売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E37214 

売上高

330.3億 円

前期

352.1億 円

前期比

93.8%

時価総額

446.6億 円

株価

1,489 (07/12)

発行済株式数

29,990,400

EPS(実績)

86.96 円

PER(実績)

17.12 倍

平均給与

610.6万 円

前期

619.0万 円

前期比

98.6%

平均年齢(勤続年数)

38.5歳(3.1年)

従業員数

434人(連結:3,743人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社と国内連結子会社14社、海外連結子会社23社から構成されています。

 

 当社グループは「医療という希望を創る。」というミッションに基づき、医療機関セグメント、ホスピスセグメント及び居宅訪問看護セグメントを報告セグメントとして事業を展開しています。

 医療機関セグメントでは、国内においては病院、訪問診療クリニック、透析クリニック、外来クリニック等を運営する医療機関に対して経営支援サービス(経営戦略策定・経営管理支援、マーケティング支援、IT・経理・総務等支援、人事・採用機能支援等に加えて、M&A・PMI支援、新規クリニック開設支援、病床転換支援等のプロジェクト受注)を提供し、海外においては足病及び静脈疾患クリニックの運営等を行っています。

 ホスピスセグメントでは、ホスピス型住宅の入居者に提供するサービスの質を最重要視した上で、既存のホスピス型住宅の入居者増加に加え、看取り機能が脆弱な地域を中心にホスピス型住宅の新規展開を加速し、より多くの医療依存度の高い(がん末期、神経難病等を患う)入居者向けに訪問看護及び訪問介護を提供しています。

 居宅訪問看護セグメントでは、利用者に提供するサービスの質を最重要視した上で、既存の訪問看護ステーションの利用者拡大に加え、新規エリアへの訪問看護ステーションの新規開設を行い、居宅の利用者向けに訪問看護を提供しています。

 

 急性期(注1)から回復期(注2)、慢性期(注3)、終末期(注4)の各ステージにおいて、当社グループは、患者、医療従事者、医療機関向けに様々なサービスを展開しています。具体的には、急性期から終末期に亘るステージでは、医療機関セグメントにおいて病院やクリニック等に対する経営支援サービスを提供しています。また、回復期から終末期に亘るステージでは、ホスピスセグメントにおいてホスピス事業を、居宅訪問看護セグメントにおいて居宅訪問看護事業を運営しています。

(注)1.発症初期又は急性に発症した期間。

2.急性期を経過し、在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを行う期間。

3.長期に亘り療養が必要な期間。

4.治療効果が期待できず余命が残り僅かと判断された期間。

 

 医療機関セグメント、ホスピスセグメント及び居宅訪問看護セグメントの主要なサービス内容等は以下のとおりです。

 

(1)医療機関セグメント

 我が国では、超高齢社会に適合するために医療機関の機能転換(急性期医療から回復期医療への転換)が求められる中で、過去からの高齢者増加、診療報酬改定、新型コロナウイルス感染症の蔓延等も一因として、医療機関は厳しい経営環境に置かれていると考えています。また、日本の労働人口は今後も減少することが見込まれており、医療従事者確保の難易度は高い状況が続いています。2009年時点の日本国内の上位10位医療法人病床数シェアは約3%(注1)にとどまり、数多くの民間医療機関が存在する一方で、2022年時点で日本における病院経営者の68.7%が60歳以上(注2)であり、2017年時点で後継者不在の病院が68.4%(注3)であることから、事業継続が危ぶまれる医療機関が数多く存在していると考えています。

 当社グループがサービスを提供する海外の医療業界、特に米国においては、日本と同様に、高齢者人口の増加が進み、糖尿病等の患者数が増加しており、生活習慣病疾患に関連した医療ニーズの高まりが見込まれます。

(注)1.以下の外部統計資料記載のデータに基づき、以下の計算方法により当社が算出した推計値。「医療法人(病院)のM&Aの実態」(公正取引委員会、2013年)より、2009年度の医療法人別事業収益上位10位法人の病床数合計は28,129床。「医療施設数及び病院病床数の推移」(厚生労働省、2012年11月16日)より、2009年度の一般病床数の概数は約900,000床。これらから、2009年度における医療法人別事業収益上位10法人の病床数は全国の病床数の約3%にとどまっていたと推定。

2.「令和4年医師、歯科医師、薬剤師統計の概況」(厚生労働省、2024年)。

3.「医業承継の現状と課題」(日本医師会総合政策研究機構、2019年)。

 

① 医療機関への経営支援

 当社は、国内においては病院、訪問診療クリニック、透析クリニック、外来クリニック等を運営する医療機関向けに運営支援(経営戦略策定・経営管理支援、マーケティング支援、IT・経理・総務等支援、人事・採用機能支援等をオールインワン月額報酬で受託)及び売上成長支援(M&A・PMI(Post Merger Integration:事業承継後の統合プロセス)、新規クリニック開設または病床転換等への支援をワンタイム報酬で受託)を提供しています。

 当社の医療機関への経営支援の特徴は、上記の広範なサービスを一体的に提供することにあり、多くの支援先医療機関に当社の経営支援人材が常駐し、医療機関を効率的かつ安定的に運営できるように支援することにより、支援先医療機関と継続的に契約している点が特徴です。具体的な経営支援サービスの例は以下のとおりです。

 ・医療職の採用や人材確保(リテンション)のノウハウ提供

 ・教育研修体制の整備

 ・集患戦略、診療科の選択等による売上収益拡大戦略の策定

 ・部門別管理会計と予実分析

 ・人事制度、報酬体系の整備

 ・後継者不在の医療機関の事業承継におけるアドバイザー業務と事業承継後のPMI

 ・急性期病床から回復期病床への転換

 ・新規のクリニック展開をする際の開設場所の選定、マーケティング、人材採用、教育、行政手続き支援等

 

 常駐型の経営支援の他にも、大規模病院向けの非常駐型コンサルティングサービス(診療報酬改定への対応戦略、医療機器保守費用の削減支援等)、診療報酬ファクタリングサービス及び医療材料の販売等を行っています。また、ベトナム及びインドネシアにおいても医療機関に対して経営支援を行っています。

 

※画像省略しています。

 

② 海外における医療機関の運営

 ミシガン州、オハイオ州、イリノイ州等の米国中西部を中心に足病及び下肢静脈疾患クリニックを運営しています。交通事故による外傷や関節炎、糖尿病性足潰瘍等の、膝より下の部位の疾患にかかる診察から手術等の幅広いサービスを患者に提供しています。加えて足病患者が頻繁に抱える下肢静脈瘤等の疾患に対応する等、周辺の診療領域においても診断、治療サービスを展開しています。米国で運営しているクリニックは、民間医療保険、公的医療保険、患者からの自己負担金により収入を得ています。

 また、生活習慣病患者が増加傾向にある一方、「かかりつけ医」の概念が普及していないベトナムにおいて、日本標準の医療サービスを提供するため、地域のベトナム人の方々を支えるプライマリ・ケアのクリニックを運営しています。ベトナムで運営しているクリニックは民間医療保険及び患者からの自己負担金により収入を得ています。

 

③ 給食サービス

 支援先医療機関が運営する病院、介護医療院、介護老人保健施設、住宅型有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅等並びにホスピスセグメントが運営する住宅型有料老人ホームに食事を提供しています。それらの施設における食事は患者や入居者の治療や健康管理の一環として重要な役割を担っているため、衛生管理体制を徹底した上で、各施設における患者や入居者の身体状態や症状に合わせた食事を提供しています。

 

④ 不動産賃貸

 支援先医療機関及びホスピスセグメントに対する不動産の賃貸及び保守管理を行っており、不動産賃料を売上収益として計上しています。

 

(2)ホスピスセグメント

 我が国では、急速な高齢化による将来的な医療費の増大が見込まれており、病院医療よりも医療費を大幅に抑えられる在宅医療の拡大が厚生労働省を中心に推進されています(注1)。また、2020年時点で約7割の方が病院で亡くなる(注2)一方で、2021年時点で約6割の方が自らの死期が迫っていると分かった時に人生の最期を自宅で迎えたいと思っている(注3)状況です。

 しかしながら、そのように自宅で最期を迎えたいと思っている方を受け入れる仕組み、受け皿が現在は十分ではないと考えています(注4)。

 当社グループは、上述のような社会課題を解決するために、ホスピスセグメントにおいて、ホスピス事業を行っています。

(注)1.「第2回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(厚生労働省)。

   2.「令和2年人口動態統計」(厚生労働省)。

   3.「人生の最期の迎え方に関する全国調査(2021年)」(日本財団)。

   4.「第8次医療計画策定に向けた在宅医療について」(厚生労働省)。

 

[サービスの内容]

① ホスピス型住宅の運営

 ホスピス事業で使用する施設(ホスピス型住宅)は、対象を主にがん末期の方や神経難病等を患っている方に限定した、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅であり、ホスピス型住宅に併設された訪問看護事業所及び訪問介護事業所から24時間365日体制でサービスを提供しています。

 ホスピス型住宅は、病院と自宅の中間に位置づけられる施設であり、自宅にいるような暮らしをしながら、痛みや苦痛を和らげつつ充分なケアを受けることが可能となっています。また、入居者が最期まで自分らしく生きていると実感でき、その家族も含めて快適な生活を送ることができるように努めています。

 ホスピス事業の特徴の1つとして、入居者の希望があった場合には、訪問診療を担う医師の判断の下、看護師や介護士が可能な限り入居者が希望する食事をする機会や外出する機会を提供することが挙げられます。感染症予防策を十分に講じた上で可能な限り家族との面会を調整し、残された時間で心に残るひとときを過ごせるよう努めています。

 ホスピス型住宅の入居者とは、入居に際して賃貸借契約を締結し、家賃収入等を毎月の収入として得ています。

 

② 訪問看護、訪問介護、居宅介護支援、居宅介護及び重度訪問介護

 健康保険法、介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)に基づき、訪問看護、訪問介護、居宅介護支援、居宅介護及び重度訪問介護等を提供しています。

 

(i)訪問看護

 医師の訪問看護指示書に基づき、医療的ケアを必要とする入居者に対して訪問看護を提供しています。ホスピス事業では、訪問看護の診療報酬及び訪問看護の介護報酬の収入を得ています。訪問看護の診療報酬・介護報酬は、国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金より支払われる診療報酬並びに入居者からの自己負担金で構成されています。ホスピス型住宅に訪問看護事業所を併設することで、24時間365日の訪問ができ、入居者が安心して生活できるような体制を整えています。

 

(ii)訪問介護

 介護士等が入居者(要介護者等)を訪問し、入浴・排泄・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供して、訪問看護の介護報酬の収入を得ています。ホスピス型住宅に訪問介護事業所を併設することで、訪問看護事業所と連携しながら訪問看護サービスと親和性の高い訪問介護サービスを提供しています。

 

(iii)居宅介護支援

 一部の施設においては、居宅介護支援事業所を併設し、在籍するケアマネジャーによるケアプランの作成支援を行っています。居宅介護支援サービスを利用した入居者には自己負担金はなく、売上収益は介護保険の収入のみを得ています。

 

(iv)居宅介護及び重度訪問介護

 障害者総合支援法に基づき、障害のある方が住み慣れた地域で生活するため、日常生活又は社会生活を営む支援として、居宅介護サービス及び重度訪問介護サービスの提供を行っています。重度訪問介護サービスとは、重度の肢体不自由者の方に、入浴・排泄・食事等の介護並びに調理・洗濯・掃除等の家事等の総合的な障害福祉サービスを提供するものです。これらのサービスは個々の方の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に支給決定された報酬を得ています。

 

[終末期の患者を取り巻く概況]

 多死社会を迎える日本で、がんによる死亡者数は年間約40万人にのぼります(注1)。特にがん末期の方は手厚い医療及び介護ケアが必要になります。

 また、全国の指定難病患者数は約105万人に上り(注2)、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症等338個の疾患が指定されています。難病の方もがん末期の方と同様に手厚い医療及び介護ケアが必要です。

 終末期の限られた時間を自宅で過ごしたい要望がある一方で、必要な医療及び介護ケアを自宅で提供することは、家族の負担があまりに大きく難しいため、ホスピス型住宅に対する社会的ニーズは強いと考えています。

(注)1.「令和4年(2022)人口動態調査」(厚生労働省)。

2.「令和4年度衛生行政報告例」(厚生労働省)。

 

(3)居宅訪問看護セグメント

 超高齢社会である我が国では、在宅医療に対する国民のニーズが高まっている(注1)ことから、症状の重い患者の自宅療養生活を支える体制が必要となり、24時間365日対応の在宅医療体制の拡充が必要であると考えています。

 これらのニーズを受け、全国の訪問看護ステーション数は、2012年の約7,000事業所から2022年の約14,800事業所へと近年急速に増加しています(注2)。一方、2020年時点で訪問看護事業所の57%が5人未満の看護職員で運営している小規模事業所であり(注3)、24時間365日対応の安定的な運営が可能な大規模事業所のニーズを満たしていないといえます。

 そのような中で当社グループは、次世代の居宅訪問看護のスタンダードモデルとして24時間365日対応の安定的な運用が可能な従業員数を有する大規模事業所を効率的に運営すること、医療依存度の高い利用者に対して質の高いサービスを提供できる体制を構築すること、及び居宅訪問看護に携わる一人ひとりがその人らしく活躍できる仕組みをつくることを目指しています。

(注)1.「在宅医療の最近の動向」(厚生労働省)。

2.「介護サービス施設・事業所調査の概況」(厚生労働省)。各年9月に訪問看護費を請求した訪問看護ステーション及び病院・クリニックが運営する居宅訪問看護事業所数の合計(介護保険ベース)。

3.「第220回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3」(厚生労働省)。

 

[サービスの内容]

① 訪問看護

 居宅の利用者向けに訪問看護のサービスを提供しています。医師の訪問看護指示書に基づき、看護師やセラピスト(注1)が医療的ケアを必要とする利用者の自宅に訪問し、訪問看護を行っています。具体的には健康状態のアセスメントや日常生活の支援をはじめとし、心理的な支援、予防的看護、家族や介護者への支援、社会資源の活用支援、エンドオブライフケア(注2)等、多岐にわたるサービスを実施しています。

 居宅訪問看護事業では、訪問看護の診療報酬及び訪問看護の介護報酬の収入を得ています。訪問看護の診療報酬及び介護報酬は、国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金より支払われる報酬並びに利用者からの自己負担金で構成されています。

 質を重視した訪問看護を提供するため、人材育成や制度改正への対応、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)策定と運用支援、災害対策、感染症対策等を主とした本部での後方支援の体制を整えています。多職種が協働・連携することによる多角的な視点でのよりよいサービス提供に努めており、理学療法士や作業療法士だけでなく、言語聴覚士も過半数の訪問看護ステーションに在籍し、脳卒中の後遺症や先天的障害を抱える乳幼児等に対する多様なリハビリにも対応しています。また、精神疾患を抱える利用者にも対応できるよう、基本的に各訪問看護ステーションに精神科対応可能な看護師や作業療法士が在籍し、利用者への個別対応を可能にしています。

 現在、医療ニーズの高い利用者への対応強化のため、24時間365日対応の体制をとる訪問看護ステーションを順次増やし、夜間や土日祝日の訪問ニーズに可能な限り対応しています。これにより利用者家族の負担軽減にも貢献しています。

(注)1.セラピストは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の総称。

2.救命、延命治療における患者及び家族の意思決定の権利を守り、本人の自己決定を支援する考え方を基礎としたケア。

 

② 通所介護(デイサービス)

 要介護状態となった利用者が可能な限り居宅で自立した日常生活を送れるように、生活機能の維持又は向上を目指して日帰りで機能訓練を提供するサービスを提供しています。デイサービスを提供することにより利用者の社会的孤立感が解消されるのみならず、利用者家族の身体的、精神的負担を軽減する効果も期待されます。

 デイサービスには、理学療法士又は作業療法士を専属で配置しており、個別又は集団のリハビリプログラムにより、利用者一人ひとりに合ったトレーニングを行っています。介護保険制度の要支援・要介護に認定されている方が主なサービス利用者であり、デイサービスでは主に介護保険の収入を得ています。

 

③ 居宅介護支援

 介護を必要とする方が居宅で適切にサービスを利用できるように、介護支援専門員(ケアマネジャー)が心身の状況や生活環境、本人及びその家族の希望等を伺いながら、個々人に合った居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、サービスを提供する事業所等との連絡及び調整を行っています。

 居宅訪問看護事業で運営する居宅介護支援事業所は訪問看護ステーションに併設しているため、医療ニーズの高い利用者にも迅速に対応することができます。経験豊富なケアマネジャーが利用者からの様々な質問や相談に対して、医療・福祉提供機関等と連携を図りながら解決策を見出します。

 居宅介護支援サービス利用者の自己負担金額はなく、売上収益は介護保険の収入を得ています。

 

④ 在宅治験

 自宅等の病院外で治験を行う際の治験実施医療機関及び治験協力者(訪問診療クリニックや訪問看護ステーション等)の選定支援又は治験協力者としての業務を行っています。多くの案件では在宅治験を実施する医療機関に対して、居宅訪問看護事業の訪問看護サービスを提供しています。

 今後も患者負担を軽減しつつ新薬開発のスピードアップを支援することで社会に貢献していきます。在宅治験では、製薬会社から治験業務を受託している医療機関より業務受託収入を得ています。

 

[医療職の働き方]

 2022年時点で、約156万人の日本の看護師及び准看護師のうち、訪問看護師はわずか4.9%しかいません(注)。更に訪問看護師は病院で数年の経験を積んでから訪問看護に転職することが多いため、20代後半から30代前半の出産や育児の時期を迎える世代が多く、出産・育児で離職中の訪問看護師の中には復職に不安を感じている方が多く存在すると考えられます。24時間365日対応の体制を整えるためには、今まで以上に柔軟な働き方が求められます。

 当社グループでは、日本に一刻も早く24時間365日対応の在宅医療体制を行き渡らせるため、訪問看護師やセラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)等の医療スタッフが働きがいと働きやすさを感じながら安心して働き続け、成長し続けることを目標としています。

 そのために、採用から入社時研修、育成制度、仕事と家庭の両立支援、評価・表彰制度、従業員満足度調査、社内外のコミュニケーション等がミッションと一気通貫で接続されるように制度や施策を構築しています。

(注)「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(厚生労働省)。

 

 

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

※画像省略しています。

 

事業セグメントごとの事業内容及び主な関係会社は以下のとおりです。

区分

事業内容

主な関係会社

医療機関セグメント

医療機関への経営支援

海外における医療機関の運営

給食サービス

不動産賃貸

株式会社シーユーシー

透析研究開発株式会社

CUC SINGAPORE PTE.LTD.

CUC Podiatry Holdings, LLC

株式会社シーユーシー・フーズ

株式会社シーユーシー・プロパティーズ

ホスピスセグメント

ホスピス型住宅の運営

訪問看護、訪問介護、居宅介護支援、居宅介護及び重度訪問介護

株式会社シーユーシー・ホスピス

株式会社ネイチャー

株式会社A&N

株式会社ゆう

居宅訪問看護セグメント

訪問看護

通所介護(デイサービス)

居宅介護支援

在宅治験

ソフィアメディ株式会社

 

24/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態の概況

(資産)

 資産合計は、前連結会計年度末比23,086百万円増の62,836百万円となりました。流動資産については、前連結会計年度末比4,919百万円増の17,651百万円となりました。これは主に現金及び現金同等物が東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行により13,109百万円増加しましたが、一方でCUC Podiatry Holdings, LLC(以下、CUC Podiatry Holdings)の持分取得により9,734百万円減少したこと等により現金及び現金同等物が4,135百万円増加したことによるものです。非流動資産については、前連結会計年度末比18,167百万円増の45,185百万円となりました。これは主にホスピス型住宅の増加等に伴い有形固定資産が4,678百万円増加したこと及びCUC Podiatry Holdingsの連結子会社化に伴い使用権資産が2,957百万円、のれんが8,919百万円、無形資産が1,645百万円、それぞれ増加したことによるものです。

(負債)

 負債合計は、前連結会計年度末比7,001百万円増の34,831百万円となりました。これは主に、既存借入金のリファイナンス(借換え)により、流動負債の借入金は14,040百万円減少となりましたが、一方で非流動負債の借入金は16,434百万円増加したこと及び使用権資産の増加に伴いリース負債が2,873百万円増加したことによるものです。

(資本)

 資本合計は、前連結会計年度末比16,085百万円増の28,005百万円となりました。これは主に東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行により、資本金が6,606百万円増加、資本剰余金が6,503百万円増加し、また親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が2,593百万円増加したこと等によるものです。

 

② 経営成績の状況

 従来、報告セグメントについては、「医療機関支援」及び「訪問看護」の2区分としていましたが、当第1四半期連結累計期間より「医療機関支援」、「ホスピス」及び「居宅訪問看護」の3区分に変更しています。

 当連結会計年度に、米国において足病及び静脈疾患クリニックの運営を行うCUC Podiatry Holdingsの持分の79.35%を取得し、連結子会社としたことに伴い、当社グループ全体の事業内容を適切に表示するため、当連結会計年度末より報告セグメントの名称を従来の「医療機関支援」から、「医療機関」へ変更しています。

 

 当連結会計年度の業績は、以下のとおりです。また、当連結会計年度からのセグメント変更に伴い、前年同期の数値を新たな報告セグメントに組み替えて表示しています。セグメント変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」を参照ください。

 なお、EBITDAの計算式は次のとおりです。

 EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用

 

(当連結会計年度の業績)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

比較増減

売上収益

35,210

33,025

△2,185

△6.2%

営業利益

3,683

3,737

+54

+1.5%

税引前利益

3,634

4,138

+505

+13.9%

親会社の所有者に帰属する当期利益

2,423

2,595

+173

+7.1%

EBITDA

4,982

5,524

+541

+10.9%

 

(セグメントの業績)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

比較増減

医療機関

セグメント売上収益

16,441

12,182

△4,260

△25.9%

セグメント利益

2,955

3,932

+976

+33.0%

EBITDA

3,492

4,895

+1,403

+40.2%

ホスピス

セグメント売上収益

6,633

10,389

+3,755

+56.6%

セグメント利益

191

349

+158

+82.8%

EBITDA

475

697

+222

+46.8%

居宅訪問看護

セグメント売上収益

12,192

10,946

△1,247

△10.2%

セグメント利益

1,351

616

△735

△54.4%

EBITDA

1,820

1,086

△734

△40.3%

その他

セグメント売上収益

205

205

△0

△0.2%

セグメント利益

29

18

△11

△36.5%

EBITDA

39

23

△16

△40.6%

調整額

セグメント売上収益

△263

△696

△433

-

セグメント利益

△843

△1,178

△334

-

合計

セグメント売上収益

35,210

33,025

△2,185

△6.2%

セグメント利益

3,683

3,737

+54

+1.5%

EBITDA

4,982

5,524

+541

+10.9%

 

 

(既存サービスとコロナ関連サービス等のセグメント売上収益)

 前々連結会計年度に開始した医療機関セグメントにおける新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス並びに居宅訪問看護セグメントにおける在宅治験及び健康観察支援サービスを「コロナ関連サービス等」として定義し、コロナ関連サービス等以外のサービスを「既存サービス」として定義しています。当該コロナ関連サービス等は当連結会計年度に大幅に縮小しましたが、前連結会計年度との比較を行うため、以下では既存サービスとコロナ関連サービス等に分けて記載しています。なお、当連結会計年度より、従来、「新規サービス」としていた名称を「コロナ関連サービス等」に変更しています。当該名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。

(単位:百万円)

サービス

セグメント

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

比較増減

既存サービス

医療機関

8,307

12,075

+3,768

+45.4%

ホスピス

6,633

10,389

+3,755

+56.6%

居宅訪問看護

9,539

10,550

+1,010

+10.6%

その他

205

205

△0

△0.2%

調整額

△263

△696

△433

-

合計

24,423

32,523

+8,100

+33.2%

コロナ関連サービス等

医療機関

8,134

106

△8,028

△98.7%

ホスピス

-

-

-

-

居宅訪問看護

2,653

396

△2,257

△85.1%

合計

10,787

502

△10,285

△95.3%

合計

35,210

33,025

△2,185

△6.2%

 

a.医療機関セグメント

 当セグメントにおいては、当連結会計年度の支援先主要拠点数(注1)は108(前年同期比17拠点増)となり、支援先主要拠点当たり年間売上収益(注2)が98百万円(前年同期比8百万円増)となったことと、米国において足病及び静脈疾患クリニックの運営を行うCUC Podiatry Holdingsの持分を取得し、連結子会社としたことにより、既存サービスによる売上収益は12,075百万円(前年同期比45.4%増)となりました。

  一方、前々連結会計年度より開始した新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスが大幅に縮小したため、当セグメント全体の売上収益は12,182百万円(前年同期比25.9%減)となりました。

  当セグメント全体の営業損益及びEBITDAについては、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスに係る利益が減少した一方、既存サービスに係る利益の増加により、営業利益は3,932百万円(前年同期比33.0%増)及びEBITDAは4,895百万円(前年同期比40.2%増)となりました。

 

(注)1.当社が日本国内において経営支援を提供する病院、介護老人保健施設、訪問診療クリニック、透析クリニック、外来クリニックの数(期中平均)。

   2.既存サービス(国内)による売上収益を支援先主要拠点数(期中平均)で除して算出。

 

b.ホスピスセグメント

 当セグメントにおいては、2023年1月に連結子会社化した株式会社ネイチャー、株式会社A&N及び株式会社ゆうの業績が通年で寄与したこと及び当連結会計年度における新規開設(7箇所)等により、売上収益は10,389百万円(前年同期比56.6%増)、営業利益は349百万円(前年同期比82.8%増)及びEBITDAは697百万円(前年同期比46.8%増)となりました。

 

c.居宅訪問看護セグメント

 当セグメントにおける利用者数と利用者あたりケア時間の増加に伴い、当連結会計年度ののべ総ケア時間(注)は1,065千時間(前年同期比112千時間増)となり、当セグメントの既存サービスによる売上収益は10,550百万円(前年同期比10.6%増)となりました。一方、前々連結会計年度より開始した在宅治験及び健康観察支援サービスが大幅に縮小したため、当セグメント全体の売上収益は10,946百万円(前年同期比10.2%減)となりました。

 当セグメント全体の営業損益及びEBITDAについては、看護師及びセラピストの稼働率向上により既存サービスに係る利益が増加した一方、在宅治験及び健康観察支援サービスに係る利益の減少により、営業利益は616百万円(前年同期比54.4%減)及びEBITDAは1,086百万円(前年同期比40.3%減)となりました。

 

(注)当セグメントの看護師及びセラピストが利用者に居宅訪問看護サービスを提供した時間の合計。セラピストは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の総称。

 

 以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は33,025百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益は3,737百万円(前年同期比1.5%増)、EBITDAは5,524百万円(前年同期比10.9%増)、税引前利益は4,138百万円(前年同期比13.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,595百万円(前年同期比7.1%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高より4,135百万円増加し、8,256百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、4,156百万円の収入(前年同期は2,357百万円の収入)となりました。主に、税引前利益4,138百万円、減価償却費及び償却費1,806百万円によるキャッシュ・フローの増加及び金融収益の調整687百万円の減少、法人所得税の支払額1,097百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、14,746百万円の支出(前年同期は6,682百万円の支出)となりました。主に、CUC Podiatry Holdingsの持分取得による9,734百万円の支出及びホスピス型住宅の新規開設に伴う有形固定資産の取得による支出4,859百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、14,373百万円の収入(前年同期は3,972百万円の収入)となりました。主に借換えに伴う短期借入金の純減少額16,040百万円、長期借入金による収入19,920百万円及び長期借入金の返済による支出1,500百万円、株式の発行による収入13,109百万円、リース負債の返済による支出1,121百万円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

医療機関

11,487

△29.0

ホスピス

10,388

+56.6

居宅訪問看護

10,945

△10.2

報告セグメント計

32,820

△6.2

その他

205

△0.2

合計

33,025

△6.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

   2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しています。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 重要性がある会計方針及び見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務

諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。また、連結財務諸表の作成にあたっては、企業結合における無形資産の公正価値の測定、非金融資産の減損テスト、金融商品の公正価値の評価について、過去の実績や将来キャッシュ・フロー等を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積り及び予測を行っていますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合等の不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りや予測と異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

③ 資金の源泉と流動性についての分析

当社グループの主な資金需要は、事業活動にかかる人件費、ホスピス事業の土地取得及び新規ホスピス型住宅建設費用、居宅訪問看護事業の新規拠点開設費用等です。当連結会計年度に当社グループは上場することにより資金調達を行い、調達した資金はホスピス型住宅の建設に充当する予定です。加えて外部借入により資金調達を行っています。また、当社を頂点とする当社グループのCMSを導入しており、当社グループ内資金を当社が一元管理しています。各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針

  経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のと

おりです。