E05714 Japan GAAP
前期
2.14兆 円
前期比
161.4%
前期
886.3万 円
前期比
104.1%
平均年齢(勤続年数)
0.0歳(0.0年)
従業員数
84人(連結:11,487人)
当社グループは、ソニー生命保険株式会社(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険株式会社(以下「ソニー損保」)及びソニー銀行株式会社(以下「ソニー銀行」)を中心に構成されており、当社は、これらを直接の子会社とする金融持株会社であります。
また、当社は、介護事業を統括する持株会社「ソニー・ライフケア株式会社」(以下「ソニー・ライフケア」)及びベンチャーキャピタル事業を担う「ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社」(以下「ソニーフィナンシャルベンチャーズ」)を連結の範囲に含めております。
当社は、当社グループのビジョン・バリューを、当社グループの経営戦略の策定や経営の意思決定における根幹となる考え方と位置づけております。当社グループの主な事業内容は次のとおりであります。
当社は、2004年4月1日付で、ソニー株式会社(現 ソニーグループ株式会社)からの会社分割により設立された金融持株会社であります。2024年3月31日現在、ソニーグループ株式会社は当社株式を100%保有しております。
以上の事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
[事業系統図](2024年3月31日現在)
(注) 当社の連結子会社であったソニーペイメントサービス株式会社の株式を一部譲渡及び株式交換を実施したため、当連結会計年度より、ソニーペイメントサービス株式会社及びETCソリューションズ株式会社は連結の範囲から除外し、同2社及びビー・エックス・ジェイ・エー・ワン・ホールディング株式会社を持分法の適用範囲に含めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況について、重要な影響を与えた事象や要因を経営者の立場から分析し、説明した内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積について過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、結果としてこのような見積と実績が異なる場合があります。
当社グループでは、特に以下の重要な会計方針の適用が、その作成において使用される見積及び予測により、当社グループの連結財務諸表の作成に大きな影響を及ぼすと考えています。
有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、原則として市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には外部の専門家が算定した時価を用いて評価を行う等、合理的に算定された価額によっております。時価の算定方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (金融商品関係)、(デリバティブ取引関係)」に記載しております。
経営者は、金融商品の時価の評価は合理的であると判断しております。ただし、株式市場の悪化など、将来の金融市場の状況によっては、認識される時価の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
売買目的有価証券以外の有価証券について、時価若しくは実質価額が取得価額に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められるものを除き、減損処理を行っております。回復可能性の評価にあたっては、金融市場の状況や投資先の事業計画等が実行可能で合理的であるかどうかを勘案しております。なお、減損処理に係る合理的な基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (金融商品関係)、(有価証券関係)」に記載しております。
経営者は、減損損失の認識に関する判断及び実質価額の見積は合理的であると判断しています。ただし、将来の金融市場の状況や、投資先の事業計画の達成状況によっては、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると判断したものに限り繰延税金資産を認識しています。繰延税金資産の回収可能性は毎連結会計年度末日に見直し、将来の税金負担額を軽減する効果が見込めないと判断される部分について取り崩しています。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかを判断しております。ただし、繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積に依存するため、将来において当社グループをとりまく環境に大きな変化があった場合など、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の金額が変動する可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、資産の自己査定基準に基づき、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり、債権の回収不能時に発生する損失の見積額又は過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率などを債権額に乗じた額について貸倒引当金を計上しています。
経営者は、債権の査定にあたり行っている評価は合理的であり、貸倒引当金は十分に計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし将来、債務者の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
責任準備金は、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引き当てられており、これらの債務は将来の死亡率、罹患率、契約脱退率及び資産運用利回りなどの予測にもとづいております。積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
責任準備金の見積に使用されるこれら基礎率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表に拠っています。
経営者は、責任準備金が健全な保険数理に基づいて適正に積み立てられていると判断しています。ただし、保険数理計算に使用される基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく異なる場合、あるいは基礎率を変更する必要がある場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。
保険契約に基づいて支払義務が発生した、あるいは発生したと認められる保険金などについて、未払金を見積り、支払備金として積み立てています。
経営者は、支払備金は適正に積み立てられていると判断しています。ただし、物価や裁判例などの動向、見積に影響する新たな事実の発生などによって、支払備金の計上額が当初の必要見積額から変動する可能性があります。
有形固定資産、のれん及び無形資産については、減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は、資産又は資産グループの時価から処分費用見込み額を控除した正味売却価額と使用価値のいずれか大きい方としており、資産又は資産グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いており、これらの仮定は過去の実績や経営陣により承認された事業計画、更に新型コロナウイルス感染症の影響等、事業計画策定後の経営環境の変化による将来の収益性の変動を考慮した最善の見積と判断により決定しております。
経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、資産の回収可能価額に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、事業戦略の変更や市場環境の変化等の影響を受け、見積の仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行によって経済活動正常化が進展し、入国制限の大幅緩和や円安を受けて訪日外国人の消費額が過去最高となり、外出制限緩和を受けて国内旅行も復調に向かいました。また、輸入価格の大幅上昇を主因とする販売価格上昇等を受け、大企業を中心に企業収益の改善が続きました。こうした追い風もあり、日経平均株価は過去最高を更新しました。一方で、物価高が続き実質所得が目減りしたことなどから、個人消費の回復は鈍いままとなり、景気は踊り場となりました。また、年度前半は半導体などIT関連需要の低調や中国経済の先行き不透明感等から製造業の生産がやや低調となり、設備投資も手控えられました。ただし、年度後半には生成AIへの期待の高まり等から世界半導体売上高は底打ちし、設備投資にも反転の兆しが出始めました。
債券市場は、日本の金融政策の影響を大きく受けました。2023年7月下旬の日本銀行の金融政策決定会合では、今後の物価上振れリスク等を理由に長期金利の変動許容幅が上限1%まで引き上げられました。この決定により、日本の長期金利(10年物国債利回り)は0.5%を超えて急騰しました。その後、米国のインフレ高止まりへの警戒等による米国の長期金利上昇に連れて、日本の長期金利も10月末には1%近傍まで上昇しました。これを受けて、同月の金融政策決定会合では、長期金利の1%以上の上昇が容認されました。その後、米国の連邦準備制度理事会の利上げ打ち止め方針等によって米国の長期金利がピークアウトしたことで日本の長期金利も低下しましたが、日銀の金融政策の早期正常化期待を受けて長期金利は徐々に上昇に転じました。2024年3月には春闘での大幅賃上げなどを受けて、同月の金融政策決定会合ではマイナス金利政策解除を含む金融政策の正常化が開始されました。
外国為替市場では、米国と日本の長期金利差が為替レートに影響しました。米国のインフレ長期化により米国金利の先高観が強まり、2023年10月末までは日米の金利差は拡大しました。その結果、ドル円レートはドル高・円安傾向となり、同年10月には約1年ぶりに1ドル=150円台を付けました。11月以降は、米国の利上げ打ち止め等から米国の長期金利が低下基調となった一方で、金融政策の早期正常化観測等から日本の金利先高観は根強かったことから、ドル高・円安傾向にいったん歯止めがかかりました。しかし、2024年初からは米国のインフレ高止まり懸念が再度強まったこと等により米国の金利先高観が意識され、ドル円レートは1ドル=150円台に戻りました。
保険・銀行業界においては、持続可能な社会の実現に向けた業界としての役割発揮を目指した取組みが進められる中、人生100年時代と称される超長寿時代において多様化するニーズとリスクに対応した商品・サービスの開発など、お客さま本位の業務運営がより一層推進されました。また、生命保険業界における人口減少・少子高齢化の進展や金融市場の不確実性増大等への対応、損害保険業界における交通量回復に伴う事故の増加等による保険金支払い増加や保険料調整・保険金不正請求問題に端を発した信頼回復への対応など、各種環境の変化を踏まえた企業行動の必要性が高まりました。
こうした状況のもと、当社グループは、グループのビジョンである「心豊かに暮らせる社会を目指し、人に寄り添う力とテクノロジーの力で、一人ひとりの安心と夢を支える金融グループになる」べく、健全な財務基盤を維持しつつ、付加価値の高い商品と質の高いサービスの提供、内部管理態勢の一層の充実など、さまざまな取組みを行ってまいりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の業績は次のとおりとなりました。
経常収益は、生命保険事業、損害保険事業及び銀行事業において増加した結果、3兆4,503億円(前年度比61.4%増)となりました。経常利益は、銀行事業において増加したものの、生命保険事業及び損害保険事業において減少した結果、543億円(同55.6%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加えて、前年度に計上したソニー生命の子会社における資金回収による利益や、ソニー生命における不動産売却にともなう利益の剥落により、411億円(同65.3%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、22兆837億円(前年度末比10.3%増)となりました。主な勘定残高は、国債を中心とした有価証券が16兆8,015億円(同9.0%増)、貸出金が3兆6,820億円(同14.3%増)であります。
負債の部合計は、21兆4,897億円(同10.9%増)となりました。主な勘定残高は、保険契約準備金が15兆727億円(同12.1%増)、預金が3兆8,456億円(同16.3%増)であります。
純資産の部合計は、5,940億円(同7.9%減)となりました。純資産の部のうち、その他有価証券評価差額金は、△707億円(同387億円減)となりました。
経常収益は、特別勘定における運用益が増加したことにより、3兆1,811億円(前年度比67.1%増)となりました。経常利益は、利差損の発生に対して危険準備金を取り崩したものの、一般勘定における有価証券売却損益の悪化や、変額保険等の市況の変動にともなう損益の悪化※などにより、251億円(同73.3%減)となりました。
※変額保険等の市況の変動にともなう最低保証にかかる責任準備金の繰入額及びヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益等の悪化。
経常収益は、主力の自動車保険を中心に正味収入保険料が順調に増加したことにより、1,520億円(同4.7%増)となりました。経常利益は、交通量回復などに伴う損害率の上昇により、64億円(同34.9%減)となりました。
有価証券利息配当金や貸出金利息などの資金運用収益の増加により、経常収益は1,056億円(同33.0%増)、経常利益は228億円(同10.8%増)となりました。
経常収益
経常利益
(※1) 介護事業及びベンチャーキャピタル事業を「その他」に区分。
(※2) 主として持株会社(連結財務諸表提出会社)に係る損益とセグメント間の内部取引消去。
各事業における主要な子会社の業績は次のとおりです。
<ソニー生命(単体)>
ソニー生命の経常収益は、保険料等収入1兆7,439億円(前年度比18.3%増)、資産運用収益1兆3,755億円(同273.7%増)、その他経常収益613億円(同1.7%減)を合計した結果、3兆1,809億円(同67.0%増)となりました。
一方、経常費用は、保険金等支払金1兆546億円(同15.7%増)、責任準備金等繰入額1兆6,120億円(同157.1%増)、資産運用費用2,219億円(同802.1%増)、事業費1,816億円(同7.6%増)などを合計した結果、3兆1,548億円(同74.4%増)となりました。
一般勘定と特別勘定を合計した資産運用損益は、1兆1,536億円(同235.8%増)の利益となりました。うち、一般勘定の資産運用損益は1,988億円(同36.6%減)の利益となりました。
経常利益は、利差損の発生に対して危険準備金を取り崩したものの、一般勘定における有価証券売却損益の悪化や、変額保険等の市況の変動にともなう損益の悪化※1などにより、261億円(同72.6%減)となりました。
経常利益に特別損益、契約者配当準備金繰入額、法人税等合計を加減した当期純利益は、135億円(同86.5%減)となりました。
基礎利益は、変額保険等の最低保証に係る責任準備金繰入額が減少したことなどにより、1,859億円(同55.4%増)となりました。逆ざや額は67億円(前年度は順ざや額210億円)となりました。
個人保険、個人年金保険を合計した新契約高は、変額個人年金、家族収入保険の販売が好調だったことにより、10兆564億円(同20.0%増)となりました。新契約年換算保険料は、変額個人年金の販売が好調であったことにより、1,605億円(同24.9%増)となりました。うち、医療保障・生前給付保障等は89億円(同22.6%減)となりました。一方、解約・失効率※2は、6.98%(同0.29ポイント上昇)となりました。
以上の結果、個人保険、個人年金保険を合計した保有契約高は、66兆5,861億円(前年度末比9.0%増)となりました。保有契約年換算保険料は1兆2,065億円(同8.3%増)、うち、医療保障・生前給付保障等は2,133億円(同1.1%減)となりました。
有価証券含み益※3は、△1兆2,048億円(同1兆1,059億円減)となりました。また、その他有価証券評価差額金は、△728億円(同410億円減)となりました。
(※1) 変額保険等の市況の変動にともなう最低保証にかかる責任準備金の繰入額及びヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益等の悪化。
(※2) 契約高の減額又は増額及び復活を含めない解約・失効高を年度始の保有契約高で除した率です。
(※3) 売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものの帳簿価額と時価の差額。
(保険引受及び資産運用の状況)
保険引受業務
(注) 1.個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金を合計したものです。
2.団体年金保険については、責任準備金の金額です。
(注) 1.新契約・転換による純増加の個人年金保険の金額は年金支払開始時における年金原資です。
2.新契約の団体年金保険の金額は第1回収入保険料です。
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額です(ただし、一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。
2.「医療保障・生前給付保障等」については、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)等に該当する部分の年換算保険料を計上しています。
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額です(ただし、一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。
2.「医療保障・生前給付保障等」については、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)等に該当する部分の年換算保険料を計上しています。
資産運用の状況
経常利益等の明細(基礎利益)
(その他項目の内訳)
単体ソルベンシー・マージン比率
(注) 1.上記は、保険業法施行規則第86条、第87条、及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しています。
2.(B) リスクの合計額のうち、最低保証リスク相当額は標準的方式を用いて算出しています。
経済価値ベースのエンベディッド・バリュー(EV)(ご参考)
エンベディッド・バリュー(EV)は生命保険事業の企業価値を評価する指標の一つです。生命保険会社の現行法定会計による貸借対照表は、保有契約に係る将来利益の現在価値を表示するものではありませんが、EVは、会社の純資産額とともに保有契約の将来利益の現在価値を示すものです。ソニー生命は、EVは法定会計による財務情報を補足するものであり、企業価値を評価するうえで有用な指標となるものと考えています。
ソニー生命では、2008年3月末より、European Insurance CFO Forum Market Consistent Embedded Value Principles©(※)に準拠した市場整合的エンベディッド・バリュー(Market Consistent Embedded Value)を公表してきました。このたび、国内の経済価値ベースのソルベンシー規制等の動向をふまえ、2024年3月末決算よりソニー生命の企業価値を表わす指標として、経済価値ベースで評価したEVである「経済価値ベースのEV」を開示しています。なお、当年度末の経済価値ベースのEVは、前提条件の考え方及び計算方法については従来から変更はありません。
(※) Copyright© Stichting CFO Forum Foundation 2008
(ソニー生命の経済価値ベースのEV)
ソニー生命の経済価値ベースのEVは、新契約の獲得による増加があったものの、金利の上昇などによる減少がそれを上回り2兆70億円(前年度末比1,140億円減)となりました。また、新契約価値は、好調な新契約の獲得などにより、1,756億円(前年度比119億円増)となりました。
(ソニー生命の経済価値ベースのリスク量:税引後)
(注) 1.経済価値ベースのリスク量とは、ソニー生命が保有する各種リスク(保険引受リスク、市場関連リスクなど)を、市場整合的な方法で総合的に評価したリスク総量です。
2.経済価値ベースのリスク量の測定においては、1年VaR99.5%水準とした内部モデルを採用しています。
3.金利リスクは、市場関連リスク内での分散効果考慮前の金額です。
4.カウンターパーティリスクから信用リスクに名称を変更しております。
5.2024年3月末からリスク計測手法を見直しております。見直しにより、保険引受リスクに含まれていた異常危険リスクを独立させ、保険引受リスク等と統合する変更を行っております。2023年3月末については、比較のため保険引受リスクから異常危険リスクを抜き出し、当年度の統合方法により計測した結果を表示しております。
経済価値ベースのリスク量は、主に金利の上昇による保険引受リスク及び市場関連リスク(主に金利リスク)の増加が、保険引受リスク及び市場関連リスクの見直しによる減少を上回ったことにより、1兆771億円(前年度末比974億円増)となりました。
<ソニー損保>
ソニー損保の経常収益は、保険引受収益が1,506億円(前年度比4.7%増)、資産運用収益が13億円(同7.8%増)となった結果、1,520億円(同4.7%増)となりました。保険引受収益の増加は、主力の自動車保険を中心に正味収入保険料が増加したことによるものです。一方、経常費用は、保険引受費用が1,076億円(同8.5%増)、営業費及び一般管理費が379億円(同5.4%増)となり、1,456億円(同7.7%増)となりました。
経常利益は、交通量回復などに伴う損害率の上昇により、64億円(同34.9%減)となりました。経常利益から特別損失、法人税等合計を控除した当期純利益は45億円(同35.4%減)となりました。
保険引受の状況については、元受正味保険料が1,547億円(同5.6%増)、正味収入保険料は1,505億円(同4.7%増)となりました。また、正味支払保険金は813億円(同10.8%増)となり、その結果、正味損害率は61.0%(同2.9ポイント上昇)となりました。保険引受に係る営業費及び一般管理費は378億円(同5.4%増)となり、正味事業費率は26.5%(同0.1ポイント上昇)となりました。これらに支払備金繰入額、責任準備金繰入額などを加減した結果、保険引受利益は51億円(同41.0%減)となりました。
(保険引受及び資産運用の状況)
保険引受業務
(注) 1.営業費及び一般管理費は、損益計算書における営業費及び一般管理費のうち保険引受に係る金額です。
2.その他収支は、自動車損害賠償責任保険等に係る法人税相当額などです。
(注) 元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものです(積立型保険の積立保険料を含む)。
② 正味収入保険料
③ 正味支払保険金
(注) 正味損害率=(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料
資産運用業務
(1) 運用資産
(2) 有価証券
(3) 利回り
a) 運用資産利回り(インカム利回り)
(注) 1.収入金額は、損益計算書における「利息及び配当金収入」の金額です。
2.平均運用額は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。ただし、コールローンについては日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。
b) 資産運用利回り(実現利回り)
(注) 1.資産運用損益(実現ベース)は、損益計算書における「資産運用収益」及び「積立保険料等運用益」の合計額から「資産運用費用」を控除した金額です。
2.平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。ただし、コールローンについては日々の残高(取得原価又は償却原価)の平均に基づいて算出しております。
3.資産運用利回り(実現利回り)にその他有価証券の評価差額等を加味した時価ベースの利回り(時価総合利回り)は以下のとおりです。
なお、資産運用損益等(時価ベース)は、資産運用損益(実現ベース)にその他有価証券に係る評価差額(税効果控除前の金額による)の当期増減額を加減算した金額です。
また、平均運用額(時価ベース)は、平均運用額(取得原価ベース)にその他有価証券に係る前期末評価差額(税効果控除前の金額による)を加減算した金額です。
(4) 海外投融資
(注) 1.「海外投融資利回り」のうち「運用資産利回り(インカム利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「(3)利回りa)運用資産利回り(インカム利回り)」と同様の方法により算出しております。
2.「海外投融資利回り」のうち「資産運用利回り(実現利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「(3)利回りb)資産運用利回り(実現利回り)」と同様の方法により算出しております。
なお、海外投融資に係る時価総合利回りは、前事業年度0.50%、当事業年度0.63%です。
単体ソルベンシー・マージン比率
(注) 上記の金額及び数値は、保険業法施行規則第86条(単体ソルベンシー・マージン)及び第87条(単体リスク)並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。
・損害保険会社は、保険事故発生の際の保険金支払や積立保険の満期返戻金支払等に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生や、損害保険会社が保有する資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。
・こうした「通常の予測を超える危険」を示す「単体リスクの合計額」(上表の(B))に対する「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(すなわち単体ソルベンシー・マージン総額:上表の(A))の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたものが、「単体ソルベンシー・マージン比率」(上表の(C))であります。
・「通常の予測を超える危険」とは、次に示す各種の危険の総額をいいます。
・「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(単体ソルベンシー・マージン総額)とは、損害保険会社の純資産(社外流出予定額等を除く)、諸準備金(価格変動準備金・異常危険準備金等)、土地の含み益の一部等の総額であります。
・単体ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に活用する客観的な判断指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。
ソニー銀行(単体)の経常収益は、有価証券利息配当金や貸出金利息などの資金運用収益の増加により、経常収益は1,019億円(同40.8%増)、経常利益は240億円(同25.8%増)となりました。当期純利益は、ソニーペイメントサービス株式会社の株式を一部譲渡したことに伴う利益を特別利益に計上したことにより、289億円(同131.3%増)となりました。
資金運用収支は、有価証券利息配当金などの増加により、521億円(同20.4%増)となりました。役務取引等収支は、△26億円(前年度は△27億円)となりました。その他業務収支は、△2億円(同△0億円)となりました。その結果、業務粗利益は、491億円(前年度比21.7%増)となりました。また、営業経費については、広告宣伝費等の増額もあり、274億円(同21.1%増)となり、結果、業務純益は217億円(同22.5%増)となりました。
当事業年度末(2024年3月31日)の預かり資産(預金と投資信託の合計)残高は、4兆3,312億円(前年度末比6,555億円増、17.8%増)となりました。内訳は次のとおりです。預金残高は、口座数増加にともなう新規資金の獲得などにより円預金残高が増加し、4兆796億円(同5,887億円増、16.9%増)となりました。預金残高のうち、円預金は3兆4,649億円(同4,751億円増、15.9%増)、外貨預金は6,147億円(同1,135億円増、22.7%増)となりました。投資信託は2,515億円(同667億円増、36.2%増)となりました。また、貸出金残高は、住宅ローンの着実な積み上がりにより、3兆4,626億円(同4,528億円増、15.0%増)となりました。
なお、純資産の部のうち、その他有価証券評価差額金は、4億円(同22億円増)となりました。
以下では、銀行事業における主要な子会社であるソニー銀行(単体)の状況について記載します。
(銀行事業の状況)
① 国内・国際業務部門別収支
当事業年度の資金運用収支は521億円、役務取引等収支は△26億8百万円、その他業務収支は△2億97百万円となりました。このうち、国内業務部門の資金運用収支は、332億44百万円、役務取引等収支は△29億67百万円、その他業務収支は△17億75百万円となりました。また、国際業務部門の資金運用収支は、188億55百万円、役務取引等収支は3億58百万円、その他業務収支は14億78百万円となりました。
(注) 1.国内業務部門は国内の円建取引、国際業務部門は外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.資金運用収益及び資金調達費用の合計額の( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
② 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
資金運用勘定平均残高は、貸出金及び有価証券を中心に4兆9,888億80百万円となりました。資金運用勘定利息は貸出金利息及び有価証券利息配当金を中心に807億46百万円となりました。この結果、資金運用勘定利回りは、1.62%となりました。なお、国内業務部門は0.87%、国際業務部門は5.55%となりました。
資金調達勘定平均残高は預金を中心に4兆8,429億16百万円となりました。資金調達勘定利息は預金を中心に、286億45百万円となりました。この結果、資金調達勘定利回りは0.59%となりました。なお、国内業務部門は0.09%、国際業務部門は3.30%となりました。
国内業務部門
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。
2.国内業務部門は円建取引です。
3.( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)です。
4.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。
国際業務部門
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。
2.国際業務部門は外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
3.( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)です。
4.資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。
合計
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。
2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。
③ 国内・海外別役務取引の状況
役務取引等収益は、預金・貸出業務及びデビットカード関連業務を中心に合計で、157億64百万円となりました。役務取引等費用は、支払為替手数料を含めて183億73百万円となりました。
(注) 国内業務部門とは円建取引、国際業務部門とは外貨建取引です。
④ 国内・海外別預金残高の状況(末残)
預金の種類別残高(末残)
(注) 1.国内業務部門とは円建取引、国際業務部門とは外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.流動性預金は普通預金です。定期性預金は定期預金です。
⑤ 国内・海外別貸出金残高の状況
業種別貸出状況(末残・構成比)
外国政府向け債権残高(国別)
該当事項はありません。
⑥ 国内・海外別有価証券の状況(末残)
有価証券残高(末残)
(注) 1.国内業務部門とは円建取引です。国際業務部門とは主に外貨建取引です。
2.その他の証券には外国債券を含んでおります。
⑦ 単体自己資本比率の状況
自己資本比率(国内基準)は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、単体ベースについて算出しております。なお、ソニー銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出において、「基礎的内部格付手法」を採用しております。また、2023年3月31日より、令和4年金融庁告示第22号等による改正後の平成18年金融庁告示第19号に則り算出しております。
自己資本比率の状況(国内基準)
⑧ 資産の査定
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ソニー銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社は、2024年度を始期とする3カ年の中期経営計画において、IFRS 修正純利益及びIFRS 修正ROE(いずれもIFRS第17号適用ベース)を重視していくことを決定しております。
なお、従前の目標とする経営指標に係る実績は次のとおりです。
主に生命保険事業における保険料等収入により、7,829億円の収入超過となりました。前年度比では、銀行事業における預金及び借用金が増加したことなどにより、収入超過額が3,643億円(87.0%)増加しました。
(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー
主に生命保険事業において、有価証券の取得による支出が有価証券の売却・償還による収入を上回ったことにより、5,740億円の支出超過となりました。前年度比では、支出超過額が652億円(12.8%)増加しました。
(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー
主に配当金の支払いにより、531億円の支出超過となりました。前年度比では、支出超過額が109億円(25.9%)増加しました。
これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から1,569億円(20.7%)増加し、9,134億円となりました。
(ⅳ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、グループ各社の顧客の信頼を維持・獲得するために高い健全性を維持し、また業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しております。
当社は、有価証券報告書提出日現在において大型の成長投資を予定していないものの、将来的な資金ニーズの発生に機動的に対応できる体制を構築することを目的とし、株式会社格付投資情報センターより、発行体格付「AA-」を取得しております。なお、子会社の取得格付けは、以下のとおりです。
ソニー生命保険株式会社:
(株)格付投資情報センター(R&I) 保険金支払能力 AA
S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(株) 保険財務力格付 A+
ソニー銀行株式会社:
(株)格付投資情報センター(R&I) 発行体格付 AA
S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(株) 長期発行体格付 A
短期発行体格付 A-1
また、支払能力の確保に関しては、規制当局の定める各種規制の遵守及びそれに準拠した社内規程を制定、運用することによって、十分な現金及び現金同等物を準備しております。このほか、株主還元についての考え方は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
(3) 生産、受注及び販売の実績
「生産、受注及び販売の実績」は、該当する情報がないので記載しておりません。