E02516 Japan GAAP
前期
5,634.1億 円
前期比
117.1%
株価
729 (04/24)
発行済株式数
73,244,408
EPS(実績)
214.65 円
PER(実績)
3.40 倍
前期
717.3万 円
前期比
119.0%
平均年齢(勤続年数)
45.5歳(12.8年)
従業員数
52人(連結:5,457人)
当社グループは、当社、子会社94社(国内11社、海外83社)及び関連会社8社(国内6社、海外2社)により構成されており、王子製紙㈱、日本製紙㈱等の大手製紙会社等より仕入れた紙類を国内外に販売することを主要業務とし、ほかに不動産の賃貸業、紙製品の加工業等を営んでおります。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
なお、次の3事業区分は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナ感染も下火となり、政府による入国時の水際対策の緩和や旅行支援などもあり、漸く、景気に回復の兆しが見え始めてきましたが、その一方で、原燃料価格の高騰によるコストプッシュ型インフレの進行や、深刻な人手不足が新たな課題となっています。
世界経済においても欧米を中心に金融引き締めや高インフレによるリセッションによって、需要に陰りが見え始め、中国もゼロコロナ政策の後遺症で経済の停滞が続いています。以上の環境下、当社グループでは価格政策とM&Aによるパッケージ事業の拡大などによって国内、海外共に業績を伸ばすことが出来ました。
このような状況下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高6,596億56百万円(前年同期比17.1%増)、営業利益は204億1百万円(前年同期比117.5%増)、経常利益は184億4百万円(前年同期比108.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、157億22百万円(前年同期比109.7%増)となりました。
当連結会計年度の業績については、以下のとおりです。
報告セグメントごとの業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメント区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
<北東アジア>
<日本>
紙分野では、情報媒体のデジタル化が加速し、グラフィック用紙の減少に歯止めがかからず、数量は前年を下回りましたが、二次から三次に亘る価格修正によって増収となりました。
板紙分野は、段ボール原紙は飲料用包装資材向けの販売は堅調に推移したものの、輸出の減少やインフレによる消費の減退もあり、通年での販売数量は前年を下回りました。紙器用板紙はインバウンド需要を期待しましたが、回復は限定的であり、販売数量は前年を下回りました。
製紙原料分野では、国内の古紙発生量が減少する中、回収手段の多様化を図り、販売数量・売上高共に大きく伸長しました。市販パルプは、国内家庭紙メーカー向けの需要が減少し、数量は前年を下回ったものの、販売単価の上昇によって売上高は前年を大きく上回りました。
<中国>
2022年12月上旬まで続いたゼロコロナ政策による経済停滞、及びその後の感染爆発による社会混乱の影響を受け、販売数量・売上高いずれも前年を下回りました。また、景気の後退や、需給バランスの悪化に伴い、年度の後半は紙の市況が大幅に下落し、利益においても前年を大幅に下回りました。
この結果、北東アジア事業の売上高は3,054億61百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益は34億32百万円(前年同期比1.3%減)となりました。
<欧州/南米>
欧州事業は、コンテナ不足や大手製紙メーカーのストライキなどが重なり、年央まで需給がタイトな状況が続きました。また、原燃料高騰による数次の価格修正も加わり、特にペーパー事業の業績は大きく改善しました。パッケージ事業においても、需要の回復と、M&Aによる事業規模拡大によって前年を上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業も、各種イベントや車両グラフィックの需要が活発となり、業績は堅調に推移しました。ラテンアメリカはパッケージ事業を中心に底堅く堅調でした。
この結果、欧州/南米事業の売上高は3,037億9百万円(前年同期比28.5%増)、セグメント利益は164億53百万円(前年同期比176.0%増)となりました。
<アジアパシフィック>
<オセアニア>
ANZ市場(豪州・ニュージーランド)については、コロナ禍からの回復に加え、原燃料価格の高騰による価格上昇基調が続きました。また、これまで行ってきたM&Aによる事業規模拡大の効果もあり、増収・増益となりました。
<東南アジア>
アセアン地域では、依然として経済が完全回復には至っていないものの、事業再構築の効果により損益面では改善が進みました。また、シンガポールにおけるビジュアルコミュニケーション事業の投資案件が業績に貢献し、売上高は前年を上回りました。
この結果、アジアパシフィック事業の売上高は49,269百万円(前年同期比28.3%増)、セグメント利益は2,186百万円(前年同期比77.2%増)となりました。
<不動産賃貸事業>
全国主要都市のオフィスビル市場は、新型コロナウイルス感染拡大以降上昇基調にあった平均空室率は緩やかに改善しつつあるものの、新築ビルの竣工を控え、先行きは不透明な状況にあります。また、賃料相場については、テナント確保のための賃料調整などから弱含みで推移しております。
当社グループにおきましては、一部テナントビルの管理体系見直しによる増収があったものの、賃貸駐車場の再開発やKPP八重洲ビルの入居者入れ替えによる空室期間の発生などから賃料収入が減少し、前年比で減収・減益となりました。
この結果、不動産賃貸事業の売上高は12億16百万円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益は1億15百万円(同34.3%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に税金等調整前当期純利益及び社債の発行で獲得した資金を、棚卸資産の取得及び固定資産の取得に充当したことで、前連結会計年度末比80億68百万円増加し、306億99百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は103億8百万円(前期は48億21百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の獲得及び減価償却費の計上、棚卸資産の取得によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は85億30百万円(前期は26億78百万円の使用)となりました。これは主に、固定資産の取得及び子会社株式の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は42億5百万円(前期は118億3百万円の使用)となりました。これは主に、社債の発行、リース債務の返済によるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(参考情報)
当社グループの品種別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.賃貸収入は「その他」に含まれております。
(2) 経営者の視点による認識及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
欧米を中心に金融引き締めや高インフレによるリセッションによって、需要に陰りが見え始め、中国もゼロコロナ政策の後遺症で経済の停滞が続いており、世界経済の成長は鈍化しております。
このような状況下、当社グループは長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に則り、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載のとおり、対処すべき課題に対応してまいります。
(b) 北東アジアセグメントについて
当連結会計年度における、北東アジアセグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
<日本>
2024年3月期の日本国内市場においては、ウィズコロナ政策が継続する中、更なるインバウンド需要の回復が見込まれ、個人消費マインドの高まりが期待されるものの、各種消費財の値上がりや賃金上昇の抑制などにより、依然として景気の先行きは不透明な状況が続くものと考えられます。ペーパー事業、特にグラフィック用紙は需要の減少を見込む中、販売価格の維持を想定しており一定の利益は確保するものの、昨年発生した在庫販売における一過性の利益は消失する想定をしております。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、日本での事業拡大を目指す所存です。
[国内基本戦略]
古紙などの再生資源を供給するマテリアルリサイクルとバイオマス発電所運転支援等によって再生エネルギーを供給するサーキュラーエコノミーを推進。
各中核事業会社での利益最大化と収益改善のため、戦略的アライアンスを推進し、グループシナジーを創出。
「王子ファイバー」「アミカテラ」が手掛ける新たな製品やサービスの研究、業務提携、出資等を積極的に推進。紙の緩衝材ソリューションを提供するRanpakと販売代理店契約を締結し、環境商品の拡販に向けた取り組みを実施。
ペーパー&ボードは販売シェアと利益を確実に確保しつつ、Eコマースを中心としたマーケティング手法の見直しにより販売を拡大。
<中国>
中国については、ゼロコロナ政策による経済停滞の影響により、販売数量・売上高共に前年を下回りました。また、景気後退と需給バランスの悪化に伴い、2023年度3月期後半には紙の市況が大幅に低下し、利益も前年を大幅に下回りました。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、中国での事業拡大を目指す所存です。
[中国基本戦略]
1.メーカーとの戦略的提携強化による差別化戦略。それに伴うシェア拡大。
2.経営合理化による競争力強化。利益率の向上。
(c) 欧州/南米セグメントについて
当連結会計年度における、欧州/南米セグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
2023年3月期の欧州/南米市場については、欧州事業は、コロナ禍からの物流網の混乱に伴うコンテナ不足や大手製紙メーカーのストライキなどが重なり、年央まで需給がタイトな状況が続きました。このような中、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した原燃料高騰に伴う数次の価格修正も加わり、特にペーパー事業の業績は大きく改善しました。パッケージ事業においても、プラスチック系包装材から繊維系包装材への移行が進んでおり、需要の回復とM&Aによる事業規模拡大によって業績は前年を上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業も、各種イベントや車両グラフィックの需要が活発となり、業績は堅調に推移しました。ラテンアメリカは、パッケージが非常に堅調に推移するとともに、チリに於いてビジネスが大きく伸長しました。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、欧州/南米での事業拡大を目指す所存です。
[欧州/南米基本戦略]
1.ペーパー&ボード事業の拡充
ペーパー&ボードは域内№1を堅持し、増収・増益を確保する。
2.インオーガニック・グロース
パッケージ事業やビジュアルコミュニケーション事業などの成長分野においてカスタマイズソリューション機能を提供する企業を買収し、Antalisの製品及びサービスを強化することで、市場での存在感を向上させる。
3.Eコマース事業の推進
3つの事業すべてにおいて、Eコマースを強力に推進し、利益率の更なる向上を目指す。
(d) アジアパシフィックセグメントについて
当連結会計年度における、アジアパシフィックセグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
2023年3月期のアジアパシフィック市場については、ANZ市場(豪州・ニュージーランド)については、コロナ禍からの回復に加え、原燃料価格の高騰による価格上昇基調が続きました。インフレの影響による物流・在庫関連費用の増加はあったものの、これまで行ってきたM&Aによる事業規模拡大の効果もあり、増収・増益となりました。アセアン地域では、依然として経済が完全回復には至っていないものの、事業再構築の効果により損益面では改善が進みました。タイ・マレーシアが比較的堅調であったことに加え、シンガポールにおけるビジュアルコミュニケーション事業の投資案件が業績に貢献し、売上高は前年を上回りました。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、アジアパシフィックでの事業拡大を目指す所存です。
[アジアパシフィック基本戦略]
1.ペーパー&ボード事業の強化
ペーパー&ボード事業は域内シェアを維持する。
(e) 不動産賃貸事業について
当連結会計年度における、不動産賃貸事業の業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
当該事業セグメントにつきましては、所有不動産の有効活用による安定的な収益獲得を基本方針としております。所有不動産につきましては、物件ごとの将来性を勘案した上で再開発や修繕等の投資判断を行い、安定的な収益獲得に努めてまいります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、3,306億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ399億55百万円増加しました。これは主に、商品及び製品の増加、現金及び預金の増加によるものであります。
負債は、2,628億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ285億21百万円増加しました。これは主に、短期借入金の増加、社債の増加によるものであります。
純資産は、678億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億33百万円増加し、自己資本比率は20.5%となり、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益、為替換算調整勘定の増加によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
当社グループは、長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に基づく第3次中期経営計画(2022年度~2024年度)を推進中ですが、事業で創出される営業キャッシュ・フローにつきましては、成長投資と株主還元に、適正に配分していく所存です。
成長投資への支出につきましては、海外事業の拡大と事業ポートフォリオの多角化を目的としております。今後も海外投資を中心に、投資先の事業内容、投資時点の当社グループの財政状態及び資金需要を勘案し、適切に判断してまいります。
株主還元への支出につきましては、株主への利益還元を経営の重要課題の一つと認識し、安定的かつ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させることを基本方針としております。
なお、現在当社グループにおいて重要な資金繰りの懸念はございません。当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は、国内で111億38百万円、海外で195億60百万円となっており、当社が考える適正な残高水準を上回る資金を確保しております。また、予定されている資金支出につきましても、資金調達の目途は立っております。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しているとおりです。