売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01164 Japan GAAP

売上高

621.8億 円

前期

531.7億 円

前期比

116.9%

時価総額

811.1億 円

株価

4,340 (04/26)

発行済株式数

18,688,733

EPS(実績)

360.97 円

PER(実績)

12.02 倍

平均給与

791.2万 円

前期

717.1万 円

前期比

110.3%

平均年齢(勤続年数)

46.8歳(17.8年)

従業員数

417人(連結:1,682人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当企業集団は㈱バルカー(当社)および子会社15社、関連会社3社で構成されており、シール製品事業・機能樹脂製品事業およびシリコンウエハーリサイクル事業他の製造・販売を主な事業としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。

 当社グループにおける事業およびその主要な構成製品と、当社、子会社および関連会社との関係は、次のとおりであります。

セグメントの名称

主要な構成製品

会社名

製造会社

販売およびサービス会社等

シール製品事業

プラント・機器 関連製品

エラストマー製品

自動車部品

その他シール製品

(国内)

㈱バルカー シール ソリューションズ

九州バルカー㈱

㈱バルカーメタルテクノロジー

㈱新晃製作所

大東パッキング工業㈱

(海外)

バルカーシール(上海)有限公司

VALQUA KOREA CO.,LTD.

台湾バルカー国際股份有限公司

VALQUA VIETNAM CO.,LTD.

VALQUA INDUSTRIES(THAILAND),LTD.

 

(国内)

当社

㈱バルカーテクノ

㈱バルカーエスイーエス

九州バルカー㈱

㈱バルカー・エフエフティ

㈱バルカーメタルテクノロジー

大東パッキング工業㈱

(海外)

VALQUA AMERICA INC.

VALQUA NGC,Inc.

バルカー(上海)貿易有限公司

VALQUA KOREA CO.,LTD.

台湾バルカー国際股份有限公司

VALQUA VIETNAM CO.,LTD.

VALQUAINDUSTRIES(THAILAND),LTD.

VALQUA INDUSTRIES SINGAPORE PTE.LTD.

上海沃特華本半導体科技有限公司

機能樹脂製品事業

ふっ素樹脂製品等

(国内)

㈱バルカーメタルテクノロジー

(海外)

VALQUA NGC,Inc.

台湾バルカー国際股份有限公司

上海沃特華本半導体科技有限公司

 

シリコンウエハーリサイクル事業他

シリコンウエハーリサイクル

太陽光発電等

(国内)

九州バルカー㈱

㈱バルカー・エフエフティ

 

 (注)1 台湾バルカー工業股份有限公司は、2023年1月31日に会社清算結了したことに伴い、当連結会計年度より

      連結の範囲から除外しております。

    2 上海バルカーふっ素樹脂製品有限公司は、2022年8月26日に深圳市沃特新材料股份有限公司に出資持分を

      一部譲渡したことにより、上海沃特華本半導体科技有限公司に社名を変更して関連会社になりました。更

      に、上海バルカーふっ素樹脂製品有限公司の子会社であるADVANCED FLON TECHNOLOGIES(SHANGHAI)CO.,LTD.

      は、本譲渡に伴い連結の範囲から除外しております。

    3 株式会社バルカーメタルテクノロジーは、2023年3月10日に株式の追加取得により完全子会社になりまし

     た。

 

  以上の企業集団の状況について概要図を示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

 (注)1 ※印は持分法適用会社であります。

    2 台湾バルカー工業股份有限公司は、2023年1月31日に会社清算結了したことに伴い、当連結会計年度より

      連結の範囲から除外しております。

    3 上海バルカーふっ素樹脂製品有限公司は、2022年8月26日に深圳市沃特新材料股份有限公司に出資持分を

      一部譲渡したことにより、上海沃特華本半導体科技有限公司に社名を変更して関連会社になりました。更

      に、上海バルカーふっ素樹脂製品有限公司の子会社であるADVANCED FLON TECHNOLOGIES(SHANGHAI)CO.,LTD.

      は、本譲渡に伴い連結の範囲から除外しております。

    4 株式会社バルカーメタルテクノロジーは、2023年3月10日に株式の追加取得により完全子会社になりまし

     た。

23/06/21

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症が収束に向かったものの、ロシアによるウクライナへの侵攻が一段の資源高やモノ不足を誘発し、グローバル経済全体に大きな影響を及ぼしました。

また、世界各地における地政学問題、米中摩擦、エネルギーコスト上昇等への警戒が高まるなか、企業の設備投資への姿勢にもそれが反映される状況となりました。

わが国経済は、新型コロナウイルス感染症によって受けたダメージからの回復が期待されたものの、個人消費は円安の進行等に起因する物価高の影響を受けて伸び悩みが目立ち、また当社グループが属する製造業においては、海外におけるロックダウン、半導体及び部品の不足、原材料価格及び入手難易度の上昇等の要因により、一部の業種では生産への支障が生じることとなりました。一方海外経済は、エネルギーをはじめとする物価高が顕著なものとなり、先行きへの警戒感が個人消費に悪影響を与え、また企業の生産活動の回復に向けた動きも鈍いものとなりました。

このような事業環境下当社グループは、当期から開始した2か年中期経営計画“New Frontier 2023”(NF2023)で掲げた「成長を守る」という視点に立ち、地政学リスクの増大に対応したサプライチェーンの見直し、半導体など成長市場に向けた製品競争力・供給能力の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を柱とする攻守両面の企業改革等に取り組みました。

この結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高が621億7千8百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益が88億7千7百万円(同27.3%増)、経常利益が90億2千9百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が67億4千6百万円(同39.3%増)となりました。

なお、第4四半期連結会計期間(3か月)における受注高は155億1百万円、当四半期末の受注残高は139億3千万円となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(シール製品事業)

シール製品事業は、半導体製造装置・デバイス向けなどの先端産業市場の売上が高水準の実績になったことに加え、国内のプラント定期修繕の動向を反映してプラント市場の販売も堅調に推移し、売上高は401億3千万円(前年同期比14.7%増)、セグメント利益は67億4千万円(同22.4%増)となりました。

(機能樹脂製品事業)

機能樹脂製品事業は、高機能化学品用などのプラント市場及び先端産業市場の売上が拡大したことに加え、一般産業機器や輸送用機器向けなどの機器市場向けの販売も堅調に推移し、売上高は189億3千2百万円(前年同期比25.5%増)、セグメント利益は22億3千6百万円(前年同期比62.9%増)となりました。

(シリコンウエハーリサイクル事業他)

シリコンウエハーリサイクル事業他は、主力事業は堅調に推移したものの、新規事業分野を含むH&S事業は開発費用等が先行的に発生し、売上高は31億1千6百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント損失は9千9百万円(前年同期はセグメント利益9千3百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の資産につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ83億7百万円増加し、685億7百万円となりました。流動資産は412億3千万円となり、62億9千4百万円増加しました。この主な要因は、原材料及び貯蔵品の増加20億6千8百万円、売掛金の増加18億9千7百万円、商品及び製品の増加18億6百万円等によるものであります。

有形固定資産は179億6千3百万円となり、4億1千7百万円増加しました。この主な要因は、土地の増加3億7千万円等によるものであります。無形固定資産は13億7千7百万円となり、1億3千8百万円減少しました。この主な要因は、ソフトウエアの減少1億2千5百万円等によるものであります。投資その他の資産は79億3千5百万円となり、17億3千2百万円増加しました。この主な要因は、投資有価証券の増加16億6千9百万円等によるものであります。それらの結果、固定資産は272億7千6百万円となり、20億1千2百万円増加しました。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ36億9百万円増加し、228億3千万円となりました。流動負債は165億9千1百万円となり、32億5千4百万円増加しました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の増加15億2千4百万円、未払法人税等の増加4億3千7百万円、短期借入金の増加3億4千3百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加3億2千3百万円、契約負債の増加3億1千1百万円等によるものであります。

固定負債は62億3千8百万円となり、3億5千4百万円増加しました。この主な要因は、リース債務の増加4億1千8百万円等によるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ46億9千7百万円増加し、456億7千7百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加43億5千6百万円、為替換算調整勘定の増加10億円、非支配株主持分の減少7億6千7百万円等によるものであります。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億3千万円増加し、当連結会計年度末には81億9千1百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、44億2百万円(前年同期比15.8%減)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益100億4千3百万円、減価償却費26億7千3百万円、棚卸資産の増加45億6千6百万円、売上債権の増加16億4千8百万円、法人税等の支払額23億7千6百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、13億3千4百万円(前年同期比63.9%減)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得・売却による純支出13億4千8百万円、投資有価証券の取得による支出6億5千2百万円、無形固定資産の取得による支出3億3千5百万円、連結の範囲の変更を伴う関係会社出資金の売却による収入10億2千8百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、34億4百万円(前年同期比88.3%増)となりました。

これは主に、配当金の支払額23億8千2百万円、非支配株主への配当金の支払額5億4千万円、自己株式の取得による支出5億2百万円等によるものであります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

16,576

122.0

機能樹脂製品事業(百万円)

12,666

135.1

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

2,871

99.4

合計(百万円)

32,114

124.2

 (注) 上記の金額は、販売価格によっております。

b. 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

12,251

100.6

機能樹脂製品事業(百万円)

6,292

115.6

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

179

93.6

合計(百万円)

18,722

105.1

 

c. 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

シール製品事業

41,404

112.4

6,785

123.1

機能樹脂製品事業

19,314

108.0

6,970

105.8

シリコンウエハーリサイクル事業他

3,028

95.8

173

66.4

合  計

63,747

110.2

13,930

112.7

 

d. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

シール製品事業(百万円)

40,130

114.7

機能樹脂製品事業(百万円)

18,932

125.5

シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)

3,116

101.1

合計(百万円)

62,178

116.9

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当期の事業環境は、当社を含む資本財製造業においては、半導体や部品の不足、海外のロックダウンなどの影響を受け、さらに、原材料の価格と入手難易度が一段と上昇したことにより、総じて厳しい事業環境となりました。

このような状況下当社は、当期から開始した2か年中期経営計画NF2023で掲げた「成長を守る」という視点に立ち、足許そして将来の収益拡大に向け、地政学リスクの増大に対応したサプライチェーンの見直し、半導体など成長市場に向けた製品競争力・供給能力の強化、そして、DXを柱とする攻守両面の企業改革に取り組みました。

しかしながら、その当期中というわずか1年の間でも当社が想定していなかった事態が多く発生しているように、昨今の世界情勢、そして事業環境の変化は大きくなる一方でございます。過去最高業績を記録した今だからこそ「成長を守る」という視点からすべての工程そして企業活動を再チェックし、「伸ばすところは伸ばし、正すところは正す」ことを徹底、健全かつ持続的な成長の実現を図って参ります。

業績の半期推移につきましては、売上高及び全利益科目、そして利益率で前年度下期と当上期を上回る結果となりました。

なお、この下期の売上高と各利益は、過去最高の半期実績となっております。

前期からの営業利益の変動要因につきましては、上期・下期とも売上高及び全利益で前年同期を上回り、かつ、半期トレンドでみましても、この下期で、売上高は3半期連続、売上総利益及び営業利益は4半期連続の増加となりました。前期からの営業利益の変動要因ですが、当期の売上総利益は、前期比で42億円超の増額となりましたが、これは、戦略製品などの売上高の拡大に加え、生産能力の増強、各生産拠点における効率化施策などの効果によるものであります。一方、販管費については前期比で約23億円増えましたが、これには、DX商材拡充に向けた人材の獲得のほか、販売数量の拡大や営業活動の正常化という前向きの理由によるところが大きいと考えております。

なお、当期で大きく円安方向に動いた外国為替の変動による影響ですが、売上高で前期比約25億円、営業利益では約6億円の増加要因になったと認識しております。

当期末のバランスシートにつきましては、総資産、特に流動資産は相応の規模で増加しましたが、これは売上拡大に加え、使用する原材料や仕入れ品の価格上昇が反映されております

なお、有利子負債の増額につきましては、戦略製品のサプライチェーンの整備やDXの推進、H&S商材などの開発強化に向け、借り入れを増やしたことによるものです。

キャッシュ・フローでは、営業キャッシュ・フローが棚卸資産の増加を反映して減少した一方で、投資キャッシュ・フローは、中国子会社の一部株式や台湾の旧工場の土地売却を反映した水準となり、それらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比ほぼ倍増となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与えた要因としては、主要3市場(先端産業市場、機器市場、プラント市場)の内、先端産業市場とプラント市場では前期比二桁台の伸びとなりました。

まず、先端産業市場ですが、その大幅な拡大には、高機能シール製品における生産の効率化による生産能力の向上やプロダクトミックスの変動、そして、ふっ素樹脂特殊タンク製品の台湾新工場の通年に亘る業績寄与が反映されております。

機器市場では、半導体や部品不足の影響を受けて生産調整を行った顧客があったものの、全体としては経済回復の動きもあり、前期並みの実績となりました。

プラント市場では、国内の大型定期修繕の件数増加を反映するとともに、高純度・高機能化学品プラント向けふっ素樹脂特殊タンク製品への旺盛な需要が続き、売上が高水準に推移しました。

海外ではアジアと北米がともに伸長しておりますが、これは、両地域とも先端産業市場向けの拡大に加え、プラント市場におけるふっ素樹脂特殊タンク製品の販売増加を映したものであります。

当社グループの経営上の目標の達成状況につきましては、「総資産当期純利益率(ROA)」及び「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「総資産当期純利益率(ROA)」は10.5%(前年同期比1.9ポイント改善)、「自己資本利益率(ROE)」は15.9%(前年同期比3.0ポイント改善)となりました。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(シール製品事業)

主力のシール製品事業では、先端産業市場向けの拡大に加え、年度要因による国内プラントメンテナンス件数の増加もあり、前期比二桁の増収増益となりました。先端産業市場向けの結果に比べ目立ちませんが、機器市場やプラント市場において、当社が顧客側のサプライチェーンでのボトルネックとならぬように生産の適正化に努めるとともに、原材料などのコスト上昇分の販売価格への適切な反映を進めたことも、この業績を生み出した大きな要因と考えております。

セグメント資産につきましては、404億9百万円(前年同期比22.7%増)となりました。

(機能樹脂製品事業)

機能樹脂製品事業では、ふっ素樹脂加工品が国内半導体製造装置メーカー向けで、また、ふっ素樹脂特殊タンク製品が海外半導体デバイスメーカーと高純度・高機能化学品メーカー向けでそれぞれ販売を伸ばし、業績をけん引しました。

一方、利益の面では、上海のロックダウンや原材料価格の上昇といったマイナスにつながる要素が多かったものの、販売・生産数量の増加に加え、販売価格の見直しや事業構造改革の効果が寄与し、前期比で60%を超す増益を達成しました。

当セグメントは永年収益性が低迷しており、その解決は当社に課せられた重要な経営課題でありました。しかし、当期ついにセグメント利益率が10%を超し、断固たる決意のもと進めてきた事業改革が、実を結びつつあると実感しております。今後も原材料の調達など、難しい問題が多く出てくることが予想されますが、業容の拡大と収益性の高位安定を両立すべく、新たな施策を絶やすことなく打ち出し、実施いたします。

セグメント資産につきましては、163億1千万円(前年同期比16.2%増)となりました。

(シリコンウエハーリサイクル事業他)

主力のシリコンウエハーリサイクル事業は、旺盛な需要を反映した推移を示していたものの、第4四半期に発生した設備トラブルの影響もあり、通期では伸び悩む結果となりました。一方、新たな顧客価値の創造を目的としたH&S事業においては、当該商材の合計では、開発費用の負担などにより赤字が継続しているものの、いわゆる「仕込み案件」の件数が増加するなど、業績寄与に向けたスピードは一段と加速していると実感しております。

セグメント資産につきましては、26億8百万円(前年同期比5.8%減)となりました。

 

 

 

経営者の問題認識と今後の方針について

次期に向けては、ウクライナ情勢、米中摩擦、エネルギー及び原材料価格など世界全体の経済回復に向けた動きに影響を与え得る多くの不透明要素が存在しており、また当社グループ周辺においては、半導体関連産業の景況悪化が懸念されております。

このような事業環境下において当社グループは、次期を最終年度とする2か年中期経営計画NF2023で掲げた基本方針、

 

《激変する世界情勢の中、「THE VALQUA WAY」のもと顧客の信頼に応え、

H(Hard)&S(Service)の両輪で新たな価値を創造し続ける企業を目指そう》

 

1.大胆なM&Aや業務提携の加速による新素材・新市場・新事業への参入

2.地政学リスクの増大に対応したサプライチェーン改革の断行

3.継続的な顧客価値を生み出すAI/ITソリューションの事業確立

4.新たなビジネス領域へ展開するための研究開発と人材育成の加速

5.既存事業をより強化するための設備投資の増強と販売チャネルの拡充

 

のもと、創業100周年期にあたる2027年3月期に向けて設定した長期経営目標数値『連結売上高800億円、ROE15%以上』の達成をより確かなものにし、そしてさらなる業容の拡大を強く意識し、諸戦略を着実にかつ迅速に推進いたします

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度はエラストマー製品等のシール製品事業、ふっ素樹脂製品等の機能樹脂製品事業、シリコンウエハーリサイクル等のシリコンウエハーリサイクル事業他にて設備投資を実施するなどの既存事業の成長に向けた投資を着実に推進しました。

このように、当社グループにおける主な資金需要は、健全で持続的な成長を実現するための成長投資と考えており、これらの投資資金は、内部留保金の配分とともに、金融機関からの借入金等により充当しております。なお、借入金のうち、短期借入金は、主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金は、主に設備投資に係る資金調達であります。

手許の運転資金につきましては、グループファイナンスを通じて、国内連結子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。

当社グループにおける当連結会計年度における流動比率は248.5%(前連結会計年度261.9%)となっており、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は1.3倍となりました。直近5ヵ年における以下の数表の通りであります。

 

第119期

2019年3月期

第120期

2020年3月期

第121期

2021年3月期

第122期

2022年3月期

第123期

2023年3月期

流動比率(%)

212.4

254.9

275.9

261.9

248.5

自己資本比率(%)

66.2

69.3

67.7

66.0

66.0

時価ベースの自己資本比率(%)

78.5

64.0

71.4

78.1

88.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

0.7

0.6

0.9

1.0

1.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

100.8

71.6

66.3

84.3

39.5

 

当社グループでは、業績の大幅な悪化による手許資金減少、或いは生産会社の稼働停止や主要顧客の稼働停止等不測の事態に備え、主要取引銀行との間で30億円のコミットメントラインの締結を行っております。このように、リスクに対応するとともに、今後の事業展開においても、感染症をめぐる市場の変化や、回復後に訪れるであろう変化の芽を的確に捉え、スピーディーに対応してまいりたいと考えております。2024年3月期の新規の設備投資は、事業基盤の再構築を目指し、キャッシュ・フローを重視しながら、次なる飛躍に繋げてまいります。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。

連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。

当社は、特に以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。

 

a. 固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

b. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積に依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。