支払1,373億90百万円があったものの減価償却費及び償却費の調整659億40百万円減損損失の調整645億68百万円税引前利益358億54百万円等により増加しています

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは3,599億92百万円の増加(前連結会計年度は584億14百万円の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出464億25百万円無形資産の取得による支出181億99百万円があったものの科学事業の譲渡対価として3,790億91百万円を受領したことまたエビデント等に対する貸付金533億73百万円を回収したことが主な要因です

 またTaewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約に基づく支出436億47百万円に対して2024年3月7日付の株 式取得契約の解除に伴い当連結会計年度では311億10百万円を回収しています

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは2,760億10百万円の減少(前連結会計年度は1,431億78百万円の減少)となりました。自己株式の取得による支出1,800億2百万円、社債の償還及び長期借入金の返済による支出500億円、配当金の支払202億40百万円、リース負債の返済による支出195億18百万円が主な要因です

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して1,354億21百万円増加し、3,409億33百万円となりました。なお関連指標については社債及び借入金が前期末から404億41百万円減少したものの営業活動によるキャッシュ・フローが423億65百万円と前連結会計年度と比較して561億25百万円減少したことによりキャッシュ・フロー対有利子負債比率が前期末の3.5年から7.1年となりましたまたインタ レスト・カバレッジ・レシオは前期末の18.3倍から8.8倍になりました

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

内視鏡

426,787

1.4

治療機器

253,969

10.1

その他

8,470

-3.2

689,226

4.4

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

 

② 受注実績

 当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。

③ 販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

内視鏡

586,617

6.3

治療機器

337,331

6.0

その他

12,262

3.1

936,210

6.2

(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 

(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

 当社グループは、2023年5月に発表した経営戦略において、2024年3月期から2026年3月期までの3年間の財務ガイダンスを、売上高成長率、EPS成長率、特殊要因を調整した調整後営業利益率で定めています。

 売上高の年平均成長率(CAGR)は、5%程度を目指しています。内視鏡事業においては、主に消化器内視鏡システム「EVIS X1」の拡販によって、5%のCAGRを、治療機器事業についても、消化器科処置具、泌尿器科、呼吸器科の3領域を中心に製品ポートフォリオの拡大とM&Aを通して5%超のCAGRを、それぞれ目指しています。

 また、EPSについては、持続的な売上成長をベースとして、資本効率の改善によって、売上高の成長率を上回る約8%のCAGRを、調整後営業利益率については、20%前後で維持することを、それぞれ目指します。

 2024年3月期においては、中国における反腐敗運動による入札遅れや、サプライチェーン課題の長期化、インフレ、令和6年能登半島地震など、当初想定していなかった影響があり、売上高は、為替の影響を除くと、前期比0.3%の増収となりました。調整後営業利益率は、増収による売上利益の増加があったものの、持続的成長に向けた、総合的な品質変革プログラム「Elevate」や、生産性向上を目的とした事業運営基盤の整備・強化などの費用により、16.2%となりました。今後も財務ガイダンスの達成に向けて、売上成長を図るとともに、収益性のさらなる改善に取り組みます。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況

(i) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローにより資金が増加した一方で、自己株式の取得による支出、法人所得税の支払等があったことで、当連結会計年度末時点で保有する手元資金は3,409億33百万円(前連結会計年度末より1,354億21百万円増加)となりました。この手元資金規模は、安定した事業運営および財務基盤の確保に十分な水準であると認識しています。

(ⅱ) 財務政策

 当社グループは、適切な財務レバレッジのコントロールによる、財務健全性の維持と資本効率性の向上の両立を、財務政策の基本方針としています。この基本方針のもと、有利子負債/EBITDA倍率や自己資本比率等の指標を意識し、財務健全性を維持する財務政策を行っています。加えて、国内および海外の資本市場での公募社債の発行等、資金調達手法の多様化により資金調達基盤を強化し、資金調達コストの低減にも努めています。

 当社は、格付投資情報センター、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン、およびムーディーズ・ジャパンより信用格付けを取得しており、2024年3月31日現在における状況は、次のとおりです。

 

格付投資情報センター:A+(長期、見通し安定的)、a-1(短期)

S&Pグローバル・レーティング・ジャパン:BBB+(長期、見通し安定的)

ムーディーズ・ジャパン:Baa1(長期、見通し安定的)

 

(ⅲ) 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの製品を製造するための材料および部品の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるもので、主な営業費用は、人件費および広告・販売促進費等のマーケティング費用です。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場および欧米を中心とした製造、修理拠点の拡充など、生産効率向上のための設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な投資への資金需要に対しても、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、引き続き積極的に対応していきます。

 

(ⅳ) 資金調達

 当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金により充当していますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行により資金を調達しています。これらの借入金および社債については、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できると考えています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持していることに加えて、(ⅱ) 財務政策に記載の通り、格付投資情報センターの信用格付けはA+、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンはBBB+およびムーディーズ・ジャパンはBaa1となっていることから、安定的かつ低コストで適時滞りなく資金調達が可能と考えています。さらに、主要通貨(米ドル・ユーロ・円)によるグローバルコミットメントラインを設定しており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しています。財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、今後も資金需要に応じて適切な資金調達を検討していきます。

 

(ⅴ) 資金配分

 当社グループの持続的な成長を実現させるため、資金は、成長ドライバーへの投資に優先的に配分していく方針であり、収益性の高い既存事業への投資や成長機会への戦略的な投資を実施していきます。また、事業成長等への投資を優先しつつ、株主価値を考慮した積極的な株主還元も実施していきます。配当については、安定的かつ段階的に増配し、自己株式の取得については、投資機会と資金状況に応じて機動的に実施する方針です。安定した事業運営に十分な手元資金を確保しながら、成長投資や株主還元にも適切に資金配分をしていきます。

 

 

③ 重要性がある会計方針および見積り

 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りにつきましては、合理的な基準に基づいて実施しています。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。