売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

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労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E02368 Japan GAAP

売上高

8,932.3億 円

前期

7,970.2億 円

前期比

112.1%


3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社111社及び関連会社4社で構成され、ファスニング製品の製造及び販売、建材の製造及び販売、カーテンウォール、窓、サッシ等の工事を主な事業内容とし、更に各事業に関連するアルミ製錬及びその他のサービスの事業活動を展開しております。

 当社グループの主な事業内容に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、各事業とセグメントは同一の区分であります。

 

ファスニング…

当社及びYKK U.S.A.社ほか子会社66社で、ファスニング製品の製造及び販売を行っており、一部は当社グループ内で仕入れて再販売しております。

AP……………

YKK AP㈱ほか子会社23社及び関連会社2社で、建材の製造及び販売、カーテンウォール、窓、サッシ等の工事を行っております。

その他…………

YKK不動産㈱ほか子会社17社及び関連会社2社で、その他のサービスの事業活動を行っております。YKKアルミニウム・オーストラリア社ほか子会社1社がアルミ製錬に携わっており、主に当社グループで輸入しております。

 

事業系統図

※画像省略しています。

 

 

 

23/06/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当期における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の厳しい行動制限が緩和され、経済社会活動の正常化が進んだ一方で、円安の加速や資源価格の上昇に伴い、エネルギーや幅広い品目での価格上昇が続いております。世界経済においては、ウクライナ情勢や中国のゼロコロナ政策及びその転換により大きな影響を受けましたが、引き続き、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー問題やサプライチェーンへの影響、各国におけるインフレの加速、金利上昇など様々な要因があり、先行きが不透明な状況となっております。

 このような環境の中、第6次中期経営計画(2021年度~2024年度)の2年目である当期は、前中期から継承する中期経営ビジョン「Technology Oriented Value Creation『技術に裏付けられた価値創造』」のもと、第6次中期事業方針として、当社では「新常態下での持続的成長~多様な顧客要望の実現と顧客創造~」の実現を、YKK AP㈱では「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」を目指し、それぞれの事業を推進してまいりました。前期はファスニング事業を中心に大きく業績を回復した一年でしたが、当期は前期からの資材価格高騰を受けての価格改定や急激に進行した円安の影響があったものの、特に後半にかけて不安定な世界情勢やインフレ等の世界経済の失速の影響を大きく受けました。

 その結果、当期の連結業績は、売上高は893,226百万円(前期比12.1%増)、営業利益は55,962百万円(前期比7.0%減)、経常利益は60,689百万円(前期比5.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は37,929百万円(前期比14.0%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(a)ファスニング事業

 当期のファスニング事業を取り巻く事業環境は、上半期においてはアパレル小売市場の回復基調が持続しましたが、ロシアによるウクライナ侵攻や中国におけるコロナ政策などによる市場不安定化、燃料価格高騰、世界的なインフレの加速及び金融引締めにより、下半期にかけて景気の先行き不透明感が高まりました。これを受けて、欧米を中心としたアパレル小売市場では需要減退とともにアパレル小売在庫が増加しました。

 このような事業環境のもと、市況悪化及び顧客の在庫調整の影響を受け、販売ボリュームが減少したものの、インフレに伴う適切な価格改定の実施及び期中の大幅な円安の影響により増収となりました。

 地域別では、日本地域においては、グループ会社向け輸出販売が低迷したものの、国内販売においてスポーツ分野やユニフォーム分野が好調に推移しました。また、円安進行による増収効果がありました。Americas地域においては、ジーンズ需要低迷の影響を受けた一方でインフレを踏まえた適切な価格改定を実施しました。Europe地域においては、ジャケット分野及び高級鞄分野向け販売が好調に推移しました。ISAMEA(India/South Asia/Middle East/ Africa)地域においては、インドを中心に内需市場の回復が見られましたが、Americas地域同様ジーンズ需要低迷の影響を受けました。ASEAN地域においては、スポーツ分野や鞄分野が好調に推移したものの、下半期においては顧客の在庫調整の影響を受け、販売が減少しました。中国地域においては、上半期にコロナ感染者数拡大による上海市他でのロックダウンにより生産活動が停滞した影響で販売が減少しました。

 その結果、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、前期比9.3%増の380,587百万円となりました。営業利益は、販売ボリュームの減少及び操業度の低下に加え、燃料価格高騰やインフレの影響を受けたものの、原材料価格高騰に対する適切な価格改定の実施や継続的なコストダウン、円安進行による為替影響などの増益要因により、前期比3.2%増の43,711百万円となりました。

 

(b)AP事業

 当期のAP事業を取り巻く事業環境は、日本国内においては、資材価格の高騰や住宅設備の納期遅延等の継続によって、新設住宅着工戸数は前期より微減となりました。海外においては、北米ではビル建材市場は新型コロナウイルス感染症の影響からの経済活動の回復により堅調に推移しましたが、住宅建材市場では住宅価格の高騰や住宅ローン金利上昇により新設住宅着工戸数が減少しました。中国では不動産規制の影響に加え、同感染症によるロックダウンやゼロコロナ政策緩和後の感染拡大により、不動産市場は大幅に縮小、台湾では建設現場の人手不足が継続し新設住宅着工戸数は前期並み、インドネシアでは同感染症の影響からの経済活動の回復により新設住宅着工戸数は回復傾向となりました。

 このような事業環境のもと、日本国内においては、ウィズコロナにおける取組として、同感染症の状況を把握しながらオンラインイベントやWEB展示会等と併せて、リアルイベントを再開することで営業・消費者接点の強化を図ってまいりました。住宅事業では、樹脂窓とアルミ樹脂複合窓による窓の高断熱化の推進により、高断熱窓化率を75%まで高めることができました。エクステリア事業では、カーポート、門扉・フェンス等の提案を強化しました。ビル事業では、販売拡大に向けて新築営業の体制強化と大規模修繕工事等を中心とした改装分野での提案強化を進めてまいりました。

 海外においては、北米のビル建材では東海岸の販売が好調に推移し、中西部・西部ではサービス強化に取り組み、住宅建材では、受注増加により納期遅延が生じていた樹脂窓について納期回復施策を実行することで販売が増加しました。中国においては、中級市場商品による新規顧客開拓と改装チャネルの拡大により販売が増加しました。台湾では高級住宅市場において販売が好調に推移するとともに、中南部地域の開拓に取り組みました。インドネシアでは新規チャネル開拓と新商品投入により販売が増加しました。

 その結果、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、過去最高となる前期比13.9%増の508,619百万円となりました。営業利益は、日本国内では資材価格の高騰や販管費の増加などの影響を販売増加や価格改定、製造コストダウンの増益要因により全て吸収することができず減益となりましたが、海外では販売増加や価格改定などの影響が大きく増益となり、全体では前期比2.8%増の17,863百万円となりました。

 

(c)その他

 その他の事業については、不動産、アルミ製錬事業等を行っております。

 その他の事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、前期比14.5%増の30,389百万円、営業損失については2,624百万円(前期は営業利益1,695百万円)となりました。

 

 当社グループの財政状態については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出を上回り、これらに現金および現金同等物に係る換算差額を加えた結果、前連結会計年度末に比べ27,066百万円増加し、291,706百万円となりました。

 

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の詳細については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当連結会計年度末における実績は、次のとおりであります。

 

(a)生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ファスニング

330,068

108.1

AP

429,991

110.9

(注) 1.上記の金額は、販売価格で表示しております。

    2.その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。

 

(b)受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ファスニング

371,939

104.1

17,204

97.4

AP

527,645

109.3

229,372

113.0

(注) 1.上記の金額は、販売価格で表示しております。

    2.その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。

 

(c)販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ファスニング

378,393

109.3

AP

508,421

114.0

その他

6,411

139.0

合計

893,226

112.1

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、第6次中期経営計画において、収益性の向上および経営の効率性の追求を目指し、その経営指標として「売上高営業利益率8.0%以上」及び「ROA(総資産利益率)5.0%以上」を目標に掲げております。これに対して当連結会計年度(以下「当期」という) 末の売上高営業利益率は、前連結会計年度 (以下「前期」という)末比1.3ポイント減少の6.3%、ROAは前期末比0.9ポイント減少の3.2%となりました。

 なお、当社グループの総資産は、前期末比64,641百万円増加(+5.6%)して1,221,583百万円となりました。流動資産は前期末比66,953百万円増加(+10.1%)の732,655百万円、固定資産は前期末比2,312百万円減少(△0.5%)の488,927百万円となりました。

 流動資産増加の主な要因は、現金及び預金の増加等です。固定資産減少の主な要因は、投資有価証券の減少等です。

 当期末の負債合計は、前期末比4,384百万円減少(△1.4%)して315,292百万円となりました。流動負債は前期末比13,968百万円増加(+6.6%)の226,574百万円、固定負債は前期末比18,353百万円減少(△17.1%)の88,718百万円となりました。

 流動負債増加の主な要因は、仕入債務の増加等です。固定負債減少の主な要因は、退職給付に係る負債の減少等です。

 当期末の純資産は、前期末比69,025百万円増加(+8.2%)して906,290百万円となりました。純資産増加の主な要因は、利益剰余金の増加等です。

 これらの結果、自己資本比率は前期末の70.7%から72.5%となりました。また1株当たり純資産額は、前期末の682千円から738千円となりました。

 当社グループの経営成績は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a)キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

81,132

81,724

592

投資活動によるキャッシュ・フロー

△40,414

△55,864

△15,450

フリーキャッシュ・フロー

40,718

25,860

△14,857

財務活動によるキャッシュ・フロー

△5,776

△7,000

△1,224

現金及び現金同等物に係る換算差額

18,319

8,207

△10,112

現金及び現金同等物の期末残高

264,639

291,706

27,066

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は81,724百万円と、前期に比べ592百万円増加しました。これは主に売上債権及び棚卸資産の増減額の増加等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用された資金は55,864百万円と、前期に比べ15,450百万円増加しました。これは主に有形固定資産の取得による支出が前期と比べ14,466百万円増加し、48,151百万円となったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用された資金は7,000百万円と、前期に比べ1,224百万円増加しました。これは主にファイナンス・リース債務の返済による支出が前期と比べ1,029百万円増加し、3,476百万円となったこと等によるものです。

 また、為替変動の影響により、当連結会計年度は現金及び現金同等物が8,207百万円増加しました。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の264,639百万円から27,066百万円増加(+10.2%)して291,706百万円となりました。

(b)流動性及び資金の源泉

  (ⅰ) 資金調達の基本方針および資金調達手段

 当社グループは、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を291,706百万円保有し、また、換金性の高い金融資産を10,781百万円保有しております。そのうち、海外の連結子会社が保有する現金及び現金同等物と換金性の高い金融資産の合計額は208,762百万円でありますが、これらは将来における海外事業の成長投資に充当する予定であります。なお、連結子会社は原則として銀行等の外部からの資金調達は行わず、当社や地域統括会社が連携して効率的なグループファイナンスを行っております。

 当社グループは、当連結会計年度末において手許現金及び現金同等物を十分に確保しておりますが、将来における成長投資に備えて、安定的な外部資金調達能力の維持向上を図っております。当社グループにおける当連結会計年度末の外部からの借入金及び社債残高は17,160百万円であり、総資産に対して1.4%と非常に低い依存度となっており、かつ、流動比率は323.4%、自己資本比率は72.5%と、強固な財務基盤を保っております。また、当社グループは、外部機関から格付を取得しておりますが、当連結会計年度末における格付投資情報センター(R&I)の格付はAA-(信用力は極めて高く、優れた要素がある)となっております。これらに基づき、金融機関から低コストにて借入金等による追加の資金調達が可能と考えております。

 なお、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、投機的な取引は一切行わないという基本方針に従い取り組んでおります。

 

  (ⅱ) 資金需要

 当社グループの主な資金の源泉は営業活動によって獲得した資金であり、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは81,724百万円であります。当社グループは、投資活動によるキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内とする方針を掲げており、これらキャッシュ・フローの合計をフリーキャッシュ・フローと定義しております。当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは25,860百万円であり、ここから配当金の支払い、および有利子負債の返済等の財務活動に7,000百万円を使用しました。当連結会計年度においては、当社グループとして過去最高となる売上高を記録した一方で、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー問題やサプライチェーンへの影響、各国におけるインフレの加速、金利上昇など様々な要因により先行きが不透明な状況となっております。これらの将来の不確実性への対応として、前連結会計年度から引き続き新規の設備投資を抑制したこと等により、将来における成長投資に向けた現金及び現金同等物を増加させております。

 当社グループの当連結会計年度における主な資金需要は、増収に伴い増加した運転資金、設備投資資金(特にAP事業における国内設備投資資金)、研究開発資金、配当金支払い資金、納税資金、および有利子負債の返済資金等となり、当社グループは、これらの資金需要に対して主に自己資金で賄いました。翌連結会計年度における主な資金需要として、増収計画に伴いさらなる増加が見込まれる運転資金、設備投資資金、研究開発資金、配当金支払い資金、納税資金、および有利子負債の返済資金等を見込んでおります。

 なお、配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

 

③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。