売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02688 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動制限の緩和からデフレ脱却への局面を迎え、緩やかに持ち直す動きがみられました。一方で、世界経済は高インフレに対する各国の金融引き締めや欧州における労働需給のミスマッチなどから成長減速が強まる状況にあり、先行き不透明な状況で推移しました。

医療機器、医薬品業界におきましては、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増しつつある一方、中長期的には高齢化の進展、新興国における医療インフラの整備、先進国におけるデジタル化の推進など、安定的な成長要素が見込まれます。このような状況下においても、当社グループは、すべての人が適切な医療を受けることができる持続可能な世界を実現すべく、より安全な医療環境を整備するための一翼を担い、医療機器・医薬品メーカーとしての責任と役割を果たしてまいりました。

当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されるなか、主力の透析、ホスピタル関連製品の需要機会を逃すことなく販売、プロモーション活動に注力したことに加え、海外売上高においては、為替相場が期間を通じて円安方向で推移したため、堅調に推移しました。国内においては、2022年12月に販売を開始したエソメプラゾールが当期の売上高増加に大きく貢献しました。この結果、連結売上高は前年同期比8.1%増加となる4,391億35百万円となりました。

利益面におきましては、原材料・エネルギー価格の高騰および円安による輸入資材価格の高騰等、大きな影響を受けましたが、販売価格への転嫁と生産数量増加によるコスト削減効果により利益の確保に努めました。さらに物流費の急騰が一服したことや、治験完了に伴う治験費用の減少等で、販売費及び一般管理費の増加が抑えられたため、営業利益は前年同期比69.7%増加となる223億62百万円となりました。

経常利益は、外貨建預金や売掛金の換算替えによる為替差益は縮小したものの、堅調な営業利益に支えられ、前年同期比45.3%増加となる200億10百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、当第2四半期までに実施した政策保有株式の売却による特別利益の増加により、前年同期比81.4%増加126億29百万円となりました。

セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

<医療関連事業>

国内販売におきましては、メディカル営業部門で植込み型補助人工心臓が引き続き好調に推移したほか、注射・輸液関連製品においても価格改定により好調に推移しました。しかしながら、バスキュラー関連製品の当社占有市場に対する他社参入の影響や、透析装置設置の減少により全体では低調な推移となりました。

医薬営業部門におきましては、引き続きネキシウムAGのエソメプラゾールが59大学病院本院で採用される等、順調に拡大してまいりました。あわせて、不採算品再算定の適用となった医薬品の値上げにつきましても市場の理解を得ながら改善が進み、売上高、利益ともに好調に推移しました。また、依然として供給問題が続くなかでの得意先への丁寧な説明と真摯な対応が高い評価をいただき、ニプロMRのプレゼンス向上に寄与するものとなっております。

 

海外販売におきましては、学術活動の深耕と技術営業の向上により各国KOLとの連携強化ならびにシステム販売をさらに拡充することで高機能、高付加価値商品の販売に注力しました。また、2023年9月にコロンビアにおける感染症学会、同年11月に米国ペンシルバニアにおける腎臓学会、同年12月には台湾での透析医学会にそれぞれ出展、参加し、同地域でのニプロブランドの浸透と販売強化を図ってまいりました。このような状況下、主力の透析関連商品が、欧州、アジア、インド等、各地域での販売が順調に推移した結果、前年同期比で増収となりました。

自社透析センターも、引き続き世界各国で市場を拡大しており、当第3四半期においては中国、タイ、インド、南アフリカで計9施設を新規開設しました。新興国を中心に質の高い治療を提供できる環境を整え、地域医療に貢献し続けてまいります。

運送費におきましては、海上運賃が正常に戻りつつある一方、国内外の陸送コストは上昇傾向となっているため、今後も地産地消の促進、ハブ倉庫の活用、安全在庫の確保などにより、安定供給および経費削減を推進してまいります。これらの活動を通し医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め、売上高の拡大、利益の確保につなげてまいります。

生産拠点におきましては、大館工場で新しく完成した第7工場のダイアライザ新生産ラインの稼働が、予定通り2023年10月より開始いたしました。今後、2024年4月には、さらに追加するダイアライザ増産ラインの稼働を計画しており、さらなる供給能力の拡大に尽力してまいります。

この結果、当事業の売上高は3,403億45百万円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益(営業利益)は353億73百万円(前年同期比14.9%増)となりました。

 

<医薬関連事業>

医薬関連事業におきましては、受託製造事業で新規品の出荷や感染症領域での受注増加があったほか、前年に受注が減少していた製品の回復もあり、当第2四半期に引き続き注射剤の出荷数が増加しました。一方で一部製品の一時的な受注減やジェネリック製品の終売による出荷減少もあり、売上高は前年同期比で微増となりました。

営業利益につきましては、原材料・エネルギー価格の高騰や、生産キャパシティの拡大に向けた設備投資に伴う償却費の増加および抗菌薬製剤増産のためのプロジェクト費用の計上があったものの、仕切価格の変更による利益率改善に加え、ニプロファーマ・ベトナム・リミテッドにおける生産効率の改善活動の効果もあり、前年同期比で増加となりました。

この結果、当事業の売上高は542億45百万円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益(営業利益)は53億8百万円(前年同期比140.4%増)となりました。

 

<ファーマパッケージング事業>

ファーマパッケージング事業におきましては、医薬用包装容器およびガラス管(医薬用包装容器の材料)の増産体制を整備するとともに、人的リソースの確保を進め、あわせてインフレに伴うコスト増加を緩和する施策を展開しました。工場横断的な生産性の向上および調達単価の低減に尽力したほか、重点品の市場開拓を積極的に推進しました。

日本市場におきましては、硝子関連製品に加え、高利益品であるインジェクションセット、デンタル針、バイアル製剤、調製デバイス等の販売が堅調に推移しました。欧米市場については、販売単価の適正化により主要製品群は増収となりましたが、在庫調整局面にあるガラス管の出荷は軟調でした。中国市場では、ワクチン需要減少に伴い収益率が減少しましたが、付加価値の高い製品のプロモーションに注力しております。

なお、当第3四半期において、フランスのガラス管新工場立ち上げに伴う関連費用が発生しております。

この結果、当事業の売上高は439億2百万円(前年同期比15.6%増)、セグメント利益(営業利益)は16億38百万円(前年同期比35.4%減)となりました。

 

<その他事業>

その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が6億42百万円(前年同期比21.1%増)、セグメント損失(営業損失)は2億円(前年同期は1億66百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1兆1,118億99百万円で、前連結会計年度末に比べ845億円の増加となりました。このうち流動資産は467億16百万円の増加、固定資産は377億83百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、受取手形及び売掛金221億81百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産の建物及び構築物(純額)369億23百万円増加したことによるものであります。

一方、負債合計は8,312億70百万円で、前連結会計年度末に比べ460億45百万円の増加となりました。このうち流動負債は555億51百万円の増加、固定負債は95億6百万円の減少となりました。流動負債の増加の主な要因は、短期借入金375億14百万円増加したことによるものであり、固定負債の減少の主な要因は、長期借入金181億71百万円減少したことによるものであります。

純資産合計は2,806億28百万円で、前連結会計年度末に比べ384億54百万円の増加となりました。このうち株主資本は95億6百万円の増加、その他の包括利益累計額は275億67百万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ1.8ポイント増加し、21.9%となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は132億12百万円であります。