E02378 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間の主要な取組み
2024年は、世界的スポーツイベントが開催され、スポーツ市場が盛り上がりを見せる年となります。アシックスでは、本年が中期経営計画2026の初年度となり、第1四半期としては過去最高の営業利益と営業利益率を達成するなど幸先の良いスタートとなりました。3月に開催された東京マラソンではシェアを昨年からさらに上昇させ、39%となりました。アシックスの契約選手もMETASPEEDシリーズのシューズを着用して大活躍。多くの選手が上位にランクインしました。おめでとうございます!オリンピック/パラリンピックでのMETASPEEDシリーズの躍進にも、ぜひご期待ください。
中期経営計画2026の方針は「Global Integrated Enterprise(GIE)への変革」です。GIEとは、本社と地域事業会社との更なる連携強化による、これまで以上に有機的なカテゴリー経営体制のことを指します。グローバルで最適なオペレーションを推進・実行することにより、現在の主要地域だけでなく今後大きく成長が見込まれる東南・南アジア、南米などの成長著しい地域でもマーケットシェアを拡大します。
経営の意思決定にも地域事業会社からの情報、意見がより迅速かつダイレクトに反映されるよう、1月から海外在勤の執行役員も参加する形で、英語での経営会議を開始しております。この会議では全社戦略について議論を深めるほか、海外在勤の執行役員からの各地域でのベストプラクティスの共有などを行っております。 また、年に2回、全ての地域事業会社のCEOが本社に集まる機会を設定し、サプライチェーン、デジタル、サステナビリティ、人財などについて対面で議論をします。ここでも各地域での取組みを横展開し、グローバルで最適な戦略を各地域で実行に移します。
人財・組織についても本社のある日本からグローバルを統括するスタイルに固執するのではなく、グローバル全体で見てそれぞれ最適な地域から全社をリードしていくことが重要だと考えています。イノベーションの観点では、4月に、米国・ボストンにASICS Creation Center LLC(ACC)を設立しました。競争が激化するスポーツ市場で今後も成長し続けるため、世界のスポーツトレンドの中心地の1つであり、市場規模やダイバーシティの観点でも先進的な米国が立地として最適と判断しました。ACCはグローバル商品の企画、デザイン、開発、及びイノベーション機能を担います。より長期視点かつ顧客志向の考え方でイノベーションの創出を目指しながら、商品企画段階でのカテゴリー間の連携をこれまで以上に強化していきます。
GIEへの変革に向けて更なる「グローバル×デジタル」の推進が必要と考えています。今後の成長に期待を寄せているインドにおいて、3月にアシックスとの協業アイデアを募集するピッチイベントを、スタートアップ企業への出資を行うグループ会社であるアシックス・ベンチャーズ株式会社とともに開催いたしました。現地のスタートアップ企業を対象に、同国におけるアシックスのランニング事業の拡大と未来の事業創造を後押しする協業パートナーを選定すべく、昨年10月から選考を進めてまいりました。50社を超える企業から応募をいただき、厳正なる審査を経て、ライブビデオコマースやライブ足型測定技術を有する「SaleAssist Innov8 Pvt Ltd.」を最優秀企業として選定しました。ASICS India Pvt. Ltd.との事業連携を開始し、インドのECサイト上での早期の実装を目指してまいります。
アシックスの会員プログラム「OneASICS」を軸に、お客様との直接的なタッチポイントが増加しております。1,000万人以上の、これまで蓄積された購買履歴やトレーニング実績、レース参加履歴などのデータを活用することで、今後提供するサービスを更に改良・拡充していく予定です。「OneASICS」によって運動・スポーツをする全ての人をサポートすることが、アシックスの理念である「Sound Mind, Sound Body」の推進だと考えています。直営店やECサイトだけでなく、あらゆる場面においてお客様とのタッチポイントを築いていく「OneASICS経営」を推進します。全社一丸となってこれを推進すべく、本年より従来の日米欧豪を中心とするプログラムの会員数に加え、中国・インドなどで展開するローカルプログラムの会員数を合計し「OneASICS会員」と定義し公表することにいたしました。
また、これまでランナーの皆様に向けたサービスを中心に展開してきましたが、ランニングに次ぐスポーツとしてテニスに注力する「T-Project」を立ち上げました。契約テニスプレーヤーと共に主要地域でのマーケットシェアNo.1と、アシックス全体のブランドイメージ向上を目指します。
第1四半期の業績については、全てのカテゴリー、地域、チャネルにおいて粗利益率が大きく伸長し、前年同期から+4.3pptの54.5%となりました。粗利益率はブランドの価値を表す指標と認識しており、大きな改善となったことは、中期経営計画2026における重点戦略である「ブランド体験価値向上」に向けて良い走り出しになったと捉えています。
今年度からサプライチェーントランスフォーメーション部を新設し、在庫最適化に向けた取組みを進めております。地域事業会社からの商品発注・販売計画を本社のカテゴリーを中心にレビューする会議を実施し、生産・販売計画・在庫の管理を強化するとともに、物流の効率化を目的としてパートナー企業との協業などにも取り組める分野だと考えております。また、7年をかけて導入したグローバル統一の基幹システムとデータをフル活用して、需要予測、生産計画、在庫管理の最適化、可視化などを進めております。これらの「オペレーショナルエクセレンス」により、今後更に粗利益率そして営業利益率の改善が見込めると考えております。具体的な取組みについては、皆様に今後ご報告するようにいたします。
1月には、アナリストや金融機関の皆様に向けて東南・南アジア視察を行いました。アシックスのビジネスの現場を直接ご覧いただき、理解を深めていただくことを目的に、工場・サプライチェーン拠点やストア訪問を実施いたしました。参加者からは「アシックスのシェア拡大のポテンシャル、オニツカタイガーのブランド力など成長市場における大きな躍動感を体感できた」「ストアスタッフの方のお話を直接聞いて、ブランドへの誇りを感じた」などのコメントをいただきました。ムンバイマラソンも体感いただき、インド市場の盛り上がりを肌で感じていただけたと考えております。引き続き、今年度も資本市場関係者とのコミュニケーションについて更に工夫をしてまいります。
2月9日に決定した総額150億円の自己株式取得枠設定について、3月22日に約150億円の自己株式取得を完了いたしました。これにより、中期経営計画2023の目標であった「2021年から2023年の期間を通じた総還元性向50%以上」を達成しました。
また、2024年6月30日を基準日とし、株式分割(普通株式1株につき4株)を実施することを決定しました。足許の株価上昇を背景に、本年3月の株主総会においても株主様から直接、株式分割に関するご意見をいただいておりました。新NISA制度の開始も念頭に、投資単位当たりの金額を引き下げることで今まで以上に個人投資家の皆様に選んでいただけるアシックスを目指します。合わせて、2024年の年間配当額を実質10円増配し、株主優待についても直営店とECサイトの割引率を揃えるなど、拡充を行ってまいります。
今後もステークホルダーの皆様のご期待に沿えるよう、「脚をとめるな。」を合言葉に、全社員一丸となって進んでまいります。アシックスの更なる成長にぜひご注目ください!
① 売上高
為替影響に加え、ほぼ全てのカテゴリーで好調に推移したこともあり、売上高は174,102百万円と前年同期比14.3%の増収となりました。
② 売上総利益
粗利益率の改善により、94,847百万円と前年同期比24.1%の増益となりました。
③ 営業利益
上記増収増益の影響により、33,812百万円と前年同期比52.9%の増益となりました。
④ 経常利益
上記増収増益の影響などにより、33,076百万円と前年同期比50.9%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する四半期純利益
上記増収増益の影響などにより、26,737百万円と前年同期比63.9%の増益となりました。
カテゴリー別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、当第1四半期連結累計期間よりカテゴリーの表示順を変更しております。
(単位:百万円) |
(カテゴリー) |
売上高 |
カテゴリー利益 |
||||
前第1四半期 連結累計期間 |
当第1四半期 連結累計期間 |
増減額 (△は減) |
前第1四半期 連結累計期間 |
当第1四半期 連結累計期間 |
増減額 (△は減) |
|
パフォーマンスランニング |
77,913 |
87,894 |
9,981 |
16,913 |
22,961 |
6,047 |
コアパフォーマンススポーツ |
22,741 |
24,884 |
2,143 |
5,779 |
6,402 |
623 |
アパレル・エクィップメント |
9,605 |
9,325 |
△280 |
601 |
1,036 |
435 |
スポーツスタイル |
15,487 |
23,493 |
8,006 |
3,760 |
7,082 |
3,321 |
オニツカタイガー |
12,124 |
18,024 |
5,899 |
3,026 |
6,454 |
3,427 |
① パフォーマンスランニング
売上高は、ほぼ全ての地域で好調に推移し、87,894百万円と前年同期比12.8%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や粗利益率の改善などにより、22,961百万円と前年同期比35.8%の増益となりました。
② コアパフォーマンススポーツ
売上高は、全ての地域で好調に推移し、24,884百万円と前年同期比9.4%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や粗利益率の改善などにより、6,402百万円と前年同期比10.8%の増益となりました。
③ アパレル・エクィップメント
売上高は、中華圏地域では好調だったものの、日本地域の戦略的な事業縮小の影響により、9,325百万円と前年同期比2.9%の減収となりました。カテゴリー利益につきましては、粗利益率の改善などにより、1,036百万円と前年同期比72.4%の増益となりました。
④ スポーツスタイル
売上高は、全ての地域で好調に推移し、23,493百万円と前年同期比51.7%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、7,082百万円と前年同期比88.3%の増益となりました。
⑤ オニツカタイガー
売上高は、全ての地域で好調に推移し、18,024百万円と前年同期比48.7%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や粗利益率の改善などにより、6,454百万円と前年同期比113.3%の大幅増益となりました。
報告セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 日本地域
売上高は、パフォーマンスランニングやオニツカタイガーが好調だったことにより、40,079百万円と前年同期比10.2%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、6,598百万円と前年同期比39.8%の増益となりました。
② 北米地域
売上高は、パフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調だったことにより、33,077百万円と前年同期比26.5%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、3,475百万円と黒字転換いたしました。
③ 欧州地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、48,377百万円と前年同期比8.8%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、9,684百万円と前年同期比47.8%の増益となりました。
④ 中華圏地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、23,870百万円と前年同期比24.5%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、5,784百万円と前年同期比28.3%の増益となりました。
⑤ オセアニア地域
売上高は、パフォーマンスランニング以外のカテゴリーが堅調に推移したことにより、11,698百万円と前年同期比1.4%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、粗利益率の改善などにより、2,516百万円と前年同期比20.9%の増益となりました。
⑥ 東南・南アジア地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、9,171百万円と前年同期比31.8%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、2,237百万円と前年同期比28.7%の増益となりました。
⑦ その他地域
売上高は、スポーツスタイルやオニツカタイガーが好調だったものの、2023年12月にHaglöfs ABの株式譲渡を実施し、同社を連結範囲から除外したことにより、12,711百万円と前年同期比2.5%の減収となりました。
セグメント利益につきましては、粗利益率の改善などにより、2,518百万円と前年同期比35.3%の増益となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産486,453百万円(前連結会計年度末比4.8%増)、負債の部合計261,858百万円(前連結会計年度末比1.8%増)、純資産の部合計224,595百万円(前連結会計年度末比8.6%増)でした。
① 流動資産
受取手形及び売掛金の増加などにより、338,897百万円(前連結会計年度末比4.8%増)となりました。
② 固定資産
投資有価証券の増加などにより、147,556百万円(前連結会計年度末比5.0%増)となりました。
③ 流動負債
短期借入金の増加などにより、150,868百万円(前連結会計年度末比5.0%増)となりました。
④ 固定負債
その他固定負債の減少などにより、110,989百万円(前連結会計年度末比2.4%減)となりました。
⑤ 純資産
自己株式の取得による減少があったものの、利益剰余金の増加などにより、224,595百万円(前連結会計年度末比8.6%増)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営成績の現状と見通し
2024年12月期連結業績予想につきましては、2024年2月9日に公表しました連結業績予想から変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1,544百万円(前年同期比3.3%増)であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員の状況
当第1四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の状況
当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、販売実績につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご確認ください。
(9)設備の状況
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。