売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04002 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

①連結経営成績に関する説明

当社は、「お客さま第一」を基本理念として、『イオンモールは、地域とともに「暮らしの未来」をつくる

Life Design Developer(注)です。』を経営理念としています。この経営理念の下、持続可能な社会の実現に向けて、企業市民として地域・社会の発展と活性化に貢献する当社の企業活動を「ハートフル・サステナブル」と定め、様々な取り組みを推し進めています。

ローカライゼーションの視点に基づいたエリアごとに個性あるモールづくりを国内外で推し進めることにより、人々のライフスタイルの向上と地域社会の発展に貢献するとともに、地域・社会の課題に対してソリューションを提供し続けることで、地域コミュニティにおける中核施設としての社会インフラ機能のポジションを確立してきました。5月には、不確実性が高まる時代において、持続可能(サステナブル)な社会をつくる、また強靭(レジリエント)な組織をつくりあげていくことを目的として、2030年ビジョン「イオンモールは、地域共創業へ。」を新たに策定しました。お客さま、地域社会、パートナー企業さま、株主・投資家さま等の同じ志を持つステークホルダーの皆さまとともに、「つながる」を創造し、広げ、深め、持続可能な地域の未来につながる営みを共創する企業をめざしていきます。

 

(注)Life Designとは、商業施設の枠組みを越えて、一人ひとりのライフステージを見据えたさまざまな機能拡充を行い、ショッピングだけでなく、人との出逢いや文化育成なども含めた「暮らしの未来」をデザインすることと定義しています。

 

当第3四半期連結累計期間の経営成績は、営業収益は3,138億5千9百万円(対前年同期比106.5%)と増収で過去最高を達成、営業利益は341億4千5百万円(同105.1%)、経常利益は272億2千2百万円(同102.2%)といずれも増益となりました。カテプリ(北海道)の管理・運営業務終了を決定したことによる店舗閉鎖損失引当金繰入額6億5千万円等、特別損失に13億9千4百万円を計上しましたが、前第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症による損失20億4千万円、固定資産除却損24億6千8百万円、減損損失17億3千1百万円、店舗閉鎖損失引当金繰入額20億1千7百万円等、特別損失に89億8千5百万円を計上し、特別損益が対前年同期比72億9千7百万円改善したことから、税金等調整前四半期純利益は258億2千8百万円(同144.0%)となりました。その結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は147億9百万円(同141.1%)となり増益となりました。

 

◆連結経営成績                                  (単位:百万円)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減

(対前年同期比)

営業収益

294,600

313,859

+19,259

(106.5%)

営業利益

32,499

34,145

+1,646

(105.1%)

経常利益

26,624

27,222

+598

(102.2%)

親会社株主に帰属する四半期純利益

10,428

14,709

+4,281

(141.1%)

 

 

②セグメント別事業概況に関する説明

◆セグメント別経営成績                                (単位:百万円)

 

営業収益

セグメント利益又は損失(△)

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減

(対前年同期比)

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減

(対前年同期比)

 

中国

40,295

43,405

+3,110

(107.7%)

5,663

5,350

△312

(94.5%)

 

ベトナム

9,398

10,958

+1,559

(116.6%)

2,288

2,879

+590

(125.8%)

 

カンボジア

3,968

6,190

+2,221

(156.0%)

975

315

△660

(32.3%)

 

インドネシア

4,338

5,323

+985

(122.7%)

△756

△236

+520

(-)

 

その他

(-)

△10

△9

+1

(-)

海外

58,001

65,878

+7,876

(113.6%)

8,160

8,299

+138

(101.7%)

日本

236,859

248,278

+11,419

(104.8%)

24,319

25,826

+1,507

(106.2%)

調整額

△260

△297

△36

(-)

18

18

(100.0%)

合計

294,600

313,859

+19,259

(106.5%)

32,499

34,145

+1,646

(105.1%)

 

a.海外

〔当第3四半期連結累計期間(1月~9月)〕

営業収益は658億7千8百万円(対前年同期比113.6%)、営業利益は82億9千9百万円(同101.7%)と増収増益となりました。各国における営業概況は以下に記載のとおりです。なお、海外現地法人の決算期は12月末のため、当第3四半期連結累計期間の業績は1月~9月となります。

 

(中国)

営業収益は434億5百万円(対前年同期比107.7%)、営業利益は53億5千万円(同94.5%)となりました。前第3四半期連結累計期間において、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という。)の拡大に伴う一時休業期間中の固定費等19億1千5百万円を「新型コロナウイルス感染症による損失」として営業原価から特別損失に振替計上したこともあり、営業利益は3億1千2百万円の減益となりました。

当第3四半期連結累計期間においては、2022年12月にゼロコロナ政策が緩和され、当社モールの客足は回復基調で推移しています。中国では不動産市場の低迷等による経済成長率の低下が懸念されていますが、当社モールは飲食、アミューズメント業種を中心に好調に推移しました。7月28日には中国の旗艦店であるイオンモール武漢経開(湖北省武漢市)を増床リニューアルオープンしました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の既存モール専門店売上は前期比124.7%(対象21モール)と伸長しました。

 

(ベトナム)

営業収益は109億5千8百万円(対前年同期比116.6%)、営業利益は28億7千9百万円(同125.8%)と増収増益となりました。

当第3四半期連結累計期間においては、既存モール専門店売上は前期比106.0%(対象6モール)となりました。4月以降、輸出製品工場の倒産による若年層の失業率増加等、外需低迷や電力不足に伴う経済成長鈍化の影響に加え、前年同期間が政府のウィズコロナ政策への転換によってペントアップデマンド(抑制されていた需要)が顕在化し好調だった反動から、第2四半期連結会計期間(4月~6月)および当第3四半期連結会計期間(7月~9月)の既存モール専門店売上は前年実績を下回るトレンドで推移しましたが、新型コロナの影響を受けていない2019年度対比では147.6%(対象4モール)と高い成長を持続しています。

 

(カンボジア)

営業収益は61億9千万円(対前年同期比156.0%)、営業利益は3億1千5百万円(同32.3%)となりました。2022年12月に3号店イオンモール ミエンチェイ(プノンペン都)を開業したことで営業収益は増収となったものの、想定客数の未達やコロナ下でのオープンによる空床の影響等もあり営業収益が想定した水準を下回ったことから、営業利益は減益となりました。

当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナに伴う行動制限は大幅に緩和され、当社モールは通常営業していますが、イオンモール ミエンチェイの前面道路となるフンセン道路の陸橋工事による慢性的な渋滞の発生が続いています。政府主導で迂回道路の整備が進められ、積極的に誘導を進めていますが、引き続き集客面で大きな影響を受けています。また、既存モールにおいては、中国人旅行客を中心としたインバウンド需要が減少しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の既存モール専門店売上は前期比89.9%(対象2モール)となりました。

 

(インドネシア)

営業収益は53億2千3百万円(対前年同期比122.7%)と増収、営業損益は2億3千6百万円の損失(前第3四半期連結累計期間は7億5千6百万円の損失)となりました。2021年度にコロナ下でオープンしたイオンモール タンジュンバラット(南ジャカルタ区)における空床の影響等もあり営業損失となりましたが、当該モールの空床状況については改善が進んでおり、前期比5億2千万円損益が改善しました。

当第3四半期連結累計期間においては、ウィズコロナへの移行により行動制限が緩和され、人流の正常化に伴い当社モールへの集客は改善基調で推移しています。8月には、78周年を迎えるインドネシア独立記念日に合わせ、全専門店と連携したセールスプログラムやイベントを実施することでブランディング向上と共に集客強化を図りました。また、1号店イオンモールBSD CITY(バンテン州)において、2021年の第1期リニューアルに続き、44店舗を刷新する第2期リニューアルを実施しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の既存モール来店客数は前期比121.6%(対象4モール)と伸長しました。

 

当連結会計年度における海外新規物件は、2施設のオープンを計画しており、カンボジアで新たに取り組む物流事業の拠点として、シハヌークビルFTZロジスティクスセンター(シハヌーク州)を開設しました。

 

<当第3四半期連結累計期間における海外新規物件>

国名

名称

所在

オープン

専門店数

建築面積

(㎡)

特徴

カンボジア

シハヌークビルFTZロジスティクスセンター

シハヌーク州

2023年7月15日

19,400

当センターでは非居住者でも在庫保有が可能なことから、国際輸送における安定的な商品供給が可能となり、また通関および倉庫業務すべてを自社運営することでシームレスな対応を実現します。国内最大の貨物取引量を有するシハヌークビル港に隣接する経済特区に位置しており、今後カンボジアの経済発展に伴う貨物量増加が期待でき、東南アジアエリアにおける新たなハブ拠点へと成長していきます。

 

〔第4四半期連結会計期間以降(10月~)〕

中国では、11月1日に湖北省4号店となるイオンモール武漢江夏(湖北省武漢市)をオープン、計画を上回る好調なスタートを切っています。既存モールでは、江蘇省、湖北省を中心に好調を持続しており、既存モール専門店売上は10月度が前期比116.9%、11月度が前期比175.0%(対象21モール)と引き続き高い成長率で推移しています。

ベトナムでは、既存モール専門店売上は10月度が前期比91.7%となり、経済成長鈍化に伴う景気後退の影響が依然続いています。11月17日から26日にかけてブラックフライデー企画を実施、既存6モール合同での抽選会を実施する等、集客強化を図るとともにお客さまの購買単価および買上率向上による売上拡大を図った結果、11月度は前期比109.6%と前年実績を上回るトレンドに改善しました。

カンボジアでは、イオンモール ミエンチェイの前面道路工事に伴う渋滞について、迂回路や周辺道路の開通工事等の渋滞対策が進められていますが、集客面への影響が続いています。11月4日には1号店イオンモール プノンペン(プノンペン都)を増床リニューアルオープンしました。増床エリアの一部では工事遅れ区画や大型専門店との交渉が難航していますが、集客策や販促活動の強化により客数・売上の早期回復を図っていきます。

インドネシアでは、経済活動の活発化に伴い内需は堅調で、当社モールの来店客数は10月度が前期比113.1%、11月度が前期比116.6%と引き続き改善基調で推移しており、各モールでの集客強化策および空床対策を進めることで収益力改善を図っていきます。また、インドネシア5号店イオンモール デルタマス(ブカシ県)において、2024年上期開業に向けたリーシング活動を進めています。

 

 

<第4四半期連結会計期間の海外新規物件>

国名

名称

所在

オープン

(注)

専門店数

総賃貸面積

(㎡)

中国

イオンモール武漢江夏

湖北省武漢市

2023年11月1日

260

95,000

(注)海外現地法人の決算期は12月末。

 

b.日本

〔当第3四半期連結累計期間(3月~11月)〕

営業収益は2,482億7千8百万円(対前年同期比104.8%)、営業利益は258億2千6百万円(対前年同期比106.2%)と増収増益となりました。

当第3四半期連結累計期間においては、3月13日より新型コロナ感染対策としてのマスク着用が個人の判断となり、また5月8日より新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことで、お客さまの外出意欲は改善しました。9月から10月前半にかけて例年以上に気温の高い日が続く中、特に衣料品の売れ行きが低調に推移しましたが、「イオンのハロウィン 2023」では人気キャラクターとのコラボ企画やお客さま参加型のイベントを実施、11月17日から26日まで開催した「イオンモールブラックフライデー」においても、目玉商品や限定ノベルティの配布等さまざまな企画を実施し集客強化を図りました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の既存モール専門店売上は前期比106.2%(対象91モール)となりました。

 

当連結会計年度における国内新規物件は、4施設のオープンを計画しており、4月にイオンモール豊川(愛知県)、THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA(神奈川県)、10月にJIYUGAOKA de aone(東京都)をオープンしました。既存モールでは13モールでリニューアルを実施しました。

 

<当第3四半期連結累計期間における国内新規物件>

名称

所在

オープン

専門店数

総賃貸面積(㎡)

特徴

イオンモール豊川

愛知県

2023年4月4日

190

63,000

地域の方々が集い、交わる緑豊かなガーデンスペースをはじめ、スポーツを体験できる屋外広場を配置することで、ゆったりと過ごせる空間を提供しています。また、発電容量1,300kWを誇る「ソーラーカーポート」や施設内で発生する食品生ごみを利用して「バイオガス」発電、AIカメラを活用した空調制御設備等を完備した環境配慮型施設として、地域とともに環境課題解決に向けた取り組みを進めていきます。

THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA

神奈川県

2023年4月28日

150

33,000

地域創生型商業施設「THE OUTLETS(ジ アウトレット)」業態3号店として、アウトレットショッピング体験だけでなく、スポーツや健康、アウトドアを切り口にしたリアル店舗ならではの五感で楽しめる体験型アクティビティのほか、心と体を癒やし、ゆったりとした時間を過ごせる緑豊かな施設環境を提供しています。平塚市や湘南ベルマーレ等と協働し、当施設ならではの地域との出会いを創出していきます。

JIYUGAOKA de aone

東京都

2023年10月20日

26

 5,000

自由が丘の街に時間と共に馴染んでいく環境デザインをめざし、都会的で緑豊かな街歩きのできる街路空間を環境デザインコンセプトに採用しています。開放感あふれる屋外空間として約1,000㎡からなる緑豊かなテラスを3階に配置し、地域の人々・来街者の方々が憩い集える空間を提供します。また、多摩産材ヒノキを通路や階段部分にウッドデッキとして利用し、資材の地産地消に取り組んでいます。

(注)上記3施設はいずれも使用電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄う施設運営であり、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。

 

〔第4四半期連結会計期間以降(12月~)〕

第4四半期連結会計期間以降における国内新規物件は、12月15日にCeeU Yokohama(神奈川県)をグランドオープンしました。

各モールにおける集客イベントの継続的な実施に加え、12月1日から2024年2月29日までの期間で「ウォームシェア」企画を実施します。各自治体と連携し、全国のイオンモールをウォームシェアスポットとして登録、ご家庭の電気(暖房等)を消して、ショッピングやグルメ、アミューズメント、様々なイベント等、イオンモールで楽しく快適な時間を過ごしていただくことで、地域のウォームシェア普及活動をサポートします。また、イオンモールアプリやWAON POINT施策との連動等、マーケティングデータに基づくお客さまの購買意欲を喚起する取り組みを強化すると共に、モールのアセット活用による収益拡大策や経費圧縮に努めることで、利益の最大化を図っていきます。

 

<第4四半期連結会計期間の国内新規物件>

名称

所在

オープン

専門店数

総賃貸面積(㎡)

CeeU Yokohama

神奈川県

2023年12月15日(注)

24

20,000

(注)10月27日に1階部分を第1期オープン、11月27日に9階部分を第2期オープン。

 

③成長施策および新たな取り組み

当社は、経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、長期ビジョンである2026年2月期(2025年度)にめざす姿を定めています。

 

2025年にめざす姿

①国内モール単一の利益創出でなく、複数の事業からなるポートフォリオの構築をめざす。

②連結営業利益850億円超、グローバル商業ディベロッパートップクラスの水準をめざす。

③国内モールは増床・リニューアルを積極的に行い、各エリアで圧倒的な地域№1モールへの進化を図る。

④海外の成長マーケットを獲得し、海外事業は50モール体制、営業利益270億円(利益率20%)をめざす。

 

上記の長期ビジョンの下、2024年2月期(2023年度)を初年度とする中期経営計画(2023~2025年度)を策定し、これまで成長施策として推進してきたESG経営のさらなる進化を図るべく、「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を取組方針とし、ステークホルダーの皆さまに対して経済価値、社会価値、環境価値を創出する「真の統合型ESG経営」の実現により持続的な成長をめざしていきます。具体的には、「海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化」「国内におけるビジネスモデル改革の推進」「既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出」を成長施策として展開し、成長を支える基盤構築として「サステナブル視点での財務基盤強化と組織体制構築」を推進していきます。

 

■取組方針

(国内外におけるリージョナルシフトの推進)

人口動態の変化等により国・地域ごとに抱える課題が多様化・複雑化している社会において、全国一律ではなく、地域の生活圏に着目し徹底したマーケット分析・調査を行うことで、各地域が抱える課題やニーズに対し地域のステークホルダーの皆さまとの共創を通じた事業展開を進めていきます。また、イオン生活圏(注)における中核施設として、イオングループ各社との連携強化を図り、地域の生活者を起点とした商品・サービス・生活基盤をシームレスに提供していきます。

 

(注)イオングループ各社の総合力を組み合わせて地域に根差した商品・サービス・生活基盤をシームレスに提供することでお客さまの生活を豊かにしていく、イオングループにおける成長戦略の1つ。

 

(ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造)

お客さまの体や精神の健康のみならず、地域社会の健康、環境の健康をサポートする地域のヘルス&ウエルネスプラットフォームを創造していきます。その実現に向けては、快適で心地よい施設空間でのウエルネス関連テナントの発掘や新たな編集ゾーンの形成、あるいはウエルネス関連の新たな事業創造への取り組み等、地域で暮らす皆さまへの提供価値をさらに深めていくことで、地域におけるWell-beingな暮らしづくりを継続的にサポートしていきます。

 

■成長施策

(海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化)

成長性の高いエリアにおける物件の探索・確保を進め、2025年度末時点での50モール体制実現をめざし新規出店を加速していきます。最重点出店エリアであるベトナムでは、ホーチミン市を中心とした南部、ハノイ市を中心とした北部の両エリアに加えて、中部エリアの周辺都市においてもドミナント出店を推進していきます。中国では、成長性の高い内陸部の湖北省・湖南省を重点出店エリアと位置づけ、新規出店を加速していきます。

また、モール単一フォーマットによる事業展開から、各国および各地域が抱える課題を深掘りし、商業施設の枠組みにとらわれない新たな事業機会を探索していくことで、地域ごとの特性に合わせた新たな価値創造モデルで事業展開を図っていきます。

 

 

・ベトナムにおける新規物件確保の推進

最重点出店エリアであるベトナムでは、12月に南部のカントー市および北部のバクザン省との間で新たに「ショッピングモール開発に関する投資および事業推進についての包括的覚書」をそれぞれ締結しました。また、2024年1月には北部のクアンニン省において、開発会社であるViet Phatグループとショッピングモール開発事業の協力に関する基本合意書を締結しました。当社は、現在展開する南部エリア(ホーチミン市・ビンズオン省)、北部エリア(ハノイ市・ハイフォン市)にベトナム第3経済圏である中部エリア(ダナン市・フエ省)を加え、その周辺都市におけるドミナント出店を加速しています。今後、さらなるベトナム事業の基盤確立をめざし、地方都市への展開を推進していくことで、著しい経済成長を遂げるベトナムの持続的な発展とまちづくりに貢献していきます。

 

・成長性の高い中国内陸部における出店拡大

11月1日に湖北省4号店となるイオンモール武漢江夏をオープンしました。当モールでは、大人から子供まで楽しめるエンターテインメント施設や多様な食を体験できるゾーンを配置しました。また、モール館内に5つのテーマごとの吹き抜け空間を配置する他、屋上にはバスケットコートやイベント広場、芝生の多目的広場等のさまざまな用途で活用可能な公園を設置し、幅広い世代のお客さまが交流できるスペースを設けています。

また湖南省においては、2024年に1号店イオンモール長沙星沙(湖南省長沙市)、2025年に2号店イオンモール長沙湘江新区(湖南省長沙市)の出店を計画しています。湖南省は中国華中エリアに位置し、その省都である長沙市は直近10年間の人口増加が300万人を超える等、近年高い経済成長を継続しています。当社は長沙市政府と2021年5月に包括的連携契約(5年間で5ヶ所のモール出店)を締結しており、今後も地域に新たな価値を提供し、持続的な成長をめざしていきます。

 

・カンボジアにおける物流ソリューションの提案

カンボジアでは、新たに取り組む物流事業の拠点となるシハヌークビルFTZロジスティクスセンターを7月15日に開設しました。当センターは、非居住者でも在庫保有が可能なことから、国際輸送における安定的な商品供給が可能となり、また通関および倉庫業務すべてを自社運営することでシームレスな対応を実現します。国内最大の貨物取引量を有するシハヌークビル港に隣接する経済特区に位置しており、今後カンボジアの経済発展に伴う貨物量増加が期待でき、東南アジアエリアにおける新たなハブ拠点へと成長していきます。

 

(国内におけるビジネスモデル改革の推進)

国内においては、外部環境では人口減少、少子高齢化に伴う人手不足や資材高騰による建設単価の高止まり、アパレル業種を中心とした専門店企業の出店意欲低下等が顕在化し、また内部環境ではアパレル業種を中心とする専門店売上の低迷、建築コスト高騰による投資効率の低下等が大きな課題となっています。このように日々大きく変化する事業環境を機会とし、変わりゆく地域の課題やお客さまの価値観、潜在的なニーズに対応すべく、「マーケットに合わせた提供価値の多様化」、「既存アセットの有効活用による収益性改善」、「デジタル技術を駆使した業務効率性・利便性の向上」、「抜本的な事業構造改革の実行」等を通じて、既存のビジネスモデル改革を推進していくことで、国内事業における集客力強化および収益性向上を図っていきます。

 

・お客さまの五感を満たす快適な空間の提供

お客さまの消費行動や購買習慣の変容が加速する中、当社ではカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験価値)を創造し、リアルモールの魅力を最大化していくことで、継続的に集客力向上を図っています。開放的で居心地の良い外部ゾーンに対するお客さまのニーズが高まる中、「安らぎ」や「心地よさ」といった五感に訴えかける仕掛けを取り入れる等、お客さまにとって憩いの場となる施設環境づくりを推進しています。

4月28日にオープンしたTHE OUTLETS SHONAN HIRATSUKAでは、オープンエアな環境を最大限活かし、館内各所に植栽景観を構築、施設中央には緑溢れるテラス席を設けた開放的な空間を配置することで、公園を散歩しながらショッピングを楽しめるような、居心地の良さを感じられる環境空間としました。また、イベントコートには、約300インチの大型LEDビジョンを設置、一面に敷き詰められた人工芝でくつろぎながら、スポーツ・エンターテインメントイベントの観戦や、観覧しながらの飲食もお楽しみいただける空間を創出しました。また、発電容量1,250kWの太陽光発電を含む使用電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄う施設運営とし、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。

 

 

・マーケットに合わせた出店モデルの展開

今後のモール開発の方向性は、様々な視点でのマーケット分析に基づき、出店エリアの立地特性に応じた多様な開発パターンによる出店モデルの構築を推し進めることで、新たな価値提案を図っていきます。

10月20日にオープンしたJIYUGAOKA de aoneは、自由が丘の街に時間と共に馴染んでいく環境デザインをめざし、都会的で緑豊かな街歩きのできる街路空間を環境デザインコンセプトとします。開放感あふれる屋外空間として約1,000㎡からなる緑豊かなテラスを3階に配置し、地域の人々・来街者の方々が憩い集える空間を提供します。また、多摩産材ヒノキを通路や階段部分にウッドデッキとして利用し、資材の地産地消に取り組むほか、使用電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄う施設運営とし、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。

10月27日には、2019年2月に閉店したダイエー横浜西口店の跡地にCeeU Yokohamaが第1期オープン、12月15日にグランドオープンしました。本開発事業は、権田金属工業株式会社が商業施設、独立行政法人 都市再生機構が住宅施設を建築する共同開発事業で、当社は商業施設を賃借し運営します。敷地内にはコミュニティを醸成する空間として公開空地を配置するほか、一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントに参画しイベントやワークショップを実施することで、周辺エリアの活性化や賑わいを創出します。また、神奈川県産木材をエレベーターホール壁面に利用し、資材の地産地消に取り組むほか、使用電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄う施設運営とし、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。

 

・新コンセプト広場一体型の商業施設「ONIWA」の展開

当社は、モール内の敷地や駐車場の有効活用等により新たに創出した事業用地での価値提供として、屋外で新コンセプト広場一体型の商業施設「ONIWA(ノニワ)」を展開していきます。同コンセプトの1号店として、イオンモール羽生(埼玉県)の西側エリアの平面駐車場に新たなPARKとして「HANYU ONIWA」を設置しました。10月14日にアウトドア&スポーツを中心とした構成で先行オープン、2024年度にはアウトドアサウナパークやグランピング施設等の体験ゾーンをオープンし、「ONIWA」の完成をめざします。環境保全の取り組みとして、当施設では使用する電力の100%を実質的にCOフリー電力で賄い運営します。また、西側平面駐車場の改修工事で発生する資源の再利用や使用する舗装材の再生材利用率100%をめざし、リユース・リサイクルの取り組みを推進しています。

 

・アセット活用による収益機会の獲得

7月20日に、イオン京橋店跡地における再開発までの暫定利用施設としてFULALI KYOBASHI(大阪府)をオープンしました。多種多様な形態の飲食ゾーンや最大約8,500㎡の駅前イベント広場を配置することで、京橋エリアにおける新たな憩いの場や情報発信拠点として、将来の再開発事業に対するお客さまの期待感を醸成していきます。また当施設内では、ショッピングモールとは異なる新たな店舗形態として、当社が移動販売車と出店場所の貸出サービスを提供する移動販売事業「PARADE MARKET」の実証実験を行っています。

 

・スポーツ振興による地域との連携強化

当社は2030年ビジョンに掲げた地域共創業の実現に向けて、持続可能な地域の未来につながる営みを共創することや商業施設にとどまらず、地域・社会を活動フィールドとし、同じ志を持つパートナーと共創する活動を行っています。

12月に「ジャパンラグビー リーグワン」を運営する一般社団法人ジャパンラグビーリーグワンとの間で『地域共創パートナー』と称する事業共創パートナー契約を締結しました。同リーグの公式戦が開催されるスタジアムへの積極的な送客を共同で行うとともに、イオンモール施設内のデジタルサイネージ・アプリ・イベント等を通じて、地域のお客さまに楽しい「時」と繋がる「場」というイオンモールならではの価値を提供していきます。

 

・抜本的な事業構造改革の実行

外部環境およびお客さまの価値観が加速度的に変化する中、既存事業における深化を進めてきましたが、一部の当社施設においてはこの変化への対応が十分ではなく、集客力および収益性の低迷によりキャッシュ・フロー創出力が低下しています。活性化投資を含めた商圏内の競争力アップと運営効率の改善を進めるほか、不動産・財務的なアプローチからの抜本的な構造改革を視野に入れた取り組みを進めています。6月には、カテプリの管理・運営業務を2024年6月末で終了することを決定いたしました。将来的な営業利益の最大化に向けて、引き続き抜本的な事業構造改革を確実に実行していきます。

 

(既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出)

変化のスピードが速い不確実性の時代において、当社は既存事業の発展のみならず、新たな価値創造に向けた事業創出に注力し、事業領域の拡大に向けた取り組みを推進していきます。

 

・複合開発機能の拡充

社会課題解決を目的としたソーシャルビジネスへの事業拡大を目的として、3月に分譲マンションおよび収益不動産事業を柱とする株式会社マリモとの資本業務提携を行いました。株式会社マリモとは地域共創という共有の理念のもと、市街地における再開発・複合開発事業を推進していきます。

 

・物流課題解決に向けた共同配送サービスの展開

ドライバー不足や小口多頻度化、燃料価格の高騰に加え、2024年にはドライバーの時間外労働の上限規制が適用される等、物流課題の深刻化が進む中、当社はパートナーである専門店企業への価値提供として、共同配送サービスを展開しています。

共同配送サービスとは、専門店企業の物流拠点から、イオンモール、他社商業施設、路面店等の店舗への配送や、店舗間配送、返品配送を当社が担うもので、専門店企業のコスト削減と物流サービスの品質維持を実現します。また、必要なときに必要な分だけご利用いただけるオンデマンド倉庫サービスにも対応しています。2月より近畿・東海エリアへのサービス提供を開始しましたが、多くの企業さまからのご要望にお応えし、12月より提供エリアを7エリア24都道府県に拡大しました。

将来的には梱包資材やハンガーなどの共通化により経済価値と環境価値の両立を実現させることで、持続可能な物流網の構築に寄与していきます。

 

・スタートアップ企業への出資を通じた新たな事業創出

CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)「Life Design Fund」を設立し、スタートアップ企業への出資等を通じて、スタートアップ企業が持つ最先端の技術やノウハウを結集することで、新たな価値提供等を行い、地域課題の解決、店舗運営の高度化を通じた事業価値創造に挑戦していきます。

同ファンドを通じた第1号案件として、11月に小売・商業施設DXを支援する株式会社COUNTERWORKSに出資しました。「すべての商業不動産をデジタル化し、商いの新たなインフラをつくる。」ことをミッションとする同社の技術と、当社の商業施設運営で培ってきたノウハウを掛け合わせることで、当社の有効資産である施設をより地域の皆さまに開かれた場へと深化させ、地域共創を実現していきます。

 

・共創パートナーの募集

当社は、「AEON MALL OPEN INNOVATION PROGRAM」を10月20日から11月19日にかけて開催し、「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」「リアルショッピングの魅力最大化」「地球環境と共生する地域基盤の形成」の3つのテーマからパートナーを募集しました。変化のスピードが速い不確実性の時代において、当社がお客さまからの期待に応え、今まで以上に地域から支持されるために、当社の価値創造に共感いただくスタートアップ企業や大学、行政の皆さまと共に事業シナジーや新たなサービスの創出を図っていきます。

 

■基盤構築

(サステナブル視点での財務基盤の強化と組織体制の構築)

急速かつ急激に事業環境が変化する中、当社がめざす「真の統合型ESG経営」の実現に向けた取組方針である「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を推進すべく、「ファイナンスミックスの推進と資産ポートフォリオの最適化」、「経営監督機能の強化と迅速な業務執行体制の構築」、「最も重要な経営資源としての人的資本活用」を通じて、サステナブル視点での財務基盤の強化および組織体制の構築に取り組むことで、持続的な成長を可能とする経営基盤強化を図っていきます。

 

・「イオンモール まちの発電所」の拡大

当社は脱炭素への取り組みとして、各地域での再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という。)直接契約による実質COフリー電力調達から、順次地産地消の再エネ(PPA(注1)手法含む)への切り替えを進め、2040年度には当社直営モールにおいて100%地産地消の再エネでの運営へ引き上げていきます。

2022年9月より自己託送方式(注2)による低圧・分散型太陽光発電設備「イオンモール まちの発電所」の稼働を開始しました。2023年秋より第2弾を順次運転開始し、第1弾との合計では、全国約1,390か所の低圧太陽光発電所で発電した電力約120MW(イオンモール7~8施設分の消費電力に相当)を自己託送方式で全国のイオンモール約50施設に電力供給します。本年度は新たな取り組みとして、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)(注3)を採用し、耕作放棄地の計画的・効率的な利用により農業振興を進めることで、再エネの普及と共に地域経済の活性化にも貢献していきます。

 

 

(注)1.「Power Purchase Agreement(販売契約モデル)」の略称で、PPA事業者が電力需要家の敷地や屋根等を借り太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電気を需要家に販売する事業モデル。

2.遠隔地の太陽光発電設備で発電した電気を、送配電事業者の送配電設備を利用し、自社施設または自社グループの施設へ送電すること。

3.農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組み。

 

・日本最大規模の包括ソーラーカーポート・オンサイト太陽光PPA契約の締結

当社は、Sun Trinity合同会社(注)との間で、当社の国内商業施設の屋外駐車場において最大規模となる合計15,000kwのカーポート型太陽光発電設備(以下、「ソーラーカーポート」という。)を導入するオンサイト太陽光PPAの包括契約を締結しました。ソーラーカーポートは、駐車場スペースを有効活用し屋根と太陽光発電設備を導入することで、駐車場利用者の利便性向上に加え、新たに再エネ由来の電力を生み出す取り組みとして注目が高まっています。本契約の対象は12店舗で、2025年度までに合計50店舗以上の稼働開始をめざし、その後もさらに導入を拡大していきます。

 

(注)住友商事株式会社・四国電力株式会社が日本国内で太陽光発電事業の開発・運営を行うために2022年1月に設立した合同会社。

 

・お客さま参加型のEV充電「V2AEON MALL」サービス開始

当社は、地域のお客さまとともに地産地消の再エネを創出し、施設内で“地域の脱炭素社会実現”をめざすべく、5月より、関西エリア3店舗において、「V2AEON MALL」サービスを開始しました。

本サービスは、家庭で発電した電力(余剰電力)をEVを介してモールに放電いただくと、脱炭素社会実現に向けた取り組み協力の御礼としてポイントを進呈します。お客さま参加型の再エネ循環プラットフォームを整えることで、家庭での再エネ活用を選択するきっかけづくりに寄与します。

 

・サーキュラーエコノミーに貢献するバイオガス発電の導入

当社はサーキュラーエコノミー(注1)の概念を採り入れたモールづくりとして、脱プラスチック、食品リサイクル、衣料品回収等、6Rs(注2)の観点からモール内で発生する資源を循環させる取り組みを推進しています。

4月に開業したイオンモール豊川では、施設内で発生する食品生ごみを利用して「バイオガス」エネルギーとして活用しており、発電した電力は全てモールで消費しています。生ごみを大幅に抑制することで地域の環境負荷低減、ごみ処理負荷低減を実現していきます。

 

(注)1.従来の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等をめざすもの。

2.環境と経済が両立した資源循環型社会を形成していくための「Rethink」、「Reduce」、

「Reuse」、「Recycle」、「Repair」、「Returnable」6つの頭文字をとったもの。

 

・生物多様性のための30by30(サーティ・バイ・サーティ)アライアンスへの参画

当社は、「生物多様性のための30by30(注1)アライアンス(注2)」に参画しました。当社はこれまで新店舗オープンに際し、地域の自然環境に最も適した土地本来の樹木をお客さまとともに植える植樹活動を継続的に実施してきました。本アライアンスへの参画を通じ、同じ目的を持つ企業、自治体、NPO、地域の皆さまと連携し、今後も生物多様性の保全活動を積極的に進めるとともに、OECM(注3)として国際データベースへの登録をめざすことで「30by30」目標の達成に貢献し、ネイチャーポジティブの実現をめざします。

 

(注)1.2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標。

2.30by30目標達成に向け、今後日本として現状の保護地域(陸域約20%、海域約13%)の拡充とともに、民間等によって保全されてきたエリアをOECMとして認定する取り組みを進めるための企業・自治体・団体による有志の連合。

3.民間等の取り組みにより生物多様性保全に貢献している里地里山や企業林など、保護地域以外の土地・地域のこと。

 

・プラチナえるぼし認定の取得

当社は、3月に女性活躍推進法に基づく優良企業として「プラチナえるぼし」認定を取得しました。同認定は、女性活躍の推進に積極的に取り組む企業を認定する制度「えるぼし」企業のうち、行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況について、特に優良な企業に対し厚生労働大臣より認定を受けるものです。今回の認定では、女性管理職候補者の育成研修の実施や、ライフステージにより制約がある社員も昇進・登用にあたって評価することにより、誰もが公平にチャンスを与えられ挑戦できる環境を整備したこと、また子育てしながら働く従業員の活動支援を目的とした事業所内保育施設「イオンゆめみらい保育園」を全国で22園導入しているほか、2019年には、男性の育児休業取得促進を目的に、独自の「育児休業扶助金(イクボス応援金制度)」など、働き方の選択の幅を広げる様々な取り組みが評価されました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

総資産は、前連結会計年度末と比較して855億8千1百万円増加し、1兆6,451億7千3百万円となりました。これは、関係会社預け金(流動資産「その他」に含む。)が250億円減少した一方で、減価償却費545億5千3百万円を上回る新店の開業や既存店の活性化、将来開発用地の先行取得等967億6千3百万円により有形固定資産が851億4千2百万円増加したこと、また、為替換算の影響による増加も大きく生じたこと等によるものです。

 

(負債)

 負債は、前連結会計年度末と比較して431億5千9百万円増加し、1兆1,510億4千1百万円となりました。これは、社債(「1年内償還予定の社債」を含む。)が300億円、設備に関する未払金等(流動負債「その他」に含む。)が217億7千8百万円減少した一方で、リース債務(流動負債の「リース債務」を含む。)が333億1千8百万円、コマーシャル・ペーパーが280億円、専門店預り金が193億5千6百万円、長期借入金(「1年内返済予定の長期借入金」を含む。)が71億7千7百万円増加したこと等によるものです。

 

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末と比較して424億2千1百万円増加し、4,941億3千2百万円となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益147億9百万円の計上、配当金113億7千7百万円の支払により、利益剰余金が33億3千1百万円増加したこと、及び為替換算調整勘定が374億9千9百万円増加したこと等によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して299億2千6百万円減少し、711億7千5百万円となりました。

 キャッシュ・フローの状況等については、次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は、820億2千8百万円(前第3四半期連結会計期間は705億3千9百万円)となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益が258億2千8百万円(同179億3千2百万円)、減価償却費が545億5千3百万円(同523億4千7百万円)、専門店預り金の増加額が189億8千4百万円(同229億5千6百万円)となる一方で、法人税等の支払額が113億5千9百万円(同115億8千万円)となったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は、963億2千1百万円(同776億円)となりました。主な要因は、前連結会計年度にオープンしたイオンモール土岐(岐阜県)やTHE OUTLETS KITAKYUSHU(福岡県)、翌連結会計年度にオープン予定のイオンモール長沙星沙(湖南省長沙市)の設備代金や、将来開発用地の先行取得等により有形固定資産の取得による支出が844億5千8百万円(同766億8千6百万円)生じたこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、267億8百万円(同176億4千3百万円の増加)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入が415億6千8百万円(同445億5千3百万円)、社債の発行による収入が400億円(同800億円)、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増加額が280億円(同増加なし)となる一方で、社債の償還による支出が700億円(同400億円)、長期借入金の返済による支出が372億4千8百万円(同406億6百万円)、リース債務の返済による支出が172億円(同143億6千2百万円)、配当金の支払額が113億7千7百万円(同113億7千7百万円)となったこと等によるものです。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)事業上及び財政上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

該当事項はありません。