E00169 Japan GAAP
前期
1.38兆 円
前期比
117.2%
当社グループは、当社、子会社55社、関連会社13社及びその他の関係会社1社で構成され、建設事業、開発事業を主な事業とし、さらに各事業に関連する事業を営んでいる。
当社グループの事業に係わる位置付けをセグメントごとに示すと次のとおりである。
当社が主として建築工事業を、連結子会社では㈱竹中土木が主として土木工事業を、㈱竹中道路が道路舗装工事業を、また、海外においてはTAKENAKA EUROPE GmbH、THAI TAKENAKA INTERNATIONAL LTD.、竹中(中国)建設工程有限公司、P.T.TAKENAKA INDONESIAなどが建設事業を営んでおり、当社及び㈱竹中土木は工事の一部を関係会社に発注している。
当社が主として事務所ビル賃貸事業等を、また海外においては、TAK HAWAII Inc.、TAK DEVELOPMENT Inc.、ONE FLEET REALTY LTD.、TAK HOSPITALITY,LLC、400 CALIFORNIA,LLC、TILT49 REALTY LLCなどがリゾート開発事業、事務所ビル賃貸事業等を営んでいる。当社は一部の関係会社と土地・建物の賃貸借を行っており、また、賃貸ビルなどの建設工事を受注している。
連結子会社である㈱アサヒファシリティズが不動産管理事業や保険代理事業等を営んでおり、当社は、同社に事務所ビルの管理業務を委託している。また、当社が設計監理・調査受託他の事業を営んでいるほか、一部の関係会社にその他サービス業務を委託している。なお、当社及び㈱竹中土木は、一部の関係会社から建設工事を受注している。
事業の系統図は次のとおりである。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度におけるわが国経済は、急速な円安の進行や物価上昇の影響を受けつつも、インバウンド需要の持ち直しなどによりサービス消費を中心として景気は緩やかに回復した。一方で、世界的な金融引き締めや、世界各地での紛争リスクによる社会経済への影響が続くなど、依然として不透明な状況にあった。
建設業界においては、公共投資は底堅く推移し、民間設備投資も持ち直しつつあったが、建設資材価格の高止まりや労務単価の上昇などの影響を受けて、経営環境は厳しい状況が続いた。
このような状況下において、当社グループは経営理念である「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」を基軸とした品質経営と企業体質の強化を第一義とする健全経営に徹するとともに、抜本的生産性向上と働き方改革の実現を目指しながら、建設事業の高度化と開発事業の収益基盤拡大等の活動を推進した。
当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高が1兆6,124億円余(前連結会計年度比17.2%増)、損益面では、営業利益が456億円余(前連結会計年度比61.2%増)となった。経常利益は593億円余(前連結会計年度比50.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は374億円余(前連結会計年度比23.8%増)となった。
当社においては、売上高が1兆2,511億円余(前事業年度比20.0%増)、営業利益が319億円余(前事業年度比161.6%増)、経常利益が451億円余(前事業年度比64.7%増)、当期純利益は292億円余(前事業年度比17.9%増)となった。
なお、上記の営業利益には退職給付会計における割引率見直し等の影響143億円の利益を含んでいる。
セグメントごとの業績を示すと次のとおりである。(報告セグメント等の業績については、セグメント間の内部売上高または振替高を含めて記載している。)
建設事業においては市場の回復基調が続き、受注高は1兆5,456億円余(前連結会計年度比17.9%増)、売上高は1兆4,731億円余(前連結会計年度比18.0%増)、営業利益は352億円余(前連結会計年度比175.9%増)となった。
当社においては、受注高は1兆2,435億円余(前事業年度比17.3%増)、売上高は1兆2,213億円余(前事業年度比20.3%増)となった。
国内において観光需要が回復したことにより、売上高は709億円余(前連結会計年度比6.9%増)となったが、北米の物件におけるテナントの撤退により、営業利益は60億円余(前連結会計年度比52.1%減)となった。
主として不動産管理業務を展開しており、売上高は724億円余(前連結会計年度比10.8%増)、営業利益は42億円余(前連結会計年度比53.0%増)となった。
(2) 財政状態
当連結会計年度の資産の部は、投資有価証券の増加等により1兆9,970億円余となり、前連結会計年度末に比べ2,558億円余増加(14.7%増)した。当連結会計年度の負債の部は、支払手形・工事未払金等の増加等により1兆196億円余となり、前連結会計年度末に比べ1,523億円余増加(17.6%増)した。当連結会計年度の純資産の部は、その他有価証券評価差額金の増加等により9,773億円余となり、前連結会計年度末に比べ1,034億円余増加(11.8%増)した。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加等により、1,102億円余の収入超過(前連結会計年度は35億円余の支出超過)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得等により、345億円余の支出超過(前連結会計年度は485億円余の支出超過)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済等により、77億円余の支出超過(前連結会計年度は42億円余の支出超過)となった。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から713億円増加し、2,869億円余(前連結会計年度末は2,155億円余)となった。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されているが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されている。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれと異なることがある。
なお、重要な会計上の見積り及び仮定の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
(注) 1 受注実績、売上実績においては、セグメント間の内部売上高または振替高を消去している。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
(参考)提出会社単独の事業の状況は次のとおりである。
(注) 前期以前に受注したもので、契約の更新により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその増減額を含む。従って当期売上高にもその増減額が含まれる。
工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
第85期完成工事の主なもの
第86期完成工事の主なもの
2 第85期及び第86期ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
(d) 手持工事高(2023年12月31日現在)
(注) 手持工事の主なものは次のとおりである。
当社グループの連結業績は、建設事業は建設市場の回復基調が続き、開発事業はコロナ禍からの経済活動正常化による国内観光需要の回復等により前連結会計年度と比較し増収となった。売上総利益、営業利益においては前連結会計年度と比較し増益となったが、営業利益には退職給付会計における割引率見直し等の影響143億円の利益を含んでいる。
経営成績に重要な影響を与える主な要因としては、事業環境の変化が挙げられる。今後、首都圏を中心に大型工事がさらに集中することなどにより、資材価格等の上昇や受給逼迫により建設コストが増加する懸念があり、経営成績に影響を及ぼす可能性がある。また、世界各地での紛争リスク、国際金融市場の動向などによる先行きの不透明感から建設市場が縮小した場合、同様に経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループの資金需要のうち主なものは、国内外の建設事業に係る支出金、販売費及び一般管理費等の営業費用、開発事業における賃貸事業用不動産の取得などの設備投資に係る支出金等である。当社グループは、これらの資金需要に備えるため、自己資金に加え、金融機関からの借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を基本としている。
当社グループは、現時点での財政状態、受注実績、キャッシュ・フローの状況により、当社グループを安定的に運営するために十分な資金調達が可能と考えている。