売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02378 Japan GAAP

売上高

5,704.6億 円

前期

4,846.0億 円

前期比

117.7%

時価総額

1.27兆 円

株価

6,709 (04/26)

発行済株式数

189,870,559

EPS(実績)

185.77 円

PER(実績)

36.11 倍

平均給与

898.4万 円

前期

864.1万 円

前期比

104.0%

平均年齢(勤続年数)

41.3歳(13.8年)

従業員数

989人(連結:8,927人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社及び子会社65社で構成され、スポーツシューズ類、スポーツウエア類、スポーツ用具類などスポーツ用品等の製造販売を主な事業内容としております。

 

《日本地域》

 子会社であるアシックスジャパン㈱を通じて、当社ブランド製品を販売しております。また、当社ブランド製品を取引先より直接購入し、当社にロイヤルティを支払っております。

 子会社であるアシックス商事㈱は、各地域の子会社へ当社ブランド製品の仲介貿易を行っており、また、自社企画・開発製品の販売を行っております。加えて、一部の当社ブランド製品の販売に伴い、当社にロイヤルティを支払っております。

 

《北米地域》

 子会社であるアシックスアメリカコーポレーションなどを通じて、当社ブランド製品を販売しております。また、当社ブランド製品を取引先より直接購入し、当社にロイヤルティを支払っております。

 

《欧州地域》

 子会社であるアシックスヨーロッパB.V.などを通じて、当社ブランド製品を販売しております。また、当社ブランド製品を取引先より直接購入し、当社にロイヤルティを支払っております。

 

《中華圏地域》

 子会社である亞瑟士(中国)商貿有限公司などを通じて、当社ブランド製品を販売しております。また、当社ブランド製品を取引先より直接購入し、当社にロイヤルティを支払っております。

 

《オセアニア地域》

 子会社であるアシックスオセアニアPTY.LTD.を通じて、当社ブランド製品を販売しております。また、当社ブランド製品を取引先より直接購入し、当社にロイヤルティを支払っております。

 

《東南・南アジア地域》

 子会社であるアシックスアジアPTE.LTD.などを通じて、当社ブランド製品を販売しております。また、当社ブランド製品を取引先より直接購入し、当社にロイヤルティを支払っております。

 

《その他地域》

 子会社であるアシックスブラジルリミターダなどを通じて、当社ブランド製品を販売しております。また、当社ブランド製品を取引先より直接購入し、当社にロイヤルティを支払っております。

 

 なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

 

 事業の系統図の概略は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

 

 

※特定子会社

(注) 当社は、販売子会社から、ロイヤルティを受取っております。またアシックス商事㈱から、一部の当社ブランド製品の販売に伴い、ロイヤルティを受取っております。

 

24/03/25

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 財政状態及び経営成績等の状況

 

当連結会計年度の振り返り

 

2024年1月1日に能登半島地震が発生しました。被災された方々に対して心よりお見舞い申し上げます。

 

さて、当連結会計年度である2023年は、前年までの世界的なコロナ禍がほぼ終焉しつつあり、正常な経済活動への本格的な回帰が見え始めたところで幕を開けました。アシックスにとっては、コロナ禍で世界的に見られた人々の健康意識の高まりに加え、年初からスポーツイベントの本格的な開催再開が見込まれる中で、中期経営計画2023(以下、「中計2023」)の最終年度を迎えました。

 

2023年における業績面を総括すると、中計2023で掲げた定量的な経営指標を期中に前倒しで達成、さらには売上高及び全ての段階利益で過去最高を記録しました。アシックスは完全に成長軌道に乗り、また企業としてのステージが一つ上がったと自負しております。こうした点は、資本市場からも評価を頂いていると考えており、8月には株価が上場来高値を更新するとともに、時価総額も節目となる1兆円を初めて突破しました。定性面においても、アシックスはサステナビリティ、デジタル、IRといった重要な分野で複数の著名な賞を受賞。中計2023を締め括るに相応しい年であったと考えております。

 

もう少し長い目で振り返りたいと思います。2019年に、アシックスはそれまでの生産部門と販売部門が独立していた経営管理体制を改め、5つのカテゴリーのトップが製品の企画から生産、販売まで全ての責任を担うカテゴリー経営体制に移行しました。各カテゴリーのトップが収益や在庫の責任を持ち、本社と販売会社の役割を明確にすることで両者の距離が一気に縮まり、またカテゴリーごとに「垂直統合」されたバリューチェーン全体での収益性重視へとマインドセットが大きく変わりました。その他にも主に単年度の計画策定と進捗確認のためのグローバル共通の経営管理サイクル(アシックス社内で「マニフェストⅠ・Ⅱ」と呼んでいます」)、販管費コントロールのために費目ごとにグローバル共通で単独の執行役員を責任者として指名するコストオーナー制なども導入するとともに、それら経営管理の仕組を支える ITシステムの整備を進めました。2023年は、こうした2019年から着手した一連の経営改革が浸透・進捗し、定量面・定性面での大きな成果に繋がった節目の年であったとも捉えております。

 

アシックスは、日本発のコンシューマー関連のブランドとして類を見ない世界水準の企業体です。特にパフォーマンスランニングと呼んでいるランニングシューズでは、特に欧州やオセアニアで大きなプレゼンスを獲得してきました。中華圏においても「走る・運動するならアシックス」とのブランドイメージの浸透が進んでいます。他方で、北米や日本では相対的に欧州などにおけるほどのブランドポジションを確立できていないと見ております。2023年は、これを克服していくための打ち手を講じた年でもありました。例えば、北米においては多数の直営店の閉店を完了するとともに、低価格帯商品の大幅な削減に踏み切りました。同時に、比較的高価格帯の商品販売チャネルとなるランニング専門店への取組みを強化しており、当該チャネルでのシェアもしっかりと伸びてきております。日本においては、アシックスが長年取り組んできたものの低収益であったスクールビジネスからの撤退を決めました。一方で、直近の年末年始の著名な駅伝大会などでは、機能面で進化したMETASPEEDシリーズの躍進が見られました。日本におけるアシックスブランド復活へ着実に前進しているものと考えております。

 

また、2023年はパフォーマンスランニングのみならず、アシックスブランドのコアパフォーマンススポーツ(テニスやバスケットボールなどランニング以外の競技用シューズ)やスポーツスタイル(日常使い用のカジュアルシューズ)への波及効果が如実に表れた年でもありました。いずれのカテゴリーも前年比で大きく成長したことに加え、何といっても数年前まで赤字であったカテゴリー利益がそれぞれ初めて100億円を突破したことは一つの大きなマイルストーンを達成したものと捉えています。アシックスブランドを核として、パフォーマンスランニングのみならずコアパフォーマンススポーツ、スポーツスタイルも一体となって成長していく構図は今後より一層明確になっていくものと考えております。

 

地域軸で見た際の今後の成長ドライバーである東南・南アジアや南米といった市場でもアシックスブランドがしっかりと浸透し始めております。全体の売上高に占める割合はまだまだ小さいですが、成長速度は目を見張るものがあります。今後が非常に楽しみな地域です。

 

オニツカタイガーも、稀有な日本発のラグジュアリーライフスタイルブランドとして躍進しております。既にブランドが確立している中華圏、東南・南アジアで着実に成長したうえ、2023年はコロナ禍直前の2019年以来となるインバウンド需要が完全回復を見たこともあり、日本では前年からは倍増となる成長となりました。オニツカタイガーも初めてカテゴリー利益が100億円を超過しました。

 

アシックスはランナーに向けてシューズ販売のみならず様々な関連サービスをシームレスに提供できるランニングエコシステムの構築を通じて、ランナーのためのプラットフォーマーになることを見据えています。2022年までに日本、北米、欧州、オセアニアにおいてそれぞれレース登録プラットフォーム運営会社を買収し、2023年には年間で延べ1,000万人以上のランナーとのタッチポイントを獲得できるようになりました。また、アシックス独自の会員サービスであるOneASICSのメンバーをグローバルで945万人(2023年末時点)有しておりますが、今後レース登録サービスとOneASICS を有機的に繋いでいくことでランニングエコシステムの基盤をさらに拡大できると考えています。なお、アシックスは2023年12月に初となる個人投資家向け社債である「OneASICS債」を150億円で起債しましたが、今後も事業活動のあらゆる側面でメンバーシップを拡大していきます。

 

2023年の振り返りの最後に株主還元について触れます。アシックスは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題のひとつと考えております。前述の通り、売上高や各段階利益で過去最高を更新し、また中計2023の各種目標を達成したことから、期末配当を従前予想の35円から40円に増配することにより、2023年の年間配当は65円となります。こちらも過去最高となる見通しです。加えて、アシックスのビジネスモデルに照らした資本水準の最適化に向けて総額150億円の自己株式取得枠を設定しました。これらにより、中計2023にて目標としていた「中期経営計画期間内の連結総還元性向50%以上」を達成する見通しです。

 

2024年以降に向けて

 

アシックスは2024年からの3年間を対象期間とした中期経営計画2026(以下、「中計2026」)を2023年11月に発表しました。2019年以来の経営改革の方向性と成果を踏まえ、2024年1月に社長COOに就任した富永満之のリーダシップのもと「グローバル×デジタル」をさらに推進し、より一体感のあるグループとして有機的なカテゴリー経営体制を持つ「Global Integrated Enterprise」へ変革し、成長の速度を引き上げていきます。詳細については、当社ホームページをご覧ください。

(https://assets.asics.com/system/media_libraries/6280/file.pdf?_ga=2.172443940.606011848.1707095790-539662461.1680839356)

 

アシックスは2020年に、10年後の2030年を見据えた長期ビジョンである「VISION2030」を掲げました。「誰もが一生涯、運動・スポーツを通じて心も身体も満たされるライフスタイルを創造する」ことを目指す姿として掲げています。このビジョンの実現に向けて、従来からの事業の中心である①シューズなどのプロダクト(製品)に加えて、②スポーツをする場(ファシリティ)やコミュニティを創出しながら、③データを活用した分析(アナリシス)・診断(ダイアグノシス)をもとに、より安全に運動効果を高め人々の健康に資するプログラムやサービスの提供に力を入れていきます。これら3つの事業ドメインが有機的に結合し拡大していくことでアシックス自身が社会に価値を提供、その結果としてアシックスが成長していくというサイクルを実現していけると考えています。また、ツールとしてのデジタル、1人1人に合ったプロダクト・サービスを開発するパーソナル、人々がスポーツと関わり健康で居続けるために必要な社会環境課題解決に関するサステイナブルという3つのテーマに対する戦略的かつ継続的な取組みを、中計2026はもとより、日常的な経営管理や事業推進の中でも仕組化していきます。

 

本文の締め括りとして明るい話題を2つお伝えさせてください。1月に開催された大阪国際女子マラソンで、アシックスとアドバイザリー契約を締結している前田穂南選手がMETASPEEDシリーズを着用し19年ぶりに日本記録を更新しました。更に、同じく1月にチェコで開催された世界室内陸上ツアー2024ゴールド大会で、アシックスがアドバイザリー契約を締結している桐生祥秀選手がMETASPEEDシリーズを着用、男子60メートル走で日本新記録を樹立しました。前田選手、桐生選手、おめでとうございます!

商品の研究開発段階でトップアスリートから頂けるフィードバックはアシックス独自の無形資産でもあります。脚をとめることなく不断の努力を通じてアシックスファミリーであるアスリートの方々を支えていきたいと思います。

 

今後の更なるアシックスの飛躍に是非ご期待ください。

以上

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。

① 財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ39,049百万円増加し、464,116百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前期末に比べ4,978百万円増加し、257,315百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前期末に比べ34,071百万円増加し、206,801百万円となりました。

 

② 経営成績

 当連結会計年度における売上高は570,463百万円と前期比17.7%の増収、営業利益は54,215百万円と前期比59.4%の増益、経常利益は50,670百万円と前期比63.9%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は35,272百万円と前期比77.4%の大幅増益となりました。

 

 報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

セグメント利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

日本地域

123,402

135,849

12,447

6,046

12,796

6,750

北米地域

105,331

114,617

9,286

26

1,440

1,414

欧州地域

130,099

147,982

17,882

11,254

14,189

2,934

中華圏地域

62,411

77,615

15,204

10,067

13,107

3,039

オセアニア地域

33,292

38,460

5,167

5,211

6,241

1,029

東南・南アジア地域

18,448

27,122

8,674

2,984

4,971

1,986

その他地域

43,630

49,843

6,212

3,646

4,400

753

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは90,095百万円の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは4,640百万円の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは40,252百万円の支出となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて47,497百万円増加し、113,301百万円となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

 当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、報告セグメント別の売上高につきましては、「第2 「事業の状況」 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、記載内容のうち将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 財政状態

 当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産464,116百万円(前連結会計年度末比9.2%増)、負債合計257,315百万円(前連結会計年度末比2.0%増)、純資産合計206,801百万円(前連結会計年度末比19.7%増)でした。当連結会計年度末の現金及び預金は前年比で増加しておりますが、2024年3月の社債償還及び今後の自己株式の取得などに充当予定です。また、為替影響などにより総資産が前年比で増加したものの、好調な業績による商品販売や在庫水準適性化を中心とする棚卸資産圧縮などの運転資本の改善に加え、利益剰余金の増加もあり、自己資本比率は前連結会計年度と比べ44.1%と4.0ppt上昇いたしました。資本水準の最適化に向けて、総額150億円を上限とする自己株式の取得を実施するなど、株主の皆様に還元していきます。

a. 流動資産

 現金及び預金の増加などにより、323,522百万円(前連結会計年度末比9.3%増)となりました。

b. 固定資産

 ソフトウエアの増加などにより、140,593百万円(前連結会計年度末比9.0%増)となりました。

c. 流動負債

 短期借入金の減少などにより、143,648百万円(前連結会計年度末比4.6%減)となりました。

d. 固定負債

 社債発行による増加などにより、113,667百万円(前連結会計年度末比11.8%増)となりました。

e. 純資産

 利益剰余金の増加などにより、206,801百万円(前連結会計年度末比19.7%増)となりました。

 

② 経営成績

 当連結会計年度における売上高は570,463百万円と前期比17.7%の増収、営業利益は54,215百万円と前期比59.4%の増益、経常利益は50,670百万円と前期比63.9%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は35,272百万円と前期比77.4%の大幅増益となりました。この結果、売上高をはじめ各段階利益も過去最高を記録し、「中期経営計画2023」で掲げた目標を大幅達成いたしました。

a. 売上高

 為替影響に加え、全てのカテゴリーで好調に推移したこともあり、570,463百万円と前期比17.7%の増収となりました。

b. 売上総利益

 上記増収の影響により、296,896百万円と前期比23.3%の増益となりました。

c. 営業利益

 上記増収の影響により、54,215百万円と前期比59.4%の増益となりました。

d. 経常利益

 上記増収増益の影響により、50,670百万円と前期比63.9%の増益となりました。

e. 親会社株主に帰属する当期純利益

 上記増収増益の影響に加え、連結子会社であったHaglöfs AB株式の売却に伴う関係会社株式売却益の計上などにより、35,272百万円と前期比77.4%の増益となりました。

 

 

 カテゴリー別の業績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

(カテゴリー)

売上高

カテゴリー利益

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

(△は減)

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

(△は減)

パフォーマンスランニング

258,272

285,929

27,656

49,181

50,018

836

コアパフォーマンススポーツ

54,155

72,154

17,999

9,489

12,810

3,320

スポーツスタイル

43,466

59,257

15,790

6,425

12,047

5,622

アパレル・エクィップメント

35,278

36,185

906

△1,645

1,001

2,647

オニツカタイガー

43,011

60,304

17,293

7,399

15,360

7,961

 

a. パフォーマンスランニング

 売上高は、全ての地域で好調に推移し、285,929百万円と前期比10.7%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、50,018百万円と前期比1.7%の増益となりました。

 世界的なスポーツイベントなどで勝てる製品を創出し、製品訴求力を強化することで、高付加価値製品の販売に注力いたします。加えて、ランニングエコシステムを活用し、あらゆる層のランナーとの接点を拡大することで、マーケットシェアNo.1を目指し、シェア拡大に向けた攻勢を継続してまいります。

b. コアパフォーマンススポーツ

 売上高は、全ての地域で好調に推移し、72,154百万円と前期比33.2%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、12,810百万円と前期比35.0%の増益となりました。

 テニスをランニングに次ぐ収益の柱とするため、トップアスリートとの共創による製品開発やサービス提供通じ、更なる売上拡大を図ります。また、現在日本地域で好調なワーキング事業を、グローバルで展開することで成長を加速させてまいります。

c. スポーツスタイル

 売上高は、全ての地域で好調に推移し、59,257百万円と前期比36.3%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、12,047百万円と前期比87.5%の増益となりました。

 スポーツスタイルの提供価値や独自性をより良く訴求するためのグローバルでのマーケティング活動により、ブランド認知力及び価値向上に努めます。また、ファッション感度の高いお客様に強い販売アカウントとの連携を強化し、高付加価値製品への販売訴求を実施することで、売上成長と営業利益率向上を図ってまいります。

d. アパレル・エクィップメント

 売上高は、中華圏地域やオセアニア地域での好調により、36,185百万円と前期比2.6%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、粗利益率の改善などにより、1,001百万円と黒字転換いたしました。

 引き続き、グローバルでランニング・トレーニングへ経営資源を集中させ、機能性を重視した独自性のある商品開発を行うことで、黒字の定着化を目指してまいります。

e. オニツカタイガー

 売上高は、全ての地域で好調に推移し、60,304百万円と前期比40.2%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、15,360百万円と前期比107.6%の大幅増益となりました。

 2024年はオニツカタイガーブランド創立75周年を迎えることから、記念イベント開催によるブランド認知度や価値向上に努めます。また、プレミアムロケーションへの直営店舗出店や従来未展開であった地域へ対しグローバルEコマースを通じた製品販売を開始するなどDTCビジネス強化することで更なる事業拡大を目指します。

 

 

報告セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

a. 日本地域

 売上高は、オニツカタイガーやコアパフォーマンススポーツが好調だったことにより、135,849百万円と前期比10.1%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、12,796百万円と前期比111.6%の大幅増益となりました。

 パフォーマンスランニングやテニス、ワーキングシューズ市場などの注力した製品カテゴリーでマーケットシェアNo.1に向けた取組みを実施することで、ブランド力向上を目指します。また、DTC比率の更なる拡大やデジタルを活用した業務改革や効率化により収益性を高めることで、健全な利益を持続的に創出するできるよう取り組んでまいります。

b. 北米地域

 売上高は、パフォーマンスランニングやコアパフォーマンススポーツが好調だったことにより、114,617百万円と前期比8.8%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、1,440百万円の大幅増益となりました。

 当社の強みであるパフォーマンスランニングやテニスでのビジネス拡充に注力し、専門店でのシェアNo.1を目指します。また、OneASICSなどの活用により適切な販売チャネル戦略を実行することで収益性向上を目指してまいります。

c. 欧州地域

 売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、147,982百万円と前期比13.7%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、14,189百万円と前期比26.1%の増益となりました。

 スポーツイベントや国際大会などを活用したブランド訴求により、更なるブランド力向上に取組みます。また、OneASICSやレース登録会社のnjukoを軸にランナーとの接点を拡大し、ロイヤルカスタマーを増加することで、収益向上を目指してまいります。

d. 中華圏地域

 売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、77,615百万円と前期比24.4%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、13,107百万円と前期比30.2%の増益となりました。

 今後はパフォーマンスランニングを軸に、スポーツを推進する政府方針を受け、コアパフォーマンススポーツを更に強化していくとともに、中国版OneASICSの展開やオムニチャネル戦略の推進などのデジタルの活用による新規顧客獲得と更なる収益性向上を目指します。また、中国本部の機能を活用した、現地ニーズに適合した製品の企画や開発を継続的に強化してまいります。

e. オセアニア地域

 売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、38,460百万円と前期比15.5%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、6,241百万円と前期比19.8%の増益となりました。

 オセアニア地域におけるパフォーマンスランニング市場No.1の地位を圧倒的なものとするため、DTC比率の向上やレース登録サイトRegister Nowの活用により更なる収益性向上を図ります。また、サッカーなどの新規市場参入への取組みにより、持続的な成長を目指します。

f. 東南・南アジア地域

 売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、27,122百万円と前期比47.0%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、4,971百万円と前期比66.6%の増益となりました。

 これらの地域ではパフォーマンスランニングやオニツカタイガーに注力し、東南アジア地域においては直営店の拡大やオムニチャネルを推進し、更なる収益性向上を目指します。また、インドにおいては現地生産の推進やスタートアップとの協業などにより、DTC比率を上昇させることで、成長を加速させます。

 

g. その他地域

 売上高は、パフォーマンスランニングやオニツカタイガーが好調だったことにより、49,843百万円と前期比14.2%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、4,400百万円と前期比20.7%の増益となりました。

 南米ではブラジルでの継続的な成長に加え、他の南米諸国の成長を加速させ、事業規模を拡大してまいります。また、ECチャネルの拡大や現地生産を活用し、現地ニーズへの迅速な対応を実施することで売上成長と営業利益率の向上を目指します。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローにおきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、113,301百万円と前期比47,497百万円増加しました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は90,095百万円となり、前期比111,523百万円の収入増加となりました。

 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益50,572百万円、棚卸資産の減少額17,372百万円、売上債権の減少額8,476百万円、減価償却費16,504百万円、支出の主な内訳は、法人税等の支払額12,717百万円です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4,640百万円となり、前期比9,841百万円の支出減少となりました。

 収入の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入7,956百万円、支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出10,341百万円、有形固定資産の取得による支出5,185百万円です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は40,252百万円となり、前期比42,567百万円の支出増加となりました。

 収入の主な内訳は、社債の発行による収入24,872百万円であり、支出の主な内訳は、短期借入金の純減額22,000百万円、リース債務の返済による支出18,543百万円、社債の償還による支出15,000百万円、配当金の支払額8,963百万円です。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンド

 

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

自己資本比率(%)

48.0

37.9

42.2

40.1

44.1

時価ベースの自己資本比率(%)

105.0

108.8

135.0

125.6

174.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

5.4

6.4

2.2

△6.5

1.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ

11.5

11.6

28.7

△8.6

18.9

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金運営は、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、当社グループは、事業活動を行うための資金の調達に際し、低コストで安定的な資金の確保を重視しております。当連結会計年度末の有利子負債は132,118百万円であります。

資金効率の向上と金融費用の削減、並びに財務面のグループガバナンス強化を目的として、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(グローバルCMS)を2016年3月より金融機関と構築しており、グローバルCMS参加グループ会社を一体とみなして資金の預入及び借入を行っております。これに伴い、従来当社から行っておりました一部子会社への貸付けを解消いたしました。当該グローバルCMSにおいて、預入金及び借入金の相殺表示を行うためのすべての要件を満たしているため、相殺表示を行っております。なお、当連結会計年度末の相殺金額は45,084百万円であります。

 

(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

当社グループは2023年11月に策定した「中期経営計画2026」に基づき、「VISION2030」実現に向けて、「グローバル×デジタル」をさらに推進することで持続的成長を目指し、「連結営業利益800億円以上」「連結営業利益率12.0%前後」「ROA10.0%前後」を2026年12月期の数値目標に設定しております。

当連結会計年度は、パフォーマンスランニングの売上高が全地域で増収となったことや、コアパフォーマンススポーツ、スポーツスタイル、オニツカタイガーの成長が著しく、全てのカテゴリーで増収増益となりました。また、販売価格適性化やDTC比率の良化などによる粗利益率改善により、売上高、各段階利益は過去最高額を記録しました。その結果、営業利益は54,215百万円(前期比59.4%増)、営業利益率は9.5%(前期比2.5ppt改善)、ROAは7.9%(前期比2.7ppt改善)と、売上高、営業利益率、ROAのいずれも「中期経営計画2023」で掲げた目標を大幅に達成いたしました。

「中期経営計画2026」ではグローバルでの収益を伴った売上成長を実現するために、収益基盤であるパフォーマンスランニングの更なる成長に加え、次なる収益の柱として、コアパフォーマンスやスポーツスタイル、オニツカタイガーの成長を加速させます。また、地域成長戦略としては、欧州地域や中華圏地域などの既存の収益基盤である地域において、営業利益の持続的な成長を目指すとともに、インドを含む東南・南アジア地域の高成長地域において、売上成長と営業利益率の向上を目指します。また、各コストにオーナー制を導入し、チェック並びにレビューを深化し、成長のための規律ある販管費コントロールを実行することで業界No.1の収益性実現に向け取り組んでまいります。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。