E05714 Japan GAAP
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当中間連結会計期間の日本経済は、経済活動の正常化が進んだことにより、景気の持ち直しが続きました。2023年4~6月期のGDP成長率は前期比年率+4.8%と高い伸びとなり、7~9月期も底堅く推移した見込みです。新型コロナウイルス感染症の水際措置の終了と円安による訪日外国人消費額の急速な回復や、良好な企業収益とデジタル化対応等に向けた設備投資意欲の強さが、景気を押し上げています。他方で、食品価格の高騰等による物価高は引き続き重石となっており、個人消費の先行きは予断を許さない状況です。
10年国債利回りは期初の0.4%弱からから大きく上昇しました。日本銀行は物価見通しの上振れなどを理由に、7月に10年債利回りの上限を1%へ引き上げました。また、米国の金利上昇を背景に日本の10年債利回りが上昇すると、日銀は10月に政策をさらに柔軟化し、1%を10年国債利回りの上限の「目途」とすることを決めました。これを受けて10年国債利回りは11月に一時0.95%に迫りました。
米国では、底堅い景気によってインフレ高止まりの懸念が徐々に強まり、米国連邦準備制度理事会による金融引き締め策の長期化観測が高まったことで、米10年国債利回りは期初の約3.5%から10月には2007年以来となる5%近辺まで上昇しました。ただし、この金利急騰を背景に11月に政策金利の引き上げが見送られたことや、経済指標の軟調な結果を受けて、米10年金利は11月に4%台後半へと低下しました。
日本の10年債利回りよりも米国の10年債利回りの上昇テンポが高まり、日米の10年債利回り格差が大きくなったことなどから、ドル円レートでは円安地合いが強まりました。10月には約1年ぶりとなる150円台まで円安が進みました。
こうした状況のもと、当社グループは、グループのビジョンである「心豊かに暮らせる社会を目指し、人に寄り添う力とテクノロジーの力で、一人ひとりの安心と夢を支える金融グループになる」べく、健全な財務基盤を維持しつつ、付加価値の高い商品と質の高いサービスの提供、内部管理態勢の一層の充実など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
その結果、当社グループの当中間連結会計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)の業績は次のとおりとなりました。
経常収益は、生命保険事業、損害保険事業および銀行事業において増加した結果、前年同期比33.4%増の1兆5,610億円となりました。経常利益は、銀行事業において増加したものの、生命保険事業および損害保険事業において減少した結果、前年同期比44.9%減の312億円となりました。経常利益に特別損益、契約者配当準備金繰入額、法人税等合計を加減した親会社株主に帰属する中間純利益は、経常利益の減少に加えて、前年同期に計上したソニー生命保険株式会社(以下、「ソニー生命」)の子会社における資金回収による利益や、ソニー生命における不動産売却にともなう利益の剥落により、前年同期比73.4%減の199億円となりました。
財政状態については、次のとおりとなりました。
当中間連結会計期間末における総資産は、前年度末比5.2%増の21兆648億円となりました。主な勘定残高は、国債を中心とした有価証券が前年度末比4.0%増の16兆254億円、貸出金が前年度末比5.9%増の3兆4,132億円であります。
負債の部合計は、前年度末比5.9%増の20兆5,251億円となりました。主な勘定残高は、保険契約準備金が前年度末比5.7%増の14兆2,110億円、預金が前年度末比8.6%増の3兆5,917億円であります。
純資産の部合計は、前年度末比16.3%減の5,397億円となりました。純資産の部のうち、その他有価証券評価差額金は、前年度末比753億円減の△1,074億円となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
経常収益は、特別勘定における運用益が増加したことにより、1兆4,315億円(前年同期比35.2%増)となりました。経常利益は、外貨建保険関係の為替差損益の悪化や、変額保険等の市況の変動にともなう損益の悪化※などにより、157億円(同64.5%減)となりました。
※変額保険等の市況の変動にともなう最低保証にかかる責任準備金の繰入額およびヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益等の悪化。
経常収益は、主力の自動車保険を中心に正味収入保険料が順調に増加したことにより、747億円(同1.6%増)となりました。経常利益は、システム関連費用の増加などにより事業費率が上昇したことから、31億円(同4.4%減)となりました。
有価証券利息配当金や貸出金利息などの資金運用収益の増加により、経常収益は492億円(同44.2%増)、経常利益は123億円(同23.1%増)となりました。
各事業における主要な子会社の業績は次のとおりです。
<ソニー生命(単体)>
ソニー生命の経常収益は、保険料等収入7,844億円(前年同期比12.0%増)、資産運用収益6,350億円(同82.4%増)、その他経常収益119億円(同18.9%増)を合計した結果、1兆4,314億円(同35.2%増)となりました。
一方、経常費用は、保険金等支払金4,524億円(同6.2%増)、責任準備金等繰入額7,565億円(同117.5%増)、資産運用費用886億円(同30.8%減)、事業費866億円(同3.3%増)などを合計した結果、1兆4,152億円(同39.6%増)となりました。
経常利益は、外貨建保険関係の為替差損益の悪化や、変額保険等の市況の変動にともなう損益の悪化※1などにより、162億円(同63.9%減)となりました。経常利益に特別損益、契約者配当準備金繰入額、法人税等合計を加減した中間純利益は、99億円(同80.3%減)となりました。
基礎利益は、変額保険等の最低保証に係る責任準備金繰入額が減少したことなどにより、846億円(同108.0%増)となりました。逆ざや額は18億円(前年同期は順ざや額134億円)となりました。
個人保険、個人年金保険を合計した新契約高は、4兆7,369億円(前年同期比39.6%増)となりました。新契約年換算保険料は715億円(同28.3%増)となり、うち医療保障・生前給付保障等は、45億円(同26.7%減)となりました。一方、解約・失効率※2は、3.42%(同1.02ポイント上昇)となりました。
以上の結果、個人保険、個人年金保険を合計した保有契約高は、63兆8,818億円(前年度末比4.5%増、前年同期比6.7%増)となりました。保有契約年換算保険料は1兆1,611億円(前年度末比4.2%増、前年同期比6.2%増)となり、うち医療保障・生前給付保障等は2,159億円(前年度末比0.1%増、前年同期比1.3%減)となりました。
有価証券含み損益※3は、△1兆1,842億円(前年度末比1兆853億円減)となりました。また、その他有価証券評価差額金は、△1,075億円(同757億円減)となりました。
(※1) 変額保険等の市況の変動にともなう最低保証にかかる責任準備金の繰入額およびヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益等の悪化。
(※2) 契約高の減額または増額、並びに復活を含めない解約・失効高を年度始の保有契約高で除した率です。
(※3) 売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものの帳簿価額と時価の差額。
(保険引受の状況)
① 保有契約高
(注) 1.個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金を合計したものです。
2.団体年金保険については、責任準備金の金額です。
② 新契約高
(注) 1.新契約・転換による純増加の個人年金保険の金額は年金支払開始時における年金原資です。
2.新契約の団体年金保険の金額は第1回収入保険料です。
③ 保有契約年換算保険料
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額です(ただし、一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。
2.「医療保障・生前給付保障等」については、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)等に該当する部分の年換算保険料を計上しています。
④ 新契約年換算保険料
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額です(ただし、一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。
2.「医療保障・生前給付保障等」については、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)等に該当する部分の年換算保険料を計上しています。
(単体ソルベンシー・マージン比率)
(注) 1.上記は、保険業法施行規則第86条、第87条、及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しています。
2.(B)リスクの合計額のうち、最低保証リスク相当額は標準的方式を用いて算出しています。
<ソニー損害保険株式会社(以下、「ソニー損保」)>
ソニー損保の経常収益は、保険引受収益が740億円(前年同期比1.5%増)、資産運用収益が6億円(同9.5%増)となった結果、747億円(同1.6%増)となりました。保険引受収益の増加は、主力の自動車保険を中心に正味収入保険料が順調に増加したことによるものです。一方、経常費用は、保険引受費用が533億円(同0.3%増)、営業費及び一般管理費が181億円(同6.8%増)となったことにより、715億円(同1.9%増)となりました。経常利益は、システム関連費用の増加などにより事業費率が上昇したことから、31億円(同4.4%減)となりました。経常利益から特別損失、法人税等合計を控除した中間純利益は22億円(同4.9%減)となりました。
保険引受の状況については、元受正味保険料が756億円(同1.7%増)、正味収入保険料が739億円(同1.5%増)となりました。また、正味支払保険金は392億円(同9.6%増)となり、その結果、正味損害率は60.3%(同4.2ポイント上昇)となりました。保険引受に係る営業費及び一般管理費は181億円(同6.9%増)となり、正味事業費率は25.8%(同1.0ポイント上昇)となりました。これらに支払備金繰入額、責任準備金繰入額などを加減した結果、保険引受利益は25億円(同7.7%減)となりました。
(保険引受の状況)
① 元受正味保険料(含む収入積立保険料)
(注) 元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものです(積立型保険の積立保険料を含む)。
② 正味収入保険料
③ 正味支払保険金
(注) 正味損害率=(正味支払保険金+損害調査費)÷正味収入保険料
(単体ソルベンシー・マージン比率)
保険業法施行規則第86条及び第87条並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づき、単体ソルベンシー・マージン比率を算出しております。
損害保険会社は、保険事故発生の際の保険金支払や積立保険の満期返戻金支払等に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生や、損害保険会社が保有する資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。こうした「通常の予測を超える危険」を示す「単体リスクの合計額」(下表の(B))に対する「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(すなわち単体ソルベンシー・マージン総額:下表の(A))の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたものが、「単体ソルベンシー・マージン比率」(下表の(C))であります。
単体ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に活用する客観的な判断指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。
<ソニー銀行株式会社(以下、「ソニー銀行」)(連結・単体)>
ソニー銀行(連結)では、有価証券利息配当金や貸出金利息などの資金運用収益の増加により、経常収益は492億円(前年同期比44.2%増)、経常利益は123億円(同23.1%増)となりました。その結果、親会社株主に帰属する中間純利益は82億円(同20.3%増)となりました。なお、連結業務粗利益は267億円(同21.4%増)、連結業務純益は115億円(同20.3%増)となりました。
ソニー銀行(単体)においても前述の要因により、経常収益は453億円(同47.1%増)、経常利益は113億円(同21.4%増)、中間純利益は78億円(同19.7%増)となりました。
なお、資金運用収支は253億円(同37.3%増)、役務取引等収支は△20億円(前年同期は△17億円)、その他業務収支は△2億円(同24億円)となり、業務粗利益は229億円(前年同期比19.7%増)となりました。また、営業経費は124億円(同20.9%増)となり、その結果、業務純益は105億円(同18.2%増)となりました。
当中間会計期間末(2023年9月30日)の預かり資産(預金と投資信託の合計)残高は、4兆171億円(前年度末比3,414億円増、9.3%増)となりました。内訳は次のとおりです。預金残高は、口座数増加にともなう新規資金の獲得などにより主に円預金残高が増加し、3兆8,048億円(同3,139億円増、9.0%増)となりました。預金残高のうち、円預金は3兆2,665億円(同2,767億円増、9.3%増)、外貨預金は5,383億円(同371億円増、7.4%増)となりました。投資信託は2,122億円(同275億円増、14.9%増)となりました。また、貸出金残高は、住宅ローン残高の着実な積み上がりにより、3兆1,967億円(同1,869億円増、6.2%増)となりました。
なお、純資産のうち、その他有価証券評価差額金は△13億円(同4億円増)となりました。
以下では、銀行事業における主要な子会社であるソニー銀行(単体)の状況について記載します。
(銀行事業の状況)
① 国内・国際業務部門別収支
当中間会計期間の資金運用収支は253億26百万円、役務取引等収支は△20億91百万円、その他業務収支は△2億84百万円となりました。このうち、国内業務部門の資金運用収支は148億95百万円、役務取引等収支は△22億56百万円、その他業務収支は△4億24百万円となりました。また、国際業務部門の資金運用収支は104億30百万円、役務取引等収支は1億64百万円、その他業務収支は1億39百万円となりました。
(注) 1.国内業務部門は国内の円建取引、国際業務部門は外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の数字は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息です。
3.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
② 国内・国際業務部門別役務取引の状況
役務取引等収益は、預金・貸出業務及びデビットカード関連業務を中心に合計で、67億26百万円となりました。役務取引等費用は、支払為替手数料を含めて88億17百万円となりました。
(注) 国内業務部門とは円建取引、国際業務部門とは外貨建取引です。
③ 国内・国際業務部門別預金残高の状況
預金の種類別残高(末残)
(注) 1.国内業務部門とは円建取引、国際業務部門とは外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.流動性預金は普通預金です。定期性預金は定期預金です。
④ 国内・海外別貸出金残高の状況
1.業種別貸出状況(末残・構成比)
2.外国政府等向け債権残高(国別)
該当事項はありません。
⑤ 単体自己資本比率の状況
自己資本比率(国内基準)は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、単体ベースについて算出しております。なお、ソニー銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出において、「基礎的内部格付手法」を採用しております。また、2023年3月31日より、令和4年金融庁告示第22号等による改正後の平成18年金融庁告示第19号に則り算出しております。
⑥ 資産の査定
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ソニー銀行の中間貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに中間貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に生命保険事業における保険料等収入により、4,094億円の収入超過となりました。前年同期比では、収入超過額が4,967億円増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に生命保険事業における有価証券の取得による支出が有価証券の売却・償還による収入を上回ったことにより、1,962億円の支出超過となりました。前年同期比では、支出超過額が580億円減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払いにより、504億円の支出超過となりました。前年同期比では、支出超過額が188億円増加しました。
これらの活動の結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ1,635億円増加、前年同期と比べ4,038億円増加し、9,200億円となりました。