E02281 Japan GAAP
前期
2,814.2億 円
前期比
107.1%
株価
995 (03/28)
発行済株式数
246,000,000
EPS(実績)
88.76 円
PER(実績)
11.21 倍
前期
644.2万 円
前期比
110.8%
平均年齢(勤続年数)
43.4歳(18.8年)
従業員数
762人(連結:12,256人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、その子会社85社及び関連会社3社で構成され、主として時計事業、工作機械事業、デバイス事業、電子機器他事業の分野において生産及び販売活動を営んでおります。
事業区分ごとの生産及び販売を担当する主な会社は次のとおりであります。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
上記のように、時計事業は主にシチズン時計㈱とその子会社で生産しております。CITIZENブランド腕時計の販売はシチズン時計㈱及びその子会社で行っております。
工作機械事業は、主にシチズンマシナリー㈱及びその子会社で生産、販売を行っております。
デバイス事業は、主にシチズンファインデバイス㈱、シチズン電子㈱、及びその子会社で生産、販売を行っております。
電子機器他事業は、主にシチズン・システムズ㈱及びその子会社等で生産、販売を行っております。
以上の当社グループについて図示すると次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結累計期間における国内経済は、物価上昇の影響等を受けながらも、経済活動の正常化に伴い個人消費は引き続き緩やかな持ち直しの動きが見られました。また、北米および欧州市場では、地政学的な要因による情勢不安ならびに資源価格高騰によるインフレなど不確実性の高い状況で推移し景気後退懸念が高まりましたが、個人消費は堅調さを保ちました。アジア市場のうち中国はゼロコロナ政策からの転換が図られたものの停滞感の強い展開となったほか、その他のアジア地域も急激な物価上昇の影響を受け、経済回復は弱いものに留まりました。
このような状況のもと、当連結累計期間の連結経営成績は、主力の時計事業と工作機械事業を中心に伸長し、売上高は3,013億円(前年同期比7.1%増)、営業利益は237億円(前年同期比6.4%増)と増収増益となりました。また、経常利益は290億円(前年同期比6.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益については218億円(前年同期比1.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(時計事業)
ウオッチ販売のうち、“CITIZEN”ブランドの国内市場は、物価上昇に伴う節約志向の高まりも見られましたが、『The CITIZEN』をはじめとしたプレミアムブランドや、『CITIZEN ATTESA』エコ・ドライブGPS衛星電波時計、ブランド誕生35周年記念限定モデルなどが順調に推移し、増収となりました。
海外市場のうち北米市場は宝飾チェーンや百貨店などの主要流通が好調さを保ったほか、トラベル需要の回復を受けクルーズ船向けの販売も増加するなど、継続的に売り上げを伸ばしました。欧州市場も激しい物価高に見舞われる中、イギリスやドイツなどが堅調に推移し、増収となりました。アジア市場は、東南アジア、インドなどが上向きつつある一方で、中国においてロックダウンに伴う移動制限の影響を大きく受けたことにより減収となりました。
“BULOVA”ブランドは、主力の北米市場において百貨店向けの販売が堅調に推移したほか、オンライン向け販売やトラベル流通向け販売の伸長も寄与し、増収となりました。
ムーブメント販売は、中国市場の落ち込み等により機械式ムーブメントの需要が減少したほか、アナログクオーツムーブメントは欧米市場での景気後退を懸念した慎重な動きとなり、減収となりました。
なお、腕時計の生産規模は、前連結会計年度比23.9%増加し、約1,546億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、時計事業全体では、世界的な物価上昇に伴う消費マインドの低下が懸念されながらも、効果的な製品投入や取扱店舗の拡大に努めたことにより海外市場が好調に推移したほか、円安の進行も寄与し、売上高は1,500億円(前年同期比14.4%増)と増収となりました。営業利益においては、売上高の上昇と継続的な収益性改善に向けた取り組みにより、166億円(前年同期比61.4%増)と増益となりました。
(工作機械事業)
半導体をはじめとした部品不足の影響が長期化する中、国内市場は自動車メーカー各社の減産の影響を受け自動車関連が軟調だったものの、建機、住宅設備関連が底堅く推移し、増収となりました。海外市場のうち中国市場は、度重なるロックダウンの実施とその後のゼロコロナ政策撤廃の影響による混乱を受け伸び悩みましたが、欧州および米州市場は景気の先行き不透明感が高まりながらも引き続き医療関連等が堅調に推移し、増収となりました。
なお、工作機械の生産規模は、前連結会計年度比0.9%増加し、約897億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、工作機械事業全体では、売上高は861億円(前年同期比6.4%増)と増収となりました。営業利益においては原材料価格や輸送費などの上昇に伴い、122億円(前年同期比3.1%減)と減益となりました。
(デバイス事業)
精密部品のうち、自動車部品は半導体不足の影響による自動車メーカーの減産の影響を受け減収となりました。水晶デバイスは継続していた旺盛な需要に一服感が見られました。小型モーターは医療関連や半導体関連など幅広い分野の需要拡大を背景に堅調に推移し増収となりましたが、精密部品全体では減収となりました。
オプトデバイスのうちチップLEDは、ゲーム機向け等が底堅く推移した一方、中国市場におけるロックダウン実施に伴う混乱や半導体等の部材不足の影響により車載向けや照明向けLEDが大きく落ち込み、減収となりました。
なお、オプトデバイスの生産規模は、前連結会計年度比28.1%減少し、約108億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、デバイス事業全体では、売上高は447億円(前年同期比10.6%減)、営業損失は8億円(前年同期は28億円の営業利益)と減収減益となりました。
(電子機器他事業)
情報機器は、半導体不足による部材調達や物流の遅延等の影響を受けましたが、フォトプリンターが一定数量を出荷できたことに加えPOSプリンターやバーコードプリンターも需要が回復し、増収となりました。健康機器は、新型コロナウイルスの感染症の収束に伴う各市場における体温計需要の落ち込みや、血圧計の値上げ実施後の販売減少等が響き、減収となりました。
以上の結果、電子機器他事業全体では、売上高は204億円(前年同期比6.0%増)、営業利益は11億円(前年同期比2.4%減)と増収減益となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ49億円減少し、3,899億円となりました。資産の内、流動資産は、棚卸資産が114億円増加した一方、自己株式取得等により現金及び預金が284億円減少したこと等により、104億円の減少となりました。固定資産につきましては、有形固定資産のリース資産(純額)が41億円増加したこと等により、55億円の増加となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ9億円増加し、1,572億円となりました。これは、固定負債のリース債務が38億円増加した一方で、退職給付に係る負債が37億円、短期借入金が9億円減少したこと等によるものです。また、固定負債の社債から流動負債の一年内償還予定の社債に100億円振り替えております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ58億円減少し、2,327億円となりました。円安により為替換算調整勘定が90億円増加しております。また、利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益を218億円計上し、配当金の支払と自己株式消却等により172億円減少し、合計で45億円増加しております。一方、自己株式は203億円増加しております。これは、306億円の取得と101億円の消却を実施したこと等によるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ320億円減少し、当連結会計年度末には、792億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比べ181億円減少し165億円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が282億円、減価償却費112億円、減損損失38億円等の増加要因がありました一方、棚卸資産の増加額76億円、退職給付に係る負債の減少額34億円、法人税等の支払額90億円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比べ39億円支出が増加し、135億円の支出となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入18億円、有形固定資産の売却による収入18億円等の増加要因がありました一方、有形固定資産の取得による支出150億円、無形固定資産の取得による支出14億円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比べ201億円支出が増加し、400億円の支出となりました。これは主に長期借入金の返済による支出37億円、自己株式の取得による支出306億円、配当金の支払額70億円等の減少要因がありました一方、長期借入による収入10億円の増加要因によるものであります。
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことをしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績については、セグメント業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、経営者は見積り及び判断・評価につきまして、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における経営成績等に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び部品等の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。自己資金につきましてはグループ会社間の資金効率を上げるためキャッシュマネージメントシステムを導入しております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入と債券市場からの社債等による調達を基本としております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は70,960百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は79,201百万円となっております。
不測の事態に備えて、金融機関との良好な関係の維持に努めるとともに、複数の金融機関との間で合計20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、2030年に向けた長期ビジョンとして「豊かな未来(とき)をつなぐ Crafting a new tomorrow」を掲げています。長期的な視点から、当社グループのありたい姿を描き、そこからバックキャストすることで我々のマテリアリティを再設定し、「中期経営計画2024」を策定しています。
2022年度から2024年度までの「中期経営計画2024」においては、引き続き時計事業と工作機械事業を、当社グループの成長を牽引するコア事業と位置づけ、リソースを戦略的に投資していくことで、更なる成長を目指していきます。
2022年度業績は、主力の時計事業と工作機械事業が好調に推移し、コロナ影響を受け大きく落ち込んだ2020年度から着実に回復を遂げ、ROEは収益性の向上や自己資本の圧縮により、9.6%と目標指標を上回ることができました。今後も売上高水準を引き上げながら更なる収益性の改善を進め、売上高3,200億円、営業利益率8.0%、そして継続的にROE8.0%以上の達成を目指します。
中期経営計画2024