売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02272 IFRS

売上高

9,973.3億 円

前期

9,362.1億 円

前期比

106.5%

時価総額

1.96兆 円

株価

1,721 (07/18)

発行済株式数

1,139,116,300

EPS(実績)

103.46 円

PER(実績)

16.63 倍

平均給与

1,046.0万 円

前期

1,041.1万 円

前期比

100.5%

平均年齢(勤続年数)

43.3歳(13.5年)

従業員数

2,494人(連結:29,297人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、オリンパス株式会社(当社)、子会社81社および関連会社3社で構成されており、内視鏡および治療機器の製造販売を主な事業とし、さらに各事業に関連する持株会社および金融投資等の事業活動を展開しています。
 次の「内視鏡事業」及び「治療機器事業」の2事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に掲げるセグメントの区分と同一です。

 なお、当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他の事業」の3区分を報告セグメントとしていましたが、中間連結会計期間より、「内視鏡事業」及び「治療機器事業」の2区分を報告セグメントとすることに変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」をご参照ください。

 

区分

主要製品及び事業の内容

主要な会社名

内視鏡

消化器内視鏡、外科内視鏡、
医療サービス

当社

(連結子会社)

オリンパスメディカルシステムズ㈱、

オリンパスマーケティング㈱、
会津オリンパス㈱、白河オリンパス㈱、長野オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、
Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、

Olympus Deutschland GmbH

KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd.
Olympus Winter & Ibe GmbH、

Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、
Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.

(関連会社)

ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ㈱

治療機器

消化器科処置具、泌尿器科製品、
呼吸器科製品、

エネルギー・デバイス、

耳鼻咽喉科製品、婦人科製品

当社

(連結子会社)

オリンパスメディカルシステムズ㈱、

オリンパスマーケティング㈱、
青森オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、

Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、

Olympus Deutschland GmbH

Gyrus ACMI, Inc.、Olympus Winter & Ibe GmbH、
Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、
Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.

Olympus Vietnam Co.,Ltd.

共通

持株会社、金融投資

当社

(連結子会社)

Olympus Corporation of the Americas、

Olympus Europa Holding SE、Olympus Europa SE & Co. KG、

Olympus (China) Co.,Ltd.、

Olympus Corporation of Asia Pacific Limited.、
Olympus Global Treasury Services Limited

 

 

 

以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、当社グループの2025年3月31日現在の状況は次のとおりです。

※画像省略しています。

 

25/06/19

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

① 業績

 当連結会計年度において、当社は、PTCJ-6Oホールディングス株式会社及びPTCJ-6Fホールディングス株式会社(ポラリス・キャピタル・グループ株式会社が設立した特別目的会社。以下「ポラリス・キャピタル・グループ」と総称します)に対して、オリンパステルモバイオマテリアル株式会社およびFH Ortho SAS社から構成される整形外科事業を譲渡することについて、ポラリス・キャピタル・グループとの間でプット・オプション契約を締結し、当該契約に基づき、2024年7月12日に譲渡を完了しました。これに伴い、整形外科事業に関わる損益を非継続事業に分類しており、前連結会計年度についても同様の形で表示しています。なお、売上高、営業利益、調整後営業利益、税引前利益、継続事業からの当期利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した数値を表示しています。

 また、当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3区分を報告セグメントとしていましたが、整形外科事業が非継続事業に分類されたことにより、継続事業に含まれる、整形外科事業以外の「その他事業」について当期見込まれる財務情報の金額的な重要性が低下するため、「報告セグメント」より除外しています。そのため、中間連結会計期間より報告セグメントを「内視鏡事業」及び「治療機器事業」の2区分に変更しており、前連結会計年度についても同様の形で表示しています。

 なお、当社は、2025年4月1日付で、より効率的で、患者さんとお客様中心の展開とするため、事業部門の再編成を含む組織改編を実施いたしました。当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」の2区分を報告セグメントとしていましたが、2026年3月期より「消化器内視鏡ソリューション事業」「サージカルインターベンション事業」の2区分を報告セグメントとすることに変更いたします。

 

業績全般に関する動向

 当連結会計年度における世界経済は、持ち直しの動きが継続しましたが、アメリカの通商政策による下振れリスクに加え、金融資本市場の変動の高まりの影響にも注視する必要があります。わが国経済においても、景気は緩やかに持ち直している一方で、世界経済の先行きを注視する必要があります。

 こうした環境下にあるものの、当社グループは、2023年5月に公表した経営戦略に沿って、「患者さんの安全と持続可能性」「成長のためのイノベーション」「生産性の向上」という3つの優先事項のもと、グローバル・メドテックカンパニーへの変革に向けて引き続き取り組んでいます。

 

業績の状況

 以下(1)から(10)は継続事業の業績を、(11)は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ示しています。

(単位:百万円)

 

2024年3月期

2025年3月期

増減額

増減率(%)

(1)売上高

925,752

997,332

71,580

7.7%

(2)売上原価

307,320

313,635

6,315

2.1%

(3)販売費及び一般管理費

466,758

495,654

28,896

6.2%

(4)持分法による投資損益/
その他の収益/その他の費用

△100,287

△25,581

74,706

(5)営業利益

51,387

162,462

111,075

216.2%

(6)調整後営業利益

151,316

188,509

37,193

24.6%

(7)金融損益

△7,776

△3,392

4,384

(8)税引前利益

43,611

159,070

115,459

264.7%

(9)法人所得税費用

8,546

41,270

32,724

382.9%

(10)継続事業からの当期利益

35,065

117,800

82,735

235.9%

(11)親会社の所有者に帰属する当期利益

242,566

117,855

△124,711

△51.4%

為替レート(円/米ドル)

144.62

152.58

7.96

為替レート(円/ユーロ)

156.80

163.75

6.95

為替レート(円/人民元)

20.14

21.10

0.96

 

(1)売上高

 内視鏡事業、治療機器事業ともに増収となり、前期比715億80百万円増収の9,973億32百万円となりました。詳細は以下のセグメント別の動向に関する分析に記載しています。

(2)売上原価

 前期比63億15百万円増加の3,136億35百万円となりました。売上原価率は、前期に内視鏡事業で引当計上していた高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムなどの自主回収に伴う費用約50億円がなくなったことにより、31.4%と前期比1.7ポイント良化しました。

(3)販売費及び一般管理費

 前期比288億96百万円増加の4,956億54百万円となりました。販売費及び一般管理費の対売上高比率は、研究開発費が増加したものの、増収により、49.7%と前期比0.7ポイント良化しました。

(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用

 持分法による投資損益、その他の収益およびその他の費用の合算で255億81百万円の費用となり、前期比で損益は、747億6百万円改善しました。その他の収益に関して、当期は当社の連結子会社であるOlympus (Shenzhen) Industrial Ltd.が中国・深圳市に保有する土地使用権及び建物を深圳市政府へ返還したことに伴う補償金約12億円や、Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.と深圳市安平泰投资发展有限公司との間で和解が成立したことに伴い、訴訟等に係る損失に備えるため過去に見積もり計上した引当金の戻入額約9億円を計上しており、前期比で18億14百万円増加しました。その他の費用に関しては、前期に計上していたVeran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円や、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円がなくなったことに加え、内視鏡事業および治療機器事業における開発資産の減損損失がそれぞれ約39億円、約19億円、内視鏡事業における仕掛中の研究開発の減損損失約45億円、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトElevateに係る一時的な費用が約37億円、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用が約30億円減少したことにより、前期比で720億68百万円減少しました。

(5)営業利益

 上記の要因により、前期比1,110億75百万円増益の1,624億62百万円となりました。

(6)調整後営業利益

 営業利益からその他の収益およびその他の費用を除外した調整後営業利益は、上記の要因により、前期比371億93百万円増益の1,885億9百万円となりました。

(7)金融損益

 金融収益と金融費用を合わせた金融損益は33億92百万円の損失となり、前期比で損益は43億84百万円改善しました。損益の改善は、主として為替差損が減少したことによるものです。

(8)税引前利益

 上記の要因により、前期比で1,154億59百万円増加となる1,590億70百万円となりました。

(9)法人所得税費用

 税引前利益が増加したことにより、前期比で327億24百万円増加し、412億70百万円となりました。

(10)継続事業からの当期利益

 上記の要因により、前期比で827億35百万円増加となる1,178億円となりました。

(11)親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業及び非継続事業の合算)

 前連結会計年度に非継続事業において科学事業の譲渡益約3,490億円を計上したことにより、前期比で1,247億11百万円減益となる1,178億55百万円となりました。

 

(研究開発支出および設備投資)

 当期においては、非継続事業を除いた継続事業で1,038億90百万円の研究開発費を投じるとともに、849億59百万円の設備投資を実施しました。

 

(為替影響)

 為替相場は前期に対して、対米ドル、ユーロ及び人民元は円安で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=152.58円(前期は144.62円)、1ユーロ=163.75円(前期は156.80円)、1人民元=21.10円(前期は20.14円)となり、売上高では前期比で399億7百万円の増収要因、営業利益では前期比で207億75百万円の増益要因、調整後営業利益では前期比で213億90百万円の増益要因となりました。なお、為替の影響を除くと、連結売上高は前期比3.4%の増収、連結営業利益は前期比175.7%の減益となります。

 

セグメント別の動向に関する分析

 

 

売上高

営業利益又は営業損失(△)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

内視鏡

586,617

636,144

8.4

104,684

141,398

35.1

治療機器

337,331

360,658

6.9

△8,466

61,453

小計

923,948

996,802

7.9

96,218

202,851

110.8

その他

1,804

530

△70.6

△287

△473

消去又は全社

△44,544

△39,916

連結計

925,752

997,332

7.7

51,387

162,462

216.2

(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。

 

[内視鏡事業]
 内視鏡事業の連結売上高は、6,361億44百万円(前期比8.4%増)、営業利益は1,413億98百万円(前期比35.1%増)となりました。

 消化器内視鏡分野では、国産優遇策などの影響もあり競争環境が激化する中国で売上が減少した一方、消化器内視鏡システム「EVIS X1」の販売が好調な北米で売上が増加し、前期比プラス成長となりました。

 外科内視鏡分野では、中国で減収となった一方、北米やアジア・オセアニアで増収となりました。主に北米で、手術システムインテグレーションに係る新製品が好調に推移した結果、前期比プラス成長となりました。

 医療サービス分野では、保守サービスを含む既存のサービス契約の安定的な売上に加えて、新規契約の増加もあり、欧州や北米を中心に、全ての地域で前期比プラス成長となりました。

 内視鏡事業の営業損益は、次世代内視鏡システムなどに関わる研究開発費が増加したものの、増収による売上利益の増加に加え、前期に引当計上していた高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムなどの自主回収に伴う費用約50億円がなくなったことや、その他の費用として計上している、開発資産及び仕掛中の研究開発の減損損失がそれぞれ約39億円と約45億円、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトElevateに係る一時的な費用が約23億円減少したことにより、増益となりました。

 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比4.1%の増収、営業利益は前期比19.8%の増益となっています。

 

[治療機器事業]

 治療機器事業の連結売上高は、3,606億58百万円(前期比6.9%増)、営業利益は614億53百万円(前期は84億66百 万円の営業損失)となりました。

 治療機器事業では、注力三領域である、消化器科(処置具)分野、泌尿器科分野、呼吸器科分野のすべての分野で、北米や欧州を中心にプラス成長となりました。

 消化器科処置具分野では、膵管や胆管などの内視鏡診断・治療に使用するERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影術)用の製品群などで売上が増加しました。

 泌尿器科分野では、BPH(前立腺肥大症)用の切除用電極や、尿路結石用破砕装置「SOLTIVE SuperPulsed Laser System」の売上が増加しました。

 呼吸器科分野では、EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)で主に使われる処置具や超音波気管支鏡が好調に推移しました。

 その他の治療領域では、主に他社製品の取り扱い終了の影響を受けた日本で、減収となりました。

 治療機器事業の営業損益は、研究開発費が増加したものの、増収による売上利益の増加に加え、その他の費用として、前期に計上していたVeran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円がなくなったことや、開発資産の減損損失が約19億円、品質保証・法規制対応の変革プロジェクトElevateに係る一時的な費用が約13億円減少したことにより、増益となりました。

 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比2.6%の増収、営業損益は前期比644億34百万円の増益となっています。

 

② 財政状態の状況

 

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増  減

(百万円)

増減率

(%)

資産合計

1,534,216

1,432,826

△101,390

△6.6

資本合計

757,186

751,733

△5,453

△0.7

親会社所有者帰属

持分比率

49.4%

52.5%

3.1%

 

 

[資産]

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から1,013億90百万円減少し、1兆4,328億26百万円となりました。自己株式の取得により1,000億2百万円を支出したことを主因に現金及び現金同等物が884億1百万円減少し、さらに、法人所得税の還付を主因に未収法人所得税が323億4百万円減少しました。

[負債]
 負債合計は、前連結会計年度末から959億37百万円減少し、6,810億93百万円となりました。社債の償還および借入金の返済により社債および借入金が705億14百万円減少し、また、製品保証引当金や十二指腸内視鏡の市場対応に係る引当金の減少により、引当金が155億84百万円減少となりました。さらに、未払費用の減少等により、その他流動負債が135億23百万円減少しました。

 

[資本]

 資本合計は、前連結会計年度末から54億53百万円減少し、7,517億33百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益1,178億55百万円を計上した一方で、自己株式の取得1,000億2百万円、剰余金の配当209億81百万円を行ったことが主な要因です。

 また、当社は2023年11月9日開催の取締役会決議に基づき、2024年4月30日に自己株式771億61百万円の消却を行っています。さらに、2024年5月10日開催の取締役会決議に基づき、自己株式の取得1,000億2百万円と2025年1月31日に自己株式の消却953億38百万円を行いました。結果として自己株式は740億94百万円減少(資本におけるマイナス表示額の縮小)しています。


 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の49.4%から52.5%となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

42,365

190,463

148,098

投資活動によるキャッシュ・フロー

359,992

△65,469

△425,461

財務活動によるキャッシュ・フロー

△276,010

△211,542

64,468

現金及び現金同等物期末残高

340,933

252,532

△88,401

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,904億63百万円の増加(前連結会計年度は423億65百万円の増加)となりました。税引前当期利益1,590億70百万円や減価償却費及び償却費の調整664億56百万円により増加した一方、営業債権及びその他の債権の増加により277億25百万円減少しました。

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、654億69百万円の減少(前連結会計年度は3,599億92百万円の増加)となりました。有形固定資産の取得による支出460億1百万円、無形資産の取得による支出192億8百万円が主な要因です。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,115億42百万円の減少(前連結会計年度は2,760億10百万円の減少)となりました。自己株式の取得による支出1,000億2百万円、社債の償還及び長期借入金の返済による支出700億35百万円、配当金の支払209億81百万円、リース負債の返済による支出193億2百万円が主な要因です。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して884億1百万円減少し、2,525億32百万円となりました。

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

内視鏡

423,731

△0.7

治療機器

251,285

△1.1

その他

789

△41.7

675,805

△0.9

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

 

② 受注実績

 当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。

③ 販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

内視鏡

636,144

8.4

治療機器

360,658

6.9

その他

530

△70.6

997,332

7.7

(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 

(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

 2025年3月期は、能登半島地震に端を発したサプライチェーンの混乱や、中国における厳しい事業環境など相次ぐ、さまざまな課題に直面した1年でした。このような状況にありながらも、年間を通じて消化器内視鏡システム「EVIS X1」の販売が好調な北米が牽引し、実績は堅調に推移しました。売上高は、為替の影響を除くと、前期比3.4%の増収となりました。調整後営業利益率は、増収による売上利益の増加に加え、前期に売上原価で引当計上していた費用がなくなったことなどにより、18.9%となりました。今後も、持続的な売上成長を図るとともに、収益性のさらなる改善に取り組みます。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況

(i) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・インフローが堅調であった一方で、自己株式の取得による支出、社債の償還および長期借入金の返済による支出により、当連結会計年度末時点で保有する手元資金は2,525億32百万円(前連結会計年度末より884億1百万円減少)となりました。この手元資金規模は、安定した事業運営および財務基盤の確保に十分な水準であると認識しています。

 

(ⅱ) 財務政策

 当社グループは、適切な財務レバレッジのコントロールによる、財務健全性の維持と資本効率性の向上の両立を、財務政策の基本方針としています。この基本方針のもと、有利子負債/EBITDA倍率や自己資本比率等の指標を意識し、財務健全性を維持する財務政策を行っています。加えて、国内および海外の資本市場での公募社債の発行等、資金調達手法の多様化により資金調達基盤を強化し、資金調達コストの低減にも努めています。

 当社は、格付投資情報センター、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン、およびムーディーズ・ジャパンより信用格付けを取得しており、2025年3月31日現在における状況は、次のとおりです。

 

格付投資情報センター:A+(長期、見通し安定的)、a-1(短期)

S&Pグローバル・レーティング・ジャパン:BBB+(長期、見通し安定的)

ムーディーズ・ジャパン:Baa1(長期、見通し安定的)

 

(ⅲ) 資金需要

 当社グループの運転資金需要は主に、当社グループの製品を製造するための材料および部品の購入費、製造費のほか、人件費や広告・販売促進費等の営業費用です。また、当社グループの投資資金需要は主に、研究開発支出や設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な投資への資金需要に対しても、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、積極的に対応していきます。

 

(ⅳ) 資金調達

 当社グループの運転資金および投資資金は、手元資金を充当していますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行による資金調達を実施しています。これらの借入金および社債については、営業活動によるキャッシュ・フローで十分に完済できると考えています。また、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持していることに加えて、(ⅱ) 財務政策に記載の通り、格付投資情報センターの信用格付けはA+、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンはBBB+およびムーディーズ・ジャパンはBaa1となっていることから、安定的かつ低コストで適時滞りなく資金調達が可能と考えています。さらに、主要通貨(円・米ドル・ユーロ・ポンド)によるグローバルコミットメントラインを設定しており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しています。財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、今後も資金需要に応じて適切な資金調達を実施していきます。

 

(ⅴ) 資金配分

 当社グループの持続的な成長を実現させるため、資金は、成長ドライバーへの投資に優先的に配分していく方針であり、収益性の高い既存事業への投資や成長機会への戦略的な投資を実施していきます。また、事業成長等への投資を優先しつつ、株主価値を考慮した積極的な株主還元も実施していきます。配当については、安定的かつ段階的に増配し、自己株式の取得については、投資機会と資金状況に応じて機動的に実施する方針です。安定した事業運営に十分な手元資金を確保しながら、成長投資や株主還元にも適切に資金配分をしていきます。

 

③ 重要性がある会計方針および見積り

 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りにつきましては、合理的な基準に基づいて実施しています。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。