売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E37399 

売上高

351.6億 円

前期

324.1億 円

前期比

108.5%

時価総額

262.8億 円

株価

1,876 (04/24)

発行済株式数

14,009,800

EPS(実績)

119.79 円

PER(実績)

15.66 倍

平均給与

494.2万 円

前期

490.1万 円

前期比

100.8%

平均年齢(勤続年数)

38.9歳(6.1年)

従業員数

645人(連結:666人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

(1)事業の概要

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社(㈱アイブリット、㈱ドゥアイネット)の計3社で構成されており、自社開発のクラウドPBX(注1) Omnia LINK(オムニアリンク)等のデジタル技術を活用したコンタクトセンター(注2)・BPO(注3)サービスの提供、およびAI・DX(注4)ソリューションの開発・販売を行なっております。

当社グループは事業理念である「洞察を通じた社会への貢献」の実践を通じ、コンタクトセンター・BPO事業を通じて、業務の企画・設計などの上流工程から、教育・運営までをワンストップでご提供することで、顧客企業の競争力強化の一助を担ってまいりました。

また、2016年に子会社化したアイブリットの開発力を活かしたクラウドPBX Omnia LINKのご提供をはじめとする自社開発のシステムソリューションの販売も行っております。PBXは、コンタクトセンターに限らず、企業など複数の電話回線を持つ場所には、必須のシステムです。主な役割は、受発信機能(企業にかかってきた電話を適切に振り分けて着信させる機能や、適切な通知番号での発信を可能にする等)や、内線通話、転送、保留など電話に関わる制御を行なう装置です。

 

(注1)Private Branch eXchange:構内交換機。従来は構内に置いていたPBXをクラウド化し、インターネット上で通話・通信を行うことで、従来の電話システム環境を改善することができるシステム。

(注2)顧客対応チャネルを「電話」に絞らず、「メール」「チャット」「WEB」など複数の組み合わせで顧客対応するセンターを「コンタクトセンター」と定義しております。当社は顧客対応チャネルを複数ご提供しており、「電話」に限っていないため、事業内容を「コールセンター」ではなく、「コンタクトセンター」と記載しております。

(注3)Business Process Outsourcingの略で、企業活動における業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを一括して専門業者に外部委託することを指します。BPOには、広義での捉え方と狭義での捉え方があります。広義での捉え方は、「ITアウトソーシング」との対比で、ビジネスプロセスにおけるアウトソーシングを広義の「BPO」と捉えます。この場合、コンタクトセンターも「BPO」の一部と見ることができます。狭義での捉え方は、広義で捉えた「BPO」のうち、顧客対応を伴わないもの(多くは企業のバックオフィス部門や、受発注や請求などの事務業務)を狭義の「BPO」として捉えます。当社の事業である、「コンタクトセンター・BPO」における「BPO」は狭義の「BPO」の意味合いとして使用しております。

(注4)デジタルトランスフォーメーションの略。進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念。

 

当社グループのコンタクトセンター・BPOサービスでは、顧客へのサービス提供の際、顧客ごとのニーズを捉え、オーダーメイドで見積もりを提示し、必要なリソースやシステム、環境を用意して顧客に役務の提供を行なっております。外部資源・情報を戦略的に活用し、コア業務へリソースを集中させることで顧客企業が競争力を高める手段を提供しています。当社のようなアウトソーシング事業者は顧客企業の業務を専門的に請け負うことにより、顧客企業には適正対価での品質・生産性の向上を提供し、また自社にとっては業務の受託規模を増加していくことにより事業を継続的に成長させていくことが可能となります。また、アウトソーシングの提供形態には場所・運営・システムまですべてを提供する「フルアウトソーシング」と、場所・システムは顧客が用意し、当社が運営を行う「インソーシング」があります。当社グループにおける2023年5月期売上高の約3分の2がフルアウトソーシングとなっており、インソーシングよりも場所・運営・システムを含めたフルアウトソーシングの提供に注力しております。

 

以下の図のように、アウトソーシングサービスの領域は様々です。アウトソーシング業界においては、大きく「IT領域」(注5)と「ビジネスプロセス領域」が存在します。当社グループのサービス範囲は、その大半が、「ビジネスプロセス領域」のうち、着色している「コンタクトセンター」「調達」「購買」「人事・採用」「経理」「業界特化型サービス(注:製品や商品を販売するにあたって、その業界に特化して生じる事務業務のこと)」を対象領域としております。その中でも「コンタクトセンター」は当社グループの売上高の約80%を占めております。コンタクトセンター領域においては、オリジナル顧客対応メソッド「ミライ転換力」の確立や、80種類以上のスーパーバイザー(注:オペレーターを指導する立場にあるリーダー的立場のスタッフ)向け教育コンテンツを有しており、コンタクトセンターサービス提供会社としての専門性を保有し、強みを有する領域となっております。

 

(注5)2022年に子会社化した㈱ドゥアイネットは、「IT領域」における「システムソフトウエア設計/開発/運用」のアウトソーシングを担っております。また、2022年11月にリリースした㈱Works Human Intelligenceとの協業は、提供する統合人事システム「COMPANY」の導入支援を行うもので、システム利用における詳細設計や、設定支援、マニュアル作成等のIT導入に係るアウトソーシングを行うものです。売上高比率は大きくはありませんが、ビジネスプロセス領域とIT領域の垣根を超えた、事業領域の拡張を行っております。

 

※画像省略しています。

 

コンタクトセンター・BPOの主な機能は、オペレーターを介して顧客企業のエンドユーザーや従業員に向けた高品質なサービスを提供することにあります。質の高い対応を行なうことによって、最終的にエンドユーザーや従業員の満足度を高めることが、顧客企業の満足度を高めることになり、契約期間や当社の売上高の拡大につながります。

そのために当社として注力するべき事項は、オペレーターやスーパーバイザーなどのオペレーションに関わる人材の教育や、テクノロジーによるスタッフの支援を通じた運営品質や生産性の向上を実現する仕組みを構築し、継続的にQCD(注:Quality<品質>、Cost<費用>、Delivery<納期>)の改善を行うことです。

また、運営を通じてエンドユーザーや従業員の声を受け取り、適切に顧客企業にフィードバックすることで、商品開発やサービス改善のヒントを提供し、受託している業務自体の高付加価値化を目指すことも顧客企業と長く取引を続ける中で大変重要なポイントです。

 

 

当社グループのコンタクトセンター・BPO事業のビジネスモデル概念図を以下に記載します。

 

※画像省略しています。

 

当社は顧客企業(業務発注企業)を委託者としたコンタクトセンター・BPOサービスに関する業務委託契約を締結し、受託した業務の遂行のための場所やシステム、オペレーターやスーパーバイザーなどの体制を用意し、顧客企業のエンドユーザーへの対応にあたります。主な収益は顧客企業から受け取る、スタッフの稼働時間・システム・場所等の提供費用となっております。一部商品販売や販売勧奨を目的としたアウトバウンド業務(注:電話を発信する業務のこと)では、販売実績に応じたインセンティブ請求が発生することがあります。

 

コンタクトセンターで使用するシステムは、複数存在します。例えば、PBXや通話録音システムなどの電話応対の基幹となるシステムや音声認識システム(音声のテキスト化)や音声合成システム(テキストの音声化)、顧客管理システム、FAQシステム等が挙げられます。これらの各システム・機能はOmnia LINKの機能として内包されており、コンタクトセンター・BPOにおけるシステム利用料としてOmnia LINK利用料を請求しております。ただし、前述のようにコンタクトセンター・BPOはオーダーメイドの特性を有することから、Omnia LINKの活用範囲を企業ごとにカスタマイズし都度提案を行なっております。また、顧客の要件がOmnia LINKの機能だけでは満たせない場合は、要件が満たされる外部のシステムを仕入れ、提供することもあります。

また、当社との業務委託契約がなく、自社でコンタクトセンターを運営している企業に対して、コンタクトセンターシステムとしてOmnia LINKのみを販売することもあります(当社では「Omnia LINK外販」と呼称)。

 

当社の事業の特徴は、自社開発のPBX Omnia LINKを保有している点にあります。

PBXは、コンタクトセンター運営には必要不可欠なシステムですが、日本のPBX市場においては、長年米国のメーカーの寡占状態にありました。当社グループでは自社のコンタクトセンターシステムのコスト削減・高機能化を目的に2016年に株式会社アイブリット社を買収し、自社開発PBXとしてOmnia LINKを開発いたしました。

当社グループの調べにおいては、コンタクトセンター・BPOサービスの提供会社が自社開発のPBXを保有している例は極めて少なく、競合企業の多くがPBXの開発会社から仕入れを行った上で、サービス提供をしています。そのため、自社開発のPBXを有するコンタクトセンター・BPOサービス提供会社として、当社グループは、業界でも稀有なポジションを獲得していると考えております。

 

PBXには、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つのタイプが存在しており、Omnia LINKはクラウド型PBXとなっております。以下はオンプレミス型PBXとクラウド型PBXの違いを記載した図です。PBX利用企業にとっては、オンプレミス型PBXの場合、利用する場所自体にPBXを物理的に設置する必要があり、新規設置や増設には初期費用や準備期間が必要な上、利用場所も限られますが、クラウド型PBXの場合は、PBXはデータセンター上に存在するため、複数の場所において利用規模の変動を含め柔軟に利用することが可能であり、在宅勤務環境を含めて、利用拠点に制限を設けずにPBXを活用することが可能となります。

※画像省略しています。

当社グループでは、自社の受託業務の中でOmnia LINKを活用しております。Omnia LINKは社内で3,000ライセンス強(2023年5月実績)が利用されており、Omnia LINKの活用を通してコンタクトセンターから開発部門にダイレクトに改善要望を上げています。この改善要望を満たすことで、Omnia LINKは機能強化を重ねてきました。そのような取り組みから、Omnia LINKの機能は、基本的な電話の受発信の機能やCRM機能(Customer Relationship Management:顧客管理システム)だけでなく、コンタクトセンターにおける通話音声のリアルタイムテキスト化や、AIによる自然言語処理(人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術)を用いたFAQレコメンデーション(それまでの会話内容から予測される想定問答の提示)まで広がっております。コンタクトセンターシステムの競合製品は、一つの機能を単体で販売しており、複数システムをそれぞれ調達の上で組み合わせて使用するものが大半ですが、Omnia LINKは基本機能から高付加価値機能までをオールインワンでご提供しており、機能の幅広さがOmnia LINKの強みであると当社グループでは認識しております。

 

Omnia LINKの主な機能は以下の通りです。

※画像省略しています。

Omnia LINKは以下3点の要因から当社グループの競争力の源泉となっております。

 

① システム内製化によるコスト削減
 上述のようにPBXはコンタクトセンター運営に必要不可欠なシステムであることから、過去、当社グループがコンタクトセンターサービスをご提供するにあたっては、米国メーカーを中心に複数企業の製品に対するシステム投資コストおよび保守コストが重複して発生しておりました。PBXの調達そのものを内製化したことにより、拠点新設や増強時のコストについて、その規模にもよりますが10百万円~100百万円程度のコスト削減が可能になり、Omnia LINKの社内利用を本格的に開始した2016年頃と比較しても、当社グループの利益水準は大きく改善しております。

 

② 柔軟な拠点戦略
 当社グループのコンタクトセンター新拠点は、標準PBXとしてOmnia LINKを利用しております。従来のPBXの場合、筐体やライセンスの納品まで時間を要すため、拠点新設の意思決定から実行までのリードタイムが長期化しておりました。Omnia LINKは自社開発かつクラウド型のため最短数日での導入が可能です。これにより拠点新設や増強のリードタイムが大幅に改善しました。その結果、顧客の要望に沿った業務実施場所の柔軟性の獲得とともに、サテライトオフィスや在宅を活用した運営も可能となりました。顧客提案時における機会損失を防止し、タイムリーな提案を行うことで受注を拡大し、コンタクトセンターサービスの成長につなげております。機会を逃さずに高収益案件を獲得することができるため、1席あたりの月次売上高(注:アウトソーシング業務の月次売上高/月次稼働席数。オペレーションブースの収益面での効率性を現す指標)もOmnia LINKの利用拡大とともに増加傾向にあります。
 また、新型コロナウイルス感染拡大の状況下においては、自社のクラウドPBXを保有していたことから、感染拡大の早い局面(2020年6月頃)の時点で在宅コンタクトセンターサービスである「Bewith Digital Work Place(ビーウィズデジタルワークプレイス)」を開始いたしました。2023年5月時点で1,400名強のオペレーターが在宅でのオペレーションを行なっており、オペレーターの安全性の確保、BCP対策、柔軟な増席対応につながっております。これは、コンタクトセンター・BPOサービスの競合企業と比較してもテレワークの活用度合いは高い状況と自負しております。

 

③ Omnia LINK外販を通じた売上・利益の増大
 自社でOmnia LINKを利用するだけでなく、Omnia LINKそのものをクラウドサービスとして外部企業へ販売する戦略を採用したことで、より安定した全社収益確保の一助となり、当社グループの業績に貢献しております。また、Omnia LINKはコンタクトセンターの基幹システムであるため、導入時にはオペレーションフローの見直しを含めた業務への影響が生じることから、他システムへの切り替えが行いづらく、契約が長期化する傾向にあります。そのため、より安定した収益を生み出しやすい事業モデルへと、当社グループの事業構造の転換が進んでおります。

 

23/08/30

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響緩和による社会・経済活動の正常化やインバウンド消費の復活が進んだ一方で、ウクライナ情勢等に起因する資源価格の上昇、円安の加速や物価の上昇などにより、先行き不透明な状況が続いております。

当社の属するコンタクトセンター・BPO業界は、経済活動の正常化や新型コロナウイルス環境下における非対面接客の需要の高まりを背景に、旺盛な需要が続き、堅調に推移しております。

このような経営環境の下、当社グループは2023年5月期までを対象期間とする「中期経営計画2022」において、「根元から新芽まで健康に成長し続ける会社」をビジョンとし、既存(根元)事業である「コンタクトセンター・BPOサービス」と、新規(新芽)事業である「クラウドPBX(注) Omnia LINK(オムニアリンク)をはじめとするシステム開発・販売」の両面での成長を掲げてまいりました。

(注)PBX:Private Branch eXchangeの略・構内交換機

 

(コンタクトセンター・BPOサービス)

コンタクトセンター・BPOサービスにおいては、「ライフライン」「金融」「流通」「情報通信」業界を重点戦略グループとし、各顧客業界に対する専門性を高め、高機能であるOmnia LINKとの組み合わせにより、業界に必要とされるサービスの企画・提案や、付加価値向上、品質の向上を図ることで受託数を拡大いたしました。その他、コロナワクチンに関する予約・問い合わせ窓口や全国旅行支援に関する窓口業務なども一定の業務量に対応したものの、上半期においては感染拡大の状況変化による受託業務量変化の影響も受けることとなりました。

増加する業務量への対応として、2022年7月には、横浜エリアで4拠点目となる「横浜第四センター」を開設しており、同センターはすでに高い稼働率に至っております。当連結会計年度末におけるオペレーションブース数は、全国16拠点、6,764ブースとなり、コンタクトセンター・BPOサービスにおけるOmnia LINK利用占有率(コンタクトセンター・BPOサービスでの利用PBXのうち、Omnia LINKが占める割合)は80.4%となりました。

また、従前からの採用強化策の一環としての取り組みを継続し、在宅コンタクトセンターサービスである「Bewith Digital Work Place(ビーウィズデジタルワークプレイス)」の提供規模を拡大してまいりました。Bewith Digital Work Placeでは、場所の制限がなく自宅で勤務が可能であり、全国から応募が可能となります。応募者や従業員の多様な働き方へのニーズへ応えることによって、応募数の増加や退職率の低下などの効果も大きいことから、引き続き、取り組みを一層推進してまいります。

 

(クラウドPBX Omnia LINKをはじめとするシステム開発・販売)

在宅コンタクトセンターニーズや、システムコストの削減、先進機能の活用などのニーズの高まりを受け、クラウドサービスとしてOmnia LINKを自社で利用したいという引き合いも大きく増加しております。その結果、当連結会計年度末のライセンス販売数は、期初に設定した目標数を上回り、前年同期比で2倍以上となる2,371ライセンスに達しました。また、音声認識の精度向上や生成AIの台頭なども背景に、Omnia LINKの高付加価値機能である音声のリアルタイムテキスト化や、テキスト化した音声を活用したオペレーター支援機能などのオプション販売数も順調に推移しております。上記に伴い、Omnia LINK外販のARR(年間経常収益:毎月継続して生じる収益×12か月で算出)は6.0億円(前年同期比137.1%増)となりました。

2022年10月には、長崎県長崎市のシステム開発会社である、株式会社ドゥアイネットの株式を取得し、連結子会社化しております。同社は、当社が以前から参画する「長崎デジタルコンソーシアム」における中核企業の1つであり、同社の開発力や人材を活かし、当社グループにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するとともに、当社のデジタル開発拠点である「デジタルラボ長崎」とのシナジー創出を進めております。

2023年2月には、本人確認や契約書の署名もワンストップで対応可能なオンライン接客・契約システム「UnisonConnect」の提供を開始いたしました。新型コロナウイルス感染拡大防止を機に、オンラインを活用した接客や商談方法を取り入れる企業が増加しているものの、本人確認や申込書類などの契約行為においては、書面の郵送や対面での説明などが必要なケースも多く残っています。UnisonConnectは、接客・商談から、本人確認、契約書の署名、契約締結までを一元化できるシステムであり、システムのみの提供にとどまらず、UnisonConnectでの接客対応そのものを受託し、当社グループで対応することも可能であることから、コンタクトセンター・BPOサービスとの相乗効果も期待できます。

 

上記の取り組みの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は前期に続き過去最高となる35,158,816千円(前年同期比8.5%増)、営業利益は横浜第四センターの新設等による一時費用増、研究開発費の計上、ならびに上場に伴う租税公課の増等を主たる要因として、2,225,126千円(同13.3%減)、経常利益は2,269,326千円(同12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,678,180千円(同5.6%減)となりました。

また、当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産額は、12,207,044千円となり、前連結会計年度末比1,716,352千円増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加483,994千円、売掛金の増加649,541千円、投資有価証券の増加168,000千円等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における総負債額は、4,365,150千円となり、前連結会計年度末比480,232千円の増加となりました。これは主に、未払費用の増加282,805千円、未払法人税等の増加101,400千円等によるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産額は、7,841,894千円となり、前連結会計年度末比1,236,121千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,678,180千円を計上した一方で、剰余金の配当643,900千円により利益剰余金が減少したためです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,533,497千円(前年同期は1,586,673千円の資金の獲得)となりました。主な増加要因として税金等調整前当期純利益2,268,893千円(前年同期2,590,056千円)があった一方で、減少要因として売上債権の増加629,905千円(前年同期43,738千円)等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、611,999千円(前年同期は366,266千円の支出)となりました。主な減少要因としてコンタクトセンター拠点の新設及び増床に伴う有形固定資産の取得による支出218,757千円(前年同期184,843千円)、無形固定資産の取得による支出218,710千円(前年同期87,977千円)、投資有価証券の取得による支出168,000千円(前年同期なし)があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、438,205千円(前年同期は580,693千円の獲得)となりました。主な増加要因として新株予約権の行使による株式の発行による収入201,894千円(前年同期なし)があった一方で、減少要因として配当金の支払額643,077千円(前年同期569,600千円)等があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b 受注実績

当社グループは、受注生産をしておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c 販売実績

当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

コンタクトセンター・BPO事業

35,158,816

8.5

 

(注)なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

相手先

第23期連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日

第24期連結会計年度

(自 2022年6月1日

至 2023年5月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東京電力エナジーパートナー㈱

5,633,692

17.4

6,198,280

17.6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

当連結会計年度における売上高は35,158,816千円、売上高成長率は、8.5%となりました。特定のコロナウイルス関連案件の縮小はあったものの、重点戦略グループ(ライフライン・金融・小売流通・情報通信)の需要拡大に対し、営業とオペレーションの一体組織による専門性の高い提案を行い、当該業界からの受注を重ねました。その他業界においても自社開発のクラウドPBX Omnia LINKの活用等によって、需要を逃さずに柔軟な対応を実現しております。上記の取り組みの結果、新規案件の獲得及び既存顧客の案件拡大を実現したことにより、コンタクトセンター・BPOサービスの売上高が増加しました。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は29,763,041千円(前期比110.0%)となりました。売上原価については、2022年5月期までの業績を下支えした、特定のコロナウイルス関連案件の縮小による利益の反動減の影響が大きく、売上原価率を低減させるための人材派遣の起用を縮小させる取り組みや、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組んだものの、当連結会計年度における売上原価率は84.7%となり、前連結会計年度から増加となりました。以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は5,395,775千円(前期比100.7%)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,170,649千円(前期比113.6%)となりました。増加の主な要因は上場に伴い発生した外形標準課税の増加及び研究開発費の増加となります。他、事業拡大による人件費の増加の一方で、コーポレート部門の業務効率化やデジタル化に取り組みましたが、販管費率は前連携会計年度から増加となりました。結果、当連結会計年度における営業利益は2,225,126千円(前期比86.7%)となりました。

 

d.営業外損益、経常利益

当連結会計年度において主に新型コロナウイルス感染症に関する補助金収入42,684千円等により営業外収益は61,832千円(前期比100.9%)、リース解約損17,136千円等により営業外費用は17,632千円(前期比50.3%)となりました。結果、経常利益は2,269,326千円(前期比87.6%)となりました。

 

e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度において固定資産除却損433千円、法人税等合計は590,713千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,678,180千円(前期比94.4%)となりました。

 

② 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

③経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは堅実で持続的な成長の実現を通じて新たな事業創出を図り、豊かな社会づくりへの貢献を目指しており、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としております。

当連結会計年度における売上高は35,158,816千円となり前年同期比からの成長率は8.5%となっております。当社の売上高の成長には、新規案件の獲得や既存案件の拡大が必要なことはもちろんですが、その実現を支える要素として、人材、オフィス等のファシリティ、システムの3つの要素が重要でありますが、人材やファシリティについては事業拡大に備えた事前の対応が、当社のキャパシティを左右することになるため、適切な備えを継続して実施しております。システムについては、特にコンタクトセンターサービスに必須となるPBXについて、自社開発のOmnia LINKにより、事業拡大に柔軟に対応できる環境を実現しております。これらの取り組みを引き続き進めることで、さらなる新規案件の獲得に取り組み、成長率の維持・向上を図ります。

営業利益は2,225,126千円で前年同期比の成長率は13.3%減となっております。2022年5月期までの業績を下支えした、特定のコロナウイルス関連案件の縮小による利益の反動減や、上場に伴い発生した外形標準課税の増が大きく影響しております。売上高の増加や、売上原価率を低減させるための人材派遣の起用を縮小させる取り組み、営業、コーポレート部門の業務の効率化及びデジタル化や人件費以外の費用低減を通じた販売費及び一般管理費の抑制にも取り組みましたが、減益の結果となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容

 a.キャッシュ・フローの状況分析

 キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 b.資本の財源及び流動性に係る内容

 当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」および銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手元流動性資金、国内金融機関2行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

また、この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。