E02729 Japan GAAP
前期
559.3億 円
前期比
104.0%
株価
3,260 (04/25)
発行済株式数
17,773,743
EPS(実績)
150.73 円
PER(実績)
21.63 倍
前期
881.3万 円
前期比
95.1%
平均年齢(勤続年数)
40.7歳(11.9年)
従業員数
13人(連結:1,691人)
当社グループは、純粋持株会社である当社及び連結子会社9社により構成されています。主な業務として、企業の情報システム、ネットワーク及び情報セキュリティに関するコンサルティングから、企画・構築・導入・運用・保守サービスにいたるまで、トータルなITサービスを提供して全国において展開しております。
純粋持株会社である当社は、グループ経営戦略の策定、コーポレート・ガバナンスの構築、経営資源のグループ内最適配分などを行っております。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
当社グループの事業分野の区分及び事業系統図は以下の通りとなっております。
なお、事業分野の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(事業分野)
事業分野の名称 |
事業の内容 |
情報ソリューション |
超高速開発、クラウド、セキュリティを中心に企業の情報システムの構築及び運用・保守サービスなどを行っており、システム開発(SI)、サービス及びシステムに分類しております。 |
製品開発製造 |
クラウド連携プラットフォーム等、独自のソフトウェアや生産管理システムの開発・提供及びプリンター等各種ハードウェアの製造・販売を行っております。 |
(事業系統図)
※画像省略しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、3カ年の中期経営計画「HARMONIZE 2023」(2022年3月期~2024年3月期)において、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するトータルITサービス「HARMONIZE」(2021年4月発表)を推進することで、ストックビジネスの比率を高め、安定した収益と継続的な成長を実現する事業構造へと変革を進めています。
中期経営計画2年目となる当連結会計年度において、ストックビジネスの成長が旧来型ビジネス(機器販売等)の減衰分を超えて成長路線へと転換すべく、「HARMONIZE」の中心的なソリューションであるクラウド、セキュリティ、超高速開発にグループ全体の経営資源を集中して事業を推進しました。
クラウド、セキュリティは、企業のDXへの取り組みや働き方の多様化を背景に、企業におけるIT人材不足やシステム運用の課題に対応するソリューション&サービスを拡充しました。クラウドの導入検討から運用・定着までトータルでの支援と、クラウド活用に不可欠なセキュリティを同時提案することで案件が大型化し、ストックビジネスの受注高は大きく伸長しました(前期比34.1%増)。超高速開発は、企業の競争力強化や内製化志向が高まる中、お客様の業務に合った基幹システムを短期間で構築でき、かつシステムの改修や機能強化をお客様自身で内製できるという特長が、パッケージや他のSIerとの差別化に成功し、受注高は過去最高となりました(前期比30.7%増)。
長く続いたコロナ禍も鎮静化の兆しが見え、企業のIT投資意欲は一層高まっています。当連結会計年度においても、社会情勢やIT市場の動向、そこから想定されるお客様の関心事や課題を汲み取り、いち早く最適なソリューションを提供してきました。引き続き、クラウド、セキュリティを成長エンジンとし、さらに、活性化するローコード/ノーコード市場において当社の超高速開発の存在感を示すことで、成長路線を着実に継続していきます。成長の源泉である人財への投資を目的として、2023年2月に本社を東京ミッドタウン八重洲(東京都中央区)に移転しました。今後、情報発信をより強化し、認知度向上にも取り組みを進めていきます。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次の通りであります。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,691百万円増加し、35,950百万円となりました。これは主に売掛金が1,146百万円、契約資産が1,240百万円、流動資産のうちその他に含まれている前払費用が562百万円、本社移転により建物及び建物附属設備が639百万円増加した一方、現金及び預金が1,457百万円減少したことなどによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ825百万円増加し、16,068百万円となりました。これは主に長期資産除去債務が382百万円、契約負債が448百万円増加したことなどによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,865百万円増加し、19,882百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益により2,679百万円増加した一方、減少要因として、配当金の支払い989百万円を行ったことなどによるものです。
b.経営成績
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高58,144百万円(前期比4.0%増)、営業利益3,764百万円(前期比22.1%増)、経常利益3,847百万円(前期比19.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,679百万円(前期比19.3%増)となり、増収増益を達成しました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
情報ソリューション分野の売上高は56,140百万円(前期比4.1%増)となりました。
製品開発製造分野の売上高は2,004百万円(前期比0.5%減)となりました。
なお、セグメント別の詳細につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載の通りであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ1,457百万円減少し、10,654百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動による資金の増加は910百万円(前期は3,562百万円の増加)となりました。増加要因としては、主に税金等調整前当期純利益3,880百万円、仕入債務の増加1,111百万円、減少要因としては、主に売上債権及び契約資産の増加2,492百万円、長期未払金の減少1,344百万円によるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動による資金の減少は964百万円(前期は67百万円の減少)となりました。減少要因としては、主に有形固定資産の取得675百万円、敷金及び保証金の差入による支出257百万円によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動による資金の減少は1,390百万円(前期は2,137百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払い989百万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産、受注及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
a.生産実績
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
情報ソリューション |
28,475 |
17.1 |
製品開発製造 |
1,644 |
6.6 |
合計 |
30,120 |
16.4 |
b.受注実績
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
情報ソリューション |
57,572 |
7.8 |
13,951 |
30.6 |
製品開発製造 |
1,907 |
△3.1 |
59 |
△49.2 |
合計 |
59,479 |
7.4 |
14,011 |
29.7 |
c.販売実績
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
情報ソリューション |
56,140 |
4.1 |
製品開発製造 |
2,004 |
△0.5 |
合計 |
58,144 |
4.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績におきましては、金額は製造原価によって表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、業界及び市場の動向、取引先の動向があげられます。
業界及び市場の動向につきましては、ITに関する技術が日々進化し、クラウド・コンピューティングによるサービスの提供、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)等々を活用した新たなビジネスモデルが社会・経済を支えるインフラとして急速に浸透してきております。これらの新しい技術やビジネスモデルの対応に遅れると、市場での企業間競争力の低下を招き、当社グループの業績が影響を受けることになります。そのため、企業グループとして勝ち残り成長していくため、既存ビジネスの変革や成長分野への積極的な取り組みによるビジネスの伸長に加え、次世代の先進技術の研究や更なる事業の選択と集中、収益力向上施策による財務基盤の強化を図りつつ、企業統治・業務執行体制を充実してまいります。
取引先の動向につきましては、当社グループは企業向けシステム等のサービス提供をビジネスの柱としており、その取引先は創業以来2万社に上り、その業種は多岐に渡っております。取引先の業績悪化による受注の減少や、当社グループの提供可能なサービス範囲を超える要求を反映した不採算リスクの高い案件の獲得等が積み重なれば、当社グループの業績が影響を受けることになります。そのため、取引先に対する与信管理の強化や取引先の業界動向調査、取引先に対するサービス提案やプロジェクト管理体制を整備しております。
また、今年度よりスタートしました中期経営計画「HARMONIZE 2023」では、中堅中小企業のお客様を中心にDX実現をご支援するため、当社独自のトータルITサービス“HARMONIZE”をグループ全体に展開し、グループ一体となってさらなる成長を目指してまいりました。特に、超高速開発、クラウド、セキュリティおよびクラウド連携プラットフォームといった高付加価値ソリューションに注力し推進することで事業構造の変革を進め、かつこれら付加価値の高い領域でのストックビジネスを拡大することにより、安定的かつ持続的に成長できる収益基盤の確立を図ってまいりました。
経営成績に重要な影響を与える要因は、次の通りであります。
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
前期比 |
売上高 |
55,934百万円 |
58,144百万円 |
+4.0% |
売上総利益 |
17,005百万円 |
18,011百万円 |
+5.9% |
売上総利益率 |
30.4% |
31.0% |
+0.6pt |
販売費及び一般管理費 |
13,921百万円 |
14,246百万円 |
+2.3% |
営業利益 |
3,083百万円 |
3,764百万円 |
+22.1% |
営業利益率 |
5.5% |
6.5% |
+1.0pt |
(売上高)
当連結会計年度の売上高については、前連結会計年度と比べ2,210百万円増加し、58,144百万円(前期比4.0%増)となりました。戦略的注力分野である超高速開発、クラウド、セキュリティが順調に伸長し、成長路線へと転換しました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益については、前連結会計年度と比べ1,006百万円増加し、18,011百万円(前期比5.9%増)となりました。ハードウェア販売の減少により売上総利益額は前期比で減少していますが、従来型SI(システム開発)から付加価値の高いJBアジャイルを用いる超高速開発へのシフトが進んだこと等により、売上総利益率については31.0%と前連結会計年度と比べ0.6ポイント上昇いたしました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費については、前連結会計年度と比べ325百万円増加し14,246百万円(前期比2.3%増)となりました。
(営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
収益構造の変革に伴い、高付加価値ビジネスへ集中したことや販管費の最適化も寄与し、当連結会計年度の営業利益については、前連結会計年度と比べ680百万円増加し3,764百万円(前期比22.1%増)となりました。営業利益率は6.5%となり前連結会計年度と比べ1.0ポイント上昇いたしました。経常利益については、前連結会計年度と比べ620百万円増加し3,847百万円(前期比19.2%増)となりました。経常利益率は6.6%となり前連結会計年度と比べ0.8ポイント上昇しております。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度と比べ433百万円増加し2,679百万円(前期比19.3%増)となりました。当期純利益率は4.6%となり、前連結会計年度と比べ0.6ポイント上昇いたしました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は、次の通りであります。
[情報ソリューション]
情報ソリューション分野は、システム開発(SI)、サービスおよびシステムに分類し、「HARMONIZE」の超高速開発、クラウド、セキュリティを中心にビジネスを展開しています。
システム開発(SI)については、グループ内の専門組織である超高速開発センターを中心に、グループ全体での開発体制の強化とスキルシフトが進み、大型案件を含むプロジェクトが順調に推移しました。超高速開発の累計導入実績は460件となり、開発実績のアセット(再利用可能な開発部品・資産)の活用徹底により、開発生産性の向上と安定した品質のシステム開発を実現しています。SI全体の売上高に占める超高速開発の割合は60.1%(前期比5.4ポイント増)(注1)となりました。
サービスについては、クラウド、セキュリティのストックビジネスが大幅に伸長しました。クラウドについては、既存のインフラ投資額と比較して平均30%のコスト削減を可能にする、運用&最適化付きクラウドサービス「EcoOne」と、クラウド(SaaS)の利活用・定着化支援で投資対効果を最大化する「ワークショップ」(注2)の2つのサービス展開を軸に、各サービスをマルチクラウド(Google Cloud、Microsoft Azure、AWS)で提供することで、お客様の多様なニーズをとらえ受注が拡大しました。セキュリティについては、業種や規模を問わないサイバー攻撃に関する報道の増加を受け、お客様のセキュリティに対する関心と投資意欲が高まりました。お客様IT環境のセキュリティリスクを網羅的に可視化する「セキュリティ診断サービス」の強化により、セキュリティへの関心を具体的な対策の実施、案件獲得へとつなげることができました。自動車業界をはじめ、業種や業界に特化したセキュリティ診断・対策サービスの展開も開始し、受注拡大に貢献しています。
システム(ハードウェア販売等)は、引き続き縮小傾向にあります。
[製品開発製造]
製品開発製造分野では、当社グループ独自のソフトウェア、クラウドサービスおよびプリンター等の情報機器の開発・製造・販売を行っています。
ソフトウェアについては、「HARMONIZE」のクラウドデータ連携(Qanat Universe)(注3)を中心に、安定的かつ継続した収益基盤となるサブスクリプション型のサービスを提供しています。Qanat Universeは、インボイス制度(2023年10月開始)や電子帳簿保存法(2024年1月義務化)の駆け込み需要を背景に、両法制度に対応するSaaSソリューションにQanat Universeを組み込み、データ連携を標準機能として提供する販売戦略を展開し、累計契約本数は2,321本(前期比228.8%増)と伸長しました。プリンター等のハードウェアは、引き続き縮小傾向にあります。
(注1)システム開発に付随する運用保守や調達を除く売上高のうち、超高速開発による割合を示しています。
(注2)お客様との双方向のディスカッションを通じて、業務課題やニーズを整理し、個々の企業に合ったDXの実現に向けてロードマップの策定や具体的なアクション項目を明確化する手法です。SaaS活用を整理・最適化する「クラウドデザインワークショップ」の他、多機能化するMicrosoft365を“使いこなす”ための「Microsoft365ワークショップ」や業務課題別のワークショップ等、多彩なラインアップで展開しています。
(注3)Qanat Universe(カナート ユニバース)とは、SaaSや基幹/業務システム、PC、モバイル、IoTデバイス等、クラウドや社内(オンプレミス)の様々なサービスやシステムをシームレスにつなぐ、クラウド連携プラットフォームです。Qanat Universeを利用することで、利用者は接続先を意識せず、素早く、低コストでシステムの連携と業務の自動化が実現できるようになるため、ソフトウェアメーカーに自社製品との連携プラットフォームとして多く採用されています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金は基本的に内部資金より充当し、不足が生じた場合には短期借入金により調達しております。また、複数の取引銀行との間で総額14,200百万円の貸出コミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。これにより、安定的な運転資金を確保するとともに、M&Aの実施の際の機動的な資金調達やマーケット環境の一時的な変化等不測の事態への対応にも備えております。当社グループは装置産業ではないため、多額の設備投資は必要ではなく、設備投資はパソコン・サーバー等の社内使用設備や事務所関連設備が大半であり、長期借入金による設備資金の調達は現在のところ必要ではない状況となっております。
今後につきましても、当社グループにシナジーをもたらすM&A等の投資や次世代の先進技術研究への投資、加えて株主の皆さまへの還元もしくは資本施策の一環としての自己株式の取得等、財務状況や株価の動向を考慮しながら必要に応じ機動的に実施してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、当期の連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積り及び仮定の設定において、新型コロナウイルス感染症の影響を検討しておりますが、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において影響を与える可能性があります。