E04889 Japan GAAP
前期
232.2億 円
前期比
103.2%
株価
1,864 (04/26)
発行済株式数
16,200,000
EPS(実績)
88.94 円
PER(実績)
20.96 倍
前期
718.1万 円
前期比
107.0%
平均年齢(勤続年数)
43.1歳(13.7年)
従業員数
668人(連結:715人)
当社グループは、株式会社セゾン情報システムズ(当社)と子会社3社(連結子会社2社、非連結子会社1社)の計4社により構成されており、その他の関係会社として株式会社クレディセゾン、株式会社メルコホールディングスが存在します。事業内容と事業の系統図は次のとおりであります。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
なお、当連結会計年度より「リンケージ事業」を、データ連携領域を中心としたプラットフォームビジネスに拡大させることを目的に、「データプラットフォーム事業」へセグメントの名称を変更しております。
HULFT事業
国内データ連携ソフトウェアのスタンダードである当社の主力製品「HULFT」製品群及び「DataSpider」製品群の販売・サポートサービス等を提供しております。
(主な関係会社)当社、世存信息技術(上海)有限公司、HULFT,Inc.、HULFT Pte.Ltd.
データプラットフォーム事業
当社グループの強みである「HULFT」「DataSpider」を活用し、企業内・企業間のシステムやデータと有力SaaSをつなぐことで、お客様業務の効率化、経営情報の可視化による意思決定支援及び経営刷新に繋げる各種サービスを提供しております。
(主な関係会社)当社
流通ITサービス事業
流通小売業のシステム開発から運用を担ってきた実績と先端技術を駆使し、流通小売・航空等の幅広いお客様に向けたDX化支援を行っております。
(主な関係会社)当社
フィナンシャルITサービス事業
クレジットカード会社のシステム開発から運用を担ってきた実績と先端技術を駆使し、金融業界に向けたDX化支援を行っております。
(主な関係会社)当社
※画像省略しています。
※1 ○印は、連結子会社
2 ◆印は、持分法を適用している非連結子会社
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の段階的緩和等により個人消費に持ち直しの動きが見られます。一方で、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなり、またウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクに関連した供給制約や円安進行に伴う物価上昇等、先行きは依然不透明な状況にあります。
このような中、当社グループが属する情報サービス産業においては、IT投資の抑制や先送りの懸念がありつつも、DXを活用したビジネスモデル変革や事業領域拡大を優先度の高い経営課題として掲げる企業が増加していることから、引き続き成長が予想されております。
当社グループは、安全・安心・柔軟なデータ連携基盤サービス提供により、世界中のデータやサービスをつなぎ、お客様のタイムリーな意思決定推進に貢献しております。このため、2021年3月期から、HULFT製品及びクラウド技術を活用しファイル連携やデータ連携サービスをクラウド上で提供する日本発のiPaaS(Integration Platform as a Service)として「HULFT Square(ハルフトスクエア)」の開発に着手し、2023年2月にリリースをいたしました。
このような中、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は23,952百万円(前連結会計年度比3.2%増)、営業利益は2,183百万円(同25.1%減)、経常利益は2,223百万円(同24.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,440百万円(同29.8%減)となりました。
売上高は、堅調なDX関連システム需要を受けて、HULFT事業及びデータプラットフォーム事業が拡大したこと等により、増収となりました。営業利益及び経常利益は、「HULFT Square」等製品サービスの開発及び人的資本への投資に関わる費用投下等により、前連結会計年度比は減益となりました一方、売上高が増加したこと等により、当初予想は上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益及び経常利益の減益に加えて、基幹システム導入計画の見直しにより特別損失が発生したため、減益となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。以下、セグメント間取引については相殺消去しておりません。
なお、当連結会計年度からリンケージ事業を、データ連携領域を中心としたプラットフォームビジネスに拡大させることを目的に、データプラットフォーム事業へセグメントの名称を変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。前連結会計年度との比較・分析は、変更後の名称により行っております。
(HULFT事業)
HULFT事業は、国内データ連携ソフトウェアのスタンダードである当社グループの主力製品「HULFT」製品群及び「DataSpider」製品群の販売・サポートサービス等を提供しております。当連結会計年度において、「DataSpider」の更なる機能拡張のためバージョン4.4をリリースしており、また「HULFT」の追加開発も進めております。
当連結会計年度における出荷本数は、堅調なDX関連システム需要を受けて、「HULFT」は7,806本、「DataSpider」は506本を新たに出荷し、2023年3月末現在のサポートサービス契約本数については、「HULFT」は59,892本、「DataSpider」は5,160本となりました。また、売上高は、主力製品のライセンス販売、サブスクリプションサービス及びサポートサービス更新が順調に推移したこと等により、9,314百万円(前連結会計年度比6.1%増)となりました。営業利益は、売上高の増加等により、3,613百万円(同11.3%増)となりました。
(データプラットフォーム事業)
データプラットフォーム事業は、当社グループの強みである「HULFT」「DataSpider」を活用し、企業内・企業間のシステムやデータと有力SaaSをつなぐことで、お客様業務の効率化、経営情報の可視化による意思決定支援及び経営刷新に繋げる各種サービスを提供しております。当連結会計年度より提供開始した、データ連携・活用の分析・構想立案といった上流工程を短期コンサルティングする「コンセプトデザインサービス」により、データ連携事業を推進してまいります。
売上高は、データ連携基盤構築サービスが拡大したこと等により、2,115百万円(同8.3%増)となりました。一方で、今後のDX案件需要増に対応する体制強化に伴う原価の増加等により、691百万円の営業損失(前連結会計年度は221百万円の営業損失)となりました。
(流通ITサービス事業)
流通ITサービス事業は、流通小売業向けにシステム開発・運用等を提供しつつ、そこで培ったノウハウを活かしたパブリッククラウド環境への移行やDX業務改善等、新規サービスの提供をしております。
売上高は、当社グループの強みが活きるDX領域の規模拡大等により、3,086百万円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。営業利益は、既存領域に関わる情報処理サービスの減少等により、29百万円(同80.1%減)となりました。
(フィナンシャルITサービス事業)
フィナンシャルITサービス事業は、クレジットカード会社向けシステム開発・運用等を提供しつつ、「HULFT Square」と連携した新規サービス開発やパブリッククラウド上へのインフラ環境構築等の新規サービス提供をしております。
売上高は、情報処理サービスが底堅く推移したこと等により、9,482百万円(同0.1%減)となりました。営業利益は、前連結会計年度に利益率の高い案件があったことから対前年では減少し、802百万円(同45.8%減)となりました。
(重点施策の主な取組み状況)
当社グループは、既存事業の徹底した生産性向上によって収益性を高め、また新たな市場・顧客へ事業拡大することで、更なる事業成長を目指しております。具体的には、①DXデータ連携基盤ビジネスの全部門への展開 ②新規ビジネス創造のための競争戦略 ③アライアンス強化 ④「HULFT Square」リリースに伴う体制強化 ⑤人材戦略の5つの重点施策を実行してまいりました。トピックスは以下のとおりです。
・iPaaS「HULFT Square」リリース
グローバル対応するiPaaSとしての「HULFT Square」を、2023年2月9日より、国内向けにリリースいたしました。「HULFT Square」は、データ活用のための自由で安全なプラットフォームサービスです。高度なセキュリティのもと、クラウド同士・オンプレミス/クラウド間等のデータの連携を容易にし、データ活用のリスクと手間を削減することで、お客様のDX推進を力強くサポートいたします。リリース後も引き続きサービス品質の更なる安定やパフォーマンス改善のため、また追加機能のための開発を継続してまいります。
・事業拡大
当連結会計年度より本格的に提供を始めている「コンセプトデザインサービス」を中心に、全社での提案活動が進展し、民間企業や行政機関のDX推進に活用され始めております。DX推進の柱になるデータプラットフォーム事業においては、お客様数は220社(2023年3月末現在)、当連結会計年度の売上高は2,115百万円まで拡大いたしました。今後もデータの利活用やカーボンニュートラル等の経営課題・社会課題の解決に資するソリューション提供を推進してまいります。
・人的資本の拡充
当社は、企業価値向上に向けて、サステナビリティ方針の策定及びマテリアリティ(重要課題)の特定を行い、これを推進するためのサステナビリティ経営委員会を設置いたしました。当社グループにとって人的資本の拡充は特に重要であり、当連結会計年度においては、社員が場所にとらわれず柔軟な働き方を可能にする「遠隔地勤務制度」を導入する等、積極的な人材採用・育成に取組んでまいりました。その結果、国内で77名を新たに内定・採用いたしました。引き続き人的資本の拡充を図ってまいります。
当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より465百万円増加し、21,299百万円となりました。主な増加要因は、システム開発案件の進捗に伴い契約資産が同542百万円増加したこと、現金及び預金が同287百万円増加したこと、売掛金が同194百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、減価償却や基幹システム導入計画の見直しに伴う減損等により有形及び無形固定資産が同543百万円減少したこと等によるものであります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(HULFT事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より436百万円減少し、3,366百万円となりました。主な減少要因は、減価償却等により有形及び無形固定資産が同328百万円減少したこと、現金及び預金が同196百万円減少したこと等によるものであります。
(データプラットフォーム事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より107百万円増加し、656百万円となりました。主な増加要因は、売掛金が同102百万円増加したこと等によるものであります。
(流通ITサービス事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より508百万円増加し、1,273百万円となりました。主な増加要因は、システム開発案件の進捗に伴い契約資産が同575百万円増加したこと等によるものであります。
(フィナンシャルITサービス事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より21百万円減少し、2,722百万円となりました。主な減少要因は、減価償却等により有形及び無形固定資産が同155百万円減少したこと等によるものであります。
b.負債
負債合計は同470百万円増加し、6,556百万円となりました。主な増加要因は、サポートサービスが順調に推移したこと等により前受金が同144百万円増加したこと、未払法人税等が同139百万円増加したこと、流動負債のその他に含まれる未払金が同131百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が同62百万円減少したこと等によるものであります。
c.純資産
純資産合計は同5百万円減少し、14,742百万円となりました。この要因は、利益剰余金が、剰余金処分による配当財源への割当てにより同1,457百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により同1,440百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より1.6ポイント減少し、69.2%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より287百万円増加し、13,199百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,203百万円(前連結会計年度は3,236百万円の獲得)となりました。
主な増加要因は、税金等調整前当期純利益が1,896百万円となったこと、減価償却費736百万円を計上したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、売上債権及び契約資産が732百万円増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は565百万円(前連結会計年度は865百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、ソフトウェア開発やハードウェア購入等に587百万円を支出したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,462百万円(前連結会計年度は1,502百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、配当金の支払1,457百万円があったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
|
生産高(千円) |
生産高(千円) |
生産高 (千円) |
増減率 (%) |
|
HULFT事業 |
8,770,769 |
9,310,485 |
539,716 |
6.15 |
データプラットフォーム事業 |
1,957,919 |
2,104,874 |
146,955 |
7.51 |
流通ITサービス事業 |
3,068,990 |
3,080,343 |
11,352 |
0.37 |
フィナンシャルITサービス事業 |
9,436,606 |
9,450,362 |
13,755 |
0.15 |
合計 |
23,234,286 |
23,946,066 |
711,779 |
3.06 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
|||
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
|
HULFT事業 |
9,245,370 |
4,001,121 |
9,947,214 |
4,298,478 |
701,843 |
297,356 |
データプラットフォーム事業 |
2,278,731 |
850,590 |
2,012,594 |
747,578 |
△266,137 |
△103,012 |
流通ITサービス事業 |
3,438,939 |
1,653,464 |
3,406,822 |
1,856,037 |
△32,116 |
202,573 |
フィナンシャルITサービス事業 |
11,404,490 |
5,523,011 |
8,784,692 |
4,924,203 |
△2,619,797 |
△598,808 |
合計 |
26,367,531 |
12,028,188 |
24,151,323 |
11,826,297 |
△2,216,207 |
△201,890 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
|
販売高(千円) |
販売高(千円) |
販売高 (千円) |
増減率 (%) |
|
HULFT事業 |
8,775,432 |
9,314,392 |
538,960 |
6.14 |
データプラットフォーム事業 |
1,953,029 |
2,115,701 |
162,672 |
8.33 |
流通ITサービス事業 |
3,059,730 |
3,086,360 |
26,629 |
0.87 |
フィナンシャルITサービス事業 |
9,490,042 |
9,482,242 |
△7,799 |
△0.08 |
合計 |
23,278,235 |
23,998,697 |
720,462 |
3.10 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。また、セグメント間の振替高を含めて表示しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
株式会社クレディセゾン |
7,907,319 |
34.1 |
7,527,178 |
31.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日時点において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・「当連結会計年度の経営成績等」及び「セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況」に関する分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費や労務費等の製造経費、人件費や借地借家料等の販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、国内及び海外拠点における製品開発、研究開発投資等によるものであります。運転資金及び投資資金は、主として自己資金で調達しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は、リース債務13百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は13,199百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法
市場販売目的のソフトウェアの減価償却は、製品ごとに未償却残高を、見込販売収益を基礎として当連結会計年度の実績販売収益に対応して計算した金額と残存有効期間に基づく均等配分額のいずれか多い金額で償却を行うものとしております。見込販売収益が減少した場合、ソフトウェアの減価償却費が増加する可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。資産計上したサーバー等のハードウェアやサービスの提供に用いるソフトウェア、開発仕掛中のソフトウェア等について、事業環境の悪化や開発コストの増加等で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
c.繰延税金資産
繰延税金資産は毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期において魅力的で稀有な高収益IT企業となり、企業価値を向上させていくことを経営の目標としており、具体的にはROE20%以上を恒常的に達成することを経営指標としております。
当連結会計年度は、「HULFT Square」等製品サービスの開発及び人的資本への投資に関わる費用投下等により、親会社株主に帰属する当期純利益が減少(前連結会計年度比29.8%減)いたしましたので、ROEは9.8%となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が当初計画値を上回ることにより、ROEも同様に計画値を上回っております。
2024年3月期も引き続き当社グループの製品サービス開発及び人的資本への費用投下を行うことから、ROEの計画値は8.9%を計画しております。
(ROE推移)
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
計画 |
15.3% |
15.0% |
14.0% |
8.9% |
8.9% |
実績 |
8.5% |
18.3% |
14.3% |
9.8% |
- |
また、当社グループは、中長期的な企業価値を要因として、株主の最終的な利益に整合した指標であるため、TSR(株主総利回り)を経営指標の1つに設定しております。
当社グループの事業構造は、システム開発・運用と自社パッケージソフトウェア販売とがバランスしており、
情報技術産業の中でも類似の事業構造を持つ企業が少ないと考えます。したがって、ベンチマークとするTSRは
一定数の上場企業を含み、恣意性を排除した対象とするため、GICS(世界産業分類基準)における当社が属する
産業グループ(4510:ソフトウェア・サービス)に同様に属する国内上場企業のTSRとしております。
評価期間は、2018年3月末を基準(100%)として評価をしておりその推移は次のとおりです。
|
2019年3月末 |
2020年3月末 |
2021年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
当社 |
83.36% |
99.39% |
133.84% |
124.68% |
125.94% |
同業他社 平均 |
102.80% |
92.01% |
141.04% |
127.19% |
131.85% |
なお、2021年3月末以降、当社のTSR評価はベンチマークを下回っております。これは、「HULFT Square」等の開発に伴う費用投下によりEPS(1株当たり当期純利益)が低下し、それが当社の株価を引き下げている要因と推察されます。
当社グループは、かねてより受託開発型からサービス提供型へ事業構造の変革を進めており、今後も新たな事業構造の基盤になる「HULFT Square」のサービス提供拡大に取組んでまいります。この取組みが当社グループの将来の利益成長につながることをご理解いただけるように、引き続き資本市場との対話に努めてまいります。