E02510 Japan GAAP
前期
4,447.6億 円
前期比
122.6%
株価
5,370 (04/25)
発行済株式数
15,021,551
EPS(実績)
1,785.70 円
PER(実績)
3.01 倍
前期
809.5万 円
前期比
99.5%
平均年齢(勤続年数)
43.6歳(19.7年)
従業員数
701人(連結:4,338人)
当社グループは、当社、子会社105社及び関連会社21社の計127社で構成されており、紙パルプ等の卸売を主な事業とし、これに関連する製造、加工等の事業並びに再資源化等の事業及び不動産賃貸事業に取り組んでおります。
当社グループのセグメントごとの事業は、次のとおりであります。なお、関係会社のセグメントとの関連は、事業系統図、及び「4 関係会社の状況」に記載しております。
事業の系統図は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なもの
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を見積り計上しておりますが、将来において、取引先の財務状況等が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
経営者は、貸倒引当金は十分に計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社グループにおいて貸倒引当金を増額又は減額する可能性もあります。
② のれんの減損
当社グループにおけるのれんの残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
当社グループは、企業買収により取得した子会社の将来の超過収益力として連結貸借対照表にのれんを計上し、その効果の発現する期間(5~20年)を個別に見積り、当該期間にわたり均等償却を行っております。ただし、金額が僅少なものについては、発生年度に全額償却しております。
経営者は当連結会計年度末におけるのれんの資産性について、償却期間及び金額は適切であると判断しております。ただし、これらの前提条件には子会社の業績や事業計画等を基にした判断が含まれており、経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、将来において当初想定した子会社の収益力等が見込めなくなった場合にはのれんの減損損失が計上される可能性があります。
③ 投資有価証券の減損
当社グループは、仕入先企業、販売先企業、取引金融機関、関係会社等、業務上密接な関係にある企業の株式等を保有しており、これらの有価証券の残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
なお、当該株式の減損にあたり市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券については、個々の銘柄の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、「著しく下落し、回復可能性がないもの」と判定し処理しております。個々の銘柄の時価が取得原価に比べ30%以上50%未満下落した場合も「著しく下落した」とする判定基準を設け、この場合の時価の回復可能性について過去の時価の推移に基づく一定の形式基準により判定し処理しております。また、市場価格のない株式については、個々の銘柄の1株当たり簿価純資産額が帳簿価額を50%以上下回っている場合及び保有資産に大幅な含み損がある可能性のある場合について、当該会社の資産の時価額を加味及び業績見通し等を勘案したうえで減損処理の要否を四半期ごとに判断し、決定しております。
将来において、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、さらなる評価損の計上が必要となる可能性があります。
経営者は、所有する有価証券の公正価値の評価は合理的であると判断しております。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により有価証券の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社グループにおける公正価値評価額が変動する可能性もあります。
④ 固定資産の減損
当社グループは、多くの有形固定資産及び無形固定資産を保有しており、これらの固定資産の残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
当社グループは固定資産の減損会計を適用しており、減損会計では、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識、減損損失の測定の各過程で、将来キャッシュ・フロー等の見積りを要します。
経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断に関する評価は合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により固定資産の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社グループが追加で減損損失を認識する可能性もあります。
⑤ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループにおける繰延税金資産の残高は多額であるため、繰延税金資産の回収可能性に関する評価は会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、課税主体ごとに将来の課税所得を合理的に見積り、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限って繰延税金資産を認識しております。繰延税金資産の回収可能性は毎連結会計年度末日に見直し、課税所得の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、これらの見積りによる繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存し、経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件や仮定の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
① 当期の財政状態の概況
イ 資産の部 (単位:百万円、%)
ロ 負債の部 (単位:百万円、%)
ハ 純資産の部 (単位:百万円、%)
ニ セグメントごとの資産の概況 (単位:百万円、%)
② 当期の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、当社が東京都中央区に所有する固定資産の一部譲渡等に伴い有形固定資産が減少したものの、当該譲渡の収入による預金の増加や、売上債権及び棚卸資産の増加、また、為替換算の影響による増加等により、前連結会計年度末に比べて46,190百万円増の385,129百万円となりました。
総負債は、未払法人税等の増加や仕入債務の増加、また、為替換算の影響による増加等により、前連結会計年度末に比べて18,211百万円増の256,834百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて27,978百万円増の128,295百万円となりました。
(3) 経営成績の状況
① 経営成績の状況の概要
イ 経営成績の状況の概要 (単位:百万円、%)
ロ 当期の経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上収益545,279百万円(前期比22.6%増)、営業利益20,264百万円(同44.1%増)、経常利益21,233百万円(同41.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、当社が東京都中央区に所有する固定資産の一部譲渡に伴う固定資産売却益を特別利益に計上したこと等により、前期比120.8%増の25,392百万円となりました。売上収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は共に過去最高となりました。
② セグメントごとの経営成績
イ 当期の経営成績のセグメント別の概況
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
外部売上収益 (単位:百万円、%)
(注) 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
セグメント利益(経常利益) (単位:百万円、%)
ロ 当期の経営成績のセグメント別の分析
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
「国内卸売」
紙は、新型コロナウイルス感染症対策の行動制限が緩和されたことによる社会経済活動の正常化に伴い、イベント向けのチラシやパンフレットなど一部需要回復の動きが見られたものの、定期雑誌の発行部数減少の影響やPPC用紙の販売数量減少等の影響が大きく、販売数量は前期に比べ減少しました。
板紙は、通販関連や加工食品向けの需要が堅調に推移し、また人流の回復に伴い土産や贈答品向けの需要の回復が見られたものの、自動車及び機械関連向けの需要が低調に推移したことから、販売数量は前期に比べ減少しました。
電子部品関連機能材については、中国におけるゼロコロナ政策や解除後の景気低迷等の影響で半導体をはじめとする電子部品向けの需要が減少し、販売数量は前期に比べ減少しました。
売上収益は、紙、板紙ともに価格修正により販売価格が上昇したことから、前期比5.5%増の183,516百万円となりました。
経常利益は、運賃や倉庫料等の販売直接費の増加があったものの、売上収益の増加や人件費等の減少により、前期比24.7%増の5,359百万円となりました。
「海外卸売」
主要拠点である米国、英国、豪州において、社会経済活動の正常化に伴う需要の回復に加え、原燃料価格の高騰に起因する複数回にわたる価格修正が需給ひっ迫の環境下で浸透し販売金額が増加しました。本邦からの輸出においては、第3四半期連結会計期間後半より中国や東南アジアにおける需要の減少が見られたものの、当期を通じて板紙の販売数量が増加したことに加えて、紙及び板紙の販売価格が上昇しました。以上の結果に加えて為替換算の影響もあり、売上収益は前期比39.4%増の281,858百万円となりました。
経常利益は、運賃や人件費、支払利息等の増加があったものの、売上収益の増加が上回り、特に米国、英国において大幅な増益となったことから、前期比121.5%増の12,579百万円となりました。
「製紙加工」
段ボール原紙製造事業において販売数量が減少したものの、インドネシアの段ボール事業及び国内再生家庭紙製造事業において販売数量が増加したことに加えて、段ボール原紙製造事業及び国内再生家庭紙製造事業において価格修正により販売価格が上昇したこと等により、売上収益は前期比17.8%増の48,945百万円となりました。
経常利益は、段ボール原紙製造事業及び再生家庭紙製造事業における原燃料価格及び電力価格の高騰による製造費用の増加により、前期比13.9%減の3,614百万円となりました。
「環境原材料」
国内古紙事業において、主に新聞古紙及び雑誌古紙の発生数量の減少に伴い販売数量が減少した一方で販売価格が上昇したことに加え、米国古紙事業における販売数量が増加したことにより、古紙事業全体の売上収益は増加しました。さらに、国内及び海外製紙メーカー向けのパルプ及び木質バイオマス発電所向けの燃料の販売数量が増加し、販売価格も上昇したことにより、売上収益は前期比22.7%増の26,776百万円となりました。
経常利益は、木質バイオマス発電事業において燃料価格の高騰など製造コストの増加により減益となったものの、米国古紙事業及び木質バイオマス発電所向け燃料販売事業の売上収益が増加したことにより、前期比9.3%増の1,906百万円となりました。
「不動産賃貸」
主要テナントビルにおける一部空室の発生及び当社が東京都中央区に所有する固定資産の一部譲渡により賃貸料収入が減少し、売上収益は前期比19.6%減の4,184百万円となりました。
経常利益は、固定資産の一部譲渡に伴い減価償却費及び不動産管理費等の減少があったものの、売上収益の減少が上回り、前期比8.0%減の1,406百万円となりました。
③ 地域別・製品別の売上収益
イ 地域別売上収益 (単位:百万円、%)
ロ 製品及びサービス別売上収益 (単位:百万円、%)
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2021年度を初年度とした3年間の中期経営計画『中期経営計画2023』(以下、「中計2023」といいます。)を策定しております。中計2023最終年度である2023年度の目標としました連結財務指標目標及び進捗実績は以下のとおりです。
中計2023の2年目となる当期においては、経常利益をはじめ、ROA、ROE等すべての連結財務指標につき、最終年度目標を上回る結果となりました。引き続き、最終年度目標の着実な達成に向けて、中計2023の各方針に基づく施策に取り組んでまいります。
中計2023につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題」、2024年3月期の連結業績予想につきましては、「(6) 今後の見通し」をご参照ください。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ロ 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ハ 受注実績
当社グループは、主として需要等を勘案した見込生産を行っているため、記載を省略しております。
ニ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、「(3) 経営成績の状況 ② セグメントごとの経営成績 イ 当期の経営成績のセグメント別の概況」に記載しております。
① キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて17,819百万円増加し、30,550百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加等があったものの、売上債権及び棚卸資産の増加等により、304百万円の収入となりました(前期は14,007百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却等により23,673百万円の収入となりました(前期は4,078百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済や配当金の支払等により10,086百万円の支出となりました(前期は9,833百万円の支出)。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、中計2023において策定した連結財務指標目標に掲げましたように、各事業活動に必要とされる運転資金及び投融資資金の確保について、直接金融または間接金融における多様な手段の中から調達時点の市場環境等を考慮して資金調達を実施しております。また、当社グループのさらなる成長に必要な事業投資の継続と財務状況の健全性維持の両立を基本方針としております。
イ 資金調達手段
当社グループは、上記の資金調達の基本方針に則り、M&Aや設備投資資金ならびに運転資金といった資金使途を踏まえ、営業活動によって獲得されたキャッシュ・フローをベースに、直接金融市場においては社債及びコマーシャル・ペーパーを発行し、間接金融市場では銀行借入による長期借入金や短期借入金に加えて十分な当座貸越枠を確保しております。
また、資金調達手段の多様化を図ることで、資金使途及び調達環境の情勢に応じた有利な手段を選択し、機動的な資金調達を実施しております。
「フリー・キャッシュ・フロー」 (単位:百万円)
「有利子負債明細」 (単位:百万円)
(※1)一年内償還予定分の残高を含みます。
(※2)一年内返済予定分の残高を含みます。
ロ 資金の効率化
当社グループは、グループ内の資金効率向上を目的として、グループ各社における余剰資金の集中と配分を行うべく、グループファイナンス制度を国内及び海外の各地域にて導入しております。
ハ 財務指標目標
当社グループは、中計2023にて策定した財務指標目標に対して、基幹事業である紙・板紙の卸売事業で必要な運転資金の安定的な調達と、事業の多角化及びグループ経営の強化につなげる成長投資資金の調達余力を確保するため、営業活動の収益性向上、保有資産の効率的活用、ネットD/Eレシオや自己資本比率といった財務の健全性を示す経営指標の向上に取り組んでまいります。
「財務指標」
ニ 株主還元
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要施策のひとつとして位置づけ、長期にわたる経営基盤の安定と強化に努め、企業価値の向上を目指しております。配当の方針につきましては、安定的な配当を継続して行うことを基本方針とし、連結業績の動向を勘案して配当性向や純資産配当率を意識しながら実施しております。
なお、当社は、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議により定めることができる。」旨を定款に定めております。
(配当基準日 期末配当:毎年3月31日、中間配当:毎年9月30日)
連結の範囲につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)「1.連結の範囲に関する事項」及び「2.持分法の適用に関する事項」に記載しております。
紙の需要は、新型コロナウイルス感染状況の変化による社会経済活動の正常化に伴い一定程度回復したものの、国内における人口減少や世界的なデジタル化の進展などを背景に、当社グループの主要マーケットにおいては引き続き縮小することが想定されます。一方、板紙の需要は引き続き堅調に推移するとともに、国内においてはインバウンド需要の回復による増加が見込まれます。
2024年3月期については、2023年3月期に取り組んだ価格修正により売上収益の増加が見込まれるものの、海外卸売事業においては、流通在庫の膨張とアジアメーカー等による売り姿勢により市況価格が弱含みとなり、昨年の価格修正により大幅拡大した利益率の縮小が見込まれます。一方、製紙加工事業においては、電力費や燃料価格の高騰による製造費用の高止まりが想定されるものの、前年度、段階的に行った価格修正が通年にわたり収益改善に寄与することが見込まれます。これらを踏まえて、2024年3月期の連結業績予想は、営業利益18,000百万円(前期比11.2%減)、経常利益17,000百万円(同19.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円(同56.7%減)としております。