売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E38139 

売上高

31.9億 円

前期

31.2億 円

前期比

102.4%

時価総額

37.5億 円

株価

772 (04/26)

発行済株式数

4,860,300

EPS(実績)

69.58 円

PER(実績)

11.10 倍

平均給与

360.2万 円

前期

380.8万 円

前期比

94.6%

平均年齢(勤続年数)

35.0歳(4.5年)

従業員数

60人(連結:267人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社4社の計5社により構成されており、当社設立以来『Professionalな最新技術を世界から日本へ、日本から世界へ』という企業理念のもと、矯正歯科治療が必要な方々に歯科技工所(注1)としてオーダーメイドの歯科技工物(注2)を中心とした製品を提供しております。

 なお、当社グループは歯科矯正事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 一般的な歯科技工所は、補綴物(注3)を主に製造・販売しておりますが、当社グループは当社設立以来現在まで、矯正用の歯科技工物(以下「矯正歯科技工物」という。)(注4)の製造を中心とした事業活動を行っており、全国の矯正治療を行う歯科医院、歯科大学及び附属病院(注5)等の歯科医療機関に対して矯正歯科技工物の供給を行っております。

 当社グループはこれまで蓄積した製造ノウハウを用いて、高品質かつ多種多様な矯正歯科技工物を製造し提供することが可能となっております。また、矯正歯科技工物の製造に加え、その他付随サービスとして、矯正歯科技工物の修理、当社グループの製品・商品を使用した矯正治療に関するセミナー開催受託及び矯正に関する材料販売を行っております。

 

(1)事業の特徴

①柔軟な製造キャパシティ

 当社グループは、2023年6月末時点において、グループ外部の協力パートナーとして54か所(内46か所は当社グループから独立した歯科技工士(注6)によって設立された歯科技工所)の歯科技工所と取引があり、内製と外注による製造のバランスを取っております。

 

※画像省略しています。

 

 

 

※画像省略しています。

 

 内製品については、2023年6月末現在、当社及び国内子会社において歯科技工士41名を抱えていることから、特殊品など高付加価値製品に特化して製造しております。また、当社グループの海外子会社であるASO INTERNATIONAL MANILA, INC.では汎用品を中心に製造しております。

 協力パートナーによる外注製造については、主として当社から独立した歯科技工士が立ち上げた48か所(2023年6月末現在)の外部の歯科技工所と継続的な取引関係を維持しており、主として汎用性の高い製品の製造を外注しております。協力パートナーを活用することにより、当社グループは外注量を受注状況に応じて柔軟に調整することができ、固定費の負担抑制と、柔軟な製造キャパシティの確保が可能になっております。加えて、協力パートナーは当社グループの案件獲得力を背景に安定した受注量を確保できるなど、相互にメリットを享受できる関係となっております。

 当連結会計年度における当社グループ並びに協力パートナーにおける矯正歯科技工物の製造割合は、64%が協力パートナーによるもので、残り36%が当社グループの内製品となっております。また、73%が国内製造、27%が当社の海外子会社であるASO INTERNATIONAL MANILA, INC.及びASO INTERNATIONAL HAWAII, INC.での製造となっております。

 

②データ分析力

 当社グループは、直近10年で症例件数(歯型)のデジタル管理を加速させてまいりました。その結果、当社グループにおいてデジタル管理された症例件数は約284万件(2023年6月末現在)あり、創業以来蓄積した「歯を並べて動かす」ノウハウをはじめとするアナログ技術と融合させ、効率的な製造を行なっております。当社グループでは、積極的にデジタル活用を図ることで、多品種(100種類以上)の矯正歯科技工物の提供が可能となり、歯科医師の様々なニーズにも柔軟に対応することが可能となっております。

 

③強固な顧客関係

 a.歯科技工所と歯科医療機関の関係

 歯科技工所は基本的に歯科医療機関毎に依頼を受ける形になり、いかに多くの歯科医療機関とパイプを有しているかが案件獲得のため非常に重要となります。一方で、歯科技工所は、歯科技工士の従事者数の減少により、受注した矯正歯科技工物の納期が長期化傾向にある中で、技術の優れた歯科技工士を一定数確保することが、顧客である歯科医療機関の満足度を高める上で必要となります。

 当社グループは本書提出日現在において、当社グループ並びに協力パートナーにおいて100名を超える歯科技工士が矯正歯科技工物の製造に携わっており、歯科医療機関のニーズに応えられる体制を構築することに努めております。

 

 b.歯科医師の口コミによる顧客紹介

 歯科医師は出身歯科大学のコミュニティや歯科医師会等のグループに所属するケースが多く、歯科医師同士のネットワーク内での顧客紹介が行われることがあり、歯科医師間で当社グループに対する認知が浸透していることも一因と考えております。

 

※画像省略しています。

(注)各期において、1回以上取引があった歯科医療機関数

 

 c.歯科医師との長期的な取引関係

 当社グループは、全国の歯科大学や大学の歯学部、大学附属病院と取引実績を有しております。

 当社グループが提供した矯正歯科技工物は、大学での実習に利用されたり、当該大学の卒業生が歯科医師免許取得後に実施される大学附属病院での研修等にも利用されるなど、用途・ニーズに合ったものを継続的に提供することで、長期的な取引関係が構築されております。また、これらの歯科医師には、大学附属病院での研修後や、独立開業するときにも、利用実績のある当社グループの矯正歯科技工物を引き続き利用いただける傾向にあり、このことが更なる長期的な取引関係を築くことに寄与し、安定的な取引歯科医療機関数の増加につながっております。

 

(2)主な製品

 当社グループは、歯科医療機関より矯正歯科技工物の発注を受け製造・販売しております。歯科医療機関は、新規患者に対して、口腔内の印象採得やレントゲン撮影等を行い、歯科医師は診査診断用の平行模型という矯正歯科技工物の発注を歯科技工所へ行います。これらの患者の口腔内の情報を歯科医師が確認後、矯正治療の方針を決定いたします。この治療方針を決定後、歯科医療機関は、患者治療用の矯正歯科技工物の発注を歯科技工所へ行うのが主な流れとなっております。

 矯正歯科技工物は、用途、目的によって様々な種類があり、それぞれ異なる役割、機能を有しております。例えば、診査診断用の平行模型、患者治療用としては歯の移動スペースを確保するため歯間を広げる矯正歯科技工物、歯に大きな矯正力(注7)を伝達する矯正歯科技工物や矯正後の歯の後戻りを防止する矯正装置等があり、診査診断から治療のプロセスによって矯正歯科技工物を使い分けるのが一般的であります。

 また矯正歯科技工物は大きく二つに分類することが可能です。1つは可撤式矯正歯科技工物といい、患者自身で矯正歯科技工物の着脱が可能で、食事や歯磨きの際に取り外しすることが可能となっております。

 もう1つは固定式矯正歯科技工物といい、患者自身で矯正歯科技工物の着脱が不可能なものがあります。これは、常に患者の口腔内に装着されているため、歯科医師の治療計画通りに治療が進む可能性が高くなります。

 当社グループは、歯科医師の様々な治療方針に対応するため、100種類以上の矯正歯科技工物を製造可能です。また、矯正歯科技工物で使用される材料は歯科技工士法(注8)に則って調達し、歯科医療機関から発注の際に受領する歯科技工指示書(注9)に記載されている設計指示を基に、患者ごとに適合する矯正歯科技工物を手作業及び機械化により製造・販売しております。

 以下は、当社グループで製造している主な矯正歯科技工物の3つのグループになります。

 

①矯正装置

 当社グループでは、矯正治療の初期及び後期で使用される矯正歯科技工物を製造しております。例えば、矯正治療の初期の段階では、顎を頬側に拡大させ、歯の移動するスペースの確保を目的とする拡大床という矯正装置が使用されます。当社グループにおいて、20種類以上の拡大床を製造することが可能であります。

 また、矯正治療の後期の段階では、矯正後の歯の後戻りの防止を目的として使用されるリテーナーという矯正装置が使用されます。当社グループにおいては、10種類以上のリテーナーを製造することが可能であります。

 当社グループの拡大床やリテーナーは、いずれも主に可撤式矯正歯科技工物のタイプを豊富に取り揃えております。

拡大床                   リテーナー

※画像省略しています。       ※画像省略しています。

 

 

②マウスピース型矯正装置

 透明で薄いプラスチック(PET材)のマウスピースを口腔内に装着し、噛むことで歯に矯正力をかけ歯を移動させる装置でマウスピース型矯正装置と呼ばれており、可撤式矯正装置のタイプになります。これは主に歯を少しずつ動かしていく治療の段階において歯科医師の診断に基づき使用するものになります。代表的な治療例として、歯の移動するスペースが既に確保されている患者に対しては、治療の初期段階からマウスピース型矯正装置を用いて矯正治療を開始するケースもあれば、治療の初期段階で拡大床を使用し、歯間のスペースを確保してから、マウスピース型矯正装置を使用するケースがあります。また、マウスピース型矯正装置を使用する場合でも、後述するブラケット(注10)とワイヤー(注11)の矯正歯科技工物を患者の治療状況によって複合的に使用するケースもあります。

 当社グループのマウスピース型矯正装置は当初の製品名「AsoAligner®」として、歯科技工士が手作業で歯列を並び替え製造する仕様でありましたが、2018年4月以降は、製品名を「AsoAligner DIGITAL」として、3DCAD及び3Dプリンターを使用してデジタル対応を図ることで製造工程の一部を自動化し、歯列の並び替えの精度及び製造スピードを向上させております。「AsoAligner DIGITAL」の特徴としては、患者の歯型情報が石膏模型や、特定のデータのファイル形式に限定せず、どのような形態でも受注可能となっております。またこの製品を歯科医師が発注するにあたり製品セミナーを事前受講していただくところにあります。製品のメリットだけではなく、デメリットや非適応になる症例についても事前に製品セミナーで学習してもらうことで治療トラブルを回避し、治療結果がより良くなると考えております。

 より多くの歯科医療機関で使用してもらう目的で、本書提出日現在、北海道から九州までの5社と業務提携し、地域密着型の体制を構築し全国への販売網を強化しております。

 

AsoAligner DIGITAL

※画像省略しています。

 

③イン・ダイレクト・ボンディング・システム(I.D.B.S)

 前述のマウスピース型矯正装置と同治療期間に使用される矯正歯科技工物として、ブラケットとワイヤーを使用した伝統的なタイプの矯正歯科技工物があります。マウスピース型矯正装置と同様に、歯科医師の診断により、代表的な治療例として、歯の移動するスペースが既に確保されている患者に対しては、ブラケットとワイヤーを使用して治療を開始するケースもあれば、拡大床を使用し、歯間のスペースを確保してからブラケットとワイヤーを使用するケース等もあります。また、ブラケットとワイヤーを使用する場合でも患者の治療状況によってはマウスピース型矯正装置を追加使用するケースもあります。

 ブラケットとワイヤーを利用した矯正歯科技工物は、歯科医師が患者の歯の表面に、手作業で直接ブラケットを接着(以下「ダイレクト・ボンディング」という。)し、ワイヤーを患者の歯列に合うように屈曲させブラケットに通し患者の口腔内に装着させる、いわゆる固定式矯正歯科技工物のタイプになります。このダイレクト・ボンディングは、矯正治療の高い技術と知識が必要であること、また歯科医師が患者の口腔内へブラケットを接着する時間及びワイヤーを屈曲させる時間が長時間になる傾向にあります。これは歯科医師及び患者にとって負担となる作業となっております。

 当社グループの製品であるイン・ダイレクト・ボンディング・システム(以下「I.D.B.S」という。)は、歯科医師が患者の歯の表面にブラケットを接着する際に使用するコア(注12)と患者の歯列用に既に当社グループで屈曲したワイヤーを1つのパッケージにして製造・販売している矯正歯科技工物になります。このI.D.B.Sを利用することにより、ブラケットの接着時間及びワイヤーの屈曲時間の短縮を図ることができ、歯科医師及び患者の負担を減らすことが可能となります。

 主なI.D.B.S製品としては、ブラケットとワイヤーを使用した治療において代表的な治療である「ラビアル矯正治療」用のI.D.B.S製品と「リンガル矯正治療」用のI.D.B.S製品があり、いずれも工程が手作業である製品に対して、工程の多くがデジタル化されたI.D.B.S製品(製品名「HARMONYリンガルシステム」)を分けて記載します。

 

a.ラビアル矯正治療用I.D.B.S

 ラビアル矯正治療用I.D.B.Sは、口腔内の頬側の歯の表面にブラケットを接着可能なコアと、患者の歯列に合うワイヤーをセットにした製品であり、歯科技工士が手作業で製造しております。

 

b.リンガル矯正治療用I.D.B.S

 リンガル矯正治療用I.D.B.Sは、口腔内の舌側の歯の表面にブラケットを接着可能なコアと、患者の歯列に合うワイヤーをセットにした製品であり、歯科技工士が手作業で製造しております。

 ラビアル矯正治療と比較して、リンガル矯正治療は、ブラケットを歯科医師の視認性の悪い舌側に貼り付けるため、治療難易度は更に高くなる傾向にあります。リンガル矯正治療は、歯科医師が直接ブラケットを貼り、ワイヤーを患者の治療経過に合わせて屈曲することが困難であるため、I.D.B.Sを利用することが一般的であります。こちらは歯の裏側に装着するタイプであるため、正面からみて装置が見えないため目立ちにくいものになります。

 

リンガル矯正装置用I.D.B.S

※画像省略しています。

 

c.HARMONYリンガルシステム

 前記b.リンガル矯正治療用I.D.B.Sは歯科技工士の手作業により製造を行っておりますが、HARMONYリンガルシステムは、3DCAD等を使用して歯列をスキャンし、ブラケットからワイヤーまで一貫して設計と製造が行われるシステムであり製造工程の多くをデジタル化・機械化しているところに特長があります。HARMONYリンガルシステムは本書提出日現在において、世界15以上の国と地域での販売実績があります。

HARMONYリンガルシステム

※画像省略しています。

 

 当社グループは、上記矯正歯科技工物の提供以外に、歯科医療機関自ら矯正歯科技工物を製造するために使用するワイヤーやブラケットなどの部品、器具等の材料の仕入れ販売を当社の子会社であるフォレスタデント・ジャパン株式会社を通じて提供しております。フォレスタデント・ジャパン株式会社はドイツのFORESTADENT Bernhard Förster GmbH の独占販売代理店であり、同社の矯正関連材料を仕入れて販売しております。また、納品済みの矯正歯科技工物の修理を行っております。

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

(用語解説)

 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。

No.

用語

用語の定義

注1

歯科技工所

歯科医師又は歯科技工士が業として歯科技工を行う場所をいう。ただし、病院又は診療所内の場所であって、当該病院又は診療所において診療中の患者以外の者のための歯科技工が行われないものを除く。

注2

歯科技工物

特定人に対する歯科医療の用に供する補綴物(注3)、充てん物又は矯正装置を製造し、修理または加工した物をいう。

注3

補綴(ほてつ)物

虫歯などの治療の後に歯にかぶせる物をいう。補綴物には金属やプラスチック、CAD/CAM製クラウン等の種類がある。また保険適用のものもあれば、保険適用外の補綴物も存在する。

注4

矯正用の歯科技工物(矯正歯科技工物)

歯や顎の位置を移動させるために使用する技工物の総称。歯列矯正治療が終了した後や矯正治療中に例外的に不動とする歯に対応する保定の役割を持っているものも矯正用の技工物として定義されることから、形状は様々である。保険適用のものもあれば、保険適用外のものも存在する。

注5

歯科大学及び附属病院

歯科大学とは、歯学部が設置されている大学をいう。歯学部附属病院が設置されている国立大学と私立大学は日本国内に計29校あり(本書提出日現在)、当社では内29校に販売実績がある。

注6

歯科技工士

厚生労働大臣の免許を受けて、歯科技工を業とする者をいう。

注7

矯正力

不正な位置にある歯や顎を適正な位置に移動させるために加える力をいう。

注8

歯科技工士法

歯科技工士資格を定めるとともに、歯科技工の業務が適正に運用されるように規律し、もって歯科医療の普及及び向上に寄与することを目的とする法。

注9

歯科技工指示書

歯科技工物の発注時に、歯科医療機関が内容記載する発注書をいう。歯科技工物の設計指示の詳細が明記されている。

注10

ブラケット

基本的には金属製だが、セラミックやプラスチック製の目立たない製品もあり、最も一般的で自由度の高い矯正器具をいう。

注11

ワイヤー

矯正治療専用のワイヤーを指し、金属製が用いられる。歯にワイヤーの矯正力を伝えるために、ワイヤーと歯の間にはブラケットの介在が必要。

注12

コア

ブラケットを適正な位置へ接着するための治具。

 

23/09/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束を繰り返す中、水際対策や行動制限は緩和され、経済活動は徐々に正常化への動きがみられました。しかし、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や急激な円安の進行等により、原材料価格の高騰によるインフレ圧力など、我が国の経済を取り巻く状況は引き続き厳しく、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 こうした状況の中、当連結会計年度では、矯正歯科技工物の価値向上や品質などを強化するとともに、歯科医療機関に対して、高品質かつ用途や目的にあった適切な歯科矯正技工物を提供できる当社グループの強みを活かして継続的な営業活動に注力し、引き続き顧客満足度の向上に取り組みました。また、当社グループに与える新型コロナウイルス感染症の影響は、蔓延初期段階においては歯科医療機関による一時休診等により、矯正歯科技工物の受注が大きく減少する影響はあったものの、その後は回復し、現在は軽微な影響にとどまっております。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高3,190,044千円(前年同期比2.4%増)、営業利益460,250千円(同10.1%減)、経常利益433,892千円(同16.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益338,159千円(同3.9%減)となりました。

 当社グループの事業は、歯科矯正事業の単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して633,196千円増加し、2,826,293千円となりました。これは主に、新規上場時の公募増資等により現金及び預金が435,814千円、事業拡大により原材料が31,323千円、保険契約の見直し等により保険積立金が54,877千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して279,451千円減少し、360,714千円となりました。これは主に、財務体質の強化のための借入金の返済により短期借入金が200,000千円、長期借入金が100,000千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して912,647千円増加し、2,465,578千円となりました。これは主に、当社株式の東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う公募増資による資本金の増加340,170千円及び資本剰余金の増加340,170千円、親会社株主に帰属する当期純利益338,159千円を計上した一方で、剰余金の配当105,000千円の支払により、利益剰余金が233,159千円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は87.2%(前連結会計年度末は70.8%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、主に新規上場時の公募増資等により435,814千円増加し、1,727,892千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は245,716千円(前年同期比0.4%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上482,852千円、売上債権の増加58,842千円、棚卸資産の増加54,643千円及び法人税等の支払額140,403千円等を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は90,612千円(同33.8%増)となりました。これは主に事業拡大に伴う有形固定資産の取得による支出73,478千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は276,624千円(前年同期は104,668千円の使用)となりました。これは短期借入金の返済による支出200,000千円、長期借入金の返済による支出100,065千円、新規上場時の株式の発行による収入680,340千円、配当金の支払額105,000千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは、歯科矯正事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

   至 2023年6月30日)

 

生産高(千円)

前年比(%)

歯科矯正事業

1,427,833

99.5

合計

1,427,833

99.5

(注) 金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社グループが行う事業は、受注から売上計上までの期間が短いため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を売上区分ごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、歯科矯正事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

売上区分

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

 

金額(千円)

前年比(%)

矯正歯科技工物売上

 

 

  アナログ

2,167,414

99.0

  デジタル

620,029

110.5

商品売上

378,316

109.2

その他

24,284

131.3

合計

3,190,044

102.4

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10

    以上となる取引先が存在しないため、記載を省略しております。

 2.売上区分の「矯正歯科技工物売上」のうち「アナログ」とは、矯正歯科技工物を製造する際に、患者の口

   腔内情報について印象模型を利用したものを言い、「デジタル」とは、矯正歯科技工物を製造する際に、

   患者の口腔内情報について、3Dスキャナー等で採取したデータを利用したものを言います。

    3.売上区分の「商品売上」は、矯正関連材料の販売に係る売上になります。

    4.売上区分の「その他」は、主としてセットアップ用ソフトウエアのライセンス料が含まれております。

 5.セットアップとは、患者の歯列を並び替えることをいいます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されて

おります。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費

用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の

実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異

なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況

1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載し

ておりますが、連結財務諸表の作成に当たり会計上の見積りに用いた仮定のうち重要なものはないため、重要な会

計上の見積りを要する項目はないと判断しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 当社グループにおける主な資金需要は、大きく分けて材料費、外注加工費、人件費等の運転資金及び製造で使用

する設備投資資金となります。基本的には営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入金によ

り運転資金を賄い、設備投資資金につきましては、長期借入金により調達を行う方針であります。なお、当社は、

取引銀行の3行と当座貸越契約を締結しており、資金の流動性が逼迫した状況下においても、当該当座貸越契約に

基づき十分な流動性を確保することができると考えております。

 

③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に含めて記載しておりま

す。

 

 b.経営成績の分析

(売上高、売上原価、売上総利益)

 既存の歯科医療機関からの追加受注及び新規の歯科医療機関の獲得もあり、矯正歯科技工物の受注が順調に積み

あがったことにより、売上高は3,190,044千円(前年同期比2.4%増)となりました。

 売上原価は主に商品収入、材料仕入、歯科技工士の労務費及び外注加工費を計上し、1,760,428千円(前年同期

比3.8%増)となりました。

 この結果、売上総利益は1,429,616千円(前年同期比0.7%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は、969,366千円(前年同期比6.9%増)となりました。これは主に、営業部門や管理部門

の人員の給料及び手当346,467千円、運賃及び荷造費116,999千円を計上したことによるものであります。

 この結果、営業利益は460,250千円(同10.1%減)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益については、受取地代家賃4,915千円及び受取手数料3,578千円等により10,323千円となりました。

 営業外費用については、為替差損8,711千円及び上場関連費用21,656千円等により36,682千円となりました。

 この結果、経常利益は433,892千円(同16.3%減)となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益は受取賠償金10,500千円及び保険転換差益38,725千円等により49,831千円となりました。

 特別損失は有形固定資産除却損871千円により871千円となりました。

 法人税等合計144,692千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は338,159千円(同3.9%減)となり

ました。

 

 c.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの、経営上の目標と達成状況を判断するための客観的な指標として、取引歯科医療機関数及び取引

歯科医療機関あたりの売上高を重視しております。取引歯科医療機関数及び取引歯科医療機関あたりの売上高は営

業活動の成果である売上高と密接に関係する指標であることから当該指標を採用しております。全国の歯科医療機

関のうち、矯正治療対応歯科医療機関は約25千施設(出典:一般社団法人日本矯正歯科技工協会)ありますが、

当社グループは順調に取引歯科医療機関数を増やしており、当連結会計年度は、6,146施設の歯科医療機関と取引

実績があります。

 また、取引歯科医療機関数及び取引歯科医療機関あたりの売上高と直結する売上高、並びに収益力を示す指標と

して、売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。当連結会計年度の数値については、次のとおり

となっております。

 

 

当連結会計年度

前年比増減率

売上高

3,190,044千円

2.4%

営業利益

460,250千円

△10.1%

売上高営業利益率

14.4%

△2.0ポイント

 

※画像省略しています。

(注)各期において、1回以上取引があった歯科医療機関数

 

※画像省略しています。

(注)各期の売上高を取引歯科医療機関数で除した数値

 

 d.経営成績等に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。ま

た、経営者の問題認識、今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照くだ

さい。