E00169 Japan GAAP
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことなどにより、社会経済活動の正常化が進み、企業収益及び個人消費は緩やかな回復基調を維持したが、物価上昇の影響による消費の下振れ懸念、ウクライナ情勢の長期化や世界的な金融引締め等による海外経済の減速により、依然として不透明な状況にあった。
建設業界においては、公共投資は堅調に推移し、民間投資も堅調な企業収益等を背景に持ち直しているものの、資材価格の高止まりと労務費上昇等の影響を受け、経営環境は厳しい状況が続いた。
このような状況下において、当社グループは経営理念である「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」を基軸とした品質経営と企業体質の強化を第一義とし、建設事業の高度化と開発事業の収益基盤拡大等の活動に取り組んだが、前中間連結会計期間に比して、受注高、売上高は増加したものの、各利益項目は減少した。
当中間連結会計期間における当社グループの連結業績は、売上高が前中間連結会計期間比16.5%増の7,414億円余、損益面では、建設事業において資材価格の高止まりと労務単価の上昇等が工事利益を下げる大きな要因となり、営業損失が13億円余(前中間連結会計期間は160億円余の営業利益)となった。経常利益は前中間連結会計期間比67.6%減の73億円余、親会社株主に帰属する中間純利益は前中間連結会計期間比24.2%減の132億円余となった。
当社においては、売上高が前中間会計期間比19.1%増の5,678億円余、営業損失が112億円余(前中間会計期間は63億円余の営業利益)、経常損失が13億円余(前中間会計期間は179億円余の経常利益)、中間純利益は前中間会計期間比48.7%減の84億円余となった。
セグメントの業績を示すと次のとおりである。(報告セグメント等の業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。)
売上高は前中間連結会計期間比17.3%増の6,731億円余、営業損失は93億円余(前連結中間会計期間は70億円余の営業利益)となった。
売上高は前中間連結会計期間比7.6%増の362億円余、営業利益は16.1%減の62億円余となった。
主として不動産管理業務を展開しており、売上高は前中間連結会計期間比14.1%増の345億円余、営業利益は30.9%増の18億円余となった。
当中間連結会計期間末の資産の部は、現金預金の増加等により1兆9,515億円余となり、前連結会計年度末に比べ2,103億円余増加(12.1%増)した。当中間連結会計期間末の負債の部は、支払手形・工事未払金等の増加等により1兆53億円余となり、前連結会計年度末に比べ1,380億円余増加(15.9%増)した。当中間連結会計期間末の純資産の部は、その他有価証券評価差額金の増加等により9,462億円余となり、前連結会計年度末に比べ723億円余増加(8.3%増)した。
当中間連結会計期間の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により資金が1,792億円余増加し、投資活動により136億円余減少し、財務活動により30億円余増加した結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、前連結会計年度末に比べ1,722億円余増加の3,877億円余となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加等により、1,792億円余の資金増加(前中間連結会計期間比46.8%増)となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出等により、136億円余の資金減少(前中間連結会計期間比37.5%減)となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入等により、30億円余の資金増加(前中間連結会計期間比302.9%増)となった。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されているが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されている。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれと異なることがある。
なお、重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等 (1)中間連結財務諸表 注記事項 (中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりである。
(注) 1 受注実績、売上実績においては、セグメント間の内部売上高又は振替高を消去している。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
(参考)提出会社単独の事業の状況は次のとおりである。
(注) 前期以前に受注したもので、契約の更新により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその増減額を含む。従って当期売上高にもその増減額が含まれる。
(注)1 前中間会計期間の完成工事のうち主なもの
2 当中間会計期間の完成工事のうち主なもの
3 前中間会計期間及び当中間会計期間ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
(c)手持工事高 (2023年6月30日現在)
(注)手持工事のうち主なもの
(6)当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの連結業績は、売上高は建設事業・開発事業共に増加したことなどにより、前中間連結会計期間と比較し増収となった。損益面では、売上総利益は前中間連結会計期間を下回り、販売費及び一般管理費は前中間連結会計期間並みとなった。この結果、当中間連結会計期間は営業損失となった。
経営成績に重要な影響を与える主な要因としては、事業環境の変化が挙げられる。今後も首都圏を中心に大型工事がさらに集中することなどにより、資材価格の高止まりや需給逼迫により建設コストが増加する懸念があり、経営成績に影響を及ぼす可能性がある。また、物価上昇の影響による消費の下振れ、ウクライナ情勢等の地政学的リスク、国際金融市場の動向などによる先行きの不透明感から建設市場が縮小した場合、同様に経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(7)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要のうち主なものは、国内外の建設事業に係る支出金、販売費及び一般管理費の営業費用、開発事業における賃貸事業用不動産の取得等の設備投資に係る支出金等である。
当社グループは、これらの資金需要に備えるため、自己資金に加え、金融機関からの借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を基本としている。
当社グループは、現時点での財政状態、受注実績、キャッシュ・フローの状況により、当社グループを安定的に運営するために十分な資金調達が可能と考えている。