奈良交通株式会社

陸運業バス・タクシー

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04170 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進んだことに加え、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に変更されたことによる社会経済活動の正常化やインバウンド需要の増加などもあり、景気は緩やかな回復基調で推移しました。その一方で、不安定な国際情勢や円安などにより、更なる諸物価の上昇や海外景気の下振れが懸念されるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、奈良県を中心とした当社事業エリアにおいても、行動制限がなくなったことによる人流の活発化やインバウンド需要の増加などにより、自動車運送事業の業績は回復基調で推移しました。一方、生活創造事業でも、飲食事業でテイクアウトや新商品の販売が引き続き好調に推移したほか、民間企業の福利厚生施設の運営受託も堅調に推移するなど、収益の確保に努めました。また、本年7月に創立80周年を迎えたことを記念して、道の駅レスティ唐古・鍵において記念イベントを開催したほか、「大仏新宮線」の復刻運行、主催旅行や定期観光バスでの記念コースの運行、記念グッズの販売など、ご愛顧いただいている皆様へ感謝の気持ちを込めて、様々な記念事業を積極的に展開しました。

 この結果、当中間連結会計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ519,222千円減少し、32,297,713千円となりました。

 当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ915,185千円減少し、21,749,016千円となりました。

 当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ395,962千円増加し、10,548,696千円となりました。

 

b.経営成績

 当中間連結会計期間の売上高は11,168,805千円(前年同期比6.9%増)となりました。一方、費用面では原材料価格の高騰による売上原価や燃料油脂費などの増加に加え、人件費をはじめとした諸経費の増加などもあり、営業費用も増加しましたが、営業利益は628,046千円(前年同期比69.2%増)、経常利益は653,280千円(前年同期比27.0%増)となりました。これに特別利益及び特別損失を加減し、法人税等を控除した親会社株主に帰属する中間純利益は500,918千円(前年同期比19.1%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

  自動車運送事業

 乗合事業では、沿線人口の減少に加え、コロナ禍を契機とした新しい生活・行動様式の定着が続くなか、新型コロナウイルス感染症の分類が変更され、人流の回復が進んだことや、インバウンド需要が増加したことなどもあり、路線バスは生活路線、観光路線ともに回復基調で推移しました。このような状況のもと、前年に続き公共性の保持と生産性の向上を図るため、関係自治体との間で路線維持に関する継続協議を行う一方で、4月には奈良市内循環線においてクレジットカードのタッチ決済でバスをご利用いただける実証実験を開始したほか、7月にはJR・近鉄奈良駅等の主要バスのりばに外国語でバスを案内する「奈良バスコンシェルジュ」を配置するなど、訪日外国人のお客様の利便性向上を図りました。また、8月にはバス運転者の要員不足、諸物価の高騰などの諸課題に対応するため、来年2月に乗合バス運賃の改定を実施すべく、国土交通省近畿運輸局に申請を行いました。そのほか高速バスでは、奈良名古屋線において9月30日に毎日運行の再開と運賃改定を実施したほか、定期観光バスにおいても80周年記念特別コースを運行し、需要の喚起を図るなど、収益の確保に努めました。こうした結果、増収となりました。

 貸切事業では、修学旅行団体がコロナ禍前の形態に戻るなかで、引き続き堅調に推移したほか、旅行会社の主催旅行をはじめ一般団体の受注の回復やインバウンド関連の受注の増加などもあり、増収となりました。

 タクシー事業では、観光客や駅からの乗込客の増加により、増収となりました。

 貨物事業では、前年12月に大阪統合便の受注を開始したほか、契約運賃の値上げもあり、増収となりました。

 旅行事業では、学生団体や一般団体からの受注が好調に推移したほか、80周年記念コースの設定などによりビューティフルツアーやハイキングツアーの集客の増加を図るなど、収益の確保に努めた結果、増収となりました。

 これらの結果、当事業の売上高は8,063,389千円(前年同期比6.3%増)となり、セグメント利益は132,229千円(前年同期は53,838千円のセグメント損失)となりました。

 

  不動産事業

 駐車・駐輪場業では、前年9月に「奈交モータープールJR奈良駅前」、前年12月に「奈交モータープール学研奈良登美ヶ丘」の営業を開始したほか、駐輪場で通勤通学でのご利用が順調に回復したため、当事業の売上高は793,026千円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益は286,602千円(同6.2%増)となりました。

 

  物品販売事業

 飲食事業では、ミスタードーナツでテイクアウトや新商品の販売が好調に推移したほか、民間企業の福利厚生施設の運営受託も堅調に推移しました。こうした結果、当事業の売上高は2,576,040千円(前年同期比12.3%増)、セグメント利益は180,988千円(同46.8%増)となりました。

 

  その他事業

 道の駅レスティ唐古・鍵における創立80周年記念イベントや東吉野ふるさと村における「ふるさとひよし祭り」の開催などにより集客の増加を図るなど、収益の確保に努めた結果、当事業の売上高は452,676千円(前年同期比7.6%増)となりました。一方、自動車教習所事業では新規教習生が減少したため、セグメント利益は18,915千円(同27.8%減)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により1,047,907千円の資金を獲得し、投資活動により245,229千円、財務活動により655,662千円の資金を使用したことにより、資金残高は前連結会計年度末に比較して147,015千円増加の2,095,927千円となりました。


(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 税金等調整前中間純利益は672,080千円となり、前年同期に比較して133,630千円増加し、売上債権も減少しましたが、仕入債務などの減少もあり、営業活動により得られた資金は、前年同期に比較して39,461千円増加の1,047,907千円となりました。


(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、投資活動により使用した資金は、前年同期に比較して63,273千円増加の245,229千円となりました。


(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 短期借入金の純減少額が減少したことなどにより、財務活動により使用した資金は、前年同期に比較して811,323千円減少の655,662千円となりました。

 ③生産、受注及び販売の実績

 当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注形態をとらない商品も多いため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは数量で示していません。このため、生産、受注及び販売の実績については「①財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

  なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものです。

 

 ①当中間連結会計期間末の財政状態の分析

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比較し519,222千円減少の32,297,713千円となりました。流動資産合計は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少等により、前連結会計年度末に比較して230,938千円減少の4,761,388千円となりました。固定資産合計は、有形固定資産の減価償却などにより、前連結会計年度末に比較して288,284千円減少の27,536,324千円となりました。

 負債合計は、未払金や借入金の減少などにより前連結会計年度末に比較して915,185千円減少の21,749,016千円となりました。

 純資産合計は、利益剰余金が前連結会計年度末に比較して398,231千円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比較して395,962千円増加の10,548,696千円となりました。なお、自己資本比率については、前連結会計年度末に比較して1.8ポイント上昇し32.7%となりました。

 

 ②当中間連結会計期間の経営成績の分析

 当中間連結会計期間の売上高は、自動車運送事業等営業収益において行動制限がなくなったことによる人流の活発化やインバウンド需要の増加などにより、前年同期に比較して716,196千円増収の11,168,805千円となりました。

 売上原価は、原材料価格の高騰などにより前年同期に比較して320,349千円増加の8,450,918千円となり、また販売費及び一般管理費は、前年同期に比較して138,924千円増加の2,089,840千円となりました。

 これらの結果、営業利益は、256,922千円増益の628,046千円となり、経常利益は、138,985千円増益の653,280千円となりました。

 特別利益は、補助金収入等を計上しましたが、固定資産受贈益の減少により、前年同期に比較して5,779千円減少の24,151千円となりました。

 特別損失は、固定資産除却損で5,351千円を計上しております。

 以上の結果、税金等調整前中間純利益は、前年同期に比較して133,630千円増益の672,080千円となりました。法人税、住民税及び事業税は、前年同期に比較して53,361千円増加しました。このため、中間純利益及び親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に比較して80,268千円増益の500,918千円となりました。

 

 ③経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループを取り巻く経営環境については、沿線人口の減少や新しい生活・行動様式の定着による利用減少のほか、様々な要因により影響を受け、変動する可能性があります。自動車運送事業では、外部環境の変化により、旅客減少に転じた場合、事業規模の縮小につながる可能性があります。さらに世界的な原油需要、産油地域の情勢により、燃料価格が高騰した場合、経営成績に重要な影響があります。また、物品販売事業では、フランチャイズ契約により営業している事業が大半を占めているため、本部の経営方針の転換や経営成績の悪化により、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

 ④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当中間連結会計期間における資本の財源及び資金の流動性の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループは、運転資金及びバス車両などの設備資金については、自己資金、借入金及びリースにより資金調達することとしております。このうち、借入金については、運転資金は短期借入金で、設備投資などの長期資金は、長期借入金で調達しております。