E04170 Japan GAAP
前期
180.3億 円
前期比
118.3%
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、当社の親会社、子会社6社及び関連会社1社で構成されております。当社は、親会社である近鉄バスホールディングス㈱から経営指導を受けております。
当社及び当社の子会社並びに関連会社の営んでいる主な事業内容とその位置付け、及びセグメントとの関係は次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。
自動車運送事業(4社)・・・当社とエヌシーバス㈱がバス事業を行い、当社と奈良近鉄タクシー㈱はタクシー事業を、奈良郵便輸送㈱は貨物事業を行っております。また、当社が旅行業を行っております。
不動産事業(3社)・・・・・当社が土地建物の販売、賃貸業、駐車・駐輪場業を行い、主に奈交サービス㈱、奈交自動車整備㈱に建物の賃貸を行っております。奈交サービス㈱は、主に当社の駐車・駐輪場の運営を受託しております。また、奈良近鉄タクシー㈱は賃貸業を行っております。
物品販売事業(3社)・・・・当社が飲食業と菓子類等の製造販売業を行い、奈交サービス㈱、奈交自動車整備㈱が小売業を行っております。奈交自動車整備㈱は自動車整備業を行い、主に当社、奈良近鉄タクシー㈱、エヌシーバス㈱、奈良郵便輸送㈱の車両の整備を行っております。また、奈交サービス㈱は宣伝広告業を行っております。
その他事業(4社)・・・・・当社と奈交サービス㈱が自動車教習所等を行っております。また、新若草山自動車道㈱(非連結子会社)は自動車道業を行い、十津川観光開発㈱(関連会社)は旅館業を行っております。
(事業系統図)
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「営業成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和や、政府の観光需要喚起策等により、人流や個人消費にも持ち直しの動きが見られましたが、不安定な国際情勢や円安の影響により諸物価の上昇が続くなど、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
このような状況のもと、奈良県を中心とした当社事業エリアにおいても、行動制限の緩和等に伴う人流の増加により、自動車運送事業では、お客様のご利用が回復基調で推移し、増収となりました。また、生活創造事業でも、飲食事業でテイクアウト商品の販売が引き続き好調に推移したほか、不動産賃貸事業や民間企業の福利厚生施設等の受託事業も堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、借入金の返済などによる現金及び預金の減少により、前連結会計年度末に比べ492,482千円減少し、32,816,936千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1,215,703千円減少し、22,664,202千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、利益剰余金が前連結会計年度末に比較して768,732千円増加したなどにより、前連結会計年度末に比べ723,220千円増加し、10,152,733千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は21,334,775千円(前年同期比18.3%増)となりました。一方費用面では、貸切車両の稼働率の上昇に加え、原材料価格の高騰等により売上原価や人件費をはじめとした諸経費が増加しましたが、営業利益は1,390,581千円改善の293,073千円と、3期ぶりに営業黒字となりました。また、奈良県をはじめとした各地方自治体等から燃料高騰やコロナ対策に関する助成金を受領したことなどにより、経常利益は1,257,092千円改善の841,254千円となり、これに特別利益及び特別損失を加減し、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比較して768,816千円増益の820,078千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
自動車運送事業
乗合事業では、沿線人口の減少等に加え、新型コロナウイルス感染症の影響が一部で見られたものの、行動制限の緩和等による人流の活発化や、入国制限緩和によるインバウンド需要の増加もあり、路線バスは生活路線、観光路線とも回復基調で推移しました。こうした中、「サイクル&バスライド」の実証実験の拡大や、10月の八木新宮線における観光特急「やまかぜ」の運行開始等、路線の魅力向上やお客様の利便性向上に努めました。さらに、3月には、金額式ICカード定期券「CI-CA plus」のWEB販売を開始しました。これは、従来の区間式の定期券とは異なり、券面に記載された運賃の範囲であれば原則路線バスの全線で利用できるほか、窓口に行かなくてもWEB上で購入や更新ができるなど、これまでにないサービスを付加した新しい定期券です。また、同じく本年3月には、脱炭素化に向けた取組みの一環として、奈良県内では初となる電気(EV)バスの運行も開始しました。高速・空港リムジンバスでは、昨年4月の夜行高速バス「横浜・東京ディズニーリゾート®線」の運行再開や、7月の大阪空港リムジンバスの全便再開等、需要動向に応じた運行を行ったほか、12月には、全室完全個室の豪華夜行高速バス「ドリームスリーパー奈良・大阪⇔東京号」の運行を開始するなど、収益の確保に努めました。また、定期観光バスでは、奈良県の「いまなら。キャンペーン2022プラス」を活用した「観光&贅沢ランチプラン」等が好評を得たほか、本年1月には、バーチャルリアリティー(VR)映像を活用した取組みを開始するなど、需要の喚起に努めました。これらの結果、増収となりました。
貸切事業では、同感染症の影響が一部で見られたものの、修学旅行等の学生団体の受注が好調に推移したことに加え、主催旅行団体の需要も前年より回復したこともあり、増収となりました。
タクシー事業では、タクシー利用が回復しているほか、令和4年4月1日より運賃改定を実施したこともあり、増収となりました。
貨物事業では、新路線大阪統合便の受注や奈良橿原線の経路延長、臨時便の増加などにより、増収となりました。
旅行事業では、ビューティフルツアーで貸切バス特別車両「四神」や全国旅行支援等を活用したコースが好評を得たほか、自治体よりワクチン関連輸送を受注するなどにより、増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は15,247,787千円(前年同期比20.3%増)となり、セグメント損失は1,295,277千円改善の512,508千円となりました。
不動産事業
賃貸事業では、JR奈良駅前の奈良交通第2ビルの賃貸契約を拡大するなど、新規テナントの誘致等による資産の有効活用に努めましたが、奈良近鉄タクシー㈱の学園前の賃貸ビル(ならきん学園前ビル)のテナントの入れ替えなどにより、当事業の売上高は1,424,556千円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益は491,403千円(同11.6%減)となりました。
物品販売事業
飲食事業では、ミスタードーナツが引き続きテイクアウトを中心に好調に推移したほか、民間企業の福利厚生施設等の運営も堅調に推移しました。こうした結果、当事業の売上高は3,792,106千円(前年同期比21.7%増)、セグメント利益は267,120千円(同247.4%増)となりました。
その他事業
7月から宇陀市の温浴施設「あきののゆ」を新たに運営受託し、収益の確保に努めた結果、当事業の売上高は870,323千円(前年同期比8.5%増)となりました。一方、自動車教習所事業では新規教習生が減少したため、セグメント利益は44,125千円(同36.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により2,093,880千円の資金を獲得し、投資活動により703,320千円、財務活動により2,346,999千円の資金を使用したことにより、資金残高は前連結会計年度末に比較して956,439千円減少の1,948,911千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益は814,529千円となり、前年同期に比較して689,158千円増加し、仕入債務や未払金の増加により、営業活動により得られた資金は、前年同期に比較して997,090千円増加の2,093,880千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、投資活動により使用した資金は、703,320千円(前年同期は366,585千円の獲得)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の返済額が増加したため、財務活動により使用した資金は、前年同期に比較して1,088,892千円増加の2,346,999千円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注形態をとらない商品も多いため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については「(1) 経営成績等の状況の概要」においてセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比較し492,482千円減少の32,816,936千円となりました。流動資産合計は、借入金の返済などによる現金及び預金の減少により、前連結会計年度末に比較して563,139千円減少の4,992,327千円となりました。固定資産合計は、繰延税金資産の増加などにより、前連結会計年度末に比較して70,656千円増加の27,824,609千円となりました。
負債合計は、借入金の減少などにより前連結会計年度末に比較して1,215,703千円減少の22,664,202千円となりました。
純資産合計は、利益剰余金が前連結会計年度末に比較して768,732千円増加したなどにより、前連結会計年度末に比較して723,220千円増加の10,152,733千円となりました。なお、自己資本比率については、前連結会計年度末と比較して2.6ポイント上昇し30.9%となりました。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、自動車運送事業等営業収益において行動制限の緩和に伴う人流の活発化によりお客様のご利用が徐々に回復しつつあることのほか、貸切事業で一定の受注を確保できたことにより、前年同期に比較して3,301,577千円増収の21,334,775千円となりました。
売上原価は、原材料価格の高騰などにより前年同期に比較して1,578,148千円増加の16,918,268千円となり、また販売費及び一般管理費は、前年同期に比較して332,846千円増加の4,123,433千円となりました。
これらの結果、営業利益は、1,390,581千円改善の293,073千円となり、経常利益は、1,257,092千円改善の841,254千円となりました。
特別利益は、固定資産受贈益を計上しましたが、前年同期に投資有価証券売却益や受取補償金を計上したため、前年同期に比較して519,982千円減少の171,257千円となりました。
特別損失は、固定資産除却損及び固定資産圧縮損の増加等により、前年同期に比較して47,950千円増加の197,982千円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前年同期に比較して689,158千円増益の814,529千円となりました。法人税、住民税及び事業税は、前年同期に比較して93,643千円増加し、法人税等調整額は、前年同期に比較して173,300千円減少しました。このため、当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比較して768,816千円増益の820,078千円となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループを取り巻く経営環境については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々な要因により影響を受け、変動する可能性があります。自動車運送事業では、外部環境が改善されず、旅客減少が続いた場合、事業規模の縮小につながる可能性があります。さらに世界的な原油需要、産油地域の情勢により、燃料価格が高騰した場合、経営成績に重要な影響があります。また、物品販売事業では、フランチャイズ契約により営業している事業が大半を占めているため、本部の経営方針の転換や業績の悪化により、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、運転資金及びバス車両などの設備資金については、自己資金、借入金及びリースにより資金調達することとしています。このうち、借入については、運転資金は短期借入金で、設備投資などの長期資金は、長期借入金で調達しています。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成していますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の注記事項「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルスの影響の考え方については、「第5 経理の状況」の
注記事項「重要な会計上の見積り」に記載しています。
⑥経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度は、行動制限の緩和に伴う人流の活発化によりお客様のご利用が回復しつつあることなどで、計画比にて増収増益となりました。さらに、助成金収入の計上などにより、経常利益及び税引前当期純利益は計画を上回りました。
当事業年度の目標達成状況(単体)は以下の通りです。
指標 |
当事業年度(計画) |
当事業年度(実績) |
計画比 |
売上高 |
17,190百万円 |
17,376百万円 |
186百万円 ( 1.1%増) |
営業利益 |
120百万円 |
264百万円 |
143百万円 (119.7%増) |
経常利益 |
118百万円 |
677百万円 |
559百万円 (473.4%増) |
税引前当期純利益 |
105百万円 |
636百万円 |
530百万円 (502.7%増) |