売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02780 Japan GAAP

売上高

2.31兆 円

前期

2.24兆 円

前期比

103.4%

時価総額

3,557.4億 円

株価

4,576 (04/23)

発行済株式数

77,740,872

EPS(実績)

261.70 円

PER(実績)

17.49 倍

平均給与

612.1万 円

前期

600.9万 円

前期比

101.9%

平均年齢(勤続年数)

47.0歳(21.8年)

従業員数

3,232人(連結:13,429人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社及び当社の関係会社は、㈱スズケン(当社)、子会社50社及び関連会社8社により構成されており、医薬品の販売、製造及び保険薬局を主な事業としているほか、これらに付随する医療関連サービス等事業を営んでおります。

事業の内容と当社及び当社の関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。

 

事業区分

主要な会社

医薬品卸売事業

当社、㈱サンキ、㈱アスティス、㈱翔薬、㈱スズケン沖縄薬品、
ナカノ薬品㈱、㈱スズケン岩手、㈱エス・ディ・ロジ

医薬品製造事業

㈱三和化学研究所

保険薬局事業

㈱ユニスマイル

医療関連
サービス
等事業

メーカー支援サービス

㈱エス・ディ・コラボ、中央運輸㈱

介護サービス

サンキ・ウエルビィ㈱、㈱エスケアメイト

医療機器製造

ケンツメディコ㈱

その他

㈱ライフメディコム

 

(注) 1 事業区分はセグメント情報の区分と同一であります。

2 各事業の主な内容は次のとおりであります。

(1) 医薬品卸売事業…………医薬品、診断薬、医療機器・材料等を販売する事業であります。

(2) 医薬品製造事業…………医薬品、診断薬等を製造する事業であります。

(3) 保険薬局事業……………医療機関からの処方箋に基づき調剤を行う事業であります。

(4) 医療関連サービス等事業

メーカー支援サービス…医薬品の輸配送、希少疾病用医薬品の流通に関する総合的支援を行う事業等であります。

介護サービス……………主に介護保険法に基づく介護サービスの提供等を行う事業であります。

医療機器製造……………心電計、血圧計等の生体生理検査機器等を製造する事業であります。

その他……………………医療関連書籍の販売等を行う事業であります。

以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

 

※画像省略しています。
23/06/27

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度より、メーカーへの販売情報提供に係る収入等について表示方法の変更を行っております。当該変更に伴い、前連結会計年度の業績について遡及処理を行っております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」をご参照ください。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a 財政状態の状況

( 資  産 )

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ43億79百万円増加し1兆1,460億97百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

流動資産は前連結会計年度末に比べ47億67百万円減少いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が26億20百万円、有価証券が235億90百万円および商品及び製品が25億70百万円増加したものの、現金及び預金が323億50百万円減少したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ91億47百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が57億10百万円、投資その他の資産が36億48百万円増加したことによるものであります。

 

( 負  債 )

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ109億16百万円増加し7,345億71百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

流動負債は前連結会計年度末に比べ133億95百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が22億34百万円、独占禁止法関連損失引当金が43億14百万円およびその他が42億67百万円増加したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ24億78百万円減少いたしました。

 

( 純資産 )

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ65億36百万円減少し4,115億25百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

株主資本は前連結会計年度末に比べ53億54百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を203億45百万円計上したものの、剰余金の配当の支払が63億32百万円、自己株式の取得による減少が194億75百万円あったことによるものであります。なお、当連結会計年度において自己株式804億78百万円を消却しております。

その他の包括利益累計額は前連結会計年度末に比べ11億23百万円減少いたしました。

 

 

b 経営成績の状況

当連結会計年度においては、依然として新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念は残るものの、感染防止対策と社会経済活動との両立を図る動きが進められております。一方、依然としてウクライナ情勢の終息時期が見通せないなか、外国為替相場の変動、電力・エネルギー価格や原材料価格の高騰による物価高が一層進展するなど、国内景気や企業収益については依然として先行き不透明な状況が続いております。
 当社グループにおける新型コロナウイルス感染症対応については、お得意さまや当社グループ社員の健康に配慮したうえで、感染予防対策に万全を期してまいりました。また、新型コロナウイルスワクチン流通に関しては、47都道府県すべてで地域担当卸の選定を受け、各自治体単位で流通を担っております。今後も引き続き医薬品等の安定供給に取り組み、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

そのようななか、当社グループは、当期を最終年度とする3ヵ年の中期成長戦略「May I “health” you? 5.0~第3の創業期~」を策定し、健康創造領域で社会に貢献する企業として、より一層、既存事業を進化させていくと同時に、日本が目指す新たなデジタル社会である「Society 5.0」において、社会の課題を解決できる新たな事業展開を目指し、更なる企業価値向上に取り組んでまいりました。
 加えて、今年度、創立90周年を迎えるにあたり、10年後の100周年に向け「健康創造事業体への転換」を果たすために、当期を次期中期成長戦略の「Chapter ZERO」と位置づけ、既存事業の深掘りと新規事業の探索を両利きで実践しております。

 

当連結会計年度においては、希少疾病薬や再生医療等製品を含むスペシャリティ医薬品の流通モデル構築、およびMS(※1)の活動による新たな収益モデル構築に向け、多様な企業との協業を進めております。また、医薬品卸売事業においては、売上・シェアに連動する収益構造が変化しており、コスト構造改革のみならず、新しい機能による新たな収益獲得を目指した取り組みを進めております。
 このようななか、医療流通プラットフォームの構築に向けて、スペシャリティ医薬品トレーサビリティシステムである「キュービックス」を全国の地域中核病院などへ導入し、医薬品の流通品質向上に取り組んでまいりました。加えて、サンバイオ㈱と共同開発した再生医療等製品における流通管理・投与スケジュールサポートシステム「R-SAT(※2)」に関する特許を共同で取得するなど、スペシャリティ医薬品流通において、国内への新規参入や新製品の上市を目指す製薬企業のご要望にお応えするとともに、新薬を待ち望む患者さまに確実に医薬品をお届けできる流通基盤の強化に努めております。

 

また、今後、よりデジタル領域の基盤強化や新規事業の創出を加速していくためには、最先端の技術・ビジネスモデル・アイデアを持った様々なヘルステック企業との連携が必要と考え、ヘルステック企業への投資を本格化させるためにCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドを設立し、2022年11月には、CVCを通じた最初の投資案件として、食のパーソナライズによる健康・医療の最適化を目指す「㈱おいしい健康」、屋内における人の動きを検知するWi-Fi電波のセンシング技術とそのAI解析のためのデータ基盤の提供を通じて、全ての人のQoL(Quality of Life)が豊かになる世界を目指す「ai6㈱」、両社にそれぞれ出資を行い、資本業務提携を実施しております。

更に、2023年3月には、「中部電力㈱」と、医療・介護等のヘルスケアサービスを地域の生活者に提供する地域ヘルスケアプラットフォームの構築に向けた包括業務提携を締結し、今後、両社グループそれぞれの取り組みを掛け合わせ、高齢者をはじめとした生活者が、住み慣れた地域でより安心・安全に暮らし続けることを支援する「地域ヘルスケアプラットフォーム」の構築を目指してまいります。

既提携企業に関しましては、「Ubie㈱」、「㈱スマートショッピング」、「㈱Welby」それぞれに追加出資を実施するなど、協業強化を進めております。今後も、既に提携している企業とともに、新たな流通チャネル構築や、協業によるデジタルヘルス事業の構築を加速させ、革新的なサービスや情報ビジネスを推進し、製薬企業や医療機関、保険薬局、患者さまへの新たな価値の提供を目指してまいります。
   サステナビリティ(持続可能性)に関する取り組みについては、多様な事業を通じた社会課題の解決と、新たな価値提供による当社グループの持続可能な成長を目指すため、2022年4月1日付にて、社長直轄機構としてサステナビリティ委員会を設置いたしました。今後、グループ一体となったサステナビリティ経営を推進し、ESGやサステナビリティ活動に関する情報のさらなる充実と積極的な開示を進めてまいります。

 

 

株主還元方針に関しては、2021年5月11日に開示したとおり、安定的な配当の継続を基本に配当を実施するとともに、自己株式の取得を実施することで、中期成長戦略の最終年度である2023年3月期までの2年間の平均総還元性向を100%以上とし、株主還元の充実を図るとともに、既存事業の強化や成長への事業投資を行うことで企業価値と資本効率の向上を目指してまいりました。

上記方針を踏まえ、2022年11月11日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき、自己株式の取得を決議し、取得総数:5,241,600株、取得総額:194億72百万円の自己株式を取得いたしました。

なお、自己株式の消却に関しては、2022年9月27日開催の取締役会において、会社法第178条の規定に基づき、自己株式(15,344,083株)の消却を行うことを決議し、2022年10月25日付で自己株式の消却を実施しておりますが、上記2022年11月11日決議に基づき取得した自己株式についても、譲渡制限付株式報酬(RS)等への充当を見込む10万株を除いた全数について消却を実施いたしました。
  (消却日:2023 年3月31 日、消却した株式の数:5,168,096 株)

これらの結果、2023年3月期までの2年間の平均総還元性向は104.7%となりました。

 

当社連結子会社の㈱翔薬は2021年11月9日に、独立行政法人国立病院機構(NHO)の入札に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会(以下、「公取委」)の立ち入り検査を受け、以降、公取委の検査に全面的に協力してまいりましたが、2023年3月24日に公取委より排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。

 

当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、医療用医薬品市場がわずかながら伸長したことに加え、スペシャリティ医薬品等の新薬や新型コロナウイルス感染症関連の治療薬・診断薬が寄与しました。営業利益、経常利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたことに加え、適正利益の獲得に取り組みました。なお、㈱翔薬が排除措置命令および課徴金納付命令を受けたことなどを踏まえ、一連の事案に関し今後発生しうる損失額につき、44億47百万円を特別損失(独占禁止法関連損失)として計上いたしました。
  その結果、売上高は2兆3,148億28百万円(前期比3.4%増)、営業利益は326億5百万円(前期比62.1%増)、経常利益は363億76百万円(前期比55.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は203億45百万円(前期比41.4%増)となりました。

 

※1 MS(Marketing Specialist)

  :医薬品卸売業の営業担当者のこと。

   医療機関・保険薬局等を訪問し、医薬品の紹介、商談、情報の提供や収集を行います。

※2 R-SAT

:「R-SAT」は、Regenerative medicine(再生医療薬)、Safety(安全性)、Accuracy(正確)、Traceability(トレーサビリティ)の頭文字を取ったものであり、再生医療等製品を投与される患者さまの登録から、再生医療等製品の輸配送、投与および投与後のフォローまでの情報を一元管理し、製薬企業、製造業者、輸配送業者、医療機関などの関係者がそれらの情報を共有できる流通管理・投与スケジュールサポートシステムです。また、自家細胞製剤・他家細胞製剤とも対応可能となっています。

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(医薬品卸売事業)

医療用医薬品市場は、薬価改定の影響などがあったものの、抗悪性腫瘍剤の市場拡大やスペシャリティ医薬品等の新薬が寄与したことにより、わずかながら伸長したものと推測しております。

そのようななか、売上高は、スペシャリティ医薬品をはじめとする新薬の販売増加、新型コロナウイルス感染症関連商材などの寄与により2兆2,269億18百万円(前期比3.5%増)、営業利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたことに加え、適正利益の獲得に取り組んだことなどにより270億50百万円(前期比83.6%増)となりました。

 

(医薬品製造事業)

売上高は、薬価改定の影響があったものの、昨年度発売した二次性副甲状腺機能亢進症治療薬ウパシタ静注透析用シリンジの寄与などにより増収となりました。
   営業利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたことなどにより、増益となりました。

これらの結果、売上高は443億82百万円(前期比1.0%増)、営業利益は12億21百万円(前期比56.5%増)となりました。

 

(保険薬局事業)

売上高は、調剤報酬改定・薬価改定の影響などにより減収となりました。

営業利益は、グループ全体での販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、減収の影響および前期に診療報酬上の臨時的な取り扱いとして実施された調剤感染症対策実施加算の影響などにより、減益となりました。

これらの結果、売上高は877億42百万円(前期比1.2%減)、営業利益は20億34百万円(前期比11.0%減)となりました。

 

(医療関連サービス等事業)

売上高は、主に、メーカー支援サービス事業(医薬品メーカー物流受託・希少疾病薬流通受託)の受託が増加したことなどにより増収となりました。

営業利益は、新会社の設立等、デジタルビジネスの事業化に向けた先行投資に係る費用計上などにより減益となりました。

これらの結果、売上高は2,286億91百万円(前期比25.8%増)、営業利益は20億18百万円(前期比9.1%減)となりました。

 

(注)セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含んでおります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ353億42百万円減少し1,328億72百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は372億70百万円(前期比277億50百万円増)となりました。

この主な要因は、法人税等の支払101億51百万円があったものの、税金等調整前当期純利益305億94百万円、減価償却費86億39百万円および独占禁止法関連損失引当金の増加43億14百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は463億61百万円(前期は14億39百万円の獲得)となりました。

この主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入426億0百万円があったものの、有価証券の取得による支出682億60百万円、有形固定資産の取得による支出150億58百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は262億19百万円(前期比146億19百万円増)となりました。

この主な要因は、自己株式の取得による支出194億75百万円、配当金の支払63億31百万円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品製造事業

19,053

102.4

医療関連サービス等事業

1,245

88.1

合計

20,298

101.4

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

b 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品卸売事業

医療用医薬品

1,878,327

102.2

診断薬

113,103

117.3

医療機器・材料

66,156

105.7

その他

41,215

104.6

2,098,802

103.1

医薬品製造事業

32,009

103.0

保険薬局事業

54,199

97.6

医療関連サービス等事業

222,167

126.6

小計

2,407,178

104.8

セグメント間消去

△268,693

121.0

合計

2,138,485

103.0

 

(注) 金額は、仕入価額によっております。

 

c 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

医薬品製造事業

2,804

91.6

999

103.1

医療関連サービス等事業

1,442

68.3

49

42.1

セグメント間消去

△376

50.8

△7

49.2

合計

3,870

87.4

1,042

97.1

 

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品卸売事業

医療用医薬品

1,977,974

102.8

診断薬

121,503

117.0

医療機器・材料

73,096

104.2

その他

54,344

117.3

2,226,918

103.9

医薬品製造事業

44,382

101.0

保険薬局事業

87,742

98.8

医療関連サービス等事業

228,691

125.8

小計

2,587,735

105.2

セグメント間消去

△272,907

120.7

合計

2,314,828

103.7

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株による感染再拡大により、引き続き当社グループの業績や事業活動に影響が生じております。このような様々な環境の変化に適応していくためにも、医薬品卸売事業をコア事業とする事業体から健康創造事業体への転換を早期に実現していく必要があると考えており、当連結会計年度におきましては新たな中期経営計画の「Chapter ZERO」と位置づけ、「現事業の構造改革」と「新領域へのチャレンジ」に両利きで取り組んでまいりました。

医薬品卸売事業におきましては、コロナ関連商材の寄与はあるものの、利益重視への社員の意識改革を徹底し、コストの見える化システムの活用や本部による価格承認体制を強化したことで売上総利益率の改善に繋がったものと考えております。また、販売費及び一般管理費の低減に努め、2016年度を基点に販売費及び一般管理費比率を1ポイント下げるOne Point Improvementの目標を達成することが出来ました。

医薬品製造事業におきましては、2021年8月に発売した「ウパシタ静注透析用シリンジ」の営業を強化するとともに、販売費及び一般管理費の抑制に努めてまいりました。

保険薬局事業におきましては、不採算店舗の閉局や業務の効率化に加え、グループ再編により㈱ユニスマイルを設立するなどガバナンス体制の強化を図ることで経営基盤の強化に努めてまいりました。

医療関連サービス等事業におきましては、スペシャリティ医薬品流通受託事業において国内一社流通受託の更なる獲得に向けて、グローバルに対応した品質管理の強化に取り組んでまいりました。

新規事業におきましては、グループや協業企業が持つ機能を組み合わせ、新しい事業を創造する「機能総体」という発想で様々な取り組みを加速させるためにCVCファンドを設立し、最先端の技術・ビジネスモデル・アイデアを持った様々なヘルステック企業との連携強化を図ってまいりました。

なお、株主還元方針におきましては、安定的な配当の継続を基本に配当を実施するとともに、自己株式の取得を実施することで中期成長戦略「May I “health” you? 5.0 ~第3の創業期~」の最終年度である2023年3月期までの2年間の平均総還元性向を100%以上としており、2年間の平均総還元性向は104.7%となりました。

 

今後は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、新たな中期経営計画「For your next heartbeat ~未来に向けた鼓動を創ろう~」に基づき下記の取組みを推進してまいります。早期に健康創造事業体への転換を実現するため、次期連結会計年度より組織の組み換えを行い、一部のセグメント変更を下記の通り実施し、既存事業の変革とより広いヘルスケアニーズに対応する新規事業の創出を、スピードを上げて実践してまいります。

医薬品卸売事業におきましては、引き続き利益重視の経営に努めるとともに、機能強化に向けた投資とコストのバランスを考慮しながら、販売費及び一般管理費比率の抑制に努めてまいります。

ヘルスケア製品開発事業におきましては、これまでの医薬製造事業に加え、医療機器製造事業から成るセグメントとしております。患者さまとの接点やグループ製品開発機能を活かし、当社グループ独自の“モノ”(医療・介護デバイス等)を開発してまいります。

地域医療介護支援事業におきましては、これまでの保険薬局事業に加え、介護事業、医療介護支援事業から成るセグメントとしております。各事業から地域の患者さまの情報を収集し、エリアごとに最適なパートナーシップを組むことで各地域に適した医療・介護サービスやソリューションを提供してまいります。

医療関連サービス等事業におきましては、武州製薬㈱とともに製造業務受託エリアと卸物流エリアを併設した複合型の新物流センターの構築を進めるなど、引き続きスペシャリティ医薬品流通の獲得に向けた更なる機能強化に努めてまいります。

新規事業におきましては、引き続き「スマートロジスティクス」「デジタルヘルスケア」「地域在宅支援」の3つを成長ドライバーと位置づけ、とりわけデジタルヘルスケアにおいてはこれまで提携してきた協業企業やお得意さまなどを総合的につなぐ「コラボポータル」の推進を進めております。医療従事者にとって魅力的なプラットフォームへと日々進化させ、情報ビジネスの事業化をより加速させてまいります。

 

株主還元方針におきましては、安定的な配当の継続を基本とし、中期経営計画の最終年度である2026年3月期までの3年間において、総還元性向80%以上の株主還元の実施を公表いたしました。株主還元の充実を図るとともに、既存事業や新規事業それぞれへの投資を行うことで企業価値と資本効率の向上を目指してまいります。

以上を踏まえ、当社グループが「One Team」となって新たな中期経営計画の「Chapter ONE」のページを進め、変化するヘルスケアエコシステムに新たな「解」と「希望」を送り続ける存在として新しい価値を創出し続け、さらなる企業価値の向上と社会課題の解決に貢献してまいりたいと考えております。

 

② 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、買掛金の支払や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、営業・物流・情報基盤の強化および新たな事業領域の拡大等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。

運転資金は自己資金を基本としており、投資はフリーキャッシュフローの範囲内を基本としております。ただし、有事における緊急的な措置としてコミットメントラインも保持しております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,328億72百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析を行っております。

連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、それらについて継続して評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a 収益の認識

当社グループの中心である医薬品卸売事業の売上高については、販売価格が未決定のものが一部含まれており、決定予測価格を合理的に見積り売上計上しておりますが、価格決定時において売上高の修正を行う場合があります。

価格決定の早期化と合理的な予測価格による売上計上に努めておりますが、価格決定までの期間が長期化し、決定価格が予測価格を大幅に下回った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b 貸倒引当金

当社グループは、受取手形及び売掛金等の債権の貸倒れに備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額を計上しております。お得意さまの財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

c 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性がないと考えられる金額は、評価性引当額を計上しております。将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的なタックスプランニングにより評価性引当額の必要性を検討しております。

過去に計上した繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産を取崩しております。一方、計上額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、繰延税金資産を計上しております。

d 退職給付

退職給付債務及び退職給付費用の見積りは、退職給付に関する会計基準等に準拠して行っております。また、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、将来認識される退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

e 独占禁止法関連損失引当金

独占禁止法関連損失引当金の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。