売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01164 Japan GAAP

売上高

617.4億 円

前期

621.8億 円

前期比

99.3%

時価総額

700.8億 円

株価

3,750 (07/12)

発行済株式数

18,688,733

EPS(実績)

262.67 円

PER(実績)

14.28 倍

平均給与

852.5万 円

前期

791.2万 円

前期比

107.7%

平均年齢(勤続年数)

46.9歳(17.9年)

従業員数

423人(連結:1,670人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当企業集団は㈱バルカー(当社)および子会社15社、関連会社3社で構成されており、シール製品事業・機能樹脂製品事業およびシリコンウエハーリサイクル事業他の製造・販売を主な事業としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。

 当社グループにおける事業およびその主要な構成製品と、当社、子会社および関連会社との関係は、次のとおりであります。

セグメントの名称

主要な構成製品

会社名

製造会社

販売およびサービス会社等

シール製品事業

プラント・機器 関連製品

エラストマー製品

自動車部品

その他シール製品

(国内)

㈱バルカー シール ソリューションズ

九州バルカー㈱

㈱バルカーメタルテクノロジー

㈱新晃製作所

大東パッキング工業㈱

(海外)

バルカーシール(上海)有限公司

VALQUA KOREA CO.,LTD.

台湾バルカー国際股份有限公司

VALQUA VIETNAM CO.,LTD.

VALQUA INDUSTRIES(THAILAND),LTD.

 

(国内)

当社

㈱バルカーテクノ

㈱バルカーエスイーエス

九州バルカー㈱

㈱バルカー・エフエフティ

㈱バルカーメタルテクノロジー

(海外)

VALQUA AMERICA INC.

VALQUA NGC,Inc.

バルカー(上海)貿易有限公司

VALQUA KOREA CO.,LTD.

台湾バルカー国際股份有限公司

VALQUA VIETNAM CO.,LTD.

VALQUAINDUSTRIES(THAILAND),LTD.

VALQUA INDUSTRIES SINGAPORE PTE.LTD.

上海沃特華本半導体科技有限公司

機能樹脂製品事業

ふっ素樹脂製品等

(国内)

㈱バルカーメタルテクノロジー

(海外)

VALQUA NGC,Inc.

バルカーシール(上海)有限公司

台湾バルカー国際股份有限公司

上海沃特華本半導体科技有限公司

 

シリコンウエハーリサイクル事業他

シリコンウエハーリサイクル

太陽光発電等

(国内)

九州バルカー㈱

㈱バルカー・エフエフティ

 

 

 

 

 

  以上の企業集団の状況について概要図を示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

 (注) ※印は持分法適用会社であります。

 

 

 

 

24/06/20

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるグローバル経済は、新型コロナウイルス感染症からの回復が進んだものの、世界各地における軍事的な衝突や米中関係の悪化、主要国におけるインフレの進行等の影響もあり、やや伸び悩む結果となりました。一方、わが国経済は、個人消費は物価高の影響や将来への警戒感を反映して伸び悩み、当社グループが属する製造業においては、一部の生産動向が回復を示すなど明るさが見えつつあったものの、国内設備投資の回復に足踏みがみられたことに加え海外からの需要減少もあり、全体的には停滞感が漂うこととなりました。

このような事業環境下当社グループは、あらゆる状況変化への対応を速めるとともに、業務効率化を一段と進めるなど、収益確保と収益性改善に向けた施策を実施しました。

また、当期を最終年度とする中期経営計画“New Frontier 2023”(NF2023)で掲げた「成長を守る」という視点に立ち、将来に亘る「健全で持続的な成長」を実現するために、地政学リスクの増大に対応したサプライチェーンの見直し、半導体など成長市場に向けた製品競争力・供給能力の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を柱とする攻守両面の企業改革等に取り組みました。

この結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高が617億4千4百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益が71億2百万円(同20.0%減)、経常利益が73億9千9百万円(同18.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が49億9百万円(同27.2%減)となりました。

なお、第4四半期連結会計期間(3か月)における受注高は143億2千9百万円、当四半期末の受注残高は107億9千万円となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(シール製品事業)

シール製品事業は、機器市場向けが自動車生産の回復等により増加したものの、先端産業市場向けは半導体関連景況の変動を受けて減少し、371億6千万円(前年同期比7.4%減)、セグメント利益は31億4千万円(前年同期比53.4%減)となりました。

(機能樹脂製品事業)

機能樹脂製品事業は、販売価格の見直しの実施や、フッ素樹脂特殊タンク製品の先端産業市場とプラント市場向け拡大を反映し、売上高は215億8千万円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益は39億9千6百万円(前年同期比78.7%増)となりました。

(シリコンウエハーリサイクル事業他)

シリコンウエハーリサイクル事業他は、主力事業の需要は堅調に推移したものの、新規事業分野を含むH&S事業は開発費用が先行し、売上高は30億2百万円(前年同期比3.6%減)、セグメント損失は3千4百万円(前年同期はセグメント損失9千9百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の資産につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ59億7千9百万円増加し、744億8千7百万円となりました。流動資産は438億1百万円となり、25億7千万円増加しました。この主な要因は、主に先端産業市場における需要の回復に備えた積み増し分を含む原材料及び貯蔵品の増加51億1千6百万円、商品及び製品の増加1億7千4百万円、現金及び預金の減少18億5百万円、売掛金の減少7億8千7百万円、未収入金の減少1億1千2百万円等によるものであります。有形固定資産は197億7千2百万円となり、18億8百万円増加しました。この主な要因は、建設仮勘定の増加13億1千4百万円、機械装置及び運搬具の増加2億9千6百万円、建物及び構築物の増加1億8千7百万円等によるものであります。無形固定資産は19億3千万円となり、5億5千2百万円増加しました。この主な要因は、無形固定資産のその他に含まれる借地権の増加3億9千7百万円、ソフトウエアの増加6千1百万円等によるものであります。投資その他の資産は89億8千3百万円となり、10億4千8百万円増加しました。この主な要因は、退職給付に係る資産8億3千6百万円、投資有価証券の増加1億8千8百万円等によるものであります。それらの結果、固定資産は306億8千6百万円となり、34億9百万円増加しました。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ29億2千5百万円増加し、257億5千5百万円となりました。流動負債は165億6千万円となり、3千1百万円減少しました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の減少9億1千1百万円、未払法人税等の減少6億4千3百万円、契約負債の減少3億9千8百万円、短期借入金の増加10億5百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加8億8千4百万円等によるものであります。

固定負債は91億9千5百万円となり、29億5千7百万円増加しました。この主な要因は、主に先端産業市場に向けた供給能力の拡大を目的とする長期借入金の増加23億7千5百万円、繰延税金負債の増加5億2千7百万円等によるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ30億5千4百万円増加し、487億3千1百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加20億1千万円、退職給付に係る調整累計額の増加4億9千7百万円、為替換算調整勘定の増加4億7千9百万円等によるものであります。

 

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18億5百万円減少し、当連結会計年度末には63億8千6百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、17億5千8百万円(前年同期比60.1%減)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益71億円、減価償却費26億1千2百万円、売上債権の減少7億9千5百万円、棚卸資産の増加51億7千2百万円、法人税等の支払額26億7千4百万円、仕入債務の減少7億2千5百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、47億5千4百万円(前年同期比256.3%増)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得・売却による純支出38億5千2百万円、無形固定資産の取得による支出9億5千8百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果収入となった資金は、9億2千3百万円(前年同期は34億4百万円の支出)となりました。

これは主に、長期借入金の純収入31億3千1百万円、短期借入金の純収入8億9千2百万円、配当金の支払額28億8千9百万円、リース債務の返済による支出1億9千1百万円等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

12,491

75.4

機能樹脂製品事業(百万円)

11,396

90.0

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

2,870

100.0

合計(百万円)

26,758

83.3

 (注) 上記の金額は、販売価格によっております。

b. 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

12,585

102.7

機能樹脂製品事業(百万円)

6,908

109.8

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

54

30.4

合計(百万円)

19,548

104.4

 

c. 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

シール製品事業

36,116

87.2

5,741

84.6

機能樹脂製品事業

19,240

99.6

4,630

66.4

シリコンウエハーリサイクル事業他

3,247

107.2

418

241.2

合  計

58,604

91.9

10,790

77.5

 

d. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

37,160

92.6

機能樹脂製品事業(百万円)

21,580

114.0

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

3,002

96.4

合計(百万円)

61,744

99.3

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当期の事業環境は、上期においては自動車生産台数の回復などがあったものの、半導体関連景況の悪化、海外における設備投資の減速、そして、原材料が高止まりとなったことなどを反映し、必ずしも芳しい状況とはなりませんでした。下期には半導体関連に明るさが見え始めたものの、一部自動車メーカーの生産停止や能登半島地震の影響等もあり、大きな回復を示すには至りませんでした。

このような状況下当社グループは、当期を最終年度とする2か年中期経営計画NF2023で掲げた「成長を守る」という視点に立ち、かねてから取り組んできた全社的な収益性向上策を徹底しました。

しかしながら、高機能シール製品の落ち込みが大きく影響し、連結業績は、前期比減収減益、業績予想値に対しても未達となりました。その厳しい業績下においても、機器市場・プラント市場における収益性向上策の効果が確認できたことなど多くの収穫がございました。また、価値創造力をより強いものとするための投資も先行し実施しました。当社グループといたしましては、これらを新たな中期経営計画NF2026におきましては、皆さまのご期待に応えてまいります。

業績の半期推移につきまして、当下期は、売上高及び全利益科目、そして利益率で前年度下期を下回る結果となりました。また、当上期との比較においては、高機能シール製品の底打ちもあって売上総利益が上昇したものの、荷造運送費などの経費の増加により販管費が増え、営業利益は減少しました。

前期からの営業利益の変動要因につきまして、当期の売上高と売上総利益の前期比はそれぞれ4億円強の減額となりましたが、高機能シール製品の販売減少が大きく影響しております。

しかしながらかつての当社の収益体質からすれば、高機能シール製品の売上高がそのような状況となれば、利益はさらに大きく落ち込んでいたと考えられます。その面からは、機能樹脂製品事業の収益力の拡大と、製品を問わずに進めている機器市場・プラント市場向けの収益性改善の効果が下支えしたとの認識も持っております。

売上総利益の減少には、原材料価格上昇による影響の推計値約8億円も含まれております。一方、販管費については前期比で13億超増えましたが、これには、戦略製品の拡充やDX推進に向けた人材の獲得費用に加え、物流費用の増加が反映されております。

なお、当期でも円安方向に動いた外国為替の変動による影響ですが、売上高で前期比7億円超、営業利益では約2億円の増加要因になったと認識しております。

当期末のバランスシートにつきましては、資産は増加し、うち流動資産には半導体関連需要の再拡大に備えた原材料の確保、固定資産には愛知県田原市における新工場に関する資産がそれぞれ反映されております。負債・純資産においては、有利子負債が増加しておりますが、これは、先端産業市場における供給能力の増強に向けて借入れを増やしたことを反映しております。

キャッシュ・フローにつきましては、営業キャッシュ・フローが、原材料を積み増しした結果を反映して減り、その一方で、投資キャッシュ・フローは愛知県田原市の新工場建設等により増加したため、フリー・キャッシュ・フローは減少しました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与えた要因としては、市場別・地域別の売上高推移について分析しました。

まず、当期における先端産業市場向けの売上高は、高機能シール製品の業績悪化を反映して減少しましたが、

ふっ素樹脂特殊タンク製品などは高水準を維持しました。

機器市場では、半導体・部品不足の影響が和らいだこともあり、自動車の生産台数などの回復の動きを反映した実績となりました。

プラント市場では、国内外の高純度・高機能化学品向けふっ素樹脂特殊タンク製品の販売が下支えしました。

なお、機器市場及びプラント市場においては、販売価格の見直しの効果も売上高の増加に反映されております。

一方、地域別の販売実績では、国内が機器市場及びプラント市場向けの伸長を反映し増加したものの、海外は先端産業市場向けの減速による影響を受けた水準となりました。

当社グループの経営上の目標の達成状況につきましては、「総資産当期純利益率(ROA)」及び「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「総資産当期純利益率(ROA)」は6.9%(前年同期比3.6ポイント悪化)、「自己資本利益率(ROE)」は10.5%(前年同期比5.4ポイント悪化)となりました。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

(シール製品事業)

シール製品事業では、売上高・セグメント利益とも前期を下回り、収益性も悪化するという結果になりました。

これには、先端産業市場向け高機能シール製品の減少が大きく影響しておりますが、その一方で、機器市場向けの販売が伸長し、下支えをしました。当期のシールの先端産業市場向けの需要動向は、期首における見通しの下限値水準にとどまりましたが、既に底打ちも果たしております。

当社グループといたしましては、高機能シール製品の中長期的な戦略は変更せず、必要な投資を推進し、将来獲得する果実の最大化を図っております。

セグメント資産につきましては、439億5千4百万円(前年同期比8.8%増)となりました。

(機能樹脂製品事業)

機能樹脂製品事業では、ふっ素樹脂加工品が国内半導体製造装置メーカー向けで、また、高機能シール製品とともに戦略製品として位置付けているふっ素樹脂特殊タンク製品が販売を伸ばし、業績をけん引しました。

一方、利益の面では、売上増加に加え、サプライチェーンの整備や販売価格の見直しの効果もあり、前期比で80%近い増益を達成しましたが、この利益率は、大型案件や顧客の納期要請に対応したことによる高収益案件の寄与も大きく、「出来過ぎ」とも言える水準です。それは主にふっ素樹脂特殊タンク製品によるものですが、ここにきて、主要顧客の設備投資が端境期を迎え、また競合状況も変化しており、当期末の受注残高にも反映されております。

当社グループといたしましては、この厳しくなりつつある状況を乗り越え、実行中の投資の効果を確実かつ大きなものとするべく、早期の受注の積み増しに注力してまいります。

セグメント資産につきましては、163億2千3百万円(前年同期比10.6%増)となりました。

 

(シリコンウエハーリサイクル事業他)

主力のシリコンウエハーリサイクル事業は、半導体メモリーメーカーの生産動向が必ずしも良かったとは言えませんが、売上高を維持することができました。一方、新たな顧客価値の創造を目的としたAI/ITソリューションにつきましては、業績寄与に向け、ラインアップの充実、各商材のブラッシュアップ、そして販売活動の強化を図りました。

AI/ITソリューションにつきましては、順調に実績を積み重ねております。当面は開発などの費用負担が大きくなってしまうことが想定されますが、当社グループならではのソリューションは、既に顧客から高い評価を得ており、将来は機器・プラント市場向けの中核になるものと確信しております。

セグメント資産につきましては、25億9千万円(前年同期比0.7%減)となりました。

 

 

 

経営者の問題認識と今後の方針について

次期に向けては、東アジア・ウクライナ・中東の情勢、エネルギー・原材料の価格、インフレの進行など世界全体の経済回復に向けた動きに影響を与え得る多くの不透明要素が存在しております。また、当社グループ周辺においては、世界的な設備投資の減速、半導体関連景況の本格的な回復の遅れ、人手不足と人件費の上昇などが懸念され得る状況となっております。

このような事業環境下において当社グループは、次期を開始年度とする3か年中期経営計画NF2026で掲げた基本方針、

 

《世界の分断が急激に進み

デジタル化によるビジネスモデルが激変する環境下において

「THE VALQUA WAY」のもとマルチ視点で

ステークホルダーの最高満足に向けて新たな価値創造に邁進しよう》

 

1.激変する世界において本質を追求する目線の確立とそれに伴う人材育成

2.地政学リスクの増大に対応した更なるサプライチェーンの改革と強靭化

3.デジタルイノベーション加速による新たなAI/ITソリューション事業のマネタイズ

4.「技術流出」の徹底防止と新領域・新技術の見極め

5.「Think Globally, Act Locally」によるグローカリゼーションの徹底

 

のもと、創業100周年期にあたる2027年3月期に向けて設定した長期経営目標数値『連結売上高800億円、ROE15%以上』の達成をより確かなものにするとともに、さらなる将来における持続的な価値創造の実現を展望して、諸戦略を着実にかつ迅速に推進いたします。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度はエラストマー製品等のシール製品事業、ふっ素樹脂製品等の機能樹脂製品事業、シリコンウエハーリサイクル等のシリコンウエハーリサイクル事業他にて設備投資を実施するなどの既存事業の成長に向けた投資を着実に推進しました。

このように、当社グループにおける主な資金需要は、健全で持続的な成長を実現するための成長投資と考えており、これらの投資資金は、内部留保金の配分とともに、金融機関からの借入金等により充当しております。なお、借入金のうち、短期借入金は、主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金は、主に設備投資に係る資金調達であります。

手許の運転資金につきましては、グループファイナンスを通じて、国内連結子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。

当社グループにおける当連結会計年度における流動比率は264.5%(前連結会計年度248.5%)となっており、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は5.7倍となりました。直近5ヵ年における以下の数表の通りであります。

 

第120期

2020年3月期

第121期

2021年3月期

第122期

2022年3月期

第123期

2023年3月期

第124期

2024年3月期

流動比率(%)

254.9

275.9

261.9

248.5

264.5

自己資本比率(%)

69.3

67.7

66.0

66.0

64.7

時価ベースの自己資本比率(%)

64.0

71.4

78.1

88.3

121.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

0.6

0.9

1.0

1.3

5.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

71.6

66.3

84.3

39.5

9.0

 

当社グループでは、業績の大幅な悪化による手許資金減少、或いは生産会社の稼働停止や主要顧客の稼働停止等不測の事態に備え、主要取引銀行との間で30億円のコミットメントラインの締結を行っております。このように、リスクに対応するとともに、今後の事業展開においても、感染症をめぐる市場の変化や、回復後に訪れるであろう変化の芽を的確に捉え、スピーディーに対応してまいりたいと考えております。2025年3月期の新規の設備投資は、事業基盤の再構築を目指し、キャッシュ・フローを重視しながら、次なる飛躍に繋げてまいります。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。

連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。

当社は、特に以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。

 

a. 固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

b. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積に依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。