売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04002 Japan GAAP

売上高

4,231.7億 円

前期

3,982.4億 円

前期比

106.3%

時価総額

4,702.5億 円

株価

2,066.5 (07/12)

発行済株式数

227,560,939

EPS(実績)

89.64 円

PER(実績)

23.05 倍

平均給与

677.3万 円

前期

654.8万 円

前期比

103.4%

平均年齢(勤続年数)

42.0歳(9.0年)

従業員数

1,869人(連結:3,854人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、イオン株式会社を親会社とする当社および連結子会社57社(株式会社OPA、他国内6社、AEON MALL (CHINA) BUSINESS MANAGEMENT CO.,LTD.、他中国38社、カンボジア3社、ベトナム2社、インドネシア3社、シンガポール1社、ミャンマー2社)、持分法適用会社1社で構成され、当社はモール事業を行っています。連結子会社のうち、株式会社OPA他2社は都市型ショッピングセンター事業、54社はモール事業等を行っています。

当社は、イオングループのディベロッパー事業を担う中核企業として、一般テナントのほか、GMS事業を営むイオンリテール株式会社およびイオングループ各社に対して当社モールの店舗を賃貸しています。

 

 当社及び関係会社の事業に関わる位置付けは、以下の通りです。

 

※画像省略しています。

 

 

※当社は、イオンリテール株式会社およびイオン東北株式会社の49の商業施設の管理・運営業務を受託しています。

 

 

24/05/24

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

a.連結経営成績に関する説明

当連結会計年度の経営成績は、営業収益は4,231億6千8百万円(前期比106.3%)と増収で過去最高を達成、営業利益は464億1千1百万円(同105.5%)、経常利益は370億8千6百万円(同101.9%)といずれも増益となりました。カテプリ(北海道)の管理・運営業務終了を決定したことによる店舗閉鎖損失引当金繰入額6億5千万円、減損損失19億6千万円等、特別損失に36億6千万円を計上しましたが、前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症による損失30億3千7百万円、固定資産除却損24億9千9百万円、減損損失44億6千1百万円、店舗閉鎖損失引当金繰入額20億1千7百万円等、特別損失に132億2千9百万円を計上し、特別損益が前期比111億4百万円改善したことから、税金等調整前当期純利益は363億7千4百万円(同147.9%)となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は203億9千9百万円(同157.0%)と増益となりました。

 

◆連結経営成績                                  (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(前期比)

営業収益

398,244

423,168

+24,924

(106.3%)

営業利益

43,979

46,411

+2,432

(105.5%)

経常利益

36,409

37,086

+677

(101.9%)

親会社株主に帰属する当期純利益

12,994

20,399

+7,405

(157.0%)

 

b.セグメント別事業概況に関する説明

◆セグメント別経営成績                                (単位:百万円)

 

営業収益

セグメント利益又は損失(△)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(前期比)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(前期比)

 

中国

52,538

58,985

+6,447

(112.3%)

6,634

6,537

△96

(98.5%)

 

ベトナム

13,283

15,263

+1,979

(114.9%)

3,063

3,901

+837

(127.3%)

 

カンボジア

5,672

8,499

+2,827

(149.8%)

1,145

411

△734

(35.9%)

 

インドネシア

5,897

7,260

+1,363

(123.1%)

△987

△269

+717

(-)

 

その他

(-)

△15

△14

+1

(-)

海外

77,392

90,009

+12,617

(116.3%)

9,839

10,565

+725

(107.4%)

日本

321,700

333,722

+12,022

(103.7%)

34,114

35,821

+1,706

(105.0%)

調整額

△848

△563

+284

(-)

25

25

(100.0%)

合計

398,244

423,168

+24,924

(106.3%)

43,979

46,411

+2,432

(105.5%)

 

■海外

〔当連結会計年度(1月~12月)〕

営業収益は900億9百万円(前期比116.3%)、営業利益は105億6千5百万円(同107.4%)と増収増益となりました。各国における営業概況は以下に記載のとおりです。なお、海外現地法人の決算期は12月末のため、当連結会計年度の業績は1月~12月となります。

 

(中国)

営業収益は589億8千5百万円(前期比112.3%)、営業利益は65億3千7百万円(同98.5%)となりました。前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という。)の拡大に伴う一時休業期間中の固定費等29億1千万円を「新型コロナウイルス感染症による損失」として営業原価から特別損失に振替計上したこともあり、営業利益は9千6百万円の減益となりました。

当連結会計年度においては、2022年12月にゼロコロナ政策が緩和され、特に江蘇省、湖北省のモールを中心に客足は回復基調で推移しました。中国では不動産市場の低迷等による経済成長率の低下が懸念されていますが、当社モールは飲食、アミューズメント業種を中心に好調に推移しました。7月28日には中国の旗艦店であるイオンモール武漢経開(湖北省武漢市)を増床リニューアルオープンしました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比130.3%(対象21モール)と伸長しました。

 

(ベトナム)

営業収益は152億6千3百万円(前期比114.9%)、営業利益は39億1百万円(同127.3%)と増収増益となりました。

当連結会計年度においては、4月以降、輸出製品工場の倒産による若年層の失業率増加等、外需低迷や電力不足に伴う経済成長鈍化の影響に加え、前年同期間が政府のウィズコロナ政策への転換によってペントアップデマンド(抑制されていた需要)が顕在化し好調だった反動から、第2四半期連結会計期間(4月~6月)および第3四半期連結会計期間(7月~9月)の既存モール専門店売上は前年を下回るトレンドで推移しました。当第4四半期連結会計期間(10月~12月)は、11月に実施したブラックフライデー企画等の集客強化策の効果もあり、前年並みのトレンドに改善しました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比104.4%(対象6モール)と伸長、新型コロナの影響を受けていない2019年度対比では141.9%(対象4モール)と高い成長を持続しています。

 

(カンボジア)

営業収益は84億9千9百万円(前期比149.8%)、営業利益は4億1千1百万円(同35.9%)となりました。2022年12月に3号店イオンモール ミエンチェイ(プノンペン都)を開業したことで営業収益は前期比増収となったものの、想定客数の未達やコロナ下でのオープンによる空床の影響等もあり営業収益が想定した水準を下回ったことから、営業利益は減益となりました。

当連結会計年度においては、新型コロナに伴う行動制限は大幅に緩和され、当社モールは通常営業しました。一方、イオンモール ミエンチェイの前面道路となるフンセン道路の陸橋工事による渋滞については、迂回路や周辺道路の開通工事等の渋滞対策が進められていますが、集客面で大きく影響を受けました。既存モールでは、11月4日に1号店イオンモール プノンペン(プノンペン都)を増床リニューアルオープンしましたが、増床エリアの一部区画での工事遅れや大型専門店との交渉が難航し、また、中国人旅行客を中心としたインバウンド需要の減少による影響を受けました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比90.9%(対象2モール)となりました。

 

(インドネシア)

営業収益は72億6千万円(前期比123.1%)と増収、営業損益は2億6千9百万円の損失(前連結会計年度は9億8千7百万円の損失)となりました。2021年度にコロナ下でオープンした4号店イオンモール タンジュンバラット(南ジャカルタ区)における空床の影響等もあり営業損失となりましたが、当該モールの空床状況は改善が進み、営業損益は前期比7億1千7百万円改善しました。

当連結会計年度においては、ウィズコロナへの移行により行動制限が緩和され、人流の正常化、経済活動の活発化に伴い内需が堅調に推移したことから、当社モールへの集客は改善基調となりました。既存モールでは、1号店イオンモールBSD CITY(バンテン州)において、2021年の第1期リニューアルに続き、44店舗を刷新する第2期リニューアルを実施しました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール来店客数は前期比119.7%(対象4モール)と伸長しました。

 

当連結会計年度における海外新規物件は、中国で11月にイオンモール武漢江夏(湖北省武漢市)をオープン、カンボジアで新たに取り組む物流事業の拠点として、7月にシハヌークビルFTZロジスティクスセンター(シハヌーク州)を開設しました。

 

<当連結会計年度の海外新規モール>

国名

名称

所在

オープン

専門店数

総賃貸面積

(㎡)

特徴

カンボジア

シハヌークビルFTZロジスティクスセンター

シハヌーク州

2023年7月15日

19,400(注)

当センターでは非居住者でも在庫保有が可能なことから、国際輸送における安定的な商品供給が可能となり、また通関および倉庫業務すべてを自社運営することでシームレスな対応を実現します。国内最大の貨物取引量を有するシハヌークビル港に隣接する経済特区に位置しており、今後カンボジアの経済発展に伴う貨物量増加が期待でき、東南アジアエリアにおける新たなハブ拠点へと成長していきます。

中国

イオンモール武漢江夏

湖北省武漢市

2023年11月1日

260

95,000

来店することでしか得ることのできない「リアルの体験価値」を徹底的に追求し、大人から子供まで楽しめるエンターテインメント施設や、多様な食を体験できる専門店を多く誘致しました。飲食、アミューズメント・シネマが全体の約4割を占める構成とし、モールで過ごす時間や体験にこだわった施設づくりを行いました。

(注)シハヌークビルFTZロジスティクスセンターは総賃貸面積ではなく建築面積を表記。

 

■日本

〔当連結会計年度(3月~2月)〕

営業収益は3,337億2千2百万円(前期比103.7%)、営業利益は358億2千1百万円(同105.0%)と増収増益となりました。

当連結会計年度においては、3月13日より新型コロナ感染対策としてのマスク着用が個人の判断となり、また5月8日より新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことでお客さまの外出意欲は改善、各モールでは集客イベントを継続的に実施しました。加えて、イオンモールアプリやWAON POINT施策との連動等、マーケティングデータに基づくお客さまの購買意欲を喚起する取り組み、ハロウィンやブラックフライデー、年末年始商戦における大型プロモーション等、さまざまな集客強化策を実施しました。インフレによる物価上昇が客単価アップに繋がり、当社モールの売上は改善基調で推移しました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比105.6%(対象91モール)となりました。

当連結会計年度における国内新規物件として、4月にイオンモール豊川(愛知県)、THE OUTLETS

SHONAN HIRATSUKA(神奈川県)、10月にJIYUGAOKA de aone(東京都)、12月に

CeeU Yokohama(神奈川県)をオープンしました。新規開業の4施設はいずれも使用電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄う施設運営であり、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。また、既存モールでは13モールでリニューアルを実施しました。

 

<当連結会計年度における国内新規モール>

名称

所在

オープン

専門店数

総賃貸面積(㎡)

特徴

イオンモール豊川

愛知県

2023年4月4日

190

63,000

地域の方々が集い、交わる緑豊かなガーデンスペースをはじめ、スポーツを体験できる屋外広場を配置することで、ゆったりと過ごせる空間を提供しています。また、発電容量1,300MWhを誇る「ソーラーカーポート」や施設内で発生する食品生ごみを利用して「バイオガス」発電、AIカメラを活用した空調制御設備等を完備した環境配慮型施設として、地域とともに環境課題解決に向けた取り組みを進めていきます。

THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA

神奈川県

2023年4月28日

150

33,000

地域創生型商業施設「THE OUTLETS(ジ アウトレット)」業態3号店として、アウトレットショッピング体験だけでなく、スポーツや健康、アウトドアを切り口にしたリアル店舗ならではの五感で楽しめる体験型アクティビティのほか、心と体を癒やし、ゆったりとした時間を過ごせる緑豊かな施設環境を提供しています。平塚市や湘南ベルマーレ等と協働し、当施設ならではの地域との出会いを創出していきます。

JIYUGAOKA de aone

東京都

2023年10月20日

26

 5,000

自由が丘の街に時間と共に馴染んでいく環境デザインをめざし、都会的で緑豊かな街歩きのできる街路空間を環境デザインコンセプトに採用しています。開放感あふれる屋外空間として約1,000㎡からなる緑豊かなテラスを3階に配置し、地域の人々・来街者の方々が憩い集える空間を提供します。また、多摩産材ヒノキを通路や階段部分にウッドデッキとして利用し、資材の地産地消に取り組んでいます。

CeeU Yokohama

神奈川県

2023年12月15日(注)

24

20,000

メインエントランス前には地域のイベントが開催できるピロティ形状の広場をつくり、隣接する横浜ビブレとの一体利用ができる空間を設けています。当施設は「一般社団法人 横浜西口エリアマネジメント」に参画し、行政や近隣の学校等と連携しながら横浜西口エリアの活性化や賑わいを創出します。また、エレベーターホール壁面材には神奈川県産木材を採用、資材の地産地消に取り組んでいます。

(注)10月27日に1階部分を第1期オープン、11月27日に9階部分を第2期オープン。

 

c.成長施策および新たな取り組み

当社は、2024年2月期(2023年度)を初年度とする中期経営計画(2023~2025年度)を策定し、これまで成長施策として推進してきたESG経営のさらなる進化を図るべく、「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を取組方針とし、ステークホルダーの皆さまに対して経済価値、社会価値、環境価値を創出する「真の統合型ESG経営」の実現により持続的な成長をめざしていきます。具体的には、「海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化」「国内におけるビジネスモデル改革の推進」「既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出」を成長施策として展開し、成長を支える基盤構築として「サステナブル視点での財務基盤強化と組織体制構築」を推進していきます。

 

■成長施策

(海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化)

成長性の高いエリアにおける物件の探索・確保を進め、新規出店を加速していきます。最重点出店エリアであるベトナムでは、ホーチミン市を中心とした南部、ハノイ市を中心とした北部の両エリアに加えて、中部エリアの周辺都市においてもドミナント出店を推進していきます。中国では、成長性の高い内陸部の湖北省・湖南省を重点出店エリアと位置づけ、新規出店を加速していきます。

また、モール単一フォーマットによる事業展開から、各国および各地域が抱える課題を深掘りし、商業施設の枠組みにとらわれない新たな事業機会を探索していくことで、地域ごとの特性に合わせた新たな価値創造モデルで事業展開を図っていきます。

 

・ベトナムにおける新規物件確保の推進

最重点出店エリアであるベトナムでは、12月に南部のカントー市および北部のバクザン省との間で新たに「ショッピングモール開発に関する投資および事業推進についての包括的覚書」をそれぞれ締結しました。また、2024年1月には北部のクアンニン省において、開発会社であるViet Phatグループとショッピングモール開発事業の協力に関する基本合意書を締結しました。当社は、現在展開する南部エリア(ホーチミン市・ビンズオン省)、北部エリア(ハノイ市・ハイフォン市)にベトナム第3経済圏である中部エリア(ダナン市・フエ省)を加え、その周辺都市におけるドミナント出店を加速しています。今後、さらなるベトナム事業の基盤確立をめざし、地方都市への展開を推進していくことで、著しい経済成長を遂げるベトナムの持続的な発展とまちづくりに貢献していきます。

 

・成長性の高い中国内陸部における出店拡大

11月1日に湖北省4号店となるイオンモール武漢江夏をオープンしました。当モールでは、大人から子供まで楽しめるエンターテインメント施設や多様な食を体験できるゾーンを配置しました。また、モール館内に5つのテーマごとの吹き抜け空間を配置する他、屋上にはバスケットコートやイベント広場、芝生の多目的広場等のさまざまな用途で活用可能な公園を設置し、幅広い世代のお客さまが交流できるスペースを設けています。なお、当社は当モール周辺における環境調査の結果を受け、地元政府が主催する「武漢市(江夏)環境保全事業」に参画し、本エリアにおける生態環境の改善と保全、そして未来への継承を目的とした環境社会貢献活動を実施します。

また湖南省においては、2024年に1号店イオンモール長沙星沙(湖南省長沙市)、2025年に2号店イオンモール長沙湘江新区(湖南省長沙市)の出店を計画しています。湖南省は中国華中エリアに位置し、その省都である長沙市は直近10年間の人口増加が300万人を超える等、近年高い経済成長を継続しています。当社は長沙市政府と2021年5月に包括的連携契約(5年間で5ヶ所のモール出店)を締結しており、今後も地域に新たな価値を提供し、持続的な成長をめざしていきます。

 

・カンボジアにおける物流ソリューションの提案

カンボジアでは、新たに取り組む物流事業の拠点となるシハヌークビルFTZロジスティクスセンターを7月15日に開設しました。当センターは、非居住者でも在庫保有が可能なことから、国際輸送における安定的な商品供給が可能となり、また通関および倉庫業務すべてを自社運営することでシームレスな対応を実現します。国内最大の貨物取引量を有するシハヌークビル港に隣接する経済特区に位置しており、今後カンボジアの経済発展に伴う貨物量増加が期待でき、東南アジアエリアにおける新たなハブ拠点へと成長していきます。

 

(国内におけるビジネスモデル改革の推進)

国内においては、外部環境では人口減少、少子高齢化に伴う人手不足や資材高騰による建設単価の高止まり、アパレル業種を中心とした専門店企業の出店意欲低下等が顕在化し、また内部環境ではアパレル業種を中心とする専門店売上の低迷、建築コスト高騰による投資効率の低下等が大きな課題となっています。このように日々大きく変化する事業環境を機会とし、変わりゆく地域の課題やお客さまの価値観、潜在的なニーズに対応すべく、「マーケットに合わせた提供価値の多様化」、「既存アセットの有効活用による収益性改善」、「デジタル技術を駆使した業務効率性・利便性の向上」、「抜本的な事業構造改革の実行」等を通じて、既存のビジネスモデル改革を推進していくことで、国内事業における集客力強化および収益性向上を図っていきます。

 

・お客さまの五感を満たす快適な空間の提供

お客さまの消費行動や購買習慣の変容が加速する中、当社ではカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験価値)を創造し、リアルモールの魅力を最大化していくことで、継続的に集客力向上を図っています。開放的で居心地の良い外部ゾーンに対するお客さまのニーズが高まる中、「安らぎ」や「心地よさ」といった五感に訴えかける仕掛けを取り入れる等、お客さまにとって憩いの場となる施設環境づくりを推進しています。

4月28日にオープンしたTHE OUTLETS SHONAN HIRATSUKAでは、オープンエアな環境を最大限活かし、館内各所に植栽を配置し、施設中央には緑溢れるテラス席を設けた開放的な空間を配置することで、公園を散歩しながらショッピングを楽しめるような、居心地の良さを感じられる環境空間としました。また、イベントコートには、約300インチの大型LEDビジョンを設置、一面に敷き詰められた人工芝でくつろぎながら、スポーツ・エンターテインメントイベントの観戦や、観覧しながらの飲食もお楽しみいただける空間を創出しました。また、発電容量1,250kWの太陽光発電を含む使用電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄う施設運営とし、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。

 

・マーケットに合わせた出店モデルの展開

今後のモール開発の方向性は、様々な視点でのマーケット分析に基づき、出店エリアの立地特性に応じた多様な開発パターンによる出店モデルの構築を推し進めることで、新たな価値提案を図っていきます。

10月20日にオープンしたJIYUGAOKA de aoneは、自由が丘の街に時間と共に馴染んでいく環境デザインをめざし、都会的で緑豊かな街歩きのできる街路空間を環境デザインコンセプトとしました。開放感あふれる屋外空間として約1,000㎡からなる緑豊かなテラスを3階に配置し、地域の人々・来街者の方々が憩い集える空間を提供します。また、多摩産材ヒノキを通路や階段部分にウッドデッキとして利用し、資材の地産地消に取り組んでいます。

10月27日には、2019年2月に閉店したダイエー横浜西口店の跡地にCeeU Yokohamaが第1期オープン、12月15日にグランドオープンしました。本開発事業は、権田金属工業株式会社が商業施設、独立行政法人 都市再生機構が住宅施設を建築する共同事業で、当社は商業施設を賃借し運営します。敷地内にはコミュニティを醸成する空間として公開空地を配置するほか、一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントに参画し、イベントやワークショップを実施することで、周辺エリアの活性化や賑わいを創出します。また、神奈川県産木材をエレベーターホール壁面に利用し、資材の地産地消に取り組んでいます。

なお、両施設とも使用電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄う施設運営とし、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。

 

・新コンセプト広場一体型の商業施設「noNIWA」の展開

当社は、モール内の敷地や駐車場の有効活用等により新たに創出した事業用地での価値提供として、屋外で新コンセプト広場一体型の商業施設「noNIWA(ノニワ)」を展開していきます。同コンセプトの1号店として、イオンモール羽生(埼玉県)の西側エリアの平面駐車場に新たなPARKとして「HANYU noNIWA」を設置しました。10月14日にアウトドア&スポーツを中心とした構成で先行オープン、2024年9月には第2弾として、自家焙煎コーヒーやオーガニックフードを提供するカフェやキャンピングカー専門店をオープンします。2025年春にはアウトドアサウナを併設した温浴施設やベランピング施設等の導入を予定しています。環境保全の取り組みとして、当施設では使用する電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄い運営します。また、西側平面駐車場の改修工事で発生する資源の再利用や使用する舗装材の再生材利用率100%をめざし、リユース・リサイクルの取り組みを推進しています。

 

・アセット活用による収益機会の獲得

7月20日に、イオン京橋店跡地における再開発までの暫定利用施設としてFULALI KYOBASHI(大阪府)をオープンしました。多種多様な形態の飲食ゾーンや最大約8,500㎡の駅前イベント広場を配置することで、京橋エリアにおける新たな憩いの場や情報発信拠点として、将来の再開発事業に対するお客さまの期待感を醸成していきます。また当施設内では、ショッピングモールとは異なる新たな店舗形態として、当社が移動販売車と出店場所の貸出サービスを提供する移動販売事業「PARADE MARKET」の実証実験を行っています。2024年3月30日には新たにフードホールを新設、ラフで無骨なデザインを現代風にアレンジした屋内共有スペースに飲食店4店舗を配置しました。なお、フードホールはエネルギー自立度を高めた建物として建築を行っており、これにより、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一時消費エネルギー量を削減する建築物であることを証明する「ZEB Ready」認証を取得しました。

 

・スポーツ振興による地域との連携強化

当社は、2030年ビジョンに掲げた地域共創業の実現に向けて、持続可能な地域の未来につながる営みを共創することや商業施設にとどまらず、地域・社会を活動フィールドとし、同じ志を持つパートナーと共創する活動を行っています。

12月に「ジャパンラグビー リーグワン」を運営する一般社団法人ジャパンラグビーリーグワンとの間で『地域共創パートナー』と称する事業共創パートナー契約を締結しました。同リーグの公式戦が開催されるスタジアムへの積極的な送客を共同で行うとともに、イオンモール施設内のデジタルサイネージ・アプリ・イベント等を通じて、地域のお客さまに楽しい「時」と繋がる「場」というイオンモールならではの価値を提供していきます。

 

・抜本的な事業構造改革の実行

外部環境およびお客さまの価値観が加速度的に変化する中、既存事業における深化を進めてきましたが、一部の当社施設においてはこの変化への対応が十分ではなく、集客力および収益性の低迷によりキャッシュ・フロー創出力が低下しています。活性化投資を含めた商圏内の競争力アップと運営効率の改善を進めるほか、不動産・財務的なアプローチからの抜本的な構造改革を視野に入れた取り組みを進めています。6月には、カテプリの管理・運営業務を2024年6月末で終了することを決定いたしました。将来的な営業利益の最大化に向けて、引き続き抜本的な事業構造改革を確実に実行していきます。

 

(既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出)

変化のスピードが速い不確実性の時代において、当社は既存事業の発展のみならず、新たな価値創造に向けた事業創出に注力し、事業領域の拡大に向けた取り組みを推進していきます。

 

・複合開発機能の拡充

活力ある地域、コンパクト+ネットワーク型の都市の実現のために、資本業務提携等のM&Aを通じたパートナー企業との連携強化により、地域の暮らしの未来を共創していきます。2023年3月には、分譲マンションおよび収益不動産事業を柱とする株式会社マリモとの資本業務提携を行いました。株式会社マリモとは地域共創という共有の理念のもと、市街地における再開発・複合開発事業を推進していきます。

 

・物流課題解決に向けた共同配送サービスの展開

ドライバー不足や小口多頻度化、燃料価格の高騰に加え、2024年にはドライバーの時間外労働の上限規制が適用される等、物流課題の深刻化が進む中、当社はパートナーである専門店企業への価値提供として、共同配送サービスを展開しています。

共同配送サービスとは、専門店企業の物流拠点から、イオンモール、他社商業施設、路面店等の店舗への配送や、店舗間配送、返品配送を当社が担うもので、専門店企業のコスト削減と物流サービスの品質維持を実現します。また、必要なときに必要な分だけご利用いただけるオンデマンド倉庫サービスにも対応しています。2月より近畿・東海エリアへのサービス提供を開始しましたが、多くの企業さまからのご要望にお応えし、12月より提供エリアを7エリア24都道府県に拡大しました。

将来的には梱包資材やハンガーなどの共通化により経済価値と環境価値の両立を実現させることで、持続可能な物流網の構築に寄与していきます。

 

・スタートアップ企業への出資を通じた新たな事業創出

CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)「Life Design Fund」を設立し、スタートアップ企業への出資等を通じて、スタートアップ企業が持つ最先端の技術やノウハウを結集することで、新たな価値提供等を行い、地域課題の解決、店舗運営の高度化を通じた事業価値創造に挑戦していきます。同ファンドを通じた第1号案件として、小売・商業施設DXを支援する株式会社COUNTERWORKSに出資、第2号案件として、事業者向け卸・仕入れのマーケットプレイスを運営するorosy株式会社に出資しました。また、2024年3月には第3号案件として、全国各地でソーシャルコワーキング事業を展開する株式会社ATOMicaに出資しました。

 

・共創パートナーの募集

当社は、「AEON MALL OPEN INNOVATION PROGRAM」を10月20日から11月19日にかけて開催し、「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」「リアルショッピングの魅力最大化」「地球環境と共生する地域基盤の形成」の3つのテーマからパートナーを募集しました。変化のスピードが速い不確実性の時代において、当社がお客さまからの期待に応え、今まで以上に地域から支持されるために、当社の価値創造に共感いただくスタートアップ企業や大学、行政の皆さまと共に事業シナジーや新たなサービスの創出を図っていきます。

 

■基盤構築

(サステナブル視点での財務基盤の強化と組織体制の構築)

急速かつ急激に事業環境が変化する中、当社がめざす「真の統合型ESG経営」の実現に向けた取組方針である「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を推進すべく、「ファイナンスミックスの推進と資産ポートフォリオの最適化」、「経営監督機能の強化と迅速な業務執行体制の構築」、「最も重要な経営資源としての人的資本活用」を通じて、サステナブル視点での財務基盤の強化および組織体制の構築に取り組むことで、持続的な成長を可能とする経営基盤強化を図っていきます。

 

・サステナビリティファイナンスの取り組み

当社は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みをより強固かつ「真の統合型ESG経営」の実現に向けた取り組みを加速させるべく、2023年11月にはグリーンファイナンス・フレームワークを策定しました。

本フレームワークに基づいて調達された資金は、適格プロジェクトに対する新規投資及び既存のリファイナンスに充当する予定です。例えば、国内外におけるグリーンビルディングをコアとする対象プロジェクトのほか、地産地消の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という。)の創出のための太陽光発電設備の設置ならびに再エネに由来するCOフリー電源の購入、お客さま参加型の再エネ循環プラットフォームの構築に向けたEV充放電設備の導入、生物多様性に配慮した緑地づくり等の取り組みを推進する予定であり、これらはグリーンファイナンスの調達意義に合致するとともに、ポジティブ・インパクトを社会にもたらすものと考えております。

2023年12月には本フレームワークに基づき、グリーンボンド発行により250億円の資金調達を実施しました。調達資金については、イオンモール土岐(岐阜県)、イオンモール川口(埼玉県)における設備資金の一部に充当しました。

 

・執行役員制度の導入

当社の経営戦略・成長施策の推進と計画数値達成の実現に向けて、組織の役割・責任の明確化、業務執行のスピードを上げるとともに効果的なモニタリングを行っていくため、2023年5月より執行役員制度を導入しました。経営の監督と執行の分離による監督機能強化をはじめ、既存事業の進化と新規事業の開拓、業務執行責任の明確化と意思決定の迅速化を進めるとともに、次世代の経営人材育成も含め、組織体制を整備していきます。

 

・イオンモール まちの発電所

当社は、脱炭素への取り組みとして、各地域での再エネ直接契約による実質COフリー電力調達から、順次地産地消の再エネ(PPA(注1)手法含む)への切り替えを進め、2040年度には当社直営モールにおいて100%地産地消の再エネでの運営へ引き上げていきます。

2022年9月より自己託送方式(注2)による低圧・分散型太陽光発電設備「イオンモール まちの発電所」の稼働を開始しました。2023年秋より第2弾を順次運転開始し、第1弾との合計では、全国約1,390か所の低圧太陽光発電所で発電した電力約120,000MWh(イオンモール7~8施設分の消費電力に相当)を自己託送方式で全国のイオンモール約50施設に電力供給します。2023年度は新たな取り組みとして、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)(注3)を採用し、耕作放棄地の計画的・効率的な利用により農業振興を進めることで、再エネの普及と共に地域経済の活性化にも貢献していきます。

 

(注)1.「Power Purchase Agreement(販売契約モデル)」の略称で、PPA事業者が電力需要家の敷地や屋根等を借り太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電気を需要家に販売する事業モデル。

2.遠隔地の太陽光発電設備で発電した電気を、送配電事業者の送配電設備を利用し、自社施設または自社グループの施設へ送電すること。

3.農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組み。

 

・日本最大規模の包括ソーラーカーポート・オンサイト太陽光PPA契約の締結

当社は、Sun Trinity合同会社(注)との間で、当社の国内商業施設の屋外駐車場において最大規模となる合計18,000MWhのカーポート型太陽光発電設備(以下、「ソーラーカーポート」という。)を導入するオンサイト太陽光PPAの包括契約を締結しました。ソーラーカーポートは、駐車場スペースを有効活用し屋根と太陽光発電設備を導入することで、駐車場利用者の利便性向上に加え、新たに再エネ由来の電力を生み出す取り組みとして注目が高まっています。本契約の対象は12店舗で、2025年度までに合計50店舗以上の稼働開始をめざし、その後もさらに導入を拡大していきます。

 

 

(注)住友商事株式会社・四国電力株式会社が日本国内で太陽光発電事業の開発・運営を行うために2022年1月に設立した合同会社。

 

・お客さま参加型のEV充電「V2AEON MALL」サービス開始

当社は、地域のお客さまとともに地産地消の再エネを創出し、施設内で“地域の脱炭素社会実現”をめざすべく、5月より関西エリア3店舗において、「V2AEON MALL」サービスを開始しました。

本サービスは、家庭で発電した電力(余剰電力)をEVを介してモールに放電いただくと、脱炭素社会実現に向けた取り組み協力の御礼としてポイントを進呈します。お客さま参加型の再エネ循環プラットフォームを整えることで、家庭での再エネ活用を選択するきっかけづくりに寄与します。

 

・インドネシアにおける太陽光発電設備の設置・稼働開始

当社と双日株式会社は、再生可能エネルギー電力の活用によるCO排出量削減に向け、インドネシア1号店 イオンモールBSD CITYに屋根置き太陽光発電設備を導入、2024年1月から稼働を開始しました。屋上に総面積約4,244㎡、年間の発電容量計1,161MWhの太陽光発電パネルを設置し、本取り組みにより年間のCO排出量は約712トンの削減を見込んでいます。同国で建設中の5号店イオンモール デルタマス(ブカシ県)においても屋根置き太陽光設備の設置を進めており、今後も脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの活用を積極的に推進してまいります。

 

・イオンモール豊川 令和5年度脱炭素都市づくり大賞において環境大臣賞を受賞

4月に開業したイオンモール豊川では、発電容量1,300kWを誇る「ソーラーカーポート」を設置する他、施設内で発生する食品生ごみを利用した「バイオガス」発電、AIカメラを活用した空調制御等の取り組みにより、50%以上の一次消費エネルギー消費量を削減する建造物であることを証明する「ZEB Ready」認証を取得しました。当モールにおける脱炭素、資源循環の実現に向けたこれらの対応が、総合的に優れた取り組みとして高く評価され、令和5年度脱炭素都市づくり大賞において環境大臣賞を受賞しました。

 

・SBT認定の取得

当社は、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(以下、SBT)という。」を認定する機関「SBTイニシアチブ(以下、SBTi)」に対し、コミットメントレターを提出、2024年2月に認定を取得しました。

SBTiは、パリ協定が求める水準と整合する科学的根拠に基づいた目標設定を企業に働きかける国際的な共同団体です。企業が掲げる温室効果ガスの長期的な削減目標が、パリ協定の「地球の気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える」という目標の達成に必要な水準を満たす場合に「科学的に整合している目標(SBT)」であると認定します。

当社では、Scope1・Scope2は「1.5℃水準」、Scope3は「2℃を十分に下回る水準」に目標レベルを設定し、SBTの認定を取得しました。

 

・生物多様性のための30by30(サーティ・バイ・サーティ)アライアンスへの参画

当社は、「生物多様性のための30by30(注1)アライアンス(注2)」に参画しました。当社はこれまで新店舗オープンに際し、地域の自然環境に最も適した土地本来の樹木をお客さまとともに植える植樹活動を継続的に実施してきました。本アライアンスへの参画を通じ、同じ目的を持つ企業、自治体、NPO、地域の皆さまと連携し、今後も生物多様性の保全活動を積極的に進めるとともに、OECM(注3)として国際データベースへの登録をめざすことで「30by30」目標の達成に貢献し、ネイチャーポジティブの実現をめざします。

 

(注)1.2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標。

2.30by30目標達成に向け、今後日本として現状の保護地域(陸域約20%、海域約13%)の拡充とともに、民間等によって保全されてきたエリアをOECMとして認定する取り組みを進めるための企業・自治体・団体による有志の連合。

3.民間等の取り組みにより生物多様性保全に貢献している里地里山や企業林など、保護地域以外の土地・地域のこと。

 

 

・TNFDフォーラムへの参画

当社は、自社事業が自然へ及ぼす影響を分析し、自然に関するリスクと機会に対応するため、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TNFD」という。)(注1)フォーラムに参画し、TNFDの提言するLEAPアプローチ(注2)を用いて分析を行いました。またTNFDに沿った情報開示にむけて、2023年9月に公表されたTNFD最終提言に則り、分析結果と自社の取り組みを整理しています。

 

(注)1.企業が事業を通じて自然に及ぼす影響、リスク、機会、生物多様性への配慮を可視化し、自社の報告書やWebサイトで開示するための枠組み。

2.TNFDにより開発された、自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題の評価のための統合的なアプローチ。

 

・プラチナえるぼし認定の取得

当社は、3月に女性活躍推進法に基づく優良企業として「プラチナえるぼし」認定を取得しました。同認定は、女性活躍の推進に積極的に取り組む企業を認定する制度「えるぼし」企業のうち、行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況について、特に優良な企業に対し厚生労働大臣より認定を受けるものです。今回の認定では、女性管理職候補者の育成研修の実施や、ライフステージにより制約がある社員も昇進・登用にあたって評価することにより、誰もが公平にチャンスを与えられ挑戦できる環境を整備したこと、また子育てしながら働く従業員の活動支援を目的とした事業所内保育施設「イオンゆめみらい保育園」を全国で22園導入しているほか、2019年には、男性の育児休業取得促進を目的に、独自の「育児休業扶助金(イクボス応援金制度)」など、働き方の選択の幅を広げる様々な取り組みが評価されました。

 

・「健康経営優良法人2024」に5年連続で認定

当社では、従業員のWell-beingが企業活動のベースであり、従業員が健康であることにより、地域のお客さまに健康と心の豊かさをもたらすサービスを提供できるとの考えのもと、健康経営を推進しています。健康経営優良法人認定制度においては、2024年3月に「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に5年連続で認定されました。

 

 

 

(2)財政状態の状況

(資産)

総資産は、前連結会計年度末と比較して956億6千万円増加し、1兆6,552億5千3百万円となりました。これは、減価償却費732億5千7百万円を上回る新店の開業や既存店の活性化、将来開発用地の先行取得等1,318億8千9百万円により有形固定資産が669億9百万円、関係会社預け金が150億円増加したこと、また、為替換算の影響による増加も大きく生じたこと等によるものです。

 

(負債)

負債は、前連結会計年度末と比較して711億4千5百万円増加し、1兆1,790億2千7百万円となりました。これは、設備に関する未払金等が141億3千3百万円減少した一方で、リース債務(流動負債の「リース債務」を含む。)が366億4千8百万円、社債(「1年内償還予定の社債」を含む。)が200億円、専門店預り金が75億8千5百万円、長期借入金(「1年内返済予定の長期借入金」を含む。)が63億7千万円増加したこと等によるものです。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末と比較して245億1千5百万円増加し、4,762億2千6百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益203億9千9百万円の計上、配当金113億7千7百万円の支払により、利益剰余金が90億2千2百万円増加したこと、また、為替換算調整勘定が147億1千8百万円増加したこと等によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して112億5千3百万円増加し、1,123億5千4百万円となりました。

キャッシュ・フローの状況については次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、1,263億5百万円(前連結会計年度は1,014億9千万円)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益が363億7千4百万円(同245億9千2百万円)、減価償却費が732億5千7百万円(同704億2千2百万円)、専門店預り金の増加額が73億3千3百万円(同80億1千万円)となる一方で、法人税等の支払額が127億5千2百万円(同124億5千6百万円)となったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、1,017億4千3百万円(同1,032億7千6百万円)となりました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入が142億3千2百万円(同5百万円)生じた一方で、前連結会計年度にオープンしたイオンモール土岐(岐阜県)や翌連結会計年度にオープン予定のイオンモール長沙星沙(湖南省長沙市)、イオンモール杭州銭塘(浙江省杭州市)の設備代金、将来開発用地の先行取得等により有形固定資産の取得による支出が1,041億3千6百万円(同996億7千万円)生じたこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、128億4千8百万円(同135億1千5百万円の増加)となりました。主な要因は、社債の発行による収入が900億円(同800億円)、長期借入れによる収入が420億6千8百万円(同510億5千3百万円)となる一方で、社債の償還による支出が700億円(同400億円)、長期借入金の返済による支出が395億1千2百万円(同466億7千万円)、リース債務の返済による支出が231億5千4百万円(同189億2千5百万円)、配当金の支払額が113億7千7百万円(同113億7千7百万円)となったこと等によるものです。

 

なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金及び金融機関からの借入れ、社債の発行等により調達した資金を、運転資金、設備投資資金、並びに配当金の支払等に投入しております。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2023年2月期

2024年2月期

自己資本比率(%)

28.2

28.0

時価ベースの自己資本比率(%)

25.9

24.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

7.8

6.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

8.7

9.8

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、リース債務(流動負債)、社債、長期借入金及びリース債務(固定負債)を対象としています。

3.キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いています。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(5)目標とする経営指標の状況

当社では、将来にわたるキャッシュ・フローの最大化および企業価値向上を目的として、EPS成長率7%(2019年度を起点とした年率成長率)、純有利子負債EBITDA倍率4.5倍以内、投下資本利益率(ROIC)5%以上を目標とする経営指標としています。

2020年度以降、各国とも新型コロナ拡大の影響によるキャッシュ・フロー創出力が低迷し、また、将来高い成長が見込まれるベトナムをはじめとした海外への先行投資が増加してきたことから、いずれの指標も目標値に届いていませんが、今後、海外モールの高い成長によるキャッシュ・フロー拡大に伴い改善していく見込みです。

 

2024年2月期の各種指標の実績は、以下の通りです。

経営指標

目標値

実績(2024年2月期)

EPS成長率

7%

△12.1%

純有利子負債EBITDA倍率

4.5倍以内

6.2倍

投下資本利益率(ROIC)

5%以上

2.5%

(注)EPS:親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均株式数

   純有利子負債EBITDA倍率:(有利子負債-現金及び現金同等物の期末残高)/(営業利益+キャッ

                   シュ・フロー計算書上の減価償却費)

   投下資本利益率:営業利益×(1-実効税率)/(期首・期末平均自己資本+期首・期末平均有利子負債)

 

(6)生産、受注及び販売の実績

①生産実績、受注実績

生産及び受注の状況については、当社グループは生産を行っておらず、また受注の形態を取っていないため該当事項はありません。

②販売実績

当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

営業収益(百万円)

前年同期比(%)

日本

333,158

103.8

中国

58,985

112.3

ベトナム

15,263

114.9

カンボジア

8,499

149.8

インドネシア

7,260

123.1

合計

423,168

106.3

 

(注)主な相手先別の営業収益実績及び当該営業収益実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

イオンリテール㈱

38,007

9.5

38,511

9.1