E02688 Japan GAAP
前期
4,947.9億 円
前期比
110.2%
株価
1,200 (03/18)
発行済株式数
171,459,479
EPS(実績)
26.68 円
PER(実績)
44.98 倍
前期
658.3万 円
前期比
87.1%
平均年齢(勤続年数)
40.7歳(13.2年)
従業員数
4,390人(連結:38,770人)
当社グループは提出会社(以下「当社」という。) ならびに子会社154社および関連会社7社で構成されており、医療機器、医薬品および医療用硝子製品等の製造販売を主として行っております。
当社グループの事業にかかる位置づけおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。
<医療関連事業>
<医薬関連事業>
<ファーマパッケージング事業>
<その他事業>
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の各種規制が緩和されたことに伴い、経済活動は緩やかに持ち直す動きが見られました。
一方、世界経済におきましても、中国ではいわゆるゼロコロナ政策が緩和され、経済活動が持ち直しておりますが、世界的インフレーションの加速と金融引き締めに加え、銀行の破綻が金融システム不安を招く懸念があり、景気の先行きは依然不透明な状況で推移しました。
医療機器、医薬品業界におきましては、新型コロナウイルスのパンデミック下において多くの課題が浮かび上がる状況のなか、当社グループは全社一丸となってこれに立ち向かう責務を自覚し、国内におけるシェア拡大と海外販売網の拡大ならびに生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線にたった製品開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。当社グループはこれからもすべての人が適切な医療を受けることができる持続可能な世界の実現を目指して、今後もより安全な医療環境の整備の一翼を担うべく、医療機器・医薬品メーカーとしての責任と役割を果たしてまいります。
当連結会計年度における連結売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されていく状況のなか、概ね好調に推移いたしました。前期に比べ、為替相場が円安方向に推移したことにより海外売上高は大きく押し上げられました。特に透析関連製品やホスピタル関連製品、バスキュラー関連製品は引き続き順調に推移し、全体の売上高増加を牽引しました。また、当社2つめのオーソライズド・ジェネリックとなるエソメプラゾールは12月の販売開始とともに好調な売上となりました。医薬品受託事業につきましては、新規受託品の製造、出荷が本格化したことによる増加の一方で、一部製品での生産終了もあり、売上高は前期比では若干の減収となりました。医薬用容器に関しては中国向けのワクチン用途のバイアルは大きく売上を落としたものの、欧米でのワクチン用途以外の製品の需要が引き続き堅調に推移しており、また、医薬用容器の材料となる硝子管の生産能力も回復したこともあって売上高は好調に推移しました。この結果、連結売上高は前期比10.2%増加の5,451億99百万円となりました。
利益面におきましては、原材料・エネルギー価格の高騰、円安による輸入原材料等仕入価格の上昇に加え、一部工場の操業度の低下、中国上海市のロックダウンに伴う工場操業停止などによる製造原価の上昇が減益要因となりました。また前期より続く運送費の高騰や、営業活動の正常化に伴う経費増加などもあり、営業利益は前期比25.8%減少の177億29百万円となりました。
これに対して、経常利益は、主に上半期において円安が進行したことで為替差益が多額に計上されましたが、下半期以降ピークアウトしたことでその額は縮減しました。また持分法による投資損失の増加や、子会社における超インフレ会計の適用の影響等で一過性の営業外費用を計上したことにより営業外損益は大きく損失方向に振れました。この結果、前期比44.4%減少の153億46百万円となりました。
さらに一部の所有地や政策保有株式の売却による固定資産売却益および投資有価証券売却益を計上したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比66.0%減少となる45億74百万円となりました。
なお、当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
<医療関連事業>
国内販売におきましては、メディカル営業部門ではバスキュラー関連製品や透析関連製品の販売が引き続き好調に推移したとともに、中国上海市のロックダウンの影響も緩和され、注射輸液、検査関連製品も復調いたしました。さらに新型コロナウイルス抗原定性検査キットの販売が好調に推移しました。
医薬営業部門では、市場での供給問題がいまだに解消を見通せないなか、丁寧な説明と誠意を持った対応など真摯に取り組む姿勢が市場の信頼につながっております。また、ネキシウムのオーソライズド・ジェネリックであるエソメプラゾールは順調にシェアを拡大しております。一部の他社プロトンポンプ・インヒビター(PPI)製剤が出荷調整にあるなか、当社のエソメプラゾールが市場への安定供給に貢献できると考え、PPI市場全体も見据えプロモーションに努め、さらなるシェア拡大に取り組むとともに、エソメプラゾールで当社の認知度をさらに向上させ業界内での存在感も高めてまいります。
海外販売におきましては、ポストコロナとしての経済活動が推進され、1月にはシンガポールで開催のバスキュラー学会に参加、またアラブ首長国連邦ドバイにて開催された中近東・アフリカ医療機器展示会に出展など、世界各国での販売強化を図ってまいりました。
このような状況下、主力の透析関連商品は、中国や欧州でのダイアライザ販売増等、各地域での販売が順調に推移した結果、前期比は増収となりました。
自社透析センターにおいても、従来から拡大を続ける中南米に加え、世界各国でも市場を拡大しており、当第4四半期においては中国、マレーシア、ブラジルで各1施設、南アフリカで2施設の計5施設を開設いたしました。引き続き新興国を中心に質の高い治療ができる環境を整え、地域医療に貢献してまいります。
運送費は改善傾向にあり、今後も地産地消の促進、物流の最適化、安全在庫の確保などにより、安定供給および経費削減を推進してまいります。これらの活動を通し、医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め、販売強化および管理強化による売上の拡大、利益の確保に繋げてまいります。
生産拠点におきましては、大館工場で発生した第5工場の火災では、関係者の皆様方には大変ご迷惑、ご心配をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。従業員は全員退避し負傷者は発生しておりませんが、ダイアライザ生産ラインの一部が損傷いたしました。これによる供給能力減少に対して、大館工場では早期生産再開に向け鋭意取り組んでおり、さらに昨年ダイアライザの生産ラインが追加された合肥工場および予定通り2月に新生産ラインの稼働が開始したインド工場においても増産に取り組み安定供給に努めてまいります。
この結果、当事業の売上高は4,199億57百万円(前期比12.4%増)、セグメント利益(営業利益)は385億99百万円(前期比1.6%減)となりました。
医薬関連事業におきましては、国内における複数の新規製品の本格的な出荷・商用化が開始されたことによる売上高増加への貢献、またバングラデシュのニプロJMIファーマにおける順調な売上高伸長の一方で、既存品における受注数量の減少や受託製造終了および資材や製造設備のトラブルによる生産数量の減少等が生じた結果、売上高は前期比で微減となりました。
営業利益につきましては、売上高減少の要因となった生産数量の減少と、著しい原材料・エネルギー価格の高騰による製造経費の増大により、前期比で大きく減少しております。
この結果、当事業の売上高は727億34百万円(前期比2.2%減)、セグメント利益(営業利益)は56億15百万円(前期比42.8%減)となりました。
ファーマパッケージング事業におきましては、国内外を問わず販売価格の適正化や生産効率の向上に取り組むことで、インフレーションによるコスト急騰に対応し利益確保に努めてまいりました。
欧米では当期中のガラス管(医薬用ガラス包装容器の材料)生産能力の大幅増加、また兼ねてからの積極的なプロモーションが奏功し、バイアルやアンプル等のガラス包装容器の出荷量が伸長しました。中国市場では、ゼロコロナ政策の解除を受け、営業活動を本格的に再開することで存在感の強化に尽力しました。日本市場においては、ガラス関連製品のほか、樹脂バッグやゴム栓、調製デバイス等を含むワンストップソリューションを展開、併せてシングルユースバッグ等の新規品の拡販に注力しました。
この結果、当事業の売上高は517億54百万円(前期比11.6%増)、セグメント利益(営業利益)は27億39百万円(前期比5.2%減)となりました。
その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が7億52百万円(前期比34.5%増)、セグメント利益(営業利益)は2億57百万円(前期比153.9%増)となりました。
また、財政状態の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、1兆273億99百万円(前期比10.4%増)で、前連結会計年度末に比べて970億78百万円の増加となりました。このうち流動資産は518億30百万円の増加、固定資産は452億47百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が199億86百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、建設仮勘定が330億54百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、7,852億25百万円(前期比7.5%増)で、前連結会計年度末に比べて547億71百万円の増加となりました。このうち流動負債は90億83百万円の減少、固定負債は638億55百万円の増加となりました。流動負債の減少の主な要因は、短期借入金が201億5百万円減少したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、長期借入金が489億41百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、2,421億73百万円(前期比21.2%増)で、前連結会計年度末に比べて423億6百万円の増加となりました。このうち株主資本は8億53百万円の増加、その他の包括利益累計額は202億24百万円の増加となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は846億95百万円と前連結会計年度末と比べ53億75百万円(前期比6.0%減)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、103億95百万円の収入超過(前期比84.8%減)となりました。収入の主な項目は、減価償却費462億75百万円、税金等調整前当期純利益167億77百万円であり、支出の主な項目は、棚卸資産の増加額250億18百万円であります。
投資活動の結果使用した資金は、717億37百万円の支出超過(前期比8.5%減)となりました。支出の主な項目は、固定資産の取得による支出848億35百万円であります。
財務活動の結果得られた資金は、430億77百万円の収入超過(前期比318.3%増)となりました。収入の主な項目は、長期借入れによる収入1,150億25百万円であり、支出の主な項目は長期借入金の返済による支出749億63百万円であります。
(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。
2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
売上高は前連結会計年度に比べ504億9百万円増加し、5,451億99百万円(前期比10.2%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比3.6%、海外販売が18.8%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が77.0%、医薬関連事業が13.4%、ファーマパッケージング事業が9.5%、その他が0.1%となりました。
営業利益は前連結会計年度に比べ61億53百万円減少し、177億29百万円(前期比25.8%減)となりました。これは主に、販売費及び一般管理費が前期比203億33百万円増加したことによるものです。主に運送費が83億66百万円増加しております。
営業外収益は前連結会計年度に比べ32億23百万円減少し、73億2百万円(前期比30.6%減)、営業外費用は前連結会計年度に比べ28億59百万円増加し、96億84百万円(前期比41.9%増)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ122億36百万円減少し、153億46百万円(前期比44.4%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税および法人税等調整額などの法人税等を計上したことにより、45億74百万円(前期比66.0%減)となりました。
なお、財政状態の分析内容及びセグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額は,2023年3月期の実績は959億円、2024年3月期は621億円を予定しております。
次期以降の配当に関しましても業績連動の利益配当方針は維持しつつも、長期的な視点に立った安定的な配当を継続する方針で現在検討をおこなっております。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、キャッシュ・フローが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。