E02729 Japan GAAP
前期
581.4億 円
前期比
112.1%
株価
1,176 (04/23)
発行済株式数
71,094,972
EPS(実績)
44.83 円
PER(実績)
26.23 倍
前期
837.7万 円
前期比
110.0%
平均年齢(勤続年数)
41.9歳(11.6年)
従業員数
15人(連結:1,626人)
当社グループは、純粋持株会社である当社及び連結子会社9社により構成されております。主な業務として、企業の情報システム、ネットワーク及び情報セキュリティに関するコンサルティングから、企画・構築・導入・運用・保守サービスにいたるまで、トータルなITサービスを提供して全国において展開しております。
純粋持株会社である当社は、グループ経営戦略の策定、コーポレート・ガバナンスの構築、経営資源のグループ内最適配分などを行っております。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
当社グループの事業分野の区分及び事業系統図は次の通りとなっております。
なお、事業分野の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(事業分野)
事業分野の名称 |
事業の内容 |
情報ソリューション |
超高速開発、クラウド、セキュリティを中心に企業の情報システムの構築及び運用・保守サービスなどを行っており、システム開発(SI)、サービス及びシステムに分類しております。 |
製品開発製造 |
クラウドデータ連携基盤等、独自のソフトウェアや生産管理システムの開発・提供及びプリンター等各種ハードウェアの製造・販売を行っております。 |
(事業系統図)
※画像省略しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、3カ年の中期経営計画「HARMONIZE 2023」(2022年3月期~2024年3月期)において、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するトータルITサービス「HARMONIZE」(2021年4月発表)を推進することで、ストックビジネスの比率を高め、安定した収益と継続的な成長を実現する事業構造へと変革を進めてきました。
中期経営計画の最終年度となる当連結会計年度においては、継続的な成長を実現し成長路線を確実なものとするため、「HARMONIZE」の中心的なソリューションであるクラウド、セキュリティ、超高速開発にグループ全体の経営資源を集中して事業を推進しました。
当社グループのお客様においては、クラウド技術の進化や働き方の多様化に伴い、クラウドファースト(クラウド利用を最優先とする考え方)でのIT環境やシステムの検討が進んでおります。「HARMONIZE」では、お客様の様々な環境や要望に応えるため、マルチクラウドに対応したクラウド、セキュリティのサービス&ソリューションを拡充し、クラウド活用を促進しております。クラウドと、その運用に不可欠なセキュリティの全体提案の推進が案件の大型化と受注拡大につながり、クラウド、セキュリティのストックビジネスは大きく伸長しました(クラウド、セキュリティの売上高 前期比45.6%増)。
超高速開発は、ローコードツールを活用した独自のアジャイル開発手法により、基幹システムを従来の半分の開発期間で構築するという高い付加価値を提供しております。汎用性と再利用性を高めた開発部品(マイクロアセットサービス)の利用を前提に、提案活動やシステム化の方針検討を実施しており、高い顧客要求への対応とアセット活用による高品質・短納期を実現できることから、他のSIerやパッケージ製品との差別化につながりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高65,194百万円(前期比12.1%増)、営業利益4,422百万円(同17.5%増)、経常利益4,549百万円(同18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,187百万円(同19.0%増)となりました。クラウド、セキュリティのストックビジネスが業績を大きく牽引し、2期連続で増収増益を達成、営業利益は前期に続き過去最高益を更新しました。
中期経営計画「HARMONIZE 2023」の3カ年において、注力事業であるクラウド、セキュリティは市場成長率を超えて伸長し、継続的に増収増益を達成できる事業構造に進化しました。2024年4月よりスタートする新たな中期経営計画においては事業構造の変革を加速し、継続的な成長と高い収益性の実現を目指します。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次の通りであります。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,256百万円増加し、37,207百万円となりました。これは主に契約資産が851百万円、商品及び製品が1,747百万円一時的に増加した一方、現金及び預金が752百万円、売掛金が346百万円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ39百万円減少し、16,028百万円となりました。これは主に未払金が896百万円減少した一方、未払法人税等が312百万円、契約負債が211百万円、未払費用が171百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,295百万円増加し、21,178百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益により3,187百万円増加した一方、配当金の支払いにより1,274百万円減少したことによるものです。
b.経営成績
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高65,194百万円(前期比12.1%増)、営業利益4,422百万円(同17.5%増)、経常利益4,549百万円(同18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,187百万円(同19.0%増)となり、増収増益を達成しました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
情報ソリューション分野の売上高は63,221百万円(前期比12.6%増)となりました。
製品開発製造分野の売上高は1,973百万円(同1.6%減)となりました。
なお、セグメント別の詳細につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載の通りであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ752百万円減少し、9,902百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動による資金の増加は1,235百万円(前期は910百万円の増加)となりました。増加要因としては、主に税金等調整前当期純利益4,678百万円、減少要因としては、主に棚卸資産の増加1,697百万円、法人税等の支払いによる減少771百万円、未払金の減少913百万円によるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動による資金の増加は393百万円(前期は964百万円の減少)となりました。これは主に、敷金及び保証金の返金220百万円、投資有価証券の売却による収入289百万円によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動による資金の減少は2,418百万円(前期は1,390百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払い1,274百万円、自己株式の取得による支出1,000百万円 によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産、受注及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
a.生産実績
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
情報ソリューション |
32,878 |
15.5 |
製品開発製造 |
1,618 |
△1.6 |
合計 |
34,496 |
14.5 |
b.受注実績
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
情報ソリューション |
66,431 |
15.4 |
18,937 |
35.7 |
製品開発製造 |
2,011 |
5.5 |
114 |
90.1 |
合計 |
68,442 |
15.1 |
19,051 |
36.0 |
c.販売実績
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
情報ソリューション |
63,221 |
12.6 |
製品開発製造 |
1,973 |
△1.6 |
合計 |
65,194 |
12.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績におきましては、金額は製造原価によって表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、業界及び市場の動向、取引先の動向があげられます。
業界及び市場の動向につきましては、ITに関する技術が日々進化し、クラウド・コンピューティングによるサービスの提供、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)等々を活用した新たなビジネスモデルが社会・経済を支えるインフラとして急速に浸透してきております。これらの新しい技術やビジネスモデルの対応に遅れると、市場での企業間競争力の低下を招き、当社グループの業績が影響を受けることになります。そのため、企業グループとして勝ち残り成長していくため、既存ビジネスの変革や成長分野への積極的な取り組みによるビジネスの伸長に加え、次世代の先進技術の研究やさらなる事業の選択と集中、収益力向上施策による財務基盤の強化を図りつつ、企業統治・業務執行体制を充実してまいります。
取引先の動向につきましては、当社グループは企業向けシステム等のサービス提供をビジネスの柱としており、その取引先は創業以来2万社に上り、その業種は多岐に渡っております。取引先の業績悪化による受注の減少や、当社グループの提供可能なサービス範囲を超える要求を反映した不採算リスクの高い案件の獲得等が積み重なれば、当社グループの業績が影響を受けることになります。そのため、取引先に対する与信管理の強化や取引先の業界動向調査、取引先に対するサービス提案やプロジェクト管理体制を整備しております。
また、新たにスタートしました中期経営計画「CHALLENGE 2026」では、継続的な成長を実現するとともに、高い収益性の実現を目指します。クラウド、セキュリティ、超高速開発を中心に、さらなる事業構造の変革を推進し、お客様の成功、社会の発展、そしてIT業界の変革に貢献する「価値創造型企業」に挑戦し続けます。
経営成績に重要な影響を与える指標は、次の通りであります。
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
前期比 |
売上高 |
58,144百万円 |
65,194百万円 |
+12.1% |
売上総利益 |
18,011百万円 |
19,380百万円 |
+7.6% |
売上総利益率 |
31.0% |
29.7% |
-1.3pt |
販売費及び一般管理費 |
14,246百万円 |
14,957百万円 |
+5.0% |
営業利益 |
3,764百万円 |
4,422百万円 |
+17.5% |
営業利益率 |
6.5% |
6.8% |
+0.3pt |
(売上高)
当連結会計年度の売上高については、前連結会計年度と比べ7,050百万円増加し、65,194百万円(前期比12.1%増)となりました。戦略的注力分野である超高速開発、クラウド、セキュリティが順調に伸長し、成長路線へと転換しました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益については、前連結会計年度と比べ1,369百万円増加し、19,380百万円(前期比7.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費については、前連結会計年度と比べ711百万円増加し14,957百万円(前期比5.0%増)となりました。
(営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
収益構造の変革に伴い、高付加価値ビジネスへ集中したことや販管費の最適化も寄与し、当連結会計年度の営業利益については、前連結会計年度と比べ658百万円増加し4,422百万円(前期比17.5%増)となりました。営業利益率は6.8%となり前連結会計年度と比べ0.3ポイント上昇いたしました。経常利益については、前連結会計年度と比べ702百万円増加し4,549百万円(前期比18.2%増)となりました。経常利益率は7.0%となり前連結会計年度と比べ0.4ポイント上昇しております。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度と比べ508百万円増加し3,187百万円(前期比19.0%増)となりました。当期純利益率は4.9%となり、前連結会計年度と比べ0.3ポイント上昇いたしました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は、次の通りであります。
[情報ソリューション]
情報ソリューション分野は、システム開発(SI)、サービス及びシステムに分類し、「HARMONIZE」の超高速開発、クラウド、セキュリティを中心にビジネスを展開しております。
・システム開発(SI)
超高速開発については、前期及び当上半期に受注した大型案件を含む複数の開発案件が進行しました。グループ内の専門組織である超高速開発センターを中心に、戦略的パートナーを含めた開発体制を拡大する一方で、案件規模の拡大に伴い業務理解や品質確保における課題が顕在化し、一部の開発プロジェクトで遅延が生じました。今後、プロジェクトの正常化を図るとともに、開発体制の強化と業界・業種の知識や知見の習得を推進し、開発品質の向上に努めます。引き続き、開発におけるマイクロアセットサービス(注1)の適用率を上げることで、品質と生産性の向上を実現してまいります。
(注1)マイクロアセットサービスとは、当社が、過去の開発実績より保持している、複数の独立したコンポーネントをお客様の要件に合わせて適用していくサービスです。
・サービス
クラウドについては、お客様のIT環境のクラウドへの移行(クラウドリフト)が進み、既存のインフラ投資額と比較して平均30%のコスト削減を可能にする、運用&コスト最適化付クラウドサービス「EcoOne(注2)」が引き続き好調を維持しました。SaaSにおいては、マイクロソフト社のAIサービス「Microsoft Copilot」の受注が拡大しており、AIサービスの利用拡大に伴い必要となる「Microsoft 365」の運用サービスをリリースしました。「Microsoft 365」に加え、サイボウズ社のノーコード開発ツール「kintone」、オンラインストレージ「Dropbox」の3サービスをSaaSビジネスの基軸とし、ワークショップ等の各種施策と併せてお客様のクラウドの利活用・定着を推進してまいります。
(注2)EcoOne(エコワン)とは、クラウドベンダーの提供する様々なサービスを効果的に組み合わせて提供する、運用付きのクラウドサービスです。
セキュリティについては、注力するマルチクラウドに対応したクラウドセキュリティの領域が継続して伸長しました。また、大手・中堅企業向けに、グループ企業や海外拠点を含めたセキュリティ診断を実施する「Attack Surface診断サービス」(2023年1月発表)で複数の大型案件を獲得できており、今後、関連サービスをさらに拡充することで受注規模の拡大を図ります。
- 大手企業向けクラウドセキュリティサービス/脆弱性診断サービス(第1四半期に発表予定)
- [事例] 株式会社 GSユアサ様 Attack Surface診断サービス導入事例(3月公開)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9889/tdnet/2413374/00.pdf
・システム
ハードウェアやソフトウェアの販売を行っており、お客様のクラウド利用への移行に伴い、中長期では縮小傾向にあります。当連結会計年度においては、お客様のシステム更改によるハードウェアの刷新が重なり、売上高が増加しました。
以上の結果、情報ソリューションの売上高は、63,221百万円(前期比12.6%増)となりました。
[製品開発製造]
製品開発製造は、当社グループ独自のソフトウェア、クラウドサービス及びプリンターなどの情報機器の開発・製造・販売を行っており、「HARMONIZE」のクラウドデータ連携(Qanat Universe)(注3)を含みます。主力サービスであるQanat Universeは、データ連携機能を国内の主要な業務系SaaSに提供するビジネスを中心に展開しました。インボイス制度(2023年10月施行)や電子帳簿保存法(2024年1月義務化)に対応したSaaSソリューションへの組み込み提供が奏功し、累計販売本数は4,582本(前期比97.4%増)と伸長しました。プリンター等のハードウェアは、引き続き縮小傾向にあります。
以上の結果、製品開発製造の売上高は1,973百万円(前期比1.6%減)となりました。
(注3)Qanat Universe(カナート ユニバース)とは、SaaSや基幹/業務システム、PC、モバイル、IoTデバイス等、クラウドや社内(オンプレミス)の様々なサービスやシステムをシームレスにつなぎ、データを連携するプラットフォームです。Qanat Universeを利用することで、利用者は接続先を意識せず、素早く、低コストでシステムの連携と業務の自動化が実現できるようになるため、ソフトウェアメーカーに自社製品との連携プラットフォームとして多く採用されております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金は基本的に内部資金より充当し、不足が生じた場合には短期借入金により調達しております。また、複数の取引銀行との間で総額14,100百万円の貸出コミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。これにより、安定的な運転資金を確保するとともに、M&Aの実施の際の機動的な資金調達やマーケット環境の一時的な変化等不測の事態への対応にも備えております。当社グループは装置産業ではないため、多額の設備投資は必要ではなく、設備投資はパソコン・サーバー等の社内使用設備や事務所関連設備が大半であり、長期借入金による設備資金の調達は現在のところ必要ではない状況となっております。
今後につきましても、当社グループにシナジーをもたらすM&A等の投資や次世代の先進技術研究への投資、加えて株主の皆さまへの還元もしくは資本施策の一環としての自己株式の取得等、財務状況や株価の動向を考慮しながら必要に応じ機動的に実施してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。