E04170 Japan GAAP
前期
213.3億 円
前期比
106.8%
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、当社の親会社、子会社6社及び関連会社1社で構成されております。当社は、親会社である近鉄バスホールディングス㈱から経営指導を受けております。
当社及び当社の子会社並びに関連会社の営んでいる主な事業内容とその位置付け、及びセグメントとの関係は次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。
自動車運送事業(4社)・・・当社とエヌシーバス㈱がバス事業を行い、当社と奈良近鉄タクシー㈱はタクシー事業を、奈良郵便輸送㈱は貨物事業を行っております。また、当社が旅行業を行っております。
不動産事業(3社)・・・・・当社が土地建物の販売、賃貸業、駐車・駐輪場業を行い、主に奈交サービス㈱、奈交自動車整備㈱に建物の賃貸を行っております。奈交サービス㈱は、主に当社の駐車・駐輪場の運営を受託しております。また、奈良近鉄タクシー㈱は賃貸業を行っております。
物品販売事業(3社)・・・・当社が飲食業と菓子類等の製造販売業を行い、奈交サービス㈱、奈交自動車整備㈱が小売業を行っております。奈交自動車整備㈱は自動車整備業を行い、主に当社、奈良近鉄タクシー㈱、エヌシーバス㈱、奈良郵便輸送㈱の車両の整備を行っております。また、奈交サービス㈱は宣伝広告業を行っております。
その他事業(4社)・・・・・当社と奈交サービス㈱が自動車教習所等を行っております。また、新若草山自動車道㈱(非連結子会社)は自動車道業を行い、十津川観光開発㈱(関連会社)は旅館業を行っております。
(事業系統図)
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「営業成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う社会経済活動の正常化やインバウンド需要の増加により、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、不安定な国際情勢や円安の進行などによる諸物価の上昇や、労働需要回復による人手不足など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、奈良県を中心とした当社事業エリアにおいても、人流の活発化やインバウンド需要の増加などにより自動車運送事業の収益は回復基調で推移したほか、本年2月には乗合バスの運賃改定を実施しました。また、生活創造事業でも、飲食事業でテイクアウトや新商品の販売が引き続き好調に推移したほか、不動産賃貸事業や民間企業の福利厚生施設等の受託事業も堅調に推移しました。また、前年7月に創立80周年を迎えたことを記念して、ご愛顧いただいている皆様へ感謝の気持ちを込めて、記念イベントの開催や記念商品の販売などの様々な記念事業を積極的に展開しました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ378,864千円増加し、33,195,800千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ427,729千円減少し、22,236,473千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、利益剰余金が前連結会計年度末に比較して630,145千円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ806,593千円増加し、10,959,327千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は22,784,819千円(前年同期比6.8%増)となりました。一方費用面では、貸切車両の稼働率の上昇に加え、原材料価格の高騰等により売上原価や人件費をはじめとした諸経費が増加しましたが、営業利益は557,251千円(前年同期比90.1%増)となりました。しかしながら、各地方自治体等から燃料高騰に伴う助成金収入の減少等により、経常利益は775,412千円(前年同期比7.8%減)となり、これに特別利益及び特別損失を加減し、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比較して91,914千円減益の728,163千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
自動車運送事業
乗合事業では、沿線人口の減少や新しい生活・行動様式の定着などの影響があったものの、コロナ禍の収束による人流の回復やインバウンド需要の増加などもあり、路線バスは生活路線、観光路線ともに回復基調で推移しました。このような状況のもと、公共性の保持と生産性の向上を図るため、前年に引き続き関係自治体との路線維持に関する協議を推進するとともに、人材確保や車両代替の促進などを図るため、本年2月には運賃改定を実施しました。また、前年3月に発売を開始した金額式ICカード定期券「CI-CA plus」の販売拡大に努めるとともに、前年7月には訪日外国人の利用が多い近鉄・JR奈良駅などの主要バスのりばに外国語での案内が可能な「奈良バスコンシェルジュ」を配置したほか、前年4月から開始したクレジットタッチ決済の実証実験の対象エリアやカードブランドを拡大するなど、訪日外国人も含めたお客様の利便性向上にも取り組みました。さらに、高速・空港リムジンバスでは、奈良名古屋線や奈良関空線において、運行計画や運賃を変更し、収益の確保に努めたほか、定期観光バスでも、特別コースの運行や、VR映像を体感できるコースの拡大などにより、需要の喚起に努めました。これらの結果、増収となりました。
貸切事業では、観光業におけるコロナ禍からの回復が進み、学生団体に加え、インバウンド団体や主催旅行を中心とした一般団体の需要も回復基調で推移するなか、収益の確保に努めました。さらに、前年11月には、基地局と観光バスをリモートで繋ぎ、1人のバスガイドが複数のバスを同時に案内することができる「リモート案内システム」の試験運行も実施し、観光バスの新たな形態の創出にも取り組んだほか、公示運賃の改定効果などもあり、増収となりました。
タクシー事業では、観光客や駅からの乗込客の増加により、増収となりました。
貨物事業では、新路線大阪統合便の受注や奈良橿原線の経路延長、臨時便の増加などにより、増収となりました。
旅行事業では、学生団体や一般団体からの受注が好調に推移したほか、ビューティフルツアーでも創立80周年記念コースの設定などによる集客に努めた結果、増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は16,247,282千円(前年同期比6.6%増)となり、セグメント損失は207,513千円改善の304,995千円となりました。
不動産事業
賃貸事業では、上三橋用地の新規賃貸の開始や、第2ビルへの新たなテナントの誘致など、資産の有効活用に努めたほか、駐輪・駐車場事業では、一昨年9月に「奈交モータープールJR奈良駅前」、一昨年12月に「奈交モータープール学研奈良登美ヶ丘」の営業を開始したほか、駐輪場で通勤通学でのご利用が順調に回復したため、当事業の売上高は1,463,683千円(前年同期比2.7%増)、セグメント利益は533,678千円(同8.6%増)となりました。
物品販売事業
飲食事業では、ミスタードーナツが企画商品の販売やデリバリーの効果もあり、引き続き好調に推移したほか、民間企業の福利厚生施設などの運営受託も堅調に推移しました。こうした結果、当事業の売上高は4,159,884千円(前年同期比9.7%増)、セグメント利益は307,207千円(同15.0%増)となりました。
その他事業
田原本町の道の駅「レスティ唐古・鍵」が好調に推移したほか、一昨年7月から宇陀市の温浴施設「あきののゆ」を運営受託し、収益の確保に努めた結果、当事業の売上高は913,969千円(前年同期比5.0%増)となりました。一方、自動車教習所事業では新規教習生が減少したため、セグメント利益は18,845千円(同57.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により2,042,978千円の資金を獲得し、投資活動により982,853千円、財務活動により1,112,167千円の資金を使用したことにより、資金残高は前連結会計年度末に比較して52,042千円減少の1,896,869千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益は751,981千円となり、前年同期に比較して62,548千円減少し、営業活動により得られた資金は、前年同期に比較して50,902千円減少の2,042,978千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、投資活動により使用した資金は、前年同期に比較して279,532千円増加の982,853千円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純減少額が減少したことなどにより、財務活動により使用した資金は、前年同期に比較して1,234,832千円減少の1,112,167千円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注形態をとらない商品も多いため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については「(1) 経営成績等の状況の概要」においてセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比較し378,864千円増加の33,195,800千円となりました。流動資産合計は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加などにより、前連結会計年度末に比較して109,858千円増加の5,102,185千円となりました。固定資産合計は、設備投資の実施などにより、前連結会計年度末に比較して269,005千円増加の28,093,614千円となりました。
負債合計は、借入金の減少などにより前連結会計年度末に比較して427,729千円減少の22,236,473千円となりました。
純資産合計は、利益剰余金が前連結会計年度末に比較して630,145千円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比較して806,593千円増加の10,959,327千円となりました。なお、自己資本比率については、前連結会計年度末と比較して2.1ポイント上昇し33.0%となりました。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、自動車運送事業等営業収益において行動制限がなくなったことによる人流の活発化やインバウンド需要の増加などにより、前年同期に比較して1,450,043千円増収の22,784,819千円となりました。
売上原価は、原材料価格の高騰や人件費の増加などにより前年同期に比較して772,579千円増加の17,690,848千円となり、また販売費及び一般管理費は、前年同期に比較して413,286千円増加の4,536,719千円となりました。
これらの結果、営業利益は、264,178千円増益の557,251千円となりました。
経常利益は、助成金収入の減少等により、65,842千円減益の775,412千円となりました。
特別利益は、補助金収入の増加等により、前年同期に比較して162,673千円増加の333,930千円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損の増加等により、前年同期に比較して159,379千円増加の357,361千円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前年同期に比較して62,548千円減益の751,981千円となりました。法人税、住民税及び事業税は、前年同期に比較して36,775千円減少し、法人税等調整額は、前年同期に比較して66,142千円減少しました。このため、当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比較して91,914千円減益の728,163千円となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループを取り巻く経営環境については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々な要因により影響を受け、変動する可能性があります。自動車運送事業では、外部環境が改善されず、旅客減少が続いた場合、事業規模の縮小につながる可能性があります。さらに世界的な原油需要、産油地域の情勢により、燃料価格が高騰した場合、経営成績に重要な影響があります。また、物品販売事業では、フランチャイズ契約により営業している事業が大半を占めているため、本部の経営方針の転換や業績の悪化により、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、運転資金及びバス車両などの設備資金については、自己資金、借入金及びリースにより資金調達することとしています。このうち、借入については、運転資金は短期借入金で、設備投資などの長期資金は、長期借入金で調達しています。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成していますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の注記事項「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
また、会計上の見積りを行う上での将来課税所得の考え方については、「第5 経理の状況」の注記事項「重要な会計上の見積り」に記載しています。
⑥経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度は、人流の活発化やインバウンド需要の増加等により、計画比にて増収増益となりました。さらに、助成金収入の増加などにより、経常利益及び税引前当期純利益は計画を上回りました。
当事業年度の目標達成状況(単体)は以下の通りです。
指標 |
当事業年度(計画) |
当事業年度(実績) |
計画比 |
売上高 |
17,492百万円 |
18,647百万円 |
1,154百万円 ( 6.6%増) |
営業利益 |
207百万円 |
371百万円 |
163百万円 ( 78.7%増) |
経常利益 |
306百万円 |
650百万円 |
343百万円 (112.0%増) |
税引前当期純利益 |
310百万円 |
621百万円 |
311百万円 (100.6%増) |